PIULSNUG: レーベルからのご提供

 

日本の作詞/作曲/編曲家、マルチインストゥルメンタリスト、安川流司によるソロ音楽ユニット、PULSNUGが新作アルバム「Fa Forewarn Free Fall(ファ・フォーワーン・フリーフォール)を発表した。本作はアーティストが主宰するCheap Tripから2月25日にデジタルで発売される。

 

PULSNUGは、ネオ・アコースティック、シューゲイズ、エレクトロニクスをクロスオーバーしたサウンドは近未来的な印象を持つ。彼の旧譜は、USシューゲイズ界のレジェンド、サクラメントのインディーポップユニット、Rocketship(Dusty Reske)が高く評価しているという。

 

本作「Fa Forewarn Free Fall(ファ・フォーワーン・フリーフォール)は2021年12月02日に発売されたPULSNUGのアルバム「Fanfare For Farewell」の全15曲を新進気鋭のミュージシャンがリミックスしたフルリミックスアルバム。

 

2/5にbandcampにて先行配信され、同サイトで全曲を2トラックにまとめたノン・ストップ版「Fa Forewarn Free Fall~Nein Stopp!~」も投げ銭で公開。サブスクリプションも同日に2枚組として解禁される。



元となるアルバムはどちらから読んでも20211202のリリースだった為、今作はそれに準え20250225の発売でタイトルの「Fa Forewarn Free Fall」は元となるアルバムFanfare For Farewellのアナグラムになっている。



リミキサー陣はインディ・シーンで絶大なる支持を得るドリームポップバンド”Yucca”から榎本勇作と品田文子、90’Sジャパニーズ・ギターポップを牽引したmarble gitar caseのバブ、
lol、AMEFURASSHIに作家として楽曲提供しているSSWのяieko等、バラエティに富んだ人選になっている。

 

 

*下記の音源はオリジナル・バージョンのものを掲載。

 

 

 

 


 

*さらなる詳細についてはレーベルの特設サイトをご確認ください。 


 

PULSNUG 『Fa Forewarn Free Fall』




DATE: 2025/02/25
PRICE: ¥2,025(on bandcamp)
FORMAT: Digital
LABEL: CHEAP TRIP RECORDS
CATALOG NO.: CTLP-0003


【Track List】


1. PULSE-SE+SNUG=... ~theme from PULSNUG~ remix by Sister Summer Club
2. Heaven Stars~electro jumble up~ remix by sato boreal
3. Squash! the Pulsar remix by Fun+Tic
4. Marble Superballl remix by Yusaku Enomoto(Yucca)
5. Slow Starter~Slow Looper~ remix by JOHNNIE THE BULGARIA
6. Turn off remix by ayako Shinada(Yucca)
7. continue? ~GAME OVER~ remix by Яieko
8. Vanilla Sky remix by dodopop
9. Blue Screen/Blues Clean~in summer time~ remix by Taruho
10. Think It (too) Low remix by Tomoyuki Tsunoda(mig)
11. Teenage Funk LaB~Oh! papai yeah!~ remix by SHOW TEN GUYS
12. Ocean Colour Scene remix by Pulsar Squash
13. Bye-Bye!! Bicycle~chakapoko~ remix by TIYOKOMEITO
14. LooP PooL~inside my head~ remix by babu(marble guitar case)
15. Fanfare for Farewell remix by momomachine(mig)


Mastered by Ryuji Yasukawa
at Monauralab Studio(MONOLaB)


同時発売ノンストップ版:


Fa Forewarn Free Fall~Nein Stopp!~ / PULSNUG
DATE: 2025/02/25
PRICE: Social Tipping(on bandcamp)
FORMAT: Digital
LABEL: CHEAP TRIP RECORDS
CATALOG NO.: CTLP-0004


サブスクリプション版:


Fa Forewarn Free Fall(side F) / PULSNUG
DATE: 2025/02/25
FORMAT: Streaming
LABEL: CHEAP TRIP RECORDS



Fa Forewarn Free Fall(side P) / PULSNUG
DATE: 2025/02/25
FORMAT: Streaming
LABEL: CHEAP TRIP RECORDS

 

 

ストリーミング配信の予約:

Side F:https://linkcloud.mu/1c37d9cc

 

Side P: https://linkcloud.mu/76b17123

 


 

PULSNUG(パルスナッグ)

 

作詞・作曲・編曲家、マルチインストゥルメンタリスト安川流司によるソロ音楽ユニット
ネオアコースティック、ギターポップ、シューゲイザーを基調した音楽性をノイ!アコースティック(ノイアコ)と自称。

 

その他、リミキサー、ミックス&マスタリングエンジニア、ショートフィルムの劇伴、アニメ主題歌の楽曲提供、DJなど多岐にわたり活動。2021年、自身が主催するレーベル(cheap trip records)より1stアルバムリリース。

 


リチャード・ドーソン(Richard Dawson)はニューカッスル/アポンタイン出身のフォークミュージシャン。 アートビジュアルの作品も発表しています。2014年のアルバム『Nothing Important』はWeird Worldからリリースされ、批評家から絶賛された。 2017年のアルバム『Peasant』も同様の評価を受け、『The Quietus』誌のアルバム・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。


ドーソンは長年にわたって地元ニューカッスルで多くの人々に愛されてきました。稀に見る激しさと特異なスタイルで歌い、ギターを弾く、歪んだトルバドールである。 まさしく現代に蘇った吟遊詩人と言えるかもしれません。

 

ドーソンのボロボロのアコースティック・ギターは、リチャード・ビショップやキャプテン・ビーフハートを彷彿とさせるような、つまずきから崇高さへと変化する。リチャード・ドーソンは、北東部のエレメンタル・アーケタイプの渦から長い草稿を引き出してきた。 大胆不敵なまでのリサーチとインスピレーションへの意欲で、ドーソンは古代の神話と現代の恐怖に彩られた印象的な音楽と語りのカタログを作り上げました。 


リチャード・ドーソンの多くのレコードには、病、トラウマ、無言の必然性の霧のような感覚が立ち込めており、それはしばしば、ドーソンの手が、持ち主と同じように傷つき、個性的で、不屈の楽器である、長年苦悩してきたギターから音を生み出す大混乱の中で表現されています。


リチャード・ドーソンのニューアルバム『End of the Middle』のタイトルは、実に微妙な矛盾をはらんでいる。中年? 中流階級? ドーソンのキャリアの中間点? レコードの中心? 一般的な中道主義? 二極化? 何かについてバランスの取れた議論をする可能性? あなたと真ん中? イングランドの真ん中? 中途半端な曲作り? 『エンド・オブ・ザ・ミドル』は、家族(同じ家族の何世代か)の営みを覗き見るような奇妙な美しい作品です。


「このアルバムは、小規模で非常に家庭的なものにしたかった」とドーソンは説明し、「そして、歌詞とメロディーが、曲の中で彼ら自身と人々を語れるようにしたかった」と付け加えている。物事を徹底的に削ぎ落とすことで、驚くほど冷静で、奇妙なほどエレガントで美しい音楽が完成した。

 

 

Richard Dawson 『End of the Middle』 -Domino Recording

 

果たして、この世に普遍な存在などあるのでしょうか。これは非常に難しい問題だと思います。多くの人々は何かが変わることを恐れますが、変わらないことは何ひとつもない。外側からは変わっていないように見えますが、その内側は、明らかな変化が生じているのです。こと、音楽に関していうならば、女性シンガーの年齢ととも人生におけるテーマの変化があるのと同様に、男性シンガーもまた年齢とともにテーマ(主題)が変わっていくのは当然のことでしょう。


結局のところ、自分が最も輝かしい時代だった頃と同じ主題を歌いたいという気持ちを持つことは分かるのですが、十年後に同じことを伝えることはむつかしい。なぜなら、十年後のその人物の人格は以前とは内側からも外側からも変わっているからです。その点では、ニューキャッスルのリチャード・ドーソンは、その年齢しかわからないことを音楽でストレートに伝えてくれます。


ドーソンの音楽には、その年齢の人々が知るべき何かが彫刻のように刻まれています。例えば、二十歳のミュージシャンと、四、五十代のミュージシャンでは伝えたい内容が全く異なるはずです。二十歳の人物が五十歳の表情をして音を奏でるのは妥当といえないでしょう。なぜなら、異なる年代に対して、その年代しか伝えられないことを伝えられるかがいちばん重要なのだから。

 

さらに、リチャードは、ニューキャッスルという街の風をリスナーのもとに届けてくれます。音楽というのは、制作者が感じたもの、そして生活の基底から引き出された感慨を伝えるためにある。そして、また、制作者のいる地域の特性を伝える。その中には、優雅なものもあれば、それとは対極的に素朴なものも存在する。どのような地域に住んでいようと、他の国や都市とは異なる特性が存在するはずで、それは同じ内容になりえないのである。そして、伝える人によって音楽の本質は異なる。なぜなら神様は、人間や生物に異なるキャラクターを付与することによって、おのおのの役割を分散させることにしたのです。結局のところ、なぜ音楽を創るのか、それから何を伝えたいか、これを明確にしないかぎり、本質に近づくことなどできないでしょう。

 

聞き手側としては、音楽の制作者の考えやそのひとがいる地域の特性に触れたとき、もしくはその本質に突き当たったとたんに、見ず知らずの人物の音楽が切実な意味を帯びはじめる。ドーソンの歌は、他の地域に住む人には作ることができず、ニューキャッスルの土地柄を的確に反映させている。

 

音楽というのは、離れた地域にあるリアリズムを伝える能力があるのをひしひしと感じることがあります。たとえば、リチャード・ドーソンのギター、そして歌は、吟遊詩人のような響きが込められています。しかし、彼の歌は、特権階級のためのものではありません。労働者階級のためのものでもあり、キャプテンビーフハートが志したブルースとロックの融合のように、胸にずしりとのしかかり、長い余韻を残す。ドーソンの歌はまったく重くなく、ブルースの要素はほとんどなく、それ以前の鉄道夫が歌ったレイルロード・ソングのペーソスに近い。でも、なぜか、それは現代の労働歌のような誠実な響きがあり、現実的な質感を持って私たちの心を捉えることがあります。

 

『End Of The Middle』は、切実なニュアンスを帯びています。アッパーとロウワーという二つの階級に現代社会が完全に分かたれていることを暗示する。そして多くの人は、その社会問題を矮小化したり、責任転嫁したり、もっと酷い場合には、まったく無きものとして無視したりすることもあるわけです。また、これらの二つの階級は、両者を敵視することも稀にあるでしょう。しかし、リチャード・ドーソンは、社会の基底にぽっかりと開いた空白のなかに位置取り、空想と現実がないまぜとなったフォークミュージックを説き聞かせるように優しく奏でます。それは現代社会に対する内向きな風刺のようでもあり、また、リリシズムの観点から見たアートの領域に属する。

 

リチャード・ドーソンのアコースティックギターは、ジム・オルークや彼のプロジェクトの出発であるGastr Del Solに近い。しかし、単なるアヴァンフォークなのかといえばそうとも言いがたい。彼の音楽にはセリエリズムは登場せず、しかも、明確な構成と和音の進行をもとに作られる。しかし、彼の演奏に前衛的な響きを感じるのはなぜなのか。ドーソンの音楽はカウンターに属し、ニューヨークパンクの源流に近く、The Fugsのようなアート志向のフォーク音楽の原点に近い。それは、以降のパティ・スミスのような詩的な感覚と現実感に満ちている。 彼の作品にひとたび触れれば、音楽という媒体が単なる絵空事とは言えないことが何となく理解してもらえるでしょう。

 

ドーソンの音楽は、米国の作家、ジャック・ケルアックの『On The Road』で有名な”ビートニク”の文化のヒッピー思想の系譜にある。ビートニクは西海岸から発生した文化と捉えられがちですが、ニューヨークのマンハッタンにもよく似たムーブメントがありました。例えば、アヴァンフォークの祖であるThe Fugsです。1965年の当時、マンハッタンのイースト/ウェストヴィレッジの路上で雑誌や詩集を販売していたトゥリ、そして、雑誌の編集長を務めていたエド・サンダースが「詩を読むだけでは不十分。曲を作って歌えるようにバンドをやろう」と結成したのが”The Fugs”だったのです。

 

一般的にはThe Velvet Undergroundがパンクの先駆者であるような紹介をされる場合が多いですが、以降のCBGBやノーウェイブの流れを呼び込んだのは、このフォークグループだったはずです。この最初のニューヨークのアヴァンギャルドミュージックの流れは、アリストテレスのギリシャ思想、ダダイズム、ジャズ、ポエトリー、ジョン・ケイジの前衛音楽、チャック・ベリーのR&R、それから賛美歌までを網羅し、どの音楽にも似ておらず、唯一無二のアヴァン・フォークの形態を確立させたのでした。まさしく様々な文化の折衝地であるマンハッタンの音楽。彼等は、現代社会の無気力や鋭い風刺を織り交ぜて、「月曜にはなにもないし、火曜にもないにもない!」と歌った。これはウディ・ガスリーやボブ・ディランのフォークよりも尖っていました。

 

リチャード・ドーソンのフォークミュージックは、フランク・ザッパ、キャプテン・ビーフハート/マジックバンドに象徴される''鬼才''ともいうべき特性によってつむがれ、ちょっと近寄りがたい印象もある。それは聞き手側がアーティストの個性的な雰囲気に物怖じしたり、たじろいだり、腰が引けるからです。でももし、純粋な感覚があれば、心に響く何かがあるはずです。賛美歌、ビートルズの『ラバーソウル』以降のアートロックの要素、パブロックのような渋さ、リバプール発祥のマージービート、それから60年代のフォークミュージック、そして、おそらくニューキャッスルの街角で聞かれるであろうストリートの演奏が混在し、ワイアードな形態が構築される。アルバムには、ほとんどエレクトリックの要素は稀にしか登場せず、音楽自体はアコースティックの素朴な印象に縁取られている。それにもかかわらず電撃的なのです。

