Wilco 「Clue Country」

 


Label: Bpm Records/BMI

 

Release:05,27.2022



シカゴのインディーロックバンド、Wilcoの5月27日にリリース済みである二枚組のスタジオ・アルバムは、フロントーパーソンの、ジェフ・トゥイーディーによって書かれた21曲収録の作品です。

 

バンドは、パンデミックの最中にこのアルバム制作に着手し、ゆっくりと作品が完成へと導かれました。録音は、彼らの地元であるシカゴの「The Loft」にて、ライブセッションのような形で行われています。

 

元々は、シカゴのマリンタワーのアートワークで知られる2002年の名作アルバム「Yankee Hotel Foxtrot」に代表されるオルタナ・カントリーともいえる作風で一世を風靡したバンドではありますが、どことなく2000年代のコンピュータープログラミングの要素をそれらの伝統的な音楽の中に取り入れたアヴァンギャルド性も垣間見えるバンドです。当時、フロントマンのジェフトゥイーディーは「カントリーバンド」とみなされることに懐疑的ではありましたが、時を経て、彼は今ではそのことをいくらか感謝しているというように語っています。


ウィルコの最新作については、ジェフ・トゥイーディーの言葉にあらわれている通り、コンテンポラリーなカントリー/フォークというより、さらに、それよりも古い時代の音楽に接近しようと試みており、それらがアルバム全体に独特なこのバンドらしい渋さ、叙情性、さらにそれにくわえ、センチメンタリズムが込められています。ジェフ・トゥイーディーは、年月を経て、世の中の出来事について深い理解をし、それを歌、バンドとしてのレコーディングにおいて「メモのように書き留めておきたかった」というように話しています。彼が気がついたこと、それらはときにエモコアに近い叙情性を滲ませた温和なカントリー/フォークという形で表現されています。


アルバムは、全体的に、現代のミュージック・シーンから一定の距離を置き、自分たちが求める音楽を徹底的に追求しているように見受けられます。それがウィルコにとってはカントリーという形であって、それをストイックに追い求めることで、このアルバムに強い芯のようなものが通っている。

 

古典的なフォーク/カントリー性を突き出した#10「Tired of Taking It Out On You」#15「Hearts Hard To Find」といった楽曲も、ジョージ・ハリスンの晩年の名曲を思わせるものがあり、爽やかな雰囲気が込められています。その他にも、ウィルコらしい実験的手法を交えた「Many Words」では、「Yankee Hotel Foxtrot」のクライマックス「Reservation」を彷彿とさせる美麗さが味わえます。本作は、円熟期を迎えたロックバンドの音を介しての歴史の探求と称すべきロマンチシズムにあふれており、もちろん、2000年代初頭の名作「Yankee Hotel Foxtrot」のような劇的さこそ感じられませんが、表向きの静かな印象と異なり、かなりワイルドさが込められた作品です。

 

78/100

 

 

 

 

・Apple Music


 

 Toro y Moi 「Mahal」

 


 

Label:  Dead Oceans

Release Date: 2022年4月29日

 

 

これまでトロイモア/チャズ・ベアは、アメリカ西海岸のモダン・チルアルトシーンの象徴的なアーティストとして定義づけられているものの、このアーティストの真の魅力は、ヴィンテージソウルを下地にしたサイケデリック性にあり、そして、他でも頻繁に意見が聞かれるように、ゆるく、まったりとしたファンク性にある。つまり、チャズ・ベアの感性の良さというのは、JBやウィリアム・ブーツィー・コリンズといった王道のファンクを通ってこなかったリスナーにも親しみやすいファンク性に求められる。

 

 その点は、この7作目のアルバムでも変わりありません。聞き方によっては、その点についての印象をことさら取り上げて、刺激性や新奇性に乏しいという評価を与える批評家も中にはいるかもしれませんけれど、もちろん、その点は完全に間違っているわけではないでしょう。しかし、このアルバムで展開されるヴィンテージ色あふれるカラフルなソウルは、これまでのファンクにはなかったような独特な雰囲気に溢れ、それは「内省的なファンク」とでも形容すべきものです。そして、チルアルトのアーティストらしく独特の癒やしを持ったチル・ソウルともいうべき独特な雰囲気と魅力を併せ持っています。チャズ・ベアは、これらの要素を、この「マハル」においてうまく調理しており、アンノウン・モータル・オーケストラのゲスト参加を受け、往年のサイケデリックロックバンド形式の手法により、ファズ、ワウといったエフェクトを加えたサイケデリックなイメージを持つギターフレーズ、現代的な手法ーーヒップホップのターンテーブルのスクラッチ的なサンプリングを、オーバーダビングすることによって前衛的な音楽に仕立てている。

 

アルバムの中に、人目につかないようにこっそりと込められたチャズ・ベアのアヴァンギャルド性は、聴き込めば聴き込むほど、耳にじわじわ心地よく馴染んでくる。また、それらの西海岸らしいサイケファンクの要素に加えて、ザ・ビートルズ時代、ポール・マッカートニーが好むような親しみやすいメロウさ、誰が聴いても簡単に理解できるキャッチーなメロディーやコードの特性を付け加えている。リズム性においても多彩な手法が取り入れられており、ファンクだけでなく、ラテン音楽の要素が込められたダンサンブルな変拍子が導入されているのにも注目。チャズ・ベアの音楽のアプローチは、一見、新鮮味に欠けるように思われますが、実のところ、じっくり何度も聴き通すうち、相当、聴き応えがあり、前衛的な作品ということが理解出来ます。

