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X


セルフタイトルアルバムで有名なロサンゼルスのパンク・レジェンド"X"が最後のアルバムとなる『Smoke & Fiction』を発表した。おそらく、Germsと並んで、西海岸の最初のパンクバンドの一つ。(実は、X JAPANは、当初”X”を名乗っていたが、このバンドがいたために改名をしたという話も。)少なくとも、このバンドを差し引いて、西海岸のパンクを語ることは難しい。音楽性に関しても東海岸のパンクとは異なり、古典的なロックンロール性が強いのも特徴である。

 

『Smoke & Fiction』はXのオリジナル・メンバー、ジョン・ドウ、エクセーヌ・サーヴェンカ、DJボーンブレイク、ビリー・ズームが、プロデューサーのロブ・シュナップ(ベック、フー・ファイターズ)と共にレコーディングを行った。


ファイナルアルバムはファット・ポッサム・レコードから8月2日にリリースされる。Xはその後、アメリカでフェアウェル・ツアーを開催する。ファースト・シングル「Big Black X」の視聴は下記より。

 

「Xは素晴らしいバンド名だけど、それが印刷物や看板に紛れ込んでしまうと、時に悪いアイデアにもなるよね」とエクセーヌ・サーヴェンカは声明で述べている。


「そこで、ユーモアのセンスが必要なんだ。初期の頃はみんなそうだった。あの頃のロサンゼルスは、無声映画スター、長髪のヒッピー、バイカー、そして真新しい”自称パンク”の名残がある、奇妙なカーニバルだった。全国ツアーを始めると、同じ志を持った人々が至るところにいて、どういうわけか、みんな私たちを見つけてくれた。たとえ "X "が古い看板から消えていたとしてもね」


アルバムのリードシングル「Big Black X」には、ギルバート・トレホとシェーン・マッケンジーが監督したビデオが付属している。


MVは、1980年代のビデオ・アートと当時の偉大なパンク・ドキュメンタリーにインスパイアされ、VHSで撮影され、テープからテープに編集され、ポラロイドと35mmの写真を使用し、アナログ・ビデオ・ミキサーとブラウン管テレビで叩き割られ、過去と現在のストームとなる。

 

 

「Big Black X」



X 『Smoke & Fiction』



Label: Fat Possum

Release: 2024年8月2日

 

Tracklist:


1. Ruby Church

2. Sweet Til The Bitter End

3. The Way It Is

4. Flipside

5. Big Black X

6. Smoke & Fiction

7. Struggle

8. Winding Up the Time

9. Face in the Moon

10. Baby & All

 


マンハッタンの切り込み隊長、cumgirl8(カムガール8)が単独シングル「quite like love」をリリースした。4ADのアーティスト写真は過激過ぎて掲載することが出来ない。いつもぎりぎりを攻める四人組の新曲はアメリカでの一連のヘッドライン・ライヴ、L7やBratmobileとのサポート・デートに続いて到着。cumgirl8はこの新曲で、彼らの感染力を証明する。不穏でインダストリアルな空気を持つこのバンドは、キャバレー・ヴォルテールに近い、ゴシック・ポップとスカスカのダンス・パンクにムラムラするような散文をちりばめた''Pitchforkスタイル''に触れている。


今年初め、カムガール8は「glasshour」と題された別の独立したトラックを発表した。そのリリースは、ジャリジャリしたエレクトロ・パンクの華やかさ、インダストリアルなスラッジ、そしてそのすべてを結びつける抑えがたいフックによって、cumgirl8のエキサイティングでユニークなすべてを披露した。この2曲のシングルは、昨年リリースされたEP『phantasea pharm』(4ADからのデビュー作)に続く今年末リリース予定のデビュー・アルバムのプレビューとなる。



ペンシルバニアのハードコアバンド、ワン・ステップ・クローザー(One Step Closer)は、ニュー・シングル「Giant's Despair」とビデオを公開しました。このシングルは、先日リリースされた「Leap Years」に続く。ウィルクス・バレ出身のハードコア・バンド、ワン・ステップ・クローザーの次作「All You Embrace」の先行シングルです。以下よりチェックしてみてください。


昨年の『Songs for the Willow EP』に続く『All You Embrace』は、5月17日にRun for Coverからリリースされる。


「Giant's Despair」

 

 

UKパンクの最初のムーブメント 75年から78年までに何が起こっていたのか

 

パンクのイメージでいえば、その始まりはロンドンにあるような印象を抱くかもしれない。しかし、結局のところはボストンやニューヨークで始まったプロトパンクが海を越えてイギリスのロンドンに渡り、マルコム・マクラーレンやピストルズのメンバーとともに一大的なムーブメントを作りあげていったと見るのが妥当である。結局、当初はインディーズレーベルから始まったロンドンのムーブメントだったが、多くのパンクバンドが70年の後半にかけてメジャーと契約したことにより、最初のムーブメントは終息し、ニューウェイブやポスト・パンクに引き継がれていく。しかし、アンダーグラウンドでは、スパイキーヘアやレザージャケットに象徴されるようなハードコアパンクバンドがその後も、このムーブメントのうねりを支えていった。

 

ロンドンを中心とする1970年代中盤のムーブメントは、三大パンクバンド、つまり、セックス・ピストルズとダムド、クラッシュを差し引いて語ることは難しい。それに加えて、ジェネレーションXとジャムを加えて五大バンドと呼ばれることもあるという。しかし、この熱狂は都市圏における近代文明から現代文明へと移り変わる瞬間における若者たちの内的な軋みや激しい感情性が織り込まれていたことは着目すべきだろう。それはノイジーなサウンド、そしてシャウトや政治的な皮肉や揶揄という形で反映されていたのだった。ここに多くの人がパンクそのものに対して反体制のイメージを抱く場合があるが、それは実際のところロンドンの若者の直感的なものを孕んでいた。

 

つまり、70年代のハードロックが産業的に強大化していくのに対して、若者たちはスミスが登場するサッチャリズムの以前の時代において、アートスクールの奨学金をもらったり、失業保険をもらって生活していたという実情があった。(当時の失業率は10%前後だったという。)これがハードロック・バンドのドラッグの産業性への貢献に対する反感という形に直結していった。つまり、ピストルズのライドンがデビューアルバムで歌った「未来はない」という歌詞には、その当時の若者の代弁的な声が反映され、決して反体制でもなければ反国家主義でもなかった。これはライドンが後に彼が英国王室を嫌悪していたわけではなく、むしろ英国という国家を愛していると率直に述べ、しばらくの誤解を解こうとしていたことを見れば瞭然だった。つまり、彼は若者の声を代弁していたに過ぎなかった。


今でもそうだが、ロンドンの若者たちの音楽にはニューヨークのCBGBに出演していたパンクの先駆者、テレヴィジョンやラモーンズ、パティ・スミスといった伝説的なアーティストたちと同じようにファッションによってみずからのポリシーを解き明かすというものがあった。レザージャケットやクロムハーツのようなネックレス、そして破れたカットソー等、それらの象徴的なアイテムはいわば、当時の20代前後の若者たちのステートメント代わりとなっていたのである。

 

英国の最初のパンクムーブメントは厳密に言えば、75年に始まった。つまりロンドンのセント・マーティンズ・スクール・オブ・アートでコンサートを開いたときである。この最初のギグは15分ほどで電源を切られたため終了となった。しかし、後のバンドの音楽性やスティーヴ・ジョーンズのソロ・アルバムを見ると分かる通り、ピストルズの本質はパンクではなく、ロックンロールにある。それは彼らがスモール・フェイセズやモダン・ラヴァーズのジョナサン・ リッチマンのカバーを行っていたことに主な理由があるようだ。76年、ピストルズはオリジナル曲を増やしていき、取り巻きも増え始めた。このローディーのような存在が、「ブロムリー軍団」とストーンズのヘルズ・エンジェルズのような親衛隊を作っていったのは自然な成り行きだった。この親衛隊の中にはスージー・スーもいたし、そしてビリー・アイドルもいた。

 

同年代に登場したクラッシュに関しては、すでに76年頃に活動を始めていた。クラッシュを名乗る以前に、ワン・オー・ワナーズ(101'ers)というバンド名で活動を始めており、主にパブをメインにギグを行っていた。結局、ストラマーはピストルズのライブに強い衝撃を受けて、「White Riot」に象徴づけられるデビュー・アルバムの性急なパンク・ロックソングを書こうと決意したのだった。またベーシストのポール・シモノンも最初に見たギグはセックス・ピストルズだったと語っており、やはりその影響は計り知れなかったことを後の時代になって明かしている。

 

