ジェームス・ブレイク(James Blake)が、リパブリック・レコードを離れて初の自主制作となる新アルバム『Trying Times』を発表。2023年の『Playing Robots into Heaven』に続く本作は、3月13日にグッド・ボーイ・レコードからリリースされる。優雅で不気味な新曲「Death of Love」が、ハリソン・アデアによるライブパフォーマンスビデオとともに、ロンドン・ウェルシュ・メンズ・クワイアをフィーチャーしてリリースされた。以下でチェックしよう。


『Trying Times』には、英国のラッパー、デイヴとロサンゼルスを拠点とするボーカリスト、モニカ・マーティンが参加している。数日前、ブレイクは新ウェブサイトtryingtimes.infoで、このアルバムについて次のようなメッセージとともに予告していた。


皆さん、こんにちは。ここでの皆さんのサポートに感謝して、まず最初にいくつかのニュースをお知らせしたいと思います。次のアルバムが完成し、まもなくリリースされる予定です。1曲を皆さんにお届けするとともに、このアルバムの初回限定盤の特別ビニール盤も提供します。試聴および購入用のリンクは72時間有効。この新譜を皆さんにお聴きいただけるのが待ちきれません。本当に特別な作品です。

 

「Death of Love」 

 

 

James Blake 『Trying Times』

Label: Good Boy

Release:  2026年3月13日

 

Tracklist:


1. Walk Out Music

2. Death of Love

3. I Had a Dream She Took My Hand

4. Trying Times

5. Make Something Up

6. Didn’t Come to Argue [feat. Monica Martin]

7. Doesn’t Just Happen [feat. Dave]

8. Obsession

9. Rest of Your Life

10. Through the High Wire

11. Feel It Again

12. Just a Little Higher

ロサンゼルスを拠点とするロックグループ、The Vincenzos(ザ・ヴィンチェンゾス)がロックの新曲「Lay Down」をミュージックビデオと合わせて公開しました。

 

インディー/アメリカーナ/パンク/ロックンロールをジャンルを超えた融合で知られる彼らは、ダイナミックなライブパフォーマンスと、心温まるながらもダークなユーモアを帯びた自伝的歌詞で、急速に注目を集めています。 


リードシンガー/ソングライターでフロントマンのヴィンセント・ブルーはこう語る。「『Lay Down』は、意識的な創作というよりむしろ悪魔祓いのような感覚を伴う、魔法のようなソングライティング体験だった」 

 

11月初旬のある夜、ジョシュアツリーでスマホの古いボイスメモを整理していたら、メインリフの録音を発見。即座にトラックを敷き始め、ボーカルメロディと歌詞を即興で一発録りしたんだ」 これは愛と喪失と切望、ますます暴力的で敵意に満ちた世界に抗いながら心を開き愛を受け入れることについての曲。武器を置くよう呼びかける、愛を呼びかける、平和を呼びかける歌なんだ」


東海岸からロサンゼルスに移住した直後にシンガーソングライターのヴィンセント・ブルーによって結成されたザ・ヴィンチェンゾスは、カルバーシティの伝説的ホンキートンク・ダイブバー「シネマ・バー」の水曜オープンマイクで意気投合し、瞬く間に市内随一の集客力を誇るバンドへと成長。トロバードール、ヴァイパー・ルーム、ハーバード&ストーンなど数々の主要会場でヘッドライナーを務めている。 

 

インディー/カントリー/パンク・ロックンロールを基調に、心温まるが暗くユーモラスな自伝的歌詞と美しい男女のハーモニーを融合。様々なジャンルを独自のサウンドへと昇華させ、常に観客を踊らせ、拍手と合唱で包む。 

 

2025年5月にデビューアルバム『To Live and Chenz in L.A.』をリリース後、ヴィンチェンゾスはジョシュアツリーのガトス・トレイル・スタジオで2枚分の新作アルバムを既に録音済みで、2026年のリリースを予定している。

 

最新シングル「Lay Down」は、高らかなボーカルが胸(とドラム)を打つアンセムで、パートナー候補に心の壁を崩し愛に身を委ねるよう訴えかける。 今春、ロサンゼルスでヴェニス・ウエスト、モリー・マローンズ、ウィスキー・ア・ゴーゴーでの公演が決定、年内のツアーも計画中。

 

 「Lay Down」

 


City honky-tonk-dive Cinema Bar’s Wednesday open mic and have quickly become a major draw all over the city, headlining venues such as The Troubadour, Viper Room, Harvard & Stone and many more. Mixing indie/country/punk rock and roll with heartfelt yet darkly-comic autobiographical lyrics and beautiful harmonizing male/female vocals, 

 

The Vincenzos meld various genres into an original sound all their own, always getting crowds dancing, clapping and singing along. After releasing their debut album “To Live and Chenz in L.A.” in May 2025, the Vincenzos have already recorded two new albums worth of material at Gatos Trail Studios in Joshua Tree, set to be released in 2026. 

 

Their latest single, “Lay Down” is a heart (and drum) pounding anthem with soaring vocals, begging a would-be partner to drop their defenses and give in to love. With upcoming shows at Venice West, Molly Malones and the Whisky A-Go-Go set this Spring in LA and a tour planned for later this year, catch them while you can!


Flip Top Head 『Triateral Machine』- EP


Label: Blitzcat

Release: 2026年1月30日

 

 

Review

 

英国/ブライトンのアートロックグループ、Flip Top Head(フリップ・トップ・ヘッド)はコレクティヴの編成で構成され、6人のメンバーを擁している。

 

彼らは、”カルトロック”を自称するグループであるが、Caroline、The Last Dinner Party、The New Evesの系譜にあるサウンドを特徴としていて、ロックオペラやフォーク、実験的なロックサウンドを織り交ぜ、個性的な音楽世界を構築している。


Flip Top Headを最初に当サイトで紹介したのは、2023年の「Alfred Street」だった。マスロック/ポストロック的なサウンド、Led Zeppelinのようなハードロック、物悲しさを感じさせるボーカルラインなど、 個性的な音楽センスが盛りだくさんだった。ミュージックビデオも古めかしい町並みをバンドメンバーが疾走するという、なかなか微笑ましい感じの内容だった。現在、Flip Top Headはベースメントやインディーズの範疇に収まるバンドではありながら、独創的なサウンドを制作しようとしている。

 

現時点では、Flip Top Headの作品はシングルとEPの発売にとどまっている。『Trilateral Machine 』は確認出来たかぎりでは、二作目のミニアルバムのリリースとなる。シングルではバラバラに散らばっていたマテリアルがミニアルバムという形で収められると、明確な形になってきたという気がする。Flip Top Headは、6人という分厚いアンサンブルを象徴するかのように、メインボーカルに加え、複数のボーカリストが メイン的な役割を担う。メインは女性ボーカルだが、他のイギリスのロックバンドのように、一人のフロントパーソンだけが大活躍するという感じではない。それぞれが個性を持ち寄り、どんなサウンドができるかの試作、あるいは実験である。

 

彼等は、マスロックやポストロックのような変拍子のサウンドを織り交ぜたり、曲の展開がいきなりジャンプしたりと、予想出来ない独創的な音楽性をはらんでいる。現時点では、メインボーカルのペーソス溢れる切ないメロディーセンスがカルト的なロックサウンドの支柱となっている。ボーカリストはアイルランド民謡のような地域性のある古典的な音楽を、ロックオペラのようにドラマティックに歌い上げ、それらが現代的なロックサウンドの基底に組み込まれる。


まだ、全体的には、完成されたサウンドとは言い難いが、その荒削りな魅力はインディーズロックのファンの心に響く何かがあるに違いない。そして、The Who、Led Zeppelinのような70年代のロックバンドの影響を感じさせるとはいえ、その中には、80年代後半のブリットポップへの親しみもある。


例えば、後半の収録曲「What I Really Want To Know」は、ザ・スミスのサウンドに近い。一般論として、The Smithsの追走者になることを、多くのバンドは避けてきた印象もあるのだが、ここでは、マーやモリッシー的なセンスを受け継いでいる。

 

