モントリオールのアーティスト、Thanya Iyer(ターニャ・アイヤー)は、3枚目のフルアルバム『TIDE/TIED』を発表した。本作はトップシェルフから4月30日に発売される。


バロック・ポップ、フォーク、ジャズ、アンビエント・ミュージックなどの要素を取り入れたアーティストで、リード・シングルの "Low Tides "では、それらすべての断片を聴くことができる。


「"Low tides "は、停滞や麻痺、絶望に溺れ、夢見る力を失ってしまうような空間を邁進すること、そして同時に、前に進むために必要な静かな強さ、希望、信頼を持ち続けることについて歌っている」とターニャは言う。アルバムのアートワークに描かれた絵について、彼女はこう付け加えた。


安堵、変容、解放、破壊と再生が絡み合っている。この炎は、悲しみ、慢性的な痛み、世代間のトラウマ、不協和音の世界で生きることの重みなど、私たちが目に見えるもの、目に見えないもの、すべてを背負っていることを表している。しかし、開かれた腕は、信頼と降伏を体現している。潮が満ち、私たち自身とコミュニティの中に、変容と癒しの衝突をもたらすという平和的な信念である。


モントリオールのアーティスト、タンヤ・アイヤーは、3枚目のフルアルバム『TIDE/TIED』で、2ndアルバム『KIND』のフューチャー・フォークのデザインを、ジャズを取り入れたポップとアンサンブルのアンビエンスでさらに発展させた。


『KIND』でアイヤーがより個人的な自己愛の旅を探求したのに対し、『TIDE/TIED』では、彼女と彼女のバンド、そしてゲスト・ミュージシャンたちが、植民地的で資本主義的な世界に生きる不協和音の解毒剤として、集団的なケアと共同体的な癒しを重視し、新たな動き方に乗り出す。


12曲にわたって、アイヤーは歌、シンセレイヤー、ストリングス、ループ物質を交互に演奏し、パーカッショニスト、ダニエル・ジェリナスの瞑想的なドラミングやマルチ・インストゥルメンタリスト、ポンペイの冒険的なアレンジメントと交錯する。


経験豊富なプロデューサーであるジェリナスとポンペイは、深い共同作業を通じて、アイヤーの鋭い音楽的ビジョンに導かれながら、創作プロセスへの集団的なアプローチを維持しつつ、『TIDE/TIED』のパワフルで複雑な世界観を作り上げた。

 

 

「Low tides」

 

 

 

Tanya Iyer 『TIDE/TIED』

 


 

Label: Topshelf

Release: 2025年4月30日

 

Tracklist:

 

1. I am here now

2. What can we grow that we can’t see from here

3. Low Tides

4. High Tides

5. Doctor

6. Where does that energy go

7. When you’re underwater, be brave

8. I am a mountain (make sure you don’t move)

9. I am a mountain (don’t be afraid)

10. Wash it all away

11. I can’t call you anymore

12. Waves-Hold-Tied

 

 

カルフォルニアの高名なシンガーソングライター、Levi Robin(リーバイ・ロビン)のシングル「Whole as a Broken Heart」をリリースした。リーヴァイはこれまで100万回以上のストリーミングを記録し、世界中にファンを獲得している。また、レゲエ歌手マティスヤフの前座を務めたこともある。

 

このシングルは、豊かで痛烈なハーモニーとゆったりとした楽器の調べに照らされた、心を揺さぶるような見事なヴォーカルが特徴で、カタルシスと説得力のある一曲となっている。

 

レヴィはコッツクとゾハールの精神的巨匠メナケム・メンデルの知恵にインスパイアされたという。そして、新曲は闇や傷つくということから前向きな意味を見出すというテーマが含まれている。

 

「『傷ついた心ほど完全なものはない』『大きな闇から生まれる光のようなものはない』」とレヴィは打ち明ける。

 

「私の人生において、苦いものや傷ついたものを引き受けることを自分に許し、謙虚な降伏のうちに心の壁を壊させるとき、苦いものが甘美なものに変わり、傷ついたものが肥沃な土壌に変わる。これは、ありのままのあなたで、傷ついた心を丸ごと持って来なさい、という招待状だと思ってください」



リーバイ・ロビンの探求と好奇心の旅は、彼を様々な道へと導いてきた。魂を剥き出しにしたフォーク・アーティストの独特な音楽スタイルは、深く個人的で変容的な歌詞と感情を揺さぶるヴォーカルを組み合わせ、意味とつながりに満ちたサウンドを生み出している。



カリフォルニア州オレンジ郡で育ったリーヴァイは、10代の頃、彼や多くの人が 「ベルトコンベアー式の学校システム」と表現する全般的な教育の構造に深い疑念を抱くようになった。背中のシャツとギターしかなかった彼は、別の道、つまり音楽の道に踏み出した。家出から東洋のスピリチュアリティとの出会い、サイケデリアから自分自身の古代ユダヤ教的ルーツの発掘まで、ソングライティングはユニークに統合する不変のものだった」とリーヴァイは打ち明ける。 

 

ソングライティングは、彼の心の奥底にある感情をメロディと詩へと変換するパワフルな方法となった。バッハ、ストラヴィンスキー、ミンガス、ヘンドリックス、ディラン、ベック、ガイ、ディアンジェロ、レディオヘッドなど、多彩なアーティストからインスピレーションを得て、リーバイ・ロビンは独自のマインドフルでジャンルを超越した音楽作品を生み出している。



このアーティストが最初に注目を集めたのは2014年、セルフタイトルのデビューEPのリリースと続くマティスヤフとのツアーだった。以来、シングルやアルバムを次々と発表し、100万回以上のストリーミングを記録、世界中にファンを獲得。2023年、リーヴァイはあるコンサートでプロデューサーのヨエル・クライスラー、通称「フレイムス」と出会い、セレンディピティな瞬間を経験した。その瞬間から、彼は瞬く間に、そして即座に、音楽への情熱と情熱に火がついた。

 



「Whole as a Broken Heart」

 

 

 
A
cclaimed California singer-songwriter Levi Robin has released his single “Whole as a Broken Heart”.

The single features hauntingly stunning vocals illuminated by rich, poignant harmonies and slow-burning instrumentation for a cathartic and compelling listen. Inspired by the wisdom of spiritual master Menachem Mendel of Kotzk and Zohar, Levi confides, “‘There's nothing so whole as a broken heart’ and ‘there is no light like that which comes from great darkness’. In my life, I've seen that when I allow myself to take on the bitter and broken, letting the walls of my heart break in humble surrender, then the bitter turns to sweet, and the brokenness turns into fertile soil, in which  ‘those who sow in tears will reap in joy’. Consider this an invitation, to come as you are, whole as a broken heart.”

Levi Robin's journey of exploration and curiosity has taken him down many roads. The soul-baring folk artist’s distinctive musical style combines deeply personal and transformative lyrics with emotive stirring vocals, creating a sound that is filled with meaning and connection.

