Jade Hairpins

Jade Hairpins(ジェイド・ヘアピンズ)は、Fucked Upのマイク・ハリーチクとジョナ・ファルコを中心に結成された。Merge Recordsの新しい代名詞ともなりそうなバンドだ。これまでバンドは7inchのリリースを中心に、かなりマニアックなリリースをベースメントの領域で行ってきた。

 

ジェイド・ヘアピンズが今はなきジェイド・ツリーにちなんでいたとしても不思議ではない。ハリーチクの代名詞であるハードコアパンクではなく、70年代後半のニューウェイブの影響下にある個性的な音楽を提供する。少なくとも、彼らの音楽はとてもユニークで、スパイスが効いている。

 

Jade Hairpinsは2曲のシングルを同時にミュージックビデオとセットで公開した。この新曲は、以前リリースされたリード・シングル「Drifting Superstition」に続く作品。

 

「Let It Be Me」は、70年代後半のニューウェイブの影響下にあるシンセサウンドをもとにしたユニークなパンクソング。「My Feet On Your Ground」は、ニューウェイブという枠組みにとらわれることなく、ダンサンブルなディスコを元にして、それらをソフィスティポップやAORのサウンドに近づけている。ジャグリーな響きは、ミュージックビデオのスローモーションで強化されている。両シングルとも、バンドの多角的なサウンドの魅力に触れることができる。ひとえにパンクと言っても、こんなやり方もあったのかと未知の発見もあるかもしれない。


「Let It Be Me」について、ジョナ・ファルコは、プレスリリースを通して次のように語っている。「この曲は、"見えない友人 "を描写するつもりで、完全な不条理を念頭に置いて書かれた」


Jade Hairpinsは、2ndアルバム『Get Me the Good Stuff』をMergeから9月13日にリリースする。アルバム発売前に、ジェイド・ヘアピンズはイギリスとヨーロッパで短期ツアーを行う予定で、追って追加日程が発表される。



「Let It Be Me」

 

 

 「My Feet On Your Ground」

 


MJ・Lendermanは新曲「Joker Lips」において、カントリーとインディーロックを巧みに結びつける。近年のUSインディーロックはカントリーやアメリカーナとのクロスオーバーにチャンレンジするミュージシャンが多い。レンダーマンもそのトレンドに倣っている。彼の素直な性質のソングライティングは、懐古的なものと現代的なものの狭間で普遍的な響きを生み出している。

 

レンダーマンは、ソロシンガーソングライターとして、オルト・カントリー、インディーロック、及び、クラシックなロックを作曲してきた。彼の家系にはジャズマンがいる。レンダーマンの祖父はサックス奏者のチャーリー・ヴェンチュラである。若い時代から音楽制作に親しみ、 高校時代に自分で制作した音楽をBandcampに投稿し始めた。バックミュージシャンとしては、Indigo De Souzaの作品でドラムを演奏している。その他、Wednesdayとしても活動して来た。

 

リード・カット「She's Leaving You」に続くセカンドシングルは、ベン・トゥロック監督によるビデオとセットで公開されている。カントリー/アメリカーナ風のインディーロックで、リラックスした感覚を授けてくれる。彼の良質な音楽に対する普遍的な愛着が凝縮された素晴らしいシングルとなっている。近日発売予定のアルバム『Manning Fireworks』の収録曲となる。

 

ミュージックビデオでは、レンダーマンとライヴ・バンド、ザ・ウインドがノースカロライナの丘の中腹でパフォーマンスを披露している。曲の持つオーガニックな雰囲気を映像が引き立てている。映像の美しさはもちろん、安らいだ気分に浸されてくれるミュージックビデオである。

 

MJ Lendermanの新作アルバム『Manning Fireworks』はANTI-より9月6日リリースされる。

 

 

「Joker Lips」

 

©︎Guy Blakeslee


ロサンゼルスのシンガーソングライター、Lael Neale(ラエル・ニール)がニューシングル「Electricity」をSub Popからリリースした。


この曲はニール自身が作詞・作曲し、長年のクリエイティブなコラボレーターであるガイ・ブレイクスリーがプロデュースとアレンジを担当した。(ストリーミングはこちらから)


「この曲は、数年前の冬、ヴァージニアにある実家の農場に住んでいたときに、氷雨で5日間停電になったときに書いたんだ。照明、暖房、冷房、娯楽など、現代の生活で私たちが大きく依存するようになったものすべてから強烈な撤退を経験した。私たちは今、本質的に電化された存在だが、完全にプラグを抜くことで、新たな視点を得て、自分自身をリセットするチャンスがあるのだと気づいた」


Lael Nealeは昨年、フルアルバム『Star Eaters Delight』を同レーベルからリリースしている。


「Electricity」

 


時代を超越するたった一つの名曲を書いたことで、その後の運命が変わることもある。The B-52'sは、ニューウェイブシーンのバンドとして出発したが、米国の人気テレビアニメ『The Flintstones(原始家族 フリントストーン)』の主題歌「(Meet) The Flintstone」を歌ったことで、音楽シーンを越えて大人気を博した。ジョージア州アセンズのバンドの魅力は口ずさめる音楽、シアトリカルな要素にある。この曲は、USポピュラーの不朽のマスターピースでもある。

 

The B-52’sのボーカリスト、ケイト・ピアソン(Kate Pierson)がソロシンガーとして復活する。ソロ・アルバム『Radio and Rainbows』を9月20日にSVRからリリースする。バンドを飛びだして、ソロシンガーとしての道を歩むことはどんな意味があるのか。答えは新作アルバムで示される。

 

アルバムのリリースに先駆けて「Evil Love」が発表された。1980年代のミラーボール・ディスコ風のポップスだが、決して形骸化した印象はなく、むしろフレッシュな感覚すら漂うのが凄い。


ピアソンは新曲のコンセプトについてこう語っている。「時には邪悪な愛だけが必要な愛になる。執拗な独占欲と正義の復讐の、それほど真実味がない物語......。素晴らしいブルー・マッコーリーと一緒に、許しについての曲というアイデアで書き始めたんだけど、私たちの創造力がぶつかり合った結果、メイン州の海岸を舞台にしたノワール・スリラーのような曲に変わった。とてつもないストームだから、"Evil Love "のために帽子をかぶって待っていてほしい!!」


このレコードについて、ピアソンは語った。 「アンセム、ダンス、ディスコ・ソング......全体的に明るい雰囲気のアルバムになっている。楽しいアルバムにしたかった」


B-52'sに関連したソロ活動についてピアソンは語った。 「B-52'sがずっとツアーをやっていて、たくさんの仕事をこなしていたとき、家族のようだった。私にとって、B-52'sの外で自分ひとりで何かやっていたら、裏切りを意味していた。でも、それは自分の心が作り出した牢獄に過ぎなかった」


90年代後半のバンドの活動休止中、彼女はソロアルバムのために十分な曲を書き、レコーディングしていた。長らくお蔵入りだった理由は、「しかし、マネージャーがそれを止めた」という。

 

 

 「Evil Love」

 


Kate Pierson  『Radios and Rainbows』

Label: SVR

Release: 2024年9月20日


Tracklist:


Side One:
1 Evil Love
2 Take Me Back to the Party
3 Every Day is Halloween
4 The Beauty of it All
5 Pillow Queen
6 Wings
Side Two:
7 Radios and Rainbows
8 Higher Place
9 Dream On
10 Always Till Now
11 Living in a Monet
12 Give Your Heart to Science

 


カナダ出身のシンガーソングライター、Mac Demarcoの傑作『Salad Days』の発売から10年が経過したとは信じられない。未だにこのアルバムは、オルタナティヴロックの名盤であるとともに、不朽の輝きを放ち続けている。このアルバムから、タイトル曲、「Let Her Go」というデマルコの以後のミュージシャンとしての成功を決定づけるオルタネイトなヒット・ソングが誕生した。以降、ロサンゼルスの公演では細野晴臣との「ハネムーン」のデュエットも話題となった。

 

今回、ニューヨークのレーベル、Captured Tracksは、『Salad Days』の10周年を記念して、二枚組のLPバージョンのリリースを発表した。限定盤二枚組のLPは、オリジナルバージョンの『Salad Days』と『Salad Days Demos』の両方のトラックを一つにまとめて収録。

 

特典も豪華で、ファンにとってマストなアイテムとなるだろう。フルカラーポスター、デマルコの『Salad Days』のツアーのスケジュール、オリジナルライダー、未発表写真、マックによる書き下ろしライナーが掲載された12ページのブックレット、3つ折り「Chamber Of Reflection」パッケージにコンパイル。ホログラフィック・エバーグリーン・ヴァイナル仕様で生産される。

 

『Salad Days』は、マックが一躍脚光を浴びた2012年の『Mac DeMarco 2』に続く作品。絶え間ないツアー・スケジュール(LPが完成するやいなや、再びツアーが再開された)を軸に書かれ、レコーディングされたこの『Salad Days』は、リスナーに、キャリア上昇の狂騒の中で、マックであることが何なのかを個人的な洞察として聴かせる。


これらの傑出したトラックは、マックのサウンドの広がりや可能性を示している。それが将来の方向性への洞察であれ、新たな領域への単発的な進出であれ、歓迎すべきものである。それでも、これは音楽的にも歌詞的にもメロディ的にも、古き良きマック・デマルコそのものである。

 

1972年にジェフ・エメリックのミキシング・ボードから出てきてもおかしくないような、ジョン・レノン/フィル・スペクター時代の鮮明な自作自演の瑞々しいプロダクションが、完全に今のマック独特のタッチで表現されている。あらためてオリジナル盤と合わせてチェックしてみよう。

 


「Salad Days」

Oceanatorが3rdアルバム『Everything Is Love and Death』を発表 8月21日にリリース



エリス・オクサミのバンドプロジェクト、Oceanator(オーシャネーター)が、8月23日にポリビニールからリリースされるサードアルバム『Everything Is Love and Death』を発表した。前作『Nothing Ever Fine』に続く作品となる。

 

ウィル・イップがプロデュース、エンジニア、ミックス、マスタリングを担当し、ドラム、パーカッション、キーパッドも担当した。アンドリュー・ホワイトハースト(ドラムス)、エリック・シャーマン(トランペット)、ピアノ・ビカム・ザ・ティースのデイヴィッド・ハイク(ティンパニ)、ミーガン・シービー(チェロ)、クイーン・オブ・ジーンズのメンバー、ミリ・デヴォラ&マシソン・グラス、ジョシュ・ヘルナンデスのヴォーカルが参加している。


最初のシングルは「Get Out」で、オーシャネーターはリフなハードロックの領域に飛び込んでいる。ミュージックビデオは以下からチェックできる。


Oceanator(オーシャネイター)は、7月にBad Cop/Bad Copのライヴのオープニングを(7月12日のコネチカット州のSpace Ballroomを含む)務めるほか、ジェフ・ローゼンシュトックのブルックリンでのレジデンシーのオープニングを飾る。



「Get Out」


 ・「First Time」「Be Here」



Oceanatorは、ダブルシングル「First Time」「Be Here」をPolyvinyleからリリースした。

 

1980年代の古典的なハードロックソングをベースに、シューゲイズ、ドリームポップのモダンなテイストを加えようとしている。オクサミの痛快なロックソングを聴くと、1980年代の産業ロックに何らかの可能性が残されていることを示唆している。

 

「First Time」は、アイルランドの英雄、Thin Lizzyに触発されたナンバーであるという。バイクショップやハンバーガーショップで流れていそうなストレートなハードロックソングだ。8ビートのシンプルなリズムにオクサミのギターとボーカルが乗り、ワイルドな空気感を生み出す。

 

同時にリリースされた「Be Here」は、やや曲の印象が異なり、ドリームポップ風のギターをベースにし、レトロな質感を持つシンセロックのエッセンスを加えている。この曲で、オーシャネイターは、ポリヴァイナルの持ち味である”エモ”のフレーバーを引き出すことに成功している。

 

Oceanatorを名乗るエリス・オクサミはプレスリリースで新曲について次のように語っている。

 

「”Firs time "と "Be Here "は、私にとって同じ世界に生きています。『FirstTime』と『Be Here』は、わたしにとって同じ世界に存在しています。『First Time』は私のシン・リジーの曲と呼んでいるもので、ハーモニーを奏でるギター・リフがある」

 

 

「First Time」- Best New Tracks




「”Be Here”は、もう少し浮遊感のあるシンセで、あまり顔に出ない曲。”First Time”ではウィル・イップがドラムを、弟のマイケルがベースを弾いてくれた。”Be Here”は全部わたしが弾いている! すべてのパートをレコーディングして、曲がひとつにまとまるのは楽しかった。サウンドは違えど、一緒にライブをしたかったし、ダブルシングルとしてリリースできることに興奮しています」 

 


「Be Here」

 

 

「Drift Away」


 

エリス・オクサミによるソロ・プロジェクト、Oceanatorがニューシングル「Drift Away」をリリースした。8月下旬に発売される『Everything Is Love and Death』の4作目のシングルとなる。

 

前作のシングルでは、Thin Lizzyへのリスペクトを示していたが、ニューシングルでは、トミー・アイオミのようなコアなギターリフが特徴となっている。それに加えてStone Temple Pilotを彷彿とさせる初期のグランジに触発された重力のあるギターの音作りが特徴である。フィードバックを活かしたハードロッキングなシングルで、硬派なイメージを徹底して押し出す。

 

1980年代や90年代、シンガーという側面では女性の活躍があったメタルやヘヴィーロックというジャンル。しかし、ギタリストとしては象徴的な存在が台頭することは非常に少なかった。そして、オーシャネーターの音楽は、ハードロックの失われた魅力を現在に復興する。

 

オーシャネーターは8月のブルックリンでの公演に続いて、9月から10月下旬にかけてアメリカ・ツアーを行う。 


 

「Drift Away」

 



Oceanator 『Everything Is Love and Death』




Label: Polyvinyl

Release: 2024/08/23


Tracklist

1. First Time

2. Lullaby

3. Cut String

4. Happy New Year

5. Get Out

6. Home for the Weekend

7. Be Here

8. All the Same

9. Drain the Well

10. Drift Away

11. Won’t Someone



Oceanator:


オセアネーターは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点にするアメリカのマルチインストゥルメンタルミュージシャン、Elise Okusamiのバンドプロジェクトである。

 

このプロジェクトの中心人物であるエリーゼ・オクサミは、9歳の頃から独学でギターの習得をはじめ、その後、兄と友達と一緒にバンドを始めた。その後、ニューヨークで複数のバンドプロジェクトに参加しながら、ソロアーティストとして活路を見出していった。オセアネーターは、1990年代のグランジとパンクに強い影響を受けたサウンドに、最近の流行のシンセ・ポップの色合いを付け加えたバンドである。しかし、その音楽性は、掴みやすさがある一方で、往年のハードロックバンドのようなパワフルな重低音に裏打ちされた力強さの両局面を併せ持つ。オセアネータの音楽性については「アポカリック・サウンド」というようにも称されている。

 

オセアネーターは、2017年にデビュー・アルバム「Oceanator」を自主レーベルからリリースする。このアルバムの発表から時を経ずに、複数の音楽メディアに注目を浴びる。StereogumやSpinから賞賛を受け、「2020年の20の最も興味深いニューアーティスト」にも選出されている。

 

その後、 新たにアメリカ/シカゴのインディペンデントレーベル、ポリヴァイナル・レコードと契約を結び、2020年には二作目となるアルバム「Things I Never Said」をリリースしている。


Alvvays


カナダのオルタナティブロックバンド、Alvvaysのセルフタイトル・デビューアルバムの10周年記念盤が11月15日に発売されます。


チャド・ヴァン・ガーレンのイラストによる折り込みポスター付き。バーニー・グランドマンがリマスターしたAlvvays (10th Anniversary Edition)には、レコード限定のボーナス・トラック「Underneath Us」が収録されている。オリジナル曲はすべてリマスターにより新しく生まれ変わる。


2024年2月、アルヴェイズの2曲目のシングル曲「Archie, Marry Me」が、ストリーミング時代の希少な基準値である、1つのプラットフォームで1億回再生という天文学的な記録を達成し、のちのバンドとしての活躍の布石を形作った。

 

世界最大のポップ・スターにとっては平均的な成果かもしれないが、当時カナダの島の裏道の農家で作曲していた新進気鋭のインディ・ロック・バンドにとっては、驚異的なつながりと広範な共鳴の証明となった。即座に親近感を抱かせるこの曲は、規定された社会的期待や、たとえ非協力的であろうとも、はみ出し者の地位を喜ぶことについての賛歌である。


デッドパン・ジャングルが詰まったこのアルバムは、ストーキング・ユー・ウィズ・ラブ・アンセム 「Adult Diversion 」で幕を開け、SF的クローズ 「Red Planet 」のアンニュイな逃避行で幕を閉じる。


30分強の間に、アルヴェイズは誰かを実際に死ぬまで愛することを歌い(「Next of Kin」)、秘密を守ることがいかに自分が望むものを壊すかを歌い(「The Agency Group」)、また、愛と結婚に対する社会的要求についての鋭い歌を聴かせてくれる(「Atop a Cake」)。モリー・ランキン、アレック・オハンリー、ケリー・マクレラン、ブライアン・マーフィーの4人が2013年にチャド・ヴァンガレンとこれらの曲を制作したのは、彼らがレコード契約を結ぶずっと前のことだ。



Alvvays (10th Anniversary Edition)


Label: Polyvinl

Release: 2024年11月15日


Tracklist

1 Adult Diversion (Remastered 2024) 

2 Archie, Marry Me (Remastered 2024) 

3 Ones Who Love You (Remastered 2024) 

4 Next of Kin (Remastered 2024) 

5 Party Police (Remastered 2024) 

6 The Agency Group (Remastered 2024) 

7 Dives (Remastered 2024) 

8 Atop a Cake (Remastered 2024) 

9 Red Planet (Remastered 2024) 

10 Underneath Us (Remastered 2024) 

 

©Marta Bevacrua

テキサス州出身のカントリーシンガー、Kacey Musgraves(ケーシー・マスグレイヴス)は、最新アルバム『Deeper Well』のデラックス・エディションを発表した。

 

この拡張盤には、オリジナルの14曲に、7曲の未発表曲が追加収録される。シンガーソングライターはこの発表に合わせて新曲「Irish Goodbye」を発表した。『Deeper Into the Well』のエクステンドバージョンはInterscope/MCAナッシュビルから8月2日にリリースされる。

 

 

「Irish Goodbye」



ケーシー・マスグレイヴスは、4月にアイルランドのダブリンで開催された「Deeper Well」の宣伝を兼ねたワールド・ツアーのキックオフで、「Irish Goodbye」のパフォーマンスをファンの目の前で披露した。

 

『Deeper into the Well』には「Superbloom」でレオン・ブリッジス、「Perfection」にはタイニー・ハビッツとコラボレーションを行った。

 

今年初め、ケーシーはロンドン、ダブリン、アムステルダム、ブリュッセル、ケルン、グラスゴーなどでソールドアウト公演を行い、ヨーロッパ公演を終えたばかりである。

 

ワールド・ツアーの北米公演は、9月4日(水)にペンシルベニア州ステート・カレッジのブライス・ジョーダン・センターで始まる。12月7日(日)のテネシー州ナッシュビル、ブリヂストン・アリーナでの2公演がソールドアウト。ケーシーは、9月28日に開催される歴史的で象徴的なオースティン・シティ・リミッツの50thシーズンのプレミア・パフォーマーに選ばれている。

 


Kacey Musgraves 『Deeper Into The Well』


Deeper into the Well track list: 


* new track


1. ‘Cardinal’

2. ‘Deeper Well’

3. ‘Too Goodto be True’

4. ‘Moving Out’

5. ‘Giver/Taker’

6. ‘Sway’

7. ‘Dinner with Friends’

8. ‘Heart of the Woods’

9. ‘Jade Green’

10. ‘The Architect’

11. ‘Lonely Millionaire’

12. ‘Heaven Is’

13. ‘Anime Eyes’

14. ‘Nothing To be Scared Of’

15. *’Ruthless’

16. *’Little Sister’

17. *’Flower Child’

18. *’Superbloom feat. Leon Bridges’

19. *’Perfection feat. Tiny Habits’

20. *’Arm’s Length’

21. *’Irish Goodbye’

Pat Metheny 『MoonDial』

Label: BMG

Release: 2024年7月26日

 

 

Review


バリトンギターの芳醇な響き


 

ギターのマエストロ、パット・メセニーによる最新作は、ナイロンの弦の柔らかく優しげな響き、ガット弦の硬質な響き、バリトン・ギターの芳醇な響き、それから、弦楽器の演奏の品格やプレイヤーとしての流儀を追求している。


ガット弦のギターは、ダイナミックな演奏を適しているために硬い響きがあるが、他方、ナイロンの弦は、旋律的な演奏をするのに適しており、柔らかく、温かい響きがある。これらの対称性を上手く活用して、パット・メセニーはアコースティックギターの醍醐味を引き出そうとしている。