今作もまた、ポストロックのセンスが健在であるが、実際の音楽性については深度を増したように感じる。「Porcelain Plugs」では、複数のギターのアルペジオの重なり、そしてゆったりとしていて安定感のあるドラム、そして悲しみと癒しに満ちたヴォーカルが混在し、その中で、アイルランド民謡に根ざしたメロディーが独創的な音楽世界を作り上げる。短調を中心とした曲展開の中で、その中で雲間から一筋の光が差し込むように曲調が明るくなることもある。

 

さらに、2分後半以降は、変拍子が随所に散りばめられ、プログレッシヴロック寄りの展開を見せることも。やがて、ロック的な曲展開から、オペラやバラードのような別の音楽性へと繋がっていく。これらの予測出来ない音楽性へと繋がる瞬間は、やはりコレクティヴならではのものだろう。特に、彼らはリズムの側面で独創的な才覚があり、曲の後半では、6/8の性急な拍子へと構成を様変わりさせる。イントロは、基本的な四拍子であるが、後半では三拍子中心の拍動へとドラスティックな転換を遂げる。すると、同じような歌の旋律でも、まったく異なる音楽であるように聞こえるのだ。

 

2曲目に収録されているタイトル曲などは、彼らのマスロックの嗜好が滲み出た一曲である。80年代後半から90年代は、アメリカのインディーズに限られていたこの音楽が、最近ではイギリスのバンドを中心に再興しつつある。これらはエモやパンクを経た後の実験的なロックサウンドとして注目を浴びつつある。「Trilateral Machine 」では、それらのマスロック/ポストロックの文脈を強かに踏襲し、フォークサウンドと結びつけ、新鮮味溢れる音楽性を築き上げている。この曲は、ロンドンのバンド、Honeyglazeのサウンドにも近い風味が感じられるかもしれない。曲のリズムやアンサンブルはかなり複雑なのだが、ボーカルはシンプルで聞きやすさがある。例えば、この曲の後半を聴くと、英国のロックは新しいステップにさしかかっていることを実感する。

 

「My Greatest Hits」は、Carolineのアートロックのサウンドをスポークワードなどを散りばめて、再構築しようとしている。イギリスのニューウェイヴを近年のポストパンクという視点を通して、どう組み替えられるかの試みだ。 また、ボーカリストのスポークンワードの語りの中には、The Last Dinner Partyのようにロックオペラからの参照もあり、また、舞台芸術の音楽性を感じさせることもある。楽曲そのものに、舞台芸術や演劇が付随するような音楽だ。

 

おのずと楽曲の中には、視覚的な効果が組み込まれていることは明らかだろう。それらが、このグループらしい独創的な音楽性で組み上げられ、ドラマティックな瞬間を呼び起こす。それは、六人組としての個性の化学反応ーースパークーーが生じた貴重なモーメントでもある。また、Flip Top Headのサウンドは、必ずしも轟音やノイズの側面だけが特徴ではない。特に、静けさや沈黙にフォーカスが絞られるときもある。それは、この曲の四分半以降のクワイアの合唱に宿る。こうした多角的なサウンド構成を織り交ぜながら、最終的には、一体感のあるアルトフォークに行き着く。言ってみれば、一曲の中に、ミルフィーユのように様々な構造が混在していておもしろい。

  

 「What I Really Want To Know」もまた興味をそそられる一曲である。先にも述べたように、マー、モリッシーの系譜にあるThe Smithsのようなペーソスに満ちたサウンドがベースになっている。しかし、カクカクとしたマスロックのリズムがそれに加わると、やはり独創的なサウンドが生み出される。決してポピュラーな音楽とは言えないが、全体的なメインボーカルには、何らかの親しみを感じさせ、ついつい聴き込んでしまうのが不思議だ。この曲の中には、おそらく、ブライトンの寛容的な多彩な文化観が盛り込まれているという気がする。また、彼らの音楽的なアイディアは瞬発的に終わることはない。彼らはじっくりと曲の次のセクションへ繋げて、スムーズに展開させる術を知っている。これもまた演奏力の高さや音楽の理解力の賜物であろう。そういった中で、この曲は、アンセミックなフレーズを呼び起こすことに成功している。サビ(コーラス)で聞かれるような癖になるボーカルのフレーズが魅力だ。

 

メインボーカルの節回しは、オペラ風になったり、民謡風になったりと、変幻自在なキャラクターが沢山盛り込まれている。本作のクローズ曲「The Ladder」は、レトロなシンセを活かしたプログレッシヴロックソングで、フロントパーソンやボーカリストとしての存在感が際立った一曲だ。独特なボーカルの節回し、ドラムのパーカッシヴな迫力も然ることながら、この曲には得難い魅力が滲んでいる。


めくるめくようなアンサンブルや全般的な楽曲の展開は、UKプログレッシヴロックの系譜に属しているが、その中でじっと耳を澄ましていると、メインボーカルの音楽的な感性が明瞭に浮かび上がる。そこには、なにか大きく期待すべき音楽性が偏在していることに気がつく。曲のクライマックスでは、EPに似つかわしくない、壮大な音楽的な感性を捉えることができる。まだまだアイディアが沢山あるという感じで、これからの活躍がとても楽しみな存在だ。

 

 

 

80/100 

 

 

 


以前、ニール・ヤングはローカルな地元のレコードショップで音楽作品を購入するように呼びかけたことがあった。2025年のグラストンベリーでトリを飾った米国の伝説的なシンガーソングライターの言わんとすることは何か。それは世界的な企業が地域企業を飲み込み、土地の文化や良さを相殺してしまうことである。地元のレコードショップで音楽を買うこと、それは地元の小さな経済を支えているのであり、なおかつまた、地域の発展に貢献していることを意味する。


昨年10月、ニール・ヤングはAmazon Musicから自身のカタログを撤回し、ボイコットを呼びかけた。「直接購入してください。ベゾスはこの政府を支持しています。あなたや私を支援していません」と彼は記しました。現在、彼は自身のウェブサイトでその姿勢を再確認し、トランプが領土を奪取しようとする脅威の中で、グリーンランドに全カタログを贈呈すると発表しました。


「Amazonは社長の億万長者であるジェフ・ベゾスが所有している」金曜日(1月23日)の彼のブログ記事は始まる。


ーー大統領の国際政策とICEへの支援により、私が彼の行動を無視することは不可能です。もし私と同様に感じるのであれば、AMAZONの利用は控えることを強くお勧めいたします。AMAZONを回避し、同じ製品を供給する個々のアメリカ人や米国企業を支援する方法は多数あります。私は自分の音楽でそれを行い、探している人々は他の多くの場所でそれを見つけることができます。


レコード店では私の全レコードとCDを提供していますが、デジタルの世界では、もし気にならなければ私の音楽を購入できる多くの代替オプションがあります。私の音楽は、ベゾスが所有している限り、アマゾンでは決して入手することができません。私の立場は残念ながら短期的にはレコード会社にとって有害でしょうが、私が発信しているメッセージは重要で明確だと思いますーー


昨今、米国のグリーンランド買収計画は世界的なニュースとして報道されることしきりだ。これは米国とEU間の関税率にも反映されている。ニール・ヤングは逆にグリーンランドを支持することを表明している。そこにはヤング氏らしいウィットとユーモアを感じていただくことが出来るはずだ。グリーンランドに関して、彼は本日付けの別のブログ記事で次のように書いている。


ーーグリーンランドのすべての友人に、neilyoungarchives.comの無料1年間アクセスを提供できることを光栄に存じます。私の音楽と音楽映画が、私たちの不人気でできれば一時的な政府から、あなたが経験している不当なストレスや脅威を和らげてくれることを願っております。私のすべての音楽を、美しいグリーンランドのご自宅で、最高品質でお楽しみいただけることを心より願っております。これは平和と愛の申し出なのです。過去62年間に私が制作したすべての音楽は、皆様にお聴きいただけます。グリーンランドにお住まいの限り、無料で更新できます。私たちは、他の組織が私たちの模範となる精神に従ってくれることを期待しています。地球を愛していますーー


ニール・ヤング氏は自分の音楽がふさわしい場所や方法で聴かれることを望んできた。今回の動向もまたミュージシャンらしい意思表明と言えるでしょう。


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ニューヨークを拠点に活動するインディーフォークシンガー、Dash Hammerstein(ダッシュ・ハマーシュタイン)の新曲「Noise Machine」は心地よいリズムと渋いボーカルを兼ね備えた一曲となっている。ビートルズの『ホワイト・アルバム』や古典的なミュージカルに触発を受けたという。