Growing up in Orange County, California, as a teenager Levi became deeply dissatisfied with what he and many describe as “the conveyor belt trajectory of the school system.” With nothing but a shirt on his back and guitar in hand, he took a chance on a different path - a musical one. Levi confides, “From being a runaway to encountering eastern spirituality, from psychedelia to unearthing my own ancient Judaic roots, songwriting has been a uniquely integrating constant.”  Songwriting became a powerful way to translate his deepest feelings into melody and verse. Taking inspiration from an eclectic array of artists including Bach, Stravinski, Mingus, Hendrix, Dylan, Beck, Gaye, D'Angelo and Radiohead, and more, Levi Robin creates his own mindful and genre-defying musical releases.

The artist first attracted attention in 2014, with the release of his debut self-titled EP as well as his subsequent tour with Matisyahu. Since then, he has shared a series of singles and albums, racking up over a million streams, garnering him a fanbase worldwide. In 2023, Levi experienced a serendipitous moment when he met producer Yoel Kreisler, aka 'FRAYMES', at one of his concerts. Sparking up an instant and immediate creative connection and friendship, the duo entered the studio. He shares, “We started trading music and influences, and began conceptualizing new ways of approaching recording this new music.” The result and first taste of this new collaboration is the single “Whole As A Broken Heart”.

The new single “Whole As A Broken Heart” features hauntingly stunning vocals illuminated by rich, poignant harmonies and slow-burning instrumentation for a cathartic and compelling listen. Inspired by the wisdom of  spiritual master Menachem Mendel of Kotzk and Zohar, Levi confides, “‘There's nothing so whole as a broken heart’ and ‘there is no light like that which comes from great darkness’. In my life, I've seen that when I allow myself to take on the bitter and broken, letting the walls of my heart break in humble surrender, then the bitter turns to sweet, and the brokenness turns into fertile soil, in which  ‘those who sow in tears will reap in joy’. Consider this an invitation, to come as you are, whole as a broken heart.”

Little Simz

 

グラストンベリー2024の出演を経て、UKヒップホップ界のスーパースターが帰ってくる。本日、Little Simz(リトル・シムズ)は5月9日にAWAL Recordingsからリリースされる6枚目のフルアルバム『Lotus』を発表した。『Lotus』は2025年上半期の最大の注目作/問題作となりそうだ。

 

さらに、ナイジェリアのシンガー、Obongjayar(オボンジャヤー)と南アフリカのポップスター、Moonchild Sanelly(ムーンチャイルド・サネリー)をフィーチャーした衝撃的なファーストシングル「Flood」を公開した。


アルバムからの先行シングル「Flood」の轟くドラムのビートは、リトル・シムズの大胆な新章をスタートさせる。 彼女は激しくハスキーな唸り声で歌い上げるが、それ自体がひとつの楽器であり、トラックの容赦ないグルーヴとともに形を変えていく。 マイルズ・クリントン・ジェイムズの没入感のあるプロダクションに導かれた "Flood "は、長年のコラボレーターであるオボンジャヤーと、衝撃的なムーンチャイルド・サネリーという2人の特異な歌声も融合している。 


有名な映像作家サロモン・リグテルムが監督した "Flood "の幻想的なビデオは、ロータスの映像世界への強力な入口となる。この新たなエキサイティングなフィーチャリングで、ムーンチャイルド・サネリーは、2024年と2025年の両方を彼女が担っていることを再び証明している。  


サウスバンク・センターはこのほど、第30回目となる現代音楽フェスティバル「メルトダウン」のキュレーターにリトル・シムズを起用することを発表した。 世界で最も有名なアーティストを含む過去のキュレーター・リストに加わったシムズは、6月12日から22日までの11日間、フェスティバルの境界を打ち破るラインナップをキュレートする。


 

「Flood」- Best New Tracks




Little SImz 『Lotus』

Label: AWAL

Release: 2025年5月9日


*トラックリストは未公開


・Moonchil Sanelly (Collaborator)

Obongjayar/Moonchild Sanelly


昨年の夏には、高名なアーティスト、セルフ・エスティームとのコラボ曲『Big Man』をリリースし、ガーディアン紙で「2024年夏のソング・オブ・ザ・サマー」と評された。この曲は、「アルト・ポップの未来のスーパースター」がタッグを組み、「ビッグで、浮き立つような、ボールバスター...」となった。ムーンチャイルドは2025年、待望のサード・スタジオ・アルバム『Full Moon』をTransgressiveからリリースした。 現在発売中! 試聴はこちらから。

 

『Full Moon』は、ムーンチャイルド・サネリーの叙情的な才能と解放的なエネルギーを示す、自称音楽の変幻自在のサード・スタジオ・アルバムである。 マラウイ、イギリス、スウェーデンでレコーディングされ、ヨハン・ヒューゴ(Self Esteem、MIA、Kano)がプロデュースした本作は、サネリーのユニークなサウンド、陽気なアティチュード、個性的なヴォーカル、ジャンルを超えたヒットメーカーとしての才能を披露する12曲のトラックで構成されている。 


エレクトロニック、アフロ・パンク、エッジの効いたポップ、クワイト、ヒップホップの感性の間を揺れ動くFull Moonのクラブ・レディーなビートは、Do My Dance、Scrambled Eggs、To Kill a Single Girl (Tequila)、Big Bootyといったトラックを収録している。


ムーンチャイルドは、5月にファースト・シングルで "大胆なアンセム"[CLASH] Scrambled Eggsをリリースし、さらに2枚のシングルSweet & Savage(COLORSxSTUDIOSの独占ショーで初披露)と、"感染力のある毒舌ヒット"[DIY] Big Bootyで、グラストンベリーでの10公演を含むヨーロッパ中のフェスティバルの観客を沸かせた。 アルバム・トラックGwara Gwaraは、EA Sports FC25サウンドトラックに収録されている。 


最近のシングル『Do My Dance』では、この先駆的な南アフリカのゲットー・ファンク・スーパースターが、フルムーンの幅の広さ、広さ、野心をさらに明らかにしている。 ハイ・オクタンシーでアンセミックなこの曲は、スタイルやテンポを越えて跳ね回り、ハッピー・ハードコア・ビートに支えられた速射砲のような節回しから、明るく大胆なシンガロング・コーラスへと突入する。 ムーンチャイルドが『Later... with Jools Holland』で『Do My Dance』を披露する様子はこちらから。

 

 

 毎年8月16日から17日にかけて、東京(ゾゾマリンスタジアム・幕張メッセ)/大阪(万博記念公園)で開催される日本最大級の音楽の祭典、サマーソニックの第二弾ラインナップが本日公表されました。

 

