渋谷スペイン坂に26年3月にオープンしたスペース。書店でもギャラリーでもなく、本・展示・イベントがゆるやかにつながる場所。訪れた人が本を手に取り、展示を眺め、時間を過ごすことができる。作家・読者・観客といった役割も固定せず、訪れるたびに少し違う関係や体験が生まれる。屋号の「NONLECTURE」は、詩人 E. E. カミングスの『i: six nonlectures』に由来し、何かを教える場というよりも、言葉や作品にふと出会い、それぞれの仕方で受け取れる空間という意味が込められている。形式に縛られず、本やアートをきっかけに人と表現が交差する。
中盤のハイライトとなる「Windows On The World」では、''テレビの画面に映されるアメリカンドリームの儚さ''が歌い込まれている。相変わらず、くつろいだ感じのカントリー/フォークに根ざしたロックソングを聴くことができるが、飄然とした軽やかなサウンドで癒やしに満ちた瞬間を作り出す。この曲では、Real Estate(リアル・エステイト)のようなサウンドを楽しむことができるはずだ。本作の序盤と同じように、リアリズムとは対極に位置する牧歌的で温かい雰囲気に満ちた音楽であり、時々、アメリカーナの演奏を込めながら、ゆったりとしたひろやかな音楽的な世界観を不動のものにする。そして日に日に変わりゆく景色の中で、不変なる概念を歌い上げようとする。こういった瞬間にフォークシンガーとしての温かい雰囲気が滲んでいる。
「Walk In The Absent Mind」では、心にぽっかり穴が空いたような空虚感が切ない雰囲気のフォークソングによって構築される。この曲では、ボブ・ディランやヤングのようなアルペジオを中心としたアコースティックギターサウンドに傾倒し、それらにピアノのアレンジが施される。他の曲よりも繊細に歌い上げるクラークのボーカルは、ギターの演奏と相まって、切ない雰囲気を帯びる。一分半以降のカントリー調のフレーズがきらめくような音楽性を作り出す。
最初の先行シングル「I Just Can't Get Over Losing You」には彼らの古典的なロックソングのスタイルと合わせて意外性が垣間見え、唐突なブリッジや曲構成の変化が散りばめられ、ツイッグスの曲構成に対する、一方ならぬこだわりが込められている。しかしながら、意外にもそれは自然に培われたようだ。「ストレートな曲を書こうとすると、いつも突拍子もない要素を加えてしまう。今まで聞いたことのない曲を書き続けたいんだよ」とブライアン・ダダリオは語る。
ルビノーズ、ラズベリーズといった60、70年代のパワーポップバンド、最初期のザ・フーのピート・タウンゼントのような英国のクラシックなモッズロックを彷彿とさせる効果的なギター、ビーチ・ボーイズさながらに高揚するアメリカらしい青春のハーモニー、そしてボーカルとしての音響効果を最大限に活用したメリスマ。全年代のロックの教科書を網羅的に必修した兄弟らしい美学の下に形成される『A Dream Is All We Know』の続編には、新たな仕掛け、疑念と偏執の背景がひそかに横たわる。彼らはけして現代の世界に目をそむけているわけではない。
また、楽曲単位では、共演者が演奏する場合もあったが、今回は明確にバンドスタイルでの制作が行われた。過去のアルバムでは、ブライアンとマイケルがスタジオ作業を全て自らこなしていた。最新作『Look For Your Mind!』では、ライブメンバーであるドラマーのレザ・マティンとベーシストのダニー・アヤラ、そしてチョッチケのエヴァ・チェンバースが初めてスタジオでのレコーディングに参加した。器楽的な編成に加えて、コーラスのハーモニーにも注目だ。
さらにブライアン・ダダリオは共演者の構成について以下のように述べている。「7曲はマイケルと僕だけの演奏なんだ。『Nothin’ But You』と『I Just Can’t Get Over Losing You』では、今年初めのシングルと同様、エヴァがベースとボーカルで参加した。残りのトラックではレザがドラムを担当、『Bring You Down』と『You’re Still My Girl』にはダニーもセッションに加わってくれた。彼らのおかげであの重要なライブサウンドをレコードに収めることができたんだ」
2021年初頭、ルノは自身の楽曲動画をSNSで共有し始めた。少人数ながら熱心な聴衆が集まり、ストリーミングプラットフォームでの音楽体験を待ち望んでいた。彼らの要望に応え、『yin to yang』がSpotifyでデビューを果たし、音楽の旅路が始まった。以来、彼女は自主制作で様々な楽曲やプロジェクトを発表しており、6曲入りEP『jupiter』やフィリップ・ブルックスとの共同EP『mountain songs』などが含まれる。