ザラっとしたアコースティックギター、フォークの柔らかいドラム、そして優しく囁くようなハマーシュタインのボーカルをとりまくようにして、鍵盤楽器、弦楽器や管楽器がゆらめく。ワンコーラスを膨らませたような曲だが、そのシンプルさが耳に残る心地よい響きを生み出す。


ダッシュは、この曲について次のように語っている。「''ノイズ・マシン''は、ホワイトノイズアプリの『小屋の豪雨』設定への依存からインスピレーションを得たシンプルな曲です。  外で雨が降っている時、窓を閉めて人工の雨音を流しながら眠りにつくことがある。木管楽器(マイケル・サックスによる編曲・演奏)は、『ホワイト・アルバム』時代のマッカートニーや古いミュージカルホールのレコードからインスピレーションを得ており、この少々間抜けな心情にふさわしいユーモラスな雰囲気を添えています。『本物より人工的なものを選んだ』という選択です」


ダッシュはこれまでに、Netflix、Hulu、HBO、PBSをはじめ、多数のプロジェクトで音楽を手がけている。さらにキンクス風のフォークポップアルバムやネオクラシック音楽も発表しており、アディダスやトヨタなど国際的な商業キャンペーンでライセンス供与されている。 


ダッシュ・ハマースタインは、現代的な制作理念とムンドッグやブライアン・イーノのような個性派アーティストの荒削りなメロディックさを融合させた楽曲で知られるソングライター兼映画作曲家である。彼の作品はサンダンス映画祭、トライベッカ映画祭、DOC NYCで初公開され、Netflix、Hulu、HBO、PBSなど数多くのプロジェクトの音楽を手がけている。  


さらに、キンクス風のフォークポップと新古典主義音楽を融合させたスタジオアルバムを10枚リリースしており、彼の楽曲はアディダスやトヨタなど国際的な商業キャンペーンに使用されている。近年ではニューヨークの演劇シーンに深く関わり、開発中のミュージカル作品の数々で脚本執筆やコンサルティングを担当している。


「ノイズ・マシン」は、新たな創造的節制と実験の時期から生まれた、近々リリース予定のセルフタイトルアルバム『Dash Hammerstein』に収録されている。この楽曲群は彼のこれまでで最も正直な作品だ。ダッシュは語る。


「言葉のサラダのようなサイケデリックはもう終わりだ。各曲は死、不確実性、古い友人、新しいバイオテクノロジーなど、特定の意味のある出来事について歌っている」  


節制を心がける中で、作曲時間は夜から朝へと移り変わり、アルバム収録曲の多くはコーヒーを飲みながら瞬時に書き上げられた——まさに『最初の考えが最良の考え』という素材だ。 


素晴らしいゲスト参加も多数——マイケル・サックスが木管と金管を、ジョルディ・ヌスが弦楽器を、アルデン・ハリス=マッコイがゲストギターを担当している。全曲、ブルックリン周辺のスタジオ数ヶ所で私が録音・ミックスを手掛けた」 


ダッシュ・ハマーシュタインによるセルフタイトルアルバム 『Dash Hammerstein』は2月13日、全世界でリリース予定。 


「Noise Machine」

 

 

▪️EN

Dash Hammerstein is a songwriter and film composer known for crafting scores that blend a modern production ethos with the ramshackle melodicism of idiosyncratic artists like Moondog and Brian Eno.  His work has premiered at Sundance, Tribeca Film Festival and DOC NYC, and he has scored projects for Netflix, Hulu, HBO, PBS and many more.  In addition, he has released ten studio albums of Kinks-inflected folk pop and neo-classical music, which has been licensed for international commercial campaigns by brands including Adidas and Toyota.  In recent years, he's gotten more involved in NYC's theatre scene, writing and consulting on a number of musicals in development.


His latest single is entitled "Noise Machine"  "is a simple song inspired by my reliance on the 'cabin downpour' setting on my white noise app.  Sometimes when it is raining outside, I will close the window and play the fake rain sound to fall asleep.  The woodwinds (arranged and performed by Michael Sachs) are inspired by White Album-era McCartney and old musical hall records, lending a goofy air to what is a pretty goofy sentiment.  Opting for the artificial over the real," shares Dash. 


"Noise Machine" is off of his forthcoming self titled album Dash Hammerstein which came out of a period of newfound creative sobriety and experimentation. The collection of songs is his most honest to date. Dash shares, "No more word salad psychedelia - each song is about something specific and meaningful, be it death, uncertainty, old friends or new biotech.  With sobriety, my songwriting hours shifted from the night to the morning and much of what is on the album was written very quickly over coffee - a lot of first thought/best thought material.  There are some wonderful guest contributions on there as well - Michael Sachs plays woodwinds and brass, Jordi Nus plays strings and Alden Harris-McCoy plays some guest guitar.  Everything recorded and mixed by me in a few studios around Brooklyn." 


 ''Dash Hammerstein'' is set for release February 13th worldwide. 






 


STONEがニューシングル「STACK UP THE REASONS」をリリースした。この曲は新作アルバム『AUTONOMY』の先行シングル。ロックソングの熱狂を余すところなく凝縮した一曲である。


『STACK UP THE REASONS』と題されたこの曲は、熱狂的な歓喜に満ちたロックンロールの疾走感あふれる一曲で、まるでタールのように聴く者を引きずり込む。口ずさみたくなる輝かしいフック、足を踏み鳴らしたくなるビート、そして英国ギター音楽史における全ての輝きを凝縮したようなリフが溢れ、今やこのバンドの勢いはとどまるところを知らない。


ボーカルのフィン・パワーによれば、この曲はアルバム内での転換点であるだけでなく、彼らが歩む道そのものの分岐点でもあったという。「この曲を書くまで、長い間何も書けなかったんだ。ヨーロッパツアーは完売の大成功だったけど、積み重なったプレッシャーでバンドは解散寸前だった。一ヶ月間互いに距離を置き、俺は一人で自分を立て直す必要があった。 そこで、私は身を引き締め、アルコールをやめ、この曲を書いた。これは本質的に自分自身への侮辱だ。この曲はアルバム内における大きな転換点であり、バンドから叱責されるような内容とも言える」


ストーンのニューアルバム『AUTONOMY』は2月20日、V2 Recordsよりリリースされる。


「STACK UP THE REASONS」

プラチナ・スーパースター、ドナ・ルイス(「I Love You Always Forever)とデイヴィッド・ロウ(BBCテーマ曲「Touch And Go」)がニューシングル「Meet Me」をリリースした。近日予定のアルバム『Wonderlust』の先行曲。


ドナ・ルイスの最新シングル「Meet Me」は1990年代末~2000年代初頭のエレクトロポップを思わせる甘く切ない輝きを放つナンバーである。打楽器的なシンセのパルス、繊細なギターのストローク、幽玄なボーカルレイヤー、スタッカート調のストリングスモチーフを基盤にして構築された「Meet Me」は、エレクトロニッククラシックのエモーショナルなDNAを継承している。 

 

ATBの「9 PM」、Alice Deejay(アリス・ディージェイ)の「Better Off Alone」、Robert Miles(ロバート・マイルズ)の「Children」が持つ希望に満ちた哀愁を想起させる。ノスタルジアに根ざしながらも驚くほど新鮮なサウンド。


また、歌詞は期待感に満ちた静けさを捉えている。確信と可能性の狭間という境界領域で「投光灯の下」に佇む二人の瞬間......。 この曲のイメージ、沈黙、光、催眠的な反復は、時間が止まり、他の全てが消え去るように感じられる、初めての出会いの感情的な強さを映し出している。


探求的な炎を放つ最新シングル「Burning Man」、社会的な考察を込めた「Where Is The Love」、温もりを感じさせる「Coming Home」に続き、「Meet Me」は『Wonderlust』の物語の新章を刻む。繋がりへの渇望、傷つきを恐れず踏み出す勇気、そして魔法が訪れるのを待つ美しさ。


