ロンドンの四人組、Dry Cleaning(ドライ・クリーニング)が「Let Me Grow and You’ll See The Fruit」をリリースした。


「Let Me Grow and You’ll See The Fruit」には、BULLYACHE が振り付けを担当した別のダンスビデオが付属しており、今回はシカゴを拠点とする実験的なジャズおよびメタルミュージシャン、ブルース・ラモントが主役を務めています。ラモントのサックスは「Let Me Grow…」の大部分で聴くことができます。


Secret Love は、フロントマンのフローレンス・ショー、ギタリストのトム・ダウズ、ドラマーのニック・バクストン、ベーシストのルイス・メイナードの深い友情をこれまでで最もよく表現した作品です。


ロンドン南部の 4 人組は、ロックの前衛的な地位を確立し、80 年代初頭のアメリカのパンクやハードコアに見られたレーガノミクス的なパラノイアを、キース・リチャーズの乾いたストゥート、ストーナー・ロック、 ディストピア的な退廃、遊び心のあるノーウェーブ、牧歌的なフィンガーピッキングを融合させた。


一方、フローレンスの歌は、バンドメイトたちのサウンドスケープに細心の注意を払って調整されており、ローリー・アンダーソンからライフ・ウィズアウト・ビルディングズのスー・トンプキンスに至る、スポークンワードアーティストの系譜に彼女を位置づけている。


「Let Me Grow and You’ll See The Fruit」は、先行リリース曲「Cruise Ship Designer」と「Hit My Head All Day」に続く、次期アルバム『Secret Love』からの3rdシングル。ボーカル兼作詞家のフローレンス・ショーは「この曲は過度の集中と孤独について。日記のような告白的で、意識の流れのスタイルで書かれた作品です」と語っている。


「Let Me Grow and You’ll See The Fruit」


新曲発表と同時に、ドライ・クリーニングが北米ツアー日程を来年へ延期せざるを得ないことが明らかになった。バンドはこの決定について声明を発表した。


「本日『Let Me Grow…』を皆様と共有できる喜びとは別に、重い心で重要な知らせをお伝えしなければなりません。2026年1月/2月の米国ツアーを5月に延期するという苦渋の決断を下さざるを得ませんでした。これは複数の要因によるもので、特に現代のツアーを支配するますます厳しい経済的要因が大きな理由です」


「幸いにも、当初の公演の大半は日程調整が可能となり、ご希望の方には全チケットを有効とさせていただきます。ご希望でない場合は払い戻しにも対応いたします。残念ながら、旅程短縮の影響で全日程の調整が叶わなかった公演もございます。払い戻しは購入場所にて承ります。私たちは可能な限り早く皆様の前で演奏できるよう全力を尽くします。皆様のご理解と変わらぬご支援に心より感謝申し上げます。愛を込めて、D.C」


今年6月にnaïveレーベル移籍後第1弾となる初のソロ・ピアノ・アルバム『ソロ:ミニチュアズ&テイルス』を発表したばかりのシャイ・マエストロ。リリース・タイミングには4都市、全5公演に及ぶジャパン・ツアーを開催したことも記憶に新しい。そんな彼が、早くも来年3月に更なる新作『ザ・ゲストハウス』をリリースする。この度、アルバムからのサードシングル「Moon of Knives」が配信スタートした。


・『Moon of Knives』配信中!

Listen: https://shaimaestro.bfan.link/moonofknives


同楽曲についてシャイはこう語る。「この楽曲のタイトルは、スペインの詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカの世界へのオマージュなんだ。彼の描く月のイメージは、長年僕を魅了し続けてきた。彼の作品において月は決して受動的ではない。鋭く、象徴的で、知性すら感じさせる。月は真実を明かすこともあれば脅威となり、照らすこともあれば傷つけることもある。その二面性が、この音楽にぴったりだと感じたんだ」


『Moon of Knives』は古きと新しきをつなぐ架け橋となる1曲。スペインに移住後間もないころに作曲したんだけど、作り出すというより受け継がれたかのようなメロディから生まれたんだ。僕のフラメンコへの長年の愛と敬意から、パルマス(このジャンルを駆動する打楽器的な手拍子)が序奏部のリズムの核となった。ハーモニー的には中東の色彩を取り入れており、以前のより広がりのある作品とは一線を画している。


「パリでのレコーディング時、カルテットは皆ヘッドホンから流れるパルマスの音を聴きながら演奏したんだ。これが推進力となり、グルーヴを研ぎ澄まし、メンバー間の相互作用を引き締めた。その結果、ゆっくりと流れる心地よいメロディと、その背後にある落ち着きのない鋭いリズムとの間に、一種の緊張感が生まれたんだ」


早速『Moon of Knives』のオーディオ・ビデオが公開されているので、是非チェックしてほしい。


『Moon of Knives』



Youtubeでのご視聴:

https://www.youtube.com/watch?v=b5XIx06s_-M



5歳でクラシックピアノを始めたシャイ・マエストロは、8歳の時にキース・ジャレットやオスカー・ピーターソンの音楽を通じてジャズに出会う。19歳でベーシストのアヴィシャイ・コーエンのトリオに参加し、名盤『Gently Disturbed』の共作や世界中での演奏を経験した。2011年には自身のトリオを結成し、これまでに6枚のアルバムを発表。現代ジャズにおける唯一無二の存在としての評価を確立した。


来年3月発売のニュー・アルバム『ザ・ゲストハウス』には、現代の音楽シーンを牽引する超注目アーティストが多数参加している。


アメリカの歌手で今年のグラミー賞2部門にノミネートを果たした「最先端ジャズ・ヴォーカリスト」とも称されるマイケル・マヨをはじめ、22歳の若さで名門ブルーノートからデビューし、ファースト・アルバム『Omega』がニューヨーク・タイムズ誌の「2020年No.1ジャズ・アルバム」に選出された新世代を代表するサックス奏者、イマニュエル・ウィルキンス。


ジェイコブ・コリアーのツアー・バンドに参加、ジャンルを超越した音楽性でクインシー・ジョーンズらに認められる最注目シンガー・ソングライターにしてマルチ・ミュージシャンの''MARO''ことマリアナ・セッカ。そしてさらに、アロン・ロトリンガーは、古き良きR&Bとフォークからアート・ロック、アンビエントなどからの影響を見事に融合した音楽スタイルが魅力の歌手、ソングライター、マルチ器楽奏者にしてプロデューサーだ。


アルバムからはすでに収録曲の「The Time Bender 」/「Nature Boy - ft. Immanuel Wilkins」も公開されている。



【アルバム情報】



アーティスト名:Shai Maestro(シャイ・マエストロ)

タイトル名:The Guesthouse(ザ・ゲストハウス)

発売日:2026年3月6日(金)

品番:BLV9177F (CD) / BLV9178F (LP)

