Photo Credit: Willow Shields


ロンドンのシンガーソングライター、Ellie BleachがデビューEP『No Elegant Way to Sell Out』のリリースを発表しました。リリース告知に合わせて新曲「Big Strong Man」を公開しています。

 

5曲収録のプロジェクトは、Sad Club Recordsより10月6日にリリースされます。「Big Strong Man」の試聴は以下からどうぞ。

 

 


Bleachは声明の中で、「"Big Strong Man "は、私のリリースの中で最も誠実な曲です」と述べています。

 

「この曲は、敗北を認めることで得られる神聖な安堵感について歌っているんだ。表面的にはかなり苦い曲だけど、ある種の楽観的なニヒリズムがあると思うんだ。それは、「もういいや、何でもいいや。私はあきらめます。君は拷問された天才であり続けるんだ。また会おう" と言っているようなもの」


EPのタイトルについてBleachは、「"selling out "とは、どんな形であれ、成功を求めて自分を捨てることだと考えている。それがロマンチックな愛であれ、業界からの称賛であれ、EPの登場人物は皆、理解され、評価されることに必死なんだ" とコメントしている。



Ellie Bleach 『No Elegant Way to Sell Out』 EP

 

 


 

 

Tracklist:

 

1.Tupperware Party

2.Precious Feelings

3.Doing Really Well Thanks

4.Something Wrong

5.Big Strong Man

 



Preoccupations Credit: Erik Tanner


カナダ出身のポストパンクバンド、Preoccupations(プリオキュペーションズ)がニュー・アルバム『Arrangements』の発売を発表しました。

 

2018年の『New Material』のフォローアップとなる作品は、9月9日にリリースされる予定です。Flemish Eyeがカナダでのリリースを担当し、それ以外の地域では、バンドがセルフリリースを行う予定です。リード・シングル「Ricochet」のミュージックビデオは、以下でチェックしてみて下さい。


バンドの中心人物、リード・ヴォーカル兼ソングライターのMatthew Flegel(マシュー・フリーゲル)は、この新曲について次のように語っています。

 

この曲の歌詞は、かなりニュアンスが際立っていて、自明なんだけど、基本的には世界が爆発しそうになっているのに、誰もそのことを気にしていないことの嘆かわしさについて歌ってるんだ。

 

 


Preoccuptions 『Arrangements』

 

 


 

Label: Flemish Eye Records


Release: 2022年9月9日


Tracklist:


1. Fix Bayonets!

2. Ricochet

3. Death Of Melody

4. Slowly

5. Advisor

6. Recalibrate

7. Tearing Up The Grass


 

LIFE Credit: Luke Hallet


イングランド、ハル出身のポスト・パンクバンド、LIFEが、サード・アルバム『North East Coastal Town』から新曲「The Drug」のミュージックビデオを公開しました。

 

この曲は、前作「Big Moon Lake」、「Friends Without Names」のフォローアップとなります。制作協力者としてお馴染みのLuke Hallett、さらに、ドラマーのStewart Baxterが監督したビデオクリップは以下よりご覧ください。バンドのボーカル、Mez Greenは、声明の中で以下のように述べている。


「The Drug」は、ラブソングなんだ。イタリアの寒い山中で歌詞を書いた後、バンドと一緒に部屋に持ち込んだんだ。

 

私が必要とした原動力はいつもここにあった、私が必要とした原動力はいつも近くにあった。というのは、私にとって、愛する人や、あなたを愛する人は、どこにいても、いつも存在することができるということを実感することなんだ。

 

この純粋さがこの曲の歌詞の中心にある一方、音楽的にはバンドがダンス、ポップ、ハーモニクス、そしてダーティなパルスを注入し、曲にドライブ感、反復性、ジャーク性を与えています。以下チェック!!