『Woderlust』の4作目のプレビューとなる同楽曲は、電子音楽が長年取り入れなかった希望に満ちた憧憬の形を取り戻す。電子音楽が公然とロマンチックであることを敢えて選んだ時代を思い出させる。


ドナ・ルイスは”個性という名の灯台”であり、25年以上にわたり、優雅さと確信をもって自らの道を開拓してきた。


彼女の象徴的なラヴバラード「I Love You, Always Forever(アイ・ラブ・ユー、オールウェイズ・フォーエバー)」は全世代に共鳴し続けている——米国及び英国の両チャートで首位を獲得した不朽のアンセムであり、現在もなお最も愛されるトラックの一つとしての地位を維持している。


直近では、英国のEDMシーンの新星、ROMY(The xx)がFred Again..(フレッド・アゲイン)と共に、ドナ・ルイスのヒットソングをサンプリングし、その魅力を再発掘したことでよく知られている。『アイ・ラブ・ユー、オールウェイズ・フォーエバー』は再び世界的な注目を受けている。


今日のドナの物語は、かつてないほど力強い。乳がんとの闘病を乗り越えたばかりの彼女の強さと回復力は、一音一音に滲んでいる。

 

英国の日刊紙、”The Sun”が「年齢を超越した美しさ」と手放しに称賛したルイスの音楽は、揺るぎない精神で人々を鼓舞し続ける。最新作『Rooms With a View』(ホームズ・アイヴスとの共同プロデュース)は、人生最大の試練を乗り越える勇気を親密で生々しい描写で聴き手に届ける。


同じ健康問題と格闘してきた数多の人々にとって、ドナの物語はフィクションではない——それは希望の灯台であり、脆弱な瞬間にも強さを見出せるという気づきでもある。世界がこれまで以上に回復力と美しさの物語を必要とする今、ドナ・ルイスはかつてない輝きを放ちつづける。


「Meet Me」

 

 

 

▪️EN

Donna Lewis has always been a beacon of individuality, crafting her own path with grace and conviction for over 25 years. Her iconic love ballad I Love You, Always Forever continues to resonate across generations—an enduring anthem that topped both US and UK charts and still holds its place as one of the most beloved songs in history. Recently, UK sensation ROMY of The xx reignited that magic by sampling Donna’s classic hit, alongside Fred Again, bringing I Love You, Always Forever back into the global spotlight.

 

But Donna’s story today is more powerful than ever. Having recently emerged from a battle with breast cancer, her strength and resilience radiate through every note. Just named an “Ageless Beauty” by The Sun, she continues to inspire with her unwavering spirit. Her most recent album Rooms With a View, produced in collaboration with Holmes Ives, offers listeners an intimate and raw portrayal of the courage it takes to overcome life’s greatest challenges.


For millions who have faced similar health battles, Donna’s story isn’t just a narrative—it’s a beacon of hope, a reminder that strength can be found even in our most vulnerable moments. At a time when the world needs stories of resilience and beauty more than ever, Donna Lewis shines brighter than ever before. 

 

 

Inteview:  Chalk Hands   ブライトンのポストハードコアバンドによるセカンドアルバムへの展望

Chalk Hands: Ben Moore (bass), Tom Lester (guitar/vocals), Gary Marsden (drums) and Antoine Mansion (guitar/vocals) 


英国/ブライトンのポストハードコアバンド、Chalk Handsが2026年3月27日、新作アルバム『The Line That Shapes the Coast of Us』をドッグ・ナイツ・プロダクションズより発売する。既にアルバムから先行シングルとミュージックビデオが公開されており、大きな期待値を感じさせる。


チョーク・ハンズは、イギリスのライブステージにおいて、日本のポストハードコアの重鎮で、フランスのHellfestにも出演経験があるEnvyと共演した際、深く感銘を受けたという。他にも、米国西海岸のポストハードコアの至宝、Touch Amoreと共演経験がある。彼らは叩き上げの実力派バンドだ。


四人組バンドは、エモ、ポストロックなど多角的なサウンドを織り交ぜながら、現代的なポストハードコアソングを作り上げる。Envyと同様に、アンサンブルとしての重厚さを誇り、硬派な激情的なサウンドを身につけている。しかし、それだけではない。Explosions In The Skyのごとき抒情的な音響系のギターワーク、そして泣きのエモのサウンドが縦横無尽に駆け巡る。Chalk Handsの曲の展開は怒涛のようで、激しい嵐が目の前を通り過ぎていくかのような感覚がある。


その後、バンドメンバーとは、Envyの伝説的なアルバム『Dead Sinking Story』で意気投合し、チョーク・ハンズのファンになってしまった次第です。彼らのサウンドは、イギリスの現代的なスポークンワードを用いたポストパンクバンドとは明らかに一線を画している。彼らは赤裸々に歌い叫ぶ。また、英国の伝統的なギターヒーローの佇まいもある。その時流に全く左右されない独創性がゆえ、今後、イギリス/ブライトンの名物的なバンドになることが予測される。


長らく、MUSIC TRIBUNEはヘヴィーロックやパンクロックの支援者であり続けてきたが、実際的な制作者のコメントがなかなか紹介出来ずもどかしさを感じていた。良いチャンスが到来したとばかりに、今回、イギリスのポストハードコアの有望株を皆さまにご紹介します。バンドメンバーのアントワーヌさんには、日程が忙しい中、回答する時間を割いてくれたことに心から感謝をしたい。アルバムの詳細な紹介と先行シングルは特集記事の下部にて確認することが出来る。



ーー先ずはチョーク・ハンズの経歴を簡単に紹介していただけますか。


Chalk Hands (Antoine):   Chalk Handsは2016年にベッドルームプロジェクトとして始まりました。当初はインストゥルメンタルのポストロックバンドを想定していましたが、楽曲制作を進めるうちに次第に生々しく激しい方向へ変化していきました。 


 2017年に初のEP『Burrows & Other Hideouts』をリリースした頃には、自分たちの進む方向性が見え始めたと感じていました(ただし当時のボーカルは依然としてかなり控えめだったことが音から伝わるでしょう)。それ以来、スクリーモ、ポストハードコア、マスロック、ポストロックの境界を跨ぐサウンド、あるいは私たちが呼ぶところの「ラウドで悲しい歌」を形作ってきたのです。


 この旅は予想をはるかに超える場所へと私たちを導いた。ヨーロッパツアーを実現し、トルコ(バンドとして最も愛おしい思い出の一つ)で演奏し、心から愛するArcTanGent Festivalなどのフェスに出演し、Touché AmoréやFrail Bodyといった憧れのバンドとステージを共有できた。プロジェクトがどれほどささやかな始まりだったかを思うと、全てが信じられないほど謙虚な気持ちにさせる。


 2022年にはDog Knights Productionsよりファーストアルバム『Don’t Think About Death』をリリースし、今からわずか数ヶ月後にはセカンドアルバムのリリースを控えています。



ーー新作アルバム『The Line That Shapes the Coast of Us』は3月下旬にリリースされます。レコーディング過程とコンセプトについて詳しく教えてください。


 2025年5月、ロンドンにあるThe Bookhouse Studioで、プロデューサーであり友人でもあるトム・ヒル(彼の貢献は本当に素晴らしかった)と共にレコーディングを行いました。アルバム制作に期待していた通りの経験でした——素晴らしく、挑戦的で、最終的には非常にやりがいのあるものでした。リリースが待ちきれません。


 『The Line That Shapes the Coast of Us』は内省と対比を根底に据えています。歌詞的には光と影の境界線上に位置し、繋がりと断絶の必要性、他者との親密さと自己のための空間確保という絶え間ない緊張関係を描いています。本作の大半は、そのバランスを見出すことの困難さと、それが自己認識や周囲の人々への見方をどう形作るかを探求しています。私たちが人生に引く線、そして結局は私たち自身を定義づけることになる線についてです。 


ーーニューアルバムのリードシングル「Pauvre De Moi」は、激しさと悲しみが衝突する壮大な楽曲です。この曲にはどのような想いが込められているのでしょう? 