 

アコースティックギターのガット弦の硬い響き、奥行きのあるドラムテイクの録音がこのアルバムの美点です。「Bolt」は、さながらシカゴのアヴァン・フォークの巨人であるジム・オルークを彷彿とさせる抽象的なサウンドで始まり、哀愁溢れるドーソンのヴォーカルが音楽的な世界をゆっくりと押し広げていきます。そして、アコースティックギターに合わせ、フランク・ザッパ的なボーカルが乗せられます。さらに、コード進行による弾き語り、それからもう一つの楽曲における対句のような構成を持つボーカルとのユニゾンなどを通して、対比的な音楽の構造を生み出し、そしてほとんど途切れることのないアヴァンフォークの音楽観を構築していく。


そしてそれは、日曜の休日のために歌われる賛美歌、安息日のための歌のような響きが強調されます。しかし、それは教会音楽のようなきらびやかな宗教歌ではなく、日曜の食卓で歌われるような質朴で控えめな歌/労働者のためのささやかな賛美歌です。かつてハンガリーにルーツを持つクラシックの音楽家が、「農民カンタータ」のような音楽を書いたように、一般的な市民のつましい暮らしを賛美するための素朴なフォークソングを、ドーソンはさらりと華麗に歌い上げます。これは、''誰に向けて歌われるのか''という意義を失いつつある現在の音楽に一石を投じる内容です。彼の音楽は、哀愁や暗さに満ちていますが、そこには共感性と癒やしが存在するわけです。

 

冒頭部は、夕暮れの切なさを思わせますが、続く「Gondola」は、意外なほど軽妙な印象を放つ。まるで故郷を飛び出し、ヴェネチアへ小さな旅行に出かけるように、陽気な気分を表現しています。しかし、商業的な音楽のように見え透いた明るさにはならない。それはまた一般的な人間の性質にある多極性、明るさのなかにある暗さ、あるいは、暗さのなかにある明るさ、というような正常な感覚をストレートに吐露しているからでしょう。この曲では、音楽制作者のペシミスティックな心情を鏡のように現実に反映させるかのように、和声進行は単調と長調の間をせわしなく行き来しています。音楽自体は、ちょっと陽気になったかと思えば、それと対象的に、悲しみに溢れる音楽の表情があらわになる。アコースティックギターの演奏はリズミカルで軽快なのに、ドーソンの歌のヴァーズはペシミスティックな感覚がある。これがトラックの背景となるメロトロンのぼんやりした響きと混在し、ビートルズのデモソングのような雰囲気を持ったラフなアートロック/アートポップソングが出来上がっていくのです。

 

 

 「Bullies」は、ロック風の曲をアコースティックで演奏しています。そして、表面的にはビートルズのルーツであるマージービートの系譜をうかがわせる。もしかすると、60年代以前には、リバプール、マンチェ、そういった主要な港町で船乗りが歌う「舟歌」のような音楽が存在しただろうと思われます。この曲は、そういった英国の「労働歌」を彷彿とさせる。最近、英国的な音楽というのが薄れつつある印象ですが、この曲は、海外の人間から見ると、奇妙なほど”英国的”である。それは王室の話題とは無縁な市井の人々のための音楽なのです。


そして、リズムも独特で面白いですが、この曲はなぜか心を奮い立たせる何かが存在します。おそらく、そういった民謡や労働歌のようなものに合わせて、ドーソンは自らの心情を織り交ぜたエモーショナルな歌を紡いでいる。この曲は、中盤以降、ポピュラーソングに接近したかと思えば、ジョン・ゾーンのようなサクソフォンの特殊奏法を通して、前衛音楽と商業音楽の間を変幻自在に行来し、印象を著しく変化させます。そして、曲は一貫して難解になりすぎず、叙情的なアルペジオのアコースティックギターの間奏を織り交ぜ、落ち着いていて聞きやすいフォークソングを展開させていく。

 

基本的には、リチャード・ドーソンのソングライティングは終止形を設けず、一つのフレーズの後、移調などの技法を用いて、曲の持つイメージを変化させ、そのまま息をきらさず、次の曲の進行へと繋げていく。これはどちらかといえば、クラシックの作曲法で、基音と次の転調の導入音を繋げて次の調性に転回していくのです。ドーソンの音楽は、ものすごく独創的であるため、一見すると、ポストモダニズムのように思えますが、必ずしもそうとは言いがたい。全体的に聴きこんでみると、楽節の枠組みを用意した上で、それを順繰りに繋げている。つまり、ガスター・デル・ソルやジム・オルークの音楽が脱構造の印象を持つのとは対象的であり、ドーソンの音楽はどこまでも構造性を重視しています。しかし、こういった一定の決まりがありながらも、自由闊達な気風を感じさせる。変幻自在なギターの演奏が繰り広げられ、一つの枠組みを通して音楽的な奥行きを広げていく。考え方によっては、そこにあると思っていたものがスッと消えてなくなり、ないと思っていたものがふと出現したりします。つまり、音楽的な驚きが満載なのです。

 

ドーソンのヴォーカルの魅力的な側面がひときわ際立つ瞬間もある。「The question」 では、いわゆる''ヘタウマ''のボーカルが登場し、気安く穏和な雰囲気のあるギターの音色と重なり合う。まさしく、ここでは冒頭で述べたように年齢を重ねたがゆえの深さ、包み込むような温かい感情があらわとなる。それがこのアルバムでは最も牧歌的な印象を持つ音楽とまざりあう。


曲の途中では、即興的な演奏が登場し、これが間奏の役割を担う。それが最終的にはサーカスの音楽のようなリズムと重なり合い、音楽的なエンターテインメント性を創り出す。そして、ドーソンはくるくると調性を移調させながら、面白いようにシークエンスを変化させる。すると、聞き手は、その感覚に釣り込まれるように、楽しみに充ちた感覚を享受する。さらに、わざとピッチ(音階)をずらしたファルセットを通じてコメディー的な音楽の要素を強める。これが少しシリアス過ぎる音楽が多い昨今の中で、ほのかな安らぎの要素をもたらすのです。音楽というのはときどき、固定観念から開放させる働きをなすこともあり、また、それが知られざる魅力でもある。サーカスのようなコメディーにもよく似た音楽は、旧来のビートルズやストーンズの直系にある。いや、もしかすると、見方によれば、フランク・ザッパ的であるのかもしれません。

 

「Boxing Day Sale」はタイトルが秀逸で、小説や映画のタイトルのようです。祝日の讃歌なのか。”ボクシング・デー”とは12月26日の休日で、いわゆる主人と召使いの関係を象徴付ける休日であるという。しかし、この曲には、バックストーリーのようなものが込められているような気がします。

 

アルバムの序盤の収録曲のように、哀愁溢れるメロディーと高らかなボーカルが特徴的です。しかし、一貫してドーソンの曲には奇妙な癒やしが感じられる。それは、暗さの向こうにある明るさともいうべきもので、ボーカルの真心にほっと安堵させられる。


この曲が、貧しき人々に捧げられたチャールズ・ディケンズの小説のような慈しみの音楽であっても驚くには当たりません。彼の歌声は純粋な響きがあり、それがゆえ琴線に触れる何かが込められています。ときどき、ほろりとさせるような人情を感じさせます。下町の風情といった感じでしょうか。

 

 

 「Boxing Day Sale」

 

 

 

いつの時代もポピュラーミュージックの醍醐味というのは、歌手や制作者の真心を表し、それが一般的ではないほど共感を誘う。''なぜそんなことを歌ったのか''という曲ほど、共鳴する部分があったりします。本意を明らかにせず、上辺の感情で別の思いを塗りたくるのは最善とはいいづらい。それはつまらないコマーシャル音楽に堕してしまい、聞き手を絶望のどん底に突き落とし、救われるところがほとんどないのです。暗さや悲しみに共鳴する曲がいつの時代から途絶えてしまい、それがいつ、偽りの音楽に塗り替えられたのでしょうか。そして誰がそれらを称賛しているのでしょうか。


「Knot」は、そういった奇妙な風潮に対抗するカウンターに位置づけられる音楽です。ここでは、ビートニクの範疇にある自由な考え、フリースタイルのフォークソングに縁取られている。こういった曲に共感を覚えるのは、どのような明るい人も暗い感情を内に抱えることがあるからなのでしょう。

 

アルバムの音楽を聞き進めていると、リチャード・ドーソンという人物が教会の聖職者のように思えてきます。しかし、彼の音楽やそれにまつわる思いは、一方方向ではなく、円環状の感覚に充ちています。みんなで輪を広げていこうというオープンな感覚で、そして、それは単一の考えを押し付けるものではなく、答えを見つけるための暗示に過ぎません。本作の音楽は、結局、明確な答えを示すためのものではなく、手がかりだけを示した上で、この音楽に接した人々がそれぞれの答えを見出すという趣旨なのです。多くの人々は、なんらかの明確な答えを求めたがり、ときに自分の理想とする人にそれをあてがってもらったりします。それでもたぶん、答えというのは、最終的には、それぞれが違ったものであるのだから、一つの正解は存在しません。それをおのおのが見つけていくべきなのでしょう。

 

『End Of The Middle』の素晴らしさは、世界からミドルが消えかけているという悲観論だけで終わらず、旧態依然とした世界から前に進むという建設的な考えがほのめかされている点にある。このアルバムの出発点はペシミズムにまみれていますが、アルバムの音楽の世界を歩き終わったあと、別の世界に繋がっていることに気づく。そのための道筋が以降の三曲に示唆されている。「Polytunnel」は、賛美歌をフォークミュージックでかたどったもので、何か清らかな感覚に充ちている。このアルバムの中では、最も気品に充ちた一曲かもしれません。

 

「Removals Van」はビートルズを彷彿とさせるフォークミュージックで、とてもさわやか。厳格に言えば、ジョージ・ハリスンやリンゴ・スターが歌いそうなユニークな一曲である。しかし、ドーソンらしい音楽性があり、感情の起伏という形であらわれる。実際的には、明るく軽快な曲調と哀愁のある曲調という対比によって導かれる。サックスかファゴットのアバンギャルドな響きを絡め、軽快さと前衛の間を巧みに揺れ動いている。ジャズなのか、フォークなのか、クラシックなのか、ロックなのか、それともポップスなのか?? いずれとも言えないですが、ここには、基本的には音楽を楽しむという最大の魅力が宿っている。そしてそれはジャンルを超えている。だからこそ聴いていて心地よいのでしょう。

 

クローズ曲だけは作風がかなり異なります。「More Than Real」ではモジュラーシンセが登場し、悠々たる雰囲気でドーソンはバラードソングを歌い上げています。 これまで一貫してギミック的な音楽を避けて、質朴な音楽を提示してきたソングライターの真骨頂のような瞬間を味わえます。まるでこの曲だけは、舞台やオペラの主人公になったかのように、ドーソンは明るく開けた感覚のボーカルを披露しています。聴いていると、同調して、なぜか開放的な気分になり、前向きで明るい気分になれるはずです。また、そこに、失望に打ちひしがれた人の心を癒やす何かがあると思います。

 

ゲストボーカルをあまり起用してきませんでしたが、クローズでは、女性ボーカルのソロが最後の最後で登場します。唐突にギリシア神話の女神が登場したかのような神々しさが充ち広がっていきます。最終的には、男女のデュエットという、真善美の瞬間が立ちあらわれる。次いで、この曲は、シンセサイザーやサックスの前衛的なパッセージに導かれ、エンディングを迎えます。アウトロの音の波形のうねりのフェードアウトは、ワープから去年発売されたロンドンのアーティストのEPのサウンドによく似ています。空の中の泳ぎ方の模倣。実にうまくやったなあという感じですね。

 

 

 

92/100

 

 

 

「Gondola」

 

 

 

■ Richard Dawson(リチャード・ドーソン)のニューアルバム『End of the Middle」は本日(2/14)、Domino Recordsingから発売済み。各種ストリーミングはこちらから。

 


ロサンゼルスを拠点に活動するインディーロックデュオ、Fake Dad(フェイクダッド)がニューシングル「Machinery」を(2/6)に配信した。


クランチなギターとシンセを織り交ぜた痛快なロックソング。ロサンゼルスの雄大な砂漠地帯を思わせるような素晴らしい楽曲となっている。

 

「Machinary」はFather Figure Musicから3月14日に発売されるFake DadのEP『Holly Wholesome and the Slut Machine』に収録予定。EPの詳細を下記よりチェックしてみよう。


このシングルは、"音楽界で活躍する女性たちが、相手にされるために自分たちを消費可能な、ファック可能な商品としてパッケージしなければならないというプレッシャーについて、そしてそれがいかに彼女たちを互いに、自分自身と対立させるかについて "歌ったものだ。 この怒りに満ちた、歯ぎしりするようなロック/ポップトラックは、業界のショーケースの直後に書かれた。


そこでは、出演する女の子全員がまったく同じスパイクのついたブラジャーをつけていた。 彼女たちがお互いを嫌悪と執着に近い目で見ているとき、私は隅のほうに立っていて、誰もつながろうとしていないことを本当に悲しく感じた。

 

「この曲は、ナルシストでビリオネアの白人男性に支配された私たちの病んだ悲しい社会が真犯人であるにもかかわらず、このような女同士(あるいはもっと一般的にはアーティスト同士)の憎しみがこのような空間を蔓延させていることへの反応として書かれた。 結局のところ、私たちが呼びかけている本当の犯人はこの男なのだ。 私たちが彼らの手のひらで飯を食っている間に、彼らが欲しいものを手に入れるのを見るのはうんざりだ」とアンドレアは語る。 


Fake Dadは、Spotifyの公式プレイリストに1ダース以上もランクインする成功を収めている。FADER、LADYGUNN、DIY、Live Nation Ones to Watchなどから高い評価を受けている。  バンドはこの春と夏にツアーを行う予定だ。SXSW、Treefort Music Festivalに出演する。 



「Machinery」

   



Los Angeles-based indie rock duo Fake Dad delivered their new single “Machinery” on (2/6). The song is a poignant rock song with crunchy guitars and synths. The song is a great reminder of the majestic desert areas of Los Angeles. It is sure to be an excellent choice for those looking for American indie rock.


stood in the corner feeling really sad that nobody was trying to connect, which is what we were all supposedly there to do. This song was written as a response to the way this kind of woman on woman (or more generally, artist on artist) hate perpetuates these spaces while the real culprits—our sick, sad society governed by narcissistic, billionaire white men—totally fly under the radar. In the end, the man is the real one we're calling out. The one that we're sick and tired of watching get what they want, while we sit back eating from their palm," shares Andrea. 