 先週、Fall Out Boy,Official髭男dismの出演決定に続いて、総勢16組の豪華アーティスト/グループの出演が決定しました。注目のアクトは、Camila Cabello,aespa、ちゃんみな、Baby Metal、Beabadoobee。さらに日本にルーツを持つロンドンのインディーポップシーンで存在感を持つWalliceなど注目のアーティストが目白押しとなっています。詳細は下記の通りです。

 

ーーキースの死を乗り越え再始動したジャンルを超越したダンスロックの最高峰、THE PRODIGY(東京公演のみ)が遂にサマソニに帰ってきます。



 世界的ガールズ・グループ、フィフス・ハーモニーの一員として大ブレイクを果たし、ソロデビュー後も活躍を続けるポップアイコン、CAMILA CABELLO、昨年日本デビューを果たした今最も注目されるグローバルグループaespaがサマソニ東京に、そして 国内外から注目を集める日本語、韓国語、英語を巧みに操るトリリンガルラッパー/シンガーちゃんみながサマソニ大阪に決定。世界中でヒットを連発するラテン・アーティストJ BALVIN、Gen-Zのみならず全世代に支持されるシンガーソングライター、BEABADOOBEEらが各ステージの中核を担います。

 

 海外でもアリーナツアーを成功させるなど、もはや世界的メタルバンドとなったBABYMETAL、名盤『サイレント・アラーム』の20周年記念ツアーを敢行中の2000年代のUKロックを代表するバンドBLOC PARTY、KAWAII×超絶テク圧倒的存在感を放つジャズシーンの新星DOMi & JD BECK、カナダ出身のマルチ・プラチナム・ポップアーティストELIJAH WOODS、トラディショナルR&Bを現代サウンドへと昇華させるNY出身のクインテットINFINITY SONG、昨年の単独公演でも成功を収めた英国が誇るR&B界の至宝JORJA SMITH、6つの違う都市から集結した多種多様なメンバーによって結成された注目のガールズ・グループKATSEYE(キャッツアイ)、4月に日本武道館公演を行う音楽シーンの新世代アイコンLANA、2月の単独来日も記憶に新しい天才プロデューサー/クリエイターPORTER ROBINSON、THE 1975擁する人気レーベル Dirty Hit からデビューしたシンガーソングライターWALLICEが決定しました。 ーー


 サマーソニック 2025の詳細につきましてはクリエイティブマンの公式ホームページをご確認下さい。クリエイティブマンの代表、清水直樹氏の公式コメントは以下の通りです。

 

▪Summer Sonic 2025 Flyer



ーーコロナ禍を乗り越えて復活した22年から3年連続で完売を続けるサマーソニック。

 

 大阪は新天地の万博記念公園に移転しての開催も大好評を博し、25年の今年も国内外のアーティストとオーディエンスが集う真夏のパーティーが帰ってきます。

 

 Green Dayの6万人完売の日本ツアーに呼応するかのように、先週Fall Out BoyとOfficial髭男dismが発表されて、今回さらにThe Prodigy、Camila Cabello、aespa、ちゃんみなを筆頭に16組が追加されフェスの骨格も徐々に明らかになってきました。そして3月の第2週にはもう1つのヘッドライナーを出し、第3週目にはソニックマニアの発表と遅くなった分慌ただしく攻めていきます。

 

 サマーソニックはオーディエンスの声をしっかりと聞き、反省と改革を繰り返すフェスです。

 

 昨年、東京はスタジアムへの水以外のスポーツドリンクの持ち込み許可をもらい、Water Stationも至る場所に設置しました。最も快適なフェスを目指しメッセのインドアでの心地よさを追求して、ビーチをよりコンセプチュアルで開放的なエリアにします。大阪も万博記念公園というシンボリックで最高なスペースの下で、さらに自由に羽ばたいてくれる事でしょう。

 

 24年目に突入して、またどんなドラマが生まれるのでしょうか。RadioheadやGreen Dayをはじめ多くの先駆者が作り上げた歴史に、The 1975やMåneskinなど新たなヒーローも誕生してきました。



 音楽を愛するあなたにとって、東京と大阪の2大エリアがこの2日間は最高のアミューズメントパークに変貌します。サマーソニックで真夏を楽しんでください。ーークリエイティブマン代表 清水直樹

 


マルチ・インストゥルメンタリストのモーガン・モリスと作詞家のヴェリティ・スランゲン(別名ノー・ウィンドウズ)がニューEP『The Great Traitor』を発表した。リードシングル「Return」がリードシングルとして配信された。

 

このニューシングルは、16歳のベリティ・スランゲンの視点から書かれたもので、自閉症を理解し、学校ではいつもぎこちなく、居場所がないと感じている。 「この曲について彼女はこう語る。 「ライブで歌うと、すごく感情がこもっている。実際に書いていたら、もっと悲しくて穏やかな曲になっていたかもしれない」


今度のリリースは、2024年のEP『Point Nemo』に続く。 アリ・チャント(Dry Cleaning, Sorry, Yard Act)をプロデューサーに迎え、モーガンのDIYベッドルームからスタジオに移ってレコーディングを行なった。


『The Great Traitor』は、バンドとしても個人としても、ノー・ウィンドーズの過渡期を象徴している。 モーガンが大学中退を決意し、ヴェリティが大学に入学したばかりで、そこでの生活に適応している最中に、この曲は生まれた。


ふたりにとって、2024年は特に "思春期から大人への移行期のように感じられた"。 このEPは、開花したインストゥルメンタルと感情的なニュアンスにそれを反映している。 「Point Nemoの歌詞を書いたとき、私はまだティーンエイジャーで、ホルモンの分泌が活発だった。 このEPは、そこから少し抜け出したものだと思う」とヴェリティは言う。 「私にとっては、若い頃の自分と、もう少し物事を理解するようになった20代の自分との間の媒介なの」


No Windowsの『The Great Traitor』は5月9日にFat Possum Recordsからリリースされる。

 

 

 「Return」

 

 

 

 No Windows『The Great Traitor』


 Label: Fat Possum

Release: 2025年5月9日

Tracklist:

 

1.Brown Bear
2.Return
3.Tricky
4.Sugarcoat
5.Old Chain Pier
6.Easter Island
7.Zodiac 13
8.Bicycle
9.Fibbs
10.Small Flashing Light
11.Song 01

 Saya Gray 『Saya』

Label:Dirty Hit

Release: 2025年2月21日


 

Review

 