一般的にはこのバンドにダムドが加わるべきなのかもしれないが、当時のミュージックシーンの革新性やパンクというジャンルの影響度を観る限り、ピート・シェリー擁するBUZZCOCKSの方が重要視される。当時、マンチェスターに住んでいたピート・シェリーとハワード・ディヴォートは音楽誌、「ニューミュージカルエクスプレス」(NME)に掲載されたライブレポートを読み、その後すぐにBUZZCOCKSを結成した。これは1976年2月のことだった。バズコックスは現代的な産業文明に疑問を呈し、「Fast Cars」では車に対する嫌悪感を顕にしている。そして音楽的にも後のメロディックパンクの与えた影響度は度外視出来ない。特に、パンクにポピュラーなメロディー性をもたらしたのはこのバンドが最初だったのである。これはのちのLeatherfaceやSnuffといったメロディックパンク/ハードコアバンドに受け継がれていくことになる。

 

UKパンクのムーブメントはアンダーグラウンドではその後も、『PUNKS NOT DEAD』と息巻く連中もいたし、そしてその後も続いていくのだが、 結局のところ、オリジナルパンクは、75年に始まり、77年から78年に終焉を迎えたと見るべきだろうか。その間には、ダムド、クラッシュ、スージーアンドバンシーズがデビューし、パンクバンドが多数音楽誌で紹介されるようになった。76年にはダムドが「New Rose」をリリース、同年に、セックス・ピストルズは「Anarchy In The UK」でEMIからデビューした。彼らは最初のテレビ出演で、放送禁止用語を連発し、これが話題となり、パンクそのものがセンセーショナル性を持つに至った。

 

最初のパンクのウェイブが終了した理由は、よく言われるようにパンクバンドがメジャーレーベルと契約を結び最初の意義を失ったからである。76年の8月には「メロディーメイカー」がすでにニューウェイブの動きを察知し、XTC、エルヴィス・コステロといった他のパンクバンドとは異なる魅力を擁するロックバンドを紹介していった。これがイギー・ポップのような世界的なロックスターが現在もなおエルヴィス・コステロに一目を置く理由となっている。

 

以後、ニューウェイブはマンチェスター等のシーンと関連性を持ちながら、ポスト・パンクというジャンルが優勢になっていく。厳密に言えば、最初のパンクの動きは1978年頃にニューウェイブ/ポスト・パンクのムーブメントに切り替わったと見るのが一般的である。その後は、76年のセックス・ピストルズとバズコックスのマンチェスターの伝説的なギグ(観客は30人ほどだったと言われている)を目撃した中に、80年代の象徴的なミュージシャンがいた。

 

それがつまり、80年代の音楽シーンを牽引するJoy Divisionのイアン・カーティス、New Orderを立ち上げるピーター・フック、そして80年代の英国のミュージック・シーンを牽引するザ・スミスのモリッシーだったのである。これは信じがたい話であるが、本当のことなのだ。

 

 

UKパンクの名盤ガイド 

 

ここでは、UKパンクの最初のムーブメントを支えたバンドの名盤を中心に取り上げていきます。基本的には、70年代から90年代のオールドスクールのスタンダードな必聴アルバムに加えて、多少オルタナネイトなアルバムもいくつか取り上げていきます。ぜひ、これからUKのパンクロックを聴いてみたいという方の参考になれば幸いです。

 

 

SEX PISTOLS 『Never Mind The Bullocks』  

 


 

結局、「ベタ」とも言うべきアルバムではあるものの、パンクというジャンルを普及させたのは、このアルバムとそれに付随するシングルカットだ。マルコム・マクラーレン主導のもと、同名のブティックに集まるヴィシャスやライドンを始めとする若者たちを中心に結成。センセーショナルな宣伝方法が大きな話題を呼び、一躍英国内にパンクロックの名を知らしめることになる。

 

パンクの象徴的なアルバムではありながら、ギタリストのスティーヴ・ジョーンズのロックンロール性に重点が置かれている。(後のソロ・アルバムではよりロック性が強い)それに加え、ドイツのNEU!に触発されたジョン・ライドンのハイトーンのボーカルは、のちのP.I.Lにも受け継がれていくことになる。しかし、このアルバムの最大の魅力は、パンクではなくポピュラリティーにある。ノイジーな音楽を、どのアルバムよりも親しみやすい音楽性に置き換えたクリス・トーマスのプロデュースの手腕は圧巻である。「Anarchy In The UK」、「God Save The Queen」といったパンクのアンセムは当然のことながら、「Holiday In The Sun」、「EMI」のシニカルな歌詞やメッセージ性は、今なお普遍的な英国のパンクの魅力の一端を担っている。





 The Clash 『London Calling」

 


パブリック・スクール出身のジョー・ストラマー、彼の父親は外交官であり、若い時代から政治的な活動にも余念がなかった。パンクのノイジーさや性急さという点を重視すると、やはりビューアルバムが最適であるが、このアルバムが名盤扱いされるのには重要な理由がある。つまり、パンクロックというジャンルは、スタンプで押したような音楽なのではなく、そのバリエーションに最大の魅力があるからである。後には、ジョニー・キャッシュのようなフォーク音楽にも傾倒することになるジョー・ストラマーであるが、このアルバムではクラッシュとしてスカ、ダブ、ジャズ、フォーク、ロックと多角的な音楽性を織り交ぜている。


『Sandanista』は少しパンク性が薄れてしまうが、このアルバムはそういった音楽的なバリエーションとパンク性が絶妙な均衡を保つ。「Spanish Bombs」では政治的な意見を交えて、時代性を反映させ、痛快極まりないポピュラー・ソングを書いている。またロンドンのリアルな空気感を表したタイトル曲から、最後のボブ・ディラン風のナンバー「Train In Vain」に至るまで、パンクを越えてロックの伝説的な名曲が収録。

 

 

 

The Damned 『The Damned』

 



ニューヨークからもたらされたパンクというジャンルに英国独自のオリジナリティーを加えようとしたのがDamned。Mott The Hoople、New York Dollsにあこがれていたブライアン・ジェイムズを中心に結成された。

 

少数規模のライブハウスの熱狂を余すところなく凝縮されたセルフタイトルがやはり入門盤に挙げられる。ピストルズと同様にロック性が強く、それにビートルズのようなメロディーをどのように乗せるのかというチャレンジを挑んだ本作は今なおUKパンクの原初的な魅力を形作る。アルバムは10時間で制作されたという噂も。少なくとも本作にはパンクの性急な勢いがある。それは「Neat Neat Neat」や「New Rose」といった代表的なナンバーを見ると瞭然である。

 

 

 


Buzzcocks 『Singles Going Steady』



ピート・シェリー擁するBuzzcocksの名盤はオリジナル・バージョンとしては『Another Music In Different Kitchen』が有名であるが、このアルバムだけを聴くだけでこのバンドやシェリーのボーカルの本当の凄さは分からない。つまり、最初期のメロディック・パンクというジャンルの基礎を作り上げただけではなく、のちの70年代後半からのニューウェイブやポスト・パンク、そしてシンセ・ポップまですべてを網羅していたのが、このマンチェスターのバンド、バズコックスの本質だった。ベスト盤とも称すべき『Singles Going Steady』には、このバンドがどのような音楽的な変遷を辿っていったのか、そして、パンクの10年の歴史が魅力的にパッケージされている。


現代的な産業への嫌悪を歌った性急なパンクアンセム「Fast Cars」、同じくニューウェイブの幕開けを告げる「Orgasm Addict」、メロディック・パンクの最初のヒットソング「I Don't Mind」といった彼らの代表的なナンバーの数々は、今なお燦然とした光を放っている。それに加えて、人懐っこいようなピート・シェリーの名ボーカルは後のポスト・パンクやニューウェイブと混ざり合い、「Promises」といった象徴的なパンクロックソングとして昇華される。他にも、このバンドのポピュラリティーが力強く反映された「Why Can't Touch It」も聞き逃す事はできない。ここでは、オリジナル盤のバージョンを取り上げる。 

 


 

 

 Generation X 『Generation X』

 

ご存知、ビリー・アイドル擁するGeneration Xは、パンクの息吹をどこかにとどめながらも痛快な8ビートのロックンロール性で良く知られる。それ以前にアイドルはピストルズの親衛隊のメンバーをしており、伝説的なバンド、ロンドンS.Sに在籍していたトニー・ジェイムズらによって結成。ダンサンブルなビートを織り込んだロック性がこのデビューアルバムの最大の魅力だが、もう一つの意外な魅力としてパンキッシュなバラードソングが挙げられる。

 

特に「Kiss Me Deadly」はパンクバンドとしては珍しく恋愛ソングで、切ないエモーションを何処かに留めている。同じようにパンキッシュなバラードとしては、このアルバムには収録されていないが、「English Dream」もおすすめ。どことなく切なくエモーショナルな響きを擁している。

 

 

 

GBH 『City Baby Attacked By Rats』

 