Fake Dad has seen success landing over a dozen official Spotify playlists and has received acclaim from the likes of FADER, LADYGUNN, DIY, and Live Nation Ones to Watch.  The band is set to tour this spring and summer and will perform at SXSW as well as Treefort Music Festival.



アンドレア・デ・ヴァローナ(彼女/彼)とジョシュ・フォード(彼/彼女)、通称フェイク・ダッドは、ロサンゼルスを拠点とし、ニューヨーク育ちのインディー・ロック・ミーツ・ドリーム・ポップ・デュオだ。 2020年に結成された2人は、イースト・ヴィレッジの大学のパーティーで出会い、それ以来、切っても切れない関係にある。 


独自のアーティスティックなヴィジョンを融合させ、共有されたサウンドを構築するフェイク・ダッドは、ポップでキャッチーなフック、90年代にインスパイアされたクランチーなギター、グルーヴするベースライン、そして浮遊感溢れるシンセサイザーを駆使し、酔わせるようなカラフルな音楽的フュージョンを生み出している。 


独特のプロダクション・サウンドと特徴的なヴォーカルを持つ2人は、自分たちのアパートで作曲とレコーディングを行っている。 アンドレアとジョシュはそれぞれ異なる音楽的背景を持つが、共通の目標は「自分を理解してくれる音楽を創る」ことだ。 


この1年、フェイク・ダッドは "ポーザー "にこだわってきた。 特にロック・ミュージックのポーザーには、自分を偽っているアーティストの音楽が持つ魅力がある。 特にロックの様々なサブジャンルにおいて、"フェイク "は汚い言葉かもしれない。 しかし、アンドレアとジョシュが彼らの時代以前から好きなアーティストを掘り下げていくうちに、キャラクターを演じることはロック音楽の遺産とかなり深く関わっていることが明らかになった。 


PJ・ハーヴェイは痩せていて、身長150cmの女性だった。 スティーヴィー・ニックスは、ロックンロールのジェンダーの境界線を突破するために、私にちょっかいを出すな、さもないと魔法をかけるぞ、という魔女のようなペルソナを身にまとった。

 

ティナ・ターナーは、バックシンガーから手の届かないスーパースターに転身し、何十年にもわたる苦闘の末に自分を改革した。 LCDサウンドシステムは、内向的でパーティの中心的存在であるふりをし、デヴィッド・ボウイは宇宙人であるふりをした。 

 

しかし、そこには一種の願望充足がある。彼らは芸術の中に創造的な表現以上のものを見出したのだ。 偽りのイメージの中に、自分自身の真の姿を見出すことができたのだ。 2024年の始まり以来、フェイク・ダッドも同様に、キャラクターというレンズを通して音楽を書くという自由なプロセスを受け入れることで、自分たちの好きなロック、パンク、ニューウェーブの伝説的なサウンドを探求し、自分たち自身をよりよく理解することができるようになった。


EP『Holly Wholesome and the Slut Machine』で、Fake Dadは、怒り狂ったハンバーガーを平らげるピエロ、星条旗を掲げた騎士、仮面をかぶった睡眠麻痺の悪魔など、彼らの世界に住むキャラクターを作り上げた。 その過程を通して、アンドレアとジョシュは、自分たちの生活体験の非常に現実的な側面(ストレート・パスな関係の恋愛パートナーとしてのアイデンティティやセクシュアリティなど)を、フィクションを使って解き明かしていることに気づいた。


ユニークな音楽的視点と、リスナーとの比類なき共同体的絆を持つFake Dadは、すでに12以上のSpotify公式プレイリストを獲得し、地元ニューヨークと新天地ロサンゼルスのライヴを完売させるなど、大きな注目を集めている。

 

デュオの次のプロジェクト『ホリー・ホールサム・アンド・ザ・スラット・マシーン』は、彼らのアーティストとしての進化における新たな時代を明らかにするもので、リスナーは2025年以降にやってくるであろう作品の広がりと特異性に備えることができるはずだ。 


 "Machinery "は、3月14日にリリースされるFake DadのEP『Holly Wholesome and the Slut Machine』(編集部イチオシの "So Simple!"と "ON/OFF "を収録)からの最終シングルである。


このリリースの後、Fake Dadは北欧のインディーロックバンド、Pom Poko(ポンポコ)と共に初のフルバンドでUSツアーを行う予定。



Andrea de Varona (she/her) and Josh Ford (he/him) aka Fake Dad are a Los Angeles based, NYC bred indie rock meets dream pop duo. Formed in 2020, the two met at a college party in the East Village and have been inseparable ever since. 


Melting their own unique artistic visions to build a shared sonic shorthand, Fake Dad create an intoxicating and colorful musical fusion complete with catchy pop-laden hooks, crunchy, 90s inspired guitars, grooving bass lines, and buoyant synths. With a distinctive production sound and a signature vocal delivery, the two write and record expansive musical moments from their apartment. Although Andrea and Josh come from different musical backgrounds, they share a common goal: to create music that understands you. 


In the past year, Fake Dad have been fixated on posers. Specifically, rock music posers—there’s just something fascinating about music made by an artist who’s pretending to be someone they’re not. In the different subgenres of rock especially, “fake” can be a dirty word. But as Andrea and Josh dug into some of their favorite artists from before their time, it became clear that playing a character is pretty deeply entwined with the legacy of rock music. 


PJ Harvey was a skinny, 5’4 woman who bellowed about being 50 feet tall and “man-sized.” Stevie Nicks wore her don’t mess with me or I’ll put a spell on you, witchy persona to break through the gender boundaries of rock and roll. Tina Turner was a background singer turned untouchable superstar who reinvented herself through decades of hard fought battles. LCD Soundsystem was an introvert pretending to be the life of the party, and David Bowie was pretending to be a space alien. And yet, there’s a kind of wish fulfillment there: these are people who found more than just creative expression in their art—they found reinvention. 


Within the false image, they were able to find something true about themselves. Since the beginning of 2024, this is what Fake Dad has been able to do as well, embracing the freeing process of writing music through the lens of a character, which has allowed them to explore the sonic trappings of their favorite rock, punk, and new wave legends, as well as better understand themselves.


In their upcoming EP, Holly Wholesome and the Slut Machine, Fake Dad have created characters that live in their made up world of angry, burger-flipping clowns, star-crossed knights, and masked sleep paralysis demons. Throughout the process, Andrea and Josh realized that they were using the fiction to unpack very real aspects of their lived experiences—including their identities and sexualities as romantic partners in a straight-passing relationship.


The latest offering off the project, “Machinery” is about the pressure for women in music to package themselves as consumable, f*ckable products just to be taken seriously—and how that pits them against each other and themselves. Andrea confides, "This angry, teeth-grinding rock/pop track was written right after an industry showcase where every girl performing wore the exact same spike-studded bra—too concerned with sizing each other up to actually have a good time. 


As they eyed each other with loathing and borderline obsession, I stood in the corner feeling really sad that nobody was trying to connect, which is what we were all supposedly there to do. This song was written as a response to the way this kind of woman on woman (or more generally, artist on artist) hate perpetuates these spaces while the real culprits—our sick, sad society governed by narcissistic, billionaire white men—totally fly under the radar. In the end, the man is the real one we're calling out. The one that we're sick and tired of watching get what they want, while we sit back eating from their palm."


With a unique musical perspective, and an unparalleled communal bond with their listeners, Fake Dad have already garnered much deserved attention, landing over a dozen official Spotify playlists and selling out shows in their hometown of NYC as well as their new home of Los Angeles. 


The duo’s upcoming project, Holly Wholesome and The Slut Machine reveals a new era in their evolution as artists—preparing listeners for the expansiveness and singularity of what’s to come in 2025 and beyond.  "Machinery" is the final single off Fake Dad's upcoming EP, Holly Wholesome and the Slut Machine out March 14th (featuring editorial picks "So Simple!" and "ON/OFF").  


The single "Machinery" is "about the pressure for women in music to package themselves as consumable, f*ckable products just to be taken seriously—and how that pits them against each other and themselves. This angry, teeth-grinding rock/pop track was written right after an industry showcase where every girl performing wore the exact same spike-studded bra—too concerned with sizing each other up to actually have a good time. 


As they eyed each other with loathing and borderline obsession, I stood in the corner feeling really sad that nobody was trying to connect, which is what we were all supposedly there to do. This song was written as a response to the way this kind of woman on woman (or more generally, artist on artist) hate perpetuates these spaces while the real culprits—our sick, sad society governed by narcissistic, billionaire white men—totally fly under the radar. In the end, the man is the real one we're calling out. The one that we're sick and tired of watching get what they want, while we sit back eating from their palm," shares Andrea. 


The release will be followed by FD's first full band US tour with Pom Poko—including official festival plays at SXSW, Treefort, and more to be announced. 


カナダのパンクバンド、PUPが5thアルバム『Who Will Look After The Dogs?』のリリースを発表した。

 

PUPは、ステファン・バブコック、ネスター・チュマック、ザック・マイクラ、スティーヴ・スラドコウスキーからなる。彼らは、『The Unraveling Of PUPTHEBAND』に続く作品を5月2日にLittle Dipper / Rise Recordsからリリースする。

 

彼らはまたニューシングル『Hallways』のプレビューを行い、ステファン・バブコックがその裏話を語っている。

 

偶然にも『The Unraveling Of PUPTHEBAND』というタイトルの前作を発表した数日後、私の人生は予期せず崩壊した。

 

『Hallways』の歌詞を書いたのは、そんなことが起こっている最中だった。 奇妙な1週間だった。 『Who Will Look After The Dogs? 』というタイトルは破壊的だと思うけど、”なんてこった、これは大げさなんだ!”という感じだ。 少なくとも、その前の行の文脈から見ればね。 それが僕らにとっては面白いんだ。

 

私たちが暗いときに言う大げさな言葉も、少し冷静になれば滑稽なものになる。 それを面白ろがる人がいるかどうかはわからないんだけど、時には自分自身を笑うことも必要なんだよ。 それが奈落の底から抜け出す唯一の方法なんだ。 信じてほしい。

 

「Hallways」



PUP 『Who Will Look After The Dogs?』


Label:Little Dipper / Rise Records

Release: 2025年5月2日

1. No Hope

2. Olive Garden

3. Concrete

4. Get Dumber

5. Hunger For Death

6. Needed To Hear It

7. Paranoid

8. Falling Outta Love

9. Hallways

10. Cruel

11. Best Revenge

12. Shut 

 

 

最も冒険的でマキシマムなフルアルバム、2022年の『The Unraveling of PUPTHEBAND』のリリース後、バンドの生活は大きく変化した。ギタリストのスティーヴ・スラドコフスキーは結婚し、ベーシストのネスター・チュマックは父親としての生活に落ち着き、ドラマーのザック・マイクラはトロントの新しい場所に引っ越し、自宅スタジオを拡張することができた。他のメンバーたちが大きな決断を下し、行動を共にする中、バブコックは孤独を感じていた。彼は10年来の交際に終止符を打ち、バンドメンバーとも距離を置いたばかりだった。

 

「レコードを作っているときは仲が悪いから、引きこもりがちになるんだ」とバブコックは言う。「以前は別の人に安らぎを見出したものだが、今回は一人だった。退屈で寂しかったから、ただひたすら曲を書き始めたんだ」。以前のアルバムでは、12曲を完成させるのに2〜3年かかったが、『Who Will Look After The Dogs?』では一年で30曲をスピーディーに書き上げた。

 

作曲中、バブコックには内省する時間があり、もしかしたら成長したかもしれない。「初期の曲の多くは、自分がいかにダメな人間であるかを歌っていた。「それは今でも変わらないけど、若い頃ほど自分を嫌いになることはなかったし、周りの人たちもありのままの自分を受け入れてくれた。PUPの前作がバブコックの人生の6ヵ月を覗く窓のような役割を果たしたのに対し、このアルバムでは彼の恋愛関係、交友関係、そして若い頃から現在に至るまでの自分自身への接し方を全体的に捉えている。ある意味、このアルバムを書くことは、彼の心の成長を映し出す鏡のような役割を果たした。それは大変で、時には最悪だったが、最終的にはそれだけの価値があった。
 

彼らはアルバム全体を3週間でレコーディングした。『The Unraveling of PUPTHEBAND』を作るのにかかった時間の半分以下だ。「このアルバムのために歌詞を書き始めたとき、すべてが本当に重く感じられた」とバブコックは言う。

 

「レコーディングする頃には、暗い曲でさえ軽くて楽しいものに感じられた。このアルバムを作っている間は、喧嘩もしなかった。すべてがクソ素晴らしい感じだった」

 

 

