モントリオールを拠点とするアーティストであり、ポスト・ロック・バンドYour Favorite Enemiesの元フロントマンであるアレックス・ヘンリー・フォスターは、本日、今後予定されている新プロジェクトの第一弾となる楽曲「Springtime」をリリースした。ミュージックビデオが公開されていますので下記よりご覧下さい。


10月23日にリリースされる『The Fragile Beauty (of New Morning Hopes)』は、バージニア州、モロッコ、カナダで作曲・録音されたより広範なシリーズを構成する5枚のアルバムの第1弾である。これらの作品は、フォスターがひとつの人生から別の人生へと変容していく過程を描き、彼を形作る一助となったコミュニティ、人間関係、そして経験に敬意を表している。


『The Fragile Beauty (of New Morning Hopes)』からのファーストシングル「Springtime」は、フォスターが経験した個人的な苦難、特に緊急心臓手術中に手術台の上で一度死んだ瞬間を題材にしている。高まる鼓動に乗せたマイナーで不協和音的なコードは、フォスターの歌詞「Springtime, Springtime / Your grief rises afar(春よ、春よ/君の悲しみは遥か彼方へ立ち上る)」を強調する切迫感を醸し出している。


フォスターの「第二の故郷」であるモロッコのタンジェで、内省にふけりながら書かれたこのシングルは、肉体から切り離された感覚や、死の只中で生を探し求める心情を描いている。ミュージックビデオはモロッコで撮影され、フォスターの友人であった故モロッコ人アーティスト、ナジュア・エル・ヒトミが登場している。


「この曲は、故パレスチナの詩人であり作家であるマフムード・ダルウィッシュが言及した、『春』の比喩的な性質――すなわち、形のない進化への深い憧れに対する個人的な信念と待望の具体的な再生を体験したいという集団的な願望との対立する葛藤――を反映しています」とフォスターは説明する。


フォスターのグローバルな影響は楽曲の制作にも反映されており、アフリカの楽器やアラビア風のパーカッションを取り入れ、シタール、ハンマード・ダルシマー、ボンゴ、コンゴをファジーなエレキギターや力強いドラムと融合させている。


『The Fragile Beauty (of New Morning Hopes)』のリリースに続き、フォスターは、モロッコのムハミド・エル・ギズレーンの砂丘で毎年開催される、音楽、詩、芸術を紹介する遊牧民の音楽・文化フェスティバル「フェスティバル・タラルテ」のヘッドライナーを務める。この歴史的な出演は、アフリカ以外のアーティストがラインナップに名を連ねるのは初めてのこととなる。詳細は近日中に発表される予定だ。


フォスターは今秋、「Defying Gravity」ツアーでヨーロッパに再訪する。ツアーは11月24日にドイツのリュッセルスハイムで開幕し、12月12日のパリ公演まで続き、その間、スイス、デンマーク、ポーランド、ドイツの追加公演、そしてオランダを巡る。全日程は以下の通り。


モントリオールの長屋で育ったアレックス・ヘンリー・フォスターは、現在では作家、アーティスト、起業家、そして人権活動家として活躍しており、音楽、芸術、そしてコミュニティは切り離せないものであるという信念を貫いている。


レコードレーベル「Hopeful Tragedy Records」の共同オーナーであり、かつて大聖堂だった場所にマルチメディア複合施設「Upper Room Studio」を共同設立したフォスターは、2023年にレコードプレス工場「Drummond Vinyl」を開設した。その活動範囲はライフスタイルブランドにも及び、アパレルコレクションやジュエリーブランドを生み出したコンセプチュアルなクリエイティブグループ「ファブリック(Fabrik)」や、モロッコのタンジェにあるブティックホテル「ラ・メゾン・ド・タンジェ(La Maison de Tanger)」などを手掛けています。


フォスターはキャリアを通じて人権擁護に尽力し、人種差別、ストリートギャングによる暴力、子ども兵、メンタルヘルスについて声を上げ、アムネスティ・インターナショナルやウォー・チャイルドなどとの協働を行ってきました。




【リリース情報】Alex Henry Foster『The Fragile Beauty (Of New Morning Hopes)』



2026年10月23日発売

先行シングル「Springtime」配信中


【ツアー日程】

10月31日

モロッコ・M'Hamihd El Ghizlane

Festival Taragalte

11月24日

ドイツ・リュッセルスハイム

Das Rind

11月26日

ドイツ・ミュンヘン

Kranhalle

11月28日

スイス・アーラウ

KIFF

12月1日

ドイツ・ハンブルク

Nochtspeicher

12月3日

ドイツ・ベルリン

Mikropol

12月5日

ポーランド・ポズナン

Blue Note

12月6日

ポーランド・ワルシャワ

Hybrydy

12月7日

チェコ・プラハ

Café V Lese

12月8日

ドイツ・デュッセルドルフ

Ratinger Hof

12月9日

オランダ・ナイメーヘン

Merleyn

12月11日

オランダ・ズーテルメール

Cultuurpodium Boerderij

12月12日

フランス・パリ

Nouveau Casino


【アレックス・ヘンリー・フォスターについて】


モントリオール出身のアーティスト、作家、人権活動家。オルタナティブロックバンド Your Favorite Enemies のフロントマンとして国際的な活動を展開した後、ソロアーティストとして独自の創作活動を続けている。

レコードレーベル Hopeful Tragedy Records の共同運営や、クリエイティブ拠点 Upper Room Studio の設立をはじめ、音楽制作、出版、映像、ホスピタリティなど多岐にわたるプロジェクトを手がける。また、長年にわたり人権問題やメンタルヘルスに関する啓発活動にも取り組んでいる。


代々木上原に、音楽レーベルがつくるカフェが生まれる。構想20年のクリエイターズスタジオ OPRCT の1Fに開かれた、音楽と人のハブ


higher.は、単なるカフェではなく、音楽・クリエイティブ・コミュニティが交わるハブとして生まれました。


空間のサウンドディレクションはSWEET SOUL RECORDSが担当し、ソウル、R&B、ジャズなどを中心に、時代を超えて愛される音楽と新しい才能を紹介していきます。


スピーカーにはベルリンのH.A.N.D HiFiによるカスタムメイドシステムを採用し、音楽と日常が自然に溶け合うリスニング環境を実現しました。


 

higher.