レーベル:naïve records


<トラックリスト> 

1. The Time Bender 

2. The Guesthouse 

3. Nature Boy - ft. Immanuel Wilkins

4. Gloria - ft. MARO 

5. Moon of Knives 

6. Strange Magic ft. Michael Mayo 

7. Refuge 

8. GGiʼs Metamorphosis 

9. Sleepwalking Roses 

10. A Little Thank You Note 

11. The Lion And Me ft. Alon Lotringer

12. The Guesthouse’s Old Piano



・アルバム配信予約受付中!

https://shaimaestro.bfan.link/theguesthouse


・最新シングル「Moon of Knives」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/moonofknives


・セカンド・シングル「Nature Boy - ft. Immanuel Wilkins」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/natureboy


・ファースト・シングル「The Time Bender」配信中!

https://shaimaestro.bfan.link/thetimebender



【バイオグラフィー】

1987年、イスラエル生まれのジャズ・ピアニスト。5歳からクラシック・ピアノ、8歳からジャズの演奏をスタートさせ、テルマ・イェリン国立芸術高等学校でジャズとクラシックを学び、その後ボストンのバークリー音楽大学へ入学。2006年からはイスラエル・ジャズ・シーン確立の立役者の一人であるベーシストのアヴィシャイ・コーエン(b)のグループに参加し注目を浴びる。2017年には自身のバンドで東京JAZZのメイン・ステージで演奏した他、これまでに度々来日公演を行なっている。2026年3月には最新アルバム『ザ・ゲストハウス』をリリース予定。



千葉県出身のシンガーソングライター、カジヒデキさんの2025年最後に贈る新曲「みんなでサンタにキスをした!」は、ちょっぴりジャジーでハートウォーミングなクリスマス・ソング。アーティストからのグレートなクリスマスプレゼントです。年末にかけてじっくりと浸りたい楽曲です。


同楽曲は、クリスマス・イヴのパーティーが終わった後、サンタさんからのクリスマス・プレゼントにまつわるほっこりしたストーリーの楽曲です。ピアノに堀江博久、フルートにNARI、ドラムに柿澤龍介、ヴァイブラフォンに上田修平が参加しました。ミュージックビデオも同時に公開されています。下記よりご視聴ください。


▪️カジヒデキ「みんなでサンタにキスをした!」(HIDEKI KAJI「WE ALL KISSED SANTA CLAUS」)



Digital | BBC021 | 2025.12.10 Release | Released by BLUE BOYS CLUB | AWDR/LR2


配信リンク:

[ https://ssm.lnk.to/WeAllKissedSantaClaus ]



▪️カジヒデキ HIDEKI KAJI - みんなでサンタにキスをした! WE ALL KISSED SANTA CLAUS (Official Audio)



Youtubeでのご視聴:

[ https://youtu.be/ruVakUotFm4 ]


作詞、作曲| カジヒデキ

プロデュース| カジヒデキ、堀江博久


カジヒデキー |Vocal, Acoustic Bass, Acoustic Guitar, Chorus

堀江博久ー |Piano

NARI |Flute

柿澤龍介 |Drums

上田修平 |Vibraphone


レコーディング| 上田修平、猪爪東風

ミックス、マスタリング| 上田修平



カジヒデキ:


千葉県富津市出身の作曲家/シンガーソングライター。富津市観光大使を務める。1997年1月に発表した1stアルバム「MINI SKIRT」では、世界的なブームになる直前のスウェディッシュ・ポップの要素を取り入れ、30万枚を超える大ヒットを記録するなど、90年代の渋谷系を牽引した。


その後もトーレ・ヨハンソン、エッグストーン、パステルズ、ベルトラン・ブルガラらと制作した作品を発表するなど自身のルーツとなるネオ・アコースティックをベースに音楽的な領域を拡げている。


今年7月には4曲入りEP「START A SUMMER」をリリース。最新アルバムは昨年4月にリリースした「BEING PURE AT HEART~ありのままでいいんじゃない」


▪️ REVIEW:   カジヒデキ - 『BEING PURE AT HEART』  最も純粋なポップスの響き

▪️シャンソンとシャノワール フランスの大衆音楽の始まり 

現代のシャ・ノワール 

フランスの歌謡形式であるシャンソン、そして演劇の形式であるレビューは、フランスで始まり、日本にも伝わり、戦前から戦後にかけての日本音楽に重要な影響を与えた。レビューは宝塚歌劇で昭和初期に取り上げられ、軽演劇の重要な系譜を担うことになった。また、シャンソンの方も、日本歌謡にごく普通に組み込まれ、戦後には、シャンソン喫茶などがオープンし、空前のブームとなった。今回は、フランスの大衆音楽であるシャンソンの歴史について考察する。

 

シャンソンの歴史は思ったより古い。最初の舞台となったのが、パリ北部のモンマルトルの一角にある芸術キャバレーである。ここには、貴族から庶民まで幅広い階級が足繁く通い、音楽や食事を心から楽しんだ。また、ここには、風刺的、嘲笑的な文化が存在した。サロン文化を引き継いだこのキャバレーには、作家、詩人、音楽家、画家、漫画家などが訪問し、文化の礎を作った。


詩を愛してやまないワイン商人、ルドルフ・サリスが、84番街ロシュシュアールに最初の店をオープンする。サリスが、放棄された土地を訪れたとき、街灯のすぐ近くにいた痩せた黒猫を見かける。黒猫はまるで、かれのことを歓迎しているように見えた。そこで、エドガー・アラン・ポーの物語にちなんで、彼は、店の名前を思いついた。その名もル・シャノワール(黒猫)。

  

シャ・ノワールは、オープン当初から大変な盛況ぶりであった。著名人も詰めかけた。シャルル・クロス、アルフォンス・アレ・シュタインレン、ロートレック、そして、シャンソンの代表的な歌手、アリステュード・ブリュアン、そしてカフェ・コンセール、スカラで商業的に大成功を収めるイヴェット・ギルベールなどがいた。ギルベールは回想する。「店で見つかった一匹の老いた黒猫が、キャバレーに彼の名をつけた。店ではこの猫はマスコットのようなものだった」 

 

▪風刺的な文化と週刊誌の刊行

Le Chant Noir : 1886年9月1日の発行(コピー) 


このキャバレー「黒猫」の名声を高めることになったのが、文学や風刺を中心とする同名の週刊誌である。「Le Chat Noir」は店が開店した翌年の1882年から発行された。

 

雑誌とキャバレー''黒猫''からは、「ベル・エポック」、「アール・ヌーヴォ」など、重要な芸術運動が台頭した。ここでは、階級を問わず、一般的な市民が、テーブルで飲んだり、話したり、音楽を聴き、新たな文化や着想が生まれる拠点になった。この雑誌にも、有名な作家が協力、参加していた。アルフォンス・アレ、ガイ・ド・モーパッサン、ヴィクトール・ユゴー、エドモンド・ド・ゴンクール(後に、フランス作家の登竜門「ゴンクール賞」が設立される)、そして著名な作曲家も参加している。シャルル・グノー、ジュール・マセネなどがいた。

