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©︎Patricia Villirillo

フィリピン/イロイロ出身のイギリス人シンガーソングライター、beabadoobee(ビーバドゥービー)が、8月16日にダーティー・ヒットからニューアルバム『This Is How Tomorrow Moves』をリリースする。アルバムからのセカンドシングル 「Coming Home」が公開となった。


Beabadoobeeはプレスリリースでこの曲について次のように語っている。「LAのホテルの一室で、ボーイフレンドや愛する人、2匹の猫と離れているときに書いた曲。この曲の冒頭には、皿洗いのような日常的なことが書かれている。本当に、存在しない奇妙な構造の、かわいいラブソング」


『This Is How Tomorrow Moves』は、2022年の『Beatopia』に続くビーバドビーのサード・アルバム。リック・ルービンがプロデュースし、マリブにあるシャングリ・ラ・スタジオでレコーディングされた。


ビーバドビーは以前のプレスリリースでニューアルバムについてこう語っている。「このアルバムが大好きなんだ。このアルバムは、この新しい時代、自分が今いる場所についての新しい理解をナビゲートする上で何よりもとても役立ったと感じている。それは女性になることだと思う...」

 

「この曲では、自分の行動をより意識している。以前のアルバムでは、一貫して他人の行為に対する自分の反応について歌っていた。でもこのアルバムでは、そこに自分の責任もあることを受け入れている。幼少期のトラウマであれ、人間関係の問題であれ、何事もタンゴには2人必要なんだ」



「Coming Home 」

 

©Pooneh Ghana


ニューヨークのソングライター、カサンドラ・ジェンキンスが、最新曲「Petco」をリリースした。7月12日に発売されるアルバム『My Light, My Destroyer』の3作目のシングル。ジェンキンスはエクスペリメンタルなポップも書きますが、この曲に関しては、クランチなギターをもとにベッドルームポップ風の内容になっている。曲の後半ではワイアードな楽しさが炸裂する。

 

ジェンキンスはこのニューシングルに関して次のように説明している。

 

「Petcoは、この曲は、つながりを探し、少し物足りなくなることについて歌っています。この曲は、私たちは最も基本的な本能レベルで、愛し愛されるように配線されているという真摯な信念に由来しています」

 

「私は、自然界へのアクセスを許すと同時に自然界から遠ざけ、仲間との関係を約束する場所に内在する不気味な倦怠感をとらえたかった。自然界から距離を置けば置くほど、戻る道を見つけるのが難しくなります。私たちが行き過ぎたのではないだろうか、と考えるのは簡単なことなんですが、不安にもかかわらず、私はそのすべてに人間性を見出さずにはいられないのです」

 

 

「Petco」

 

©︎Landon Speers


Washed Out(ウォッシュド・アウト)が、サブ・ポップから近日発売予定の5作目のフルアルバム『Notes From a Quiet Life)』のセカンドシングル「Running Away」をリリースしました。この曲は、先にリリースされた「The Hardest Part」に続くシングルです。以下よりチェックしてみてください。


ウォッシュド・アウトのアーネスト・グリーンは声明の中で、「新しいアルバムの制作を始めるということは、多くの場合、実験に失敗することを意味する。基本的には、アルバムのコンセプトを構築できるような新しい何かにつまずくまで、ただ待っているだけなのです。NFAQLの場合、その曲は『Running Away』でした。よりミニマルなアレンジ、音の透明感、古典的な曲作りのテクニックをより強調したものなど、この曲にはアルバムの美学を形成するすべての要素が詰まっていた」と述べています。


Washed Outのニューアルバム『Notes From a Quiet Life』は6月28日にSub Popからリリースされます。


©︎Tim Atlas


ブルックリンを拠点に活動するシンガー、ソングライター、プロデューサーのTim Atlas(ティム・アトラス)が待望のデビューアルバム『Enchanté』を本日リリースした。先行シングルとして「Stardust」も公開されている。


アーティストは、ややソウルやR&Bのテイストを残したキャッチーなインディーポップを中心に制作している。軽やかで清涼感のあるインディーポップをお好みのリスナーは要チェックのSSW。

 

フランス語で「初めまして」を意味する本作のタイトルは、ティムが作り出す新しい音楽の始まりを表現。「どのプロジェクトでも、もう少し自分自身を開示しようとしているんだ」と本人が語る様に、人間として、そしてアーティストとしての自己紹介のようであり、R&B、ネオ・ソウル、オルタナティブ、ベッドルーム・ポップなどの要素を大胆にブレンドする唯一無二の音楽にティム自身を投影し、これまで以上に様々な側面が垣間見れるアルバムとなっている。


2023年にEP「Le Soir」、2024年2月にはEP「Matinee」をリリースし、すでにストリーミング総再生回数が1億5,000万回超えるなど、世界中にファンを増やしてきたティム。EP収録曲はもちろん、それらに珠玉の未発表曲が加わった集大成とも言える本作に、ファンの期待は俄然高まっている。


実はアトラスはLA出身の歌手だという。本作は、ティム・アトラスがロサンゼルスからブルックリンに引っ越した直後に制作が始まった。転居をきっかけに新しいサウンドの開拓に挑戦し、音楽性を拡張することに成功。「全てにちょっとづつフランスの影響が残ってる...」そう話すティムがアルバムタイトルを『Enchanté』に決めたのはパリで友人の結婚式に出席した後だ。


彼自身が出席した結婚式のレセプションの華やかさからインスピレーションを受けて完成したというタイトル曲「Enchanté」は軽快なリズムを刻むビートの上で、気だるく艷やかに歌うティムの歌声が印象的。物語の主人公と重ね合わせて街中を颯爽と歩きたくなるような一曲となっている。


ティム・アトラスはライブ・イベントの側面でも盤石な人気を獲得しつつある。昨年秋には全米10カ所を回るヘッドラインツアーを敢行し、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコでの公演は軒並みソールドアウト。今年の秋には、LAを拠点に活動するインディー・ポップ・デュオ、スレンダーボディーズのオープニングアクトにも抜擢され、ツアーも予定している。


ティム・アトラスはこのアルバムに関して、リスナーへ次のように語っている。


「このアルバムを聴いて、自分自身に正直になって、やりたいことを何でもやってみようという気持ちになってもらえたら嬉しい。今までの人生で一番自分自身に満足している。音楽を愛する一人の人間として忠実であり続けようとしている。これが自分なんだ。」


デビュー作にして集大成でもあるこのアルバムは、ジャンルの垣根を超えて作り出されるティムの音楽のように、自分と向き合い一歩前へと踏み出そうとしている世界中のあらゆるリスナーの心に響き渡っていくだろう。

 

アルバムのタイトル曲のミュージックビデオが本日プレミア公開される。下記よりチェックしてみて下さい。

 

 

「Enchanté」(一時間後にプレミア公開)




The title of this album, which means ‘Nice to meet you’ in French, represents the beginning of the new music Tim is creating. It is an introduction to Tim as a person and as an artist, as he says: ‘With every project, I try to disclose a bit more of myself’. The album offers a glimpse of Tim himself in more different facets than ever before.