GBHは、ちょっと前に、東京の新宿アンチノック(GAUZEなどが企画”消毒GIG”を行う)で来日公演を行っている。紛れもなく、UKに最初にハードコアというジャンルを持ち込んだバンドである。しかし、WIREのようなニューウェイブのサウンドをやりたかったというわけではなく、メタルを演奏しようとしたら、あまりに下手すぎて、こういったハードコアが出来上がったという。つまり、メタルバンドのようにテクニカルなギターやブラストビートは演奏できないが、それらの性急さをロックサウンドに織り交ぜようとしたら、ハードコアが出来上がったというのである。


しかし、彼らにとって演奏の下手さは、欠点とはならない。このアルバムでは、のちのUKハードコアを牽引する性急なビート、苛烈なシャウトなど、このジャンルの代名詞的なサウンドが凝縮されている。「Time Bomb」を聴くためだけに買っても損はない伝説的なアルバムである。要チェック。

 

 

 

 

Stiff Little Fingers 『Inflammable Material』

 

スティッフ・リトル・フィンガーズは、アイルランド/ベルファスト出身のパンクバンド。彼らは77年にクラッシュのギグに触発され、バンドを結成した。当初は自主レーベルからリリースしていたが、最初期のシングルがBBCのDJのジョン・ピールの目に止まり、ラフ・トレードと契約した。

 

レコードストア、ラフ・トレードは最初、レゲエやガレージロックを専門とするレーベルとして始まった経緯があるが、スティッフ・リトル・フィンガーズは間違いなくこのレーベルの原初の音楽を体現し、そして知名度を普及させた貢献者である。UKチャート上位にシングルを送り込んだ功績もある。


ガレージ・ロック風の荒削りなパンク性にシャウトに近いボーカル、しかし、まとまりのないサウンドではあるものの、その中にキラリと光るものがある。UKパンクの原初的な魅力を探るのには最適なアルバムの一つである。ジョン・ピールに見初められた「Suspect Device」はUKパンクの原点に位置する。





The Undertones 『The Undertones』




上記のバンドと同様に、工業都市の北アイルランドからもう一つ魅力的なバンドが登場した。BBCのジョン・ピールが最も気に入ったバンド、ザ・アンダートーンズだ。ジョンピールの石碑にはアンダートーンズの名曲のタイトルが刻まれている。バンドはパンクの最盛期からニューウェイブの時期、1975から83年まで活動した。


苛烈なパンクやファッションが目立つ中、ザ・アンダートーンズの魅力というのは、素朴な感覚と、そして親しみやすいメロディー性にある。それほどパンクという感じでもないけれども、その中には、やはり若い感性とパンク性が宿っている。このアルバムに収録されている「Teenage Kicks」はパンクの感性と、エバーグリーンな感覚を見事に合致させた伝説的な名曲の一つである。 

 

 

 

 Discharge 『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』

 


 

1977年にストークで結成されたUKハードコアの大御所。現在も奇妙なカルト的な性質を帯びたバンドがイギリスが登場するのは、Joy Divisionの影響もあるかもしれないが、やはりDischargeの影響が大きいのかもしれない。80年頃からシングルをリリースし、このデビュー作で一躍英国のハードコアシーンのトップに上り詰めた。

 

このアルバムのハードコアには、ワシントンDCのバンドのような性急なビート、そして、がなりたてるようなボーカルがあり、これは日本のジャパコアのバンドとの共通点も多い。ただ、Crassのような前衛性を孕んでいるのは事実であり、それがギターやパーカッションのノイズ、そして、音楽的なストーリー性の中で展開される。政治的な主張もセックス・ピストルズよりもはるかに過激であり、UKハードコアの重要なターニングポイントを形成した。このバンドの音楽は後にグラインドコアの素地を形成する。ノイズミュージックやメタルとも切り離すことが出来ない最重要アルバム。

 

 

 

 

Leatherface 『Mush』

 


 

UKパンクの中で最もクールなのは、間違いなくこのレザーフェイスである。サンダーランドでフランキー・スタッブスを中心に結成されたレザーフェイスは、UKのメロディック・パンクの素地をSnuffとともに形成した超最重要バンドであり、聞き逃すことは厳禁である。


特にBBCのジョン・ピールが入れ込み、バンドは何度も「Peel Session」に招かれている。このライブは後にフィジカル盤としても発売されている。バンド名は、おそらくホラー映画「悪魔のいけにえ」にちなみ、そしてアルバムのジャケットもホラー的なテイストが漂うものが多い。

 

ウイスキーやタバコで潰したようなしわがれた声を腹の底から振り絞るようにして紡ぐスタッブス、そしてメロディック・パンクの原点にある叙情的なギターライン等がこのバンドの主要なサウンドである。最初期の名作は『Minx』が挙げられるが、バンドの象徴的なパンクサウンドは『Mush』で完成されたといえるか。2000年代のメロディックパンクの疾走感にあるビート、そしてシンガロング性はすべてこのアルバムが発売された92年に最初の原点が求められるといっても過言ではない。

 

「I Want The Moon」、そして苛烈なパンクのアティチュードを込めた「I Don't Wanna Be The One You Say」等メッセージ性のあるパンクロックソングが多い。他にもニューウェイブサウンドとの融合を、造船や鉱山で知られるサンダーランドの都市性と融合させた「Dead Industrial Atmosphere」、POLICEのパンクカバー「Message In The Bottle」等名曲に事欠かない。


Leatherfaceには無数のフォロワーがいる。日本のメロディックパンクにも影響を及ぼしたほか、アメリカでもフォロワーを生み出し、Jawbreaker,Hot Water Music、Samiamなど秀逸なメロディーメイカーを持つバンドへ、そのDNAが受け継がれていく。

 



70年代のニューウェイヴ/ポストパンク関連のディスクガイドはこちらをご覧ください。

 


Circle JerksとDescendentsが両者の名曲をカバーしたスプリット7″がTrust Recordsよりリリースされた。DescendentsはCircle Jerksの "Red Tape"、"I Just Want Some Skank"、"Beverly Hills "を、Circle JerksはDescendentsの "Kabuki Girl "と "Hope "をカバーしている。


このスプリットはレコードのみで入手可能。マイロ・オーカーマン、キース・モリス、ロック・フォトグラファーのエドワード・コルヴァー、スケートボーダーのスティーヴ・オルソン、イアン・スヴェノニウスなどが出演する「YOU GOT YOUR DESCENDENTS IN MY CIRCLE JERKS」というヴィンテージ・スタイルの面白いCMを制作し、スプリットのスニーク・ピークを少し見せている。タイムズ紙が制作したもので、下記からチェックできる。7″はこちらから。


Circle JerksはDescondents、Adolscentsとともにアメリカツアーを3月から4月にかけて行う。ツアーは3月16日のアリゾナ公演ではじまり、4月13日のブルックリン公演で日程を終える。


 


カナダのパンクバンド、METZが4年ぶりとなるアルバム『Up On Gravity Hill』を発表し、「99」と「Entwined (Street Light Buzz)」の2枚のニューシングルを発表した。アルバムは4月12日にSub Popから発売。

 

今度のアルバムは2020年の『Atlas Vending』に続く作品で、ブラック・マウンテンのアンバー・ウェバーと作曲家/ストリング・アレンジャーのオーウェン・パレットがゲスト参加している。


メッツのフロントマン、アレックス・エドキンスは次のようにこの曲について説明している。

 

「この2曲は、スタイル的にもテーマ的についてもこれ以上ないほど似ていないと思う。"Entwined(街灯バズ)"は、人間が互いに育むことのできる深い繋がりと、死後も永遠に人を持ち続けることについて歌っている。"99 "は、現代社会に蔓延する企業の貪欲さと底辺の考え方の弊害について歌っている。金のためなら何でもする、それが若い世代に送られたメッセージなんだ」

 

 

「Entwined」



METZ 『Up On Gravity Hill』

 


 

Label: Sub Pop

Release: 2024/ 04/12

 

Tracklist:


No Reservation / Love Comes Crashing

Glass Eye

Entwined (Street Light Buzz)

99

Superior Mirage

Wound Tight

Never Still Again

Light Your Way Home


Pre-order(INT):


https://music.subpop.com/metz_upongravityhill



「99」

 


ワシントンDCのGlittererが次作アルバム『Rationale』の3作目のシングル「The Same Ordinary」をリリースした。先行公開された「Just A Place」と合わせて聴くと、連曲になっているのが分かる。

 

『Rationale』は、Glitterer名義としては4枚目のアルバムとなる。バンドのリーダーであるネッド・ラシンに、キーボードのニコール・ダオ、ドラマーのジョナス・ファラー、ギタリストのマイク・フレンチが加わった初のフルバンド形式により録音された作品である。

 

『The Same Ordinary』についてネッドは、「歌詞が先走り、曲に合うようにアレンジし直した後に生まれた」と述べている。「最終的に、フレーズの最後に、ちょっとしたタグのように省略した小節を入れてみることにしたんだ。結局のところ、目的の追求がいかに単調で、たとえそれに批判的であったとしても逃れられないものであるかを分析する歌詞は残したかったんだ」 