 

 以上のような、しちめんどくさい話を抜きにしたとしても、全般的に、ゆるく、まったりした、その場の空気感を損ねることのない、良質なBGMとしても楽しむことが出来るはずです。特に、作品中で、三曲目に収録されている「Magazine」は、内省的なサイケファンクとしての異質な煌めきを放っている。スタンダードアンセム「Me Postman」では、ビンテージソウルの魅力的なアシッドの雰囲気が漂っている。「Mahal」は、全般的に、初見においては鮮烈な印象こそ乏しいかもしれませんが、その実、聴き応えがあるアルバムで、また、聞き手の心を和ませる効果も込められている。レコード盤として聴くと、より大きな真価を発揮しそうな作品です。評価は度外視にして、チルアウト、ファンク、ローファイあたりが好きな方は、是非とも手元に置いておきたいレコードとなります。

 

(Critical Rating:82/100) 

 

 


 

 

 ・Amazon Link

 

Gloop Unit
 

英国、ロンドンの2020年代のアート・ロックシーンの最も奥深くから登場したのが、Gloop Unitである。

 

彼らは、先見の明があり、何より希望に満ちあふれた存在だ。日々、それまでのジャンルの定義を覆すような新鮮なアーティストが無数に輩出される、英国・ロンドンの最も刺激的なミュージックシーンの中心において、感覚の鋭さ、センスの良さという点において、頭ひとつ抜きん出た存在である。既に、ロンドンのライブサーキットで、デビューを飾っているGloop Unitは、デビューシングル「Imitation」をドロップし、同時に、ディーザー映像を公開している。


シングル「イミテーション」は、他のバンドの音楽性とは明らかに異なる。アブストラクトな魅力を持ち、それらをディスコ的なわかりやすい形で提示する。螺旋状の万華鏡のように中毒性のあるメロディー、卓越したグルーブ感。このシングル「イミテーション」の背後に込められた意味は、謝った相互作用、誤解における欲求不満という哲学めいたテーマが内在しているという。

 

Gloop Unitの音楽は、ディスコパンク、ポスト・パンク、アート・ロックの系譜にあたる。しかし、これらのジャンルを当てはめることは、このバンドの音楽を説明する上で意味をなさない。「イミテーション」は、Devoのようなユニークさにあふれ、それでいて、ポストパンクバンドらしい力強さがあるので、多くの耳の越えたリスナーに驚きをもたらす。SFという概念が今や二十世紀ほどには未来を象徴するように感じられなくなった2020年代において、その概念を今一度ロマンあふれるものとして構築しなおそうと試みるのが、Gloop Unitなのである。

 

彼らの発表されたばかりのデビューシングル「イミテーション」は、夢のように美しいスペーシーなギターライン、そして、宇宙的な概念を感じさせるシンセサイザー、これらが綿密に重なり合い、催眠効果のある音響の巨大なワームホールを形成し、力強く揺るぎないボーカルラインによって絶妙に均衡が保たれ、それは、まるでブラックホールのように果てしない空間性をもたらす。安定感のあるダンサンブルなリズムは、楽器の残りの要素と一緒に、宇宙的なサウンドスケープに溶け込み、地学的な力強いベクトルを生み出す。この力強い音の引力は、新鮮な印象をオーディエンスに与え、また実際のライブアクトに置いても、力強い情熱、そして、熱狂を生み出すに違いない。「イミテーション」は、まさにロンドンの音楽シーンのワイアードな音楽シーンから生まれ出るべくして生まれ出たアヴァンギャルド性に満ちたデビューシングルと言える。

 

ロンドン・ジャズの要素、そして、この地に伝統的に引き継がれる、X-Ray Spexのようなコアでユニークなポスト・パンクのキャラクター性を受け継ぎ、それを2022年代の時間軸において新たな風味を加味するのが、グループ・ユニットである。このバンドが、実はどこかの実験室から生まれたという噂がある。だが、その真偽については定かではない・・・。彼らがどこからやって来たのか、今後、どこへ向かうのか、それはまったく読めない。その全貌は今はまだ明らかにするべきではないことである。このバンドの音楽には、非常に多くの謎に包まれたロンドンのポストパンクの新鋭の気配が読み取れる。だが、「イミテーション」は現代のロンドンのシーンで、最も有望視されるロックバンドのほんの僅かな一部分を表したものでしかない。

 

 

1st Single 「Imtaition」

 

・Apple Music Link

日本のアーティスト、音楽プロデューサー、DJ,レーベルオーナーとしても活躍し、これまで、いとうせいこう、小沢健二と深い親交を持つ、電子音楽家の井出靖が、新たなコラボレーションアルバムの詳細を明らかにしました。


 

井出靖

6月にリリースされる『Cosmic Suite 2 - New Beginning』は16曲入りで、東京在住のミュージシャン、井出靖の2020年のアルバム『Cosmic Suite』に続く、8年の活動休止後初のアルバムとなります。

 

新譜のコラボレーターには、そうそうたる電子音楽家が参加、ジェフ・ミルズ、ドン・レッツ(aka Rebel Dread)、DJ Krush、ジョシュ・ミラン、そして、故トニー・アレンが名を連ねています。ハウス、ジャズ、ポストパンク、ダブ、アフロビートなどのサウンドに触れられるアルバムになるとのこと。

 