Tim has already gained a growing fan base around the world with the EP ‘Le Soir’ released in 2023 and the EP ‘Matinee’ in February 2024, which has already been streamed more than 150 million times. The expectations of fans are suddenly rising for this album.


Atlas is actually a singer from LA. Work on this album began shortly after Tim Atlas moved from Los Angeles to Brooklyn. The move allowed him to explore new sounds and expand his musicality. ‘There's a little bit of French influence left in everything...’ Tim decided on the album title Enchanté after attending a friend's wedding in Paris.


The title track ‘Enchanté’, which was inspired by the wedding, features Tim singing in a languid, glamorous voice over a lively, rhythmic beat. It is a song that makes you want to walk briskly through the streets of the city, overlapping with the protagonist of the story.


Tim Atlas is also gaining a solid following on the live event side. Last autumn, he embarked on a 10-stop headline tour of the US, with sold-out shows in New York, Los Angeles and San Francisco. This autumn, they were also chosen as the opening act for LA-based indie-pop duo Slender Bodies, with whom they will also be touring.


Tim told listeners about the album.
'' hope this album inspires you to be honest with yourself and do whatever you want to do. I'm more satisfied with myself than I've ever been in my life. I'm trying to stay true to myself as a person who loves music. This is who I am."


This debut and culmination album, like Tim's genre-defying music, will resonate with listeners all over the world who are facing themselves and trying to step forward.



Tim  Atlas   『Enchanté (アンシャンテ)』 - New Album

©︎Andrew Agutos


レーベル(日本国内):ASTERI ENTERTAINMENT

形態:ストリーミング&ダウンロード

 

 Pre-add/Pre-save(配信リンク):https://asteri.lnk.to/TA_enchante 



Track List

1. Enchanté 

2. Sushi in Wyoming 

3. Attractive 

4. Knockin 

5. Stardust 

6. Out Cold 

7. Lighthouse 

8. The Deceiving 

9. Lifeboat 

10. Just a Baby

11. As They Seem

12. Mom 

13. SeeThru 



Tim Atlas:


ロサンゼルス出身・ブルックリンを拠点に活動するシンガーソングライター、プロデューサー。

2018年にリリースされたEP『All Talk!』で注目を浴び、ラジオ局や様々なメディアから熱烈な支持を受ける。ストリーミングの再生回数は累計1億5000万回以上を記録。 ニューヨーク、ロサンゼルスなど、計10箇所を巡る全米ツアーを敢行するとソールドアウト公演が続出。

また、Jungle Giants、Magic City Hippies、Goldroomなどのサポートとしても活動。UKの「The Great Escape Festival」やサンフランシスコの「Noise Pop」、アリゾナ州で行われた「M3F Festival」にDominic Fike、Arlo Parks、Bakarと並び出演するなど大きな注目を集めている。2023年8月にはEP『Le Soir』、そこからわずか半年後の2024年2月にもEP『Matinee』をリリース。世界中の音楽ファンを魅了するティム・アトラスから目が離せない。



Tim Atlas is a Singer-songwriter and producer born in Los Angeles and based in Brooklyn.

He first gained attention with the release of his EP All Talk! in 2018, which received enthusiastic support from radio stations and various media outlets. It has received a total of more than 150 million streaming plays. The band toured the US, playing a total of 10 dates in New York, Los Angeles and other cities, with a string of sold-out shows.

He has also supported the likes of Jungle Giants, Magic City Hippies and Goldroom, and has performed at The Great Escape Festival in the UK, Noise Pop in San Francisco and the M3F Festival in Arizona. He released the EP ‘Le Soir’ in August 2023 and another EP ‘Matinee’ just six months later in February 2024. Music fans around the world cannot take their eyes off Tim Atlas.



ヴァージニアのシンガーソングライター、Kate Bollinger(ケイト・ボリンジャー)が、ニューシングル「Any Day Now」と共にデビューアルバムの詳細を明らかにした。本作にはニューヨークのシンガーソングライター/ギタリストとして活躍するSam Evian(サム・エヴィアン)が参加している。


新作アルバム『Songs From a Thousand Frames of Mind』は9月27日にGhostly Internationalからリリースされる。このアルバムは、ケイト・ボリンジャーが2017年から地道にリリースしてきた一連のEPとシングルに続くもので、彼女特有のボサノヴァ調のフォーク・ポップを披露している。


「親友のマット(・E・ホワイト)がヴァージニアから遊びに来ていて、一緒に音楽を演奏したんだ。この曲を書いて、一緒にロサンゼルスをドライブしたんだ。その日、彼は私がどんなレコードを作りたいかを気づかせてくれました」


「数ヵ月後、ニューヨーク北部にあるサム・エヴィアンのところで、私たちが組んだバンドと一緒にレコーディングしました。初日は曲の練習に費やしました。その翌日、最初の2曲をレコーディングし、『Any Day Now』は2曲目に収録しました。ヘッドフォンもクリックも使わず、60年代後半の好きな音楽の精神に則って、すべて部屋の中で生演奏でレコーディングしました」


アンバー・ナヴァロが監督した「Any Day Now」のミュージックビデオは以下からご覧ください。


「Any Day Now」




Kate Bollinger 『Songs From a Thousand Frames of Mind』




Tracklist:

1. What's This About (La La La La)

2. To Your Own Devices

3. Any Day Now

4. God Interlude

5. Lonely

6. Running

7. In a Smile

8. Postcard From a Cloud

9. I See It Now

10. Sweet Devil

11. All This Time


Magdaleba Bay

Mom+Popと契約したばかりのマイカ・テネンバウムとマシュー・ルーウィンのデュオ、マグダレナ・ベイ(Magdalena Bay)がニューシングル「Death & Romance」をリリースした。テネンバウムとルーウィンはこの曲の作曲とプロデュースを手がけ、ミックスはデイヴ・フリードマンが担当している。


新曲について、マグダレナ・ベイはこう語っている。「雨が降り、街灯が光っている。あなたは家に座って、エイリアンのボーイフレンドがUFOで迎えに来るのを待っている...でも今回は彼は来ない」 

 


「Death & Romance」


マグダレナ・ベイは、これまでに聴いたことのないような、告白的で伝染力のあるポップを創り出す。ピッチフォークはこのデュオの音楽性にについて以下のように評している。「...ミカ・テネンバウムとマシュー・ルーウィンのファジーでロココ調のシンセポップには魔法の力がある」


マグダレナ・ベイは、The Fader、Stereogum、Brooklyn Veganから高評価を受けている。独創的なライブ・パフォーマンスで知られるようになり、彼らが長い間インスパイアされてきたアーティストの目に留まるように。Charli XCX、Flume、Porter Robinsonのオープニング・スロットを務めたこともある。

 mui zyu - nothing or something to die for  

 

Label : Father/Daughter

Release: 2024/05/24


Review    


-An eye on an absurd and inexplicable world -不条理で不可解な世界に対する眼差し-



今年の夏以降、イギリスで複数のヘッドラインツアーを控えている香港系イギリス人シンガー、mui zyu(エヴァ・リュー)は、セカンドアルバムの発売を記念し、ファンに向けてリスニングパーティーを開催した。デビュー作『Rotten Bun For an Eggless Century- 卵のない世紀の腐ったパン』では持ち前のシュールな性質とエレクトロ・ポップを組みわせ特異な音楽観を確立している。


エヴァ・リューの音楽は、電子音楽のテイストに満ちており、なおかつまた''チップチューン''と呼ばれるゲームミュージックから派生したエレクトロニックの性質を兼ね備えている。それらの音楽性の中には、ドラゴン・クエストのようなRPGから、それよりも古いゲームセンター等に設置されているレトロゲームのフィードバックもわずかながら感じられる。エヴァ・リューの生み出す音楽は、要するに、ミステリアスに入り組んだ迷宮と言うべきなのかもしれない。ということでセカンド・アルバムの音楽は、摩訶不思議でファンタジックな世界が表向きには構築されている。そして、音楽の扉を恐る恐る開き、その内側に入ると、エポックメイキングな音楽が展開される。

 

デビューアルバムの音楽性は、内省的な感覚を持つシンセポップや、その後の時代を牽引するアヴァン・ポップ/エクスペリメンタルポップの範疇にあった。言うまでもなく、それだけがmui zyuの音楽のすべてとも決めつけがたく、要するにロンドンの多彩なカルチャーを吸収したバリエーションに富んだ音楽性が一つの魅力でもあった。その中に、シンガーがかつて慣れ親しんだ香港のポピュラーミュージック、中国の伝説的な幻想文学作家、蒲松齢(中国では「紅楼夢」が大人気だとか??)のファンタジー性を織り交ぜていた。そして、エヴァ・リューの音楽的なテーマの中には、他のアジア系のミュージシャンと同じように、移民としてのディアスポラも混在している。移民としてロンドンで人生を送る中、さまざまな考えやカルチャーの影響を受けつつも、自分なりのアイデンティティを探求していく、という意味が求められる。異郷の中で郷愁を探す、という考えは、長く海外で暮らしている方であれば、頷けるものではないかと思われる。それは街角で見つかるのだろうか?  それともコミュニティ? もしくは友人関係の中で? わからないけれど、移民とは異国でホームなる在り処を探し続ける定めにあるともいえる。

 

エヴァ・リューがロンドンで感じたさまざまな文化性や空気感は、ときには怪物のように恐ろしく、それとは対象的に温かな聖母のような優しさがあり、その両局面の文化性を咀嚼するたび不可解なものにならざるを得ない。それは、人間としてのアイデンティティを否定するものかもしれないし、もしくは肯定するものかもしれない。あるいは、そのどちらであるかもしれない。


不確実性や偶然性が混在する世界で生き残ることが、『nothing or something to die forー死にものぐるいで』には示されているのではないでしょうか? セカンドアルバムにはロンドンの流行りの音楽が凝縮されている。それらがエヴァ・リューが知りうる形で昇華され、Miss Grit、lei e、Pickle Darlingといった同じような境遇にあるミュージシャン/コラボレーターと一緒に何かを探し続ける。それは単にアイデンティティとも言いがたく、今生きていることのおもしろさの理由を探すのである。かつて生きることは何らかのテーゼに支えられていたが、2024年の現在はそのかぎりではない。


例えば、フランスの作家パトリック・モディアノは、『パリ環状通り』の序文において、ドイツの社会学者の言葉を引用し、現代社会を「父なき世界」と定義づけた。フランスの作家は、移民化が進む今日の世界において、旧社会が道標としていた道徳的観念や社会規範が薄れつつあり、もはやそれらの”父”という概念が通用しなくなり、旧時代の人々が見ていた”父”という概念が”幻想”に過ぎなかったことを予見していた。そして、エヴァ・リューのセカンドアルバムについても、父なき世界の中で生きることの楽しさを、どのように探求するのかに、ポイントが置かれているように思える。

 

 