higher.が入るOPRCTは、撮影スタジオ、イベントスペース、ライブベニューなどを備えたクリエイターズスタジオです。今後はリスニングセッションやトークイベント、ワークショップなども開催し、音楽をきっかけに人と人がつながる場を目指しています。 お近くにお越しの際は、ぜひ気軽にお立ち寄りください。コーヒーを飲みながら音楽の話ができれば嬉しく思います。皆さまにお会いできることを楽しみにしております。


 




higher.(ハイアー)

グランドオープン:2026年6月26日(金)

住所:東京都渋谷区上原一丁目29番10号 OPRCT 1F

(代々木上原駅 南口1 徒歩1分)

営業時間:9:00–17:30

定休日​​​​​​:不定休


Web: highertokyo.shop/

Instagram: @higher.tokyo


Acne Studios(アクネ・スタジオズ)は、ミシェル・オバマ氏が、シカゴで開催されたオバマ大統領センターの開館記念レセプションイベントにて、特注のスカートを着用したことを発表いたします。

 

このスカートは、*ポール・コイカー(Paul Kooiker)の作品へのオマージュとして制作されたものです。その着想源となった写真作品は、『Acne Paper』のパリ・パレ・ロワイヤル・ギャラリーでの展示で発表され、その後、アクネ・スタジオズの2026年秋冬コレクションにも取り入れられました。


このコンセプトは、スタイリストのMeredith Koop(メレディス・クープ)の依頼により、ミシェル・オバマ氏の亡き母であるMarian Robinson(マリアン・ロビンソン)の若き日の肖像を用いて新たに再解釈されたものです。


* 1964年生まれのオランダ・ロッテルダムを拠点に活躍する現代写真家・アーティスト




Acne Paper(アクネ ペーパー)は、第21号となる最新号「Autoportrait」を発表いたします。本号は、1996年にストックホルムで誕生したAcne Studios(アクネ ストゥディオズ)の30周年を記念し、ブランドを取り巻くクリエイティブな世界を「自画像」として映し出した特別号です。


Autoportraitでは、過去30年にわたるファッション、アート、建築、デザイン、出版、そしてクリエイティブなコラボレーションを横断しながら、Acne Studiosを形作ってきた文化的背景を探ります。それは、既成概念ではなく好奇心によって導かれる、独立性と学際性に満ちた世界観です。


表紙は、Carlijn Jacobs(カーライン・ジェイコブス)による撮影、Imruh Asha(イムル・アシャ)によるスタイリング、そしてLulu Tenney(ルル・テニー)を起用したビジュアルで構成されています。アートとファッションが交差するなかでの、創造的自由、親密さ、そして喜びに満ちた本号の精神を表現しています。意図的に衣服をまとわず登場するTenneyの姿は、文化や感情、創造性を軸にしたイメージ表現と出版という、Acne PaperおよびAcne Studiosに通底する姿勢を象徴しています。








Autoportraitの中心となるのは、Jordan Hemingway(ジョーダン・ヘミングウェイ)、Guinevere van Seenus(ギネヴィア・ヴァン・シーナス)、Malick Bodian(マリック・ボディアン)、Katerina Jebb(カテリーナ・ジェブ)による4つのセルフポートレートストーリーです。加えて、Casper Sejersen(キャスパー・セイェルセ)が撮影し、George Krakowiak(ジョージ・クラコヴィアック)がスタイリングを手がけたAcne Studiosアーカイブ特集も掲載されています。


本号にはさらに、Sadie Coles(セイディ・コールズ)、Honey Dijon(ハニー・ディジョン)、Max Lamb(マックス・ラム)、Viviane Sassen(ヴィヴィアン・サッセン)、Robbie Barrat(ロビー・バラット)、そしてスウェーデン人女優Lena Endre(レナ・エンド)へのインタビューを収録。Natasha Fraser(ナターシャ・フレイザー)、Mark Holgate(マーク・ホルゲート)、Johanna Agerman Ross(ヨハンナ・アガーマン・ロス)、Xerxes Cook(クセルクセス・クック)、Ben Evans(ベン・エヴァンス)、Frances Armstrong Jones(フランシス・アームストロング・ジョーンズ)、Vince Aletti(ヴィンス・アレッティ)によるエッセイも掲載されています。


クリエイティブにおける独立性がますます希少となる時代に発表されるAutoportraitは、Acne Studiosが現在もファッションシーンにおいて独自の立ち位置を保ち続けていることを映し出しています。ストックホルムの小さなクリエイティブ集団としてスタートした同ブランドは、30年にわたり独立経営を維持しながら、アートや建築、出版文化によって育まれた独自のカルチャーと制作姿勢を守り続けています。

 

祝祭であると同時に回顧録でもあるAutoportraitは、この30年間にわたりAcne Studiosの世界観を形作ってきた数多くのアーティストやコラボレーター、友人、文化人たちを映し出すポートレートでもあります。その中心には、1996年以降、協働的かつ領域横断的なビジョンによってAcne Studiosを導いてきたJonny Johansson(ジョニー・ヨハンソン)が存在しています。


Acne Paper Issue 21

¥9,350(税込)




この度、株式会社パルコ(本部:東京都渋谷区、以下、パルコ)は、株式会社円谷プロダクションの協力の下、渋谷PARCO 4F「PARCO MUSEUM TOKYO (パルコミュージアムトーキョー)」にて、ウルトラマンシリーズ60周年を記念した新たな企画展「SHUWATCH with U」を開催します。本展のキュレーションは、株式会社NANZUKAが担当します。


1966年に放送を開始した特撮TV番組『ウルトラマン』は、日本を代表するカルチャーとして世代や国境を越え、多様な領域へ影響を与え続けてきました。本展では、その圧倒的なビジュアルイメージと精神性を起点に、12名の国内外で活躍するアーティストたちがそれぞれの視点で“ウルトラマン”を再解釈。絵画、立体など多彩な表現を通して、没入感のある新たな空間を展開します。また、本展のキービジュアルには、ストリートグラフィティをベースに、透明感あふれる独自の表現で国際的に注目を集めるアーティストVance Yuanの作品を起用しています。


ヒーローと怪獣、光と闇、想像力と未来。日本発の巨大なイマジネーションは、いま再び、東京・渋谷から世界へ拡張していきます。

展示概要

「SHUWATCH with U」

会期:2026年7月3日(金)〜 8月3日(月)11:00〜21:00

会場:PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)