カントリージャズ、ジャズギター、オーケストラとのコラボレーションなど、飽くなき探究心をもってギターの無限の世界を探求してきたマエストロは、BMGから発売された『MoonDial』において、クラシックギターに比する美しい調べで、聞き手の心に安らぎをもたらしてくれる。ギターファンのみならずジャズファン、もちろん、クラシックファンも要注目のアルバムの登場です。

 

最新アルバム『MoonDial』で、パット・メセニーは、いくつかのスタンダードのジャズによる再構成とオリジナル曲を通じて、旧来のモダンなジャズギターから、クラシック・ギターに至るまで、多角的な演奏方法を披露しています。プレイヤーの心を反映させて、繊細なフィンガーピッキングによるアルペジオを交えて、ギターアルバムの一つの頂点をきわめようとしている。

 

メセニーは序盤からモダンジャズにとどまらず、スペインのフェデリコ・モンポウ(Federico Mompou)の「Impreshiones: Intimas」を思わせる南欧の気風を反映させたクラシックギター、イタリアンバロックを咀嚼し、優雅な演奏を披露している。パット・メセニーのギターの演奏には停滞がなく、13の音楽がスムーズに駆け抜けていく。


アルバム全体に、何らかのテーマが据えられているのかは分かりかねますが、最近のスタジオ作品の中で最も情熱的であり、哀愁溢れるギターが披露されている。タイトル曲「MoonDial」は、そのシンボルともなりえるでしょうか。スパニッシュ・ギターの演奏を踏襲しながら、自由闊達なジャズ・スケールがフレーズの間を揺れ動く。メセニーのギターの調べは、一連の音の流れが本当に生きているかのように精細感を持って、聞き手の心を捉えることがあるのです。

 

このアルバムの重要な核心にあるナイロン弦のアコースティックギターとしての柔らかな響きは、続く「La Cross」に反映されている。メセニーが最初のアルペジオを紡ぎ出す瞬間、音楽そのものから温かい感情が堰を切って溢れ出す気がする。その後の複雑なジャズスケールの複合の流麗さは当然ながら、その後、旧来の演奏家としての経験から培われた巧みなソロが続く。メセニーはその中で、ギターによる安らぎや哀愁を紡ぎ出す。フレットのスライドの瞬間は圧巻で、それが次なるスケールへの布石となっている。解釈次第では、最初期のカントリージャズを踏襲して、モダンジャズの文脈に置き換えたような一曲として楽しめるでしょう。ギターだけで、内的な感情伝達をするかのような素晴らしい演奏に聞き惚れてしまうかもしれません。

 

一転して「You're Everything」はロマンチックなムードに溢れたナンバー。メセニーのギターの演奏は、言葉がなくとも、ギターだけで情愛的な感覚を示せることの証立てでもある。現代の情報過多な時代において、時々、過剰な言葉から距離を置くことの大切さを痛感できる。繊細なフィンガーピッキング、ニュアンス、 ミュートの響きは、鳥肌が立つような凄みが含まれる。

 

本作には、ジャズ・ギターとして泣かせる要素も込められています。カバー曲「Here , There and Everything」は、ビートルズの持つ本当の魅力を体現させている。親しみやすく口ずさめるメロディー、そしてララバイ、バラードというバンドの本質を捉え、自由な気風溢れるジャズに置き換えている。この曲では、ビートルズの未発見の魅力に迫るとともに、伝説的なロックバンドの繊細なエモーショナルな一面に、あらためてスポットライトを当てています。泣かせるギターとは何なのか、その答えがこの曲に示されていると言えるでしょう。曲のアウトロにかけての協和音への解決がなされる瞬間、バリトン・ギターの低音部の響きが聞き手の心に深い共鳴を呼び起こす。

 

 

 「Here, There and Everything」- Best Track

 

 

 

あらためて、このアルバムを聴くと、ギターはアコースティックピアノに近い楽器の特性があり、まだまだ未知の可能性に満ち溢れていることが分かるのではないでしょうか。

 

「We Can't See It, But It's There」は、最初期の作風から培われてきた思弁的な要素を刻した一曲として深く聞き入らせるものがある。メセニーは、ジャズスケールを巧みに用い、内的な苦悩を丹念に表現している。この曲を聴くかぎりでは、ギターというのは自らの感情を表現したり、伝達したりするのに適した楽器であることが分かる。メセニーがフィンガー・ピッキングによりアルペジオを紡ぎ出すと、連続した音のハーモニーはやがて、美麗で瞑想的な雰囲気すら帯びてくる。バリトン・ギターの倍音の特性を巧緻に活用していると言えるかもしれません。

 

続く「Falcon Love」では、ララバイのような要素を込め、フォークとジャズの中間にある抽象的な音楽性を探ろうとしている。明朗で快活な印象を擁するギタリストの哀愁やペーソスといった、もう一つの印象を捉えることが出来る。彼のギターは、マキシマムではなく、ミニマムとしての特性がある。音符がピアニッシモに近づき、静寂の本質に触れる瞬間、ギタリストとしての傑出した才覚が引き出される。この曲にはまた、聞かせる音楽の醍醐味も示されています。

 

その他にも、中盤には最初期のカントリージャズに回帰する曲も収録されています。例えば、バーンスタインのカバー「Everything Happens To Me/Somewhere」は、ノイジーなロックやダンスミュージック、それに類する音楽に少し疲労感を覚えたとき、音楽のもう一つの隠された魅力ーーサイレンスーーを教え示してくれる。 主旋律と対旋律という2つの観点から、親しみやすいジャズギターが築き上げられる。滑らかなスライドやアルペジオがいくつも折り重なる時、瞑想的な響きと柔和な響きを介して、音楽の芳醇でうるわしいハーモニーが生み出される。


スペインの作曲家フェデリコ・モンポウの「La Barca」のような哀愁と憂いをジャズの快活さと安らぎで包み込み、贅沢な音楽のひと時を提供している。20世紀を代表するピアニスト、アリシア・デ・ラローチャ(Alicia de Larrocha)のピアノの演奏のように優雅であり、美しさと幻想性を兼ね備えている。


 

ナイロン弦で演奏されることが多いこのアルバム。しかし、「This Belong To You」以降は、おそらくガット弦のギターが使用されるケースがある。この点は、「穏やかな前半部」、対象的に「張りのある後半部」という二部構造の対比を生み出している。すなわち明確には示されませんが、大きな枠組みとしては、ギタリストとしてのコンセプチュアルな試みが読み解けるのです。


実際、ガット弦の使用はリズムギターの性質を一際強調している。瞑想的で内省的な雰囲気のあるアルバムの前半部とは対象的に、ギターのアグレッシヴな側面、そして軽やかで快活なイメージを象徴づけている。「コントラスト」というのは西洋美学の基本で、対象的な性質から別の概念が生まれることを示す。二つの特性をシンプルに活用しているのが本作の醍醐味です。

 