 

 「The Same Ordinary」

 

 

Glittererの新作アルバム『Rationale』はANTIから2月23日に到着する。先行シングルとして「Just A Place」、「Plastic」が公開されている。下記よりテースターをチェックしてみよう。



Snõõper

ナッシュヴィルの新進気鋭のパンクバンド、Snõõperは大晦日に2023年を締めくくるべく、カオティックなトラック 「for yr love 」を公開した。この曲はサイケロック風のリミックスソングで、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジが在籍したヤードバーズの代表曲。彼らのビンテージロックに対する愛着がターンテーブルのようなミックスと融合を果たした。


今年、Snõõperはジャック・ホワイトの主宰するサードマンから『Super Snõõper』(Reviewを読む)をリリースした。先月は単発シングル「Company Car」を公開している。両シングルはいずれもバンドキャンプの限定リリース。


デビューアルバムでは、カルフォルニアのオリジナル・パンク、DCやボストンのストレイト・エッジに傾倒をみせたが、二つのシングルは双方とも一定のジャンルでは語りつくせないものがある。snooperの雑多性、クロスオーバー性を象徴するづけるユニークかつ魅力的なトラックだ。


 


テネシー/ナッシュビルのハードコアバンド、Snõõperが新曲「Company Car」をbandcamp限定でリリースした。

 

Snõõperは今年7月に、Third Manからデビュー作『Super Snõper』をリリースしている。ライオット・ガールの系譜に属するパンクサウンドをガレージ・ロックと結びつけ、コアなパンクファンの間で一躍有望視されるようになった。デビューアルバムの収録曲「Investory」では、オレンジカウンティの最初のパンクバンド、Middle ClassやワシントンDCのストレイト・エッジに近いハードコア・ナンバーを披露している。ライオット・ガール・パンクがバンドの最大の持ち味であるが、一方で、ガレージ・ロックのような荒削りな質感も彼らのサウンドの醍醐味の一つだ。

 

今回発表されたニューシングル「Company Car」では、Circle Jerks,Xを始めとするカルフォルニアのパンクのカルト性を継承している。

 

ナッシュビルの新世代のパンクバンドは新曲で新たにトリッピーなシンセを飛び道具として追加し、ノイズというフィルターを通じてポスト・パンク的なサウンドに挑戦している。ボーカルやコーラス前のめりな勢いがあるため、彼らの持ち味であるスピード感満載のシングルとなっている。


 

©︎Alex Cihanowic

シカゴのエモ・バンド、Dowsing(ダウジング)の5枚目のアルバム『No One Said This Would Be Easy』がAsian Man Records/Storm Chasers LTDから12月1日に発売される。


アルバムのリードカット「Simple Productions」と他の収録曲は、他の多くのレコードと同様、不確実な時期にレコーディングされた。

 

「エリックがCOVID-19を発症し、彼の祖父が他界し、それからバンドはショーに出演することになった。リリックの「Simple Projections」は、人生の不確実性とレコードの全体的なトーンの多くを要約している。5枚目のアルバムのタイトルのように、"No One Said This Would Be Easy"(誰もこれが簡単だとは言わなかった)。もちろんそうだったんだけれど、バンドはそれを実現させたんだ」


「Simple Projections」は、その不確実性を、中毒性のあるニュー・シングルに変貌させた。正真正銘の"ミッドウエスト・エモ "で、フックのあるアンセミックな曲。以下からチェックしてみよう。 

 

 

「Simple Projections」



Dowsing 『No One Said This Would Be Easy』



 

要チェックのエモコアバンドがニューヨーク/ロチェスターから登場する。SideOneDummyと契約したばかりのCarpoolがデビューアルバム『My Life In Subtitles』の制作を発表した。本作はジェイ・ズブリッキー(Every Time I Die、Save Faceなど)がレコーディングを担当した。

 

Carparkのフロントマン、ボーカル/ギターのストッフ・コラサントはこの曲に関して以下のように述べた。

 

この曲が何を意味するかは、この曲自身が語っていると信じたいが、純粋に、表面的に見えるものよりもニュアンスがある。

 

いろいろな意味で、私はこの曲を "Salty Song "の精神的な後継者として見ている。私はこの曲を書きたくはなかった。大小を問わず、どんなバンドにも、自分たちの "ヒット曲 "を毎晩演奏しなければならないことをどう思うか聞いてみてほしい。彼らの10人中9人は、大変だ、この曲に幻滅した、かつてのような意味はないと答えるだろう。私はこの曲を書きたくはなかった。


ある晩、弟のアダムが電話してきて、"アルバムに『Salty Song』風のバンガーが必要だ。彼は間違っていなかった(めったにそんなことはない)。

 

私はその夜、25分でこの曲を書いた。歌詞は、言葉が多く、皮肉っぽく、パニック発作のようにごちゃごちゃしているつもりだ。日常の "ありふれたこと "に対する不安や恐怖をどう扱うか、それが健康的かどうかは別として。私は状況に直面したときの考え方、脳が情報を取り込む方法を綴る。


好きでも嫌いでもいい。とにかくハイになろう "というのが、すべてに対する私の率直な気持ちなんだ。私たちは生まれながらのライバルであり、宿命的な敵同士である可能性もある。私たちは恋人同士かもしれないし、ただ一緒に横になってハイになることが最も親密な瞬間かもしれない。

 

ドライな目で人生を生きる方がいいのかもしれない。霞んだフィルターで物事を見る方がいいのかもしれない。そうじゃないかもしれない。そんなこと誰にわかるって言うんだ?

 

このアルバムは、2018年以降の僕の人生を皆さんに読んでもらうための記録だ。これが最も正しい始め方だと思う。私がどれだけクソなバスケットケースなのかを紹介することによって。

 

 

 「Can We Just Get High?」




Carpark 『My Life In Subtitles』


 

Label: SideOneDummy

Release: 2024/3/22

 

Tracklist:

1. My Life In Subtitles

2. Can We Just Get High?

3. Open Container Blues

4. Crocodile Tears

5. Done Paying Taxes

6. Kid Icarus

7. Me Vs. The Windmill

8. No News Is Good News

9. I Hate Music

10. Car

11. Thom Yorke New City

12. Everytime I Think Of You I Smile

 

 

Pre-order:

 

https://carpool.lnk.to/cwjgh


 

DCハードコアの祖、Minor Threatの未発表曲を収録したEPが、唯一のフルレングス『Out Of Step』の40周年記念に合わせて発売される。

 

『Out of Step Outtakes』と名付けられたこの3曲入りEPには、1983年のオリジナル『Out of Step』セッションで録音された音源が収録されている。シンガーのイアン・マッケイが経営するディスコード・レコードから12月1日にリリースされる。


1983年1月、マイナー・スレットは5人編成でインナー・イヤ・スタジオに入った(ブライアン・ベイカーはベースからセカンド・ギターに、スティーヴ・ハンスゲンはベースを弾いていた)。


彼らは6曲の新曲があり、結局、「Out of Step 12 EP」の中心となった。  バンドは歌詞を明確にするため、リリックを追加した「Out of Step」とDCのパンク・シーンを皮肉った「Cashing In」を再レコーディングすることに決定。 多くの議論の末、「Cashing In」はオリジナル盤のジャケットやレーベルには記載されていなかったが、隠しトラックとして追加された。


リールにはブランク・テープが残っていたので、「Addams Family 」というインストゥルメンタルを録音することにし、2本のギターでどんなサウンドになるかを聴くために "In My Eyes "と "Filler "の新ヴァージョンを録音した。


「Addams Family」は、「Cashing In」のコーダとして使われたが、他の2曲はミックスされなかった。2021年にマルチトラックテープがデジタル化されるまで、35年以上忘れ去られていた。この発見に驚いたイアンとドン・ジエンタラは、この2曲と「アダムス・ファミリー」の全テイクをミックスした。


『Out of Step Outtakes』は、DSPでストリーミング配信されるほか、7インチのクリア・ヴァイナルも発売される。海外盤のフィジカルはDiscordで予約受付中。スケーターパンクのディスクガイドはこちらよりお読み下さい。



Minor Threat 『Out of Step Outtakes』 EP

 

Tracklist:

1. In My Eyes

2. Filler

3. Addams Family


Mannequin Pussy/ ©Epitaph


今後ブレイク必至のフィラデルフィアのインディーロックバンド、Mannequin Pussyが新作アルバム『I Got Heaven』の制作を発表。USパンクのメッカ、Epitaphから3月1日にリリースされます。先行シングルを聴く限りでは、スマッシュ・ヒット以上を打ち立てる可能性も??

