キューバ音楽を知る  ハバナ/サンティアーゴを発祥とする音楽  ハバネラ、トロヴァ、ソン・クバーノ


 

キューバの首都、ラ・ハバナには今もスペイン統治下の時代を思わせる市街地が残されている。それらは「オールド・ハバナ」とも呼ばれる。この土地の文化はヨーロッパの影響が込められているとはいえ、アフリカの匂いも感じる。カラフルな建築物は、ギリシアやモロッコのような町並みを彷彿とさせる。古くは、葉巻を始めとする重要な特産物の輸出地と知られ、ヘミングウェイが最もよく愛した街でもあるハバナには、もうひとつ重要な音楽文化が存在する。

 

この土地を発祥とする、ハバネラ、トローヴァ、ソン・クバーノを始めとする、ラテン音楽は、20世紀以降、フランスやイギリスで人気を博し、ポピュラー音楽として一般民衆に普及していった。ハバネラをはじめキューバ音楽は、以降一世紀のラテン音楽、ジャズ、アメリカのブルース、クラシック音楽にもインスピレーションをもたらし、アルゼンチンタンゴ、ボレロという形で一つの完成を見た。キューバ音楽は、ポピュラー史を俯瞰した上で、度外視することが出来ない。

 

 

・ハバネラ(habanera)

オールド・ハバナ

ハバネラ(habanera)は、現地では「ハバネレス」と呼ばれることがある。語源は、ハバナによるものと推測される。アコーディオン(コンサーティーナ)のような蛇腹楽器を使用することもあり、アルゼンチンタンゴのルーツであり、全般的なキューバ音楽の始祖とも言える。もし、ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ(Buena Vista Social Club)の音楽であったり、キューバン・ジャズを聴いて、南米的な気風や異国情緒を覚えるとするなら、それはハバネラやトロヴァの音楽が含まれているからに相違ない。しかし、地域的な音楽というのは、文化の混合による副産物でもある。つまり、海外からの影響を踏まえ、そこに独自の内容を添えるわけだ。

 

ハバネラのルーツは、16世紀に遡り、ルイ16世の治世下のフランスで流行したカントリーダンスが、キューバに伝来したときに始まった。コントラダンサと呼ばれるこの音楽がキューバに伝わると、クレオール文化と融合し、さらに、キューバに移民したアフリカのリズムの要素が付け加えられた。

 

ハバネラの主要なリズムは、三拍子の変化型である「6/8」から始まった。その後、ゆったりしたリズムになり、「2/4」に変更された。最も古く、有名なハバネラの曲には、セバスティアン・イラディエルの曲がある。この曲は、スペインの作曲家、イラディエルがキューバに滞在したときに制作され、スペイン語圏にとどまらず、世界的に親しまれた。取り分け、この曲は、各地で母国語に翻訳され発表されることも多かった。例えば、エルヴィス・プレスリーが映画で歌う「ブルーハワイ」は、この原曲を編曲し、英語の歌詞を加えたものである。 この曲は、ボーカル曲のほか、アコースティックギター、ピアノなど、様々な形に編曲されている。実際のところ、その音楽に耳を傾けてみれば、アルゼンチンタンゴのアクの強い香りを感じとってもらえるに違いない。

 

 

 

 

キューバは1898年までスペインの統治下にあり、カタルーニャとキューバは、1778年にスペイン王室が植民地との自由貿易を推進し、商業的な関係を維持していた。コーヒー豆、サトウキビ、タバコなど重要な特産物が、キューバからスペインに輸出された。また、布、アルコール、紙類は、スペイン経由でアメリカへ輸出された。19世紀以降、キューバは重要な交易都市として栄えた。

 

ハバネラの音楽が影響を及ぼしたのは、何も大衆音楽だけにとどまらない。 ハバネラはその後、キューバからスペインへと伝わり、スペインの歌劇場であるサルスエラスでは、ハバネラスが到着すると、大いに歓迎され、オペラやクラシック音楽に積極的に取り入れられるようになった。顕著な成功例としては、ジョルジュ・ビゼーが「カルメン」で、その影響を大胆に取り入れたことだろう。それ以降、ハバネラは、民衆音楽としてスペインに定着した。上流階級はもとより、他の階級にも伝わり、パブのような大衆酒場でも歌われるようになった。 

 


・トロヴァ(Trova)

サンティアゴ・デ・クーバ

 

続いて、キューバ音楽として強い影響力をもったのが、トロヴァ(Trova)である。この音楽は、そもそもがトルバドゥールに近い性質を持ち、フランスの中世音楽マドリガーレ、イギリスのバラッドに近い性質を持つ。


トロヴァは、キューバ南東部の都市、サンティアゴ・デ・クーバで生まれた。トロヴァは、トルバドゥールをラテンカルチャーとして昇華した音楽で、なおかつ、俗に言う”流しの音楽”である。アコースティックギターを片手に街をさまよいながら、通り、広場、酒場などで歌う。ボヘミアンやジプシーのような音楽として出発した経緯を持つ。

 

作曲家/ギタリストのホセ・ペペ・サンチェスが有名である。彼はトロヴァの父となり、その後、シンド・ガレイ、アルベルト・ヴィジャローンなど、著名なミュージシャンを登場させるための道筋を作った。これらの作曲家はなべて、サンティゴ・デ・クーバの出身であることも特筆すべき点ではないだろうか。純粋な歌謡曲として出発したハバネラと比すると、この音楽は、バラードやマドリガーレといったヨーロッパの民謡音楽と、アフリカのリズムを融合させている。しかし、やはりラテン的な性質もある。様々なレパートリーが存在し、愛の歌にとどまらず、ピカレスク、風刺的な歌詞、二重の意味を持つ歌まで広汎な形を持つことで知られる。

 

当初、トロヴァは、流しの音楽として始まったが、その後、ラジオなどで人気が沸騰。歌詞とリフレイン、そして愛、現実、キューバの文化の一つである、吟遊詩人のトルバドゥール的な性質が合わさり、独立した音楽として完成された。ここからトロヴァを原型にして、ボレロ(Bolero)という新しい形式が登場した。これもまた、スペインやフランスなどで親しまれていたことは想像に難くない。バスク地方にルーツをもつフランスの作曲家モーリス・ラヴェルが「Bolero」でこの音楽を完成させ、バレエと融合させたことは周知の通りである。また、この曲にもラテン的な音楽を大胆にかけあわせ、民衆の音楽的な興味を誘うことに成功したのだった。

 

 

 

・ソン・クバーノ(Son Cubano)


キューバの音楽は、西アフリカとスペインの両文化の混合から生じている。最後に紹介するソン・クバーノ(Son cubano)は、上記の二つのジャンルに比べると、あまり聞き慣れない言葉かもしれない。ソンなる音楽ジャンルは、19世紀後半にキューバ東部で生まれた。スペインとアフリカの要素が融合したジャンルである。また、この中ではダンスミュージックの性質が強い。

 

ヒスパニックの構成要素としては、ヴォーカル・スタイル、叙情的な拍子、スペインのギターに由来するトレスの優位性が挙げられる。特徴的なクラーベのリズム、コール・アンド・レスポンスの構造、パーカッションのセクション(ボンゴ、マラカス)は、バントゥー語(アフリカ)起源の伝統に根ざしている。スペインのトレスと呼ばれるギター、メロディー、ハーモニー、叙情性に加えて、アフロキューバのパーカッションやリズムをダイナミックに融合させている。

 

ソン・クバーノは、元は原住民により演奏されたものを洗練させ、19世紀末には、サンティアーゴ、グアンタナモなどで一般的に発生し、20世紀のはじめに、首都ハバナへと普及していく。この音楽は、スペインのサルサの原型となり、その後、プエルトリコを始めとするラテンアメリカの各国に伝播していった。この音楽は、19世紀から20世紀のはじめに、ジャズと比肩するほどの影響力を持つにいたり、20世紀以降のポピュラー音楽史の基礎を形成したのだった。

 

 


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12月に入り、今年も残すところ後一ヶ月となりました。恒例のニューシングル/アルバム情報です。下記より、邦楽の新作をチェックしてみてください。注目は君島大空/坂東裕大のNHKKドラマの主題歌「記憶と引力」、そして、宇多田ヒカルの新曲『Mine of Yours』も素晴らしい出来となっています。