住所:東京都渋谷区宇田川町15-1

入場料:一般 500円(税込)※小学生以下無料、※その他、株主優待を含む割引対象外

公式HP:https://art.parco.jp/museumtokyo/detail/?id=1927

主催:PARCO、キュレーション:NANZUKA、協力:円谷プロダクション、デザイン:YAR

 

※ 入場は閉場の30分前までにご来場ください

※ 最終日は18時閉場となります

※ 営業日時は変更となる場合がございます、渋谷PARCOの営業日時をご確認ください。


展示の一例




参加アーティスト

Jean Jullien(ジャン・ジュリアン)、 Pex Pitakpong(ペックス・ピタックポン)、Roby DwiAntono(ロビィ・ドゥウィ・アントノ)、Ron DeFelice(ロン・デフェリス)、Ryuichi Ohira(大平 龍一)、Ryunosuke Okazaki(岡﨑 龍之祐)、 Stickymonger(スティッキーモンガー)、Takeshi Masada(政田武史)、Tetsuya Nakamura(中村 哲也)、Vance Yuan(ヴァンス ユアン)、UFO907(ユー・エフ・オー・ナイン・オー・セブン)、Koichi Sato(佐藤貢一)

作家たちの言葉

この作品は、私の子ども時代のウルトラマンの記憶に捧げる、小さな祭壇のような存在です。彼は単に『見ていたヒーロー』ではなく、私の想像力を静かに形づくった光のような存在でした。」- Roby Dwi Antono

 

「ウルトラマンへの憧れは、思い出として終わらない。子どもの遊びを通って身体に入った身振りが、いまも制作の中で反復される。私はその反復を、ただのノスタルジーではなく、祈りが続いている時間として扱いたい。」 - 岡﨑龍之祐

 

「幼かったあの頃、私たちには世界を変えるような本当の力はありませんでした。それでも、『自分たちが世界を守れる』と無邪気に信じていました。 ウルトラマンはただ怪獣と戦う存在ではありませんでした。彼はテレビの前の子供たちに、一歩踏み出す勇気と心の強さを与えてくれる存在だったのです。」- Vance Yuan

 

作家たちの言葉からは“ウルトラマン”が単なるキャラクターではなく、それぞれの想像力や創作の原点として存在していることが浮かび上がります。

 



イギリスやヨーロッパ圏の十八番であったダンスミュージック/ビートミュージックは今や西海岸を中心に発展しつつある。例えば、P-Vineの関係者に聞いたところによると、ロスではビートシーンが盛んだという。また、全般的にはジャズも盛んであるように感じる。少なくとも、LA/サンディエゴには東海岸や中西部、南部とはひと味違う個性的な音楽が見つけられるはずだ。

 

今回、アメリカのエージェンシーを通じてご紹介するデュオ、UNTER STRØMもまた西海岸のダンスミュージックが盛り上がっていることを象徴づける。UK/ドイツ的なダンスミュージックの影響も感じられるディープハウス/ゴアテクノ。反復的なビートがアシッド的な空気感を放つ。プロデュースを手掛けたのはNINのマスタリングエンジニア、マイク・マーシュ。そこまでメタリックではないものの、楽曲の力強さは圧巻である。


UNTER STRØMロサンゼルスとサンディエゴの陰で結成されたエレクトロニック・ミュージック・デュオであり、生々しいインダストリアル・サウンドとメロディックな洗練さを融合させている。

 

アレックス・ゴンザレス(Matte Blvck)とジョン・クンケル(The New Division、John Grand)が率いるこのプロジェクトは、エレクトロニック・ミュージックやオルタナティブ・ミュージックの面に深く根ざした、多作なクリエイターであり長年のコラボレーターである二人の衝突から生まれたものである。


ゴンザレスはMatte Blvckとして急成長を遂げ、絶え間ないツアーと全米各地でのソールドアウト公演を通じて世界的なファンベースを築き上げてきた。一方、クンケルはJohn Grandとしての活動で、『A State of Trance』のアーミン・ヴァン・ブーレンをはじめとするトレンドセッターからの支持を獲得し、『Group Therapy Radio』でのゲストミックスも担当している。二人は、アンダーグラウンドの激しさと、メロディックでダークなエレクトロニック・サウンドの洗練さが交差する地点で出会った。

 

様々なバンドやスタジオでの長年の共同作業を経て誕生したUNTER STRØMは、テクノ、メロディック・ハウス、インダストリアル・サウンドの境界を未踏の領域へと押し広げたいという共通の執念から生まれた。その結果生まれたのは、陰鬱な緊張感と陶酔的な解放感の間を行き来する、映画的で本能に訴えかけるサウンドであり、倉庫のような閉塞感とワイドスクリーンのような広がりを等分に兼ね備えている。


「Fold」はUNTER STRØMの2枚目のシングルであり、進化を続ける彼らのサウンド・アイデンティティの、よりダークで抑制の効いた一面を明らかにしている。催眠的な低音の圧力、インダストリアルなテクスチャー、そして繊細なメロディックな緊張感を軸に構築されたこのトラックは、ミニマル・テクノの領域へとさらに深く踏み込みつつ、瞬く間にデュオの代名詞となったシネマティックな雰囲気を維持している。

 

「Fold」の基盤は、フェスティバル出演のためカルガリーへ向かう機内で、アレックス・ゴンザレスによって構築された。重層的なベースの動きとミニマルなリズム要素を用いた実験として始まったこの曲は、瞬く間にプロジェクト屈指の没入感あふれる楽曲へと発展した。


これまでの作品に見られた壮大なメロディのピークとは異なり、「Fold」は抑制の中にこそ真価を発揮する。脈打つようなベースのプック音、変化し続けるテクスチャー、そして機械的なパーカッションが、暗い部屋や長時間のダンスフロアのために設計された、催眠的な深夜の雰囲気をゆっくりと醸し出していく。


トラックの核となる基盤を構築した後、ゴンザレスはセッションを長年のコラボレーターであるジョン・クンケルに送った。メロディックな緊張感、雰囲気、そしてサウンドの細部に対する彼の直感的な感覚が、このトラックを最終的な形へと発展させる助けとなった。二人の間のクリエイティブな関係は、UNTER STRØMを特徴づける要素となっており、個々の貢献と共有されたビジョンの境界線を曖昧にする、迅速なやり取りを通じてアイデアは絶えず進化し続けている。