また、タワーレコードオンラインの紹介によると、アートワークデザインは、亡きヴァージル・アブローとの親交は元より、ファッション、音楽、アートの世界を股に掛けて活躍するアーティストであり、世界的に注目されているファッション・ブランド、GALLERY DEPT.のファウンダーであるJosue Thomasが手掛ける。(1曲目でPoetry Readingでも参加)。Cosmic Suite 2は、井出とJosue Thomasが提案するUniversal Music Connectionを体現した作品であり、コロナ禍と対峙しながら、新たな出発、まさに"New Beginning "を意識した、井出の新たなメッセージ・アルバムとなるようです。アルバムのティーザー映像は、下記にて御覧になることができます。


『Cosmic Suite 2 - New Beginning』は、2022年6月22日、Grand Galleryからリリースされる予定です。

 

 

 

 


 

 『Cosmic Suite 2 - New Beginning』 LP

 

 


 

Label:  Grand Gallery

Release Date:  2022年6月24日



A Side


1.Mirror feat. Josue Thomas 

2.Lava feat. UA

3.The Battle Part.1 feat.Emilie Chick

4.Sumimasen Suite Part.1 feat. Emily Capell, Rebel Dread

5.We Need Power part.1 feat.Josh Milan 

 

B Side 


1.I'm Thinking,I.m Spacing feat.Afrika Bambaataa

2.Outer Space feat.DJ KRUSH

3.Galactic Beats Part.1

4.Hear,There feat.Kan Takagi, RECK

5.New Beginning


アメリカの偉大なるメタルバンド、メタリカは先日、ウイスキーのコラボレート商品を発表しましたが、今回、彼らは、ターンテーブルの製作会社「Pro-Ject Audio Systems」が驚くべき提携を結び、新しい非常にメタルなターンテーブルをリリースしました。


ヨーロッパでハンドメイドされたこの限定モデルは、鏡面仕上げのメタルロゴとメタルトッププレートが特徴で、角ばったユニークな外観にデザインされています。











このターンテーブルは、単なる高価なギミックではなく、S字型のトナーとPick it S2 Cカートリッジがあらかじめ装着された完全な機能を備えています。


トラッキングフォースの調整やアンチスケーティングなどの機能を備えていますが、「真のオーディオマニア向けの投資」と表現するには少し無理があるかもしれません。日本では、現在のところ入荷の予定はないようです。商品情報につきましては、以下、メーカーの公式ホームページを御覧下さい。


https://pro-jectusa.com/product/metallica-turntable/#tab-features-97806

ヴォーカルのケイティ・ギャヴィン、 ギター、ヴォーカルのジョゼット・マスキン 、 シンセ、ギター、ヴォーカル、プロダクションを手がけるナオミ・マクファーソンからなるLAの3ピースバンド、MUNAは、6月24日、Saddest Factory Recordsよりセルフタイトルのニューアルバムをリリースします。

 

トリオは、先週、爽やかで新鮮な雰囲気をシンセポップの新曲「Home By Now」を公開しています。下記にて、是非チェックしてみてください。


MUNA

「Home By Now」は、残酷な歌詞とエモいブリッジを持つダンスソングという点で、ファーストアルバムに最も近いと感じる曲だ」とKatie Gavinは語っている。"Anything But Me "よりも、もう少し憧れと疑念に満ちた別れの歌です」とケイティ・ギャヴィンは語っている。このアルバムの多くは、自分の直感を信じることについて歌っているように見えるけど、この曲は、自分がいるべき関係から離れたかどうかわからないという痛みを認めている "と語っている。  

 





MUNA 「MUNA」

 


 

Label: Saddest Factory Records

Release Date: 2022年6月24日

 

Tracklisting: 



1. Silk Chiffon (feat. Phoebe Bridgers)
2. What I Want
3. Runner’s High
4. Home By Now
5. Kind Of Girl
6. Handle Me
7. No Idea
8. Solid
9. Anything But Me
10. Loose Garment
11. Shooting Star
 
 
 
Saba

Sabaは、ステージの前に詰めかけた1000人のファンのスマホ画面のまぶしさの中で、あたたかな思い出に圧倒されていた。27歳のラッパーは、先月、シカゴのアラゴン・ボールルームのステージでバンドのメンバーを紹介しながら、「あのとき、俺たちは16歳だった、図書館で」と叫び、10年後に地元でヘッドライナーを務めるきっかけとなった10代のスタジオセッションを回想したのだった。


2010年代初頭、Sabaは、シカゴのオープンマイクや図書館でラップの練習を重ね続け、最終的には祖母の家にセルフスタジオを建設した。

 

彼は、ウェストサイドの放置された地区オースティンから現れ、ボーン・サグス-N-ハーモニーや、同じウェストサイダーのクルーシャル・コンフリクトやトゥイスタの影響を受けた鮮やかな文章、感性豊かな文学性と舌鋒鋭いスタイルによって、才能あるシカゴの若いミュージシャンたち(リル・ダーク、ノネーム、ミック・ジェンキンス、チーフ・キーフ)の中で際立つ存在だった。


2018年、Sabaは、ピッチフォークのベスト・ニュー・ミュージック、コンプレックス、ビルボード、NPRの年末リストといったホットな評価を獲得し、従兄弟でコラボレーターのジョン・ウォルトへの追悼を描いたアルバム『ケア・フォー・ミー』のリリース後に観客動員数を伸ばした。パンデミック発生時には、Zoomコールで16小節を16分で書き上げるなどのクリエイティブな訓練により新しいサウンドを求め、「アンチCare For Me」と表現する新しい音楽に取り組み、その地味なトーンと自伝的ディテールによって定義されるのをあくまで拒否した。