 

 

 

Lifeのサード・アルバム『North East Coastal Town』は、Liquid Labelから8月19日にリリースされる予定です。

 

 

 

LIFE  『North East Coastal Town』

 

 

 

 Label: The Liquid Label

 

Tracklist


1.Friends Without Names

2.Big Moon lake

3.Incomplete

4.Almost Home

5.Duck Egg Blue

6.Shipping Forecast

7.Poison

8.The Drug

9.Our Love Is Growing

10.All You Are


 

 

フィービー・ブリッジャーズの新作アルバム『パニッシャー』がリリースされたのは、ちょうど2年前のことでした。つい最近、彼女はアズベリー・パークでブルース・スプリングスティーンをカバーし、Huluの「Conversations With Friends」に「Sidelines」という曲を提供し、さらには、近日発売のコメディアニメーション「ミニオンズ2」のサウンドトラックで、カーペンターズのカバーを提供しています。また、フィービー・ブリッジャーズは、現在ツアー中で、ローリング・ストーンズのオープニングを務める予定です。ニューヨークで3日間の公演の真っ最中ですが、先週、Jimmy Fallonのステージに出演しています。

 

フィービー・ブリッジャーズは、今回のテレビ出演において、"Sidelines "を披露しています。バンドはお馴染みのスケルトン・コスチュームを、フットボールのユニフォームに変えてステージに登場。今回のスタジオ・バージョンの "Sidelines "では、シンセとビートが使われ、優しいピアノと数人の弦楽器奏者をバックにBridgersが歌っています。パフォーマンスの模様は以下で御覧下さい。

 

 




4月、Farther John Mistyとして活動を行うTillmanは、最新アルバム『Chloë And The Next 20th Century』をサブ・ポップ/ベラユニオンからリリースしました。

 

最新アルバムに収録されていた「Buddy's Rendezvous」は、「The Next 20th Century」を除けば、新作の中でFJMのインスタント・クラシックを代表する楽曲と言えるかもしれません。


今回、Father John Mistyは、妻のEmma Tillmanが監督した「Buddy's Rendezvous」のビデオを持ってカムバックしています。

 

ミュージックビデオには、Craig Stark、そして、StarcrawlerのArrow de Wildeが出演しています。この映像は、曲の筋書きに忠実に製作がなされ、何年も離れていた娘と再会する父親を描いています。また、De Wildeの登場、Tillmanが使用した粗いフィルムのアプローチ、そして、再会がCanter'sで行われるという点で、全体的にロサンゼルスの情緒に溢れた作品となっています。

 

父の日にふさわしいミュージックビデオと同時に、John Tillmanはこの曲のLana Del Reyによるデュエットも公開されています。二人は以前にも「Freak」という曲でコラボレーションを行っています。ラナ・デル・レイのカバーも深い情感にあふれています。どちらも下記にてお楽しみ下さい。

 

 

 

 

 

 


 

 最新のスタジオアルバム『Farm to Table』を金曜日に4ADからリリースしたばかりのバーティーズ・ストレンジが、昨夜、「ジミー・キンメル・ライブ!」に出演し、シングル曲 "Wretched "を披露しました。

 

ワシントンD.C.のミュージシャン、バーティーズ・ストレンジは、ドラマーのMomma Johnson、ギタリストのDaniel Kleederman、ベーシストのJohn Daise、キーボーディストのGraham Richmanといったフルバンドと一緒にライブに出演しています。


スタジオアルバム『Farm to Table』は、2020年の『Live Forever』に続く、バーティーズ・ストレンジのセカンド・フル・アルバムとなります。

 

 

 Rachel Sarmanni 「Every Swimming Pool Runs To The Sea」EP

 

 

 

 Label: Jellygirl Records

 Release: 2022 6/16





スコットランドのフォークシンガー、レイチェル・サーマンニの新作EP「Every Swimming Pool Runs To The Sea」は、穏やかで心地良いコンテンポラリーフォークの良盤に挙げられます。

 