相互の敬意に根ざしたコラボレーションとして始まった関係は、実験と信頼に支えられたクリエイティブなパートナーシップへと急速に発展した。両アーティストは異なる角度から制作にアプローチしており、楽曲が二人の間を行き来する中で、自然と変容していく。その相乗効果はUNTER STRØMのアイデンティティの中核となり、このプロジェクトを単なるクラブミュージックを超え、より没入感があり、映画的で、感情的な高揚感に満ちたものへと押し上げている。


プロジェクトのデビュー作で確立されたコラボレーションのアプローチを引き継ぎ、高名なプロデューサー兼エンジニアであるアーロン・ショートが再びミキシングを担当した。彼は、トラックの奥行き、重厚感、そして映画的な雰囲気を保ちつつ、密度の高い低音域とインダストリアルなテクスチャーのバランスを巧みに調整した。


マスタリングは、Nine Inch Nailsのアルバム『Nine Inch Noize』全編のマスタリングを手掛けた多作なマスタリング・エンジニア、マイク・マーシュが担当し、「Fold」を現代のインダストリアル・ミュージックや先進的なエレクトロニック・ミュージックの系譜にさらに深く結びつけた。


このトラックは、UNTER STRØMのライブ・セットやオーディオビジュアル・パフォーマンスにおいてすでに際立った存在となっており、ミックスやライブ録音での披露後、観客から未発表のIDについて繰り返し問い合わせが寄せられている。


「Fold」は、流行や予測可能な構造を追うのではなく、インダストリアル特有の荒々しさ、ミニマリズム、そして映画的な深みをバランスよく融合させた、感情に訴えかけるエレクトロニック・ミュージックを創造するというUNTER STRØMの姿勢を、さらに確固たるものとしている。



「Fold」

 

▪︎EN

Dance music and beat music, once the forte of the UK and Europe, are now developing primarily on the West Coast. For example, according to a source at P-Vine, the beat scene is thriving in Los Angeles. I also get the sense that jazz is generally thriving there as well. At the very least, you should be able to find music in LA and San Diego that’s different from what you’d find on the East Coast, in the Midwest, or in the South.
 

The duo UNTER STRØM, whom we are introducing through an American agency, also symbolizes the current boom in West Coast dance music. Their deep house and goa techno sound carries influences from UK and German dance music. The repetitive beats exude an Acid-House atmosphere. The track was produced by Mike Marsh, producer for NIN. The sheer power of the track is breathtaking.


UNTER STRØM is an electronic musical duo forged in the shadows of Los Angeles and San Diego, blending raw industrial grit with melodic finesse. Led by Alex Gonzales (Matte Blvck) and John Kunkel (The New Division, John Grand), the project is a collision of two prolific creative forces & longtime collaborators whose roots run deep in the darker corners of electronic and alternative music. Gonzales has been on a sharp upward trajectory with Matte Blvck, building a global fanbase through relentless touring and a string of sold-out shows across the United States, while Kunkel’s work as John Grand has earned support from tastemakers like Armin van Buuren on A State of Trance and a guest mix on Group Therapy Radio. Together, they meet at the intersection of underground intensity and melodic dark electronic refinement. 

Emerging from years of working together in various bands and studios, UNTER STRØM was born from a shared obsession: pushing the boundaries of techno, melodic house, and industrial sonics into uncharted territory.  The result is a cinematic, visceral sound that moves between brooding intensity and euphoric release, equal parts warehouse and widescreen.


“Fold” is the second single from UNTER STRØM, revealing a darker and more restrained side of the project’s evolving sonic identity. Built around hypnotic low-end pressure, industrial textures, and subtle melodic tension, the track leans deeper into minimalist techno territory while maintaining the cinematic atmosphere that has quickly become part of the duo’s signature sound.

The foundation for “Fold” was created by Alex Gonzales during a flight to Calgary for a festival performance. What began as an experiment with layered bass movement and minimal rhythmic elements quickly developed into one of the project’s most immersive compositions.


Unlike the larger melodic peaks introduced in previous material, “Fold” thrives in restraint. Pulsing bass plucks, evolving textures, and mechanical percussion slowly unfold into a hypnotic late-night atmosphere designed for dark rooms and extended dancefloor moments.


After building the core foundation of the track, Gonzales sent the session to longtime collaborator John Kunkel, whose instinct for melodic tension, atmosphere, and sonic detail helped expand the track into its final form. The creative relationship between the two has become a defining element of UNTER STRØM, with ideas constantly evolving through a fast-moving back-and-forth process that blurs the line between individual contributions and shared vision.


What began as a collaboration rooted in mutual admiration quickly evolved into a creative partnership fueled by experimentation and trust. Both artists approach production from different angles, allowing tracks to naturally transform as they pass between them. That chemistry has become central to the UNTER STRØM identity, pushing the project beyond straightforward club music into something more immersive, cinematic, and emotionally charged.


Continuing the collaborative approach established on the project’s debut material, acclaimed producer and engineer Aaron Short once again handled mixing duties, helping preserve the track’s depth, weight, and cinematic atmosphere while balancing its dense low-end and industrial textures.


Mastering was completed by prolific mastering engineer Mike Marsh, who recently mastered the entire Nine Inch Noize album from Nine Inch Nails, further connecting “Fold” to the lineage of modern industrial and forward-thinking electronic music.


The track has already become a standout moment during UNTER STRØM’s live Transmission sets and audiovisual performances, where audiences have repeatedly asked about the unreleased ID following appearances in mixes and live recordings.


Rather than chasing trends or predictable structures, “Fold” further establishes UNTER STRØM’s commitment to creating emotionally charged electronic music that balances industrial grit, minimalism, and cinematic depth.