【PUP — 2025 Tour Dates】

 
05/07/25 – Birmingham, UK @ XOYO Birmingham*&
05/08/25 – Leeds, UK @ Project House*&
05/10/25 – Manchester, UK @ O2 Ritz*&
05/11/25 – Glasgow, UK @ SWG3 (TV Studio)*&
05/12/25 – Newcastle, UK @ Newcastle University*&
05/13/25 – Bristol, UK @ Marble Factory*&
05/15/25 – Southampton, UK @ Engine Rooms*&
05/16/25 – London, UK @ O2 Forum Kentish Town*&
05/18/25 – Amsterdam, NL @ Melkweg*
05/20/25 – Cologne, DE @ Club Volta*
05/21/25 – Hamburg, DE @ Logo*
05/22/25 – Berlin, DE @ Hole44*
05/23/25 – Munich, DE @ Strom*
05/25/25 – Paris, FR @ Bellevilloise*
05/27/25 – Madrid, ES @ Sala Mon
05/28/25 – Barcelona, ES @ Upload
05/29/25 – València, ES @ Loco Club
05/30/25 – San Sebastian, ES @ Dabadaba



* support from Illuminati Hotties
& support from Goo

ミシェル・ザウナーのプロジェクト、Japanese Breakfast(ジャパニーズ・ブレックファスト)が、近日リリース予定のアルバム『For Melancholy Brunettes (& sad women)』からのセカンドシングルを公開した。 「Mega Circuit」のミュージックビデオは以下よりご覧ください。


ミュージックビデオはかなり手が込んでいます。ザウナーと長年のコラボレーター、アダム・コロドニーが共同監督したビデオは、この曲の地に足がついた自国のエネルギーを反映している。 ザウナーが "四輪バギーから泥を蹴り落とす "と歌いながら、ダートバイクが裏山を疾走するという内容です。


"Mega Circuit"は、不気味でギター主体のレコードを作ろうと思って最初に書いた曲のひとつです 。 この曲は、現代の男らしさについての考察のようなもので、肯定的なロールモデルがいないために暴力や偏見に逃げ場を見出している世代を受け入れたいという葛藤を探求している。

 

コラボレーターの貢献についてザウナーは次のように述べています。『These Days』から『Here You Come Again』、『Dream Weaver』まで、あらゆる曲でプレイしている伝説的なジム・ケルトナーに来てもらい、今まで聴いたことのない激しいシャッフルを演奏してもらった」

 


「Mega Circuit」



Helen Ganya 『Share Your Care』


Label: Bella Union

Relase: 2025年2月7日

 


Review



スコットランド在住で、タイにルーツを持つシンガー、ヘレン・ガーニャはベラ・ユニオンから発売された新作で摩訶不思議なポピュラーワールドを展開している。祖母の死をきっかけに書かれたアルバムで、タイとの繋がりが断ち切られるおそれを抱いたヘレン・ガーニャは、前作の発売前にこの新作に着手しはじめました。日記を手に入れ、タイでの思い出にまつわる子供の頃についての楽曲を書き始めた。結果的には、西洋側から見たアジアではなく、アジアそのものの奥深いルーツを辿ることになった。そのプロセスでシンガーは大切なことに気がつきました。家族や伝統的な概念に対する愛情、現代社会における過度な個人主義の歪みでした。

 

そういった社会的な問題は、家族愛やタイやシンガポールとの関係によって演繹され、温かく朗らかな愛情のひと雫に変化しています。それはとりもなさず、幼少期に彼女を育ててくれた祖母をはじめとする家族という概念がアルバムの音楽に通底しているからなのでしょうか。音楽としてはタイの民族楽器であるラナットエット、フルート、サックスが登場しますが、これらは西洋主義に慣らされた人々にとってはエキゾチックに聞こえるに違いありません。ときどき、それはタイのボクシングを観戦するときの「チャイヨ!」という掛け声にたちあらわれます。

 

本作は、音楽的にはシンセポップが中心となっており、ビョークの最初期やミツキの初期のアプローチに重なるものがある。しかし、同時に、それらのシンセポップは、タイの民族音楽や祭礼の音楽によって強められ、独自の音楽に変化しています。いわば、アジアの音楽に詳しくない方にとっては、これらの音楽は摩訶不思議に聞こえるでしょう。しかし、これらはアジア発祥の音楽がベースになっています。西洋主義が優勢になるにつれ、多くの人はアジア的な概念がなんであるのかを忘れてしまった。そんな中で、アジア出身の歌手が西洋びいきのポップスを制作する中で、ヘレン・ガーニャは西洋音楽と東洋音楽の融合に取り組んでいる。これが結果的に、心地よいサウンドとオリジナリティの高い音楽性を生み出すことになったのでした。 


アルバムは流行りのインタリュードの形式を各所に設け、物語性を付与し、起承転結のあるポピュラーソングが展開されます。これは例えば、YMOのようなアジアのサウンドがギターを中心としたモダンなポップスに生まれ変わり、タイやシンガポールのような地域の原初的な音楽と結びついたらどうなるのか、という空想でもあるのです。しかし、その空想は、タイの楽器演奏者、Artit Phoron、Chinnathip Poolapという現地の音楽をよく知るコラボレーターに恵まれたことで現実に近づいた。ヘレン・ガーニャの音楽的な構想には''ファンタジア''の要素が求められますが、実際的には現実性に富んだ音楽性が組み込まれている。まさしく、彼女がこれらの音楽の制作や歌唱を通じて、幼少期の思い出に近づいたとき、温かな感覚が蘇る。それは私たちが見る現実以上にリアルです。そして、その音楽という端緒を通じて、タイとのつながりを取り戻す。''無くしたと思っていたものが、実は身近にあったことに気がつく''という次第なのです。

 

アルバムのオープナーから軽快な印象です。「Share You Care」ではファジーなシンセポップにヘレン・ガーニャの華麗なボーカルが乗せられる。全体的な音楽の枠組みが西洋に依拠しているからと言えども、そのメロディーの節々にはアジアのテイストが漂う。聴く人にとっては少しエキゾチックにも聞こえるかもしれませんが、懐かしい感覚が蘇る。それらをスタイリッシュな感覚に充ちたポップスに落とし込むという点では、ニューヨークのインディーポップシーンに呼応するもので、セイント・ヴィンセントのデビューアルバムを彷彿とさせます。アジアのよな抜き音階を踏襲したシンセのベースライン、そしてボーカルが心地良いサウンドを生み出している。ダンス・ポップ、ないしはシンセ・ポップとして申し分のないナンバーでしょう。

 

ファンタジックな音楽性は「Mekong」に登場します。ギターのアルペジオを中心に組み上げられるポップソングはやがてビョークの系譜にあるアートポップの手法においてその壮大さを増していき、アーティストの持ちうる音楽的な世界が序盤から見事に花開いています。プレスリリースで紹介されている通り、これらのポップスはシネマティックであるばかりか、映像的な側面を持つ。実際的にリスナーは音楽の持つ換気力により何らかのイメージを膨らますことが出来ます。ベースラインの進行が秀逸であり、ボーカルの主旋律を上手く補佐し、なんらかの切ないイメージのような感覚を聞き手の脳裏に呼び覚ます。音楽の持つ想像性が発揮された瞬間です。この曲にはプロデューサーとシンガーのイメージが巧みに合致した瞬間を捉えられます。

 

「Intelude-1」を挟んで、 Zitherのような楽器の華麗なアルペジオが登場する「Fortune」はエキゾチックな民族音楽とポピュラーの融合を意味します。Zitherは、フォルテ・ピアノの原型とも言われ、日本の琴の音にも近似している。少なくとも、この曲では、タイの象徴的な仏教寺院などで聞かれる祭礼の音楽を、親しみやすく聞きやすいサウンドに編曲しています。エスニックなサウンドにビョークの系譜にあるアートポップの要素を結びつけて、新鮮味溢れる音楽性を作り上げている。これらのサウンドには、例えば、ニューヨークの伝説的な歌手、Murgo Garyanの象徴づけられるバロックポップからの影響がうかがえ、チェンバロのような背景のサウンドと上手くマッチしています。近年の米国のポップスの懐古的なサウンドを踏襲しつつ、それらにエキゾチズム(アジアのサウンド)を付与したことが、曲にささやかな楽しみをもたらす。


「Horizon」は、ピアノとヨットロックのようなギターを結びつけたナンバーです。ペシミスティックな雰囲気を持つバラードソングで、ここではおそらく亡き祖母との思い出、そしてタイという土地のつながりについて追憶します。つまり、全体的に見ると、オペレッタの作風が取り入れられ、セイント・ヴィンセントやビョークのアートポップの音楽性に直結しています。そして驚くべきことに、それは単なるエンターテインメント以上の意味を擁する。とりもなおさず、消えかけた記憶の糸をたぐりよせる……、それこそ歌手にとってのリアリティを意味するのでしょう。これらは聞き手を追体験のような瞬間に誘い、感情的な気分にさせることがある。

 

「Morlam Plearn」は、推察するに、タイの民族音楽ということになるでしょうが、例えば、アイルランドのLankumの音楽性と相通じるものがあります。あまり詳しくありませんが、タイの吹奏楽器や弦楽器が登場し、これらはスペインのアルフォンソ国王の御代の中世ヨーロッパの音楽を彷彿とさせる。アルフォンソは、トルコや北ヨーロッパとの交易を通じて原初的な民族音楽を確立しました。後にコーカサスの音楽と結びつき、例えば、ゲオルギイ・グルジェフのような音楽家/舞踏家が「アルメニアの民族音楽」として紹介しました。タイとの関連性は不明なのですが、少なくとも、この曲においてリズムミカルな舞踏音楽と結びつけ、祭礼的な意味合いの強い楽曲として昇華している。二つ目のインタリュード「Interlude-2」は、子供の頃の思い出を呼び覚ますためのもの、過去の声の日記(ボイスメモ)のような意味合いがあるのでしょうか?

 

分けても、アジアの音楽のテイストとシンセ・ポップやダンス・ポップと上手く結びつけたのが終盤の収録曲で、これらは単なる奇異の目をもってアジアの音楽を聴く以上の魅力が感じられる。「Bern Nork」ではタイで流行しているポピュラーソングがかくなるものではないかと想像させる。それが、実際、モダンでスタイリッシュな感覚を持つポップソングに昇華されている。そして、ヘレン・ガーニャの歌声には、ちょっとした可愛らしさと可笑しみが含まれていて、これもファンタジーに登場する妖精のようにファニーな雰囲気を持ち合わせている。特に、このアルバムで完成度が最も高い曲が続く「Hell Money」でしょう。この曲では、アルバムの全体的なシンセ・ポップという枠組みの中で、歌手のメロディーセンスが光る瞬間でもある。そして、この曲には開放的な感覚に充ちていますが、それはケルト民謡の要素が含まれており、この音楽の特徴である牧歌的な雰囲気がモダンなアートポップの中で個性的な魅力を放つ。

 

終盤にも素敵な曲が収録されています。タイのボクシング観戦の時に言うセリフ「チャイヨ!」という掛け声は、YMO、JAPANのようなニューロマンティックの系譜にあるサウンドと結びついて、懐かしくレトロな響きを生み出す。最後のインタリュード「Interlude 3」では、子供の遊び場のサウンドスケープが呼び覚まされる。続くアルバムのクローズを飾る「Myna」は、クライマックスを飾るに相応しいダイナミックなバラードソング。歌手としての存在感を示すにとどまらず、歌唱の表現力の豊かさを発揮しています。今後がとても楽しみなシンガーソングライターがスコットランドから登場しました。ヘレン・ガーニャの今後の活躍に注目です。

 

 

80/100

 

 

 

 

「Hell Money」

■世界的な文化アイコンであるパティ・スミスとNY/ベルリンを拠点にする現代音響芸術
コレクティヴ「サウンドウォーク・コレクティヴ」によるエキシビションとライブパフォーマンスが日本初上陸。2025年4月から東京と京都で開催。

 


 


実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するイベントシリーズ「MODE」は、世界的な文化アイコンであるパティ・スミス(Patti Smith)とNY/ベルリンを拠点に活動する現代音響芸術コレクティヴのサウンドウォーク・コレクティヴ(Soundwalk Collective)による最新プロジェクト「コレスポンデンス(CORRESPONDENCES)」を2025年4月から東京と京都で開催いたします。


「コレスポンデンス」はパティ・スミスとサウンドウォーク・コレクティヴによる10年以上におよぶ協働プロジェクトで、さまざまな地理や歴史、自然環境を横断する作品としてエキシビションとパフォーマンスの2形式で発表します。

 

エキシビションは4月26日から6月29日まで東京都現代美術館にて、パフォーマンスは4月29日(火・祝)にロームシアター京都 サウスホール(京都)、5月3日(土・祝)に新国立劇場 オペラパレス(東京)にて開催します。

 


 
■伝説の詩人、9年ぶりの来日!