2月にリリースされた最新アルバム『Few Good Things』では、サバは、自分の成功を愛する人と分かち合うことを祝福する一方で、若い黒人成人期に蓄積した責任や不安を認識している。例えば、いかにもシカゴドリルらしいトラック "Survivor's Guilt" で 、"I'm the one who paid my sister tuition, I should probably go to the meetings" と、ラップしているように・・・。One Way or Every N***a With a Budget "では、彼のカリフォルニアの新居がセキュリティのために一方通行になっていることのほろ苦さをラップで上手く表現しているのだ。


アルバムのジャケットには、祖父のカールが登場し、自身の母親がシカゴの家を購入した際のエピソードをナレーションで語っている。ライブの直前、エレベーターに乗り込み、親族に囲まれた個室へ向かいながら言う。

 

「正直なところ、チケットの半分は家族連れの客だろう。「従兄弟やおじいちゃん、おばあちゃん、みんなに会えるんだ」


Sabaのキャリアは、愛する人たちと一緒に権利を維持することで発展してきた。兄のジョセフ・チリアムズは、『Few Good Things』のほぼすべての曲を共同作曲しており、近所の友人たちによるラップグループ、自称「ボーイバンド」のPivot Gangの共同設立者でもある。メンバーChilliams、MFnMelo、Frsh Watersはツアー中、交代でSabaのオープニングを務めており、シカゴ公演では全員がステージに上がり、Pivotのポゼッション曲である "Soldier "を披露した。


Few Good Thingsのプロダクションは、ネオソウル、シカゴドリル、Pファンク、ポップなどのサウンドを取り込んでいるが、大半の曲はSabaがPivotの同胞であるDaoudとdaidaePIVOTと共に制作したものである。遠隔地での共同作業や10時間にも及ぶスタジオでの作業を経て、Sabaは彼らの仕事を心から信頼している。「プロデューサーと交わさなければならない多くの会話は、すでに長い間一緒に仕事をしているため、必要ないのです」と彼はあっけらかんに言いはなつ。


ステージでは、オースティンとディビジョンにあるルート91のバス停のレプリカに囲まれ、トレードマークの青と白のCTAの標識が置かれていた。このバス停は、彼が10代の頃、東のダウンタウンへ向かうためによく通った。「バックホームツアーにふさわしいと思ったし、その一部を持ち帰りたかったんだ」とSabaは言う。

 

「都市から都市へと演奏し、人々がそれを評価するのを見るのは本当に素晴らしいことだ」


サバは、シカゴで何度も演奏しており、フェスティバルのラインナップや、彼の従兄弟を記念して設立された地元の非営利団体のために毎年開催されるJohn Walt Dayのイベントの一部となっていることが多い。アラゴンでの公演は、「他の都市で見られるのと同じショーをすることができた」と、初めての機会であり、シカゴの住民に彼の個人的なビジョンを提示するものだったという。"地元シカゴの観客に受け入れられているのを実感できて、本当に嬉しかったよ!」


Pivot GangとR&BシンガーのtheMINDに加え、Sabaは、この上なく豪華なスペシャルゲストを呼び寄せてみせた。シカゴラップシーンの象徴である、チャンス・ザ・ラッパーは、鮮やかなピンクの3段帽子をかぶって登場。

 

2人は、チャンス・ザ・ラッパーの2013年の名作ミックステープ『Acid Rap』からのコラボレーションを初めて一緒に披露した。

 

「Everybody's Something "のレコードを演奏するのは特別なことだと思ったんだ、特に僕のアーティストとしての旅の大きな部分を占めているから」とサバ。「そうだ。多くの人が私のことを初めて知ったのは、この曲からだったんだ。ディラ系のルーズなビートに乗せ、街角の子供たちや警官のノルマについて語るこの詩は、最近の作品にぴったりで、観客はどの小節も一緒にフレンドリーに口ずさんでいたんだ」


インディペンデント・アーティストとして10年間成長してきたSabaは、自分も何か話したいと思っていた。

 

ライブステージの曲の合間に、「ヘイ、リル・ブロウなんて柄でもないからやめてくれないか!」と宣言した。Pivot Gangはとても謙虚な姿勢で、"ああ、彼らは自分たちの世界、自分たちのレーンにいるんだ "と思われているのさ」と彼は後で苦々しく説明した。「そして、それが、僕が公の場で言いたかったことだ。あなたたちがそれを受け入れるかどうかは別として、僕たちは、ここにいて、これをやっているんだ。これは僕らのホームタウン・ショーで、シカゴで、これはとても重要なことだ」


Back Homeのツアーが終了した後、Sabaは、シカゴのヒップホップ・アイコンであるNo I.D.とのミックステープ制作に既に取り掛かっており、また将来的にはJohn Walt Foundationへの寄付を計画しているとのことだが、これはまだ未定である。


Few Good Thingsのテーマ通り、Sabaは地元でのショーを最大限に活用し、歌のフックと節回しの詩でステージを支配し、10年前にKendrick Lamarがgood kid, maad cityをツアーしたように、自伝と都市史を融合させた。

 

Sabaは、今後も多くの素晴らしいステージをこなすと思われるが、アラゴンではシンプルかつストイックなステージに徹した。「これは私の人生の中で最高の瞬間だ」とだけ、彼は最後にシンプルに付け加えた。

 Chance The Rapperは、アート作品としても鑑賞出来るような新曲とビデオを共有しました。

 