 

シャ・ノワールは商業的に成功を収めた。ルドルフ・サリスはほどなく、シャノワールをモルマントルのラヴァル通りに移転させた。現在のヴィクトル・マッセ通りにある三階の建物への移転。それは、建築的にも、黒猫の威光を象徴していた。ピザンチンの柱、二匹の猫の装飾、そして煙突、黒猫がガチョウを怖がらせる建築的なモチーフ。その建築的な装飾やデザインの各所には、モルマントルの精神であるブルジョワに対するウィットに富んだユーモアが効いていた。店が移転した後も、アマチュアの芸術家や作家が続々と集う。シャンソンを始めとする諧謔味のある音楽を歌手が歌ったほか、画家や作家も毎晩のようにキャバレーに集った。モーリス・ドニ、エドモンド・ハラウクール、ジャン・リュシュパン、ジョルジュ・クールリーヌなど。

 

▪最初の人気歌手 アリスティード・ブリュアン(Aristide Bruant)と現実主義のシャンソン


ル・シャ・ノワールから登場した歌手の中で、シャンソンというジャンルの普及に貢献したのが、アリスティード・ブリュアン(Aristide Braunt)という人物である。彼は、音楽家としてだけではなく、キャバレーのオーナーを務めたという点で、実業家としての才能にも恵まれた。彼のソングライティングの形式は、労働者階級と社会的な異端者の苦難をスラングとして描くという趣旨であった。ブリュアンはまた、プロレタリアの表現と商業的なエンターテインメントを融合させて、フランスのポピュラー音楽やキャバレーの進化に重要な影響を及ぼした。上記のロートレックが描いたイラストの絵画は、この歌手の象徴的なイメージを形作ったと言える。

 

ブリュアンは、カフェ・コンサートで研鑽を積んだ後、1883年にル・シャ・ノワールに拠点を移して、労働者階級の観衆のために歌を歌った。シャ・ノワールでは、パリの下層階級での実体験から、都市の貧困や疎外、厳しい現実を描き、現実主義のシャンソンへと転換を図った。これは以前の彼自身の生活からもたらされたもの。普仏戦争。兵役。パリに戻った後も、雇用の不安やブロレタリア階級の厳しい生活に直面した。パリの下層での見習いと社会に対する観察の時代は、彼を郊外の生の方言と生存競争へと駆り立てた。また、労働者階級の窮状を疎外された人々のリアルな声として表現するという、彼自身の音楽的な中核を形成することになった。

 

ブリュアンは、生々しいスラングを積極的に使用し、ストリートミュージックのような音楽を生み出した。歌手としてのデビューは良い評判を呼び、ル・シャ・ノワールの名物的な歌手の地位を獲得。恩返しとばかりに、この店の名にあやかる曲も作った。ほどなくして、ブリュアンは「A La Mie Du Chat Noir(黒猫の周辺)」を作曲し、この店の公式アンセムとなる。しかし、歌手は、そういった宣伝的な音楽のほか、鋭い社会風刺も展開させた。貧しい人々や追放された人々のいきいきとした暮らしを歌い、社会的な分裂を痛烈に批判し、身近な貧困問題について我が身のことのように歌った。他にも、彼は、ゾラの自然主義文学に触発され、娼婦、やくざ者、誤ったフランス語などを使い、独自のリアリズムの音楽形式を確立させた。ブリュアンの文化形態は、それ以降のピカレスク文学やフィルム・ノワールへの影響も指摘出来る。

 

ル・シャ・ノワールが1885年により大きな建物に移転した時、ブリュアンは、創業者のルドルフ・サリスと袂を分かつ。同年、アリスティードは、黒猫の跡地となる土地を所得し、1000フランを借受け、新しいキャバレー、「ル・ミルリトン」をオープン。そして、パトロン文化を批判し、古典的な芸術形式を嘲笑するポピュリストとしての態度を押し出した。ル・ミルリトンはすぐさま、シャ・ノワールの後発的なコミューンとして認知されるようになり、パリのアンダーグラウンドのカルチャーを形成していくことになった。彼は、黒猫の反骨精神を強め、店を訪れた貴族や小市民、外国からの観光客を強烈に罵倒する。これは抽象主義の画家の活動に象徴されるインディペンデントの活動形式にも何らかの影響を及ぼしたことが推測される。ブリュアンは、オリジナルの黒猫との差別を図るため、独自の週刊誌を立ち上げ、印刷メディアの展開や、店でのライブパフォーマンスを通じて新しいビジネススタイルを作り上げた。

 

▪イヴェット・ギルベール(Yvette Guilbert)とシャンソンの普及  


20世紀を目前にして、パリでは続々と新しい音楽文化が花開き、映画文化の造出への足がかりを作った。 1892年に入ると、同じく、モルマントルでは、歌が聞けるカフェ・コンセールが人気を博す。

ここからイヴェット・ギルベール(Yvette Guilbert)という人気歌手が登場する。まさしくギルベールは時代に要請されて出てきた音楽家で、レビューと呼ばれる歌と芝居を融合した芸術形態を国内に普及させた。ギルベールのコンサートは、スカラで連日満員となり、大反響を呼んだ。シャンソンを小さな芝居として表現した「生娘たち」の歌詞が検閲により削除してされると、彼女はその最初の歌詞を歌う以上にエロティックなイメージで縁取ってみせた。その後のシャンソンやレビューのこのイメージは、ギルベールによるところが大きい。上記の写真は原初的なイベントフライヤーである。

 

新しいカルチャーは、好景気や経済的余裕や余剰の部分から登場する。20世紀のパリは幸運にも、その条件が揃っていた。イギリスに続いて、産業革命が本格化していく中、パリは好景気に湧き、街じゅうに歌や音楽が溢れた。その余剰の部分が溢れた時、20世紀のフランスの大衆文化が始まり、シャンソンが生み出された。カフェ文化のル・シャ・ノワール、アリスティード・ブリュアン、イヴェット・ギルベールも、そんな所から登場した。そして、そこには独特なユーモアと反骨精神があった。これが、フランスのエスプリ精神を形成したことは想像に難くない。その後、日本にもフランス文化が入ってきて、シャンソンが戦前から戦後にかけて歌謡に普通に取り入れられた。これは、J-POP、邦楽などというワードが出てくるはるか昔のはなしである。それ以降の日本人のヨーロッパへの漠然とした憧れは、フランス/パリの文化の流入に負うところが大きいように思える。