日本語の「香辛料」を意味する「Shoga」は、スパニッシュ風のフラメンコギターを彷彿とさせる。メセニーは情熱的な雰囲気とアグレッシヴな気風を演奏に織り交ぜている。他にも南欧のジプシー音楽の影響を活かして、流浪のギタリストとしての雰囲気を演出する。これらは、既存の概念や常識にとらわれないギタリストとしての自由闊達な気風が開放的な感覚をもたらす。


「My Love and I」を聴くと、ギターは使用する弦の種類によって、その音の持つ雰囲気やムードがまったく変化することが分かる。この曲は、前半部のいくつかの収録曲と同じように、バラード、ララバイ風の憂いのあるジャズ・ギターですが、序盤よりも重厚で迫力に満ちています。とりわけ、低音部や高音部よりダイナミックな響きを持ち合わせている。そして、パット・メセニーは、やはり卓越したギターの演奏によって、聞き手をうっとりとした感覚へと導く。

 

オーケストラとのコラボレーションなどにも取り組んできたメセニーは、ギターだけで驚くほど多彩な世界観を構築できることを示唆する。


「Angel Eyes」は低音の通奏低音を活かし、クラシックギターの演奏の表現性を押し広げている。ラルフ・ターナー(Ralph Towner)のようにミュージックセリエルの無調をスケールに取り入れていますが、調性がない箇所でも、聞きづらさがないのに驚きを覚えます。


楽器とそのプレイヤーは、どこかで関連していることを考え合わせると、聞きやすさがあるのは、メセニーが快活な人物だからなのでしょう。曲のモチーフとなる無調と対比的に導入されるモダンジャズやフラメンコに触発されたスケールを繋ぎ合わせ、抒情性に満ち溢れた曲に昇華している。ミステリアスさとハートウォーミングな感覚を織り交ぜて、このギタリストにしか生み出せない唯一無二の音楽の世界を構築していく。ギターによってストーリーテリングをするような物凄さや卓越性は、演奏者として一つの頂点に達した瞬間といえるかもしれません。

 

アルバムは、クールな雰囲気を持って、一連の音楽の世界の幕を閉じる。オープニングと対を成す「MoonDial- Epilogue」は、一つのサイクルの終わりを意味しますが、同時に、次のステップの始まりでもある。どのような曲なのか、実際にアルバムを聴いてみて確かめていただきたい。


古今東西、ジャンルを問わず、音楽に静かに耳を澄ましていると、最後の音符が途絶えた後も何らかの余韻が漂い、未知なる道に続くような気分にさせる作品が存在する。パット・メセニーの最新作『MoonDial』もそういった不思議な魅力に溢れるアルバムに位置づけられるでしょう。

 

 

95/100

 

 


「MoonDial」- Best Track




『MoonDial』 Tracklist:

1.MoonDial (Metheny)
2.La Crosse (Metheny)
3.You’re Everything (Corea/Potter)
4.Here, There and Everywhere (Lennon/McCartney)
5.We Can’t See It, But It’s There (Metheny)
6.Falcon Love (Metheny)
7.Everything Happens To Me/Somewhere (Dennis/Adair; Bernstein/Sondheim)
8.Londonderry Air (Traditional)
9.This Belongs To You (Metheny)
10.Shōga (Metheny)
11.My Love And I (Raskin/Mercer)
12.Angel Eyes (Dennis/Brent)
13.MoonDial (epilogue) (Metheny)

Interview (インタビュー)  - paniyolo  ー福島出身のギタリストの実像 ギターを始めた頃から現在までー

 

Paniyolo
渡辺明応とのコラボレーション


Paniyoloの名を冠して活動する高坂宗輝さんは、福島出身のギタリスト。小瀬村晶さん(Deccaに所属)が主宰するレーベル”Schole”に所属しており、これまで15年にわたってギタリストとして活動を続けてきました。

 

アコースティックやエレクトリックアコースティックギターを使用し、音楽の中にある安らぎというテーマを探ってきました。Paniyoloのギターには、Scholeのレーベルコンセプトが凝縮されている気がします。つまり、彼のギターの演奏は、忙しない日々の中に余白や落ち着きをもたらす。まさに現代の都会人が忘れてしまった何かを彼のギターの演奏は持ち合わせているのです。

 

Scholeのレーベルに所属するミュージシャンの多くは、私自身に音楽の楽しさをあらためて思い出させてくれました。今回、そのレーベルの象徴的なギタリストと交流できたことを嬉しく思います。今回のインタビューでは、ギターを始めたきっかけから、スコーレとの出会い、そして、ギタリストとしての近況に至るまで、いくつかの質問に答えていただくことが出来ました。

 

 
ーーpaniyoloさんが音楽に興味を持ち始めたのは何歳の頃だったでしょうか? 当時の記憶 について教えてください。

 


paniyolo: 自分で音楽を流すようになったのは小学校高学年の頃でした (90年代前半)。 親が買ってきたオーディオコンポと数枚のCDがきっかけですね。 (サザン・オールスターズ、チャゲアンドアスカ、 竹内まりやなど) その頃は楽器にはまだ全然興味がなかったです。



ーーギターを演奏するようになった契機についてご質問したいと思います。 今でも最初に演奏を始めた頃というのは思い出に残っていますか?


paniyolo: ギターを始めたきっかけは中学1年の頃でした。テレビで観たバンドの演奏でした。 ボーカルがストロークするアコギが聴き取れなかった。その音の正体を確かめたくて、 押入れにあった親のアコースティックギターを引っ張り出して、 C→Amをひたすら ストロークするところから始まりました。

 

 

ーーpaniyoloさんは福島のご出身ですが、どのような少年時代をすごしていたのか教えていただけますか。
 

 

paniyolo: 楽しかった思い出の方が多い気がするので、かなり恵まれていた環境だったと思いますね……。

 

ーープロミュージシャンとしてやっていこうと意識したのはいつ頃だったのでしょうか。 ま た、 そう思い立った具体的な出来事などありますか。

 

paniyolo: 音楽を通した人との繋がりが一番楽しくて続けているため、いつもそういった意識を持っているわけではないんです。誰かに楽しんでもらいたいという気持ちと、 自分自身が楽しみたい気持ち半々でやってます。

 

ーー最初のレコード「Im Home」は、scholeからのリリースとなったわけですが、 これは小瀬村さんからお声がかかったという感じですか。当時のことについて詳しく教えていただけると幸いです。


paniyolo:  scholeは発足当初、 CD付きのフリーマガジンを制作していました。 僕もその雑誌に音楽で参加したことがあるんです。

 

以降、scholeのメンバーとは、2000年代後半に流行っていたmixiやmyspaceなどで交流もありました。 2009年リリースの「I'm Home」は、 会話の流れで自然に決まっていったように思います。

 

最初は誰かとのスプリットアルバムの制作を提案してもらったんだと思います。 当時、scholeは、 「akira kosemura+haruka nakamura / Afterglow」 、「sawako+daisuke miyatani / hi bi no ne」など、スプリット・アルバムを発表していました。スプリット作品のシリーズ化をしたかったのだろうと思います。「自分はソロで出したい!」なんてワガママばっかり言っていました。(笑)

 


ーーその後、 paniyoloさんはギタリストとして、 およそ15年ほど活動していらっしゃいますね。 最初期と現在では、 曲の制作やギターの演奏に関して、どのように移り変わってきたとお考えでしょうか?