 

 

坂東祐大 yuma yamaguchi/君島大空 (主題歌「記憶と引力」) -日本コロムビア




NHKの新作ドラマ『火星の女王』は、NHK放送100年を機に展開する「宇宙・未来プロジェクト」の一環として制作されたSFドラマで、台湾出身のスリ・リンと俳優・菅田将暉が共演することでも注目されています。原作を直木賞作家・小川哲、脚本を吉田玲子が手がけ、2025年12月13日(土)より3週連続で放送されます。


本作品の劇中音楽は坂東祐大とyuma yamaguchiによって全編フィルムスコアリングで作曲され、未知の惑星に息づく人々のドラマをEnsemble FOVEの壮大なオーケストラやシンセサウンドで鮮やかに描き出します。初回放送日の12月13日(土)に発売されるオリジナル・サウンドトラックには、その劇中音楽や主題歌を含む全24曲が収録されることが決定しました。


なかでも今回は、火星開拓初期に作られた互助組織・コクーンの創設者の一人であるエマ役を演じた、日本を代表する女性歌手UAによる「エマの歌」を特別収録。コクーンの労働歌として愛される「エマの歌」は詩人・文月悠光により作詞され、孤児から母のように慕われるエマの包容力と未来への希望を体現した唯一無二の歌声が作品の世界観を彩ります。


また、主題歌「記憶と引力」は原作にも登場するオリジナル音楽グループ「ディスク・マイナーズ」の歌唱を務めるシンガーソングライター君島大空と詩人・文月悠光による作詞で物語に潜む情感を繊細に映し出し、君島・坂東・yumaの共作による疾走感のある本楽曲には現代ジャズを牽引するドラマーの石若駿も演奏で参加しています。


その他にも、ディスク・マイナーズによる劇中カバー曲「You are My Sunshine」や劇中では聴くことのできない「Why Canʼ t We Be Friends?」「Have You Ever Seen the Rain?」も収録されています。

 

「記憶と引力」


 

宇多田ヒカル 『 Mine of Yours』-Sony Music


宇多田ヒカルがついに、3つのRemix楽曲とインストゥルメンタルなどを加えたバンドル版 「Mine or Yours」を11月26日に配信リリースした。5月にリリースされ、綾鷹のCMソングに起用、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でのパフォーマンスなどで大きな話題となった、宇多田ヒカルの最新曲「Mine or Yours」。10月よりYaeji・The Bllessed Maddonna・Bella Booと3人の世界的プロデューサーによるRemix楽曲が立て続けにリリースされ、大きな話題に。

 

11月26日にアナログレコード盤「Mine or Yours」がリリースされるが、同日にバンドル版のデジタルアルバムのリリースも決定しました。アナログレコード盤には、オリジナル版の「Mine or Yours」と、Yaeji・The Bllessed Maddonna・Bella Booによる3種のリミックス作品を収録。


バンドル版デジタルアルバムには、オリジナル版とそのインストゥルメンタル音源・既発のリミックス音源3種に加え、「Mine or Yours – From THE FIRST TAKE」を初収録。2025年の宇多田ヒカルの活動の大きな話題の一つだった楽曲「Mine or Yours」をさまざまな形でお楽しみいただけます。

 

「Mine of Yours」 

 


 NEI 「upright」-Space Shower


名古屋を拠点に活動するラッパー/ビートメイカーのNEIが最新シングル『upright』をリリースした。『FAST CAR』以来、7年振りにKID FRESINOが客演で参加したこの曲は、それぞれが飾りのない言葉で紡いだリリックと、ロデューサーのvoxxによるノスタルジー漂うビートが印象的な楽曲となっている。ミックスはThe Anticipation Illicit Tsuboi 、マスタリングはColin Leonard。アートワークはNEI撮影によるもの。ミュージックビデオは、『ENN』を手掛けた映像作家のKai Yoshiharaが担当。これまでに、NEIは、Mono No Awareともコレボレーションしている。

 

 

 

 

Yog* 「Ringing」 - Space Shower 


愛知を拠点に活動する2007年生まれのラッパー・Yog*が、ニューシングル「Ringing」をリリースした。今年2月に発表した「Yacht!!!」がTikTokを中心にバイラルヒットを記録し、渋谷WWW主催の次世代ヒップホップイベント「YOUNG PRO」への出演でも注目を集めている。



今作は、ローファイな質感の柔らかなビートに、抜け感のあるフロウと等身大の言葉を乗せ、17歳らしい自然体のままに心の揺れを切り取った一曲となっている。ミュージックビデオは「Yacht!!!」「Patagonia」を手掛けたマルチクリエイター・KBがディレクターを務める。
Yog*は、SNS世代ならではの感性を武器に、次世代ヒップホップシーンを牽引する存在として注目を集めている。

 

 「Ringing」

 

 

 Balming Tiger 「熱帯夜」 (細野晴臣の楽曲のリワーク)  - Balming Tiger/CAM 



Balming Tigerが、細野晴臣の楽曲「熱帯夜」を公式リイマジンド・トラックとしてリリースした。今作は、細野晴臣のアルバム『トロピカルダンディー』 発売50周年を記念したリイマジンド・アルバム『TROPICAL DANDY Reimagined』の第一弾先行シングル。

 

この作業を担当したBalming Tigerのメンバーbj wnjnは、原曲が持つ独特のグルーヴ感をより鮮明に表現することに集中し、アナログ特有の質感を維持するためデジタルプロセスを最小限に抑え、アナログ機器を中心に作業を進めたという。原曲の時代的感性と社会的メッセージを現代のサウンド感覚で再解釈した作品に仕上がっているとのこと。
 

ミュージックビデオは、Balming Tigerのメンバー Jan’Quiが監督を務め、アートワークと「熱帯夜」の歌詞からインスピレーションを得て、千葉県にある小さな町と港で撮影された。

 

「熱帯夜」 


Cootie Catcherは、トロントのインディーポップシーンに触発されたサウンドを特徴としながらも、エレクトロニックのサウンド処理、ドライブ感のあるドラムや意外性のある展開など、同地のニューウェイブを象徴する楽曲を制作している。収穫したてのレモンのような新鮮味と酸味にあふれるクーティ・キャッチャーの音楽は、次年代のインディーズ音楽の登場をなんとなく予感させる。Alvvays,The Bethのポスト世代のバンドとして、ぜひチェックしておきたいところだ。なお、米国のメディア、Stereogumがベスト新人アーティストに特集している。新人発掘に余念がないCarpark Recordsの象徴的なグループが登場したといえるかもしれない。

 

Cootie Catcher(クーティ・キャッチャー)は、ニューアルバム『Something We All Got』を発表した。先日、バンドは新曲「Gingham Dress」を発表し、Carparkと契約を結んだばかり。新作は同レーベルより来年2月に発売される。リードシングル「Straight Drop」が配信中だ。


音楽シーンは一回りした後、次なるステップに差し掛かろうとしている。クーティ・キャッチャーの音楽を聴くと、インディーロックはまだまだ進化していると実感する。トロントを拠点とするこの4人組は、脆弱さと奔放な興奮の両方を放ち、ツイーポップの心を開いた優しさを、渦巻くシンセと浮き立つようなエレクトロニクスでハイパーチャージしたサウンドを生み出している。『Something We All Got』は、甘さ、緊張感、期待感に満ちた曲が無防備に輝きを放つ、クティキャッチャーのビジョンをこれまでで最も明確かつ鮮やかに表現した作品だ。

 

 「Straight Drop」についてボーカル兼ベーシストのアニタ・ファウルは説明する。「この曲は、『間違った』場所で弱さを見せてしまうことへの苛立ちから生まれました」また、ファウルは続けている。「バスに乗っている時なら見知らぬ人の前で思い切り泣くことができるのに親しい人の前では口を閉ざしてしまうんです。それは、ライブパフォーマンスでの私の経験とよく似ています。直接会うととても不安になるのに、ステージに立つとたくさん表現できるのです」

 

 

「Straight Drop」



Cootie Catcher 『Something We All Got』


Label: Carpark
Release: 2026年2月27日 
 
Tracklist: 
 