レイチェル・サーマンニは、元々、2012年に、デビュー当時は、The Herald、スコットランドの新聞で新星フォークシンガーとして特集を組まれている。デビュー作は、スコットランド国内で12位を記録した。その後、ラフ・トレードからリリースを行っていますが、それほど大きな世界的なヒット作には恵まれていません。しかし、このシンガーソングライターの今作で提示する音楽は、感じが良いもので、このシンガーの性格を作品として反映しているように感じられます。レイチェル・サルマーニのフォーク音楽は、口当たりが良いだけではなく、男性的なボブ・ディランとは相反する女性的な渋さにあふれている。それは歩んできた人生をそのまま反映しているともいえ、この新作EPにおいて、サルマーニは幼年時代の記憶から引き出される純粋なロマンスを、コンテンポラリーフォークとして綿密に組み上げようとしている。

 

意外に、スコットランドのフォークというよりかは、アメリカのフォークに近い性格も持ち合わせていて、例えば、Adrian Lenkerのソロ作品がお好きな方であれば、本作はうってつけの音楽となるはずで、2019年にリリースされたアルバム「So It Turns」に比べると、物語性はいくらか薄められてはいるものの、終始、穏やかで、温和で、平らかなフォークミュージックが一貫して提示されている。「Every Swimming Pool Runs To The Sea」で繰り広げられるコンテンポラリーフォークは、1970年代の音楽の良い側面を現代に引き継ぎ、フィドルをはじめとする楽器こそ導入されてはいませんが、セルティックからの伝統性もフレーズの節々に滲み出ています。さらに、二曲目の「Soak Me」では、ミニアルバムの中で最もドラマティックさがあり、突如として、ディストーションギターが、叙情性あふれるアルペジオを縫うようにして導入される。


レイチェル・サーマンニは、今回のささやかなフォークギターの曲集において、オープニングを飾る「Aquarium Kisses」に象徴されるように、幼い時代の水族館でのロマンチックな思い出ーー水槽越しの魚とのキスーーを、このささやかなミニアルバムの中にそっと込めています。当時のサーマンニにとって、その出来事はすごくスリリングだったはずで、その純粋な子供の頃の感動をフォークミュージックを通じて呼び覚まそうとしています。それは、聞き手に、同じような癒やしの効果を与え、さらに、子供時代の記憶を心地良く呼び覚ましてくれるはずです。

 

今作のフォーク音楽を彩るレイチェル・サーマンニのアコースティックギターの繊細で慎ましやかなアルペジオは、ストーリングテリングするかのようでもあり、その演奏は、澄明さにあふれています。さらに、メロディーとリズムのバランスを絶妙に保っているサーマンニのギターの演奏は、温和で包み込むような雰囲気のあるボーカルと相まって、スコットランドの牧歌的な風景を思い起こさせる。日曜の午後を、優雅で、心楽しいひとときに変えてくれるような素敵な作品です。



  

 

 

米ニュージャージ州の作曲家、Michael Giacchino(マイケル・ジアッチーノ)が手がけた新作『ジュラシック・ワールド ドミニオン』のサウンドトラックが、今年8月、MondoからLP盤としてリリースされる運びとなりました。


映画監督、コリン・トレボロウ氏が脚本を手掛けた『ジュラシック・ワールド ドミニオン』は、恐竜と人間が共存する世界を描いており、話が展開していくにつれて、両者の生存バランスが危うくなるというスリリングなストーリーが展開されていきます。今回のオリジナルスコアの作製に際して、作曲家、マイケル・ジャッチーノは、英ロンドンのアビーロード・スタジオで、総勢87人のオーケストラ、30人の聖歌隊歌手と共にサウンドトラックを録音を行っています。


 

 

 

 『Jurassic World Dominion』Soundtorack

 


 

 

『Jurassic World Dominion』Official Trailer

 

 

およそ10年間、マイルス・デイヴィスのブートレッグ・シリーズが継続してリリースされてきました。


ボックスセットに収録されるトラックリストのほとんどは数十年にわたるライブ音源を収めたもの。今回、コロンビアはその第7弾シリーズのリリースを発表しました。このアルバムにはこれまでお蔵入りとなっていたスタジオ音源が多数収録されています。