 

paniyolo:  実は……、表現したいことはずっと変わっていないんです。 誰かの日常に溶けて馴染むような音楽ができればと考えています。

 


ーー続いて、 アルバムや楽曲の制作に取り組む時の制作のプロセスについて教えていただきたいと思います。ソングライティングやレコーディングのときに、 あらかじめコンセプト やテーマのようなものを決めていますか?

 


paniyolo:  先ほどの発言とは矛盾するかもしれないんですが、 いざ作曲しようとギターを手に取った時は何も考えていないんです。弾いていて気持ちの良いフレーズ、メロディーを探してスケッチしている感じですね。

 

曲のタイトルは、完成した曲を改めて聴いて感じること、または浮かんだ情景などから、後でつけることが多いです。 何も考えずにギターを弾いたとしても、自分がやりたいコンセプトやテーマから逸れることはないですね。いや、もしかすると、それしかできないのかもしれないな... 。


太田美帆とのコラボレーション ©Yuri Kawabe
 

ーー近年では、 声楽家の太田美帆さんや、 スティール・パン奏者の渡辺明応さん、というよう に、多岐にわたってコラボレーションを行っていらっしゃいますね。 共同制作で心がけていることは何でしょうか。 また、コラボレーションで何か学びとなることがあれば教えてください。

 

paniyolo: コラボレーションは、まず、お互いの「らしさ」が感じられるものであると良いのかなと思っています。 それから、コラボするきっかけやタイミングは様々なんですが、とにかく楽しみたいという気持ちが強いですね。楽しんで作れた音楽ほど、遠くに届けられる気がしますし……。



ーー現在、 カフェのようなスペースでライブを行うことが多いようですが、 paniyoloさんにとってライブで一番楽しみにしていることは??

 

paniyolo:  窓から見える景色、 空間の響き、 美味しい珈琲、 お茶、 食事であったり......、楽しみは沢山です。そこで自分の好きなことを共有させてもらっているのですから、 かなり贅沢なことですね。
 


ーー最近よく使用しているギターや周辺機材について教えていただきたいと思います。 また、どんな点を気に入っていますか??

 

paniyolo:  つい最近まで、高校生の時に購入したギターを20年以上使用していました。 1st Albumから2023年リリースの「家並み」まで、ほとんどの曲をこのギターで録音したんですが、少しだけ、家でお休みしてもらうことにしました。 (リペアも必要になってきたので...) そして、 昨年新しいギターを手に入れました。今はそのギターと向き合っているという感じでしょうね。


ーーギタリストとして理想のプレイヤーを挙げるとするなら? また、 今後どのような演奏家を目指していきたいですか?



ずばり、アメリカのギタリスト、 アンドリュー・ヨーク(Andrew York)でしょう。 彼の清流のようなスムーズなプレイがとても好きです。「Woven World」という曲をぜひ聴いてみてほしい。


ーーさて、6月末にはニューシングル 「Utsukusisa-(うつくしさ)」 がリリースされました。夏の暑さを和らげてくれるような曲であると私自身は感じました。 この曲にはどんな想いが込められていますか??

 

Paniyolo: 「Utsukushisa」は、 今年4月に出演したイベントがきっかけで出来た作品です。 素晴らしかった一日がこの曲の制作につながりました。



paniyoloの新作情報


「Utsukushisa- 美しさ」- New Single (6/21)

 


 

楽曲の配信リンク: https://distrokid.com/hyperfollow/paniyolo/utsukushisa

 

 

「Natsunohi- 夏の日」- New Single (7/26)


 

楽曲の配信リンク: https://distrokid.com/hyperfollow/paniyolo/natsunohi


 

Matilda Mann


Matilda Mann(マチルダ・マン)は、ロンドンの気鋭のインディーフォークシンガーとして同地のシーンに名乗りをあげた。これまでは心に染みるような哀感のあるフォークミュージックを制作してきた。マチルダ・マンは、自身の恋愛にまつわる感情をもとにセンチメンタルなポップミュージックでリスナーを魅了してきた。誰にでも起こりうる内的な感覚をギターに乗せて歌う。


シンガーソングライターというのは、人間的な成長とともにその音楽性も変化していかざるを得ない。ソングライティングは、ある人物のポートレイトを意味する。充実したときやそうでない時も、明るい時も暗い時も、鮮やかに歌い上げるのが優れたシンガーでもあるのかもしれない。

 

今週、発売された2曲のニューシングルのうち一曲は、これまでのマンの作風とはやや異なる。「Meet Cute」はシンガーソングライターのネオソウルに対する傾倒が伺える。そして「Tell Me That I'm Wrong」では、従来のセンチメンタルで繊細なインディーフォークを披露している。


「Meet Cute」についてマチルダ・マンはこう語っている。 「この曲は、好きな人に何度も何度も会いたいという気持ちを歌っているんだ」

 

「Meet Cute」

 

この曲には、ベン・ハリス監督によるミュージックビデオが付属している。「初めて誰かに会うというのは、アドレナリンが出まくるものなんだ」


「何が起こるかわからない可能性が、頭の中を狂ったように駆け巡る。何度も何度も会いたいと願う。だから、私たちは何度も会えるビデオを作りました!パーティー、駅、そして古典的な映画の "ミート・キュート "のスタイルで彼らに会う」


同時に配信されたもうひとつのニューシングル「Tell Me That I'm Wrong 」について、彼女は付け加えた。

 

「誰かを好きになる最良の方法は、ゆっくり落ち着いていくことだと思う。予期せぬことだけど、とても正しいと感じるとき。時間をかけて、言葉をかけて、やがてすべてがうまくいく。あなたはただそれを始めさせなければならないの」

 

 

「Tell Me That I'm Wrong 」

 

Thurston Moore
Thurston Moore


ソニック・ユース(Sonic Youth)のギタリストであるサーストン・ムーア(Thurston Moore)が、待望のニューシングル「New In Town」をリリースした。

 

このトラックは、彼自身の自主レーベル、Daydream Library Seriesから9月20日に発売されるニューアルバム『Flow Critical Lucidity』の収録曲。ギタリストとしての表現性の自由さ、そして音響の可能性の拡張が内包されている。エキゾチックで民族的なパーカッション、不協和音をベースにしたワイアードなギターサウンド、なおかつ、得体のしれないものに対する親和性......。これらは、70年代の伝説的なギタリストの多くが持ち合わせていたが、いつしか失われたものだ。ニューヨークのギタリストのアート・ロックへの傾倒は今なお健在である。年を重ねることが、必ずしも何らかの存在に丸め込まれることを意味するわけではないと痛感できる。

 

新曲「New In Town」について、サーストン・ムーアはプレスリリースで次のように語っている。

 

「この曲は新鮮なブラッドについて歌っている。学校の転校生......。権力を欲する不気味な輩の毒から世界を守ろうと願う、活発なコミュニティにおける新たな変革の可能性。80年代初頭のハードコアのスラム・ピットで示された、大人になってからの使い古された期待を拒絶する若者のような精神について.......」


このアルバムには、My Bloody Valentineのデブ・ゴーゲがベースに参加。ジェイムズ・セドワーズ(ギター)、ジェム・ドルトン(ドラム)、ジョン・ライデッカー(エレクトロニクス)が参加している。アートロックファンはもちろん、シューゲイザーファンも要チェックしておきたい。

 


「New In Town」

・元パレスのベーシストでマルチ・プロデューサーのウィル・ドーリーによるプロジェクト、スキンシェイプの新作が発売決定! 先行シングル「Can You Play Me A Song」も配信スタート!!