1. Loiter for the love of it

2. Lyfestyle

3. Straight drop

4. From here to Halifax

5. No biggie

6. Rhymes with rest

7. Quarter note rock

8. Take me for granted

9. Wrong choice

10. Gingham dress

11. Puzzle pop

12. Stick figure

13. Going places

14. Pirouette

 


フランスのサイケポップアーティスト、Melody's Echo Chamber(メロディーズ・エコー・チェンバー)の名義で活動するメロディ・プロシェの最新作『Unclouded』が、Dominoから今週末に発売されますが、本日、最終のリードシングル「The House That Doesn't Exist」が公開された。


「The House That Doesn't Exist」は、ジャグリーなギター、そしてグルーヴィーなドラムを生かしたロック寄りのドリームポップソング。強固なビートとメロディアスなボーカルが見事なコントラストを作り出している。曲の中では、ストリングスがアンサンブルに入り、文字通りファンシーな雰囲気を生み出している。映像はサイケデリックポップの印象をかたどっています。

 

メロディ・プロシェは、この曲が「今日の世界における喜びに満ちた人間生活の不可能と思われる視点を現実のものとし、新たな信仰心を引き起こそうと試みた」とプレスリリースを通じて語っている。ダイアン・サニエ監督によるミュージックビデオを以下でチェックしてみよう。


「The House That Doesn't Exist」

Windswept Adan Concert Photo  写真:小林光大

 

世界中の音楽ファンを魅了する音楽家・青葉市子。アルバム『アダンの風』発売5周年を記念して、<"Windswept Adan" Concert>の配信が決定しました。この映像はオンデマンドで明日(12月2日)から12月16日まで配信予定です。ぜひ詳細を下記よりご覧ください。



2020年12月2日にリリースした7枚目のアルバム『アダンの風』発売5周年を記念して、リリースの翌年6月21日に東京・Bunkamuraオーチャードホールで開催された<”Windswept Adan” Concert>のライブ映像のアンコール配信が決定しました。

 

「“Windswept Adan” Concert」は、アルバム『アダンの風』のレコーディング・メンバーが集結し、収録曲順そのままに再現した特別な公演。コロナ禍で開催が危ぶまれる中、実施された本公演では、総勢10名のミュージシャンによる精緻で緊張感あふれるアンサンブルが、唯一無二の音楽世界を描き出しました。その息遣いまで伝わる臨場感を、再びお楽しみください。



現在、青葉市子さんはブラジル〜アルゼンチン〜チリを巡る南米ツアーを開催中です。年明けには自身の価値観に深い影響を与えた八重山諸島・石垣島でのストリングス編成による特別公演も予定しています。(公演詳細はこちらをご覧下さい)

 

さらに、来春もツアーは続き、アジア、ヨーロッパ、北米を巡る<Across the Oceans Tour>21公演の開催が決定。英国・Royal Albert Hall、米国・Walt Disney Concert Hallといった歴史ある名ホールでの公演も発表され、その活動は一層大きな広がりを見せています。今後の活動にもご注目ください。

 

現在、今年発売された『Luminescent Creatures』がデジタル/CD/LPで発売中です。本作は、ビルボード・チャードのワールドミュージック部門でチャートにランクイン。海外でも好評となっています。また、本作の収録曲「SONAR」「Luciférine」のライブ映像もYoutubeで公開されています。こちらも下記よりご覧下さい。



■ICHIKO AOBA "Windswept Adan" Concert(オンデマンド配信)

Windswept Adan Concert Photo  写真:小林光大

 


出演:青葉市子
梅林太郎, 水谷浩章(Contrabass), 梶谷裕子(Violin), 銘苅麻野(Violin), 須原杏(Viola), 平山織絵(Cello),多久潤一朗(Flute), 朝川朋之(Harp), 角銅真実(Percussion)

配信URL(国内):https://eplus.jp/ichikoaoba-wa-stp/


配信期間:12/2(火)18:30〜12/16(火)23:59

視聴チケット:¥1,000(税込)


視聴チケット販売期間:12/1(月)18:30〜12/16(火)21:00




■Luminescent Creatures World Tour in ISHIGAKI

日程:2026年1月17日(土)
会場:沖縄・石垣市民会館 大ホール
開場16:30 / 開演17:30

出演:青葉市子
梅林太郎(Piano), 町田匡(Violin), 荒井優利奈(Violin), 古屋聡見(Viola), 小畠幸法(Cello), 丸地郁海(Contrabass)

□チケット
全席自由 一般¥6,800 / U22割¥4,800 / 小・中学生¥500
【八重山諸島住民割】一般¥5,800 / U22割¥3,800

お問い合わせ:ピーエムエージェンシー  TEL:098-898-1331(平日11:00-15:00) 

   
https://www.pmnet.co.jp/live/2026/ichikoaoba/


■海外公演 2025
 

South America:

 
25-Nov Teatro Liberdade, São Paulo, BR 
27-Nov El Nacional, Buenos Aires, AR
29-Nov Metropolitan, Santiago, CL
30-Nov Metropolitan, Santiago, CL
2-Dec Teatro Bradesco, São Paulo BR

Across the Oceans Tour
 2026: 

 
5-Jan Shanhai Culture Square, Shanghai, China
7-Jan Shaanxi Opera House, Xi’an, China
22-Feb Esplanade Theatre, Singapore, Singapore
17-Mar Finlandia Hall, Helsinki, Finland
19-Mar Palladium, Warsaw, Poland
21-Mar Müpa, Budapest, Hungary
23-Mar Globe Wien, Vienna, Austria
25-Mar Théâtre de Beaulieu, Lausanne, Switzerland
27-Mar Salle Pleyel, Paris, France
31-Mar Royal Albert Hall, London UK (with 12 Ensemble & Taro Umebayashi)
7-Apr Het Concertgebouw, Amsterdam, Netherlands
10-Apr DR Koncerthuset, Copenhagen, Denmark
12-Apr Göta Lejon, Stockholm, Sweden
15-Apr Harpa Norðurljós, Reykjavik, Iceland
24-Apr Walt Disney Concert Hall, Los Angeles, CA (with 12 Ensemble & Taro Umebayashi)
25-Apr Balboa Theatre, San Diego, CA (with 12 Ensemble & Taro Umebayashi)
27-Apr Massey Hall, Toronto, ON
28-Apr Théâtre Maisonneuve, Montreal, QC
1-May Carolina Theatre, Durham, NC
3-May The Caverns, Grundy County, TN
4-May Atlanta Symphony Hall, Atlanta, GA

 

Details:


https://ichikoaoba.com/live-dates/


■リリース情報

 
青葉市子 8thアルバム『Luminescent Creatures』
2025/2/28(金)全世界同時発売(配信/CD/Vinyl)


https://linktr.ee/luminescentcreatures

収録曲
01. COLORATURA
02. 24° 3' 27.0" N, 123° 47' 7.5” E
03. mazamun
04. tower
05. aurora
06. FLAG
07. Cochlea
08. Luciférine
09. pirsomnia
10. SONAR
11. 惑星の泪

■MV

 
青葉市子「SONAR」
https://ichiko.lnk.to/SONAR_YT

 

■ライブ映像

 
青葉市子「Luciférine」(“Luminescent Creatures” World Premiere より)

 

Yotubeでのご視聴: https://youtu.be/fgKJ63rcbgE


 


■ライブ映像

 
青葉市子「SONAR」(“Luminescent Creatures” World Premiere より)

 

Yotubeでのご視聴:https://youtu.be/y6-9IhH1Owo




 

■青葉市子/ICHIKO AOBA

 
音楽家。自主レーベル〈hermine〉代表。


2010年のデビュー以来、8枚のオリジナル・アルバムをリリース。クラシックギターを中心とした繊細なサウンドと、夢幻的な歌声、詩的な世界観で国内外から高い評価を受けている。2021年から本格的に海外公演を開始し、数々の国際音楽フェスティバルにも出演。音楽活動を通じて森林・海洋保全を支援するプロジェクトにも参加している。

 

2025年1月にはデビュー15周年を迎え、2月に新作『Luminescent Creatures』をリリース。 2月下旬からはキャリア最大規模となるワールドツアー〈Luminescent Creatures World Tour〉を開催し、アジア、ヨーロッパ、北米、南米、オセアニアで計50公演以上を開催。


FM京都 “FLAG RADIO” で奇数月水曜日のDJを務めるほか、文芸誌「群像」での連載執筆、TVナレーション、CM・映画音楽制作、芸術祭でのパフォーマンスなど、多方面で活動している。

 

オフィシャルサイト:https://ichikoaoba.com


東京のミュージシャン/詩人、柴田聡子によるライブイベントの開催が決定。現在、ドラマ「シナントロープ」の主題歌が話題を呼ぶ中、''「ありがとう」vol.3''と銘打たれた企画が東京リキッドルームにて2026年3月28日(土)に行われます。アーティストのファンのみならず広く奮ってご応募下さい。


なお、チケットはオフィシャル先行にて抽選形式で販売されますのでご留意下さい。受付期間は、11月30日~12月14日となっております。チケットのご応募はぜひお早めにお願い致します。


柴田聡子がゲスト・アーティストをお迎えしてお送りするスペシャルイベント「ありがとう」、第3回の開催が決定しました。テレビ東京系列で放映中のドラマ「シナントロープ」主題歌、柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」でご一緒させていただいたElle Teresaさん、Le Makeupさんをお迎えいたします。柴田聡子はバンドセットでライブに臨みます。先行予約の受付も開始いたしました。是非ご利用ください!!