 「Pauvre De Moi」は、フランス語で書かれた数少ない楽曲の一つです(私はベルギーのフランス語圏出身です)。この曲は自己憐憫について考察しています。年を重ねることで自分自身をより深く理解できるようになり、過去に訪れた心の場所や陥りがちなパターンを認識し、そこから抜け出そうと努力するようになるのです。


 近年、私は内向きの自己憐憫に陥らず、積極的に行動するよう努めています。「Pauvre de moi」はフランス語で文字通り「哀れな私」を意味し、大げさで自己陶酔的、時に滑稽なニュアンスで用いられます。これは私が積極的に克服しようとしている習慣にぴったりのタイトルだと感じました。 自分の悲しみをそう表現することは、他者(そして自分自身)に「私はこんなに落ち込んでいる」と示す手段だと気づいた。奇妙な回りくどい方法で、それは生産的な行為というより、見られたい/気にかけてほしいという欲求、自分の感情を正当化しようとする試みだったんだ。


ーー新作アルバムでリスナーに楽しんでほしい点はありますか?


 音のコントラストは常に私たちの活動の核心であり、この作品でもそれは変わりません。ただし今回はこれまで以上にその表現を極限まで追求した。新たな領域を探求し、楽曲を過去に踏み込んだことのない場所へ導きつつ、全体の一貫性と感情的な繋がりを保つよう努めた。リスナーにはそうした変化を発見し、作品全体が展開していく過程を楽しんでほしい。


ーーChalk HandsはTouche Amoreのような著名なハードコアバンドと共演してきました。あなたのバンドのライブの魅力は何だと思いますか。


 自分たちのライブの魅力を説明するのは、魅力的に聞こえずに少し気まずいものですが、私達は楽曲制作では細部にまでこだわり、いつも観客を引き込むことを心がけています。 生々しい感情を基盤としながらも、音楽に予期せぬ展開を持たせることを好んでいます。光と闇、美と混沌、技術性と音楽性のバランスを模索しており、ライブに来てくれる人々が共感してくれるのは、おそらくその対比の感覚だと思います。どの曲も旅のような感覚を味わってもらいたいのです。


 それに、ステージ上で本当に楽しく演奏しているのも事実で、それが伝わっていると思う。観客から「楽しんでいる様子がよく伝わってくる」と言われるし、その共有されたエネルギーが観客の体験にも影響を与えているようだ。僕にとってこの音楽とバンドは、ネガティブな感情をポジティブな体験に変える手段だと言ってきて、みんなが最高に楽しんでいる時こそ、それが達成されたと感じるんだ。


ーーブライトンはあらゆるジャンルのバンドが集う活気ある音楽シーンを有しています。この街の音楽シーンの魅力を挙げるとするなら?


 この規模の都市にしては、ブライトンは驚くほど多くのものを提供している。その魅力は複数の要素が混ざり合った結果だと感じている。常に新しい創造的な人材を街に送り込む有名な音楽大学や大学の存在、ロンドンに近いながらもより身近に感じられる立地、そして、非常に強力な草の根ライブハウスネットワークがある。

 

 ブライトンは住むには最高の場所で、本当に週のどの夜でもライブに出かけられる。 さらに現在、ハードコア・リバイバルがかなり活発化しており、多くの若手バンドがシーンに新鮮なエネルギーを及ぼしています。これがブライトンという街に活気と躍動感をもたらしている理由なんです。




▪️EN


--Could you briefly introduce Chalk Hands' biography?


Chalk Hands(Antoine):Chalk Hands started in 2016 as a bedroom project. In my head, it was originally meant to be an instrumental post rock band, but as we started writing songs it slowly turned into something more raw and intense. 


 By the time we released our first EP, Burrows & Other Hideouts, in 2017, it felt like we were beginning to understand where we were going (but you can hear the vocals were still pretty sparse back then). Since then, we’ve been shaping a sound that sits somewhere between screamo, post hardcore, math rock and post rock, or as we like to call it, loud sad songs.


 Over the years, that journey has taken us much further than we ever expected. We’ve been able to tour across Europe, play shows in places like Turkey (one of our favourite memories as a band), appear at festivals we genuinely love such as ArcTanGent Festival, and share stages with bands we’re huge fans of like Touché Amoré and Frail Body. It’s all been incredibly humbling, especially when we think about how modestly the project began.


 We released our first album, Don’t Think About Death, in 2022 on Dog Knights Productions, and we’re now getting ready to release our second one in just a few months.


--Your new album "The Line That Shapes the Coast of Us" will be released in late March. Could you tell us more about the recording process and concept behind this new work?


 We recorded the album in May 2025 with our producer and friend Tom Hill (who’s been absolutely brilliant) at The Bookhouse Studio in London. And it was everything we expected from recording an album: amazing, challenging and in the end, incredibly rewarding, we can’t wait to release it.


' 'The Line That Shapes the Coast of Us'' is rooted in reflection and contrast. Lyrically, the album sits at the edge between light and shadow, and the constant tension between connection and the need to disconnect, between closeness to others and making space for ourselves. Much of the record explores how hard it is to find that balance, and how it shapes the way we see ourselves and the people around us. The lines we draw in our lives and the ones that end up defining us.


--The lead single "Pauvre De Moi" is a magnificent track where intensity and sorrow clash. What kind of thoughts are expressed in this song? 


 “Pauvre De Moi” is one of our rare songs in French (I’m from the French speaking part of Belgium) and the song reflects on self pity. Growing older gives you a better understanding of yourself, you start to recognise the places in your mind you’ve visited before, the patterns you fall into and hopefully try to break out of them.


 In recent years, I’ve been working on not turning inward so much and feeling sorry for myself and trying instead to be proactive about it. “Pauvre de moi” literally means “poor me” in French, and it’s often used in a dramatic, self indulgent, almost comical way. It felt like the perfect title for a habit I’m actively trying to unlearn. I realised that framing my own sadness like that was a way of signalling to others (and  myself), how low I felt. In a weird roundabout way, it was an attempt to be seen or cared for, to validate my own feelings, rather than something productive.


--What aspects of the new album would you like listeners to enjoy?


 Sonic contrast has always been at the heart of what we do, and that’s still very much true on this record, except we’ve pushed it way further than before. We explore new ground and allow the songs to go places we haven’t been to in the past, while trying to keep everything coherent and emotionally connected. We hope people enjoy discovering those shifts and letting the record unfold as a whole.


--Chalk Hands has shared the stage with renowned hardcore bands like Touche Amore. What would you say is the appeal of your live shows?


 It’s always a bit awkward trying to describe the appeal of your own live shows without sounding uncharismatic, but when we write our songs we really pay attention to detail and to keeping things always engaging. We like letting the music take unexpected turns while still staying grounded in raw emotion. We try to strike a balance between light and dark, beauty and chaos, technicality and musicality, and hopefully it’s that sense of contrast that people connect with when they come to see us live. We like every song to feel like a journey.


 We also just genuinely have a lot of fun on stage together, and I think that comes across. People have told us they can see how much we seem to be enjoying ourselves, and that shared energy seems like it feeds into the experience for the crowd too. I’ve always said that for me this music and this band are a way to turn negative emotions into a positive experience, and when everyone is having a great time, it feels like it’s mission accomplished.


--Brighton has a vibrant music scene with bands across all genres. What do you think makes this city's music scene so appealing?


 For a city of its size, Brighton has an incredible amount to offer. Our feeling is that it comes from a mix of things: the presence of well-known music colleges and universities that constantly bring new creative people into the city, its proximity to London while still feeling more accessible, and a really strong network of grassroots venues. 


 It’s a great place to live, you could genuinely go to a show any night of the week. There’s also a strong hardcore revival happening right now, with a lot of young bands bringing fresh energy into the scene, which makes it feel exciting and alive.