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2008年にリリースしたシングル「New Soul」がApple MacBook AirのCMに起用され、ビルボード・ソング・チャート9位をはじめ、世界的で大きなヒットを記録し、一躍スターとなったパリ在住のシンガー、ヤエル・ナイム。これまでのアコースティックなサウンドから一転、エレクトロニックでありながら「電子と感情」が共鳴するサウンドを追求した「La fille pas cool」をシングルリリースした。同楽曲は日本の発売元がイチオシのトラック。新作への期待感を盛り上げている。


「La fille pas cool=ダサい女の子(The uncool girl)」と題された本作は、ミニマルなエレクトロニック・ソウルを土台にしながら、途中で一気に広がりを見せるメロディックなバラード。ヤエルの内面で起きた変化、そしてこれまで以上にパーソナルで深い作品世界の新たな一面を映し出している。


フランス語で「私は何度も怖がっていた/運動も得意じゃない/戦いも向いていない/これが“できない私”/じゃあ私は何者なの?/私は“ダサい女の子(The uncool girl)”」と綴った歌詞は、自信の内面に向き合っているだけではない。周囲からのプレッシャーを拒み、「ありのままの自分でいること」を許すための、すべての女性への希望としなやかな強さのメッセージでもある。


2026年2月にリリース予定のアルバムには、2025年にリリースした新曲「Dream」「Multicolor」も収録される。ヤエルの進化し続ける多彩な表情を存分に堪能してほしい。



▪️ヤエル・ネイムによるコメント:


この曲のメロディは、まさに歩いていたときに突然降りてきたの。その瞬間ちょうど、私はSNSへの依存や、「もっと完璧に見せなきゃいけない」という常にかかるプレッシャーについて考えていたの。

私は自分の「影の部分」と向き合う必要があった。ずっと見ようとしなかった、自分の嫌な部分にね。

そして気づいたのは、自分の「光の部分」とも和解しなければならなかったということ。人々は私の明るい曲を愛してくれるけれど、その裏にある部分は見ようとしなかった。その違いこそが長い間私を閉じ込めていたの。


Yael Naim  「La fille pas cool」- New Single


■ アーティスト名:Yael Naim(ヤエル・ナイム)

■ 曲名:La fille pas cool (ラ・フィーユ・パ・クール)

■ レーベル:ASTERI ENTERTAINMENT

■ 形態:ストリーミング&ダウンロード

■ URL:https://asteri.lnk.to/yaelnaim_lafillepascool_jp  



Yael Naim:


フランス=イスラエル出身のシンガーソングライター/ディレクター。2001年にフランスでアルバム・デビュー。2008年に発表した「New Soul」がApple MacBook AirのCMに起用され、全米ビルボードHot 100でトップ10入り。世界各国でチャート1位を獲得し、国際的に注目を浴びる。


本国フランスでは、フランスのグラミー賞とも例えられる権威ある音楽賞 ”ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック” を3度受賞し、フランス芸術文化勲章オフィシエに叙任。ブラッド・メルドーやストロマエら多彩なアーティストと共演している。


また日本国内でもその活躍は広く知られており、2009年「PICNIC」が NISSAN cube のCMソングに起用。2012年にはTVドラマ「最後から二番目の恋」の劇中で「Go to the River」(アルバム『She was a boy』収録)が使用され、大きな話題となった。


音楽だけでなく映像や絵画でも活動し、自身のドキュメンタリー映画『A New Soul』や自伝『Une chambre à moi(私の部屋)』を通じて「女性」「自由」「平和」をテーマに表現を続けている。その存在は、音楽シーンにおいて25年以上にわたり“光”を放ち続ける、現代を代表するアーティストのひとりである。

Taylor Dupree ・ Zimoun 『Wind Dynamic Organ, Deviations』


 
Label: 12K
Release:2025年12月5日
 
 
 
Review
 
 
12kはニューヨークのインディペンデント・レーベルで、テイラー・デュプリーによって1997年に設立された。それ以降、世界的にも希少なアンビエントに特化した実験音楽レーベルとして名を馳せてきた。実験音楽やアンビエントに携わる者にとっては、羨望の的となるレーベルとも言えるでしょう。


スイスのアーティスト、Zimoun(ジモン)、そして、レーベル・オーナーによる共同アルバムは、Tim Hecker(ティム・ヘッカー)を彷彿とさせるアブストラクトなアンビエントを中心とした難解なアルバムとなっている。しかし、同時に、ある程度の聞きやすさが担保される作品ではないか。
 
 
全般的なアンビエントの制作のスタイルとしては、アナログ/デジタルに依らず、シンセサイザーを用いたり、ギターからテクスチャーを生成し、リサンプリングのような手法でノンビートとして抽出したり、フィールドレコーディングから組み立てたり、また、ボーカルアートのような形式を採るものなど、多岐にわたる。今作は、スイス/ベルン大聖堂に設置されているオルガンが録音に使用されたという。パイプオルガンのような楽器は、鍵盤楽器と吹奏楽器の両方の性質を兼ね備え、これらの奏法の性質を活用している。『Wind Dynamic Organ, Deviations』に関しては、吹奏楽器の性質を強調させて、オルガンの名にあるように、風のような効果を発生させている。


本作は、アンビエントを未来の前衛音楽として解釈させるにとどまらず、無限に拡大する音響を、録音としてどのポイントから収めるのか、その収めた音をどのように聴かせるかに焦点が置かれる。要するに、レコーディング/マスタリングにおける壮大な実験が行われたとも言えるかもしれない。
 
 
 
本作は、六つの変奏曲/組曲の形式により展開される。全般的には、アンビエントのシークエンスをトラックの背景に敷き詰め、その中で、メインの楽器となるオルガンのトーンや音のコントラストがどのように変化していくかの実験が試みられている。


『Ⅰ』は、Tim Hecker、畠山地平に類するドローンノイズが敷き詰められ、 オルガンがあるポイントから現れたり、また、しばしば消えたりというように、カウンターポイントのような複声部の形式が敷かれている。


その音響は、工業的な響きを形作り、無機質な音の連なりを生み出す。これは全体的に、現代的な建築を目の当たりにしたときのような、スタイリッシュな雰囲気を添える。こういった都会的な響きは、William Basinski(ウィリアム・バシンスキー)のドローンテクスチャーを彷彿とさせる。またトラック全体には、微細なノイズが敷き詰められ、クリアトーンとノイズが混在している。これらの本来であれば、相反する音を組み合わせ、混沌とした音の渦を作り出す。どうやって作るのかといいたくなるほど。
 
 
 
また、「Ⅱ」では、ドローン/ノイズの性質がさらに強調付けられる。ホワイトノイズやヒスノイズといった本来のデジタル録音であれば除去される音を強調させ、本来は醜悪とされる概念の向こうに美しさを投射する。