3CDのボックス・セットとしてリリースされる新しいコンピレーションは、『That's What Happened』と名付けられ、1982年から1985年までの演奏を網羅しています。この最初のディスクには、1983年の『Star People』と1984年の『Decoy』のセッションで録音された音源が収録されている。もう1枚は、1983年7月7日のデイヴィスのモントリオールでのライヴ、さらには、最後の1枚は、1985年の『You're Under Arrest』のアウトテイクによって構成されています。

 


 

 

Miles Davis 「The Bootleg Series Vol.7 That's What Happened 1981−1985」

 

 


Label: Columbia/Legacy 

Release:2022年9月13日


 

Disc 1


1. Santana (13:06)
2. Minor Ninths, Part 1 (3:13)
3. Minor Ninths, Part 2 (4:13)
4. Celestial Blues, Part 1 (8:05)
5. Celestial Blues, Part 2 (4:04)
6. Celestial Blues, Part 3 (6:57)
7. Remake of OBX Ballad (5:00)
8. Remake of OBX Ballad Sessions (7:17)
9. Freaky Deaky, Part 1 (9:50)
10. Freaky Deaky, Part 2 (5:25)

Disc 2


1. Time After Time (alternate) (5:53)
2. Time After Time (full session) (8:58)
3. Theme From Jack Johnson (Right Off) / Intro (8:30)
4. Never Loved Like This (studio session demo) (5:00)
5. Hopscotch (slow) (5:39)
6. Hopscotch (fast) (6:59)
7. What’s Love Got To Do With It (4:25)
8. Human Nature (alternate) (5:59)
9. Katia (full session) (10:24)

Disc 3 (Live in Montreal, July 7, 1983) 


1. Speak (That’s What Happened) (12:27)
2. Star People (9:21)
3. What It Is (6:58)
4. It Gets Better (12:25)
5. Hopscotch (7:51)
6. Star On Cicely (9:12)
7. Jean-Pierre (7:34)
8. Code 3 (6:36)
9. Creepin’ In (10:36)


ショーン・レノン


 ポール・マッカートニーは土曜日に記念すべき80歳の誕生日を迎えましたが、ショーン・オノ・レノンは、ソーシャルメディアを通じてお祝いをしています。ジョン・レノンの末っ子は、ビートルズのリボルバーのカット「Here, There and Everywhere」をアコースティックでカバーし、Instagramに投稿しました。

 


"小鳥が、これは君の好きなビートルズの曲の一つと教えてくれたんだ。だからハッピーバースデー!"  

 

また、ショーン・レノンは、このビデオにキャプションをつけた。

 

"すべての美しい音楽をありがとうございます。あなたは私と全世界の永遠の愛と尊敬を持っています。(このバージョンは少しラフです。あまりにきれいな曲なので、何度も詰まっては演奏のやり直しを繰り返しました!)


サー・ポール・マッカートニーは、木曜日の夜、ニュージャージーのメットライフ・スタジアムで行われたショーでブルース・スプリングスティーンをステージに呼び、一足早く、誕生日を祝いました。彼らは、ボスの "Glory Days "と、ビートルズの "I Wanna Be Your Man "を一緒に演奏しています。




Sir Paul McCartneyの80歳の誕生日を記念して、ファンに素晴らしいリイシューの情報をお届けしたいと思います。この度、ポール・マッカトニーは、3枚の重要なソロアルバムをまとめて新しいボックスセットを8月5日にリリースすると発表致しました。

 

今回発売が決定した限定版ボックスセットには、アーティストのキャリア50年にわたる作品からなる「McCartney」、「McCartney II」、「McCartney III」が収録されます。

 

「McCartney」のオリジナル・バージョンは1970年にリリースされ、ビートルズの解散と時を同じくして発表されました。当時、この作品は素晴らしさに反して、大衆から見過ごされていたものの、その後、ポールが(ほぼ)全ての工程を自ら手がけた唯一無二の作品として高い評価を受けるようになりました。

 