 



個人的に、音楽的に大きな共感を覚えているのが、カナダ/トロントのアンビエントポップ・ユニット、シャバソン&クルゴヴィッチです。2020年の共同アルバム『Philadelphia』以来、ジョセフ・シャバソンとニコラス・クルゴビッチは、日々の些細な出来事から美しさと壮大さを遠心分離機のように引き出す音楽的な軌道に乗ってきた。彼らの共同作品群を通じて、皮肉と哀愁を帯びた微細な瞬間が、静かに心の壮大な驚異へと花開く小さな宇宙を創り上げてきました。


しかし、これまでの共同作品が、変異を遂げたアダルト・コンテンポラリーや「思いつき即採用」の詩学という潮だまりからポップソングを覗き見るようなものだったのに対して、『Four Days in June』は、車のセンターコンソールに常備され、人生の出来事に合わせていつでも再生できるような、CD時代のソングライティングへの気取らないアプローチを捉えている。


その精神的な源泉は、「Harvest Moon」やR.E.M.、K.D.ラングの「Ingenue」といった全盛期の不朽の名作に接ぎ木されている一方で、ペダル・スチール、バンジョー、フィドルのきらめきを通じて90年代のポップ・カントリーにウインクを送っている。しかし、これらすべてのインスピレーションは、自己に誠実であり、他から借りてきたものではない。


それらは、シャバソンとクルゴビッチの共同作品の特徴となっている、透き通るような誠実さをさらに際立たせ、強調している。『Four Days in June』は、過ぎ去った半生を振り返り、物事が展開してきたあり方に満足を見出す二人の記録である。まさにその過程を通じて、シャバソンとクルゴビッチは、自らの創造性の最も自然体な姿の中に、静かな自信を見出している。


最新作『Four Days in June』は、そのタイトルが示す通り、まさに夏に生まれた作品だ。ペダル・スチール奏者のイアン・マクギンプシーの参加が決まったことをきっかけに、ジョセフは、クルゴビッチがバンクーバーからやって来られるかどうか確信が持てないうちに、自身のトロントのスタジオへ、信頼のおける中核メンバー(ベーシスト兼キーボーディストのブラム・ギーレン、ギタリストのトム・ギル、ドラマーのフィル・メランソン)を呼び集め始めた。


ニックは、ツナミのジェニー・トゥーミーの新作アルバムのプロデュースを終えたばかりで、音楽に没頭していない時に見つけた心の余裕を楽しんでいた。一方、幼い子供たちの子育てに伴うストレスと喜び、そして(2019年のソロアルバム『Anne』のタイトルにもなっている)母親のパーキンソン病の症状悪化に直面する中、ジョセフは音楽制作に没頭することで、日々の重圧に抗う支えを見出していた。


シャバソンとクルゴビッチは、ミドルエイジの初期という異なる次元において、インスピレーションの対極に立ち、『Four Days』に二人の名前が共に載ることに確信が持てずにいた。しかし、古くからの友人フィル・エルヴァラムと、彼が最近ファンになったフォークミュージシャンのサム・エイミドンが、『Four Days in June』のレコーディングが予定されていた時期、それぞれのツアーでトロントに集結するという話を耳にし、クルゴビッチはプロジェクトへの参加を決意した。実際、Four Daysのメンバーは、その日のエルヴァラムのバックバンドを務め、エイミドン本人もスタジオに立ち寄り、バンジョーとフィドルで参加することになった。ついに星が揃い、『Four Days in June』はトロントを襲った歴史的な熱波の中で誕生した。

 


Shabason & Krgovich 『Four Days in June』- Idee Fixe

 




シャバソン&クルゴヴィッチは、昨年、日本のテニスコーツとのコラボレーションアルバムをご紹介しましたが、2年連続の登場となります。昨年は、日本語歌詞を交えた歌謡的なサウンドと実験的なエレクトロニック作品を発表した彼らですが、今年のアルバムもボーカル付きのIDM集であり、この二人の相性の良さ、常時的なユニットとしての才覚を余すところなく伝えています。そのサウンドはどことなく精妙な感じがし、さらに大人のためのポップスとも言えます。『Four Days in June』は、全体的に言えば、アダルトコンテンポラリーやAORの領域に属していますが、 実験的な電子音楽の影響もあり、そしてジャズからのフィードバックも含まれています。

 

IDMというのは、「Intelligence Dance Music」の意味で、平たく言えば、家や屋内での鑑賞に適している。これはダンスフロアのアップテンポなビートとは対照的で、いわゆる聞き専寄りの音楽です。ビートは控え目か、もしくは希薄で、メロディアスな性質を持つ電子音楽とも言える。これらのサウンドの先駆けは、BonoboとかAphex TwinなどWarpやNinja Tuneの所属アーティストです。

 

神戸の由緒ある西洋館「旧グッゲンハイム邸」に滞在して書かれたテニスコーツとの共同制作アルバムではまだ不明瞭でしたが、 今回のアルバムでは、シャバソン/クルゴヴィッチのサウンドが環境音楽やアンビエントの雰囲気に満ちていることが分かる。これが彼らのサウンドが「アンビエントポップ」と呼ばれる所以です。今作ではまた、カナディアン・フォークミュージックの影響も含まれているという気がする。様々なジャンルが混在し、1つのジャンルにとどまりません。シンプルに言えば、両者の音楽的な背景が自然な形で楽曲の中に混在しています。

 

「Begin Again」はシンセの穏やかな感覚に満ちたメロディから始まり、ジャカジャカという心地よいエレクトリックギターが鳴らされる。楽曲は、それほど構成主義ではなく、心地よいメロディーや音楽空間を作り上げ、全体的な構図の中で、何ができるかを探していくという感じなのでしょう。 しかし、彼らの音楽にはひらめきやはっとさせる感覚があり、アコースティックドラムの精細感のある演奏、アフロビートやジャズで使用されるようなフルートの音色が乗ると、曲はとつぜんカラフルな印象を帯びていく。そしてベース音をとっかかりにして、ボーカルが入ると、音楽そのものが重厚感を帯び、どっしりした安定感を音楽全体に及ぼしています。

 

その一方、器楽的なアプローチの中でも、楽曲のボーカルは機械的になりません。ほのかな温かみとエモーショナルな質感を帯びながら、ジャズライクなポップソングの裾野を少しずつであるが押し広げていく。ボーカルと器楽的なフレーズのバランスも良く、過剰に均衡を図りながら、音楽そのものが深みを増していく。分けても、見事なのは、アコースティックドラムを打ち込みのドラムのように見立てながら、ビートを上手く構成し、ボーカルを中心とするメロディと巧みに結びつけていく。玄人好みのサウンドと言えますが、決して難解にはなりません。聴きやすさと温かさを兼ね備えた素晴らしいアダルトコンテンポラリーソング。そのほか、幻想的な雰囲気のあるコーラス、そしてムーディーなギターなどを混在させ、見事なアートポップソングを作り上げる。コラージュや再構成の発想もあるが、決して楽曲の品位を損ないません。シャバソンとクルコーヴィッチは全体的な音楽の自然な流れを重視しているのです。