セカンド・アルバムでは、2000年代以降、アイスランドのレイキャビクで主流だったフォークトロニカの次世代に位置づけられるエレクトロニックをもとに、エレクトロポップが展開される。音楽による世界は、mumのような童話的な世界観に縁取られているが、それらにロンドンのポップネスやネオソウル、ダンスミュージックを始めとする多角的な音楽が散りばめられている。そして、デビューアルバムには見受けられなかった新しい要素--モダンクラシック/コンテンポラリークラシックの音楽性も付加された。オーケストラのストリングスを交え、mui zyuの音楽は、二次元的な表現から三次元、それよりも高次の四次元へと接近していく。そして、「私たちが切望する道への入り口である壁の穴を、私たちはいかにして見出すのか?」という哲学的な探究心を基底に、その向こうにある何かへ手を伸ばそうとする。そして、不条理で不可解な世界に相対する眼差しがそれとは正反対に純粋なものであればあるほど、彼女の音楽が素晴らしく変貌する。それらは内省的な感覚が奥深い叙情性と合わさり、唯一無二のスペシャリティに変わるのだ。

 

mui zyuがボーカリストとして描くポピュラリティ、主要なメロディの中にはオルタナティヴな要素が含まれている。より具体的に言うなら、Pixiesの最初期の音楽に見いだせるようなオルタナティヴ・ロックのスケールでもある。長調のスケールを思わせたかと思えば、その次の瞬間には短調に変化して、それらが絶えず交差するかのように繰り広げられる。いわば、これらの調性の変化は、ボーカリストの感情性やその時々の考えの移ろいを反映するかのように、明るくなったかと思えば、暗くなり、ふたたび明るくなったりというように、曲のセクションごとに絶え間なく変遷してゆく。

 

他の複数の楽器(ストリングス、アコースティックギター、シンセ、リズム、ノイズ)にその背を支えられるようにして、絶えず変化を繰り返し、曲の中でも定着するケースはない。それらがオープニングを飾るモダンクラシックの音楽から始まり、ミステリアスな迷宮を探索するかのように続く。その中で、分かりやすく軽妙な印象を持つシンセポップの楽曲が収録されていて、多彩な音楽性の中にあって親しみやすさをもたらしている。比較的聞きやすいポップソングは「#4 donna like parasites」、「#5 the rules of what an earthing can be」「#6 please be ok」などで楽しむことが出来る。

 

 「please be ok」

 

 

こういった中で、音楽そのものがよりダイナミックな質感を持ち、劇伴音楽のようなドラマ性に結びつくこともある。「#10 hopefulness, hopefulness」はシンガーが日頃感じる不条理性や不可解さの中に見いだせる明るい希望を意味し、それらがストリングスのレガートの旋律の上昇によってボーカリストの歌の情感が奥行きを増す。背景となるトラックメイクには、アヴァンポップ/エクスペリメンタルポップの反映も込められているかもしれないが、歌や主旋律に関してはポピュラリティを重視しているようだ。 mui zyuの歌には、現代のイギリスの音楽の中枢にある、ネオソウルやヒップホップからのフィードバックが表向きには目立たないような形で含まれている。これらのアーティストの前衛性については、アルバムの終盤に収録されている「in the dot」にも見いだすことが出来、ジャズの要素が先鋭的なアヴァンポップと結びつき、異質な音楽性が作り上げられている。イギリスの親しみやすいモダンなポップネスの狭間を漂うトリップホップの系譜にある無調に近い不安定な音階、その音楽が持つアトモスフィアは、先々週のWu-Luの音楽性と近似したものがあり、アーティストの持つ多面性を巧みに反映させている。また、ここにはシンガーソングライターのアーティスティックな才覚が内包されている。

 

 

セカンド・アルバムらしい新しい音楽的なディレクションもいくつか発揮された上で、終盤には、デビュー作から引き継がれるシュールでレトロな感覚を持つシンセポップへと舞い戻る場合もある。ただ、「#14  cool as a cucamber」を聴くとわかるように、同じような音楽の手法を選んだとしても、同じ表現形式に留まることはない。これは、米国の現代音楽の作曲家ジョン・アダムス(John Adams)が言うように、「反復は変化の一つの形態である」という言葉がピッタリ当てはまる。さらに、mui zyuはレトロなシンセポップに豪華なオーケストラストリングスを追加して、夢想的で現実感のある表現形式に昇華させる。


セカンドアルバムの約40分に及ぶ15曲は、聴けば聴くほどに新しい何かが発見できるかもしれない。シンセ・ポップ、チェンバー・ポップ、アヴァン・ポップ、ハイパーポップ、ジャズ、ネオソウル、フォークトロニカ、エレクトロニカ......。驚くべき多彩な音楽的な蓄積を基底として、エヴァ・リューは純粋な眼差しを通して、この世の中の不条理や不可解さを解き明かそうとする。

 

しかし、答えはすべて示されたわけではないかもしれない。すべてが解き明かされないからこそ音楽は本来の魅力を放つ。本作の最後に収録されている「#15 扮豬食老」では、Lucy Liyouの音楽を想起させる電子音楽とモダンクラシックのダイナミックな融合により、セカンドアルバムの音の世界は締めくくられる。取り分け、不思議に思うのは、比較的ボリューム感のある作品にもかかわらず、また次のアルバムを聴いてみたい、という気持ちを沸き起こらせる。少なくとも、デビューアルバムよりミュージシャンの表現性の多彩さが示され、磨きが掛けられ、そして、クラシック音楽からの影響が直接的にフィードバックされたことにより、音楽そのものに洗練性が加わっています。つまりそのことが本作の魅力を倍加させている理由なのかもしれませんね?

 

 

 

88/100

 

 

 Best Track- 「Hopefulness,Hopefulness」






mui zyuによる『nothing or something to die for』はFather/Daughterから発売中です。アルバムのストリーミングはこちらから。


©Lucas Creighton

 

2018年頃からベッドルームポッの象徴的なシンガーとして活躍し、そして現在では現代のインディー・ポップシーンを代表するアメリカ生まれのシンガー・ソングライター/マルチプレイヤー/プロデューサー、クレイロ(Clairo)が3枚目のスタジオ・アルバム『Charm』の制作を発表した。

 

2021年の『Sling』に続くこのアルバムは、7月12日にVirgin Recorrdsからリリースされます。並みいるアルトポップシンガーとの格の違いを見せつけるハイクオリティのリードカット「Say To Someone」はアルバムの良好な出来栄えを想起させる。(ストリーミングはこちらから)