サヤ・グレイの記念すべきデビューアルバムの制作は2023年の日本への旅行が一つの契機となっている。もちろん、日本人のルーツを持つシンガーにとって、大きな意味を持つトリップになったに違いない。グレイは、EP作品において独創的なソングライティングや演奏、ボーカルを披露してきた。考えようによっては、少し移り気のある音楽性、どこに行くかわからない見ていてハラハラするシンガーソングライターである。このアルバムはレッド・ツェッペリン、ジョニ・ミッチェル、ビートルズといった彼女が愛してやまぬアーティストへのリスペクト代わりでもある。「Qwenty」シリーズでは気鋭のエレクトロニックプロデューサーとして、あるいはプログレッシヴロックやハードロック好きの意外な一面が伺えたが、デビューアルバムではそれらの中間点を行く音楽性が顕著である。つまり、ソングライティングや曲構成において非常にバランスの取れた内容となっている。従来の作品よりも聞きやすさがあるはずである。

 

 

インディーポップからダンス、ロック、ジャズ、ソウル、他にも広汎な音楽的な知識を伺わせるサヤ・グレイはデビュー作において、クワイアとエレクトロニックの融合、ネオソウルのポップ風のアレンジ、そして従来としては珍しくアメリカーナへの音楽的な言及も見出せる。グレイのソングライティングは基本的にはBon Iver、The Vernon Spring以降のコラージュのサウンド、サンプリング的な組み合わせが中心となっている。前作の「Qwenty」シリーズでは他の媒体からのサンプリングや自身のボーカルやギターの録音のリサンプリングなどが刺激的な楽曲として組み上げられていたが、依然としてデビュー・アルバムでもこれらのカットアップ・コラージュ、クラシック風に言えばミュージック・コンクレートの要素が楽曲の中心となっている。

 

これらの制作スタイルは例えば、JPEGMAFIAのようなラッパーが新しいヒップホップ、アブストラクト・ヒップホップの領域で実験的に導入しているが、それらをインディーズ系のポピュラーでやろうと試みているのがサヤ・グレイだ。こういったコラージュサウンドは、一般的に見ると、豊富な音楽的な知識が必要で、生半可に手を出すとダサいサウンドに陥るかも知れない。ある意味、ミュージシャンとしての自負が必要であり、自分が最もクールな音楽を知っているという強固な自意識が必要になってくる。そしてそれらを実現させるための高い演奏技術、ボーカルのセンス、全般的な音楽のディレクションなど、プロデューサー的な才能も必要になってくる。素人が手を出すような音楽ではなく、それ以前にジャズやクラシック、もしくはポピュラーやロックバンドで相当な経験を積まないと、洗練された作品を創り出すことはむつかしい。

 

一、二年前にはこのシンガーソングライター/作曲家が天才的な才覚を持つことに気がついていたが、それはある意味では無謀ともいうべき音楽の過剰な情報量と末恐ろしいようなインパクトが込められているのを感じたからである。このデビューアルバムでは過剰さや余剰の部分は削ぎ落とされ、フラットな音楽が出来上がったと言えようが、これはアーティスト自身がカルト的なポップシンガーの領域に収まりたくないという隠れた欲求を持っているからなのだろう。結果的にバランスの取れたインディーポップソングが収録されている。「Qwenty」シリーズほどの強烈さはないし、音楽的に散漫になるときやAIっぽい音楽すら登場するが、それもある意味では狙ってやっている部分があるのではないかと思う。半ば計算づくといったアルバムである。

 

 

サヤ・グレイの音楽は、枠組みや構成、もしくは前例といった既存の概念から読み解いても無駄である。また、他のミュージシャンがこの人の音楽を真似しようとしても徒労に終わる。それどころか、自分の不甲斐なさに愕然とするかもしれない。サヤ・グレイの音楽はきわめて感覚的なので、論理的な分析を行うのは無粋となるだろう。例えば、ロンドンのNilfur Yanyaはなんとなく良い感じの音楽を作っていると言っていたが、グレイの曲もまたそれに近い趣きがある。自分の感情やインスピレーション、それは絵画のスケッチや詩の断片のようなものをコラージュのように組み合わせていったらこうなったという感じかもしれない。だから他の人には作ることもできなければ模倣することもできない。なおかつ解釈次第では、音楽というリベラルアーツの記憶の集積、つまりダニエル・ロパティンの『Again』もそのような感じがあったのだが、制作者が見てきたもの、体験したもの、出来事に対する心の機微、そういった目に映らない要素の集積や積み重ねの作品といえるかもしれない。だから、音楽は一定ではなく、形態のようなものを持つことなく、ランタイムごとに音楽の表情がくるくると変わっていく。これは音楽を聞くというより、ある種のバーチャルな体験のような意味を持つ。だから決まった法則のようなものはない。聞き手側が自由に発想をふくらますことが出来るアルバムなのである。

 

その中にはクワイアとエレクトロニックやダンスを結びつけたもの、フォークやカントリーからの引用、ハードロックやベタなロックからの影響、アヴァンジャズの進行、もしくは遠くに鳴り響く日本的な音楽(これは制作者にとってエキゾチズムそのものである)が組み合わされ、オリジナリティの高い音楽が作り上げられる。ただ、映画のシークエンスのような興趣を持つインタリュードも収録されているとはいえ、表向きにはフォークミュージックの要素が強い。Big Thiefのようなインディーのモダンからの影響を基にし、それらをロンドン風のインディーポップソング(クロスオーバー化したポップソング)に落とし込む手腕はさすがと言うしかない。


例えば、アルバムの二曲目「SHELL」、そしてアルバムの終盤に収録されている「H.B.W」がこれに該当するかもしれない。その他の曲は多くがハイパーポップやエクスペリメンタルポップを通じた音楽家のアヴァンチュールの表れである。日本的な概念はかなり薄いというか、ほとんどないと思う。たぶん来日した時にアーティストが日本からかなり遠ざかったことを実感したものと思われる。しかし、その反面、逆説的になってしまうが、歌手の郷愁のような響きをこのアルバムのどこかに発見出来たとしてもそれは偶然ではないのである。

 

 

74/100

 

 

 

 「H.B.W」


 

シカゴのロックバンド、Smutがニューシングル「Dead Air」をリリース。2022年のアルバム『How The Light Feel』に続く待望の新曲だ。年々、クロスオーバー化やハイブリット化が進み、ストレートなロックバンドが減少しつつあるが、Smutはロックの本来の楽しみを追求し続ける。

 

Smutは、作曲家/作詞家のテイ・ローバック、ギタリストのアンディ・ミンとサム・ラシュマン、ドラマーのエイダン・オコナー、ベーシストのジョン・スタイナーによるプロジェクトである。

 

バンドは10年前、オハイオ州シンシナティで活動をスタートした。彼らは現在、音楽制作に最適な街シカゴにいる。そこで彼らは、Bayonet Recordのフルレングス・デビュー作『How the Light Felt』を制作した。彼らはそれに続くニューシングル 「Dead Air 」をリリースした。この曲は、Smutのラインナップに新しく加わったスタイナーと一緒にリリースした最初の曲である。



「Dead Air」を書き始めたとき、Smutはロックなものを作りたかった。聴いて楽しいのと同じくらい、作って楽しいものを作りたかった。マイ・ケミカル・ロマンスやメトリック、グリーン・デイやザ・フォールに影響を受けた。