 

2019年の『Patience』に続くこの作品は、ジョン・コングルトン(セイント・ヴィンセント、アンナ・カルヴィ、エンジェル・オルセン等の作品を手掛けたヒット作請負人、ハイ・コンプレッサーによるダイナミックなサウンドを生み出すことで知られる)がプロデュースを手掛けた。先行リリースされたタイトル・トラックとニュー・シングル「I Don't Know You」が収録される。メイソン・マーサーとアンソニー・ミラレスが監督した付属ビデオをチェックしてみよう。


「これは単純に片想いについての歌だ。フェスで、道で、スーパーの行列で、思いがけず誰かに出会ったときの興奮と遊び心について。次にいつ会えるかはわからないけど、その可能性の高揚感が残り、その人についてもっと知りたいと切望させる」バンドのマリサ・ダビセは声明の中で説明しています。

 

さらに、アルバムのテーマについて、ダビチェはこう語っている。「この社会で若者であることの意味があるとするなら、私たちに課せられたシステムに挑戦する自由だ。私は何のために生きているのか? 何が私を生きたいと思わせるのか?」 

 

「I Don't Know」


  

・I Got Heaven



 

マネキン・プッシーがニューシングル『I Got Heaven』を発表した。コリンズ・'ベア'・レジスフォード、カリーン・レディング、マキシン・スティーン、マリサ・ダビセの4人からなるバンドは、2021年のEP『Perfect』以来となる新曲をファンに捧げている。


この新曲について、マリサは説明している。「I Got Heavenは、神聖なものと俗悪なものを融合させることを意図した曲で、私たちは皆、作られたとおりの完璧な存在であり、人生をどう生きるべきか、あるいはどう生きるべきでないかを決める権利は誰にもないということを思い出させる役割を果たす」

 

「天国は、私たちが生きていくために必要なものすべてを与えてくれたこの惑星にある。天国は植物や水の中、そしてこの世界を共有する動物たちの中にある。天国は私の中にも、あなたの中にもある。政治的な手段、個人の利益や権力のためにキリスト教を武器化し、意図的に私たちを分断する道具とすることは、現代世界にとって最大の脅威のひとつであり、愛によって連帯を見出す私たちの能力を脅かすものです。憎しみや暴力や雑音を増長させることは、個人としての神聖な目的を拒絶することである」

 

 

「I Got Heaven」

 

 ・「Sometimes」

 

 ©︎Millicent Hailes
 


フィラデルフィアを拠点とするMannequin Pussy(マネキン・プッシー)は、Epitaphから発売される『I Got Heaven』のサード・シングル「Sometimes」のミュージックビデオを公開した。

 

バンドのギタリスト/ボーカリスト、Marisa Dabice(マリサ・ダビセ)は、プレスリリースで新曲について次のように語っている。

 

「"Sometimes "は、自分自身の欲望に直面したときの内なる会話とそれに続く戦いです。自立への深い欲求を感じると同時に、自分を理解し、孤独から引き離してくれる誰かを切望していることを受け入れるまでの葛藤を歌った。

 

それは、欲望を感じさせた相手に対する怒りである。その欲望が、自分の仕事、自分自身、自分の使命から目をそらすことを許しているからなんだ」


マネキン・プッシーは、コリンズ・"ベア"・レジスフォード、カリーン・レディング、マキシン・スティーン、マリサ・ダビセの4人組。名プロデューサー、ジョン・コングルトンがニューアルバムをプロデュースした。


このような困難な時代にアルバムをリリースすることについて、彼女は次のように語っている。「意図的に邪悪に感じられることが絶えず起こっていて、美しいものを作ろうとすることは過激な行為のようにも感じられる。バンドの理念は、常に人々をひとつにすることなんだ」


「私たちは最も自由な時代に生きているはずなのだから、この社会で若者であることの意味は、私たちに課せられたこれらのシステムに挑戦する自由です。私は何のために生きているのか? 何が私を生きたいと思わせるのか?」

 

 

 「Sometimes」

 

 ・Nothing Like



エピタフ所属のロックバンド、マネキン・プッシー(Mannequin Pussy)が、3月1日発売予定のアルバム『I Got Heaven』から4作目のシングル「Nothing Like」を公開した。コナー・クラーク監督がAIを駆使して制作されたというアニメーション・ビデオを以下でチェックしよう。


「”Nothing Like”は純粋なファンタジーに基づいている」とフロントパーソンであるマリサ・ダバイスはプレスリリースで説明している。「元々は、6年前に『バフィー・ザ・ヴァンパイア・スレイヤー』のエピソードで、バフィーは恋人のエンジェルが世界を破壊する前に殺さなければならなくなる。この曲は、昨年、最終形になるまで、断片的に存在していた。Nothing Like は、新しい恋の軽やかな感情と執着がもたらす深みの両方のバランスを混ぜ合わせようとした」 


「Nothing Like」

 

・アルバムのレビューは下記よりお読み下さい。

New Album Review- Mannequin Pussy 『I Got Heaven』  

 

 

Mannequin Pussy 『I Got Heaven』


Label: Epitaph

Release: 2024/3/1

 

Tracklist:


1. I Got Heaven

2. Loud Bark

3. Nothing Like

4. I Don’t Know You

5. Sometimes

6. OK? OK! OK? OK!

7. Tell Me Softly

8. Of Her

9. Aching

10. Split Me Open

 

 

Mannequin Pussy Tour Date 2023:


11/15 - London, UK @ Windmill Brixton

11/16 - London, UK @ Windmill Brixton

11/18 - L’hospitalet De Llobregat, ES @ Primavera Sound


Tour Date 2024:


4/5 - Durham, NC @ Motorco Music Hall

4/6 - Richmond, VA @ The Broadberry

4/8 - Pittsburgh, PA @ Thunderbird Cafe & Music Hall

4/10 - Chicago, IL @ Thalia Hall

4/11 - Indianapolis, IN @ Hi-Fi Indy

4/12 - Cleveland Heights, OH @ Grog Shop

4/13 - Columbus, OH @ The King of Clubs

4/15 - Nashville, TN @ The Basement East

4/16 - Atlanta, GA @ Terminal West

4/18 - Fort Worth, TX @ Tulips

4/19 - Houston, TX @ House of Blues Bronze Peacock

4/20 - Austin, TX @ Mohawk

4/22 - Santa Fe, NM @ Meow Wolf

4/24 - Phoenix, AZ @ Crescent Ballroom

4/26 - Los Angeles, CA @ The Fonda

4/27 - San Francisco, CA @ August Hall

4/29 - Portland, OR @ Wonder Ballroom

4/30 - Seattle, WA @ The Crocodile

5/2 - Salt Lake City, UT @ Soundwell

5/4 - Denver, CO @ Bluebird Theater

5/5 - Fort Collins, CO @ Aggie Theatre

5/7 - Minneapolis, MN @ Fine Line

5/8 - Madison, WI @ High Noon Saloon

5/10 - Detroit, MI @ Saint Andrew’s Hall - The Shelter

5/11 - Toronto, ON @ Horseshoe Tavern

5/13 - Cambridge, MA @ The Sinclair

5/14 - Cambridge, MA @ The Sinclair

5/16 - Brooklyn, NY @ Brooklyn Steel

5/17 - Washington, DC @ The Atlantis

5/22 - Philadelphia, PA @ Union Transfer

 



DCハードコアのレジェンド、スクリームが2011年以来、1993年以来の新曲となるフルアルバム『DC Special』を発表した。

 

イアン・マッケイ、元ドラマーのデイヴ・グロールなどが参加したこのアルバムは、パンクの名門、ディスコード・レコードから11月10日にリリースされる。このニュースと共に、スクリームは2023年のツアー日程を発表し、新曲「DC Special Sha La La"「を公開した。試聴は以下から。


スクリームのオリジナル・メンバー、シンガーのピート・スタール、ギタリストのフランツ・スタール、ベーシストのスキーター・トンプソン、ドラマーのケント・スタックスは、ワシントンDCのパンク・スタジオ、インナー・イヤーで、創設者のドン・ジエンタラとともにDCスペシャルをレコーディングし、マイナー・スレット/フガジのフロントマン、イアン・マッケイがプロデュースを担当した。

 

バンドの新作は1993年の『Fumble』以来、全体としては2011年のEP『Complete Control Recording Sessions』以来となる。2021年、スクリームはキックスターターを立ち上げ、このプロジェクトに資金を提供したが、それは結局、ジエンタラが歴史的な場所から追い出される前にインナー・イヤーでレコーディングした最後の作品のひとつ。


マッケイ、ジェリー・バッシャー、エイミー・ピッカリング、マーク・シスネロス、オナーム・エメット、ジョー・ラリー、ボブ・バーベリッチ、ジョン・ゲーチウスらと同様に、80年代後半にスタックスの後任としてドラムを担当し、1990年にニルヴァーナに移籍したデイヴ・グロールも『DC Special』に参加している。ワシントンDCの音楽シーンの象徴的なアーティストが再集結した。