さながら、それは1つの考えの転換のようなもので、2つの対極に位置する考えが相似する概念であることを伺わせる。そして、本来であれば倦厭されるノイズの背景に、それとは対象的に、古典的なオルガンの音色を配置し、天上的な楽の音を登場させる。オルガンの演奏は、トーンの変調を交えながら、色彩的なコントラストを作り出す。この絶妙なコントラストは、作曲論や方法論に終始しがちな昨今のアンビエントに、新鮮なニュアンスをもたらしている。
 
 
「Ⅲ」では、同じ類いのノイズを用いながら、風や嵐のような鋭い音の効果を持つアンビエンスを強調させている。しかし、同じような音楽的な手法を用いようとも、全体的な印象は、きわめて対照的となっている。


この曲では、ゴシック・メタルのようなダークな雰囲気、まるで空を雲が覆い、情景が少しずつ移り変わっていくような時間の経過が含まれる。「Ⅰ」に見い出せるカウンターポイントが生じ、オルガンの持続音が向こうに現れたかと思えば、また立ち消え、別の方向から異なる持続音が出現する。
 
 
 「Ⅳ」のイントロでは、シネマティックな音楽がイントロに配置される。抽象度としては、前の三曲よりもはるかにこちらの方が高い。まるで印象派のような絵画的な音のコントラストは、全般的にはモノトーンにより表出されるが、その中で微細な音の変調を織り交ぜ、水墨画のような音の玄妙な世界を作り出す。アブストラクト・アンビエントの真骨頂のようなトラックである。現代音楽や実験音楽の極北とも呼べる手法により、アヴァンギャルドの最前線を行く。


しかし、ドローン/アンビエントの手法は、必ずしも恣意的な内容ではなく、計算され尽くしている。全体的な音のパレットの中で、印象音楽のような音のマテリアルが配置され、茫漠とした荒野のような情景の中に豆粒のような何かが動き回るように、副次的な音楽が展開される。それは一つの音の世界の扉を開くと、また、もう一つ神秘的な世界が現れ、どこまでも果てしなく、その世界が続いていくかのような奇妙な感覚をおぼえる。こういった無限を感じさせる音楽はアンビエントならではのもの。
 
 
 「Ⅴ」では、こもった音像を駆使し、外側に放射される音響ではなく、それとは対象的に内側に向かう音響を強調し、内省的なサウンドが繰り広げられる。フィルターのような装置を用いながら、全体的な音像をわざと曇らせ、ある意味では、バシンスキーの系譜にあるような、音響を解体するような試みが行われる。これは「ミュージック・コンクレート」の一貫とも解釈出来る。


しかし、他の曲と同様に、全般的なハーモニー、調和、そして均衡は維持されている。ぼんやりとしたシークエンスの中でも、なにかしら二人の製作者の美学のようなものが揺らめき、せめぎ合いながら、この曲の全体的なバックグラウンドを支えている。こういった曲は、ノイズ/ドローンの名手、ニューヨークのプロデューサー、ラファエル・イリサーリの手法に準じている。また、曲の後半では、オルガンの持続音が徹底して強調され、このアルバムの核心のようなポイントが現れる。美しさとも醜さともつかない、一般的な価値観を超越したイデアを提示する。二項対立の音楽だ。
 
 
作曲的な側面としては、クローズを飾る「Ⅵ」が傑出している。この曲では、ミニマリズムの音形を反復させ、アシッドハウスのようなエレクトロニックに手法を駆使し、その中で、オーボエのような木管楽器の音色を登場させる。一般的には、ジャズとアンビエントをクロスオーバーさせた曲で、依然としてアンビエントのウェイトが強い。全般的なトラックのマスタリングも秀逸で、微細なディレイや波形の反復を用いつつ、特異な音響を得ることに成功している。
 
 
『Wind Dynamic Organ, Deviations』は、12kらしいアルバムで、生の録音とプロデュース的な手法が見事に合致し、世にも稀な実験音楽が登場したと称せる。アンビエント/ドローンの音楽は、あらかじめ計画された構想や反復的なストラクチャーから、予期せぬ”偶然の要素”が出てくる瞬間が一番楽しい。実のところ、本筋や本道からそれた時、予想外の風景に出会い、未知の魅惑的なサウンドスケープが出てくる。合理主義とは対極にある本物のアヴァンギャルド精神が貫かれる。偶発的な音の発生を散りばめたチャンスオペレーションの要素が、本作の六つの変奏曲を通じて、ひっきりなしに出てくる。アンビエント/ドローンの面白さを改めて体感するには、うってつけの作品と言えるのではないでしょうか。
 
 
 
86/100 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
Details:
 

 
スイスのアーティスト、Zimoun(ジモン)は、スイス/ベルンに設置されたユニークな楽器「ウィンド・ダイナミック・オルガン(プロトタイプIII)」と共に過ごす光栄と喜びを得た。過去数年にわたり、彼はこの楽器を探求し録音する機会を与えられたのだった。 結果、2枚のアルバムが生まれた。ソロ作品『Wind Dynamic Organ, One & Two』(12k2061)と、 Taylor Dupree(テイラー・デュプリー)とのコラボレーションによる本作『Wind Dynamic Organ, Deviations』である。


ジモンはこの体験を語る。

「ダニエル・グラウスとそのチームが開発した真に傑出した驚異的な楽器『ウィンド・ダイナミック・オルガン プロトタイプIII』と、長期にわたり定期的に関わる素晴らしい機会に恵まれました」


「従来のオルガンとは異なり、各パイプへの風圧と空気量を能動的・継続的・動的に形成できるため、音色は単にオンオフされるだけでなく、発音中に変調されます。 これにより、ダイナミックな音の進化を操作したり、実際の音色の境界領域で音を生成したり、純粋な空気ノイズやきらめくさざめきを統合することが可能になる」


「鍵盤のストロークは音の立ち上がり(アタック)を変え、ストップを変更せずに、明瞭にアクセントの効いた音形から溶け合った音の帯へとシームレスに移行させる。こうして、現在の風圧に反応する、空気感あふれるノイズ・トーンのテクスチャーや、ちらつきながら振動する倍音の雲が生まれた」


『Deviations」は二人のアーティストがオルガンを出発点として、楽器の音の特性を掘り下げ、テクスチャーを強調/変容させ、新しさを作り出すための変奏を展開。オルガンはスイス・ベルン大聖堂に設置。スイス国立科学財団の支援を受け、オルガニスト兼作曲家ダニエル・グラウスの指導のもと、ベルン芸術大学(HKB)の研究プロジェクトの一環として開発・製作された。 


オランダのピアニスト/作曲家、Joep Beving(ユップ・ベヴィン)が新作アルバム『Liminal』のリリースを発表した。ベヴィンはニルス・フラームのレーベル、Leiterからもリリース経験があるが、今回はドイツグラモフォンからの発売となる。


ギヨーム・ロジェの著書『ワイルド・ルネサンス』に触発された本作『リミナル』は、人間の活動と自然界のより緊密で共生的なつながりを求める声に応える。全15曲は一体となり、不確実性の領域へと広がっていく。  