同様に、「McCartney II」は、1971年に結成されたWingsの解散後に制作されたもので、スーパースターはベッドルームで制作に専念し、先駆的なエレクトロニカミュージックに魅了されて生み出されています。いわゆるシンセポップというジャンルの概念を時代に先んじて確立した作品でもあります。

 

2020年、Paul McCartneyは再び一人の時間を設け、その時間を使い、『McCartney III』を完成へと導きました。

 

初めてリイシューとしてまとめられたこの新しい限定ボックス・セットは、2022年8月5日に発売予定。


ブラック・ヴァイナル、限定カラー・ヴァイナル、CDで入手可能です。各アルバムについてマッカートニー自身が書き記した3枚の特別なフォトプリントも同梱されています。

 Bartees Strange「Farm To Table」 

 

 

 

 Label:  4AD


 Release: 2022.6.17



”Bartees Strenge”の名を冠して活動を行うBartees Cocks Jr,は、イーストアングリア生まれ、現在、ワシントン州を拠点にするソロミュージシャン。母親にオペラ歌手を持ち、さらに、英国のイプスウィッチのRAFベントウォーターズで空軍エンジニアとして勤務する父親の間に生まれたコックスは、12歳までに、英国、アイスランド、ドイツを経巡った後、最終的に母のオペラ歌手としての働き口を求めるため、アメリカ合衆国のオクラホマに定住することとなった。

 

コックスJr.は、20代にワシントンDCでオバマ政権の副報道官として勤務後、バックバッティングの募金活動や環境キャンペーンなどの活動を介して社会的な貢献を果たそうとしてきました。その後、ブロックパーティーの「Silent Ararm」、それから2006年、オンエアされていたデイヴィッド・レターマンの演奏を目にしたとき、彼は政治の道を離れ、一転してミュージシャンの道に転向すると決意します。その時のことを、コックスJr.は「あの出来事は私の人生を変えた」と述べています。「それは私にとって、抗議活動や行進よりも重要な意味を持っていた」と。

 

その後、コックスJr.は、オバマ政権の副報道官として勤務する以前に売り払っていた音楽の機材を全て買い戻すことになる。フェンダーのムスタングをトレードマークとし、ロックギタリスト、シンガーとして活動を行うようになり、 音楽の表現という領域において社会的な貢献を果たそうと考えるようになりました。Bartees Strangeのファッション、現在のデニム・ジーンズ、ミリタリー系のジャケットなどを見るかぎりでは、彼はフレンドリーなス姿勢は彼の経歴から見ると意外なものに思え、そのような職業に就いていたことを疑う人すらあるかもしれません。


 

ミュージシャンとして最初に知名度を高める要因となったのが、2020年にリリースされた「Live Forever」で、この作品には名だたるインディーロックシーンのスター、ルーシー・ダカス、コットニー・バーネット、フィービー・ブリージャーズらが参加したアルバムによって、ミュージシャンとしての地位を確立、その後、イギリスの名門レーベル4ADとのサインを交わし、前作の発表後、それほど時を経ず、新作アルバム「Farm To Table」のレコーディングに取り掛かりました。彼は、この作品が自分のキャリアの分岐点になることを予期していたかもしれません。

 

 

 

私は、音楽を革命的な行為として見始めました: 黒人、クイア、それから、女性。これまで存在しなかったものを構築する。

                       Bartees Strange

 

Bartees Strangeは、最新作「Farm to Table」の制作の背景、コンセプトについて、上記のように語っています。オバマ政権の副報道官という仕事を経たコックスJr.だからこそ、今回の制作のコンセプトは、非常に強い意味を持ち、さらに作品に対するる強い興味を惹きつけるものとなるはずです。アルバムの音楽は、12カ国という土地を経巡ってきた彼がこれまでに聴いてきた様々な音楽の記憶が取り入れられ、様々な手法を介して野心的な作風が生み出されています。

 