 

「骨太なクラシック」とメタル・リフをポップな文脈にねじ込んだ。クリスタルのようなギター、秋空のようなクリスプなベースで始まり、ローバックのヴォーカルが入る。彼女はエリザベス・フレイザーのようだが、ロックンロールで、ハニーでドリーミーなボーカルからポップパンクの叫び声へと変化する。

 

この曲は、バンドがソロと共作で作った歌詞とリフをフランケンシュタイン風につなぎ合わせたものだ。歌詞は、別れの歌であり、人間関係の終わりと変化について。「あなたが永遠と言うのを聞いた」とテイ・ローバックは歌う。


この曲をこれほどエキサイティングなものにしている理由は、バンドがこの新しい反復に取り組むことにどれほど興奮しているかということ。

 

「今の私たちはエネルギーに満ち溢れている」とローバックは言う。レコーディングするため、彼らはニューヨークへ赴き、アーロン・コバヤシ=リッチ(Mommaのベース/プロデューサー)のスタジオで仕事をした。ニューヨークに行く直前に、ローバックとミンは結婚している。

 

レコーディング中、バンドはできるかぎり音楽を楽しむことに集中した(あまりの楽しさに、ローバックは最後までレモンと蜂蜜とお湯を一気飲みし、声を完全に枯らしていたほどだったという)。彼らは友人のソファーや床で眠った。スマットはいつもDIYなバンドである。彼らは一緒に仕事をするのが好き。「Dead Air」はコラボレーションの産物だ。ロックソングへの普遍的な愛が主題となっている。そして、仲間と一緒にロックを楽しむことを端的に表現している。



 

 

ジェニー・フヴァル(Jenny Hval)は、4ADからリリースされるニューアルバム『Iris Silver Mist』を発表した。 これは2022年の『Classic Objects』に続くアルバムで、モーリス・ルーセルがセルジュ・ルタンスに提供したフレグランスにちなんで名付けられた。 


アイリス・シルバーミストは、音楽から始まるのではなく、音楽の不在から始まった。 パンデミックによってライブ・ミュージックがなくなり、タバコや石鹸の匂い、暖かいステージの照明や共有のバスルームから出る汗の匂いは、自宅で聴く非物理的でアルゴリズム的なリスニングに取って代わられた。 

 

突然、そして10代の頃以来初めて、フヴァルは香水に興味を持つようになった。 香りを嗅ぎ、本を読み、収集し、文章を書く......。彼女は音楽に没頭する一方で、香りに没頭した。 何が起きているのか理解するのに1年かかった。 音楽が空白と化したその場所を、彼女は香りで満たした。


最初のシングルは「To be a rose」で、ミニマルでパーカッシブなサウンドから瑞々しいサウンドへと変化していく。 

 

ジェニー・フヴァルは「落ち着きのないポップな構成として書かれた」と言う。 コーラスがあり、コードとメロディーがあるが、それぞれのコーラスが微妙に違って聞こえる。まるで違う季節、違う年代、あるいは違う身体からメロディーを聴いているようだ。 曲中の陳腐なバラの比喩も同様に落ち着きがない。 それはタバコに形を変え、そして蒸発して煙になる。 母と私(落ち着きのない2人の人間)は、どちらもこの歌の中に存在している。

 

 「私は自分の部屋で歌い、母はバルコニーでタバコを吸い、長く吸って長く吐く。 何かといえば、『バラになるために』は、あるものが別のものになる方法、私たちは皆どこからか、そして誰かから来たのか、そしてそれは私たちが思っている以上に奇妙で力強いものなのだということを歌っている」

 

過去9年間のツアーで撮影され、Jenny Merger Myhreによって編集されたビデオを以下で見ることができる。ジェニー・フヴァルはこの春、ヨーロッパとイギリスでの公演を予定している。


「To be a rose」

 

 

・2nd Single「The artist is absent」



ノルウェーのシンガー、Jenny Hval(ジェニー・フヴァル)が新曲「The artist is absent」を発表した。エレクトロがメインの楽曲であるが、ケミカル・ブラザーズのようなロック的な熱狂が滲む。

 

ジェニー・フヴァルは、ソングライター、パフォーマー、作家というように多岐に亘る分野で活躍し、リエイティブ界で高評価を得ている。 伝説的なレーベル4ADと契約したニューアルバム『Iris Silver Mist』は、フランスの香水メーカー、セルジュ・ルタンスのフレグランスにちなんで名づけられ、同レーベルから5月2日にリリースされる。

 

新曲「The artist is absent」は、「Death of The Author(作家の死)」をソーシャルメディアの情報が氾濫する現在の混沌とした世界に置き換えている。このニューシングルには、エクステンデッド・ミックスが付属している。ジェニー・マーガー・ミーレ監督によるビデオには、ジェニー・フヴァルと長年のコラボレーターであるオルフィー・シュイトが出演している。 

 

 

「The artist is absent」




Jenny Hval – Iris Silver Mist



Label: 4AD

Release: 2025年5月2日

 

Tracklist:

1. Lay down

2. To be a rose

3. I want to start at the beginning

4. All night long

5. Heiner muller

6. You died

7. Spirit mist

8. I don’t know what free is

9. The artist is absent

10. Huffing my arm

11. The gift

12. A ballad

13. I want the end to sound like this

 

ロンドンのボーカリスト、Hatis Noit(ハチスノイト)の”オーラ・ワークス・シリーズ”は、アメリカ/バルティモアの作曲家Alex Somer(アレックス・ソマーズ)と、彼女の作品「Angelus Novus」の心を揺さぶる再創造を提供する。今回、2年前にリリースされた原曲のリワークが配信された。

 

リワークバージョンはボーカルコラージュやサンプリングを基にした神秘的なテイストを持ち、音楽は生と死の境界を彷徨うかのよう。シンセによるアレンジは賛美歌やレクイエムのような厳かさをトラック全体に及ぼしている。同楽曲はErased Tapesから発売中。ストリーミングはこちら



父が亡くなったとき、私は北海道の雪景色を旅し、父の遺体を確認し、彼の人生の痕跡を探した...それは、私が人生でほとんど知らなかった人の本質を明らかにする孤独な旅だった。

 

その旅の間、ヨンシとアレックスが創り出した『Riceboy Sleeps』の音楽は、単純な悲しみや手に入れられる愛への憧れを超えて、まるで目の前の荒れ狂うホワイトアウトの風景に音楽が呼応するかのように、私を未知の記憶の穏やかな風景へと導いてくれた。

 

それから10年以上が経ち、アレックスに人生の葛藤と癒しの両方を反映した「Angelus Novus」をリワークしてもらったことは、私にとって深い運命的なものを感じる。- ハティスノイト