「A Bar About A Bar」は、モージズ・サムニーをフィーチャーした、ガボンの画家ナイラ・オピアンガとのコラボレーションである「神の子」に続くシングル。「A BarAbout a  Bar」のビジュアルでは、チャンスとヴィック・メンサがライティングの練習をしている様子を見ることが出来、Nikko Washingtonがシングルのアートカバーを手掛けています。是非、以下でチェックして下さい。


Nikko Washingtonのアートワークは、5月25日にシカゴ美術館で発表され、今週末まで展示される予定です。プレスリリースによると、それは「白人アメリカの郊外における人種的不平等、人種統合、階級差別の最初の黒人スーパーマンの非正統的で未来的で超現実主義的な描写であるアバール」に触発されたという。

 

Lord Huron
 

 LAを拠点に活動するインディー・フォークバンド、Lord Huronは、昨年リリースされ大きな絶賛を受けた通算4枚目のフルアルバム「Long Lost」の決定版として、「Your Other Life」と 「Ton Autre Vie 」という2曲を追加し、「Long Lost (Deluxe Edition)」を5月25日にリリースしました。

 


 デラックスバージョンに新たに追加された二曲は、コインの裏表を反映するという意味が込められています。Lord Huronのフロントマン、ヴォーカリスト、ソングライターを務めるベン・シュナイダーは、薄暗いビートとドリーミーな楽器の上で "Your Other Life "を英語で歌い、さらに、ゲストボーカルとして、レコーディングに招かれたカナダのフォークミュージシャン、サラ・デュガスは、同じ音のバックグランドで 「Ton Autre Vie 」をフランス語で歌っています。


「Your Other Life」は、本来、アルバムの原盤「Long Lost」のセッション段階で録音されていた曲ではあったものの、ボーカルとソングライターのベン・シュナイダーが、当初、フランス語で歌う女性をイメージしていたため、最初の演奏に納得がいかず、最終的にアルバムには収録されなかった。今回、彼らは、デラックスバージョンをリリースするに当たって、自分たちのビジョンを実現するために、サラ・ドゥーガスに協力を依頼した。Lord Huronのフロントマンであるベン・シュナイダーは、このレコーディングの経緯について、以下のように説明しています。

 

 私たちは、サン・ディガスを招いて録音を行った。彼女は歌だけでなく、フランス語の翻訳においても素晴らしい仕事をしてくれました。二重生活を送る、まったく異なる視点を持つなど、以前よりも歌詞のテーマがより強調されているように感じました。


 2つのバージョンができた後、バンドは片方なしでリリースすることを理解できなかった。そこで、2つの曲を一緒に聴かせる方法を考え、リアルタイムで2つの曲を切り替えたり、フェードアウトさせたりすることを思いついた。

 

曲中で暗示されている2つの人生を切り替えるようなイメージです。さらに、ビジュアル的な要素も盛り込めば、より曲のイメージが強力なものになると思いました。クロスフェード可能な二重のミュージックビデオは、とても興味深いものとなりました。

 


 

その結果、ベン・シュナイダーが歌う英語バージョン、サラ・デュガスが歌うフランス語バージョンの間で、Lee Martinが監督した2つの異なるビデオとともに、選択式の冒険を体験することが出来るようになった。これは、"多元的宇宙としてのミュージックビデオ "と呼ばれています。 

 

 

 

 


 また、オーディエンスを「Long Lost」の奥深い世界に誘う企画の一貫として、Lord Huronは、画期的なビデオプレーヤーを備えた新しいウェブサイトも立ち上げました。バンドは、史上初の "Music Video As A Multiverse "を実現するため、リー・マーティン監督と前回の撮影と同じ場所で、各曲のミュージックビデオを改めて撮影しました。サイトでは、フェーダーコントロールを駆使し、同じ時間位置を保ったまま、映像の間をスライドできるようになっている。フェーダーを真ん中に合わせると、2つのストーリーが合流し、シュナイダーとデュガが豪華な英語とフランス語のバイリンガルデュエットを披露してくれるというかなり面白いサイトデザインの仕様になっています。


 ロード・ヒューロンのアルバム『Long Lost』は、現在までに約5000万回のストリーミングを記録。さらに、アメリカーナ/フォークアルバムとテイストメーカー・アルバムチャートで1位、ヴァイナルアルバムとオルタナティブアルバムチャートで2位、トップロックアルバムチャートで3位、トップアルバムセールスチャートで4位、ビルボード200チャートで23位を獲得している。

 

 

 

Apple Music Link

 

 Lord Huron 「Long Lost (Deluxe Edition)」 

 

 



今年、フジロックフェスティバル’22にも出演が決定しているアメリカのロックアーティスト、元、ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトは、先日の19人の児童と2人の教師が死亡したテキサス州ウバルデの小学校での銃撃事件を受け、銃規制を求める新たな運動に参加しました。今回、公式インスタグラムに投稿された声明の中で、ジャック・ホワイトは「命を救い、深刻な被害から私たちを守る」ための「新しいルール」作りをするように呼びかけました。


Jack White Credit:Paige Sara


ここ数日テキサスでツアーをしながら、私は、大量殺戮の長い行程の中で最新のものについて多くの点で悲しみを感じずにはいられませんが、そのほとんどは私が疲れている "とホワイトはインスタグラムを通じてコメントしています。

 

 「この抜き差しならない問題を解決することができない」という大多数の無知な言い訳に私は疲れ果てており、問題を見る代わりに、政党や自分の『味方』にしがみつく人々にも疲れ果てました。命を救うためのルールよりも、自分たちの "自由 "の方が大事だと泣き言を言う人たちにも疲れ果てた。


さらに、ジャック・ホワイトはこう続けた。

 

 道路の信号機や毒物の警告ラベル、ダイナマイトの購入や地対空ミサイルの所有に関する規制のように、我々にはすでにルールが存在する。それでは、他方、命を救い、危害から私たちを守るためのルールについてはどうでしょう? もしかしたら、いつの日か、自分の子供や愛する人の命を救うルールができるかもしれませんよ? 