 

 

「Begin Again」 

 

 

 

「Along the Dance Away」ではニール・ヤングの『Harvest Moon』のような幻想的なフォークサウンドをIDMのスタイルと融合させている。特に、このアルバムは、海辺の夕焼けのような心地良い情景を音楽的に象り、それらがジャック・ジャクソンのようなアロハなフォークソングと融合している。なぜかしれないが、聴いていると、現実的な考えから少し離れ、波にゆったりと揺られているような感覚を味わうことができます。


この曲でもボーカルが入っているが、一曲目に比べ、器楽的な効果が強調されている。それほど明確なメロディをもたず、スキャットや鼻歌のような効果を押し出しながら、スティールギター/ギター、吹奏楽器、ドラム、ベースを散りばめながら、抽象的ではあるが、見事なハーモニーを形成していく。特に、曲の後半では、バックボーカルのコーラスが加わると、神々しい雰囲気を帯び、バンジョーなど個性的な楽器の演奏を織り交ぜながら、どこまでも心地良く穏やかな感じの音楽空間を作り上げています。

 

「Field Mouse」はジャズ和声を重視した分散和音のピアノ、ギター、サクスフォン、シンセサイザー、ドラム/シンバル、ウッドベースを構造的に解釈し、うっとりした空気感を作り上げる。全体的には、アンビエントジャズともいうべき構成に、ボーカルが加わる。これもまた渋い感じで、全体のミックスに溶け込んでいる。残響や休符の後の静けさを活かし、玄妙なポップソングの世界が作り上げられる。ボーカルも2つの録音を対比させながら、美しく幻惑的なハーモニーを構築していく。こうした音楽は、作曲における方法論にとらわれないで、シンプルに良い音楽を作っていこうというシャバソン/クルゴヴィッチの考えを捉えることができます。

 

「Midday Sun」はフォークソングとロックの中間にある軽快なサウンドで、Yo La Tengoを彷彿とさせる。アメリカーナの影響を活かし、ボーカルとギター、ドラムが合わさりドライブ感のあるポップ/ロックソングに繋がっていく。音楽的には、夕日に向かって走るような雰囲気があり、青春映画のような音楽性を感じる事もできるかもしれません。この曲では、女性ボーカルをコーラスワークに据え、軽妙なAOR/アダルト・コンテンポラリーのサウンドを作り出しています。

 

「No Two」はシャバソン/クルゴヴィッチの実験音楽の性質が色濃く出た一曲。ジム・オルークのようなアヴァンフォークの影響を交え、ギター、ボーカル、シンセ、ストリングなど様々な音のマテリアルを散りばめ、シュールレアリスティックで、絵画的な印象を持つ音楽へと到達していく。このアルバム『Four Days In June』の中では、異色の一曲と言えるかもしれません。


「Road」はジャズとフォーク/カントリーの中間点に位置し、依然としてボーカルの温和な印象が維持されている。ドラムとボーカルがこの曲を先導し、スネアの異なるトーンの叩き方や、ロールの演奏を活かし、牧歌的な感覚に満ちた癒やしの雰囲気あふれるボーカルと合致している。バンジョーとスティール・ギターの組み合わせは、夢想的な雰囲気を呼び覚まし、何かしら、永遠と続く一本道のような幻想的な情景をぼんやりと浮かび上がらせます。音楽そのものが物語を紡ぐような感じや、印象的なシーンをふと想起させます。これらは、このユニットの音楽の主な特徴でしょう。

 

「43」は『Four Days in June』のハイライトとなる。基本的に、音楽は鳴っている箇所だけではなく、鳴らない箇所もまた同じくらいに重要だと教えてくれます。このデュオとしては珍しくクールさを感じさせる一曲です。アコースティックギター、そしてドラムンベースのリズムを生かしたIDMのアプローチが融合している。という意味では、「フォークトロニカ」というフォーク/エレクトロニカの系譜に属するが、Mumのようなサウンドとは一線を隠している。リズムには鋭さがあるし、音楽性もまた、まったりしすぎていません。様々な音の構成から要所だけを抽出したIDMであり、特にハーモニーに重点が置かれている。楽曲自体はミニマリズムの性質が強いが、ジャズの性質を持つことを考えますと、Ninja TuneのJaga Jaggiztに近い印象があります。これらは少なくとも、相当な音楽的な蓄積や経験がなければ出来ないと思われますが、シャバソン/クルゴヴィッチは、難しいことを当たり前のようにやっていて、敬意を表したいです。作曲的には、転調を繰り返しながら、色彩的な印象を押し出し、それに合わせてボーカルが乗せられる。音量的にエポックメイキングな箇所を強調せず、対象的に、メロディの流れや休符、そして、その後の音の立ち上がりを中心に重厚な音楽性を作り上げています。

 

 

「43」

 


「Boppin' Along」ではフュージョンジャズのアプローチが取り入れられているように感じるものの、ポピュラーとしての性質が弱まることはありません。クランチな印象を持つバス・ドラムのどっしりとしたリズムに対し、カナディアン・フォーク・ミュージックの真価とも呼ぶべきシークエンスが出てくる。アメリカ的ともイギリス的とも言えない、ボーカルを中心とする独特なフォークソングのタイプが感じられます。それらがフィドルや吹奏楽器のような演奏と組み合わされ、ハワイアンミュージックのような安らぎのある開放的なフォークミュージックに繋がっている。ときには、女性ボーカルやピアノといった華やいだ雰囲気を添えながら、後半部にかけて伸びやかな音楽が続いていく。さらに曲のクライマックスでは、ジャズ的な性質を強めながら、ソウルフルな音楽が強まる。上手く説明出来ない部分もあるが、両者は、体感的な音楽を見事な形で展開させていきます。曲が終わった後、爽快感あふれる余韻が残る。

 