ボーカルというのは、私たちが持っている楽器の中で最も即効性のあるものだ。 ハティス・ノイトの『Angelus Novus』を初めて聴いたとき、霧のように幾重にも垂れ込める声をフィーチャーしたアウトロに惹かれた。 その世界に住んで、その出発点から新しい曲を作りたいと思った。 

  

原曲のその動きをループさせた後、私はヴォーカルのレイヤーを新しい音の破片に分断する方法を聴き始めた。

 

ボーカルのテクスチャーをすべてコラージュして、再サンプリングし、そこに新しいハーモニーを加え始めた。 やがてヴォーカルのコラージュの下にコードが聴こえるようになったので、環境全体を支える低音域のサブベース・コードのパッセージをゆっくりと書いて録音した。

 

最後に、曲全体を3半音遅くした。 私はヴァリスピードが大好きで、聴き慣れたものから聴き慣れないものへと何かを変化させるお気に入りの方法なんだ。 聴いてくれてありがとう! アレックス・ソマーズ

 

 

 「Angelus Novus」(Alex Somers Rework)

 


 

Lushのミキ・ベレニイを擁するミキ・ベレニイ・トリオ(Miki Berenyi Trio)のデビューアルバム『Tripla』のリリースを発表した。Lushは4ADの90年代の創成期を担った最重要バンドの一つ。

 

待望のデビューアルバムはベラ・ユニオンから4月4日にリリースされる。このトリオは、ミキ・ベレニイ(Lush)、KJ 'ムース'・マキロップ、オリヴァー・チェラーの3人による新たなスタート、新たなラインアップである。

 

このニュースと共に、バンドはリード・シングル「8th Deadly Sin」のために、フランスのディジョンで撮影されたライブ映像とクリス・ビッグによるアートワークを組み合わせたセバスチャン・フェット・ディヴァースによるビデオを公開した。アルバムタイトルは、ミキの父親の母国語であるハンガリー語の「トリプル」にちなんでいる。


ミキ・ベレニイ・トリオは、インディペンデント・ヴェニュー・ウィークの一環としての英国公演、4月のラフトレード店頭公演、4月と5月のヨーロッパツアーなど、今後のライブ日程を発表している。


ベラ・ユニオンのオーナー、サイモン・レイモンドは即座にこの曲をシングルとして選び、ライブで演奏するとまもなく人気を獲得した。この曲には社会的な関心を織り交ぜられ、環境問題だけでなく、戦争や社会的不寛容にも当てはまる人類が破滅に向かって突き進むという私が共感できる哲学が込められている。


『Tripla』は、ベラ・ユニオンのレーベルメイトであるランターンズ・オン・ザ・レイク(Lanterns on The Lake)のポール・グレゴリーがミキシングを担当し、『Piroshka』のスリーブ・デザインを手がけ、ラッシュの全スリーブに貢献したクリス・ビッグがアートワークを担当した。

 

しかし、このアルバムの洗練されたサウンドのため、MB3は基本に立ち返り、自宅でのレコーディングだけでなく、機材を満載した車を運転し、自分たちで会場に出入りしている。「私たちがやっていることには、とても "草の根的 "なものがある」とミキは語る。「アルバムを発表して、ツアーをして、次のアルバムをレコーディングする "というルートをたどることに意味はない」

 

 「8th Deadly Sin」

 

 

 

・「Kinch」


 

4ADの黎明期を担ったシューゲイズ/ドリーム・ポップバンドLUSHの元シンガー/ギタリストが率いるミキ・ベレニイ・トリオは、今週金曜日にデビューアルバム『Tripla』をベラ・ユニオンからリリースする。今回、彼らは4作目のシングル「Kinch」を発表し、北米ツアーの日程も発表した。Sébastien Faits-Diversが監督を務めたこの曲のビデオは、フランスのディジョンで撮影された。


ベレニイはプレスリリースで新曲について次のように語っている。 「この歌詞は、愛と喪失、そしてその人たちが決して自分から離れないこと、そして愛の本質について考えさせられることにインスパイアされている」


LUSHの後、ベレニイはピロシカというバンドにも在籍していたが、このトリオでは、ベレニイの生涯のパートナーであるKJ "ムース "マキロップ(90年代のシューゲイザー、ムースのメンバー)とギタリストのオリヴァー・チェラーという2人のメンバーが彼女のバックを務めている。

 

ミキ・ベレニイ・トリオ(略してMB3)は、ベレニイのソロ・プロジェクトというだけでなく、3人のメンバーによる完全なコラボレーションである。Triplaはハンガリー語で「トリプル」を意味し、ベレニイのハンガリー人の父にちなんで名付けられた。


発売元のベラ・ユニオンは、元コクトー・ツインズのベーシスト、サイモン・レイモンドが設立したレーベルである。


「Kinch」

 

 

Miki Berenyi Trio 『Tripia』- Debut Album




Label: Bella Union

Release: 2025年4月4日 


Tracklist:

1.8th Deadly Sin
2.Kinch
3.Vertigo
4.Gango
5.A Different Girl
6.Big I Am
7.Hurricane
8.Manu
9.Ubique 

 

 

・Debut Single 「Vertigo」

©Vincent Arbelet

4ADに所属していたシューゲイズバンド、LUSHのフロントウーマンであるミキ・ベレニイは、ケヴィン'ムース'マキロップをギター、オリヴァー・シェラーをベースに迎えた新グループ、Miki Berenyi Trioのデビューシングルをリリースしました。「ストリーミングはこちら

 

「Vertigo」はコンソーシアム美術館で撮影されたSébastien Faits-Divers監督によるアーティスティックなミュージックビデオとともに公開されています。以下より映像をご覧ください。


デビューシングルは、ギターロック/シューゲイザー風の音楽性に加えて、打ち込みのドラムがエレクトロニック風のグルーブ感を生み出す。さらに、LUSHのボーカリスト、ミキ・ベレニイの浮遊感のある歌声が独特な世界観を作り出している。ライブセッションの妙を重視し、ギターサウンドのうねりの中で紡がれるベレニイの歌声はエンヤのような清々しさをもたらしています。



この新曲について、バンドは次のように説明しています。「”Vertigo”は不安と、崖っぷちから自分を説得する努力について歌っています。ドラマーがいないこと、プログラミングを多用することはチャレンジなんですが、音楽の本質はギターとメロディにあることに変わりはありません」

 

 

「Vertigo」

 

 


ニューヨーク/クイーンズのプロデューサー、DJ Pyton(ブライアン・ピニェイロ)はダンスホール、レゲトン、デンボウといったジャマイカ発祥のダンスミュージックをダイナミックに鳴らし、新鮮なダンスミュージックを提供する。今回、パイソンはXL Recordingsとの新たな契約を発表。さらに同レーベルから3月28日に発売されるEP「i was put on this earth」の詳細を明らかにした。

 