 

 

 

ジャック・ホワイトは、オリビア・ロドリゴやテイラー・スウィフトらと、ユヴァルデの銃乱射事件を公に悼んでいます。この事件の数日後、NRAはテキサス州ヒューストンで開催予定だった「グランド・オール・ナイト・オブ・フリーダム」コンサートを、出演予定だったアーティストが全員降板したため、キャンセルに追い込まれました。一方、Netflixは『ストレンジャー・シングス』シーズン4の冒頭に免責事項を追加し、"視聴者は、エピソード1の冒頭シーンを苦痛に感じるかもしれない "と警告しています。


ジャック・ホワイトは、今年リリースした2枚のアルバム『Fear of the Dawn』と『Entering Heaven Alive』を引っ提げての長期ツアーの真っ最中です。先月、ミシガン州デトロイトで行われたキックオフ公演では、ガールフレンドのオリビア・ジーンとの電撃結婚の報告も行われました。今後、2022年後半に、Ohana Fest、Primavera Sound Latin America、Music Midtownに出演し、Baz Luhrmann監督のエルビス・プレスリーの伝記映画のサウンドトラックにも参加する予定です。

 


4月上旬、Nirvana、Pearl Jam、Soundgardenのメンバーが3rd Secretという新しいグループを結成し、ニューアルバムをリリースしました。この作品は、当初、Youtube上でバンドがサプライズで公式に無料で音源配信を行い、さらに、bandcampでも音源が公開されています。このサプライズリリースのニュースは最初にアメリカの音楽メディアが報じています。残念ながら現時点では、デジタル配信のみのリリースであり、CD/LP盤としてはリリースされていません。


クリス・ノヴォセリック、キム・テイル、マット・キャメロンが率いるこのスーパーグループは、「Rhythm of the Ride」のビデオを公開しました。この曲は、エリック・フレンドがレコーディングし、シアトルの長年のプロデューサーであるジャック・エンディノがミキシングを手掛けています。


デビューアルバムからのカットされた最初の曲「Rhythm of the Ride」のビデオクリップでは、クリス・ノヴォセリックがジリアン・レイとジェニファー・ジョンソンの2人のボーカリストとアコースティックギターをステージで演奏している姿が映されています。この映像は、ワシントン州ナセルにある「Murky Slough Studios」で撮影され、クールな背景が追加されています。


 

バンドは、4月11日にデビューアルバム「3rd Secret」をリリースしています。ノヴォセリックとキャメロンは、スタジオに滞在している間、秘密のコラボレーションを予告しており、セッションの写真をソーシャルメディア上で公開しました。その後、3rd Secretは、4月18日にシアトルの「The Museum of Pop Culture」で記念すべき初ライブパフォーマンスを行っています。


今月初め、マット・キャメロンはCOVID-19に感染する前、、パール・ジャムのツアーに参加していた。その後、2回の公演を欠席し、ジョシュ・クリングホッファーとリチャード・スチュヴェルート(と幸運なファンたち)がドラマーの代役を務めていた。

 

前回のグラミー賞にノミネートされ、Time誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選出されているJapanese Breakfastとして活動するシンガーソングライター、ミシェル・ザウナーは、昨日、シティ・フィールドで行われたメッツ対フィリーズの試合で始球式を務めるという栄誉に浴しました。ミチェル・ザウナーは、「JBREKKIE」と背中にステッチされた背番号69のカスタムユニホーム、フィラデルフィア・フィリーズのソックスを着用し、グランドに登場しました。

 

ミシェル・ザウナーは、ダイヤモンドを見つめ、ユニフォーム姿で佇む自分の写真を、キャプションにし、Twitterの公式アカウントに投稿を行いました。ザウナーさんが始球式をする様子は下記でご覧いただけます。


その他、Japanese Breakfastのニュースとして、ザウナーは、セサミストリートのクリエイターによるApple TV+の子供向け番組「ヘルプスター」に音楽ゲストとして出演を果たし、昨日(5月27日)シーズン3の第1話を初放送しました。さらに、Consequenceでは、ザウナーが毛皮のモンスターと一緒に「I Like Fancy Fins」という曲を歌っている様子を独占公開しています。

 

 

 

Weekly Recommend

 

Nduduzo Makhathini 「In The Spirit Of NTU」

 


 Label:  Blue Note Africa

 Release:  5/27,2022

 


ーー南アフリカのジャズの潮流を変えるーー

 

  

 1947年、アメリカのジャズドラマー、ブルーノートの伝説的な人物、アート・ブレイキーが最初にアフリカ大陸を訪問し、さらに、60年代初頭、アパルトヘイト(人種隔離政策)による、黒人の表現活動に対する制限、検閲、暴力が南アフリカの社会全体に蔓延し、激化した後、何世代にもわたり、南アフリカのジャズ・ミュージシャンは、アパルトヘイトによる艱難辛苦に耐えながら、現代に継承される活気あるジャズシーンを長い年月をかけて生み出していった。

 