柴田聡子によるニューシングル「ときめき探偵 feat. Le Makeup」はストリーミングで現在配信中です。Elle Teresaをフィーチャーした楽曲で、 Le Makeupがプロデュースした話題作。同楽曲が主題歌として使用されているドラマプレミア 23「シナントロープ」もテレビ東京/大阪など、各地のテレビ局で放映中でございます。こちらの番組の詳細につきましてもご覧下さい。



▪️柴田聡子 presents「ありがとう」vol.3

 

柴田聡子(BAND SET) × Elle Teresa × Le Makeup

2026.03.28 [Sat] Open 16:00 / Start 17:00

LIQUIDROOM, Tokyo

6,000 Yen [+1D]


Ticket オフィシャル先行【抽選受付】[ https://l-tike.com/shibatasatoko ] ※枚数制限4枚

受付期間 2025.11.30 [Sat] 20:00~2025.12.14 [Sun] 23:59

当落確認・入金期間 2025.12.18 [Thu] 15:00~2025.12.22 [Mon] 23:59 

当選日2025.12.17 [Wed]・確定日2025.12.23 [Mon]



▪️柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」



Digital | DDJB-91265_DIGITAL | 2025.10.08 Release | Released by AWDR/LR2

[ https://ssm.lnk.to/tokimekitantei ]

[ https://youtu.be/DM9BwB9Gvi4 ]

[ https://www.youtube.com/watch?v=R9x4j59TP00 ]

[ https://www.youtube.com/shorts/h22_I4Q_ySQ ]



▪️ドラマプレミア23「シナントロープ」


放送日時 | 2025年10月06日スタート 毎週月曜夜11時06分〜11時55分放送

放送局  | テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送

配 信  | 各話放送終了後から動画配信サービス「Prime Video」にて見放題独占配信 Prime Video [ https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront ]

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出 演 |  水上恒司(主演)、山田杏奈

       坂東龍汰、影山優佳、望月歩、鳴海唯、萩原護、高橋侃

       遠藤雄弥、アフロ、森田想 / 染谷将太

原作・脚本| 此元和津也

監 督  | 山岸聖太

音 楽  | 江﨑文武

OPテーマ| 柴田聡子 & Elle Teresa「ときめき探偵 feat. Le Makeup」

EDテーマ| S.A.R.「MOON」

チーフプロデューサー| 祖父江里奈(テレビ東京)、平賀大介(P.I.C.S.)

プロデューサー|    前田知樹(テレビ東京)、原田宗平(P.I.C.S.)、神戸麻紀(P.I.C.S.)、竹迫雄也(アスミック・エース)

制作協力   |    アスミック・エース

制 作    |    テレビ東京、P.I.C.S.

製作著作   |    ©此元和津也/「シナントロープ」製作委員会


HP [ https://www.tv-tokyo.co.jp/synanthrope ]


柴田聡子:



シンガー・ソングライター/詩人。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。2010年、大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始めた。


2012年、ファーストアルバム『しばたさとこ島』でデビューを果たした。それ以来、歌うことを中心に活動の幅を広げ、現在までに7枚のオリジナル・アルバムを発表した。また、ミュージシャンとしての活動と並んで、文筆活動も旺盛活発である。2016年、第一詩集『さばーく』を上梓した。同年、第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞している。2023年、エッセイ集『きれぎれのダイアリー』、2024年、第二詩集『ダイブ・イン・シアター』を上梓。寄稿も多数で、「しずおか連詩の会」への参加など、近年は詩人・文筆家としても注目を集めている。

 

2024年リリースのアルバム『Your Favorite Things』で、CDショップ大賞2025<赤>大賞を受賞。2025年、シングル『Passing』をリリース。文を手がけた初の絵本『きょうはやまに』(絵・ハダタカヒト)の単行本を上梓。弾き語りとバンド編成により、縦横無尽のライブ活動を展開している。RISING SUN ROCK FESTIVAL 2025 in EZOなど、大型フェスへの出演も果たしている。客演や曲提供も多数に上り、その創作・表現領域はとどまるところを知らない。



Elle Teresa:


個性的なフローと遊び心のあるリリック、独自のファッションセンスで同性から圧倒的な人気を誇るラッパー、Elle Teresa。

 

1997年、静岡県沼津市生まれ。2015年からラッパーとして本格的な活動を始め、2016年1stミックステープ『Ignorant Tape』を発表。2018年には2023年まで続く3部作となるアルバム『KAWAII BUBBLY LOVELY』をリリースし、着実にアーティストとして不動の地位を獲得。その後も大型の作品を立て続けに発表し、客演にはTohjiやChoppa Caponeなど国内で人気のラッパーだけでなく、Lil Keedなど海外アーティストとの共同制作も積極的に手がけている。

 

等身大のキャラクターから生まれる大胆かつ繊細なリリックは、同年代やティーンの同性ファンの共感を呼び、日本各地で行われるライブは同性ファンを中心に大きな盛り上がりをみせている。2023年からはPOPYOURSなど大型フェスへの出演に加えて、YoutubeやTikTokなどでの活動も積極的に行う。他の女性アーティストとは一線を画した独自の地位を確立している。



Le Makeup:


大阪のシンガー/プロデューサー。関西学院大学在学中に作曲へと本格的に取り組みはじめ、以降国内外の様々なレーベルから作品を発表する。2020年にアルバム「微熱」をリリース。海外での活動に力を入れ、中国・韓国・オランダ・デンマーク・ドイツでもパフォーマンスを行ってきた。

 

2023年2月にDove、gummyboy、JUMADIBA、Tohji、環Royが参加したアルバム「Odorata」をリリース。Pitchforkで取り上げられ話題に。2024年5月にアルバム「予感」をリリース。同月にWWW(東京)、6月09日にCONPASS(大阪)にて初のワンマン「予感」を開催した。


連続テレビ小説『ばけばけ』主題歌、ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」のMVがYouTubeにて公開!