▪️Chalk Hands(UK)

ArcTanGent Festival 2025


『Don’t Think About Death』のリリース以来、Chalk Handsはイギリスとヨーロッパで精力的にツアーを続けてきた。Touché AmoréやFrail Bodyとの共演ツアーを含め、ArcTanGent(イギリス)やSonic Rites(フィンランド)といったフェスにも出演。ツアーはトルコにまで及び、新たな地を開拓し続けるバンドにとって静かな節目となった。この新作がさらなる飛躍をもたらすことを願っている。


自らのサウンドを新たな極限へと押し進めようとするバンドは、今やかつてないほど確固たる自信と広がりを見せている。前作と比較すると、『The Line That Shapes the Coast of Us』はより明るく希望に満ちていると同時に、より暗く重厚でもある。対比を最大の強みとして受け入れるアルバムだ。


On Tour with Frail Body


プロデューサーのトム・ヒルと共にザ・ブックハウス・レコーディング・スタジオで録音された本作で、チョーク・ハンズは驚くべき精度でその技を磨き上げた。デビュー作が死生観と内面の葛藤を扱ったのに対し、本作は視線を外へと向け、人と場所の絆を形成し、侵食し、再構築する境界線を辿る。その結果生まれたのは、内臓的なカタルシスと静かな内省のバランスを保つ、壮大で没入感のある作品群——潮の満ち引きと時間のせめぎ合いを映し出す音楽である。


44分間にわたる『The Line That Shapes the Coast of Us』は、英国で最も刺激的で感情表現に優れたヘヴィバンドとしてのチョーク・ハンズの地位を確固たるものにした。 彼らのサウンドは、スクリーモ、ポストロック、ポストハードコア、シューゲイザー、アンビエント、ポストメタルといったジャンルを橋渡しし続けており、その表現は常に何らかの形でシームレスに感じられる一方で、その感情をさらに強調する、明らかな進化も感じさせる。 


歌詞的には、これらの楽曲は総じて境界線上の存在についての瞑想を形作っている——光と影、記憶と忘却、繋がりと孤独の狭間で。地面が崩れ続ける中でも、常に意味へと掘り進み続ける。


この新たな章で、Chalk Handsは彼らの音楽が常に約束してきたことを再確認する:荒廃の中に見いだされる希望——私たちが引く線、そして私たちを再形成する線。 


絶賛されたデビュー作『Don’t Think About Death』で築いた情感と音響の基盤をさらに拡げつつ、このブライトン(英国)出身のスクリーモ/ポストロック・カルテットは混沌と静寂、激怒と脆さという広大な交差点を探求し続ける。その核心には常に揺るぎない誠実さが宿っている。 


『The Line That Shapes the Coast of Us』は2026年3月27日、Dog Knights Productionsよりデジタル、デラックス・ヴァイナル、CD、カセットでリリース。なお日本盤も発売予定ということです。


Electric Ballroom (London) with Touché Amoré


▪️EN


Chalk Hands return on March 27th 2026 with their new album The Line That Shapes the Coast of Us, released through Dog Knights Productions. Following the release of Breaking Waves, the first single from the record, the Brighton (UK) screamo/post-rock quartet are now preparing to unveil its follow-up, Pauvre de Moi. Expanding on the emotional and sonic groundwork laid by their acclaimed debut Don’t Think About Death, the Brighton (UK) screamo/post-rock quartet continue to explore the vast intersections between chaos and calm, fury and fragility - always with unflinching honesty at their core. 


Since the release of Don’t Think About Death, Chalk Hands have toured extensively across the UK and Europe - including runs with Touché Amoré and Frail Body - and have performed at festivals such as ArcTanGent (UK) and Sonic Rites (Finland). Their touring has also taken them as far as Turkey, a quiet milestone for a band still finding new corners of the world to reach, and hoping this new record will carry them even further.


Willing to push their sound to new extremes, the band now stands more assured and expansive than ever. Compared to previous material, The Line That Shapes the Coast of Us is equally lighter and more hopeful as it is darker and heavier - an album that embraces contrast as its defining strength.


Recorded with producer Tom Hill at The Bookhouse Recording Studio, Chalk Hands have refined their craft with striking precision. Where their debut grappled with mortality and internal struggle, this record also turns its gaze outward, tracing the boundaries that form, erode, and reshape the ties between people and places.  The result is a sweeping, immersive collection that balances visceral catharsis with quiet introspection - music that mirrors the push and pull of tides and time.


Across its 44-minute runtime, The Line That Shapes the Coast of Us reinforces Chalk Hands’ standing as one of the UK’s most exciting and  emotionally articulate heavy bands. Their sound continues to bridge genres - screamo, post-rock, post-hardcore, shoegaze, ambient, and post-metal – and whilst always executed in a way that feels somehow seamless, there’s also a palpable sense of evolution here to further underline that sentiment. 


Lyrically, the songs collectively form a meditation on existence at the edge - between light and shadow, memory and oblivion, connection and solitude. Always digging toward meaning, even when the ground keeps collapsing.


With this new chapter, Chalk Hands reaffirm what their music has always promised: hope found through devastation  - the lines we draw, and the ones that reshape us. 


Expanding on the emotional and sonic groundwork laid by their acclaimed debut Don’t Think About Death, the Brighton (UK) screamo/post-rock quartet continue to explore the vast intersections between chaos and calm, fury and fragility - always with unflinching honesty at their core. 


『The Line That Shapes the Coast of Us』 will be released on March 27, 2026, by Dog Knights Productions on digital, deluxe vinyl, CD, and cassette.

Weekly Music Feature: F/LOR & EMMANUELLE PARRENIN


フランスのアヴァンフォークの巨人、エマニュエル・パレナンはどのような時代であれ音の収集家でありつづけてきた。家族の家のあちこちで音楽が響き渡る環境で育った彼女は、密かに、そして本能的に音楽を学んだ。家族の家の様々なリハーサル室から漏れてくるメロディーをピアノで再現することで。父親はパレナン弦楽四重奏団の指揮者、母親はハープの教授であった。


70年代、彼女は音楽と音へのこの自由奔放な関係を続け、フランスとカナダを旅して、ナグラを肩に担ぎ、伝統的な曲や歌を集めた。 彼女は忘れ去られた楽器——スピネット、ヴィエル、そして後に独学で習得したハープ——を再発見し、過去の音色を探求し続けた。こうしてフランスにおけるフォーク運動の勃興に貢献した。


1978年、初のソロアルバム『メゾン・ローズ』を発表。あらゆる境界と様式をクロスオーバーするこの作品は、彼女の音楽的・芸術的軌跡における転換点となった。10年にわたるフォークの歩みと伝統的音色の探求を統合すると同時に、正反対の新境地——実験音楽と現代的な響きの世界——を切り開いたのである。 古楽器において、彼女はもはや過去の響きの閉ざされた記憶を求めるのではなく、現代に提供しうる無限の可能性の響きを追求するようになる。この頃、バスケ兄弟、ジャック・レミュ、そしてクセナキスの弟子であるブルーノ・メニーらと協働した。


2000年代は実験音楽と歌謡へ回帰した。レコードレーベル「レ・ディスク・ビアン」の集団を中心に多くの音楽家と出会い、2011年には『メゾン・ローズ』から30年を経て『メゾン・キューブ』を録音。このとき電子音楽と出会い、エティエンヌ・ジョメ、ヴァンサン・セガル、ピエール・バスティアン、トモコ・ソヴァージュ、ディディエ・プティ、ゾンビ・ゾンビらと共演。ヴィレット・ソニーク、ソニック・プロテスト、モフォなど様々なフェスティバルに招待された。


今回、伝説的なフランスのアヴァンフォーク界の伝説的なミュージシャンと共同制作を行ったのは、F/LORの名義で活動するフランスのエレクトロニックプロデューサー、ファブリス・ロローだ。若い時代、彼は瞑想者や旅行者としての人生を送った後、驚くべき知的好奇心を発揮している。フランスのポストパンクバンド、Prohibitionの活動を終え、録音やミキシングを学び、ソロレコーディングを行うようになった。それ以降、Prohibited Recordsの創設に携わっている。


今回、当該レーベルから発売されるアルバム『F/lor & Emmanuelle Parrenin at Instants』は2025年6月25日にフランス・モントルイユ「インスタント・シャヴィレ」にてライブ録音された作品である。F/LOR(別名ファブリス・ロロー/NLF3、Prohibition…)によるトリッピーなエレクトロニカとエマニュエル・パレナンによる魔法のようなアコースティック楽器の出会い。エレクトロニックとアコースティック楽器の融合は簡素な構成でありながら、驚くべき化学反応が起こった。



『F/lor & Emmanuelle Parrenin at Instants』- Prohibited/kOOL BIRDS RECORDINGS(France)

 

▪アルゴリズム/パターン化された前衛音楽

  