 

 


Discordの名盤特集もぜひご一読ください。


Scream 『DC Special』


Label: Discord

Release: 2023/11/10

 

Tracklist:

01. DC Special Sha La La

02. Bored to Life

03. Somebody Love

04. Hel Nah

05. Tum Tum

06. Represent

07. Dead Cities

08. Last of the Soft

09. Vanishing Commissars

10. The Flam

11. Lifeline

12. Call it a Night



もし、Johnny Cashがパンク・ロックと出会ったら? Social Distortionに変化する。今回、Craft Recordingsは、Social Distortionの影響力あるデビュー作『Mommy's Little Monster』の40周年を記念し、ヴァイナルとデジタル・リイシューを11月10日にリリースする。オリジナルのアナログ・テープからリマスターされ、180グラム・レコードにプレスされた。

 

ゲートフォールド・ジャケットに収められた『Mommy's Little Monster』には、「The Creeps (I Just Wanna Give You)」、「Another State of Mind」、象徴的なタイトル・トラックなどの名曲が収録されている。


カリフォルニア州オレンジ・カウンティの伝説的なパンクシーンのパイオニア的存在であるSocial Distortionは、シンガー、ソングライター、ギタリストのマイク・ネスが、高校時代の友人であるギタリストのデニス・ダネルとともに70年代後半に結成。ネスはブルース、カントリー、ロカビリーで育ったが、それは後にSocial Distortionの楽曲に浸透することになる影響である。


1981年にシングル「Mainliner」を発表した後、Social Distortionが、KROQのDJロドニー・ビンゲンハイマーの耳に留まり、彼は影響力のあるラジオ番組でバンドを宣伝し、彼のコンピレーション・アルバム数枚に「1945」を収録した。1984年の映画『Another State Of Mind』に収録されたユース・ブリゲイドとの北米ツアーは、この注目のおかげで実現した。帰国後、彼らはデビュー・アルバムのレコーディングに取り掛かった。


Mommy's Little Monster』は、カリフォルニア州フラートンの象徴的なCasbah Studioでのマラソン・セッションでレコーディングされた。バンドは、オーナー兼プロデューサー兼エンジニアのチャズ・ラミレスと密接に仕事をし、後にネスがロサンゼルス・タイムズ紙に語ったところによると、彼は 「自分たちを形作り、自分たちのサウンドを実現し、自分たちのキャラクターを実現する手助けをしてくれた」影響力のある人物だった。速く、生々しく、虚無的なアティテュードに溢れた9曲入りのアルバムは28分弱で、「Telling Them」、「Anti-Fashion」、「Moral Threat」といった曲を通して、初期のパンク・シーンを象徴している。


その他のハイライトとしては、バンドが批評家を愚弄する激しいオープニング曲 「The Creeps (I Just Want to Give You) 」や、社会規範を拒絶する2人のティーンエイジャーの物語を歌ったアンセム 「Mommy's Little Monster」などがある。シングル曲「Another State of Mind」は、1982年のツアーにインスパイアされ、ネスがツアー生活の浮き沈みと故郷のガールフレンドを恋しく思う気持ちを歌っている。この曲はすぐにライブの定番曲となり、ファンの人気曲となった。


1983年に、バンド自身の13th Floor Recordsからリリースされた『Mommy's Little Monster』は、Social Distortionをより広いパンク・シーンに押し上げると同時に、マスコミの注目を集めた。1984年、このアルバムをレビューしたトラウザー・プレスは、このアルバムを「インスタント・クラシック」と呼びならわし、「このキャッチーで皮膚病みたいなパンク・ポップは、LAアンダーグラウンドの驚くほど洗練された産物となった。ネスは現在のパンクの優れたソングライターの一人である」と回想している。マキシマム・ロックンロールも、「あの特徴的なヴォーカル、ハーモニー、ロックなギター、そしてメロディックなフックの数々。. . .最近、エキサイティングなパンキーポップはほとんどないが、これはその稀有な例のひとつだ」と自信たっぷりだ。


その後数年間、ソーシャル・ディストーションは、ハード・パンク、カントリー、ブルース・ロックンロールという彼らの特徴的なブランドを発展させ、このジャンルで最も売れているバンドのひとつに上り詰め、ブルース・スプリングスティーン、ザ・オフスプリング、ランシド、スライス、グリーン・デイ、ブリンク182といったアーティストをファンに数えた。

 

今日、バンドの影響力のあるカタログには、『Prison Bound』(1988年)、ゴールド認定を受けた『Social Distortion』(1990年)、『Somewhere Between Heaven and Hell』(1992年)、そして、最近の『Hard Times and Nursery Rhymes』(2011年)を含む7枚のスタジオ・アルバムがある。

 

現在、マイク・ネス、長年のギタリストであるジョニー・"2バッグス"・ウィッカーシャム、ベーシストのブレント・ハーディング、ドラマーのデイヴ・ヒダルゴ・ジュニアを擁するソーシャル・ディストーションのメンバーは、パンクのゴッドファーザーとしての地位を享受し続けている。


この40周期年盤からタイトル曲の映像がYoutubeで公開されている。こちらからご視聴できます。

 






 Koyoがニューシングル「Life's A Pill」をリリースした。シングル「Anthem」と「You're On The List (Minus One)」に続くこの曲は、9月29日にPure Noise Recordsからリリースされるバンドのデビュー・フル・アルバム『Would You Miss It?'』からの最新カットだ。


ヴォーカルのジョーイ・キアラモンテが新曲とビデオについて語った。


"Life's A Pill "はKoyoのお手本のような曲だ。TJはドライブ・アウト・イースト時代にこの曲を書いていた。マサチューセッツ州ローウェルに少し滞在していたときに、Fleshwaterのマリッサの助けを借りてデモ・バージョンのヴォーカルを録音したんだけど、その曲を完成させたときに、言いようのないカタルシスを感じたのを覚えているよ。この曲は、私が初めてのアメリカ・フル・ツアーに参加している間に家族が亡くなり、そのことで私が苦しんだことについて書いたものだ。


重い題材なので、ビデオにどうアプローチするかという点では、少し怖かった。とてつもなく才能のあるエリック・リヒターは、私がどう感じたかを表現するビデオを作るのにうってつけだった。抽象的なものを作りたかったので、物語は少し後回しにした。視覚的に美しく、しかし見づらいもの。呪術的で、でも怖くはない。彼の才能と友情に感謝している。


 


 

ロサンゼルスのパンクロックバンド、Militarie Gun(ミリタリー・ガン)は、今年リリースされた『Life Under The Gun』{レビューはこちら)のハイライトのひとつである「Never Fucked Up Once」のビデオを公開した。監督はオードリ・ミルザイで、バンド・リーダーのイアン・シェルトンが蹴飛ばされるシーンが収められている。以下よりご視聴下さい。


Militarie Gunは、MSPAINTとのスプリット7″『Paint Gun』も発表している。昨年の『All Roads Lead To The Gun (Deluxe)』からMSPAINTのコラボソング「Can't Get None」と、MSPAINTの2023年のデビューアルバム『Post-American』からMilitarie Gunのコラボ曲「Delete It」が収録。Loma VistaとConvulseのスプリット・リリース。


Militarie GunとMSPAINTは、9月29日のMeadowsと9月30日のSaint Vitusでのブルックリン公演を含むScowlツアーのサポートを務める。

 

 

「Never Fucked Up Once」

©Danielle Dubois

 

アメリカ/ペンシルバニア発のパンクロックバンド、ザ・メンジンガーズ(The Menzingers)が7枚目のアルバム『Some of It Was True』をEpitaphから10月13日にリリースすると発表しました。Social Distortion、Samiamあたりの渋いメロディック・パンクが好きな人におすすめのバンド。

 

このアルバムは、テキサスのソニック・ランチ・スタジオでブラッド・クックがプロデュースし、過去にコラボレートしたジョン・ロウがミックスを担当。最近のシングル「There's No Place In This World for Me」と新曲「Hope Is a Dangerous Little Thing」が収録されている。以下のビデオをチェック。


「アルバムは、ホテル、楽屋、地下室、リハーサル室で2年半かけて書かれた。南部にある人生を変えるような隠れ家でレコーディングされた『Some Of It Was True』は、17年前にバンドを始めたときに目指したこと、つまり、楽しみながら自分らしくいることを最も実現したものだ」と、The Menzingersのヴォーカル兼ギタリストのグレッグ・バーネットは声明で述べている。


「ザ・メンジンガーズは本物だよ。彼らと仕事をするのはとても楽しかったし、何度も感動して泣いたね。彼らは芸術的な成長、そして互いに対して、私が新鮮で美しいと感じた方法で、本当に献身的だよ。私はもうライヴァーなんだ」