リードシングル「Besos Robados」は耳の早いクラバーには刺さるものがありそうだ。ホンジュラスのポップ/レゲトン歌手であるイザベラ・ラブストーリーをフィーチャリングしている。ダウンテンポ/ラヴァーズレゲトンの楽曲だが、ボーカルがトロピカル/エキゾチックな雰囲気を放っている。 

 

『i was put on this earth』はDJパイソンのXLからのデビューEPとなる。2002年以来のソロ・リリース。5つのトラックを通して、パイソン(ブライアン・ピニェイロ)はシンガー、プロデューサー、そしてコラボレーターとして、未知の領域へと緩やかに踏み込んでいる。現在ニューヨークとロンドンを行き来するパイソンは、両岸の主要アーティストとクルーアップしている。

 

ホンジュラスのポップシンガー、Isabella Lovestory(イザベラ・ラブストーリー)はPythonのEssential Mixに収録されて以来、ファンのお気に入りとなっているダウンテンポのラヴァーズ・レゲトン・トラック 「Besos Robados」に、無愛想でありながら執拗なヴォーカルを提供している。

 

Pythonは自身のレーベル”Worldwide Unlimited”から南ロンドンのラッパーJawnino(ジャウィニーノ)と分類不能なロンドンのソングライターOrgan Tapes(オルガン・テープス)の楽曲をリリースしている。UKポストロックの伝統をPythonが独自にアレンジした 「Dai Buki」には両アーティストが参加している。

 

彼自身は、ハートフルな「Marry Me Maia」で繊細かつパーソナルなヴォーカルを披露している。彼の震えるようなテナーは異色のシンセポップ曲「Coquine 」にも見いだせる。「Elio's Lived Behind My House Forever 」では、PythonがNYCの大御所Physical Therapyと組んで、先のヴォーカルチューンと同様にエモーショナルなメロディーを漂わせるダンスフロアカットを披露している。


 


米国のシンガー、トム・ウェイツがイタリアのドキュメンタリーシリーズ『Il Fattore Umano(人間の要因)』にサウンドトラックを提供した。アメリカのホームレス問題に寄り添った作品の最終回で映像に説得力をもたらす。


イタリアの公共テレビ局''RAI3''が制作したこの8部構成のシリーズは、権威主義政権、独裁政権、さらに民主主義政権ですら、人権がいかに侵害されてきたかを検分する。 最も弱い立場にある人々やマイノリティが、これらの国々でどのような抑圧に直面しているかに焦点を当て、最終エピソード(タイトルは『Ultima Fermata(最後の乗り物)』)は、アメリカの貧困について掘り下げた内容。テネシー州、アラバマ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州の南部4州に焦点を当て、公共バスで各地を巡りながら、忘れ去られたコミュニティを発見し、セーフティネットのない制度によって疎外された状況で生きることを余儀なくされている人々の尊厳と連帯を探る。


『The Last Ride』は、アコースティック・ギターとピアノの演奏を披露しながら、自身の詩『Seeds on Hard Ground』を朗読するウェイツの声と、こうした人々の物語が対になっている。 このエピソードの予告編は、1996年の『Dead Man Walking』のサウンドトラックに収録された「The Fall of Troy」を演奏するウェイツのサウンドトラックで流れる。


トム・ウェイツは声明の中で述べている。「私は、私たち全員がそうであるように、不公平を深く憂慮する個人であるが、そのいずれかを解決する能力はない。 私は、私が知っている唯一の方法、音楽を通して世界に伝える。 私は政治や法律を扱わないし、私たち全員に関わる大きな問題に対する答えも持っていない。 私にできることは、歌や詩を通して、誰かを鼓舞することなんだ。 私は窓を開け、私たちの目を開くためにここにいるんだ。 できることなら、少しでもね」


『The Last Ride』は、アンジェロ・ロイ、マルティーノ・マッツォーニス、ルイジ・モンテベッロがRAIイタリア放送の『Il Fattore Umano』のために脚本と監督を手がけた。 このエピソードは、RAIのストリーミング・プラットフォームRaiPlayを通じて、2月26日(水)に全世界でストリーミング配信される。



Maria Somerville(マリア・サマーヴィル)が『Luster』で4ADから画期的なレーベルデビューを果たす。本作は4月25日にリリースされる。


アイルランドのミュージシャン、マリア・サマーヴィルが4ADからの記念すべきレーベル・デビュー作『Luster』を書き始めるまでに、彼女は故郷コネマラから離れて暮らしていた。 ゴールウェイ西海岸の荒涼とした山岳地帯で育った彼女は、その後ダブリンに移り住み、青春時代の風景にインスパイアされた雰囲気のあるドリーム・ポップを辛抱強く作り上げた。 2019年、これはリバーブ、ノスタルジア、故郷への憧れに彩られた自主制作LP『All My People』に結実し、目の肥えたプレスやリスナーから賞賛を浴びた。


コネマラに戻り、この国で最も大きな湖のひとつであるコリブ湖を見下ろす、彼女が育った家の近くで、最終的に『Luster』となる楽曲の制作を開始した。 『All My People(オール・マイ・ピープル)』では、思い出やメランコリックな憧れを霧のようなスローコア・バラードで表現していたが、この12曲では、自分の人生が歩んできた道、そしてその過程で彼女がどのような人間になったかを、より確信したアーティストが表現されている。「Trip」で彼女が歌っているように、「以前よりもはっきりと見えるようになった。 自分にとって何が真実なのかがわかった」


周囲の環境から元気をもらい、コミュニティから勇気づけられたサマーヴィルは、故郷に戻ったときに新たな創造的エネルギーの感覚を見出した。 小さなリビングルームのスタジオで、彼女は自由奔放なレコーディング・セッションのための「肥沃な大地」を提供し、そこで彼女はデモをつなぎ合わせ、それを友人やコラボレーターと練り上げ、後にニューヨークを拠点とする有名なエンジニア、ガブリエル・シューマンがミックスした。


 プロデューサーのJ. Colleran、Brendan Jenkinson、Diego Herrera (aka Suzanne Kraft)のほか、「Violet」で聴けるウイリアンパイプのドローンを奏でるLankumのIan Lynch、「Flutter」のアンビエントな靄の中でヴァイオリンの弓が反響するMargie Jean Lewisが参加した。 ミュージシャンのヘンリー・アーネストとフィン・キャラハー・マクドナルド(別名ナッシュペインツ)とのセッションは「すべてをひとつにまとめる」のに役立ち、友人のロイシン・バークリーとオーラン・モンクの参加は、サマーヴィルがコネマラに戻って以来、彼らが共有してきた仲間との絆を表現している。 