最近、ヨーロッパから優れた実験音楽や前衛音楽が出てくるケースが多い。よく考えてみれば、クラフトワークのような存在が出てきて、商業的な音楽が確立される以前から、フランスやイタリア、ドイツを始めとする国々では、こういった前衛主義の音楽を制作する作曲家が一定数存在した。それらがダンスミュージックやエレクトロニック、そしてフォークミュージックやポピュラーなど他の地域の音楽と連動するようにして、ヨーロッパの音楽は発展してきた経緯がある。

 

しかし、昨今、ヨーロッパでは、商業的な音楽とは一線を画す、独自の前衛主義の隆盛を発見することができる。今週、ご紹介するファブリス・ロロー(F/LOR)、そして、フランスのアヴァンフォークの伝説的なミュージシャン、エマニュエル・パレナンの共同制作は、時代が一巡りして、ヨーロッパの音楽藝術が一つの復刻運動の時期に差し掛かったことを痛感せざるを得ない。このアルバムは、古くは、NEU、Klaus Schulzeを始めとするジャーマンプログレッシヴやエレクトロニックの作風を彷彿とさせる。また、イタリアのルイジ・ノーノを挙げてもそれほど違和感がない。実験音楽として久しぶりの傑作の予感だ。

 

このアルバムの画期的な点は、従来は、レコードの録音として構築されてきた実験音楽の常識を覆し、 ライブレコーディングの妙味を活かした作品であるということである。例えば、カールハインツ・シュトックハウゼンやクセナキスといった電子音楽の先駆者たちは、セリエルの技法を通じて、音楽の革新性に挑戦し、旧来の常識を塗り替えてきた。彼らの音楽は、アンチミュージックとも呼ぶべきものかもしれないが、その飽くなき挑戦心や探究心が次世代に与えた影響は、およそ図りしれないものがある。これらのドイツやフランスの先鋭的な現代音楽家たちは、ニューヨークの前衛主義である偶然性を、ある程度計画された偶然性へと組み替え、「管理された偶然性」という形で体現してきた。それは音楽そのものが、図形譜や楽譜という明確な形で表される中で、「ある種の偶然性を発見する」という意図が込められていたのである。

 

この慣例に倣い、フランスの二人の年齢の離れたミュージシャンは、まったく奇想天外で予測不能なアヴァンギャルドミュージックの記念碑をこのアルバムにおいて打ち立てることに成功したのである。このレコードは、エレクトロニックとして画期的であるにとどまらず、ミニマル・ミュージックや現代音楽の常識を塗り替えるものになるかもしれない。しかし、そこには過去の音楽的な技法が使用されることもある。それは、シュトックハウゼンが考案した「群の音楽」や「モメント形式」、ないしはクセナキスのアルゴリズムの音楽を継承する内容である。

 

ライブでは、F/LORがエレクトロニクス(Rolandのサンプラー)とインディアンベルを担当し、そして、エマニュエル・パレナンがボーカルやダルシマー、その他、珍かな民族音楽の演奏を担当する。明確な設計図が用意されているのかは定かではない。しかし、サンプラーからはボウドギターをサンプリングした音や、インダストリアルノイズの一貫にある工業的で金属的なパーカッション、他にも、ベース的な意味合いを持つパルス状のビートなど、サンプリングを複数用意し、特異な音響効果を与えながら、点描画のように音を敷き詰め、それに呼応するような形で、フランスの伝説的なミュージシャン、パレナンの民族楽器の演奏やボーカルが入る。これは、音楽による対話のようでもあり、マイルス・デイヴィスのモード奏法のような感じで、曲の構成が続いていく。あらかじめ計画されているのは、大まかなリズムやそのパターンだけで、実際に鳴り響く音は、その都度変化していく。全般的には、ミニマルミュージックの構成を中心に六つの組曲が展開される。しかし、これをミニマル・ミュージックと呼ぶのはあまりにも早計かもしれない。 『F/lor & Emmanuelle Parrenin at Instants』は、従来の反復形式の音楽の意義を塗り替え、まったく違った見方を提示してくれる作品なのである。

 

しかし、前衛主義が敷き詰められた録音とはいえ、聞き苦しい作品ではない。むしろ群の音楽や空間音楽の範疇にある音楽は、心地よさや瞑想的な感覚を感じることもある。このアルバムの序章となる「Part Ⅰ」は、インディアンベルのような霊妙な鈴の音が象徴的に、あるいは儀式的に鳴り響き、シンキングボウルがそれに呼応するような形で始まる。そして同じく、エマニュエル・パレナンのボーカルが、メレディス・モンクのような霊妙なボーカライゼーションを発揮し、空間的な音楽の枠組みを作る。しかし、その後始まるのは、モード奏法のようなパターン化されたリズムの形式の中で、異なる旋法や音階が連鎖するという内容である。エレクトロニックのパルス状のリズムが規則的なビートを刻む中で、パーカッション、それからインダストリアルノイズのようなサンプラーの音がその合間に敷き詰められる。

 

一般的に見れば、これらの六つの組曲はエレクトロニックの範疇に属すると言えかもしれないが、そこにはジャズや現代音楽のようなイディオムを見出すことも不可能ではない。そして、サンプラーから放たれる音の連鎖は、必ずしも同じ音形や音価だとも限らない。UKのベースラインやダブステップ、フューチャーステップで使用されることがある現代的な電子音のサンプルをパターン化し組み合わせ、アルゴリズムによる独創的な空間音楽を構成していく。F/LORが織りなすモード奏法のような音の導きの合間には、パレナンの霊妙なボーカル、クラフトワーク、NEUのような断続的なパルスビート、ボウドギターのような音色がめくるめく様に展開される。聴いていてまったく先が読めない音楽の連鎖にあっけにとられるほど。この全般的な電子音楽の流れに、色彩的な効果やバリエーションを添えているのが、民族楽器の使用である。

 

実際的に、どの楽器が使用されているのは定かではない。しかし、ダルシマーの弦をひっかくようなドローンの特殊な演奏、モンゴルのような地域のヴォイスハープのような民族的な楽器の仕様は、この音楽に特異な音のイメージをもたらしている。むろん、音階だけではなくリズムも一定とは限らない。微細な音響効果を施し、巻き戻るディレイの音、連鎖するオスティナートの音、それぞれライブ演奏の中で、驚くほど多彩な音響効果を散りばめている。しかも、この「Ⅰ」は、エキゾチズムという点でも、群を抜いている。曲の後半では、ハーディ・ガーディという、バイオリンやバクパイプに似た楽器が使用され、アラビア風の音楽へと至る。その奇想天外さは一線級で、およそ他の作曲家と比べるのもおこがましいような気がする。

 

アルバム(ライブ)は、パターン化されたリズムやアルゴリズムによる音の組み合わせを中心に繰り広げられる。「Ⅱ」は「アルゴリズムの音楽」の真骨頂ともいえる。ゆったりとしたテンポで点描画のように打ち込まれるリズムを基幹として、音楽が横向きに流れていく。そしてその合間にインダストリアルノイズを踏襲した工業的なパーカッションが連動して続いている。その無機質とも言える音の連鎖の中で、徐々に音階が追加されていき、建築的な構成が組み上げられていく。最初の音から丹念に礎石を積み上げるような音の積み重ねかたは、DTM的とも言えるが、その中でリズムを組み換え、変拍子を織り交ぜ、プログレッシヴな展開を導き出す。パルス状のリズムの中で、鋭く減退するダルシマーの演奏が組み込まれる。これもまた、モード奏法のようなジャズの範疇にある音楽形式を、エレクトロニックや民族音楽から再解釈したような趣旨である。そしてライブ録音による”管理された偶然”の要素も見いだせる。音価の長さや微細な倍音の発生など、生でしか得られない空間的な音楽の性質を強調する。しかし、依然として、この音楽の中枢を担うのは反復的なリズムで、これらが独特なグルーヴを呼び起こす。その音の発生や作曲の全般的な解釈の中には、ディープ・ハウスやアシッド・ハウスのような、少しマニアックなダンスミュージックのサブジャンルの方式が潜んでいるらしい。

 