「アルバム全体を通して、制御と直感の絶え間ない対話があります」とベヴィンは語る。「それは中間領域、つまり意味がまだ形成されつつある境界領域を反映しています」


待望のニューアルバム『Liminal』は2026年3月20日、エコ・ヴァイナル版(2枚組LP)を含む全フォーマットでリリースされる。先行曲「We are here but to make music and dance with all the obtaining forces」は2025年12月5日よりデジタルで配信済み。


また、『Wild Renaissance』は1月23日にビデオ付きでリリースされ、『When humans do algorythms』は2月20日に、『Ida』(こちらもビデオ付き)はアルバムと同日にリリースされる。ヨープ・ベビングは2026年5月にヨーロッパツアーで『Liminal』をライブ演奏する予定だ。


フランスの学者ギヨーム・ロジェは芸術と生態学の関連性を専門とする。 2025年に英語で出版された彼の著書『ワイルド・ルネサンス』は、オランダ人アーティスト、アイリス・ヴァン・ヘルペンによってベヴィンに推薦された。人間が自然を支配すべき対象ではなく、創造のパートナーとして捉え、アーティストやデザイナーが重要な役割を担う世界像は、ピアニスト兼作曲家の心に響き、21世紀のルネサンス運動の一部となり得る新作アルバムの創作へと駆り立てた。


「この音楽で」とベヴィンは説明する。「人間中心の思考から離れ、自然から切り離されるのではなく『自然と共に』創造する道へと歩みを進めながら、大いなる全体像における私たちの小さくも意味ある位置を探求したかった」 こうして『アルカディア』や『ヘテロトピア』といった楽曲が丹念に練り上げられる一方、他の楽曲は「自然の導きのように――移ろい、消え、沈黙へと戻る」形でベヴィンのもとに訪れた。 


この二つの流れの間に、アルバムの核心となる『人間がアルゴリズムを行うとき』が位置する。ここでは反復的なパルスが軽やかに彩られ、「人間とコンピューターが一種のダンスで出会う」様子が描かれる。意外にも、テクノロジーさえもが私たちを自然と再接続させる手助けとなり得るという示唆が込められている。


ミュージシャンによれば、『Liminal』は「対立を超えた世界を体験する招待状」である。人間と自然、人と機械、論理と神秘。音は出会いの場となり、秩序と野性、構造と自由、形と消滅の間の境界線となる。


「作曲とは支配することではなく調和すること、野生の声を我々を通して語らせることである」-Joep Beving



Joep Beving 『Liminal』


Label: Deutsche Grammophon

Release: 2026年3月20日



作曲家兼ピアニスト、ユップ・ベヴィンが新作アルバム『リミナル』を発表した。本作では、より広範な人間を超えた生態系における人類の役割を探求し、自然との分離ではなく結びつきを模索している。  


本作はギヨーム・ロジェ著『ワイルド・ルネサンス』に着想を得ており、増大する不確実性と旧体制の崩壊への応答として制作された。


 15曲のソロピアノ作品と電子音の一部が絡み合うこのプロジェクトは、境界領域に存在し、聴衆を現代的な作曲と内省的なサウンド・ポエトリーの間を漂う雰囲気ある旅へと誘う。二項対立を超えた世界を体験し、新たな共鳴を発見するよう促す。精密で意図的な作曲の瞬間と、音が有機的に進化するセクションが交互に現れ、制御と直感の境界線を曖昧にする。  


「このアルバムは二つの側面を行き来する。時に、私は音を最も純粋な形へと形作り磨き上げる。また、ある時は、音楽が自然の導きのように自ら流れ、移り変わり、消え、沈黙へと戻っていく。構造よりも繋がり、共鳴、変化が重要であり、建築よりも生態学に近い」とベヴィンは語る。 



アジアのヒップホップ/ポップアーティスト、Star2がニューアルバム『Lessons』をリリースした。これは若き日の自分への個人的な手紙として綴られた力強い新作プロジェクトだ。 タイ難民でありカレン族音楽コミュニティの牽引役である彼の楽曲群は、国際的な鼓動を響かせる。Eh La、Lil BK、heartbreaka、Shadow、RayRay、Lian2xら豪華なコラボレーターが参加。滑らかなメロディからストリートの荒々しさ、文化的な深みまで、各アーティストの声が新たな感情の層を加え、このプロジェクトを深く個人的でありながら世界的に共鳴する作品に仕上げている。


『Lessons』は、10代の混沌、失恋、誘惑を成長・集中・自己愛への青写真へと昇華させる物語だ。全編にわたり、彼は過去の過ちをありのままの正直さと苦労して得た自信で直視し、聴き手を「気晴らしから目的へ」「一時の高揚から長期的なビジョンへ」という旅へと誘う。 特に際立つフォーカス・トラック「Ohhhh!」では、Lil BKをフィーチャーし、催眠的なプロダクションと映画的なビジュアルを、見せかけの成功を貫くメッセージと結びつける。真の愛と、本当にそばにいてくれる人々なしでは、成功や贅沢は何の意味も持たないのだ。Star2はこう打ち明ける。


「年を重ねるにつれ、集中し、優先順位をつけ、犠牲を払うことを学ぶ。まず自分を愛し、愛を追いかけたり、自分にふさわしくない人を追いかけたりするのをやめることを学ぶんだ」 若い頃の自分に言いたいのは『夢を諦めるな。愛も人も、手っ取り早い金も追い求めるな。代わりに夢と最高の人生を追いかけろ』ということだ。結局、愛はプロセスなんだ。時には前に進まねばならない。愛は後から訪れることもある。人生は我々に忍耐を教える。それがおそらく最大の教訓だろう」



スター2の物語は、生き残り、勝利を掴んだ物語だ。彼と祖母はサンディエゴに渡り、極貧の中での再出発に直面した。 音楽は彼の支えとなり、悲しみを目的へと昇華させる手段となった。今日、その不屈の精神はソウルジャ・ボーイ、$tupid Young、モジー、MBNel、ルー・ケル、リル・ポッパ、フッドトロフィー・ビーノ、YSNフロー、マーマー・オソらとのコラボレーション、そしてTikTokで1500万回以上の再生回数へとつながっている。

 

▪️EN 


Asian hip-hop / pop artist Star2 just dropped his new album Lessons, a powerful new project written as a personal letter to his younger self. A Thai refugee and a driving force in the Ka-ren music community, this collection of tracks rings with an international heartbeat. The album features a dynamic lineup of collaborators including Eh La, Lil BK, heartbreaka, Shadow, RayRay, Lian2x, and more. Each voice brings a new emotional layer - from smooth melodies to street grit to culturally rich textures - making the project both deeply personal and globally resonant.