  

©Zondag-Parcifal_Werkman

パティ・スミスは70年代のNYアート・カルチャーシーンを代表する伝説的なアイコンであり、詩人、画家、パフォーマーとして半世紀以上にわたり創作活動を続けています。1946年に生まれた彼女のキャリアは、1967年にNYへ移住したことから始まります。写真家ロバート・メイプルソープとの出会いやチェルシー・ホテルでの共同生活、アンディ・ウォーホルをはじめとするアーティストたちとの交流は彼女の創作に大きな影響を与えました。

 

デビューアルバム『ホーセス』(Horses, 1975)は詩とロックを融合させた革新的な作品として音楽史にその名を刻み、ソニック・ユースのキム・ゴードンやPJ ハーヴェイに霊感を与えるなど、パンクやロックおける表現の可能性を切り拓きました。パティの創造性は音楽のみにとどまらず、写真、ドローイングの展覧会やパフォーマンスを発表し、全米図書賞を受賞したベストセラー回顧録『ジャスト・キッズ』をはじめとした散文や詩集を多数執筆するほか、反戦や気候変動、人権問題についてくり返し発言し、アーティストの視点から社会への積極的なコミットメントを行なっています。

 

サウンドウォーク・コレクティヴは、アーティストのステファン・クラスニアンスキー(Stephan Crasneanscki)とプロデューサーのシモーヌ・メルリ(Simone Merli)が率いる現代音響芸術コレクティヴです。

 

アーティストやミュージシャンとの共同作業を通じてコンセプトや文学、芸術的テーマを探求し、場所や状況に応じたサウンドプロジェクトに取り組んできました。これまでに映画監督のジャン=リュック・ゴダール、写真家のナン・ゴールディン、振付家のサシャ・ヴァルツ、女優で歌手のシャルロット・ゲンズブールらとの長期的なコラボレーションを行ない、アートインスタレーションやダンス、音楽、映画などメディアを横断したプロジェクトを展開。ナン・ゴールディンを追ったドキュメンタリー映画『美と殺戮のすべて』では劇伴を手がけ、同作は2022年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しています。

 


 
■ 10年間におよぶ「コレスポンデンス=往復書簡」の到達点

 



かれらのコラボレーションは、パティとステファンが飛行機の機内で偶然出会ったことから始まりました。その創造的な共同制作は10年以上にわたって継続し、べネチア・ビエンナーレやコロンビアのメデジン近代美術館をはじめ世界各地でライブパフォーマンス、展覧会、上映、詩の朗読会、ワークショップと多岐にわたる形式で作品を発表してきました。2022年にはパリのポンピドゥー・センターで展覧会「エヴィデンス(Evidence)」を開催しています。

 

今回、日本で発表する「コレスポンデンス」はかれらの最新プロジェクトであり、パティとステファンが10年にわたり交わしてきた“対話”から生まれた作品です。現在進行中で絶えず進化し続けるこのコラボレーションプロジェクトは、さまざまな土地の「音の記憶」を呼び起こし、芸術家や革命家、そして気候変動の継続的な影響の足跡を体現しています。


 


ステファンが詩的な霊感や歴史的な重要性をもつ土地を訪れフィールドレコーディングによって「音の記憶」を採集し、パティがその録音との親密な対話を重ねて詩を書き下ろし、さらにそのサウンドトラックに合わせてサウンドウォーク・コレクティヴが映像を編集する。こうした“往復書簡(=コレスポンデンス)”によって生まれたのが、本エキシビション/パフォーマンスの根幹を成す8つの映像作品です。

 

これらの映像は、チェルノブイリ原発事故や森林火災、動物の大量絶滅といったテーマを探求するとともに、アンドレイ・タルコフスキー、ジャン=リュック・ゴダール、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ピョートル・クロポトキンといった芸術家や革命家を参照しながら、人間と自然の関係やアーティストの役割、人間の本質について観るものに問いかけます。

 

 


 

 【パフォーマンス出演】

 
・パティ・スミス(ヴォーカル)
・ステファン・クラスニアンスキー(フィールドレコーディング/フォーリー)
・シモーヌ・メルリ(シンセサイザー)
・ルーシー・レイルトン(チェロ)
・ディエゴ・エスピノサ・クルス・ゴンザレス(ドラム/パーカッション)
・ペドロ・マイア(ビジュアル/ライティング)
・セバスチャン・ビュロー(サウンドエンジニア)
 

・Patti Smith: VOCALS
・Stephan Crasneanscki: FIELD RECORDING/FOLEY
・Simone Merli: SYNTHESIZERS
・Lucy Railton: CELLO
・Diego Espinosa Cruz González: DRUMS/PERCUSSIONS
・Pedro Maia: VISUALS/LIGHTS
・Sebastien Bureau: SOUND ENGINEER

 

 

【プログラム概要】 

 

・ EXHIBITION MOT Plus  サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス

 

エキシビション「コレスポンデンス」は、東京都現代美術館の「MOT Plusプロジェクト」による初の取り組みとなります。”MOT Plus”はパフォーマンスや上映など、従来の展覧会の形式にとどまらない、実験的なプロジェクトを展開する場として2025年に立ち上がった新企画。本展はその第一弾として、YYとの共同主催、MODEの企画協力により開催致します。

 


会期: 

2025年4月26日(土)~6月29日(日)  10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)


休館日: 

月曜日(5月5日は開館)/ 5月7日(水)


会場: 

東京都現代美術館 企画展示室B2F   〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1 


観覧料(税込):  

一般1,800円/小学生以下無料 ※小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。


展覧会ウェブサイト: www.mot-art-museum.jp/exhibitions/MOTPlus-correspondences/

 

 

・PERFORMANCE IN KYOTO     KYOTOPHONIE in collaboration with MODE
サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス

 

「コレスポンデンス」の日本初公演を、ゴールデンウィーク初日の4月29日(火・祝)、ロームシアター京都 サウスホールにて、昼夜の2公演を開催致します。

 

本公演は、2025年4月12日から5月11日まで開催される「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025」の姉妹イベント、「KYOTOPHONIE ボーダレスミュージックフェスティバル 2025 春」のプログラムとして、MODEと共同開催致します。

 


公演日時: 

2025年4月29日(火・祝)

[昼公演]12:00開場/ 13:00開演 [夜公演]16:30開場/ 17:30開演


会場: 

ロームシアター京都 サウスホール 〒606-8342 京都府京都市左京区岡崎最勝寺町13


チケット料金(前売り・税込):

SS席指定 20,000円/S席指定 11,500円/A席指定 9,500円/B席指定 5,500円
※未就学児童入場不可 ※小学生以上チケット必要 ※チケット購入後のキャンセル・変更・払い戻しはいたしません


チケット販売: 

イープラス  https://eplus.jp/correspondences/


[店頭販売]ファミリーマート店頭(店内マルチコピー機)


[店頭購入方法]https://support-qa.eplus.jp/hc/ja/articles/6638367888665


[オフィシャル先行抽選]2025年2月15日(土)10:00 ~ 2月24日(月・祝)23:59
[最終先行先着]2025年3月8日(土)10:00~



公式ウェブサイト: 

MODE : https://mode.exchange

KYOTOPHONIE: https://kyotophonie.jp/



公演に関する問い合わせ先:

KYOTOPHONIE事務局: info@kyotophonie.jp



・PERFORMANCE IN TOKYO  MODE 2025     サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス



実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するイベントシリーズ「MODE」が、「コレスポンデンス」の日本公演を招致。

 

東京公演は、日本を代表するオペラ・バレエ専用劇場である新国立劇場 オペラパレスにて開催されます。本公演は、MODE史上最大規模の公演となります。

 


公演日時: 

2025年5月3日(土・祝)17:00開場/ 18:00開演


会場: 

新国立劇場 オペラパレス 

〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1 


チケット料金(前売り・税込):SS席指定 20,000円/S席指定 11,500円/A席指定 9,900円
B席指定 7,700円/C席指定 5,500円


※未就学児童入場不可 ※小学生以上チケット必要 ※チケット購入後のキャンセル・変更・払い戻しはいたしません。



チケット販売: 

イープラス https://eplus.jp/correspondences/


[店頭販売]ファミリーマート店頭(店内マルチコピー機)


[店頭購入方法]https://support-qa.eplus.jp/hc/ja/articles/6638367888665


[オフィシャル先行抽選]2025年2月15日(土)10:00 ~ 2月24日(月・祝)23:59



公式ウェブサイト:

MODE  https://mode.exchange


公演に関する問い合わせ先: 

MODE: info@mode.exchang


 

【クレジット】

  

・エキシビション

主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館/株式会社YY
企画協力:MODE
協賛:Audio-Technica / Analogue Foundation

 

・パフォーマンス京都公演


主催:一般社団法人 KYOTOPHONIE/MODE/株式会社YY


 
・パフォーマンス東京公演


主催:MODE/株式会社YY
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
協賛:Audio-Technica / Analogue Foundation

 

 

■ Soundwalk Collective(サウンドウォーク・コレクティヴ)

 

Photo by Vanina Sorrenti 

サウンドウォーク・コレクティヴは、アーティストのステファン・クラスニアンスキーとプロデューサーのシモーヌ・メルリが率いる現代音響芸術コレクティヴ。


アーティストやミュージシャンとの共同作業により、コンセプトや文学、芸術的なテーマを検証するために、場所や状況に応じたサウンドプロジェクトを展開。パティ・スミスや映画監督のジャン=リュック・ゴダール、写真家のナン・ゴールディン、振付家のサシャ・ヴァルツ、女優で歌手のシャルロット・ゲンズブールといったアーティストたちとの長期的なコラボレーションを行なう。

 

彼らの実践はアートインスタレーション、ダンス、音楽、映画と多岐にわたり、音を詩的で感触を伴う素材として扱うことで異なるメディアを結びつけ、複層的な物語を創造することを可能にしている。ローラ・ポイトラス監督の『美と殺戮のすべて』ではオリジナルサウンドトラックを制作し、2022年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。


これまでポンピドゥ・センター(パリ)、ドクメンタ(カッセル)、クンストヴェルケ現代美術センター(ベルリン)、ニューミュージアム(NY)などで展示やパフォーマンスを発表している。

 

 

 ■ Patti Smith(パティ・スミス)

 Photo by Jesse Paris Smith


パティ・スミスは1946年シカゴで生まれ、ニュージャージー州南部で育ったのち、1967年ニューヨークに移住。詩とロックを融合させた革新的なアルバム『ホーセス』(Horses, 1975)でデビューして以来、数々のアーティストやミュージシャンに影響を与え、世界的な文化アイコンとして知られる。

 

音楽、著作、パフォーマンス、視覚芸術における業績は各分野で高く評価されており、グラミー賞に4度ノミネートされたほか、『ホーセス』は米国議会図書館の国家保存重要録音物登録簿に登録されている。また写真や絵画、インスタレーションを手がけるアーティストとしても活躍し、世界中のギャラリーや美術館で展示を行なっている。

 

著作に全米図書賞を受賞したベストセラー回顧録『ジャスト・キッズ』のほか、『ウールギャザリング』『Mトレイン』『無垢の予兆』など多数。2020年にペン/フォークナー賞を受賞、コロンビア大学から名誉博士号を授与される。2022年には彼女の生涯の業績を称えて仏レジオンドヌール勲章を受勲した。

 

 

【MODE】

 
MODEは、2018年にロンドンで創設された実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するプラットフォーム。坂本龍一がキュレーターを務めた初開催以降、ロンドンと東京を拠点に「音」を軸とした国際的な文化交流の場として展開している。都市の余白や歴史的な音楽芸術ベニューを舞台に、空間の建築的特性や場所がもつストーリーに呼応する多彩なプログラムを実施。アーティストとオーディエンスが音楽や芸術文化、その歴史的背景を分かち合い、インスピレーションを交わすことで、新たな実験的表現が生まれる場を創出している。

 


過去の主な出演者(抜粋):


・2018 LONDON

 (The Barbican Centre / The Silver Building / Camden Art Centre)
坂本龍一 + Alva Noto / 坂本龍一 + David Toop / Beatrice Dillon / 空間現代 / 細野晴臣 + Acetone / Curl / 毛利悠子 +鈴木昭男


・2019 LONDON

 (Round Chapel / 55-57 Great Marlborough Street / South London Gallery) Rashad Becker / Eliane Radigue / Julia Eckhart / Bertrand Gauguet / Yannick Guédon / Wolfgang Voigt

 

・2023 TOKYO

 (淀橋教会 / Vacant Space in Aoyama / WWW)
Eli Keszler / Kafkaʼs Ibiki (Jim O'Rourke, 山本達久, 石橋英子) / Park Jiha / 伶楽舎 / Posuposu Otani / Merzbow / Kali Malone featuring Stephen O'Malley & Lucy Railton / Laurel Halo / Tashi Wada with Julia Holter / Riki Hidaka


・2024 TOKYO

 (草月ホール / 伊藤邸(旧園田高弘邸) / LIQUIDROOM)
INCAPACITANTS / Puce Mary / Yuko Araki / FUJI | | | | | || | | | | TA / Okkyung Lee / 坂 田 明 / Bendik Giske / Valentina Magaletti / Still House Plants / goat 



【KYOTOPHONIE】

 
京都で年2回開催される「KYOTOPHONIE ボーダレスミュージックフェスティバル」は、ルシール・レイボーズと仲西祐介(KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭の共同創設者)によって2023年からスタートした音楽フェスティバルです。2023年春から2024年秋までに、延べ約37,000人の観客を動員しました。


KYOTOPHONIEは、従来のジャンル、会場、形式にとらわれないクリエイティブな実験を促します。このような実験と分野横断的コラボレーションこそが、本フェスティバルの特徴です。京都府内のユニークな会場で、シーンを彩るアンダーグラウンドなアーティストから世界で活躍する国際的なアーティストまで、多彩なラインナップを紹介しています。


春開催の「KYOTOPHONIE Spring」は、姉妹イベントである「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」のその年のテーマからインスピレーションを受け、アーティストを選定し、写真や音楽の枠を超えて同時開催しています。「KYOTOPHONIE Autumn」は、さらに自由なラインナップによって未知の音楽体験を提供し、世界を旅するような感覚を共有します。以下は開催実績です。

 

・2023 Spring -Club METRO / 東福寺塔頭 光明院 / HOSOO Hall / 金剛能楽堂 / ロームシアター京都 サウスホール / 京都コンサートホール アンサンブルホール(小ホール) / 渉成園 / 八竹庵(旧川崎家住宅) 