「Ⅱ」と連曲のような形で続く「Ⅲ」は二人のミュージシャンが意図したであろう内容が明確な形をとって現れた一曲である。ボウドギターのように鋭い減退を繰り返す反復音が、全体的な空間を縦横無尽に駆け巡り、その中でマウスハープのようなエキゾチックな笛の音を把捉できる。構成的にはミニマル音楽を急進的にした内容だが、パレナンの笛が依然としてエスニックのエキゾチズムと落ち着きをこの曲全体に及ぼしている。首座を取るかに思える、楽器やサンプラーの音が平行する音階やリズムとして連鎖していき、二つの境界線を曖昧にしていく。一つのリズムが優勢になったかと思えば、それとは異なるリズムが別の方向から生じ、立体的な音の構成を組み上げていく。ここには、フーガ(追走)の形式がエレクトロニックや民族音楽の楽器の使用を交えて、現代的に洗練された音楽の形式をとって表に現れた瞬間を捉えられる。この曲はライブセッションという面で白熱した瞬間が現れ、特にマウスハープと思われるパレナンの演奏は圧巻で、生でしか捉えられない精細感のあるリアルな音を記録している。曲の最後ではサンプルの音のBPMを変化させ、驚くべき音の化学反応をもたらすことに成功している。曲の最後に聞こえる観客の拍手や賛美の声は、それを明確に証明付ける瞬間と呼べるだろう。

 

「Ⅳ」はエレクトロニック的な性質が強く、長らくAphex Twinで止まりかけていた先鋭的な電子音楽の形式を次の段階へと進めるものである。フューチャーステップの音色を用い、それらをパターン化された音形として出力するという内容である。 そしてここには、クセナキスやシュトックハウゼン、ノーノなど現代音楽からの影響も感じられ、音形をアルゴリズムの観点から解釈し、カンディンスキーのようなパターン化された芸術として解釈し、それらを組み合わせて、音形(フレーズ)を作り上げる。そしてその一定の音形を続ける中で、時折、別の楽節をサンプラーを使用し、突如出現させる。従来は図形譜や楽譜の筆記などの形でしか実現しなかった音形の組み合わせや音の発生学としてのパターンが、新しい技術で組み替えられている。これは、音楽そのものが建築の設計図やデザインのようなものとなり、あらかじめ設計された音の組み合わせの中で予期せぬ音楽の要素が登場するのを試行錯誤しながら待つのである。また、チベットボウルやシードチャイム(ウィンドチャイムの一種)のような一般的にはあまり使用されない異教的な楽器が登場するのは他の曲と同様である。これらが、全般的にパターン化された音楽やアルゴリズムの音楽に明確な形で組み込まれている。そして、これほどドラスティックな形でこういった意図的にパターン化された音楽を作ろうと試みたのは、おそらくエイフェックス・ツイン(リチャード・ジェイムス)以来なのではないかと思う。 この曲はまた、BPMの変化などを通して意図的に変拍子を使用し、リズムの側面でも画期的な気風を呼び込むことに成功している。音楽の驚くべき変貌ぶりをぜひ実際の音源で確かめてもらいたい。

 

パターン化された音楽やアルゴリズムの音楽という側面では、その後の2曲も大きな変わりがない。また、そこには、モード奏法のような音による対話の形式も見いだせる。しかし、全般的な音楽的なアプローチに若干の変化があることは、見識のあるリスナーであればお気づきになられるはず。 依然として、休符を挟みながら不意に出現するサンプラーのパルス状のリズムは暗闇の中に光る明滅のように輝き、その闇を縫うようにし、バンブーフルートのようなマウスハープの特異な吹奏楽器の響きがスタッカートで跳ねながら呼応する。しかし、その演奏法は、やはり一般的な内容とは異なり、ロボットの声のようになったり、ボカロの機械音声のように鳴り響く。人工でアナログな手法を用いたかと思えば、機械的で先進的な音の気風を反映させたりと、全般的な音楽の解釈は驚くほど多彩である。そしてその中で、民族的な舞踊のリズムが登場し、音楽そのものがアグレッシヴになったり、あるいは雅楽のような倍音の性質やその音楽におけるアンビエントの性質を利用した抽象化の音楽が登場したりと、驚くほど広汎な音楽の魅力が散りばめられている。たぶん一度聴いただけでは、その全容を捉えることは困難である。曲の後半では、リズムが完全に停止し、笛のプレスがソロのように象徴的に鳴りわたる。

 

最近、私自身は、音楽全般を良い悪いという、2つの側面だけで考えることは妥当ではないと思うようになった。また、良いメロディーや悪いメロディーというのも、まだ音楽の内奥が把握しきれないとき感じる一つの障壁のようなものでもある。このアルバムは、一般的な二元論を超越し、現代の機械化された社会の中で生きる人間の生々しい息吹を捉えているのが素晴らしい。また、ライブレコーディングならではのスリリングな雰囲気もあり、偶然の要素も確かに内在している。管理された音楽の中で、意外な音の響きを見出す喜びは、他の何にも例えがたい。 「Ⅵ」はその象徴的な楽曲だ。ホワイトノイズを基調にし驚くべき多彩な音楽表現を探る。近年聴いた実験音楽の中では画期的で、最高の部類に入るといっても誇張ではないと思う。

 

 

 

 

95/100 

 

 

 

 

Credit: 


Performed by F/Lor & Emmanuelle Parrenin

On an invitation by Prohibited Records

Recorded live June, 25th, 2025 at Instants Chavirés, Montreuil, France.

Shot live by Benjamin Pagier on 4 tracks

Mixed and Mastered by F/Lor, October 2025. 


Music by F/Lor. Arranged by Emmanuelle Parrenin.

F/Lor : Indian bells & Roland Sp404 Sampler

Emmanuelle Parrenin : Vocals, Singing Bowls, Hurdy Gurdy, Dulcimer, Mouth Harp, Seed Chimes

Artwork : Nicolas Laureau


ロンドンのエレクトロニックプロデューサー、映像音楽なども手がけるkwes.がニューアルバム『Kinds』の制作を明らかにした。新しくワープレコードと契約したロンドン自治区のルイシャム育ちのアーティストは、このプロジェクトを燃え尽き症候群の時期への反応と説明している。

 

創作のきっかけは、長女との日常の一瞬にあった。「娘が夢中で絵を描いている最中、誤って飲み物のグラスを倒してしまい、作品にこぼしてしまったんです」とクウェス(本名クウェシ・セイ)は語る。 

 

「数秒間イライラしたけど、すぐに平気になってまた描き始めた…それがアルバム制作のきっかけになったんだ。ストレスを解消し、人生の経験——良いことも悪いことも、その間の全てを『解放』するためさ」


『Kinds』は色彩を冠した楽曲で構成されており、セイはこの手法に三つの意図があると語る。「第一に、制作時に感じた思考や感情の種類を示すため。個人的なリマインダー/色彩でコード化された記憶のようなもの。第二に、リスナーが物語性に縛られず自由に音楽を体験できるようにするため。第三に、単純に私が色彩を愛しているからなんだ」


本作はブライアン・イーノやジョン・ハッセルのアンビエント作品、ザ・ケアテイカーやティム・ヘッカーのテクスチャード・ドローンと比較され、内省的でミニマルな作風が特徴だ。2013年のデビュー作『Ilp』や2012年のEP『Meantime』に見られたポップ志向の構造からの脱却が特徴である。


近年、セイは映像音楽にも取り組んでおり、映画『ライ・レーン』や写真家・活動家クワメ・ブラスウェイトを題材にしたドキュメンタリー『ブラック・イズ・ビューティフル』の音楽を手掛けている。新作はワープレコード主催のバービカン・イベントで初披露され、アルバムはテート・モダンにてアーティストのライアン・ヴォティエとのコラボレーションによる多感覚プレミア上映と、クウェスとの対談を伴い初公開される。 

 

「Black(Grey)」 

 

 

kwes. 『Kinds』 


 

Label: Warp

Release: 2026年2月27日


Tracklist:

1 Blue White Violet 
2 Blue White Cyan 
3 Blue Violet
4 Brown Green Yellow
5 Violet 
6 Black (Grey) 
7 Yellow Green 
8 Green White 
9 Orange Blue

 

Pre-save: https://warp.net/kwes-kinds