 

 

「Hope is a Dangerous Little Thing」

 



ザ・メンジンガーズがニューシングル「There's No Place In This World For Me」をリリースした。

 

彼らはこの曲を "今いる場所となりたい場所の間で行き詰まっている人たちのためのアンセム "と呼んでおり、彼らのトレードマークであるパンク・サウンドを、もう少し荒々しいアメリカーナの方向へと押し進めたものとなっている。

 

過去2枚のアルバムはペンシルバニアにあるウィル・イップのスタジオ4で制作されたが、今作はテキサスの有名なソニック・ランチ・スタジオでブラッド・クック(ワクサハッチー、ケヴィン・モービー)のプロデュースにより制作された。ミックスはジョン・ロウ(2014年の『Rented World』をプロデュース)が担当した。モノクロのビデオもソニック・ランチ周辺で撮影され、ブラッド・クックがかなり大きくフィーチャーされている。以下からチェックしてほしい。



10月18日に掲載されたMUSIC TRIBUNEのレビューはこちらよりお読み下さい。



The Menzingers 『Some Of It Was True』


Label: Epitaph

Releae: 2023/ 10/13

 


Tracklist:


1. Hope is a Dangerous Little Thing


2. There’s No Place in This World for Me

3. Nobody Stays

4. Some of It Was True

05. Try


6. Come on Heartache

7. Ultraviolet

8. Take It to Heart

9. Love at the End

10. Alone in Dublin

11. High Low

12. I Didn’t Miss You (Until You Were Gone)

13. Running in the Roar of the Wind 



©Pooneh Ghana

 

今週金曜日(8月18日)にリリースされるニュー・アルバム『Death Is Nothing to Us』に先駆けて、ボストンのハードコアバンド、フィドルヘッド(Fiddlehead)が最終シングルをドロップした。

 

「Fifteen to Infinity」は、ギタリストのアレックス・ヘネリーが監督し、シンガーのパトリック・フリンと現在の妻との関係にインスパイアされたミュージック・ビデオが公開されている。視聴は以下から。


ビデオについて、監督のアレックス・ヘネリーはこう説明している。


「この曲がラブソングであることは分かっていたので、パトリックに彼と今の奥さんとの具体的な昔の思い出があるかどうか聞いてみたんだ。10代の頃、廃墟に忍び込んだり、崖から飛び降りたりして楽しんでいたそうだ。そこには、ボニーとクライドのような夫婦のビデオを作りたいという私の興味をかき立てる何かがあった。それは、一緒にテレビを見ているような単純な関係の瞬間でさえ、特別で『天国』のようなものだという曲の原案とは対照的だ。私はこの2つの瞬間を両立させたかった。一方が他方より特別なわけではないんだよ」


「このミュージック・ビデオはロサンゼルスの郊外で撮影したんだけど、めちゃくちゃ暑くて、使った車にはエアコンがなかったんだ。私の役者であるジャックとケイリンは素晴らしく、完全にキャラクターになりきっていて、全体がとても自然に感じられた。彼らとは一日中一緒に仕事をした後、帰り道で話をしたんだけど、彼らはビデオの監督や撮影もやっているんだ。彼らは僕らのセカンド・シングル「Sleepyhead」のビデオを作ることになったんだ。また、不思議なことにビデオが完成した日、友人のレミーにカットを見せたんだ。そしてその夜、実はその車は盗まれていて、警察が回収していた。ロシアのパスポートが無造作に金属類と一緒に後ろから見つかったんだ。なぜ、こんな話をしたのかわからないけど、適切だと思ったんだ」


この曲と共に、フィドル・ヘッドはUKデビューとなるMSPAINTのサポートによるUKツアー日程を発表しました。明日、8月16日には新宿ACBで来日公演を行う予定です。


「Fifteen to Infinity」

Public Image Ltd  『End Of The World』

 

 

Label: PIL Official Ltd

Release: 2023/8/11

 


 

 

Review

 

ニューウェイブ/ポスト・パンクの先鋒として70年代後半から活躍してきたジョン・ライドン率いる、パブリップ・イメージ・リミテッド。おそらく、ライブ・アルバム、リイシューを除けば、92年ぶりの復帰作となるだろうか。結成から数年、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったセックス・ピストルズの解散後、ライドンは、その後の十年間、ポスト・パンクの旗手としてイギリス国内のシーンを牽引した。PILの実験的なポスト・パンク、そして、セックス・ピストルズの全盛期に劣らぬシニカルで風刺的な歌詞は、セルフ・タイトルのデビュー作『Public Image』を見れば分かる通り、バンドの代名詞でもあった。


最初期は、ポスト・パンクらしいひねりを特徴としていたが、その後、実験音楽、シンセ・ポップの影響を織り交ぜていた。PILは、いつも形骸化した音楽に取り組むことを忌避し、一瞬たりとも、その時代の気風に迎合をすることはなかったが、他方、さり気なく当代の流行の音楽のスタイルを「ポスト・パンク」という型に落とし込んでいた。特に、彼らの代表曲「Rise」は現在でも鮮烈な印象を残し続けている。

 

ジョン・ライドンのボーカルは、甲高く透き通った声質が特徴だった。そして上手くはないが、無限に伸びていくようなビブラートには、神々しさというか感動的なものがあった。パンクという表向きには非音楽を装うジャンルであろうとも、ライドンのボーカルにはいかなる活動期においても、確かに音楽的な何かが通底していたのだった。それでも、やはり年齢には勝てないというべきか、この数十年ぶりのアルバム『End Of The World』の録音では、昔に比べて声がかなり低くなってしまったことは、往年のファンであればすぐにお気づきになられることだろう。しかし、落胆することはない。ライドンらしさはいまだに残っている。また、ボーカルには、以前と同じように、シニカルなニュアンスが織り交ぜられ、そのシラブルには唯一無二の圧倒的な存在感が感じられる。やはり、年月を経ても、ライドンはライドンであることに変わりない。そして、他のボーカリストとは比較出来ないほどの神々しさだ。

 

アルバムのタイトルは、全世界に対する警告である。ただ、それが、具体的に何を示唆するものなのかは断定しかねる。表向きの気候変動や金融経済の不均衡、また、その背後にある様々な暗躍、2021年から始まった悲劇的な社会情勢、管理社会、デジタル一元化による人権の破壊、戦争、それらすべてに対するパンクの御大からの警告だ。ある意味では、70年代に始まったライドンの英国風の政治風刺の集大成を形成している。そのテーゼは奇しくも、批評的なロックの金字塔を確立したヨ・ラ・テンゴの『This Stupid World』と重なるものがある。しかし、テーマこそ、現代社会に内在する負の側面に焦点が絞られているが、このアルバムの音楽はブライアン・イーノの最新のボーカル・アルバムほどには重々しくはない。奇妙なほど勇ましく、晴れやかな雰囲気に彩られている。PILは、ポスト・パンクはおろか、パンクというジャンルを超越し、普遍的なロックへと足取りを進めている。そう、本作はパンクに加えてスタンダードなロックを想定し制作されたと言えよう。そのことは、オープニングに顕著に現れている。ロック・オペラ風の壮大なスケールを描いた「Penge」は、UKロックの歴史を俯瞰し、それをチェンバー・ポップ風の型へ落とし込んでいる。軍神マルスが目の前を行進していくような勇ましさを、このオープニングにおいて読みとっていただくことができるはずである。

 

続く、タイトル曲「End Of The World」では、PILの原点にある、ひねりのきいたポスト・パンク・サウンドに立ち返っている。クランチなギターに折り重なるようにして、例のある種の高揚状態にあるジョン・ライドンのボーカルが入り込む。この曲には懐かしさを覚えるとともに、ポスト・パンクの後追い世代としては、ようやくこれらのサウンドにリアルタイムで接することが出来たという伝えがたい感動がある。この中には、ポスト・パンクという彼らの代名詞にとどまらず、クイーンの「We Will Rock You」のようなスタンダードなロックの影響が織り交ぜられている。シンプルなロックを五十年目にして演奏するというのは、感慨深いものがある。先にも述べたように、UKロックの長きに渡る歴史と文化性を改めてお浚いするような内容だ。


三曲目の「Car Chase」では、PILが80年代のディスコ・ポップやシンセ・ポップに触発された時代を復刻しようとしている。ライドンのボーカルには、若干の衰えこそ見られるが、一方で、真摯さについては他の追随を許さない。その瞬間の自らの本性を見せようという彼の姿勢は、パンク・スピリットの核心を突いている。それに加え、ダブとファンクの影響を織り交ぜながら、新鮮味を探求している。サビではアンセミックな瞬間が現れ、これまでキャッチーな音楽を誰よりも追求して来たバンド、ソングライターとしての真骨頂を垣間見ることができよう。 

 