Will Dorey

イギリスのマルチ奏者でプロデューサー、ウィル・ドーリー(Will Dorey)のソロ・プロジェクト、Skinshapeの9作目のスタジオ・アルバム『Another Side of Skinshape』が9月27日(金)に発売されることが決定した。早速新曲「Can You Play Me A Song」も本日より配信開始。(「Can You Play Me A Song」の配信リンクはこちらから: https://orcd.co/xadbk7r )

 

ウィルの最新アルバムは、これまでの彼のどの作品とも似つかない内容となっている。とは言え、彼の音楽には、常に一貫したスキンシェイプのサウンドが脈打っており、それは、例えるなら太陽が照りつける午後に神秘的な郷愁を呼び起こす、一種の音の夢幻のようである。

 

幼少期の思い出やエチオピアのリズムからインスピレーションを得たと言う今作は、ウィルの心の最も難解な部分にアクセスしている。

 

このアルバムについてウィル本人は、「1990年代へのオマージュのような曲もあれば、1960年代や1970年代に敬意を表した曲もある。ただし、受け取る側によってはそういった表現だと感じ取れない人もいるかもしれない。いずれにせよ、このアルバムが楽しく、一日の流れにさりげなく溶け込むことを願っているよ」と話している。

 

なお、アルバムのアートワークを手掛けたのは、2020年リリースの『Umoja』同様、日本人デザイナーのKenichi Omura。


クルアンビン、エル・ミシェルズ・アフェアー、テーム・インパラ、エズラ・コレクティヴといったサイケ/フォーク/インディ/ファンク好きに突き刺さること間違いなしのニュー・アルバム『アナザー・サイド・オブ・スキンシェイプ』に乞うご期待!

 

 

 「Can You Play Me A Song」

 

 

Skinshape 『 Another Side of Skinshape』 - New Album




タイトル:Another Side Of Skinshape(アナザー・サイド・オブ・スキンシェイプ)

発売日:2024年9月27日(金)

レーベル: Lewis Recordings


トラックリスト

1. Stornoway

2. Mulatu Of Ethiopia

3. Can You Play Me A Song?

4. Lady Sun (feat. Hollie Cook)

5. It’s About Time

6. How Can It Be?

7. Ananda

8. Road

9. Massako

10. There’s Only Hope


アルバム配信予約受付中!

Pre-order/ Pre-Add (配信リンク): https://orcd.co/0db0e46



「Can You Play Me A Song?」- New Single




タイトル:Can You Play Me A Song?(キャン・ユー・プレイ・ミー・ア・ソング?)

配信開始日:配信中!

レーベル: Lewis Recordings


<トラックリスト>

1. Can You Play Me A Song?


配信リンク: https://orcd.co/xadbk7r



Will Deary 【バイオグラフィー】:

 

ロンドンのインディ・シーンを拠点に活動するマルチ・プロデューサー、ウィル・ドーリーによるソロ・プロジェクト。

 

2012年結成のロンドンのアート・ロック・バンド、パレスの元ベーシストとしても知られている。これまで、ソウル、ファンク、サイケ、ソフト・ロック、ヒップホップ、アフロビートといった様々なサウンドをキャリアで築いてきた彼は、身近にある楽器はドラム以外、ほぼ全て(ギター、ベース、キーボード、パーカッション、シタール、フルート、そしてヴォーカル)自らが手がけるという、まさにマルチ・プレイヤー。2012年に4曲入りセルフ・タイトルEPでデビューし、2014年には同名のアルバムをリリース。

 

そして、これまでにスキンシェイプとして8枚のアルバムを発表している。2014年にはロンドンのインディー・バンド、パレスにベーシストとして参加し、2015年の『チェイス・ザ・ライト』、2016年の『ソー・ロング・フォーエヴァー』といった2枚のアルバムの制作に携わっている。

 

その後、スキンシェイプの活動に専念するために同バンドを脱退。来る2024年9月に9作目のアルバムとなる『アナザー・サイド・オブ・スキンシェイプ』をリリースした後は、UK/USツアーが決定している。

 

Hinds


スペインのインディーポップデュオ、Hinds(ハインズ)は、明るく溌剌としたパワーで世界の音楽シーンに衝撃を及ぼす。デュオはリリース予定のアルバム『Viva Hinds』からのシングル「Superstar」を公開した。先行カット「Coffee」、「En Forma」、ベックとのコラボ曲「Boom Boom Back」に続くものだ。自分で監督したミュージックビデオを以下でチェックしよう。


「Superstar』は、あなたが深く愛している人が何の説明もなく姿を消した時に感じる失望と痛みについて歌っています。

 

「無価値感を感じ、その人のことを本当に知らなかったと思い始め、共有していた過去や、覚えていることが本当に起こったことなのかどうか疑問に思う。人を手放すのは難しいが、この曲を書くことで救われた。人々は終結を必要としていて、この曲は私たちのものなのです」


Hindsのニューアルバム『Viva Hinds』はラLucky Numberより9月6日発売予定。


「Superstar」

 

  Whitelands ©︎ Courtesy of The Artist


「I tend to find things that relate to my own emotions and have them as an influence」- 私は曲を制作するとき、自分自身の感情に関連するものを見つけて影響を受ける傾向がある。(Whitelands-Etienne)


ロンドンの四人組シューゲイザーバンド、Whitelandsはギターロックファンとしては注目しておきたいバンドである。エティエンヌ、ミカエル、ジャグン、そしてヴァネッサというラインナップで構成されている。バンドはボーカルのエティエンヌを中心に、英国のローハンプトン大学に在学中にキャリアを歩み始めた。当初、友達の誕生日にアコースティックセットを披露していたという。

 

今年始め、バンドは新作アルバム『Night- Bound Eyes Are Blind To The Day』をSonic Catherdalからリリースした。このアルバムは日本のシューゲイザーファンからも支持を獲得した。

 

今回、バンドのボーカリスト、またフロントマンでもあるエティエンヌに、最新アルバムについて、どのような音楽やカルチャーに影響を受けているのか、今後の展望について簡単に答えてもらうことが出来た。また、エティエンヌは、「日本にもシューゲイザーファンがいると聞いて嬉しい。日本語を勉強中」と教えてくれた。

 

2024年に入り、Whitelandsの快進撃はとどまることを知らない。Rough Tradeのイベントに出演したほか、8月上旬にはソニック・カテドラルが主催するイベントで、Slowdiveと共演を果たす。



--バンドはイギリスの大学で結成されたと聞きましたが、結成秘話みたいなものはありますか?