Lessons is about transforming the chaos, heartbreak, and temptations of his teenage years into a blueprint for growth, focus, and self-love. Across the project, he confronts past mistakes with raw honesty and hard-earned confidence, inviting listeners into a journey from distraction to purpose, from instant highs to long-term vision. The standout focus track, “Ohhhh!” with Lil BK, pairs hypnotic production and cinematic visuals with a message that shines through the flex: success and luxury mean nothing without real love and the people who truly stay by your side. 


Star2 confides, “As you get older you learn to focus and prioritize and to sacrifice. You learn to love yourself first and stop chasing love and stop chasing people who are not for you. I would tell my younger self, ‘Never give up on your dreams. Stop chasing: love, people, quick money. Instead, chase your dreams and your best life.’ Finally, love is a process. Sometimes we have to move on. Sometimes love comes later. Life teaches us to be patient. Which is possibly the biggest lesson of all.”


Star2’s story is one of survival and triumph. After the Burmese Army destroyed his village, he and his grandmother came to San Diego through a lottery, confronting extreme poverty while starting over. Music became his anchor, a way to channel grief into purpose. Today, that resilience has led to collaborations with Soulja Boy, $tupid Young, Mozzy, MBNel, Luh Kel, Lil Poppa, HoodTrophy Bino, YSN Flow, and MarMar Oso, and more than 15 million views on TikTok.



▪️Ohhhh!" ft. Lil BK

 


▪️Listen On Spotify:




 Star 2:


スター2はタイの難民キャンプで人生を始めた。ミャンマーのビルマ軍によるジェノサイドから逃れるため、村を焼き払われた彼はキャンプに身を寄せざるを得なかった。 キャンプでの抽選により、祖母とその4人の子供たちと共にサンディエゴへ移住し、新たな人生を歩み始めた。


著名なプロデューサー、チコ・ベネットの指導のもと、ソウルジャ・ボーイ、$tupid Young、モジー、MBNel、ルー・ケル、リル・ポッパ、フッドトロフィー・ビーノ、YSNフロー、マーマー・オソなど、数々の著名ラッパーとのコラボレーションを実現している。


 ツアーの合間には、YouTubeの人気シリーズ『Adventures of Star2』で自身の軌跡を記録している。アジア系アメリカン音楽界の重要人物として、Star2は心揺さぶる物語と魅惑的な映像を織り交ぜ、不屈の精神と上昇志向の物語を綴る。ハーパーズ・バザー・ベトナム、GQ、HotNewHipHop、Ones to Watch、BET、Lyrical Lemonadeなど、数々の著名メディアが彼の功績を称えている。


▪️EN

 

Star2 began his life in a Thai refugee camp where he was forced to flee genocide from the Burmese army in Myanmar who burned his village to the ground. A lottery in the camp brought him to San Diego with his grandmother and her four children, where he began a new life. 


Under the mentorship of esteemed producer Chico Bennett, his collaborations with acclaimed rappers include Soulja Boy, $tupid Young, Mozzy, MBNel, Luh Kel, Lil Poppa, HoodTrophy Bino, YSN Flow, and MarMar Oso to name a few. 


While not on tour, he documents his journey in the popular 'Adventures of Star2' series on YouTube. As an influential figure in Asian-American music, Star2 entwines heartfelt stories with captivating visuals, chronicling a tale of resilience and ascent. Esteemed platforms like Harper’s Bazaar Vietnam, GQ, HotNewHipHop, Ones to Watch, BET, and Lyrical Lemonade, among others, have celebrated his contributions.


ロサンゼルスを拠点とするシンガーソングライター、Madison Margot(マディソン・マーゴット)が新曲をミュージックビデオと合わせてリリースした。


「But I Do」と銘打たれたこの楽曲は、内省的で夢見心地なインディーポップの幻想曲である。マディソンの蜜のように甘い歌声がカタルシスをもたらすメロディを紡ぐ。


マディソン・マーゴットはこのニューシングルについて、「『But I Do』は感情的な再発について書いた曲です。 気分が最高で完全に癒えたと思ったのに、何かが起こって、自分が乗り越えたと思っていた場所に引き戻されてしまう。この曲はその脆弱さを受け入れ、全てを完全に感じさせることの美しさを見出しています」と語っている。 


このシングルは、象徴的なハリウッドサインを背景に撮影された映画のようなミュージックビデオと共に公開された。カバーアートで彼女が着ているTシャツは、12月中に販売されるマーチャンダイズ商品。収益全額がLA地域フードバンクに寄付される予定だ。


Madison Margot:


マディソン・マーゴットはロサンゼルスを拠点とするポップシンガーソングライターで、生々しい感情の物語と豊かで映画的なサウンドスケープを融合させることで知られる。


ロサンゼルス生まれの五代目として、11歳で曲作りとギターを始め、個人的な体験を鮮烈で忘れがたい楽曲へと昇華させてきた。ジェンダー・女性学の学士号を取得し、創作活動を通じて女性を称え高めるため、女性監督とのみ仕事をしている。 


デビュー作『The Chronicles of Lovers』(プロデューサー:カイル・シアラー/Tove Lo、キャロライン・ポラチェック、カーリー・レイ・ジェプセン)では、彼女の独特な歌声と感情豊かなスタイルが披露された。 「God Laughs」、「If We Fall」、そして最新曲「TOO MUCH!」といったシングルは、彼女の持つ脆弱性と雰囲気を醸し出す才能を存分に発揮している。


数年間イギリスで生活したマディソンは、その音楽シーンから深いインスピレーションを得て、彼女のサウンドとストーリーテリングに永続的な影響を与えています。 彼女の作品は『ワンダーランド』、『LADYGUNN』、『Rolling Stone India』、『EARMILK』、『Ones to Watch』などで特集された。

 

マダム・サイアム、ザ・ペパーミント・クラブ、ザ・ヴァイパー・ルームなどの会場でのパフォーマンスで、マディソンのライブショーは感情的な誠実さと否定できないエネルギーを融合させている——それは、まるで自分の記憶のように感じられる曲を生み出す、新進気鋭のポップ・ヴォイスとなっている。

 

「But I Do」 

 



Madison Margot is a Los Angeles-based pop singer-songwriter known for blending raw emotional storytelling with lush, cinematic soundscapes. A fifth-generation Angeleno, she began writing songs and playing guitar at eleven, turning personal experiences into vivid, unforgettable songs. She holds a bachelor's degree in Gender and Women's Studies and works exclusively with female directors to embrace and uplift women through her creative process. 


Her debut project The Chronicles of Lovers, produced by Kyle Shearer (Tove Lo, Caroline Polachek, Carly Rae Jepsen), introduced her unique voice and emotionally charged style. Singles like “God Laughs,” “If We Fall,” and her latest, “TOO MUCH!”—a moody, slow-burning track co- produced with Tone Def (Nat & Alex Wolff)—showcase her gift for vulnerability and atmosphere.