なんと言っても、このアルバムの中で衝撃的なインパクトを与えるのが、先行シングルとして発表された「Hold The Line」です。


往年の1970年代の王道のR&Bを彷彿とさせる曲で、彼はミネアポリス州で発生した事件「ジョージ・フロイドの死」を題材に選んでいます。コックスJr.は、その後、アメリカの各地で沸き起こった黒人達が列を作って行進する抗議運動を見、自分にも出来ることはないか、それを暴力的な表現でなくて、温かな慈しみ、ブルースのような淡い哀愁や、ほのかな慈しみにより、包みこもうとしているのです。

 

アルバムは、ほとんど無節操と呼べるほど、ジャンレスな多様性が導入される。それらは古典的なR&Bに始まり、インディーロック、ローファイ、ヒップホップ、オルト・ポップ、ソフト・ロック、ブルース、新旧のミュージックにも深い敬意を払い、人種を問わない音楽を生み出そうとしています。言ってみれば、カオスではあるものの、それらは現代の社会を反映していると好意的な見方をすることも出来る。それは、Bartees Strangeというミュージシャンがアルバムのコンセプトに掲げるように、以前に存在しえない何かを生み出そうと、作品の中で試行錯誤を重ねているのです。

 

アメリカのオクラホマに移住した当初、白人の社会において黒人として生きることは、彼の両親がそのことにプライドを持つようにと教育したおかげでそれほど難しい問題にはならなかった。でも、その後、彼は、大きな社会の中でどのように生きれば、どのような表現をすれば、社会的に良い影響を与えられるのかを考えてきました。このレコードの中に聴きとることが出来る様々な概念の中、コックスJr.は、暴力的な表現が意味をなさないこと、それらは反感を生むだけと熟知しているように感じられます。

 

「Farm To Table」に表れ出ている音楽性は、全体的な作風として、それらの多種多様なバリエーションあふれる間口の広い音楽を温かなものとしてまとめ、一つに包み込もうと試みているように思えます。Bartees Strangeは、この新作アルバムの中で、幼少期の体験がそうであったように、多種多様なジャンルの音楽を経巡り、探索し、長い旅を繰り広げていきます。それらは一向にまとまりがつかない部分もあり、また反対に、力強いアクセントになっている部分もある。

 

世界の殆どの政治家とは対象的に、そういった政治の真の姿を知る人間として、コックスJr.はすべてを包み隠すことなく、その時、その瞬間、自分が持ちうるものを、全力でギターのスウィープ(泣き)とし、ソウルフルな歌とし、爽やかなポピュラリティとし、真摯に表現しようと試みていきます。多種多様な音楽の中心にある王道のブルース、旧来のモータウンサウンドを取り巻きながら、インディーロック/ローファイが副次的に集積されていった後、それまでの楽曲で積み上げられた熱意のようなものがほどよく抜け、クライマックスの「Hennesy」では、アメリカのブラックミュージックの源流をなす教会音楽の朗らかな雰囲気のゴスペルに帰着する。これは、コックスJr.が、黒人たちに連結し、先頭に立ち、肩を組み、和平的に団結しようと、時を越えて呼びかけている。もちろん、現代の人間、限定されたコミュニティに属する人たちだけに「Hold the Line」と言っているわけではなく、未来の人々にも、同じようなメッセージを送る。人種や立場を問わず、すべての人々に団結しようと呼びかけているのかもしれません。

 

アルバムのアートワークについては、アートのコラージュのような手法が取り入れられているのが面白く、バーティーズ・ストレンジの幼少期の写真らしき素材がパッチワークされ、その構図の中心には、レオナルド・ダヴィンチの名画「最後の晩餐」が暗示的に据えられています。表面的にそれははっきりとは見えないものの、このアーティストからの隠された「ダ・ヴィンチ・コード」のようなメーセージが、そのバックグラウンドには読み取れなくもないわけです。

 