本日、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌として書き下ろされたハンバート ハンバートの最新曲「笑ったり転んだり」のMVが本日YouTubeで公開されました。映像と合わせて楽曲をご視聴下さい。


今回公開されたミュージックビデオは、佐藤良成が原案を担当、ハンバート ハンバートとは「ふたつの星」のMV以来、2度目のタッグとなる注目のクリエイター・福地明乃さんがアニメーションを手掛けています。今も昔も変わらぬ日々の暮らしの世知辛さと温もりを描いた作品になりました。


ハンバート ハンバートは次いで、この曲を含む全19曲を収録した初の公式ベストアルバム「ハンバート入門」を11月26日にリリース、12月31日には「第76回NHK紅白歌合戦」に初出場することが決定しています。また、来年1月18日の島根公演を皮切りに、全国11公演をまわるツアー2026「歌ったり喋ったり」を控えています。今後のツアー日程もぜひ下記よりご覧下さいませ。



◆ハンバート ハンバート "笑ったり転んだり" (Official Music Video)

ミュージックビデオのサムネイル

「笑ったり転んだり」


Youtubeでのご視聴:

[ https://youtu.be/1_P2MT39VJ0 ]


・Music Video Staff

Original Concept : 佐藤良成

Creative Director : 岩崎亜矢(SunAd)

Art Director : 白井陽平(SunAd)

Animation Director , Animator :福地明乃

Animator :フジシマケイ, 小野ハナ(UchuPeople)

Digital Paint:当真一茂(UchuPeople) 鵜飼ゆめ

Title Design:西山愛香デザイン事務所

Producer : 木村玄(SunAd) 筒井大地(SunAd)

Production : SunAd



・ハンバート ハンバートが初の公式ベスト盤「ハンバート入門」


連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌として書き下ろされた新曲「笑ったり転んだり」を含め、彼らの代表曲・人気曲を網羅した、初の公式ベストアルバム。朝ドラ主題歌をきっかけに彼らを知った方も、これまでのハンバートファンもお楽しみいただけます。


初回限定盤にはツアー2025「寝ても覚めても」より2月28日に開催された大阪・オリックス劇場のライブの模様を約100分収録したBlu-ray Discがついた2枚組となっています。


・ハンバート ハンバート「ハンバート入門[初回限定盤]」

DDCB-94037 | CD+Blu-ray | 2025.11.26 Release | 5,000 Yen+Tax

Released by SPACE SHOWER MUSIC


・ハンバート ハンバート「ハンバート入門[通常盤]」

DDCB-14083 | CD | 2025.11.26 Release | 3,000 Yen+Tax

Released by SPACE SHOWER MUSIC


[ https://humberthumbert.lnk.to/Humbert_Introduction ]


1 笑ったり転んだり ※新曲

2 夜明け 「for hundreds of children」(2001)

3 メッセージ 「for hundreds of children」(2001)

4 アメリカの恋人 「アメリカの友人」(2002)

5 おなじ話 「11のみじかい話」(2005)

6 長いこと待っていたんだ 「道はつづく」(2006)

7 バビロン 「まっくらやみのにらめっこ」(2008)

8 国語 「まっくらやみのにらめっこ」(2008)

9 大宴会 「FOLK 2」(2018)

10 虎 「FOLK 2」(2018)

11 ぼくのお日さま 「むかしぼくはみじめだった」(2014)

12 横顔しか知らない 「FOLK」(2016)

13 ちいさな冒険者 「FOLK」(2016)

14 がんばれ兄ちゃん 「家族行進曲」(2017)

15 それでもともに歩いていく 「愛のひみつ」(2020)

16 黄金のふたり 「丈夫な私たち」(2022)

17 恋の顛末 「丈夫な私たち」(2022)

18 ふたつの星 「丈夫な私たち」(2022)

19 トンネル 「カーニバルの夢」(2024)



<ツアー情報>


・ハンバート ハンバート ツアー2026「歌ったり喋ったり」- バンド篇 -

詳細URL [ https://humberthumbert.net/2025/09/06/3489 ]


2026年1月18日(日)島根 島根県民会館 大ホール

開場:16:30/開演:17:30


2026年1月30日(金)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール

開場:18:00/開演:19:00


2026年2月01日(日)宮城 トークネットホール仙台(仙台市民会館)大ホール

開場:16:30/開演:17:30


2026年2月08日(日)福岡 福岡市民ホール 大ホール

開場:16:30/開演:17:30


2026年2月14日(土)大阪 オリックス劇場

開場:17:00/開演:18:00


2026年3月08日(日)広島 広島JMSアステールプラザ 大ホール

開場:16:30/開演:17:30


2026年3月14日(土)愛知 岡谷鋼機名古屋公会堂

開場:17:00/開演:18:00


2026年3月21日(土)東京 東京国際フォーラム ホールA

開場:17:00/開演:18:00


◎価格:全席指定:¥6,800(税込) ※大阪・東京のみ S席:¥7,500(税込)A席:¥6,800(税込)


・ハンバート ハンバート ツアー2026「歌ったり喋ったり」- ふたり篇 -

詳細URL [ https://humberthumbert.net/2025/10/12/3568 ]


2026年4月04日(土)石川県 金沢市文化ホール

開場:17:00/開演:18:00


2026年4月18日(土)香川県 レクザムホール・小ホール

開場:17:00/開演:18:00


2026年5月23日(土)新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

開場:17:00/開演:18:00


◎価格:前売チケット 全席指定:¥6,800(税込)



<アーティスト情報>

ハンバート ハンバート・プロフィール


1998年結成、佐野遊穂と佐藤良成によるデュオ。2人ともがメインボーカルを担当し、フォーク、カントリーなどをルーツにした楽曲と、別れやコンプレックスをテーマにした独自の詞の世界観を持つ。これまでに12枚のオリジナルアルバムを発表し、テレビ・映画・CMなどへの楽曲提供も多数。2014年発表の楽曲「ぼくのお日さま」が主題歌/タイトルとなった映画『ぼくのお日さま』(2024年/監督:奥山大史)では、佐藤が劇伴も担当。また、2024年リリースのアルバム『カーニバルの夢』収録曲「トンネル」はドキュメンタリー映画『大きな家』(監督:竹林亮/企画・プロデュース:齊藤工)の主題歌として起用された。9月29日放送開始のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の主題歌を担当、ドラマのために「笑ったり転んだり」を書き下ろした。

Weekly Music Feature: Samuel Aguilar



今週ご紹介するサミュエル・アギラールは1975年5月、ランサローテ島生まれの作曲家/鍵盤奏者/教育者。故郷の島で音楽の勉強を始め、その後1年間アメリカで学ぶ。その後、ランサローテ島評議会から奨学金を得て、ピアニストのマリア・ガルソンに師事するためロンドンへ留学。


テネリフェ島サンタクルス高等音楽院にて、音楽理論・転調・伴奏の高等教授資格、ならびにピアノ教授資格、和声・対位法・作曲・配器法の高等教授資格を取得した。同校ではミレーナ・ペリシッチ、カルロス・プイグ、ミゲル・アンヘル・リナレスらに師事。 サミュエル・アドラー、ギジェルモ・ゴンサレス、ジョエル・レスター、ヘルマン・サッベ、カールハインツ・シュトックハウゼンらによる音楽専門コースにも多数参加。ラ・ラグーナ大学英文学科卒業。


幼い頃から、父親である芸術家イルデフォンソ・アギラールが創設・主宰するランサローテ視覚音楽祭の運営に深く関わってきた。 


20歳の時に『Música para los Jameos del Agua』を録音し、1996年にGEOエディシオンズより発表。以来、定期的に数多くの録音作品を発表している。 近年の主な作品には『Wordless Conversations』(2019年)、イルデフォンソ・アギラルとの共作『Lanzarote, el sonido oculto』(2020年)、2021年に開始した『Diarios Sonoros』シリーズ、そして『Tierra de Hielo』(2024年)が挙げられる。


また、様々な録音プロジェクトにも参加しており、特に英国のラッセル・ミルズによる『Undark. Pearl + Umbra』(1999年 Bella Union Ltd. 刊)や、ティマンファヤ国立公園(ランサローテ島)の火山ルートを題材にした音楽環境を収録した書籍兼CD『Sonidos para un Paisaje』が挙げられる。 


彼の音楽活動は音源のリリースにとどまらず、リベラルアーツ全般に及んでいる。公共・私有空間向けの環境音楽や、ドキュメンタリー・広告・短編映画・長編映画・映像インスタレーション・オペラ/演劇/ダンス公演のオリジナル音楽など用途を問わず様々な作品に取り組んできた。 尽きることのない好奇心から、ブライアン・イーノ、ステファン・ミクス(ECM)、スソ・サイス、クリスチャン・ヴァルムロートなど錚々たるアーティストとのコラボレーションを実現している。また、Supreme Sax&Brass Ensemble、Landscape Project、Lanave、Circular Ensemble、Major Tom Projectなど、様々な音楽プロジェクトの推進者/メンバーとして活動している。 また、カナリア諸島国際音楽祭やランサローテ視覚音楽祭などから作品の委嘱を受けたほか、ケロクセン・フェスティバルやAPギャラリーなどでアーティスト・イン・レジデンスも経験している。