その後は、アパルトヘイトの弾圧により国内の複数の著名なジャズ奏者たちは、迫害を逃れ、亡命することを余儀なくされた。その後、南アフリカのジャズシーンはかなり長きにわたって憂き目にさらされてきた。迫害は、人種的な芸術表現にも及び、長い時代の芸術の停滞が何十年にもわたり、南アフリカには続いた。そして、この後の時代の空白の流れを汲み、現代の南アフリカの音楽シーンから世界的なシーンに羽ばたこうとしているのが、この土地のジャズシーンの中心的な役割をに担って来た、ジャズ・ピアニストの ンドゥドゥゾ・マカティーニさんです。

 

彼は、間違いなく、今後のアフリカのジャズを先頭で背負って立つような風格を持った人物であり、これまでアパルトヘイトなどの政治的な問題により、大きく取り扱われてこなかったか、不当に蔑ろにされてきたアフリカン・ジャズを世界に広めるような役割を背負っているように思えます。前作のアルバム『Modes of Communication』は、アメリカでも高い評価を受けており、既に何度か紹介しましたが、ニューヨーク・タイムズが「2020年のベスト・ジャズ・アルバム」に選出し、既にアメリカ国内でも着々と知名度を上げつつある演奏家と言っても良いかもしれません。

 

彼が今週末に発表した新作アルバム「In The Spirit Of NTU」は、ブルーノートとユニバーサルミュージックが共同で新設立した「ブルーノート・アフリカ」の記念すべき第一号のリリースとなります。

 

このアルバムでは、ピアニストのマカティーニの他、サックス奏者のリンダ・シクハカネ、トランペット奏者のロビン・ファシーコック、ビブラフォン奏者のディラン・タビシャー、ベーシストのスティーブン・デ・スーザ、パーカッション奏者のゴンツェ・マケネ、ドラマーのデーン・パリスといった、南アフリカで最も刺激的な若手ミュージシャン、ボーカルのオマグとアナ・ウィダワー、サックス奏者のジャリール・ショウ、といった特別ゲストでバンドを結成しているのに注目です。

 

全体的な作品の印象としては、ジャズのスタンダード、そして、ミニマル的な構造を持ったモダンジャズ、さらにそこに、アフリカの文化における精神性、民族音楽、古くは「グリオ」という元は儀式音楽から出発したブルースの元祖ともなった音楽からの強い影響が見受けられるアルバムです。

 

そこに、マカティーニのおしゃれな雰囲気を持つピアノの演奏、また、時に、無調音楽に近いスケールを擁して繰り広げられる演奏は、他の共同制作、バンドの多くのメンバーたちの協力によって、聞きやすく、遊び心に溢れ、そして何よりスリリングな展開力を持ったジャズが紡がれる。一曲目の「Unonkanyamba」では、前衛的な作風にも取り組んでおり、これらはかつてのマイルス・デイヴィスのように、刺激的でパワフルな雰囲気を擁する作風として確立されています。

 

もちろん、この作品の魅力は、ジャズとしての画期的な実験性だけにとどまらず、アフリカの民族文化、そして、大掛かりなスケールを持った宇宙論的なアイディアに至るまで、様々な試みを介し、聞きやすく、親しみやすい、誰にでも楽しめるような音楽が麗しく展開されていることに尽きるでしょう。さらに、 また、その他にも、omaguguが参加した二曲目の「Mama」では、和やかで落ち着いた古典的なジャズのバラードソングを、心ゆくまで楽しんでいただけるはず。

 

さらに、ンドゥドゥゾ・マカティーニのピアノの演奏は、前衛的でありながら、普遍的なジャズマンとしての風格を兼ね備える。バンドの独特なアフリカのリズムに加え、マカティーニの演奏は、ビル・エヴァンスのような感性の鋭さ、叙情性、技巧性、気品を併せ持ち、ニューオーリンズ・ジャズ 、往年のニューヨーク・ジャズに比する洗練性を持ち、それらの要素がアフリカのエキゾチズムと絶妙に合わさることにより、これまで存在しえなかったニュー・ジャズが誕生しています。

 

ピアニスト、ンドゥドゥゾ・マカティーニが率いるジャズバンドは、この作品で、以上のような試みを介して、アート・ブレイキーの時代からめんめんと引き継がれる南アフリカのジャズの魅力を引き出そうとしています。それは複数の楽曲を介して、エモーション、スピリチュアル、フィロソフィー、いくつかの観点から多次元的にアフリカンジャズの核心へと徐々に近づいていきます。それは、スタンダードジャズ、ジャズバラード、ミニマリスム、アフリカの民族音楽、様々な知見と見識を持つマカティーニだからこそなしえる職人芸とも呼べるものです。さらにこの作品は、南アフリカのジャズシーンを紹介するという意味が内在しているだけではなく、この南アフリカのジャズシーンが世界的に見ても秀抜したものだということを象徴付ける作品となっています。

 

「In The Spirit Of NTU」で、マカティーニは、気品あふれるジャズを魔法のように体現させ、そして、楽しく、朗らかで、寛いだ雰囲気を持った芸術性の高い音楽を生み出し、南アフリカのジャズ音楽の魅力を余すところなく世界のリスナーに伝えようとしています。この作品の台頭は、アメリカ以外の他の地域のジャズ、カナダ、モントリオール、ノルウェー、オスロに続き、南アフリカのジャズシーンが、世界的に注目を浴びるように働きかけるだけでなく、音楽史としてもきわめて重要な意義を持っているように思えます。概して、ジャズは、現在の作品より過去の作品が評価が高くなる傾向があるものの、このマカティーニの最新作「In The Spirit Of NTU」は、そういった評価軸を変えるような力に満ちあふれている。伝統的であり、また古典的でありながら、モダンジャズであり、幅広いリスナーに親しんでいただけるようなアルバムで、勿論、20世紀から始まった長年のジャズ史から見ても、傑作の部類に挙げられる作品です。