After living in England for several years, Madison drew deep inspiration from the music scene there, a lasting influence on her sound and storytelling. Her work has been featured by Wonderland, LADYGUNN, Rolling Stone India, EARMILK, and Ones to Watch. With performances at venues like Madame Siam, The Peppermint Club, and The Viper Room, Madison’s live show blends emotional honesty with undeniable energy—making her an emerging pop voice who creates songs that feel like your own memories.


Her new single "But I Do" is an introspective and dreamy indie pop single filled with Madison's honeyed-vocals singing cathartic melodies.  She shares, "I wrote “But I Do” about emotional relapse. When you’re feeling great and think you’re fully healed, but then something happens that pulls you right back into the place you thought you outgrew. This song embraces that vulnerability and finds the beauty in letting yourself feel everything fully." 


The single is shared alongside a cinematic music video shot by the iconic Hollywood sign. The t-shirt she is wearing in the cover is merch that she is selling with all the profits donated to the LA Regional Food Bank for the month of December. 




 

The Notwistは、1989年に結成したドイツのインディーロックバンド。2002年リリースの『Neon Golden』のポップ志向のサウンドと感情豊かな作品により、世界的に名が広く知られる。
 
 
2008年にはドミノ・レコーズから『The Devil, You + Me』をリリースしている。その後サウンドトラックやサブ・ポップからの作品リリースなど活動を続け、2015年には『Close to the Glass』がIMPALAの「ヨーロピアン・インディペンデント・アルバム・オブ・ザ・イヤー」にノミネートされた。


彼らの楽曲は、Four Tet、Caribou、Grizzly Bear、Console、Loopspool、Panda Bearによってリミックスされ、多くのアーティストから強い信頼を得ている。Themselves と共に 13 & God を結成したり、マーカス・アーチャーによるソロやLali Punaのメンバーとして活動するなど幅広い活躍を見せている。


ザ・ノーツイストの約5年ぶりとなる新作が来年3月13日に登場する。ドイツ/ミュンヘンでレコーディングされた今作は、1995年の『12』以来となるバンド編成によるスタジオ制作。コアメンバーのアーチャー兄弟とチコ・ベックによる共同制作の形が取られ、各自が持ち寄った楽曲をスタジオに集まってアレンジし、リハーサルの後にライブ・レコーディングされました。
 
 
エネルギーに満ちた楽曲群はこの瞬間を最大限に発揮し、テレサ・ロイブル、マックス・プンクテツァール、カール・イーヴァル・レフセット、アンディ・ハーベルらバンドメンバーとの間に生まれた魔法の瞬間をはっきりと捉えている。


オリジナル曲の他、ニール・ヤング「Red Sun」の美しいカバーとフォーク・ポップ・グループ、Lovers の「How the Story Ends」、2曲のカバー曲を収録している。また、静かで内省的に始まる「Teeth」から一転、「X-Ray」では、バンド全員が最高潮のエネルギーで、未来のアンセムを創り出し、「Propeller」のきらめく鍵盤が石が跳ねるように湧き立つ水面をかすめる。そして、「The Turning」ではアルバムで最も心を温めるメロディを力強く創り出している。
 

今作は、アートと音楽のための非営利スペース”Import Export”で1週間かけてレコーディングされたことで、完璧さを求めつつも、楽曲が聴覚のあいだで自由に呼吸して変異することを許すような、密やかな自信が微かに感じられる。そして、バンドの地元および、海外の友人たちがゲスト参加したことで、コスモポリタンな都市ミュンヘンの空気をありありと映し出すことに。


楽器のアンサンブルもきわめて多彩であり、また、バリエーションに富んでいる。エニッド・ヴァリューがヴォーカルで参加し、ハルカ・ヨシザワが大正琴とハルモニウム、ティエンピン・クリストフ・シャオがクラリネット、マティアス・ゲッツがトロンボーンで参加している。
 


The Notwistのフロントパーソンであるマーカス・アーチャーによる声明は以下の通りです。
 
 
「ミュンヘンにある、僕がよく出かける川は、ずっと前からそこにあって、僕たちのあともずっとそこにある。いつも同じように見えるけれど、じつは常に変化しているんだ。とても落ち着く存在であって、同時に、時間は川のように一方向にしか流れず、決して戻ることはできない、ということも改めて思い出させてくれる。だからこそ一瞬一瞬がとても貴重に思えるんだ」
 
 
ニューアルバムから、シングル「X-Ray」が先行公開されている。 この曲は、Yo La Tengo、Superchunkを彷彿とさせるオルタナティヴロックソングで、不協和音の中で、温かみのあるマーカスのボーカルが光る一曲となっている。イントロは、ジェロ・ビアフラ擁するパンクロックバンド、Dead Kennedysの稀代の名曲「Holiday In Cambodia」のイントロのスライドギターのごとき不穏な空気に満ちた不協和音で始まり、ジャグリーなアートロックが続く。原始的なプロトパンク、ベルリン/デュッセルドルフの古典的なテクノ、そしてタンバリンなどのパーカッションが混在しながら、ヴェルヴェット・アンダーグランド的なプロトパンクの音響を構成する。
 

前衛的なアートロック/パンクソングでありながら、親しみやすさもある。マーカスのボーカルは、Superchunk、Wilcoのように渋く、そしてメロディアスなテイストに満ちている。その中で、トロンボーンなどアヴァンジャズ的な展開が繰り広げられ、カオスとサイケデリアを作り上げる。


 
 
 
The Notwist 『News from Planet Zombie』



トラックリスト: 
 
1. Teeth
2. X-Ray
3. Propeller
4. Red Sun
5. The Turning
6. Snow
7. Silver Lines
8. Who We Used to Be
9. How the Story Ends
10. Projectors
11. Like This River


アーティストフリガナ:ザ・ノーツイスト  
タイトル: News from Planet Zombie  
タイトルフリガナ:ニュース・フロム・プラネット・ゾンビ  
JANコード: 4.53281E+12  
商品番号: AMIP-0391  
税抜価格: ¥3,200  
税込価格: ¥3,520  
発売日: 3月13日2026年  
フォーマット: 国内流通盤CD  
組枚数: 1  
ジャンル: ROCK     
レーベル名: Morr Music  
販売元:     株式会社インパートメント  
発売元: 株式会社インパートメント  

 

マーカス・アーチャー : ボーカル/ギター
ミヒャエル・アーチャー :  ベース/スーザフォン/ユーフォニウム/トランペット
チコ・ベック : ギター/キーボード/エレクトロニクス/パーカッション/リコーダー
アンディ・ハーバール : ドラム/ダルシマー
マックス・プンクテツァール : ギター
カール・イーヴァル・レフセット :  ビブラフォン/マリンバフォン/パーカッション
テレサ・ロイブル : バスクラリネット/ピアノ/オルガン/ハーモニウム