テネリフェ島サンタクルス音楽専門学校で教鞭を執り、サンタクルス高等音楽学校およびカナリア諸島高等音楽学校でも教授を務めた。カナリア諸島各地で音楽の様々な側面に関する講演やワークショップを実施している。 彼の作品は、ドイツ、アルゼンチン、オーストラリア、ベラルーシ、ブラジル、カーボベルデ、カナダ、チリ、コロンビア、キューバ、デンマーク、エクアドル、エジプト、スペイン、アメリカ合衆国、フランス、フィリピン、インドネシア、イングランド、レユニオン島、イタリア、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、ポーランド、ドミニカ共和国、セネガル、シンガポール、南アフリカ、スウェーデン、スイス、チュニジア、ベトナムをはじめ世界各地で初演されている。


最近のプロジェクトでは、EA&AEによりハバナ大劇場(キューバ)で初演された数々の賞を受賞したダンス作品『エントモ』の音楽、テネリフェ芸術空間TEA(サンタ・クルス・デ・テネリフェ)で初演された演劇『犯罪』の音楽、 CAAM(ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア)で発表された音響インスタレーション『秘密のコーナー』、ジョゼ・サラマーゴ生誕100周年を記念して委嘱され、テアトロ・エル・サリネロ(ランサローテ)で初演されたオペラ『焼け焦げた畝に沿って』、パブロ・ファハルド監督によるドキュメンタリー映画『逃亡者』のサウンドトラックなどがある。



 Samuel Aguilar 『Onírica』GEO ediciones 



・未知の体験を作り出すアンビエント

 

スペインの作曲家/鍵盤奏者/教授、サミュエル・アギラールは、これまで形態を問わず、2011年頃から作品の発表を続けてきた。本日、GEO edicionesから発売された『Onírica』は、”音楽を聴く”という根本的な意義を問う作品と形容しても過言ではない。


このサイトでは、アンビエントの名盤やアーティストの紹介を通して、このジャンルの隠れた支援者でありつづけてきたが、張本人としては、難しい言い方になるが、徐々にアンビエントという言葉が拡大解釈されすぎた印象を受ける。このジャンルは、ロック、クラシック、ジャズ、他の微細なジャンルを通過した極北の音楽であり、その次があるのかどうかは定かではない。 

 

良い機会なので、もう一度、アンビエントや環境音楽の関係について言及しておきたい。アンビエントは当初、家具の音楽として出発し、主体性を持たない音楽という意義が含まれていた。例えば、空港や駅に向かうと、何らかの環境音楽が流れている。また、MacやWindowsでの工業的な音楽、もしくは、ゲームのBGMなども該当する場合がある。


例えば、絵画やイラストはそのもの自体では、主体性を持つ芸術と言えるが、それがウイスキーや日本酒などのコースターとして使用されたらどうなるだろう? 例えば、トリス・ウイスキーのコースターのアートデザインを無償で提供したり、メキシコのホテルに「明日の神話」を提供した岡本太郎は、これほど光栄なことはないと述べたことがある。これは単なる推察に過ぎないが、彼は主体的な自分のデザインに客体性を付与することに、ある種の愉悦すら覚えていたことは、さほど想像に難くないのである。芸術やアートは、機能的な枠組みに組み込まれた時、従来とは別の意味を持つようになる。本来の主体的な機能が客体的に変化するのだ。

 

話の筋をアンビエントや環境音楽に戻したい。 アンビエントそのものは、ブライアン・イーノ氏が空港で音楽を使用した瞬間から、客体的な音楽として出発したのが一般的な解釈といえるだろう。しかし、音楽が近代から現代に向かうにつれ、この音楽は、他のダンスミュージックやクラブのフロアのクールダウンのために流れるチルアウトやチルウェイブ、さらには、70年代からフュージョンジャズやアフロジャズの内在的なジャンルとして認知されていたスピリチュアリズムの要素、他にも、魂を癒やす音楽や、科学的な見地から注目を浴びるヒーリングミュージックと連動するようにして、徐々にその裾野が広がっていくようになった。つまり、アンビエントという定義が、拡大解釈されるようになったのである。今日では、このジャンルは、部分的にロック/ポップソングの中のインタリュード(間奏)の要素として利用される場合もある。その捉え方は2020年代に入り、さらに拍車がかかっていき、拡大視されるようになった。

 

しかし、原理主義者の観点から言うと、あまりに拡大解釈されすぎて、アンビエントと呼ぶべきではないものまで、そのように呼ばれることも多くなってきた。これは、このジャンルの密かな支援者として複雑な感情を覚える。例えば、このジャンルの祖であるとも言われる、エリック・サティは演奏会で、自分の音楽が聴衆にじっくり聴かれているのを察知すると、烈火のごとく怒り狂ったという。まさしく、ラモンテ・ヤングやフランク・ザッパなどと並び、音楽界きってのアウトサイダー(異端者)らしい逸話なのであるが、これもまた首肯すべき部分がある。

 

つまり、エリック・サティは、自分の音楽が、他の一般的なクラシック音楽のように聞かれたり、自分の作品そのものが主体性を持つことに強烈な拒否反応を示したのである。これと同じように、個人的な意見としては、その音楽が、強烈にパッケージ化(商品化)されて、商業化されすぎてしまえば、それはすでにアンビエントの本当の意味から遠ざかってしまう。つまり、その音楽を、まわりの環境とは何ら関係を持たない「独立した音楽」として聴くのであれば、それはやはり、アンビエントではなく、ヒーリングミュージックやチルアウトというべきだ。



例えば、主体的な音楽の事例が、ポピュラーソングやロックミュージックだとする。それでは、他方、客体的な音楽とは何なのだろう? 例えば、プラネタリウムや美術館の中で、静かに流れる音楽が挙げられる。この場合、当然であるが、主体は、天体の映像とか美術品の展示であり、客体は音楽である。ようするに、来館者は、星や天体の運行や絵画や展示品の詳細を観察していることになる。しかし、感覚のどこかで、背景に流れる音楽をそれとなく''認識''している。

 

この場合、来館者は、自分がいる空間やスペースの中で、音楽を「体験している」だけで、「聞いている」わけではない。しかし、同時に、音楽が「聴く」という行為に限定されずに、ある種の体験に変わった瞬間、その意義は、「商品」の枠組みから超越し、本来の芸術的な性質を持ち、古代ギリシアの演劇のような「MUSICA」の原義を取り戻すのである。これは、客体と主体のバランスを揺らがせ、その境界をあえて消滅させるわけなのだ。この瞬間、音楽という行為は、消費のためのものから、体験のためのものへと接近していく。そして、消費のための音楽を制作する人はこの世に氾濫しているが、体験のための音楽を制作する人は、じつは意外に少ない。殊、アンビエントに関しては、体験のないものは、何かしら物足りなさを覚える。

 

スペインの作曲家がもたらした『Onírica』は深く考えこませる。また、音楽を制作することの意味を考えさせてくれる。この作品は、客体の音楽と主体の音楽のどちらが優れているのかを決定するわけではなく、その定義を把握した上で、2つの領域で聞き手を揺さぶりつつ、その境界を曖昧にする。いわば、ある種の問いかけも含まれていると感じられる。これは、マルセル・デュシャンによる『泉』は芸術になりうるのか?という問いを投げかけたのによく似ている。



『Onírica』の場合は、センセーショナルな手法を選ばず、古典的な電子音楽の形式を参考にし、ギリシア神話の神々「Hypnos(ヒュプノス)」を登場させ、幻想主義の音楽を展開させる。形式こそ異なれ、アンビエントの劇伴音楽とも称するべき異質なアルバムが登場。作曲家のブライアン・イーノが行った、アクロポリスでのライブのように、演劇的な要素を兼ね備えていると解釈することも不可能ではない。分けても重要なのは、本作は、単なる''聴く''という行為にとどまらず、''未知を体験する''という性質が備わっていることである。この点に一番の魅力がある。

 

一時間近い5つの収録曲は、エジプトやギリシアの遺構のようにそびえ、聞き手を圧倒する。雲や霧のような音楽で、静かな場所で聞かなければその全容を捉えることは困難だ。多くは、デジタルシンセを中心に構成されており、パッチワーク的なプロダクションやリサンプリングの手法はほぼ見当たらない。これがライブ性を保持し、雲のように流れていく音楽を阻害することがない。雲というのはドビュッシーの同名のオーケストラ曲にちなんで言及させていただくことにする。

 