 

「In The Spirit Of NTU」が、奇しくも、先週の、ロンドンを拠点にするアフリカ系ジャズマン、シャバカ・ハッチングの「Afrikan Culture」のリリースと重なったことは、何も偶然ではなく、これは、時代の要請を受け、秀逸なジャズマンがアフリカ大陸からデビューしていく流れを予見したもの。ここに表されている「NTU−アフリカの精神」と呼ばれるものが一体何なのか、それを掴むためには、実際のアルバムを聴いていただく必要があると思いますが、いずれにしても、ストラヴィンスキー、マイルス・デイヴィスといった巨匠がアフリカ音楽の独特なリズムを自身の作品に刺激的に取り入れた20世紀に続き、いよいよ、今後、これらのアフリカの音楽が、再び世界的に華やかな脚光を浴びる時代がもうすぐそこまで近づいているのです。



95/100 

 

 

Weekend Featured Track:

 

Nduduzo Makhathini 「Unonkanyamba」

 

 



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英国/ウェールズ出身のシンガーソングライター、グウェノー・ピペットは、ソロ3作目となる新作アルバム「Tresor」をHeavenly Recordingsから7月1日に発表します。


Gwenno


既に、グウェノーは、アルバムの先行シングル「An Stevel Nowydh」「Men I Toll」を二曲リリースしていますが、5月11日にチェンバーポップ調のアルバムのタイトルトラック「Tresor」を新たに公開しています。


ソロ3作目となる本作「Tresor」は、ほぼ全編をコーンウォール語で書き下ろした2枚目のフルアルバムでもあります。


アルバム名は、ケルネウェク語で「宝物」を意味し、2020年のCOVID-19によるロックダウンの直前にコーンウォールのセント・アイヴスで制作が行われました。この新作アルバムの制作は、共同プロデューサーで頻繁にコラボレーションを行っているリース・エドワーズとともに、パンデミック中にカーディフのグウェノーの自宅で完了した。


Ithell Colquhoun、コーンウォール語の詩人、Phoebe Proctor、Maya Deren、Monica Sjööなどの女性作家やアーティスト、そして、坂本龍一、Eden Ahbez、William Basinskiなどのミュージシャンの名前が、このアルバムに影響を与えたアーティストや作家として挙げられています。幻想的なノスタルジックな雰囲気を持つアルバムのタイトル曲のビデオは、下記でご覧いただけます。










Gwenno 「Tresor」




Label: Heveanly Recordings


Release Date:2022年7月1日


1.An Stevel Nowydh
2.Anima
3.Tresor
4.N.Y.C.A.W
5.Men An Toll
6.Ardamm
7.Kan Me
8.Keltek
9.Tonnow
10.Porth Ia

 



ハリースタイルズのAs It Wasは、2022年の英国でこれまで最も長く続いたナンバー1シングルとなった。


8週連続でオフィシャル・シングル・チャートのトップに立ったAs It Wasは、エンカントのメガ・ヒット曲We Don't Talk About Brunoを猛追している。As It Wasは、今週8万枚のチャート・セールスを記録し、チャート初登場以来、最も成功した週となり、その勢いは衰える気配がない。 


また、As It Wasは全米で最もストリーミングされている楽曲でもあり、890万回以上のストリーミングを記録し、こちらも初週以来最高のパフォーマンスを記録している。  Harry's Houseは、Late Night Talking (2)とMusic For A Sushi Restaurant (3)の2つのアルバム曲で今週のトップ3を占め、公式シングル・チャートを制覇している。


ティオン・ウェインとラ・ルーの「IFTK」が8位上昇(8位)。Tionは6回目のトップ10入り、La Rouxは2009年のBulletproofの1位以来、12年ぶりの3回目のトップ10入りとなった。また、Camila CabelloとEd SheeranがBam Bamでトップ10に返り咲いた(9位)。


」数週間にわたり順位を上げてきたDavid Guetta、Becky Hill、Ella Hendersonのチームアップ曲Crazy What Love Can Doは3ランクアップで新ピークに(14)、George EzraのGreen Green Grassは7ランクアップで自己ベスト(16)、Latto、Mariah Carey、DJ KhaledのBig Energyのリミックスが再ピーク(21)しています。


ネイサン・ドーとエラ・ヘンダーソンは、ネイサンにとって5枚目、エラにとって9枚目のトップ40シングルとなる「21 Reasons」(20)で、18ランクアップし初めてトップ40入りを果たしている。


マンチェスターのレジェンド、ザ・ストーン・ローゼズのフールズ・ゴールドをサンプリングしたニューシングル1989も今週初登場した(23)。


11年ぶりの復活となるN-Dubzは、カムバック曲のCharmerが32位にランクインし、久々のUKトップ40入りを果たした。この曲は、フェイザー、トゥリサ、ダッピーにとって13曲目のトップ40ヒットとなり、全英アリーナツアーの完売を前にしている。 


また、トム・グレンナンのスロー・バーニング・ヒット「リマインド・ミー」は、公式シングル・チャートで7位上昇し、これまでで最高のピーク(33位)を記録している。