2019年のデビュー作『Immunity』でロスタム・バトマングリイ、続く『Sling』でジャック・アントノフと共同制作をした後、クレイロは、エル・ミッシェルズ・アフェアのレオン・ミッシェルズと『Charm』を共同プロデュースした。彼女は、ニューヨークの2つのスタジオ、クイーンズのダイアモンド・マインとショーカンのアレア・スタジオでライブ・レコーディングを行った。


当初、録音は、ライヴ演奏からテープへトラックダウンされ、ファンクレジェンドのシャロン・ジョーンズやザ・ブラックキーズ等と仕事をしたことがあるプロデューサーのLeon Michelsが厳密なアナログ・レコーディング手法にこだわった形で作業が進められ、完成した。

 

今作『Charm』は、クレイロにとって日本盤CDにてリリースされる初のアルバムでもある。

 

ハリー・ニルソン(Harry Nilsson)やブロッサム・ディーリー(Blossom Dearie)などの、壮大で洗練された音楽に魅了されたクレイロは、20世紀のレコーディング技術を活かし、なるべくデジタル時代の陳腐化した音にならないよう最新の注意を払いながら制作に取り組んだという。初めて生の楽器のサウンドを2021年に発表した『Sling』に収録した中、今作でも再度その手法を取り込みながらも、ホルン、木管楽器、ヴィンテージ・シンセサイザーが印象を強め、同時に、リズミカルな楽曲である。デビュー作『Immunity』を思い出させる内容となっている。

 

 

「Say To Someone」



Clairo 『Charm』



2024年7月12日発売予定
国内盤内容:SHM-CD仕様/歌詞対訳付予定
品番:UICB-1026/税込価格 : 2,860円 Virgin Music


Tracklist:

1. Nomad
2. Sexy to Someone
3. Second Nature
4. Slow Dance
5. Thank You
6. Terrapin
7. Juna
8. Add Up My Love
9. Echo
10. Glory of the Snow
11. Pier 4

 

 

Clairo Biography:




1998年、アメリカ生まれのシンガー・ソングライター/マルチプレイヤー/プロデューサー。本名:Claire Cottrill。2017年、寮にいる間にセルフプロデュースした楽曲「Pretty Girl」のビデオが一気にネットでバイラルヒットを巻き起こし、2018年の最も注目すべき新人として名が挙がった。

2018年にTyler, The Creatorや、Dua Lipaの北米ツアーのオープニングアクトを務め、KhalidがClairoの楽曲「Bags」をカバーしたことが話題になった他、Khalidのツアーのオープニングアクトにも抜擢。

2019年にリリースされたデビューアルバム『Immunity』には元Vampire WeekendのRostamが共同プロデューサーとして参加し、Pitchfork、The Guardian、Noisey、NME等の海外メディアはアルバムを大絶賛。そして2021年にはJack Antonoffと共同プロデュースを行った2ndアルバム『Sling』をリリースしている。

 

©Siobhan Cox

 

オックスフォードのポップシンガー、Julia-Sophie(ジュリア・ソフィ)がデビューアルバム『forgive too slow』を発表しました。同時に新曲「numb」のミュージックビデオが公開されています。


アルバムはブルックリンのインディペンデントレーベル”Ba Da Bing Records"から7月26日に発売される。このレーベルは、青葉市子、サラ・ダヴァチ、シャロン・ヴァン・エッテン、ベイルート、ラ・モンテ・ヤング等、ジャンルを問わず魅力的なロースターを誇る。


ジュリア・ソフィーはUKのクラブミュージックとスタイリッシュなシンセポップを結びつけ、うねるようなグルーブの中で繊細な感覚を持つスポークンワードを披露している。UKのミュージシャンであるが、ニューヨークのエレクトロポップのウェイブに準ずる形で台頭する。アルバムについて、シンガーは次のように說明している。「私の音楽との旅は奇妙で長いものでした。私が作る音楽は、私が意図したものと思われていたと思う。ソロ・アーティストになったことで、私は自分自身を見つけることができたし、混乱した状態の私自身を見せることができた。

 

「numb」について、彼女は次のように補足している。「この曲は、私の心と頭の中で渦巻いている混沌とした考えを表現しようとしたものです」

 

 

「numb」





Julia-Sophie 『forgive too slow』

Label : Ba Da Bing

Release: 2024/07/26

 

Tracklist:

1. 2am

2. i was only

3. i lose my mind

4. numb

5. falling

6. comfort you

7. just us

8. wishful thinking

9. better

10. telephone

 

Ginger Root


カリフォルニアを拠点に活動するキャメロン・ルーのプロジェクト、ジンジャー・ルート(Ginger Root)が、ニューアルバム『SHINBANGUMI』を9月13日にリリースすると発表した。このアルバムは、彼にとって3枚目のアルバムであり、新しいレーベル、ゴーストリー・インターナショナルからの初の作品となる。リードシングル「No Problems」は本日リリースされた。


彼自身が "アグレッシブなエレベーター・ソウル "と表現した2017年の初リリース以来、キャメロン・ルーはジンジャー・ルートが鳴らすべきサウンドフィーリングを解明しようと試みたという。”『SHINBANGUMI』はインストゥルメンテーションと音楽性という点に、すべてが集約されている。SHINBANGUMIは、新しい自分を見せるためのプラットフォームでもあるんだ”


「No Problems」の概要については次の通り。「ジンジャー・ルートのすべてのサウンドロゴが凝縮されている。その結果として、ジンジャー・ルートらしい曲が完成した。いろんな意味で、SHINBANGUMIがどうなったかを映し出す素晴らしい鏡だよ。他人の真似をしている自分を見つけるのではなく、自分のやっていることにようやく自信を見出したプロジェクトでもあるんだ」

 


「No Problems」

 

 

 

Ginger Root 『SHINBANGUMI』 


Label: Ghostly International

Release: 2024/09/13



Tracklist:

1. Welcome
2. No Problems
3. Better Than Monday
4. There Was A Time
5. All Night
6. CM
7. Only You
8. Kaze
9. Giddy Up
10. Think Cool
11. Show 10
12. Take Me Back (Owakare No Jikan)


Pre-order: https://ghostly.lnk.to/Ginger-Root-SHINBANGUMI

 