全体的には、やはりアダルト・コンテンポラリーやAORの楽曲が目立っています。これらは80年代のダンスポップやソウルミュージックなどを組み合わせる動向として、音楽シーンを部分的に席巻した印象を受ける。現在は、IDMやヨットロック、あるいはジャズやフォークのような音楽と組み合わされて、また新しいムーブメントになっていきそうな気配。「Dry Corner」は癖のないシンプルなポップソングで、このデュオの友情的な音楽性が強まる瞬間でもある。音楽をじっくりと聴いていると、心が温かくなるような感覚が残るに違いありません。

 

「Little Wind」は名曲と言っても差し支えないかもしれません。また、ボブ・マーリーのような伝道的な性質を持ったポップソングと言えるかもしれない。アコースティックギターとボーカル、ドラム、ハモンド・オルガンを中心とするフォークソング/ポップソングが展開され、オルガンのゴスペルの雰囲気、そして舞い上がるようなスティールギターが織りなす素晴らしき音楽の世界。彼らは、エレクトリックギターの遊び心のあるアプローチを取り入れながら、安らいだ音楽の境地に導く。刺激的な音楽を求めるリスナーにはちょっと物足りないかもしれませんが、これもまた音楽的な究極なのでしょう。そこには、やはり、全般的な万物への愛や慈しみの感覚が余すところなく表されているという気がします。そして、それこそが音楽を作る上で最も大切なことなのだといっておきたいです。

 

クローズを飾る「Time Of Your Life」は三拍子を中心とするリズムの構成で、フォークソングやポップソングの中間にある。シャバソン・クルゴヴィッチの人生観を反映させた一曲ということになるでしょうか。アルバム全体に通じるスティールギターのほんわかとして舞い上がるような雰囲気を大切にしながら、シャバソンとクルゴヴィッチは琴線に触れるフォーク/ポップソングの集大成を提示します。この曲のボーカルの部分には、肩を組んで歌うようなフレンドシップやハートウォーミングな感覚に満ちている。音楽自体が聞く人の心を和らげ開放させる。じっくり聴いていると、頭がすっきりとし、心が軽くなってくる。これほど理想的な音楽は他には見いだしづらいものがあります。はたして、冒頭の「大人のためのポップアルバム」という呼び方がふさわしいかはわかりませんが、円熟味溢れる聴き応えのある作品となっています。

 

 

86/100 

 

 

「Little Wind」

 

 

 

▪Shabason & Krgovich 『Four Days in June』は本日、Idee Fixe Recordsより発売されました。ストリーミングはこちらから。


ゲーム音楽の世界で活躍する中村ヒロの新作アルバムがTokyo Bedroom Orchestra名義でリリースされる。ゲームサントラで活躍するミュージシャンによるアンビエントをメインのアルバムとなる。

 

これまで、『STEINS;GATE ELITE』のサウンドデザインや、『ゆるキャン△』シリーズ、『学園アイドルマスター』関連楽曲への参加など、ゲーム/アニメ作品にも携わってきた音楽家、中村ヒロによるソロ・プロジェクト《Tokyo Bedroom Orchestra》が、KITCHEN. LABELよりニューアルバム『追憶』をリリース。

 

アルバムの発表と合わせて先行シングル「式日」が配信開始されている。以下よりチェックしてみてください。



Tokyo Bedroom Orchestra 『追憶』



発売日 : 2026年7月10日(金)

アーティスト : Tokyo Bedroom Orchestra

タイトル : 追憶

レーベル : KITCHEN. LABEL

流通 : Inpartmaint Inc. / p*dis


フォーマット① : CD (国内流通盤)

品番 : AMIP-0400 / 本体価格 : ¥3,520(税込)


フォーマット② : カセット(輸入盤)

品番: KI-049LP / 本体価格 : オープン価格


フォーマット③ : デジタル配信


TRACK LIST

1. 式日

2. 水面

3. 夕餉

4. 斜陽

5. 飛泉

6. 雪嶺

7. 夜籟

8. 月海

9. 砂蟹

10. 微睡

11. 陽光

12. 追憶



詳細:

本作は、福岡の静かで自然豊かな地域での生活の中で、中村ヒロが出会った風景や音から着想を得た作品。直接的な情景描写ではなく、光や距離感、自然の微細な揺らぎといった印象を、“音の記憶”として描き出している。


身近な環境で録音された音や、ループするテープをはじめとするカセットテープに記録された素材をもとに、中村ヒロは音をゆるやかに移ろわせていく。フィールドレコーディングやアナログ・シンセ、エフェクトペダル、アコースティックな音の断片は、テープに織り込まれたような質感の中を漂い、ギター、ストリングス、声が現れては静かに溶けていく。カセットテープは単なる録音媒体ではなく、音を揺らし、変化させる楽器のように扱われ、ノイズや揺らぎ、テープに刻まれるざらつきまでもが作品の手触りとして残されている。


明確な歌の構造やポップス的な展開から距離を置き、音そのものの変化、質感、余白に耳を向ける本作は、実験的なアンビエントでありながらも、決して冷たくはない。静かなノスタルジアと瞑想的な時間感覚をたたえ、画面上で構築される音楽というより、テープを回し、機材に触れ、偶然生まれる揺らぎに耳を澄ませながら形作られた音楽である。旋律だけでなく、空気や距離感までもが表現として機能し、牧歌的でありながら輪郭を定めない感覚を生み出している。


アルバムには、中村ヒロ自身の結婚式にまつわる音の断片も静かに織り込まれている。また、妻でありシンガーソングライターの佐々木恵梨が、声とバイオリンで参加。さらにパッケージには、中村ヒロ自身が使い捨てカメラで撮影した写真も使用されている。音、写真、声、風景が重なり合うことで、『追憶』は単なる風景描写ではなく、Tokyo Bedroom Orchestraにとって最も個人的な記憶のアーカイブとして響いている。


『追憶』でTokyo Bedroom Orchestraが提示るのは、答えへ向かうための音楽ではなく、ただそこに身を置くための空間だ。記憶とは、きれいに保存されるものではなく、ノイズや揺らぎとともに、ふとした瞬間に立ち現れるものなのだと、この作品は静かに語りかけている。マスタリングは田辺玄(Studio Camel House)が担当。