冒頭曲「Nyx」からかなりの難解な音楽が並んでいる。音楽を聴くという行為それ以上の概念を提唱するかのように、未知なる音の体験が続いている。曲調は、明るいとか暗いとか、一般的な感覚で言い表すことが難しい。ここには、聞き手の解釈や心のあり方によって、複数の側面が提示され、聞き手の心を巻き込むかのように、体験のための音楽が途切れることなく続いている。


イントロでは、霧のようなシークエンスがシンセサイザーで描かれ、その後、いくつかのテクスチャーが重なり合いながら、雲のような時間的な経過を持つ空間の流れの構成が形成される。ごくまれに、その中に、チベット・ボウルを模したマレット・シンセのような打楽器的なパーカッションの効果が点描画のように出現する。曲の初めは、不気味なダークウェイブのような雰囲気に包まれているが、まるで空の景色が徐々に移ろい変わるように、印象は少しずつ変化していき、その後は、景色が一変し、天上の光景を思わせるシークエンスが登場する。横方向の持続低音が重なり合いながら、倍音の特性を活かし、絶妙なハーモニーを形成していく。

 

アギラールの作曲の特色は''音の持つ印象や効果を最大限に活用すること''である。これは、近代和声法の色彩的な和声を示したいのではなく、音の組み合わせにより生じる音のイメージを独自の手法で展開させていくのだ。例えば、彼が音符を繰り出し、減退しない持続音を組み合わせる。音が永続するだけで、それ以上の意味があるわけではない。けれども、そのドローン的な音を体感していると、何らかの情景が思い浮かんで来て、聞き手がその存在の中に居るような感覚を覚える。彼は、AIやバーチャルの領域ではなく、人間的な想像の作用を活用するのである。

 

ギリシア神話の”眠りの神”を表す「Hypnos」は、音調の変容を積極的に活用した上で、同じように、霧のような音楽を制作している。従来のアンビエントのように明確な主張性を持つわけではないが、同じように複数のシークエンスを何度も丹念に重ねながら、情景的な音楽を作り上げていく。断続的なドローンのシークエンスは、その後、途絶え、マレットのような打楽器的な効果を用い、象徴的な神の坐像を出現させるかのように、何らかの神秘的なシーンを出現させる。さらに続いて、再び、ドローンのシークエンスが続き、終わりなき迷宮に聴き手を導いていく。曲の後半では、ドローンの要素が更に強い割合を占めるが、最後の最後ではクワイアが登場する。ここには、霧や雲の向こうに現れた神話の神々の様子を異教的に伝えようとする。

 

「Iquelo」は、祝祭的な音楽の印象が強まる。パイプオルガンのような演奏法を用い、その中で、一曲目や二曲目とは対象的に、原始的なアンビエントのシークエンスが敷き詰められ、その音楽の裾野を広げ、音像を拡大させていく。これはたぶん、アンビエントの基本的な構成に近似している。

 

ところが、一般的な制作者と異なる点は、ドローン音楽の中で、映像や演劇的な要素が登場し、あろうことか、アギラールはそれを音楽だけで体現させようと試みる。この曲では、アジアの民族音楽の要素を積極的に用い、チベット音楽のチベット・ボウルの打楽器的な音響効果を活用しつつ、神秘的な音楽の側面を強調させる。上記のステファン・ミカスは言うに及ばず、同じく、ECMのスティーヴ・ティベッツの傑作『A Man About A Horse』(2002)、もしくは、チベット僧侶との共同制作『Cho』(1997)のように、異教的な性質を強めていく。

 

全般的には、心地よい持続音を意識して使用しているが、同時に、ボウド・ギターのようなシンセの音色が配置され、ミステリアスでダークな雰囲気を演出することもある。ここでは、舞台音楽や映像音楽を制作してきた作曲家の長所の部分が現れた形となる。10分以上に及ぶ大作であり、曲のセクションごとに異なる情景が配置される。つまり、この音楽に触れていると、徐々に思い浮かぶ景色が様変わりし、次はどうなるのか、という好奇心を呼び覚ましてくれる。


旋律的な側面の中で、打楽器的な音響効果が登場し、大地の鼓動のような迫力のあるスペクタルに満ちたリズムも現れ、神秘的な音楽の印象を強める。音楽そのものが体験に接近するほど、事物や現象が描かれるにとどまらず、魂の変遷のように神秘的な側面が体現されていく。曲の最後では、途中に登場したチベットボウルを模した音色を用い、民族的で瞑想的な音楽に近づく。この瞬間、聞き手側は、音を眺める傍観者ではなく、主体的に捉える体験者に変わるのだ。

 

個人的に圧倒的に素晴らしいと思ったのが、最後に収録されている「Fantaso」と「Morfeo」であった。表面的に聴くと、一般的なアンビエントとさほど変わりがないように思える。けれども、既に述べたように、音楽を単なるパッケージや商品として見ず、未知との遭遇や体験と捉えたとき、この2つの曲の意義は、かなり変化してくるように思えてならない。この2つの曲は、主体/客体、能動/受動、制作者/聴取者という、従来の音楽の関係性の構図を取り払ってしまう。

 

とりわけ、前者では、宇宙的で長大な印象を帯びた神秘的な音楽が作り出されている。全般的にはドローンミュージックの形式で、他の曲と同じく、デジタルのシンセを中心に構成される。しかし、感覚的に言えば、ブライアン・イーノの名曲「An Ending(Asends)」に近似する。というか、この曲に最も近づいた瞬間を捉えられる。 個人的な感覚や印象だけで定義づけるのは非常に難しいけれども、つまり、宇宙的な本質を読み取ったような神秘的な一曲なのだ。もちろん、ここには、歌も無ければ、オペラのように感涙にむせぶような美しい旋律も登場しない。


しかし、その中には、エネルギーや波長という観点において、良い性質が感じられる。それが音の分子や粒子のレベルで、澄んだ音調を作り上げている。一般的には、アンビエントと呼ばれている音楽でも、ざわざわした粗雑で荒いエネルギーがよく見出されることもある。そういったものに触れると、アンビエントや環境音楽から遠ざかってしまったかなと残念に思う。けれども、同曲はクラシック音楽でも稀に聞こえるような調和的なハーモニーが実現されている。


遠くからぼんやり聴いていても、なぜか良い気分を覚える。これが理想的な音楽といえるだろう。それは、詳しくいえば、感情に訴えかける音楽ではなく、理性に訴えかける音楽なのである。

 

音楽の概念を最初に確立したピタゴラスは、オクターヴの法則と音程を発見し、ドミナントとサブドミナントの関連性を数学者として解明するに至った。また、ピタゴラスは、「協和音程の数秘こそが宇宙の秩序を形作る」とした。これは、ハーモニーの原義である「Harmonia」の理論の基礎ともなった。また、ピタゴラスは、「理想的な音楽は魂の浄化をもたらす」とも伝えた。このことを考えれば、音楽という媒体は、神秘的な一面をもたずにはいられないのである。

 

「Morfeo」にはハルモニアの美しさが感じられる。アルバムの冒頭のように霧のような精細な音の空気感を維持しつつ、スティーヴ・ティヴェッツのアンビエントの側面を引き継ぐかのように、エキゾチックな雰囲気を持つ民族音楽の要素を上手く両立させている。途中で水のフィールド録音のサンプリングを用い、印象音楽の性質を決定づけている。最後には、声楽とシンセサイザーを組み合わせたフレーズも登場し、電子音楽と声楽(クワイア)の混在の側面を強く決定づける。音楽そのものは、徐々に静かになり、無音(サイレンス)に近づいていき、最終的には音楽的な世界から遠ざかっていく。これは坂本龍一さんの遺作アルバムの遠近法のような手法に近い。


『Onírica』は、スペイン語で''夢幻”を意味している。制作者が生み出した電子による幻想的な交響音楽ーーファンタジアーーが一連の目に浮かぶ鮮明な形となり、それが未知の体験となっている点が魅力的である。 

 


 

86/100 

 





 


英国のエレクトロニックポップバンド、 Ladytronは過去25年間で最も影響力のある象徴的なグループの一つだ。2005年発表のアルバム『Wintching Hour』の20周年を記念した後、レディトロンは沈黙を破り、8作目のスタジオ・アルバム『Paradises』を3月20日にネットワークよりリリースすると発表した。