Personal Trainer


オランダのインディーポップバンド、Personal Trainer(パーソナル・トレーナー)はDIY精神に溢れた魅力的なグループ。彼らはベラ・ユニオンから発売される新作アルバム『Still Waiting』の制作を発表し、同時にリード・シングル「Round」のミュージック・ビデオを公開しました。


パーソナル・トレーナーは、主にフロントマンでバンド・リーダーのウィレム・スミットと、共同プロデューサー/コラボレーターのキャスパー・ヴァン・デル・ランスのプロジェクト。しかし、ライブではフルバンド構成でパフォーマンスを行い、コレクティブの形式で活動しています。『Still Waiting』は、2022年のデビュー作『Big Love Blanket』に続く作品です。このアルバムには、バンドの前シングル「Intangible」が収録されています。


ウィレム・スミットはプレスリリースでアルバムについてこう語っています。「私が作るレコードを聴くとき、一番望んでいるのは、何かが起こるたびに "すごい "と思ってもらえること」


ニュー・シングルについて、彼は付け加えています。「じつは、 "Round "は最後にアルバムに追加される曲のひとつだったんだ。でも、オランダで "een lekker nummertje "と呼ぶような曲が必要であると感じていた。私が作るレコードには、そういうものが1枚は欲しいと思っているんだ」


 "Round "のビデオはキリアン・カイザーが監督しました。彼は次のように述べているます。「オレンジがウィレムの役を演じるビデオを作るというアイデアはとても楽しそうだったよ。で、アムステルダムのヘリコプターで、オレンジがリード・ヴォーカルをとるギリギリのライヴを企画したのさ」


「Round」

 

 

Personal Trainer 『Still Waiting』



Label:Bella Union

Release: 2024/08/02

 

Tracklist:


1. Upper Ferntree Gully

2. I Can Be Your Personal Trainer

3. Cyan

4. Round

5. New Bad Feeling

6. Intangible

7. Testing The Alarm

8. Still Willing

9. You Better Start Scrubbing

10. What Am I Supposed To Say About The People And Their Ways about

 

 

Pre-order: https://found.ee/4IYDCA

 


ロンドンを拠点に活動する香港系イギリス人アーティスト、ムイ・ズー(mui zyu)が、ニューアルバム『nothing or something to die for』のリリースに先駆けて、最終シングルとして「please be ok」を発表しました。


このシングルには、ニューヨークのエクスペリメンタルポップシンガー、Miss Grit(マーガレット・ソーン)がコラボレーターとして参加しています。。両アーティストともに昨年末のハイパーポップ特集でご紹介しています。


「"please be ok (どうかご無事で)''にはいろいろな意味があります。支持的な意味もあれば、批判的な意味もあれば、平凡な意味もあれば、合格点、上出来(それがどんな意味であれ)という意味もある。この曲の制作を始めたとき、ミス・グリッドに手伝ってもらってもいいのかな?と思ったけど、結局、答えはOKでした。ミスグリッドは曲とプロダクションに様々な魔法をかけ、特別なものにしてくれました(それはそれでいいのですが……)」とmui zyuは説明しています。


mui zyuはこの夏、イギリスのフェスティバルに出演し、10月にはグラスゴー、リーズ、ブリストル、ロンドンでヘッドラインUKツアーを行う。5月22日には、Bandcampリスニング・パーティーを開催します。Bandcampのリスニングパーティーに参加するには、muizyu.bandcamp.comをご覧ください。


mui zyuのセカンド・アルバム『nothing or something to die for』は5月24日にFather/Daughterからリリースされます。『Rotten Bun For An Eggless Century』のレビューはこちらからお読みください。


「please be ok」


今年初め、Youth Lagoon(ユース・ラグーン)こと、トレヴァー・パワーズは昨年の『Heaven Is A Junkyard』以来となる楽曲「Football」を発表した。今日、彼はロダイド・マクドナルドと共同プロデュースした「Lucy Takes A Picture」で戻ってきた。(ストリーミングの試聴はこちらから)


「たまには、僕の人生の中でずっと書こうとしていたような曲があるんだ。ルーシーはそのひとつです」とパワーズは説明しています。「今の私の音楽に対する関心事は、内なる世界に命を吹き込むこと。より良いものを作ることではなく、真実のものを作ることなんだ。自分が嫌いだったころは、曲を書くのがもっと難しかった。私の魂が変わったとき、私の音楽も変わった」

 

「2月、私はバス停を通り過ぎ、金属製のベンチの鉄格子に挟まれた小さな紙切れに気づいた。錯乱したような、聖書のような、震える筆跡で、「これは私の復活の物語である。私は死んだ。私は近くの草むらを見つけ、人形のように横になった。このメモは、天使からのメッセージか、中毒者の戯言か、もしかしたら、両方かもしれない。地獄を垣間見ることなしに、真の人格を持つことは不可能なんだと思う。もしかしたら、そういう意味なのかもしれない。W.H.オーデンの言葉を借りれば、"私の悪魔を追い払わないで、私の天使も行ってしまうから"ということかもしれない。この詩的ないたずら者、天使、小鬼が何を言いたかったのか知らないけれど、この言葉は私の魂の鐘を鳴らした。私は家に帰り、"Lucy Takes a Picture "を書いたんだ」

 

 

「Lucy Takes A Picture」

 


イギリスのトリオ、ロンドン・グラマーが9月13日にMinistry of Soundからニュー・アルバム『The Greatest Love』をリリースする。そのセカンド・シングル "Kind of Man "を公開した。試聴は以下から。


フロントウーマンのハンナ・リードは、プレスリリースでこの曲について次のように語っています。


「『Kind of Man』は、誰かがハリウッドの華やかさとわずかな腐敗に堕ちていくのを見ることについて歌っている。この曲は明らかに女性差別について歌っているけれど、皮肉交じりに性差別について歌っている。それがこの曲の好きなところなんだ。メランコリックな曲にはしたくなかったんだ。だから、この曲はとても明るい曲なんだ。この曲は、自分を尊敬してくれないかもしれない男性や、自分と恋に落ちるような男性を期待できるような、そんな二律背反的な関係のパターンを歌っているところが好きなんだ」