不敵なシンセのイントロで始まる「Being Stupid Again」では、 ドイツのクラウト・ロックの影響を取り入れ、ワイアードなポスト・パンク・サウンドへと移行する。現行のロンドンのポストパンクバンドのような一気呵成の勢いこそないが、ここには、どっしりとした安定感すら感じられ、さらに、Kraftwerk風のレトロなシンセ・リードが威風堂々たる印象をもたらす。

 

昔、セックス・ピストルズ以降のライドンのボーカルには、ゲルマン的なドイツ語のシラブルの影響が込められている、という話をどこかで読んだ覚えがある。つまり、それは、イギリス人から見たドイツ性であり、さらにいえば、イングランドの歴史の源流にあるアイルランドとゲルマンの混淆における文化性に対するシニカルな眼差しが、パンクというフィルターを通じて注がれていたのだった。 そういった、これまで表向きに解き明かされなかったジョン・ライドンの音楽的なバックグラウンドとルーツを伺い知れる。曲の後半では、現代的なスポークン・ワードにライドンは挑み、最新の文化に敏感であり続けるという姿勢は今も貫かれている。 

 

ジョン・ライドンは「Walls」でも現代的なスポークンワードに挑戦している。それはセルフ・タイトル・アルバムの時代の紳士性と皮肉を織り交ぜた、かつての70年代のスポークンワードのスタイルとは似て非なるものである。彼は、英国的な文化性に身を起きつつも、よりグローバルな視点を交えようとしている。その中には、レイシズムに対する提言も含まれている。そして、ファンクの要素が強いGang Of Fourの楽曲のスタイルはもちろん、後のRHCP(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)の『Mother’s Milk』の重要なインスピレーションともなったわけだが、コアなファンクに根ざしたパンクの影響をスポークンワードという形で消化している。聞けばわかる通り、決して、古びた曲調ではない。いや、それどころか、人格的に円熟した渋みは、体系化した現行のポスト・パンクを凌駕する瞬間もある。本曲のタイトルがピンク・フロイドの1979年のアルバム『The Wall』に因むのかどうかは分からない。

 

PILの楽曲の面白さというのは、斜に構えたようなスタイルにあったと思うが、「Pretty Awful」では、その魅力が余さず示されている。声をひっくり返したような歌い方は、シニカルであり、”Monty Python”のような英国のコメディーのような面白さを感じてしまう。

 

もしかすると、ここでは、シリアスになりがちな出来事をよりコメディーの視点を交えて見る事の重要性が示唆されているのか。もちろん、曲調は、ダンスミュージックを意識したパブリック・イメージ・リミテッドらしいポスト・パンクの形で展開されていく。それと同時に80年代のMTV全盛期のマイケル・ジャクソンに象徴されるダンスミュージックに対する親和性も感じ取ることができよう。PILのメンバーは何よりこのセッションを心から楽しんでいる。近年になく、ミュージシャン及び、バンドとしての充実した瞬間をこの曲に発見することができる。

 

PILは風変わりな存在であることを恐れない。「Strange」は、渋さのある後期のピンク・フロイドを彷彿とさせる楽曲に取り組んでいる。ライドンは、これまでの甲高いパンク的なボーカルから距離を取り、バラードを歌うため従来とは異なるボーカルのスタイルに挑んでいる。そして、シンセ・ポップを基調にしたこの曲には奇妙な哀愁が滲んでいることにお気づきになられるはずだ。ボーカルとベースは途中で奇妙な和音を形成し、雰囲気を上手く盛り立てている。特にベースラインの巧みさが光り、従来のPILとは違った雰囲気を楽しむことができる。

 

続く「Down On The Clown」は、イギー・ポップの名曲「Down On The Dirt」を思わせる曲名であるが、ここでもまた、シンセ・ポップやディスコ・ポップ風の楽曲が展開される。ただこの曲を油断ならないものとしているのは、やはりベース・ラインとドラムのバスの巧みさである。この2つのパートの掛け合いは、ファンクの鋭いパンク的な音響性として耳に迫ってくる場合もある。その上に搭載されるジョン・ライドンのボーカルは、ポスト・パンク的なひねりがあるが、やはり、いくら押しても動かぬというような安定感に満ちあふれている。これをボーカリストとしての貫禄ともいうべきなのかはわからない。だが、それらのバンドの演奏は、特にギターラインが中盤のソロで加わったとき、懐古的な感慨を超越した現代的な親しみの瞬間へと近づく。何ひとつも新しいことはやっていないのに、古びているわけでもない。これらの二律背反の意味合いは、曲をじっくり聴き込めば聴きこむほど強まっていくようにも思える。

 

同じく、「Dirty Murkey Delight」はスポークワードを基調としている。ただし、ポスト・パンク的なアプローチではなく、ミュージカルのような音楽性を吸収している。ここでは、バックバンドを背後に、舞台俳優として踊りを交えながら歌うライドンの姿が目に浮かぶ。これはロック・オペラに続くミュージカル・ロックが誕生した瞬間とも取れる。ともあれ、エンターテインメントの内奥を知るボーカリスト、バンドの演奏はとても楽しげであり、リスナーを釣り込む力を持っている。ブロードウェイなのか、それとも英国の由緒あるシェイクスピアの演劇なのか、そこまでは分からないにしても、華やかな劇場の建物、俳優、観客、舞台、奈落、ステージ背後の書き割りのような演出装置に至るまでの情景が脳裏に呼び覚まされそうである。 

 

「The Do That」では、イギー・ポップの「Lust For Life」を思わせるイントロから、ドイツ語的なシラブルの影響を受けたPILの最初期のライドンのボーカルのニュアンスが見事に復活している。いや、もしかすると、それ以前のピストルズの時代のボーカルに近い鮮烈な印象が蘇っている。ライドンのスポークンワードは、奇妙なピッチ/トーンの変化を辿りながら、ワイアードな畝りを形作っている。えてして、言葉というのは、単体では大きな意味を持たぬときもあるが、それが一連の表現となると、強固な印象のあるウェイブを形成する瞬間がある。パンクのレジェンド、ライドンのボーカルを聴いていると、そのことがよく分かるのではないだろうか。リリックをまくしたてるスタイルでこそないが、ライドンの文学的な表現が複合的に組み合わされると、その意味が変化し、ラップに近い意義を帯びはじめる。これは、非常に不思議なことであり、彼のボーカルの最もミステリアスな部分と言えるだろう。そして、PILのバンドサウンドは曲の途中で、デトロイトのプロト・パンクを形成したThe Stoogesの最初期のブギーに触発されたフックの効いた尖ったロックへと変遷していく。しかし、これはロックではなくロックンロールなのか。PILはダンスと密接に結びついたロックをやろうとしているのだ。

 

「LFLC」は、ミュートとカッティングを織り交ぜたギターラインは既視感がある。多分、マーク・ボラン擁する、T-Rexの名曲「Get It On」をヒントにしていると思われる。少なくとも、70、80年代のディスコ・ロック、グリッター・ロックを下地にした、軽やかなソフト・ロックの普遍的な魅力を示している。ライドンの声がよれているのは・・・、ご愛嬌と言える。しかし、ここでもシニカルというより、ファニーな印象のあるボーカルスタイルが貫かれている。

 

「North West Passage」では、「Metal Box」、「Flowers Of Romance」時代のインダストリアルの影響を絡めたロックに回帰している。クラウト・ロックへの憧憬が含まれたポスト・パンク・サウンドだが、ここではライドンのボーカルの前衛性が示されている。世間が言うところの「普通に歌う」ことを彼が拒絶するのは理由があり、彼の眼力(眼圧)が子供の頃に変わってしまったこと、そのことが原因で学生時代にいじめられたことに起因している。その頃、石を投げつけられることもあった。しかし、ライドンは、それ以後の時代に、自分らしく歌うことを一度も固辞したことはない。また、パンクであることを一度もやめたこともない。そして、ブティック『SEX』の時代から五十年近くが経過した今でも、そして、最新作『End Of The World』でも、それは不変である。現在のアーティスト写真には、考えられる限りにおいて、最もかっこよく年を重ねた四人の男たちの姿が写されている。アルバムの最後の楽曲「Hawaii」では、トロピカル風の楽曲を収録することで、世の中が暗い方向ではなく、安らいだ方向へ向かってほしいという、いかにも彼ららしい晴れやかなメッセージが込められている。 

 

最後に、このレビューを通して言っておきたいのは、ジョン・ライドンがこれまで国家を憎んだことは一度もなかったということである。70年代からずっと、風刺的な意見、及び苛烈な皮肉を込めた意見を示してきたのは、彼がイギリスという国家を愛しているがゆえであり、同じように世界を愛しているがゆえなのだろう。パンクの伝説の集大成、ここに極まれり……。PILの最高傑作とは言いがたいが、彼らはこの作品を通じて、建設的な意見を示そうとしている。

 

 

76/100