トリオは新たな爆裂曲「Kingdom Undersea」をリリースした。新しさを感じさせつつも、紛れもないレディトロンらしさを保っている。 


推進力あるマシン・ファンクが轟音のベースラインの上で踊る容赦ないバレアリック・ピアノリフと共に雷鳴のように駆け抜ける。ボーカリストのヘレン・マーニーとダニエル・ハントは稀なデュエットを披露。航海を思わせる哀歌であり、象徴と憧憬の謎、「大理石の壁、鋼鉄の肢体」を歌い上げる。二人の声は恋に病んだフェアライトの幽玄なコーラスに影を落とされる。


このシングルには、アシッドハウスアートの破壊者たち、 The KLFのために設計、製作されたアナログビデオインスタレーションの中で撮影された、不気味なプライベートパフォーマンスの映像が付属している。このクリップには、マーニー、ハント、ミラ・アロヨ、パーカッショニストのピーター・ケリー、そしてライブラインナップに新たに加わったマルチプレイヤー、アンドルー・ハント(ダイアレクト、アウトフィット)が出演している。


2005年発表のアルバム『Witching Hour』の20周年記念イベントを経て、バンドは新たな活力を得ているようだ。プロデューサーのダニエル・ハントと共にスタジオ入りしたレディトロンは、初期の録音作品に宿るエネルギーを、異なる視点から追い求める生まれ変わったバンドとなっている。


豪華な16曲入りアルバムは、長年の協力者であるジム・アビスがミックスを担当。彼はこう語る。「『Paradises』のデモを聴いた時、本当に圧倒された。楽曲制作とアレンジの多様性は『Witching Hour』を思い出させたが、独自の雰囲気、サウンド、姿勢を備えていた」 


ボーカリスト兼共同創設者のヘレン・マーニーはこう付け加える。「まるで帰郷のような感覚でした。私たちは自然に調和したのです。彼の熱意は伝染力があり、そのエネルギーがスタジオに満ちると、ある種の魔法が生まれるのです」


新曲「Kingdom Undersea」は世界観構築の繊細な作品で、豊かな海底シンセはドレクシアを想起させるが、ポップな文脈で表現されている。ボーカリストのヘレン・マーニーとダニエル・ハントが楽曲全体でデュエットを繰り広げる。

 

「Kingdom Undersea」 



Ladyrtron 『Paradises』

 

Label: Nettwerk

Release: 202年3月20日 


Tracklist:

1.I Believe In You 

2.In Blood

3.Kingdom Undersea 04:46

4.I See Red 

5.A Death in London

6.Secret Dreams of Thieves

7.Sing

8.Free, Free

9.Metaphysica

10.Caught in the Blink of an Eye

11.Evergreen

12.Ordinary Love

13.We Wrote Our Names in the Dust

14.Heatwaves

15.Solid Light

16.For a Life in London



日本出身で、現在ドイツ ・ベルリンを拠点とするプロデューサー/鍵盤奏者、Midori Hinano(平野みどり)が2026年2月20日リリース予定のフルアルバム『OTONOMA』を発表した。本作はThrill Jockyからリリース予定。日本盤の詳細も後日発表されるという。

 

先行シングル「Oto- Kioku(音、記憶)」は、霧のようなシンセの潮流である、点描的なエレクトロニクス、かすかに響くピアノのフレーズが、プリズムの蜃気楼のように広がっていく。 この作品は初対面の震えを呼び起こし、生きた印象が時を経てより謎めいた輪郭へと変容する軌跡を描く。記憶の移ろいゆく地形を解剖しようとする本作の、予兆を帯びた序章として佇む。その楽曲は、ニルス・フラームの音楽性に近い。


彼女は新曲について次のように説明している。


「『音』はアルバムタイトルと同じ意味です。日本語で『きおく』。このトラックには、シンセサイザーをいじっている時に偶然生まれた、温かく弾むようなシンセサウンドが使われています。その音があまりにも鮮烈な印象を残し、忘れられなくなったことがタイトルの由来です」

 

平野みどりの芸術性は、音響と視覚の世界の共鳴の中に存在する。ベルリンを拠点とする京都生まれの作曲家、ピアニスト、シンセサイザー奏者である彼女は、輝かしいキャリアの中で、クラシック音楽と抽象性・創造性との調和の領域をまたぐ独自の表現を築き上げてきた。

 

本名での作品に加え、ミミコフ名義でのダイナミックな実験作を発表。映画・テレビ・美術展・万国博覧会のための作曲も手掛ける。印象派的な手法で五感を刺激する情感豊かな作品、すなわち「音による絵画」の創造で高く評価されている。

 
『OTONOMA』はこれらの要素を統合した集大成で、熟練かつ直感的なアーティストとしての彼女の洞察力を際立たせる。本作はピアノによるより古典的な和声感覚と、シンセサイザーの無限のテクスチャー可能性を融合させる。星雲が銀河へと凝縮するように、『OTONOMA』の各楽曲は、グラデーションに折り込まれた微妙な色彩の層が凝縮した、圧倒的で輝かしい色合いを放っている。

 

「Oto.Kioku」 

 


▪最新のインタビュー記事:


Midori Hirano ベルリンを拠点とするミュージシャン 平野みどり  ブルーダー・ゼルケとのアルバムの制作について述べる



Midori Hirano 『OTONOMA』



 

 

Label: Thrill Jocky

Release: 2026年2月20日

 

Tracklist:

 

1.Illuminance

2.Ame, Hikari

3.In Colours

4.Warped In Red

5.Rainwalk

6.Blue Horizon

7.Aurora

8.Before The Silence

9.Oto, Kioku

10.Was It A Dream



マンチェスターのタズミン・スティーヴンスのソロプロジェクト、TTSSFUがEP『Blown』に続いて、セルフプロデュースによるニューシングル『Upstairs』をリリースした。当初は、シューゲイズの新星とも言われていたが、ダークウェイブ/ドリームポップ色が強いアーティストである。

 

この曲は、微かに魅惑的で、暗く酸っぱいドリームポップの珠玉。同時に間違いなく壮大でもある。まるで失われたC86の名曲が、テープが溶け始めるまで繰り返し再生されたかのようだ。TTSSFUのボーカルも幽霊のように響き、重い影のようにミックスの中で現れては消える。


TTSSFUは『Upstairs』について次のように語る。「この曲は一度だけ出会った男について。彼に完全に夢中になり、写真にズームインして、欠点を探さずにはいられなくなったほどだった」 同時に公開されたミュージックビデオはライブ映像仕立て。ローカルなライブハウスでのライブシーンが組み合わされている。また、ライブのオフショットの映像も使用されているようだ。

 

「Upstairs」

 


Daniel Avery(ダニエル・エイヴリー)がHappy Mondaysの名曲「Halleluiah」をリミックスした。同バンドのレガシーと現代のエレクトロニック・ミュージックの革新者たちを繋ぐリミックスドロップ・シリーズの第二弾。

 

ハッピー・マンデーズはマッドチェスターと呼ばれるマンチェスターのファクトリーレコーズ発の熱狂的な音楽シーンの先駆けとなり、のちの当地のダンス・ミュージックやポップ・ミュージックに強い影響を及ぼした。


ダニエル・エイブリーのリミックスは、オーケンフォールドによる新曲「Step On」のリミックスに続くもので、2026年にはアンナ・プライアー、メラ・ディー、ザ・リフレックス、シャドウ・チャイルドによるさらなるリミックス・ドロップが予定されている。

 

これらのリミックス・ドロップは、マンチェスターの象徴的バンド結成40周年を記念した特別リリースシリーズの一部であり、新コンピレーション『ザ・ファクトリー・シングルズ』も含まれる。


『The Factory Singles』は、伝説的マンチェスター・レーベル「ファクトリー・レコード」からリリースされたハッピー・マンデイズの全シングルを網羅している。マッドチェスターの全容を知る良い機会となるはずだ。

 

シングル集の主要な収録曲には「Step On」「Kinky Afro」「Hallelujah」「24-Hour Party People」などがある。今回の決定版コレクションは、1985年から1992年にかけてのバンドの画期的な作品を収め、英国音楽文化形成における彼らの重要な役割を称えるために制作された。

 


「Hallelujah」