『The Greatest Love』はバンドの4枚目のアルバム。2021年の『Californian Soil』に続く作品である。以前、彼らはファースト・シングル「House」をシェアしている。



「Kind of Man」

 

Luna Li


韓国系カナダ人のシンガーソングライターでマルチ・インストゥルメンタリストのLuna Li(ルナ・リー)が、セカンド・アルバム『When a Thought Grows Wings』を8月23日にIn Real Life/AWALからリリースする。『Duality』に続くこのアルバムでは、アンドリュー・ラッピンとモンソンがプロデュースを担当している。リード曲「Confusion Song」は以下よりご視聴下さい。


リーはプレスリリースで「Confusion Song」について、「この曲は、別れた後に私の心が経験した意識の流れ。リーは、8年間連れ添ったパートナーと別れ、トロントの家族や友人と別れてロサンゼルスで再出発した後、新しいアルバムを制作した。”When a Thought Grows Wings(思考が翼を生やす時)”とは、アイデアが形になっていくこと、つまり、思考の小さな種から現実の具体的な行動へと変化していくことを意味しています」と彼女はコメントしている。

 

 

 「Confusion Song」

 

 

 

 

Luna Lee 『When a Thought Grows Wings』



 

Label: In Real Life / AWAL

Release: 08/23/2024 


Tracklist:


1. Confusion Song

2. Fantasy

3. Minnie Says (Would You Be My)

4. Golden Hour

5. I Imagine

6. Enigami

7. That’s Life

8. I Would Let You

9. Take Me There

10. Fear is an Illusion!

11. Bon Voyage

Dora Jar

 

オルトポップ・アーティストの北カルフォルニアのDora Jarことドーラ・ジャーウスキーが、2024年最初のリリースとなるニューシングル「She Loves Me」を発表した。シンガーはベッドルームポップの注目アーティストとして紹介される場合が多いが、少なくともその音楽のニュアンスに、エクスペリメンタルやアヴァンな香りを感じ取る敏いリスナーは多いのではないか。

 

「She Loves Me」は、ドーラの内面にある2つの側面、つまりグループの中にいる自分と1人でいる自分との対話を表している。付属のミュージック・ビデオ(実際の出来事にインスパイアされ、エリカ・スナイダーが監督した)では、ドーラはベルリンのアパートのパーティーで、友人や見知らぬ人たちの中でタオル一枚で踊りながら、公的な自分と私的な自分との境界線を曖昧にしている。一連の暴露療法的な方法の中で、本質的な音楽のニュアンスを見つけるという手法である。また、それは今まで知らなかった自己やそのペルソナとの出会いを意味する。


「この曲は、私がなれたらいいなと思う女の子への頌歌なの」と、ドーラはこのシングルについて語っている。2月には、エクスペリメンタルポップ界の奇才アッシュニコ(Ashnikko)が、2023年のシングル「You Make Me Sick!」のリミックスにドーラを起用したことは記憶に新しい。

 

 

「She Loves Me」

 

Porches

ニューヨークのアーロン・メインによるレコーディング・プロジェクト、Porches(ポーチズ)が、6枚目のスタジオ・アルバム『Shirt』の発表に合わせてニュー・シングル「Joker」を配信した。

 

最近のアーティストは、通常ではためらうような主題をシンプルかつスマートに音楽の中に織り交ぜる。また、それは、日常生活では消化しきれないものであるため、重要な意味が求められる。ポーチズのニューアルバムも同様であり、『Shirt』は、アングスティなファンタジーで、告白的なメロドラマでもある。現実と作り物の間で揺れ動くロック・アルバムは、郊外の若者の無邪気さと、大人になってからの擦り切れた現実の両方を反映している。このアルバムは、自分の人格とペルソナの間の緊張感、つまり現実とぶつかり合う夢の重さをテーマに据えている。


ポーチズは秋の北米ツアーも発表し、10月にスタートし、11月7日のロサンゼルスのフォンダ・シアター、11月20日のブルックリン・スティールでの地元公演で幕を閉じる。この北米ツアーは、10月2日のロンドン・ヘヴン公演を含む、ポーチズのイギリス/ヨーロッパ・ツアーに続くものである。


『Shirt』は9月13日にDominoからリリースされる。ツアーのチケットは今週金曜日午前10時(現地時間)よりporchesmusic.comにて一般発売される。

 

 

 「Joker」

 




Porches 『Shirt』

Label: Domino

Release:  09/13/2024


Tracklist:


1. Return Of The Goat

2. Sally

3. Bread Believer

4. Precious

5. Rag

6. School

7. Itch

8. Joker

9. Crying At The End

10. Voices In My Head

11. USA

12. Music


 


イギリスのポップシーンの注目アーティスト、CMATがニューシングルをリリースしました。「Aw, Shoot!」は、昨年10月にAWALから発売されたセカンドアルバム『Crazymad, For Me』に続くシングルです。


彼女はこの曲についてこう語っています。「フランスのパリで、アパートを借りてたの。曲を書こうとしていたけど、あんまりうまくいかなかった。コート・デュ・プロヴァンスのワインを1日に3本も飲んでいたし、2週間くらいは人との接触もなかった」


「で、ある晩、ドアをノックする音がした。誰だろう? ドアを開けると、アメリカ人の女の子がいた。"あら、私の友達じゃない!"と言って、振り返って立ち去った。彼女はアメリカ式とヨーロッパ式の床を間違えてたの。実はこれは、私のお気に入りのテレビ番組『エミリー・イン・パリ』の重要なプロットポイント。それで? まあ、私は正気を失いました。でも、いい面もあるよね」

 


「Aw, Shoot!」

©︎Holly Whitaker


ロンドンのアートポップデュオ、O.がニューシングル「Micro」をリリースした。このニューシングルは、バリトン・サックス奏者のジョセフ・ヘンウッドとドラマーのタシュ・ケアリーによるデュオのデビューアルバム『WeirdOs』からの最新カットである。


「WeirdOsは、ダークでヘヴィなアルバムで、リフなベースライン、ブラストビート、ダブ、ノイズ、そして中間にあるあらゆる奇妙なサウンドが大好きだ。アルバムは、ダン・キャリーとスタジオで2週間かけてライヴ・レコーディングされ、僕らのギグにいるような感覚を再現することを目的としている」