かのレオナルド・ダヴィンチも、宮廷やミラノのサンタマリア修道院の食堂の壁面に描かれた「最後の晩餐」をはじめとする芸術作品を生み出した後、イタリア国内で戦争が勃発、戦争のため、画材、パトロン、ほとんどすべてを失い、失意のまま、故郷、イタリア、ミラノを後にし、ヨーロッパの国々を放浪をかさねたすえ、「モナリザ」を描いたと伝えられる謎めいた雰囲気のある画家。いささかミステリアスな印象のあるレオナルドの幻影は、英国、イースト・アングリア、アイスランド、ドイツといった諸国を経巡った後、最終的に、アメリカ合衆国のワシントンDCに根付いたBartees Strangeの移民としての哀愁あふれる姿に、心なしか重なるものがあるようです。

 

87/100


Weekend Featured Track 「Hold The Line」

 

 


 


ドイツのモダンクラシカルシーンを象徴する存在であるNils Frahmは、今年9月23日に自身の主催するLeiter-Verlagから、ニューアルバム『Music For Animals』をリリースすることを発表しました。


エリック・サティが「家具の音楽」と呼んだように、Music For Animalsは「リスナーが自由に出たり入ったりできる」ように設計されています。フラームはこのアルバムに付いて以下のように説明しています。

 

「私が常にインスピレーションを受けていたのは、大きな滝や嵐の中の木の葉を見るような魅惑的なものだった。

葉のざわめきや枝の動きをじっと見るのが好きな人もいる。このレコードは、そんな人たちのためのものなんだ」


『Music For Animals』は、2018年の『All Melody』以来となるフラームの新しいスタジオ・アルバムとなる。またこの告知に合わせて、ニューシングル「Right Right Right」がリリースされています。


 

 

 

Preview Single 「Right Right Right」 

 



 

 

Nils Frahm 「Music For Animals」



 

Label: Leiter-Verlag

Release: 2022年9月23日



Tracklist:

1. The Dog With 1000 Faces
2. Mussel Memory
3. Seagull Scene
4. Sheep In Black And White
5. Stepping Stone
6. Briefly
7. Right Right Right
8. World Of Squares
9. Lemon Day
10. Do Dream


 


ニュージャージー出身のカニエ・ウェストの愛弟子、070 Shakeは、6月3日にデビュー・アルバム「You Can’t Kill Me 」をリリースした。

 

マイク・ディーンによるミキシング、マスタリングをフューチャーした新作アルバム「You Can't Kill Me」は、クリスティーヌ・アンド・クイーンズのコラボレーション「Body」を含む全14曲が収録されている。今、女性ラッパーとしてアメリカ国内で大きな話題を呼んでいるアーティストでもあり、上記のデビューアルバムはアメリカのモダン・ラップシーンの象徴的な作品である。

 

今週、070シェイクは、Jimmy Falons主演の『The Tonight Show』に音楽ゲストとして出演を果たし、その中でデビュー作に収録されている「Skin and Bones」を披露している。


070シェイクは、ジミー・ファロンのスタジオではなく、サウンドステージで「Skin And Bones」を披露した。カメラに映りこんでいるのは彼女だけで、曲の大半は、冷たくドラマチックな白い背景を背に歌われています。曲のビートが切り替わると、色調も変化する。そのすべてがクールで、Shakeの姿を際立たせている。ライブパフォーマンスの様子は以下でご覧ください。

 

 


 

Chance the RapperがJoey Bada$$とタッグを組んで、ニューシングル「The Highs & The Lows」を発表しました。

 

DexLvLがプロデュースしたこの曲は、Chanceと映像作家のTroy Guenoが監督したビデオも並行して公開されています。


「The Highs & The Lows」は、ガボンのアーティスト、Naïla OpiangahとMoses Sumneyとのコラボレーション「Child of God」、シカゴ在住の画家Nikko Washingtonとのコラボレーション「A Bar About A Bar」に続く異色シリーズの第3弾となる。

 

最新作は、ガボンの写真家ヤニス・ダビ・ギビンガのアートワークを使用し、木曜日にスイスのアート展示会で展示デビューを果たしています。


また、この作品は、今週日曜日(6月19日)のジュネーテントに、シカゴのデュサブルアフリカンアメリカン歴史博物館で展示される予定です。