 

Whitelands- Etienne(エティエンヌ):  バンド名のWhitelandsは、私が在籍していたローハンプトン大学(ホワイトランズ・キャンパス)から取ったんだけど、実は大学にはあんまり行ってなかったんだ! よく友達の誕生日にアコースティック・セットをやっていて、それがバンドの始まりだろうね。


 ーーニューアルバムのタイトル 「Night-Bound Eyes Are Blind To The Day 」の由来を教えてください。


Etienne(エティエンヌ):  このアルバムのタイトルは、『預言者』という本の中に出てくる「夜に縛られた目が昼に見えないフクロウは、光の神秘を解き明かすことができない」という言葉から来ているんだ。アルバムのテーマと共鳴する、とてもかわいらしい言葉だと思っているよ。

 

ーー最新アルバムのレコーディングで印象に残ったことはありますか?



Etienne(エティエンヌ): 具体的には思い出せないんだけど、アルバムが完成したときの達成感かなあ。超集中していました!!



ーー日頃、どんな音楽を聴いている?



Etienne(エティエンヌ):  他の人たちのことはよくわからないけど、マイケルはジャングル、ドラムンベース、エイフェックス・ツイン、シューゲイザーのようなエレクトロニックなものをよく聴いているよ。ヴァネッサはメタルとパンクが好きなんだ。

 

ジャグンは、パラモア、ポップス、ヒップホップ、ラップをよく聴く。僕(エティエンヌ)もネオソウル、シューゲイザー系をよく聴くし、AKGは僕のプレイリストにちょっと増えてきているよ。



--音楽以外で影響を受けた文化やメディアを挙げるとしたら?


Etienne(エティエンヌ):  そうだね。面白いことに、アニメ、映画、本が多いかな。アニメは大きな存在だと思うよ。

 

なぜなら、実は、僕自身はアニメのオープニングがきっかけでロックに目覚めたから。思い返すと、Akgの「ハルカカナタ」と「アフターダーク」が最初に聴いた曲だったと思う。ジャグンとマイケルもアニメはよく見てると思う。僕とマイケルは「serial experiments lain」とか「welcome to nhk」みたいなニッチなものが好きなんだ。


僕は今までたくさんのアニメを見てきたから、特に2010年代のガレージ・サウンドに大きな影響を受けたのは間違いないよ。アルバムのレコーディングの頃、「エヴァンゲリオン」を見ていて、シンジにとても共感したんだ。映画も確かに大きな存在だよ。


「tell me about it」では、ウォン・カーウァイ(香港の映画監督)の「fallen angels」がパラレルになっている。私は、曲を制作するとき、自分自身の感情に関連するものを見つけて影響を受ける傾向がある。実はそれは、碇シンジのことでもあり、私のことでもあります。




ーーエヴァンゲリオンの碇シンジに共感しているということですが、どのような点で親近感を感じますか?


 

Etienne(エティエンヌ):  私は人とのつながりに苦労している部分があるので、そういう意味では似ていると思うよ!



ーー音楽制作やライブパフォーマンスを通して、ファンに何を伝えたいですか?



Etienne(エティエンヌ):  シューゲイザーは誰にでも演奏できるし、表現しがたい感情を持つこともできる! みなさんもぜひバンドを作ってください!!

 


ーー将来どんなバンドになりたい?



Etienne(エティエンヌ):  武道館をソールドアウトさせるようなバンドかな。でも、きっと多くのバンドがそう言うんだろうね...。

 


「Tell Me About It」- 『Night- Bound Eyes Are Blind To The Day』


London four-piece shoegaze band Whitelands are a band to watch out for as guitar rock fans. The line-up consists of Etienne, Michael, Jagun and Vanessa. The band, led by vocalist Etienne, began their career while studying at Roehampton University in the UK. Initially, they performed acoustic sets at friends' birthdays.


Earlier this year, the band released their new album ”Night- Bound Eyes Are Blind To The Day” on Sonic Catherdal. The album gained support from shoegaze fans in Japan.
 
We were able to ask Etienne, the band's vocalist and frontman, to briefly answer some questions about their new album, what kind of music and culture influences them and their future plans. Etienne also says: ‘I'm happy to hear that there are shoegaze fans in Japan. I'm studying Japanese’.
 
Entering 2024, Whitelands' rapid rise continues: in addition to appearing at Rough Trade events, they will perform with Slowdive at an event organised by Sonic Cathedral in early August.

 

--...I heard that the band was formed at a university in the UK, do you have any sort of secret story behind the formation of the band?

Whitelands(Etienne):  The band name came from Roehampton university where I had a performance, but I wasn’t actually going to the university! I was doing an acoustic set for my friend’s birthday, and it just happened to be there!

 

--Please tell us Origin of the title of the new album “Night-Bound Eyes Are Blind To The Day" .


Whitelands:  The title of the album came from a quote in the book The Prophet “The owl whose night-bound eyes are blind unto the day cannot unveil the mystery of light”. It is a very pretty quote that resonated with the themes in the album.


--Were there any memorable moments during the recording of the latest album?



Whitelands:  I cannot remember anything specifically, I think that feeling of having it finished hit us afterwards. We were super focused!



--What kind of music do you guys listen to on a daily basis?


Whitelands:  I’m not too sure about the others but Michael listens to a lot of jungle, drum and bass, Aphex Twin, very electronic stuff with some shoegaze. Vanessa loves metal and punk.

Jagun listens to a lot of paramore, poppy-stuff, hip-hop and rap. I (Etienne) listen to a lot of neo-soul, shoegaze stuff too, AKG has been coming up a bit more in my playlists and some number girl.



--If you had to name a culture or medium that has influenced you besides music, what would it be? 



Whitelands:  Funnily enough, lots of Anime, Films and Books. I think anime is a big one because it was my first introduction to Rock music because of the openings, when I think back I think 「Haruka Kanata」and 「After Dark」 by Akg were the first songs I heard.

I think Jagun and Micheal watch a lot of anime too, Jagun more than Michael, but me and Michael like the niche stuff like 「serial experiments lain」 or 「welcome to nhk」.

I have watched a lot of anime in my lifetime so it definitely did have a big influence especially that garage sound of the 2010s. I was also watching evangelion around the time of the album recording and related a lot to Shinji and he was the parallel for the song “chosen light”.

Films are definitely a big one, with “tell me about it” having “fallen angels” by wong kar wai as the parallel. I tend to find things that relate to my own emotions and have them as an influence when writing songs, so it can both be about shinji ikari and also about me.

 

--You say you identify with Shinji Ikari of  Evangelion, in what ways do you find a affinity with him?

 

Whitelands: I think I struggle a lot with human connection, so I think in that way, i am a lot like him, although his situation is probably a lot tougher than mine!

 

--What do you want to communicate to your fans through your music production and live performances?


Whitelands:  Anyone can play shoegaze, anyone can have emotions that are hard to describe, nothing can stop you! Make a band!


--What kind of band do you want to be in the future?


Whitelands:  The type of band that sells out the Budokan, but I bet a lot of bands say that….