ルーカス・サンタナ / 山川冬樹 / サリフ・ケイタ / EUTRO / TRIO SR9 / サンドラ・ンカケ / ラ・チカ/ SHOW-GO / KYOTO JAZZ SEXTET / 森山威男 / 中野公揮 /吉田簑紫郎(文楽人形遣い)/ バラケ・シソコ / ヴァンサン・セガール / ピエル・ファッチーニ / 大友良英/ 小山田圭吾 / 田中知之 (FPM) / ピーター・バラカン / Kobeta Piano 他


・2023 Autumn -天橋立  

シシド・カフカ directs el tempo / シコ・セーザル / U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS / baobab / ジュリア・ショートリード/ LUCA×山本啓×仙石 人 / 青葉市子 / 石橋英子 Band Set / ルエジ・ルナ / INNA DE YARD (HORACE ANDY,CEDRIC MYTON from The Congos and WINSTON MCANUFF, backed by Home Grown) / 西原鶴真 / Eki Shola / 仕立て屋のサーカス



・2024 Spring -八竹庵(旧川崎家住宅)/ 東本願寺視聴覚ホール / Club METRO

ロス・グラシオーソ / シェニア・フランサ / ダビ・コペナワ / イーモン・ドイル / ナイルスウィーニー / ダビッド・ドノホ / ケヴィン・バリー
/ Black Boboi / kott / CROSSBRED 他

 


・2024 Autumn ロームシアター京都 メインホール

ジルベルト・ジル「アケリ・アブラッソ・ジャパンツアー 2024 京都公演」



【YY】


芸術、ファッション、音楽の分野における培った知識や専門性、豊かな文化的洞察力を活かし、他の文化領域や産業との接点を創出するカルチュラルプラットフォーム。


世界中のアーティストやクリエーター、専門家とのネットワークを活用し、クリエイティブ/アートディレクションやブランドマーケティング、アート・文化関連のプロジェクト企画・制作を行う。アート展示やライブパフォーマンス、ブランドとの協働を通じて、さまざまな創造分野の連携を促進し、国際的な視点で文化の発展に貢献するプロジェクトを展開している。

 

Luby Sparks
Luby Sparks

東京のオルタナティヴロック・バンド、Luby Sparks(ルービー・スパークス)の二作のEPが一つの音源としてLPバージョンで3/29に発売される。昨年からシングルとEPを発表していたルービー・スパークスですが、これらの音源がまとめてLP化され発売されます。音源の詳細を下記よりご覧ください。

 

また、バンドのツアーの開催が発表された。東京WWW X、大阪COMPASSにてワンマンライブが3月に行われる。会場ではLPも先行販売予定です。ライブに行かれる方はぜひチェックしてみてください。

 

 

【新作アルバム情報 * LPのみで発売】

 

■アーティスト|   Luby Sparks(ルビースパークス)
■アルバムタイトル| Songs for The Daydreamers/Songs of The Hazy Memories [LP] (ソングス フォー ザ デイドリーマーズ ソングス フォー ザ ヘイジーメモリーズ エルピー)
■リリース日|    2025年3月29日(土)
■品番|       DDJB-91255
■販売価格|     4,000円+Tax
■仕様|       LP
■レーベル|     AWDR/LR2

 

 

 

【旧譜情報  *デジタルで配信済み】 

 
・Luby Sparks「Songs for The Daydreamers」EP

 





日本にとどまらず海外での活動が充実している昨今のLuby Sparksの集大成となるEP。この五人組のルーツであるシューゲイザー/インディサウンドに回帰した4曲入りEP「Songs for The Daydreamers」。

 

インディーロック/シューゲイザーのサウンド「Stayaway」。清涼感に溢れたインディポップ・ナンバー「Somebody Else」。打ち込みとシューゲイザーが共存する「NOT Okay」、Yeah Yeah Yeahsのカヴァー「Maps」の4曲を収録。

 

共同プロデュースは吉田仁、カバーアートは、ブルックリンのアーティスト、Annika White、マスタリングは、Kentaro Kimura (Kimken Studio)が担当。

 

 

収録曲:



A1. Stayaway [ https://youtu.be/_Tf2nE05NzA?si=s_t8VX07bDB4rmxC ]
A2. Somebody Else [ https://youtu.be/lg5w2vuCngI?si=sNEVYXy7ARtbrH1J ]
A3. NOT Okay [https://youtu.be/CtdlxjPGfNw ]
A4. Maps [ https://youtu.be/qSfViobYgW4?si=TmLUPF94pwxuMFId ]



・Luby Sparks「Songs of The Hazy Memories」 EP


 

2024年5月にリリースした4曲入りのEP「Songs for The Daydreamers」に続く、4曲入りのEP「Songs of The Hazy Memories」。彼等のルーツであるシューゲイザー/インディ・サウンドに回帰した前作「Songs for The Daydreamers」の要素を更に深化させた充実の4曲。


ヘヴィ・シューゲイズ「Broken Headphones」、オルタナオルタナティヴ・シンセ・ポップ「Overrated!」、インディポップ/ギターポップ・サウンド「Summer Days」の先行して発表した3曲に加え、シューゲイザーとダンサンブルなビート/シンセ・ベースラインが特徴のドラムンベースサウンドが融合した「Faith」が収録。

 

共同プロデュースは吉田仁、カバーアートは、ブルックリンのアーティスト、Annika White、マスタリングは、Kentaro Kimura (Kimken Studio)が担当。

 

 

収録曲:



B1. Broken Headphones [ https://youtu.be/K6V23csCt1g?si=-FjuDGXMbrji9PgG ]
B2. Overrated! [ https://youtu.be/489iqJSR8hg?si=8AXp-8Ta7xyhvNjd ]
B3. Summer Days [ https://youtu.be/qk9MX0INRTA?si=XXMSian-XqgGMZeM ]
B4. Faith [https://youtu.be/3Fd1qZIkyB4?si=4D-Wb_PYcIzRkGu9 ]




【Luby Sparks】



Natsuki (ba/vo)  Erika (vo)  Sunao (gt)  Tamio (gt)  Shin (dr)。2016年3月結成。2018年1月、Max Bloom (Yuck) と全編ロンドンで制作したデビューアルバム「Luby Sparks」を発売。

 

2019年9月に発表したシングル「Somewhere」では、Cocteau TwinsのRobin Guthrieによるリミックスもリリースされた。

 

2022年5月11日にMy Bloody Valentine、Rina Sawayamaなどのプロデュース/エンジニアを手掛けるAndy Savoursを共同プロデューサーに迎え、セカンドアルバム「Search + Destroy」をリリース。

 

同年6月には、初のワンマンライブ「Search + Destroy Live」(WWW X) も行い、ソールドアウトとなった。10月にはタイでの海外公演、2023年3月全米7都市にて「US Tour 2023」、9月「Strawberry Music Festival 2023」を含む中国全7都市「China Tour 2023」、10月韓国、11月インドネシア「Joyland Festival」へ出演を行うなど海外での展開も積極的に行なっている。

 

2024年5月にリリースした「Songs for The Daydreamers」EPに続き、2025年1月24日にも「Songs of The Hazy Memories」EPをリリース。



今年、2022年6月以来となるワンマンツアー「Luby Sparks 2025 Tour - One-man Shows –」の開催が決定。3月17日(月)WWW X(東京)、3月20日(木・祝)CONPASS(大阪)にて行われる。現在、チケット発売中。

 

 

【Luby Sparks 2025 Tour Date】




・Luby Sparks 2025 Tour - One-man Shows –  ・両日ともにワンマン開催


イベントの紹介動画:  https://youtube.com/shorts/5HWVQxnG264 

 


・2025.03.17 [Mon] WWW X [Tokyo] Open 19:00 / Start 20:00


・2025.03.20 [Thu] CONPASS [Osaka] Open 18:00 / Start 18:30

 


Adv. 3500 Yen [+1D] / U-22 2500 Yen [+1D]


Ticket ( 2025.01.24 [Fri]_2025.02.21 [Fri] )


チケットの詳細(eplus):https://eplus.jp/lubysparks

 
Tour Flyer Design : Max Bloom (YUCK)

 


ロサンゼルスのPeel Dream Magazine(ピール・ドリーム・マガジン)は、昨年、ニューアルバム『Rose Main Reading Room』をTopshelf Recordsから発表しました。このアルバムは、SPIN、Pitchforkから注目された。日本国内では、タワーレコードもこの新作に注目していました。

 

ピール・ドリーム・マガジンは現在は北米ツアーを開催中です。 一連のライブツアーは、今年2月から3月まで続き、3月7日のニューヨーク/ブルックリンの公演(Music Hall of Williamburg)で一連の日程を終了する。今後、プロジェクトの人気を拡大しそうな気配を見せています。

 

ピール・ドリーム・マガジンは、ジョセフ・スティーヴンス、オリビア・ブラック、イアン・ギブス、イアン・リプソンから構成される。昨年11月にシアトルのラジオ放送局”KEXP”に出演し、四曲をライブパフォーマンスで披露した。ライブパフォーマンスの映像は、KEXPの公式チャンネルで2月7日に配信されています。ラジオ局の収録ではトリオ編成により収録が行われました。

 

最新作からは、「Central Park West」、「Lie In The Gutter」、「Four Leaf Clover」がセレクトされています。

 

2025年に入り、Peel Dream Magazineは、『Modern Meta Physic』のデラックス・エディションをリリースしています。最新アルバムに関するPeel Dream Magazineのボーカリスト、ジョセフ・スティーヴンスさんのインタビュー(Q&A)はこちらからお読みいただけます。

 

 

KEXP- Live Performance

 


フィラデルフィアを拠点に活動するシンガーソングライター、BATTLEFLAGG(バトルフラッグ)の新作EP『Solastalgia』をリリースしました。EPの詳細とアーティストのバイオグラフィーを掲載します。(1月上旬に発売。昨日、プレスリリースが海外のマネージメントから到着しました) 

 

EPに収録されている「Ghost」のオフィシャルビデオが公開されています。下記よりご視聴ください。


ダニエル・ノウルズ(シャロン・ヴァン・エッテン、シガレッツ・アフター・セックス)がプロデュースしたこの音楽は、既知の世界がリアビューに消えていく間に見逃してしまった繋がりにインスパイアされている。 

 

”ソラスタルジア”とは、哲学者のグレン・アルブレヒトが2005年に発表した論文である。"まだ家にいるときに感じるホームシック"と定義されている。 生活、記憶、場所が消え去り、ある場所に立ち尽くすようなものだ。一般的なノスタルジアとは少し異なり、ソラスタルジアは苦悩に満ちたもので、自分ではどうすることもできない環境やその他の変化に起因することが多い。


BATTLEFLAGG(バトルフラッグ)は、ラモーンズ、サード・アイ・ブラインド、ケーキ、トレインのオープニングアクトを務めるなど、他の音楽プロジェクトでも成功を収めています。 アトウッド誌、ノーザン・トランスミッション誌などから高い評価を受けています。 

 


「Ghost」

 

 

 

 


 

 




Philadelphia-based singer-songwriter BATTLEFLAGG (Battle Flag) has released a new EP, Solastalgia. (It was released in early January, but a press release arrived yesterday from his international management.) 

He shares, "Solastalgia is defined by philosopher Glenn Albrecht in his 2005 article on the subject as “the homesickness you have when you are still at home,” where you may find your home environment changing in distressing ways. It is a lived evanescence of what you have always known, like standing in one place as the life, memories and places fade away.  Unlike nostalgia, solastalgia is distressing and is often attributed to environmental or other changes completely out of one's control."

BATTLEFLAGG has found success in other musical projects opening for the Ramones, Third Eye Blind, Cake and Train. He has received acclaim from the likes of Atwood Magazine, Northern Transmissions, and more.


 

 

[BATTLEFLAGG]

 

フィラデルフィアを拠点に活動するシンガー・ソングライター、ジェフ・ハートウィグのプロジェクトであるバトルフラッグは、新曲のデモを制作した後、個人的、社会的、政治的不安の時代に主体性を取り戻す必要性を感じ、2020年に構想された。


 バトルフラッグはバンドというより、志を同じくするミュージシャンやヴィジュアル・アーティストの集団であり、忍び寄るシニシズムの時代と闘うためにパンデミックの最中に結成された。 伝統的なロック・インストゥルメントとアンビエント・シンセ、ドラム・ループ、サンプルを融合させたサウンドを持つハートウィグのバトルフラッグの曲は、ハートランド/アメリカーナ/インディー・ロックの境界線をまたごうとするもので、心に響く直接的な歌詞とアリーナ・サイズのシンガロング・コーラスに傾倒している。


ハートウィッグの音楽的経歴は多岐にわたる。 彼のプロとしての最初の仕事は、パンク・ロックの革新者プラズマティックスの元メンバーで構成されたキング・フラックスのリード・シンガーとしてラモーンズのオープニングを飾ったことだった。 CBGBsやロウアー・イースト・サイドのクラブで1年間ダウンタウンのシーンを賑わせた後、キング・フラックスは解散し、バンドの創設者であるリッチー・ストッツは大学院に進学した。


サウンドと景色を変えたいと思ったシンガー・ソングライターは、90年代後半にサンフランシスコに移り住み、すぐに盛んなインディ/アメリカーナ/パンク・シーンに飛び込んだ。 ダングスというアメリカーナ(っぽい)バンドの前座を務めた彼は、当時人気急上昇中だったバンド、サード・アイ・ブラインド、ケイク、トレインと共演し、トレインのデビュー・アルバム発売時にはフィルモア・オーディトリアムでオープニングを務めた。 ダングスはまた、ツアー中にデイヴ・アルヴィン、ザ・コーネルズ、ダッシュ・リップ・ロックなど多くのアメリカーナ/インディー系アーティストとステージを共にした。