 

Oによる新作アルバム『WeirdOs』は6月21日にスピーディ・ワンダーグラウンドからリリースされます。

 

 

「Micro」

 


マドリッドの注目のデュオ、Hinds(ハインズ)は、2020年の『The Prettiest Curse』以来となるアルバムを発表した。『Viva Hinds』は9月6日にリリースされる。


この発表を記念して、彼らはベックとのコラボ曲「Boom Boom Back」を、バンドのカルロッタ・コシアルズとアナ・ペロテが監督したビデオとともに公開した。以下よりチェックしてほしい。


CosialsとPerroteは、フランスの田舎町でニューアルバムをレコーディングした。これは、ベーシストのAde MartínとドラマーのAmber Grimbergenの脱退後初の作品集である。ピート・ロバートソンがプロデュースし、トム・ローチがエンジニア、シーザー・エドマンズがミックスを担当した。『ビバ・ハインズ』には、既発表曲「Coffee」と、フォンテーヌD.C.のフロントマン、グリアン・チャッテンとのコラボ曲「Stranger」が収録されている。


「Boom Boom Back」


 



スペイン/マドリッドを拠点に活動するバンド、Hinds(ハインズ)がニューシングル「En Forma」をリリースした。この新曲は9月に発売されるニューアルバム『VIVA HINDS』に収録される。

 

『VIVA HINDS』は、バンドが再びデュオになってからの最初のアルバム。ハインズは2011年にカルロッタ・コシアルズとアナ・ペローテによって結成されたが、キャリアの大半は4人組だった。アデ・マーティンとアンバー・グリムベルゲンは2022年にバンドを脱退し、デュオに戻った。


コージアルスはプレスリリースでニューシングルについてこう語っている。 「ボーイフレンドと別れ、同じ週に30歳になった。この曲は、打ちのめされ、動けなくなり、情けなくなった数ヶ月後に初めて書けた曲です。もっと幸せに、もっと良く、もっときれいに、もっと健康でありたいという永遠のレースに耐えられなかった」


ペローテはこう付け加えた。 「女友達と話したりすると、同じ午後に戦争、哲学、愛、服について話すことができる。私はこの曲で、最近の若い女性であることがどのようなものなのか、その混沌とした巨大なスペクトルを反映させようとしました。ニュース、政治、私たちの体、人間関係、そして洗濯を両立させることが、どれほど圧倒されることか」


Hindsのニューアルバム『VIVA HINDS』はLucky Numberから9月6日に発売される。

 

 

「En Forma」

 

 

Hinds


スペインのインディーポップデュオ、Hinds(ハインズ)は、明るく溌剌としたパワーで世界の音楽シーンに衝撃を及ぼす。デュオはリリース予定のアルバム『Viva Hinds』からのシングル「Superstar」を公開した。先行カット「Coffee」、「En Forma」、ベックとのコラボ曲「Boom Boom Back」に続くものだ。自分で監督したミュージックビデオを以下でチェックしよう。


「Superstar』は、あなたが深く愛している人が何の説明もなく姿を消した時に感じる失望と痛みについて歌っています。

 

「無価値感を感じ、その人のことを本当に知らなかったと思い始め、共有していた過去や、覚えていることが本当に起こったことなのかどうか疑問に思う。人を手放すのは難しいが、この曲を書くことで救われた。人々は終結を必要としていて、この曲は私たちのものなのです」


Hindsのニューアルバム『Viva Hinds』はラLucky Numberより9月6日発売予定。


「Superstar」


 



マドリッドを拠点に活動するバンド、Hinds(ハインズ)はニューシングル「The Bed, The Room, The Rain and You」を配信した。9月上旬に発売されるニューアルバム『VIVA HINDS』に収録される。心地よいインディーポップソングで、海辺で撮影されたMVもロマンチック。

 

この曲は自主制作のミュージックビデオで公開され、アルバム発売前の最後のシングルとなる。この曲はアルバムの中で唯一、英語とスペイン語の両方で歌われている。ビデオは以下から。


『VIVA HINDS』は、バンドがデュオ編成になってからの最初のアルバムである。ヒンズは2011年にカルロッタ・コシアルズとアナ・ペローテによって結成されたが、キャリアの大半は4人組だった。2022年にアデ・マーティンとアンバー・グリムベルゲンが脱退し、デュオに戻った。


ニューシングルについて、バンドはプレス・リリースで語っている。 「この曲は、相手と一緒にいることや、それが報われるかどうかとは全く関係のないラブソング。私たちが話しているのは最もシンプルなバージョン。愛は、どこにでも持っていける魔法のシェルターのようなものなんだ」

 

「友人たち、バイク、ダンス、ありもしないビジネス、ベックのボディガード、アイスクリーム、ハリウッド、シュールレアリスム、小さな家......。とてもゆっくりと、私たちが本当にしていること、つまり音楽に注意を向けてもらえるよう、皆さんを導きたいと思いました。The Bed, The Room, The Rain and You』では、すべての始まりであるアルバムのレコーディングから物語を終わらせたかった」

 

Hindsのニューアルバム『Viva Hinds』は9月6日にLucky Numberから発売が予定されている。

 

 

「The Bed, The Room, The Rain and You」


Hinds『Viva Hinds』





Tracklist:


1. Hi, How Are You

2. The Bed, The Room, The Rain and You

3. Boom Boom Back [feat. Beck]

4. Stranger ​​[feat. Grian Chatten]

5. Superstar

6. Mala Vista

7. On My Own

8. Coffee

9. En Forma

10. Bon Voyage


 


Hinds(ハインズ)が4年ぶりのシングル「Coffee」で戻ってきた。ピート・ロバートソンのプロデュースによるこの曲は、カルロッタ・コシアルズとアナ・ペローテのオリジナル・デュオへの復帰を意味する。ミュージックビデオは以下より。


「"コーヒー "は、恥じることなく、嫌な真実を大声で叫ぶスイサイドです」とバンドはプレスリリースで述べている。「好きになってはいけないこと、やってはいけないことをすべて認めるということだ。正直になることで、頭の中にある "すべき "とか "すべきでない "とかいう小さな声を封じることができたら、とても楽しいよ」