Broken Social Sceneのシンガー、Ariel Engleは、Efrim Manuel Menuckと組んだポストロック・プロジェクト、ALL HANDS_MAKE LIGHTとして、4月にアルバム『Darling the Dawn』をリリースしたばかりですが、ソロプロジェクト、La Forceとしてのニューアルバム『XO Skeleton』を発表しました。新作はSecret City Recordsから9月29日にリリースされます。
I'd Be Lying If I Said I Didn't Care』は、アーロン・デスナーと共に制作した2020年の『All That Emotion』に続く作品です。ジョージアはパートナーのショーン・スロカ(Ten Kills The Packのメンバー)と新しいLPを共同制作し、ジェームズ・マカリスター、グラハム・ウォルシュ、ゲイブ・ワックスらが参加している。
「Ready To Ball」以降のトラックは、カッサ・オーバーオールのジャズへの深い理解とパーカッションへの親近感を表すラップソングが続いてゆく。リリックは迫力味があるが、比較的落ち着いており、その中に導入される民族音楽のパーカッションも甘美的なムードに包まれており、これが聞き手の心を捉えるはずだ。しかし、オーバーオールはオートチューンを掛けたボーカルをコーラスとして配置することにより、生真面目なサウンドを極力避け、自身の作風を親しみやすいポピュラーミュージックの範疇に留めている。オーバーオールは、音楽を単なる政治的なプロバガンダとして捉えることなく、ジャズのように、ゆったりと多くの人々に楽しんでもらいたい、またあるいは、その上で様々な問題について、聞き手が自分の領域に持ち帰った後にじっくりと考えてもらいたいと考えているのかもしれない。その中に時々感じ取ることが出来る悲哀や哀愁のような感覚は、不思議な余韻となり、心の奥深くに刻みこまれる場合もある。
このアルバムの魅力は前衛的な形式のみにとどまらない。その後、比較的親しみやすいポピュラー寄りのラップをNick Hakimがゲスト参加した「Make My Way Back Home」で披露している。Bad Bunnyのプエルトリコ・ラップにも近いリラックスした雰囲気があるが、オーバーオールのリリックは情感たっぷりで、ほのかな哀しみすら感じさせるが、聴いていて穏やかな気分に浸れる。
「The Lava Is Calm」も、カリブや地中海地域の音楽性を配し、古い時代のフィルム・ノワールのような通らしさを示している。ドラムンベースの要素を織り交ぜたベースラインの迫力が際立つトラックではあるが、カッサ・オーバーオールはラテン語のリリックを織り交ぜ、中南米のポピュラー音楽の雰囲気を表現しようとしている。これらの雑多な音楽に、オーバーオールは突然、古いモノクロ映画の音楽を恣意的に取り入れながら、時代性を撹乱させようと試みているように思える。そしてそれはたしかに、奇異な時間の中に聞き手を没入させるような魅惑にあふれている。もしかすると、20世紀のキューバの雰囲気を聡く感じ取るリスナーもいるかもしれない。
「No It Ain't」に続く三曲も基本的にはジャズの影響を織り交ぜたトラックとなっているが、やはり、旧来のニューオリンズのラグタイム・ジャズに近いノスタルジアが散りばめられている。そのうえで、クロスオーバーやハイブリッドとしての雑多性は強まり、「So Happy」ではアルゼンチン・タンゴのリズムと曲調を取り入れ、原初的な「踊りのための音楽」を提示している。このトラックに至ると、ややもすると単なる趣味趣向なのではなく、アーティストのルーツが南米にあるのではないかとも推察出来るようになる。それは音楽上の一つの形式に留まらず、人間としての原点がこれらの曲に反映されているように思えるからだ。
最初にも説明したように、タイトル曲、及び「Maybe We Can Stay」は連曲となっており、ラグタイム・ジャズの影響を反映させて、それを現代的なラップソングとしてどのように構築していくのか模索しているような気配もある。アルバムの最後に収録される「Going Up」では、ダブステップやベースラインの影響を交え、チルアウトに近い作風として昇華している。ただ、このアルバムは全体的に見ると、アーティストとしての才覚には期待できるものがあるにもかかわらず、着想自体が散漫で、構想が破綻しているため、理想的な音楽とは言いがたいものがある。同情的に見ると、スケジュールが忙しいため、こういった乱雑な作風となってしまったのではないだろうか。アーティストには、今後、落ち着いた制作環境が必要となるかも知れない。
74/100
Featured Track 「Going Up」
CMATは、セカンドアルバム『Crazymad, For Me』をAWALより10月13日に発売すると発表しました。アルバムからの最新シングル「Have Fun!」が発表されています。Matias TéllezとRob Miltonが共同プロデュースしたこの曲のリリースに併せて、Collective Filmがパリとダブリンで撮影したビデオが同時に公開されています。
「この曲は、私はあなたのことが本当に好きだから、こうしようという自信があればいいのに、それを感じることもできるのに、なかなかそれができない時のもどかしさを描いています。この曲は、Here We Go Magicにインスパイアされています。このアルバムでは、私のボーカルにエフェクトをかけることを、意図的かつ意識的に行いました。この曲のボーカルは大好きですね」
Boston Callingのヘッドライナーを務めたばかりのQueens of the Stone Ageが、Matadorから6/16にリリースされるアルバム『In Times New Roman...』のセカンドシングル「Carnavoyeur」を公開しました。この曲は、リード・シングル「Emotion Sickness」よりもダークでムーディーな雰囲気があり、QOTSAらしさ満載のシングルです。以下、チェックしてみてください。
このトラックには、Beck、Death Cab for Cutie、The War on Drugsを手がけてきたJuliet Bryantによるリリックビデオが収録されています。
Foo Fighters(フー・ファイターズ)は、今週金曜日に発売される新作アルバム『But Here We Are』(Roswell/RCA)のラストプレビューシングル「The Teacher」をリリースしました。先日明らかとなったように、このニューアルバムではデイヴ・グロールがドラムを演奏している。
ドラマーのテイラー・ホーキンス亡き後、米国を代表するロックバンドは、新しいバンドとして生まれ変わることを決意しました。新生フー・ファイターズとしての第一作であり、「バンドの新しい人生の第1章」とも銘打たれるニューアルバム『But Here We
Are』は、「28年前に最初にフー・ファイターズを引き合わせた音楽の中に避難所を見つけた兄弟の音であり、それは人生の継続と同じくらい治療的なプロセスだった」とプレスリリースには記されています。アルバムは、グレッグ・カースティンとフー・ファイターズによってプロデュースされました。
「Rescued」、「Under You」、「Show Me How」に続く最新シングル「The Teacher」は、昨年亡くなったデイヴ・グロールの母親、バージニア・ハンロン・グロールが生前に教師であったことを示唆しているようです。また、以前のシングル「Show Me How」では、グロールの娘であるヴァイオレット・グロールがボーカルとして参加していました。