新世紀が近づくにつれ、ハートウィグはソロ・アーティストとして、ベテラン音楽エグゼクティブのジョージ・デイリーとプロデューサー/エンジニアのチャック・プロトキン(ブルース・スプリングスティーン)によって結成されたUMG配給のアバウト・レコードと契約を結び、1年をかけて最初のリリースのための曲作りと曲作りを行った。 しかし、アバウトがドットコム・バブル崩壊の影響を受けて再編成されたとき、ハートウィグは勢いを失い、今度はロー・スクールに移る覚悟を決めた。


その後10年間、ハートウィグは企業法務のキャリアを追求する一方で、曲作りを続け、時折ライブを行った。 2019年、数多くのデモを手にし、音楽流通の民主化の一翼を担いたいという新たな願望を抱いたハートウィグは、ブリット賞を受賞したプロデューサー、クリス・ポッター(リチャード・アシュクロフト、ローリング・ストーンズ)と連絡を取り、バトルフラッグの1st EP『The Blood Meridians』をプロデュースすることに同意、2022年11月にハートウィグ自身のレーベル、レゾリュート・ジュークからリリースされた。  


『The Blood Meridians』はロンドンとイングランド南部でレコーディングされ、ロブ・マーシャル(ヒューマニスト)とスティーヴ・ワイレマン(リチャード・アシュクロフト)のギターワーク、スティーヴ・シデルニク(シール)のドラミング、ミコ・マークスの魂を揺さぶるヴォーカルなど、英米両国の才能をフィーチャーすることになる。


The Blood Meridians』のリリース後、ハートウィグは再び制作を開始した。 シャロン・ヴァン・エッテンのヒット・シングル "Mistakes "を聴き、そのサウンドの雰囲気が気に入った彼は、そのプロデューサーのダニエル・ノウルズ(SVE, Cigarettes After Sex)に連絡を取り、ノウルズが彼の次のEPをプロデュースしてくれないかと頼んだ。  


ノウルズはデモを聴き、プロジェクトに参加することを快諾した。  約1年半に及ぶレコーディングとミキシングを経て、新作EP『Solastalgia』がリリースされた。  ノウルズとバトルフラッグが共同プロデュースした『Solastalgia』には、ザ・ブラッド・メリディアンズを凌ぐ幅広い音楽的コラボレーターが参加しており、ザ・ウォー・オン・ドラッグス、エセル・カイン、ジャパニーズ・ブレックファスト、エルヴィス・コステロのメンバーも参加している。


新曲を聴いて何を感じ取ってほしいかとの質問に、ハートウィグはこう答えている。「これらの曲を聴くとき、リスナーにはその中に描かれているシンプルなスナップショットの力を理解し、感じてほしい。 願わくば、曲の中の体験が、特に大きな変化に直面している私たち全員に共通するものだと理解することで、リスナーは自分の周りの人々や場所とのより深いつながりを見出すだろう」

 

 

The project of Philadelphia-based singer/songwriter, Jeff Hartwig, Battleflagg was conceived in 2020 after demoing a new set of songs and feeling the need to regain some agency in an age of personal, social and political unrest. Battleflagg is not so much a band but a collective of like-minded musicians and visual artists, formed during the pandemic to combat an age of creeping cynicism. With a sound that blends traditional rock instrumentation with ambient synths, drum loops and samples, Hartwig’s Battleflagg songs seek to straddle the Heartland/Americana/Indie rock divides, leaning into direct, heart-on-sleeve lyrics and arena-size, sing-along choruses.

Hartwig’s musical backstory is prolific. His first pro gig was opening for the Ramones as the lead singer of King Flux, made up of former members of punk rock innovators the Plasmatics, a show for which he was castigated by Johnny Ramone for jumping on Johnny's stage box during the opening set. After a year of powering through the downtown scene at CBGBs and other Lower East Side clubs, King Flux dissolved -- Richie Stotts, the band's founder, went on to grad school -- and Hartwig found himself opening as a solo act for bands on the Blues/Americana circuit, including The Holmes Brothers, Clarence Gatemouth Brown and Commander Cody.

Looking for a change of sound and scenery, the singer-songwriter moved to San Francisco in the late 90s, where he immediately fell into a thriving Indie/Americana/Punk scene. Fronting an Americana(ish) band called the Dangs, he established a strong following playing with then-rising bands Third Eye Blind, Cake and Train, who the Dangs opened for at the Fillmore Auditorium on the release of Train’s debut album. The Dangs also shared stages with many Americana/Indie acts while on tour, including Dave Alvin, The Connells, and Dash Rip Rock.

As the new Millenium approached, Hartwig inked a deal with About Records -- a UMG-distributed imprint formed by veteran music executive George Daly and producer/engineer Chuck Plotkin (Bruce Springsteen) -- as a solo artist, spending a year writing and developing songs for his first release. When About reorganized in the wake of the bursting dotcom bubble, however, Hartwig lost the momentum and was ready to make a change, this time to law school.

Over the next decade, Hartwig pursued a career in corporate law, all the while continuing to write songs and playing the occasional live show. In 2019, with numerous demos in hand and a new desire to be a part of the democratization of music distribution, Hartwig contacted Brit-Award winning producer, Chris Potter (Richard Ashcroft, Rolling Stones), who agreed to produce Battleflagg's first EP, The Blood Meridians, which was released by Hartwig's own label, Resolute Juke, in November 2022.  The Blood Meridians was recorded in London and the south of England and would feature talent from both the UK and US, including the guitar work of Rob Marshall (Humanist) and Steve Wyremann (Richard Ashcroft), the drumming of Steve Sidelnyk (Seal), and the soul-searing vocals of Miko Marks.

After the release of The Blood Meridians, Hartwig again set the production process in motion. Upon hearing Sharon Van Etten's hit single, "Mistakes", and loving the sonic vibe, he reached out to its producer, Daniel Knowles (SVE, Cigarettes After Sex), to see if Mr. Knowles would have interest in producing his upcoming EP.  Knowles listened to the demos and readily agreed to be a part of the project.  After almost 18 months of recording and mixing, the new EP, Solastalgia, is out now.  Co-produced by Knowles and Battleflagg, the breadth of musical collaborators on Solastalgia even exceeds that of The Blood Meridians and includes members of The War on Drugs, Ethel Cain, Japanese Breakfast and Elvis Costello.

When asked what he hopes people would take away from listening to his new music, Hartwig says "When listening to these songs, I want the listener to understand, and feel the power of, the simple snapshots described within, and how such moments are common to many. Hopefully, in understanding that the experiences in the songs are common to all of us, particularly in the face of massive change, the listener will find a deeper connection to the people and places around them."

 


 

2025年度の「Rock & Roll Of Fame(ロックの殿堂入り)」の候補者が本日発表された。今年度のノミネート候補は、ロックからポップスまでバランスの取れた選出が行われている。

 

ロックの殿堂にノミネートされるための条件は、候補が発表される年度の25年前に商業録音を発表済みのアーティストということで、相当厳しい条件となっていることが分かるはずだ。この賞の問題点は、商業的に大きな成功を収めてからかなり後年になって殿堂入りを果たすということだろう。少なくとも、生前に受賞の知らせを受けるためには長生きしないといけない。

 

今年のファイナリストには、ジョイ・デイヴィジョン/ニュー・オーダー、シンディー・ローパー、ビリー・アイドル、マライア・キャリー、マナ(MANA)、フィッシュ(Phish)、ジョー・コッカー、アウトキャスト、チャビー・チェッカー、サウンドガーデン、ザ・ブラック・クロウズ、ザ・ホワイト・ストライプス、バッド・カンパニー、そしてオアシスが選ばれた。

 

注目すべきは、ロックの殿堂入りに関して批判的な意見を示してきたリアム・ギャラガー擁するオアシスだろう。今年、バンドはワールドツアーを控えている。ノミネートの一報を受けたリアム・ギャラガー氏は、ソーシャルメディアで持論を展開させた。この賞にたずねられると、「ロックの殿堂はオカマのための賞だ」といい、さらに、ファンに「もし受賞したらどうする?」と聞かれると、「もちろん現地に行って、これまでで最高のことを話すよ」と言った。

 

ロックの殿堂の受賞者の発表は、2025年4月に行われ、通例ではライブパフォーマンスなども行われる。また公式サイトでのファン投票に加えて、1,200人以上のアーティストや音楽業界関係者、そして識者によって選出される。昨年の受賞者は、オジー・オズボーン、メアリーJ、ブライジ、ピーター・フランプトン、クール&ザ・ギャングなどがロックの殿堂入りを果たした。ロックの殿堂はクリーブランドにあり、伝説的なミュージシャンの記念品が展示されている。1981年にこの博物館は開設され、現在も当地の名物的な施設として知られている。

◆静謐なピアノ・ミュージックをヒップホップ的手法で拡張させた新感覚のサウンドスケープ
 現代アンビエント・シーンで注目を集めるザ・ヴァーノン・スプリング最新作


現代アンビエント・シーンの注目株であるUKのThe Vernon Spring(ザ・ヴァーノン・スプリング)のニューアルバム『Under a Familiar Sun』が5/9リリース決定。(配信の予約はこちらから)


本日アルバムからの先行シングルとして、作家のMax Porterのポエトリーリーディングをフィーチャーした「The Breadline (feat. Max Porter)」と、その姉妹曲「Requiem For Reem」が配信開始されました。(ストリーミング配信はこちら)


ノース・ロンドン出身で、ブライトン在住のアーティスト/作曲家/ピアニスト/プロデューサーのザ・ヴァーノン・スプリング)ことサム・ベステ。大きな飛躍を遂げる可能性に満ちた待望のニュー・アルバム『Under a Familiar Sun』がついにリリース。2025年のアンビエント・シーンで大きな注目を集める可能性があります。


2008年に弱冠17歳にして故エイミー・ワインハウスのワールド・ツアーのピアニストに抜擢され、彼女との仕事はその後、MF DOOM、ケンドリック・ラマーのプロデューサーSounwave、Beth Orton、Joy Crookes、Kano、Gabriels、マシュー・ハーバートとのコラボレーションへの道を拓きました。




20代半ばにオルタナ・ソウル・トリオ・ヘジラ(ヘジラ)を結成し、自主レーベル・リマ・リモを創設。ジャズのバックグラウンドと現代的なエレクトロニック・プロダクションを融合させ、ジャズでもポスト・クラシカルでもない幽玄で繊細なピアノ・ミュージックを確立し、2021年のデビューアルバム『A Plane Over Woods』はロングセラーを記録。その後、LPのみでリリースしたマーヴィン・ゲイの名作『What's Going On』を独自に解釈したアルバム『What's Going On』も高い評価を獲得しました。


最新作『見慣れた太陽の下で』、『彼の芸術的進化の幅の広さと深みを物語る作品です。作曲とプロセスに基づく長い実験期間を経て生まれたもので、これまでの即興的なプロダクションから、より複雑なアプローチへの転換を果たしました。


プロデューサーのIko Nicheとともにアルバム制作を進めるなかで、ヒップホップの影響や、サンプリングを活用した手法を取り入れながら、The Vernon Springならではのピアノ・コンポジションを全編にわたって貫き、前人未到のサウンドスケープを描き出しています。


ベステのスタジオで制作・ミックスされたこのアルバムには、「The Breadline」の詩でアルバム全体のコンセプトにインスピレーションを与えた作家のマックス・ポーター、直感的なアレンジが没入感のあるレイヤーと深みを加えたチェリストのケイト・エリス、NYブルックリンの拠点に活動するヴォーカリスト、プロデューサー、作家、天体物理学博士のadenなどが参加し、それぞれ魅惑的な表現で作品に命を吹き込んでいます。


現在、パートナーと3人の息子とともにブライトで暮らすベステは、本作を「家庭内の親密な探求」であると同時に、「この不確かな時代における責任についてのより広い瞑想」として作り上げました。親密なテーマと普遍的なテーマの間を揺れ動き、交差する現実が音楽そのものをはるかに超える共鳴する音空間を構築します。


個人的な献身と道徳的な意識を融合させながら、新たなサウンドの可能性を追求するアーティストの姿を示し、知覚がきらめく新たな光のなかで反響する深遠な作品となっています。


このアルバムは核家族へのラブレターだ。私はその愛がより広い世界とどのように関係しているのかを問うている。芸術は政治主義を切り開くために政治的である必要はない。これは希望に満ちたレコードなんだ。


ヴァーノン・スプリングの音楽は近年、静かで美しい音楽を求めるリスナーの耳を魅了してしつづけています。その芸術的ヴィジョンを抽出し、拡張させた本作は、このプロジェクトが新たな革新の段階へと転換点となるもの、優雅でありながら勇敢なアプローチに驚嘆する意欲作となっています。


アートワークはBon Iverの『22, A Million』『i,i』を手がけるヴィジュアル・アーティストEric Timothy Carlsonが担当。収録曲のヴィジュアライザーは同じくボン・イヴェールの『i,i』をカールソンとともに手がけたヴィジュアル・アーティスト、アーロン・アンダーソンとエリック・ティモシー・カールソンによるもの。



【新作アルバム情報】

 

 

アーティスト:The Vernon Spring(ザ・ヴァーノン・スプリング)

タイトル:アンダー・ア・ファミリア・サン(Under a Familiar Sun)

品番: CD: PDIP-6612 / LP: PDIP-6613LP

価格:CD:2,500円(税抜)/LP:2,750円(税込)

LP: 5,000円(税抜) / 5,500円(税込)

発売日:2025年5月9日(金)

バーコード:CD: 4532813536125 / LP: 4532813536132

フォーマット:国内盤CD / LP / デジタル

ジャンル:ポスト・クラシカル・ジャズ / アンビエント


レーベル:p*dis

販売元・発売元:株式会社インパートメント


パッケージ仕様:ブラックヴァイナル+グロススポット加工ジャケット+プリントインナースリーヴ+帯トラックリスト


トラックリスト:

 1. Norton

2. The Breadline (feat. Max Porter)

3. Mustafa (feat. Iko Niche)

4. Other Tongues

5. Under a Familiar Sun

6. Fume

7. In The Middle

8. Fitz

9. Esrever Ni Rehtaf (feat. aden)

10. Counted Strings (feat. aden)

11. Requiem For Reem

12. Known


<プロフィール>

UKノース・ロンドン生まれブライトン在住のアーティスト/作曲家/ピアニスト/プロデューサー、サム・ベステスによるソロ・プロジェクト。弱冠17歳でエイミー・ワインハウスのワールド・ツアーのピアニストに抜擢され、キャリアをスタート。豊富なマルチ・インストゥルメンタリストでもある。


2021年にリリースしたソロ・デビュー・アルバム『A Plane Over Woods』がロングセラー。同年、発売から50周年を迎えたマーヴィン・ゲゲイの代表作『What's Going On』に対するレスポンスとなる作品『What's Going On』をリリース。同アルバム収録の名曲群を独自の解釈でカヴァーしたこの作品は各所で大絶賛された。

 Squid  『Cowards』

 

Label: Warp

Release: 2025年2月7日

 

 

Review

 

最もレビューに手こずった覚えがあるのが、Oneohtrix Point Never(ダニエル・ロパティン)の『Again』だったが、ブリストルのポストパンクバンド、Squidの『Cowards』もまた難物だ。いずれも、Warpからの発売というのも面白い共通点だろう。


そして、いずれのアルバムも成果主義に支配された現代的な観念からの脱却を意味している。スクイッドは無気力と悪魔的な考えがこのアルバムに通底するとバンドキャンプの特集で語った。また、サマーソニックの来日時の日本でのプロモーション撮影など、日本に纏わる追憶も織り交ぜられており、日本の映像監督が先行曲のMVを制作している。従来、スクイッドは、一般的なロンドンのポストパンクシーンと呼応するような形で登場。同時に、ポストパンクの衝動性というのがテーマであったが、ボーカルのシャウトの側面は前作『O Monolith』から少し封印されつつある。それとは別のマスロックの進化系となる複雑なロックソングを中心に制作している。さて、今回のイカの作品は音楽ファンにどのような印象をもって迎え入れられるのだろう。

 

 

近年、複雑な音楽を忌避するリスナーは多い。スクイッドも、時々、日本国内のリスナーの間でやり玉に挙げられることもあり、評論家筋の評価ばかり高いという意見を持つ人もいるらしい。少なくとも、最新の商業音楽の傾向としては、年々、楽曲そのものが単純化されるか、省略化されることが多いというデータもあるらしい。また、それはTikTokのような短いスニペットで音楽が聞かれる場合が増加傾向にあることを推察しえる。ただ、音楽全体の聞き方自体が多様化しているという印象も受ける。以前、日本のTVに出演したマティ・ヒーリーは短いスニペットのような音楽のみが本質ではないと述べていた。結局、音楽の楽しみ方というのは多彩化しており、簡潔な音楽を好む人もいれば、それとは反対に、70年代のプログレッシヴロックのような音楽の複雑さや深みのような感覚を好き好むと人もいるため、人それぞれであろう。ちゃちゃっとアンセミックなサビを聞きたいという人もいれば、レコードで休日にじっくりと愛聴盤を聞き耽りたいという人もいるわけで、それぞれの価値観を押し付けることは出来ない。

 

一方、スクイッドの場合は、間違いなく、長い時間をかけて音楽を聞きたいというヘヴィーなリスナー向けの作品をリリースしている。また、『Cowards』の場合は、前作よりも拍車がかかっており、まさしくダニエル・ロパティのエレクトロニクスによる長大な叙事詩『Again』のポストロックバージョンである。スクイッドは、このアルバムの冒頭でチップチューンを絡めたマスロックを展開させ、数学的な譜割りをもとに、ミニマリズムの極致を構築しようとしている。

 

スクイッドはアンサンブルの力量のみで、エキサイティングなスパークを発生させようと試みる。バンドが語るアパシーという感覚は、間違いなくボーカルの側面に感じ取られるが、バンドのセッションを通じてアウトロに至ると、そのイメージが覆されるような瞬間もある。それは観念というものを打ち破るために実践を行うというスクイッドの重要な主題があるわけだ。激動ともいえるこの数年の大きな流れからしてみれば、小市民は何をやっても無駄ではないのかという、音楽から見た世界というメタの視点から、無気力に対して挑もうとする。これが「Crispy Skin」という日常的な出来事から始まり、大きな視点へと向かっていくという主題が、ミニマリズムを強調した数学的な構成を持つマスロック、そしてそれとは対象的な物憂げな雰囲気を放つボーカルやニューウェイヴ調の進行を通じて展開されていく。この音楽は結果論ではなく、「過程を楽しむ」という現代人が忘れかけた価値観を思い出させてくれるのではないか。

 

以前、ピーター・ガブリエルのリアル・ワールド・スタジオ(実際はその近くの防空壕のようなスタジオ)で録音したとき、スクイッドは成果主義という多くのミュージシャンの慣例に倣い実践していたものと思われる。だが、このアルバムでは彼等は一貫して成果主義に囚われず、結果を求めない。それがゆえ、非常にマニアックでニッチ(言葉は悪いが)なアルバムが誕生したと言える。その一方で、音楽ファンに新しい指針を示唆してくれていることも事実だろう。

 

そして「プロセスを重視する」という指針は、「Building 500」、「Blood On The Boulders」に色濃く反映されている。ベースラインとギターラインのバランスを図ったサウンドは、従来のスクイッドの楽曲よりも研ぎ澄まされた印象もあり、尚且つ、即興演奏の側面が強調されたという印象もある。いずれにしても、ジャジーな印象を放つロックソングは、彼等がジャズとロックの融合という新しい節目に差し掛かったことを意味している、というように私自身は考えた。


続く「Blood On The Boulders」では、ダークな音楽性を通して、アヴァンギャルドなアートロックへと転じている。ハープシコードの音色を彷彿とさせるシンセのトリルの進行の中で、従来から培われたポストパンクというジャンルのコアの部分を洗い出す。この曲の中では、女性ボーカルのゲスト参加や、サッドコアやスロウコアのオルタネイトな性質を突き出して、そしてまるで感情の上がり下がりを的確に表現するかのように、静と動という二つのダイナミクスの変遷を通じて、スクイッドのオリジナルのサウンドを構築するべく奮闘している。まるでそれは、バンド全体に通底する”内的な奮闘の様子”を収めたかのようで、独特な緊張感を放つ。また、いっとき封印したかと思えたジャッジのシャウトも断片的に登場することもあり、これまで禁則的な法則を重視していたバンドは、もはやタブーのような局面を設けなくなっている。これが実際的な曲の印象とは裏腹に、何か心がスッとするような快感をもたらすこともある。

 

 

同じように、連曲の構成を持つ「Fieldworks Ⅰ、Ⅱ」では、ハープシコードの音色を用い、ジャズ、クラシックとロックが共存する余地があるのかを試している。もっとも、こういった試みが出来るというのがスクイッドの音楽的な観念が円熟期に達しつつある証拠で、アンサンブルとしての演奏技術の高いから、技巧的な試みも実践出来る。しかし、必ずしも彼等が技巧派やスノビズムにかぶれているというわけではない。


例えば、「Ⅰ」では、ボーカルそのものはスポークワンドに近く、一見すると、回りくどい表現のように思えるが、ハープシコードの対旋律的な音の配置を行い、その中でポピュラーソングやフォーク・ソングを組み立てるというチャレンジが行われている。そして「Ⅰ」の後半部では、シンセによるストリングスと音楽的な抑揚が同調するようにして、フィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」のオーケストラストリングを用いて、息を飲むような美しい瞬間がたちあらわれる。この曲では必ずしも自己満足的なサウンドに陥っていないことがわかる。ある意味では、音楽のエンターテインメント性を強調づけるムーブメントがたちあらわれる。

 

また、「Ⅱ」の方では、バンドによるリズムの実験が行われる。クリック音(メトロノーム)をベースにして、リズムから音楽全体を組み上げていくという手法である。また、その中にはジャズ的なスケール進行から音楽的な細部を抽出するというスタイルも含まれている。一つの枠組みのようなものを決めておいて、そのなかでバンドメンバーがそれぞれ自由な音楽的表現を実践するという形式をスクイッドは強調している。それらがグラスやライヒのミニマリズムと融合したという形である。それが最終的にはロックという視点からどのように構築されるかを試み、終盤に音量的なダイナミクスを設け、プログレやロック・オペラの次世代にあるUKミュージックを構築しようというのである。試みはすべてが上手くいったかはわからないけれども、こういったチャレンジ精神を失えば、音楽表現そのものがやせほそる要因ともなりえる。

 

以後、楽曲自体は、聞きやすい曲と手強い曲が交互に収録されている。「Co-Magnon Man」ではロックバンドとしてのセリエリズムに挑戦し、その中でゲストボーカルとのデュエットというポピュラーなポイントを設けている。シュトックハウゼンのような原始的な電子音楽の醍醐味に加えて、明確に言えば、調性を避けた十二音技法の範疇にある技法が取り入れられるが、一方で、後半では珍しくポップパンクに依拠したようなサビの箇所が登場する。明確にはセリエリズムといえるのか微妙なところで、オリヴィエ・メシアンのような「調性の中で展開される無調」(反復的な楽節の連続を通して「調性転回」の技法を用いるクラシック音楽の作曲方法で ''Sequence''と言う)というのが、スクイッドの包括的なサウンドの核心にあるのだろう。これらの実験音楽の中にあるポップネスというのが、今後のバンドのテーマになりそうな予感だ。また、ギターロックとして聞かせる曲もあり、タイトル曲「Cowards」はそれに該当する。ここでは、本作のなかで唯一、ホーンセクション(金管楽器)が登場し、バンドサウンドの中で鳴り響く。アメリカン・フットボールの系譜にあるエモソングとしても楽しめるかもしれない。

 

どうやら、アルバムの中には、UKの近年のポストロックやポストパンクシーンをリアルタイムに見てきた彼等にしか制作しえない楽曲も存在する。「Showtime!」は、最初期のBlack Midiのポスト・インダストリアルのサウンドを彷彿とさせ、イントロの簡潔な決めとブレイクの後、ドラムを中心としたスムーズな曲が繰り広げられる。そして、アルバムの序盤から聴いていくと、観念から離れ、現在にあることを楽しむという深い主題も見いだせる。そのとき、スクイッドのメンバーは、おそれや不安、緊張から離れ、本来の素晴らしい感覚に戻り、そして心から音楽を楽しもうという、おそらく彼等が最初にバンドを始めた頃の年代の立ち位置に戻る。


アルバムの最後では、彼等のジャンルの括りを離れて、音楽の本質や核心に迫っていく。ある意味では、積み上げていったものや蓄積されたものが、ある時期に沸点のような瞬間を迎え、それが瓦解し、最終的には理想的な音楽に立ち返る。その瞬間、彼等はアートロックバンドではなくなり、もちろんポストパンクバンドでもなくなる。しかし、それは同時に、心から音楽をやるということを楽しむようになる瞬間だ。「Cowards」は、音楽的に苦しみに苦しみ抜いた結果にもたらされた清々しい感覚、そして、次なるジャイアント・ステップへの布石なのである。

 

 

 

 

 82/100

 

 

Best Track 「Blood On The Boulders」

©Anaïs Ramos


カナダの注目のシンガーソングライター、Helena Deland(ヘレナ・デランド)は、同地のアートポップシーンで存在感を放っている。

 

ヘレナ・デランドは「Altogether Unaccompanied」と銘打たれたシリーズを四作発表しているが、その第5弾として、2曲の新曲「Silver and Red」と「Bigger Pieces」を同時に発表した。

 

特に「Silver and Red」の方は短いエレメントであるが、ローファイなインディーフォークソングで良い雰囲気を醸し出している。さらにもう一曲は、アナログなオルトポップでカナダのシンディー・リーのようなベースメントの音楽性を吸収している。いずれもフォーク・ミュージックがベースにある。

 

「Silver and Red」には、ニック・アーサーが撮影したミュージックビデオも収録されている。2曲とも下記からチェックしてみてください。


「2017年、ファースト・アルバムになると思ってレコーディングを終えたとき、私は雑多な曲の束に直面しました」とデランドは声明で説明した。「私はそれらを期待されたフォーマットにくねくねさせる代わりに、Altogether Unaccompanied, volumes I-IVと呼ばれる一連の短いEPとしてリリースした。このシリーズは、アルバムに収録されなかった曲や、多かれ少なかれ無伴奏で単独で存在しているような曲を共有するための、オープンエンドな場所となっている」

 


「Silver and Red」
 

 

 

「Bigger Pieces」

 

 

 

【Helena Deland】 

 

ヘレナ・デランドはカナダのシンガーソングライター。これまでに5枚のEPをリリースしている。『 Drawing Room』(2016年)、『From the Series of Songs 「Altogether Unaccompanied」 Vol.I, II, III & IV』(2018年)は彼女が作詞・作曲したもの。2020年10月15日に1stフルアルバム『Someone New』をリリース。

 

セカンド・フル・アルバム『おやすみサマーランド』は2023年10月13日にリリースされた。デランドは現在、世界ではルミネール・レコーディングス(ゴリラ VS ベア&ファット・ポッサム・レコードが設立したレーベル)、カナダではチヴィ・チヴィと契約している。キャリア初期からカナダ、アメリカ、ヨーロッパでコンスタントにツアーを行っている