<Tokyo Bedroom Orchestra プロフィール>

Tokyo Bedroom Orchestraは、中村ヒロによるアンビエント・ミュージック・プロジェクト。東京での活動を経て、現在は福岡を拠点に制作を行っている。カセットテープ、アナログ・シンセサイザー、フィールドレコーディング、エフェクトペダルを用い、手で音に触れながら、儚いメロディと映画の余韻のようなサウンドをゆっくりと立ち上げていく。広大な空や海、日本の田園風景の空気感に影響を受けたその音楽には、距離感と静かな郷愁が漂っている。

 


ウィスコンシンのロックバンド、Slow Pulpが、3rdアルバム『Melodie』を発表した。待望のニューアルバムは、9月18日にANTI-より発売予定。アレックス・リーズ 。エミリー・マッシー 、テディ・マシューズ、ヘンリー・ストーアによる四人組バンドである。


アルバムの発表と合わせて先行シングル「Better Man」が公開された。バンドとして驚くべき変貌ぶりを見せている。この曲は、スロー・パルプらしからぬ壮大なスケールを持つ楽曲である。少なくとも、ギターロックという枠組みには収まりきらないようなナンバーとなっている。しかし、やはりというべきか、その中にもセンチメンタルで切ない雰囲気のメロディが生きている。

 

スロウ・パルプは学生時代に結成された経緯があるが、バンドは原点回帰を試みた。本作はプロデューサーのエリオット・コゼル(Rosalía、Björk、SZA、Eartheater)と共に制作された『Melodie』について、ギタリストのヘンリー・ストーアは制作過程について、「エミリー・マッセイと私は、初めて出会った頃のように二人で曲を作る感覚を取り戻していた」と語っている。


先行シングル「Better Man」だ。ストアーは次のように語っている。「20代半ば、僕は人生において本当に安定していると感じる時期に入った。それまでは感情的にとても荒れていたから、その安定感を味わうに値する人間だと、必死で感じたいと思っていたんだ。「無邪気にも、いつも失敗ばかりして自分をコントロールできなかった子供のような自分を、ただ消し去れると思っていた。この曲は、コントロールを手放しつつも新しい形で自分自身を掌握し、ありのままの自分を受け入れ、それが他の人にも受け入れられることを願う、そんな私の姿なんだ」

 

 

 「Better Man」

 

 Slow Pulp 『Melodie』


Label: ANTI-

Release: 2026年9月18日

 

Tracklist:

 

1.Yellow and Green
2.These Days
3.Better Man 
4.Melodie
5.Red Car
6.Not for Nothing
7.Entertainer
8.Like Me
9.Spill
10.Up to You
11.Slip Away 

 

▪Pre-save: https://slowpulp.ffm.to/melodie 



Ty Segallが、8月28日にリリース予定のニューアルバム『Chrome』を発表した。本作は彼のフル・ライブ・バンドと共に制作/録音。リードシングル「Black Paint」および限定盤のコンパニオンEP『Love Fuzzz』と共にリリースされる。新曲は従来の曲よりもグランジ風の楽曲である。

 

タイ・セガールは「Black Paint」の冒頭で、「真の愛に『なぜ』なんてない/あるのは君と僕だけ」と叫び、その直後にギターの轟音がすべてを飲み込む。真の愛と「黒いペンキを飲む男たち」を描いたこの曲の封印を打ち破り、セガルとバンドは、ジャングリングするリフがぶつかり合い、フル・ファズのかかったグランジ感へと変貌する中で、生々しいリフとパワーを放つ。

 

『Chrome』は、セガールが以前のヘヴィな作品でバックを務めたバンドと再結集したいという強い衝動に駆られ、2025年春に急ピッチで制作された。

  

ベン・ボイ(キーボード、ピアノ)、エヴァン・バロウズ(ドラム)、ミカル・クローニン(ベース、ボーカル)、エメット・ケリー(ギター、ボーカル)が全曲に参加している。バンドは1ヶ月かけて楽曲を練り上げ、ステレオラブの最新作を手掛けたことで知られるプロデューサー、クーパー・クレインと共に、ソニック・ランチで6日間かけてレコーディングを行った。

 

楽曲の半分はバンド全員で共同制作。残りはバロウズ、マット・ヨカ、そしてタイの妻であるデニー・セガールの提供による。完成したサウンドは、『Slaughterhouse』や『Twins』といったセガールの初期のアルバムを彷彿とさせ、スタジオに閉じこもって制作するのではなく、長期間にわたるリハーサルを通じてバンドが到達したライブ感の良さを前面に押し出している。


2025年の春、『Possession』のリリース直後、タイ・セガルはある声を聞き始めた。最初は穏やかな声だったが、やがて「バンドを再結成しろ!」と叫び声に変わった。彼はそのインスピレーションに付き従って、直ちに、キーボードとピアノのベン、ドラムのエヴァン、ベースとボーカルのミカル、ギターとボーカルのエメットからなるバンドと共に、やがて全員が「Chrome」と呼ぶことになるアルバムの制作に取りかかった。

 

5人の頭脳は素早く激しく融合し、収録曲の半分を共同で書き上げた。その他の楽曲ではタイとエヴァンが共作し、マット・ヨカとデニー・セガルも参加している。『Chrome』は、タイのこれまでの作品の中でも最もヘヴィな一枚として輝いている。


『Chrome』のリリースに合わせ、新EP『Love Fuzzz』も限定リリースされる。本作は『Chrome』のレコーディング・セッションの鏡のような縁から滴り落ちた、洞窟のような響きを両面に収めた作品だ。「Love Fuzzz」はツインズの名曲を狂乱のスラッジ&ストーナー・スタイルで再解釈したもので、「My Pet Guru」は催眠的なアート・サイケとフライド・クラウトの空気を併せ持つ。『Chrome』と『Love Fuzzz』は2026年8月28日に同時リリースされる。タイ・シーガルと彼のバンドは、8月22日に開催される完売済みの「2026 KEXP BBQ」でヘッドライナーを務めた後、9月にイギリスとヨーロッパをツアーする予定だ。


「Black Paint」

 

 

 Ty Segall 『Chrome』

Label: Drag City

Release: 2026年8月28日

 

Tracklist: 

1.Hospital
2.Running to Nowhere
3.Black Paint 
4.Glass
5.Play Cowboys
6.Everything You've Been
7.Let Go
8.Separation
9Chrome 

 

▪Pre-Save: https://tysegall.lnk.to/chrome