リスナーは2021年以来、毎週月曜日と火曜日の朝、NTS Radioのアーリーバード・ショーを通してサマーヴィルの世界に触れることができる。 同年に4ADと契約して以来、サマーヴィルはレーベルメイトのドライ・クリーニングとツアーを行い、レーベル40周年記念としてナンシー・シナトラの「Kinky Love」とエア・マイアミの「Sea Bird」のカヴァーをリリースした。 『Luster』のリリースにより、彼女は2025年にライブ・バンドを従えて世界各地で演奏する新時代の到来を告げた。


 しかし、サマーヴィルがどこへ行こうとも、彼女は故郷の一部を携えていくことだろう。それは、コリブ川のほとりの空気のように澄んだ、すべての音から感じ取れる、生きていて、呼吸していて、時代を超えたエッセンスだ。



「Garden」



Maria Somerville 『Luster』


Label: 4AD

Release:2025年4月25日


Tracklist:

1.Réalt

2.Projections

3.Garden

4.Corrib

5.Halo

6.Spring

7.Stonefly

8.Flutter

9.Trip

10.Violet

11.Up

12.October Moon



アイルランドのミュージシャン、マリア・サマーヴィルが4ADからデビュー作『Luster』を書き始めるまでに、彼女は故郷コネマラからしばらく離れて暮らしていた。 ゴールウェイ西海岸の荒涼とした山岳地帯で育った彼女は、その後ダブリンに移り住み、青春時代の風景にインスパイアされた雰囲気のあるドリーム・ポップを辛抱強く作り上げた。


彼女の最初のアルバム『オール・マイ・ピープル』では、思い出やメランコリックな憧れを霧のようなスローコア・バラードで表現していたが、この12曲では、自分の人生が歩んできた道、そしてその過程で彼女がどのような人間になったかをより確信したアーティストを見せている。 

Sam Fender 『People Watching』


Label: Polydor

Release: 2025年2月21日

 


Review

 

才能というものの正体が何なのか、本作を聴くとよりよく理解できる。『Seventeen Going Under』で大きな成功を掴んだ後、サム・フェンダーは地元ニューカッスルのセント・ジェームス・パークで公演を行う予定だったが、精神的な披露を理由にキャンセル。しばらくシンガーはお休みを取っていた模様であるが、ライブも再開し、徐々に本来の調子を取り戻しつつある。

 

前作ではメンタルヘルスなどの危機にある若者に対する応援ソングを中心に発表し、イギリス国内で不動の人気を獲得したサム・フェンダー。二作目のアルバムも良盤と言っても良いのではないか。スティングのような音域の広いボーカルは前作から引き継がれ、そしてそれらがドン・ヘンリーのような軽快なAORと巧みに合致している。こういった音楽を倦厭する人は少ないのではないか。ソングライターというのは、毎回のように何らかのテーマを探さねばならないので非常に大変であるが、どうやら傑出した歌手のもとには主題が向こうからあらわれるらしい。テーマというのは探すのではなく、すでに日常のどこかに偏在するものである。今回、サム・フェンダーは家族の問題、分けても彼にとって代理母のような存在をテーマにしている。

 

「タイトル曲『People Watching』は、僕にとって代理母のような存在で、昨年11月に亡くなった人のことを歌っています。私はその最期、彼女の側にいて、彼女の隣の椅子で眠っていたんだ。この曲は、その場所と家への往復で、私の頭の中をよぎっていたことを歌っている。彼女は僕にステージに上がる自信を与えてくれた人だし、いつも『なんで受賞スピーチで名前を出さないんだ』って言われていた。でも今は、曲(とアルバム)全体が彼女につながっている。彼女が今どこにいようと、『そろそろ坊や』と言って見守ってくれていることを願っている」

 

身近な人の死というのはかなり重い主題のように思えるが、生と同じく誰もが通らざるをえない扉である。ここでフェンダーは愛する人の彼岸への旅立ちを悲嘆で包むのではなく、温かい慈しみの心で送り出そうとしている。死とは今生から見た悲しみであるが、もちろん、そのなかに肯定の意味も見出すことが出来る。そこには現世的な概念からの魂の開放という前向きな考えも込められている。そして、それらの考えがアルバムのオープナーからほの見える気がしてならない。おそらく、タイトル曲を聴けば、本作が十分にポピュラーとして応力を持ち、多くの人々にとって普遍的な内容であることが理解していただけるだろう。それは死というレンズを通して生きる人が何をするべきなのかが暗示されている。軽やかに前進し、走り出すような感覚を持ったライトなロックソングは、彼が暗闇から立ち上がり、そして明るい方へ向かってゆっくりと歩き出す様子を捉えている。つまり、それが何らかの明るい感覚に縁取られている理由なのだろう。彼のポップ/ロックソングからは、走馬灯のように愛する人との記憶が立ち上ってくる。それがつまり、音楽として説得力を持ち、何らかの意義深さがある要因でもある。

 

 

特にサム・フェンダーのボーカルは、中音域から高音域に切り替わる時に、最も感動的な瞬間が訪れる。これはライブではすでにおなじみと言えるが、そういったボーカリストとしての素晴らしさを続く「Nostalgia's Lie」で確認することが出来る。ビリー・ジョエルを彷彿とさせるクラシカルなバラードソングは、サム・フェンダーの手にかかると、モダンなポピュラーへと変容する。それらがアコースティック/エレクトリックのギターの多重録音という、スコットランドのネオ・アコースティックなどでの象徴的なギターロックの要素と結び付けられる。サビの部分では、郷愁的な感覚が生み出され、やはりそこには温和な感覚がにじみ出ているのである。

 

前回のアルバムでは''懐古主義''と書いた覚えがあるが、それはフェンダーの楽曲に80年代から90年代のポピュラーの影響が感じられたからである。そして、二作目では2020年代にふさわしいポピュラーソングを書いたという印象を抱く。ただ、それもやはり オアシスのようなブリットポップの象徴的な音楽、そしてヴァーヴのようなポスト・ブリット・ポップの世代からの色濃い影響をうかがわせる。「Chin Up」はオアシスのヒット曲「Woderwall」を彷彿とさせるギターワークが光る。一方でボーカルの方はヴァーヴのリチャード・アシュクロフトのソングスタイルを彷彿とさせる。これらの組み合わせに、彼の音楽的な背景の一端を確認することも出来る。そして、何らかの影響こそ受けているが、それらをフェンダーらしいソングライティングや歌唱に昇華している。つまり、彼の歌は、やはり2020年代の象徴とも言えるのだ。2ndアルバムでは少し風変わりな音楽も含まれている。アコースティックギターの演奏をフィーチャーし、起伏に富んだ音楽を擁する「Wild Long Lie」はシンガーソングライターの新しい方向性を象徴づける楽曲といえるかもしれない。ゆったりしたテンポに戯れるように歌うフェンダーだが、この曲は途中シンセサイザーのアレンジを通して、ダイナミックな変遷を描く。

 

「Arm's Length」はオープニングと同様に、80年代のAORやニューウェイブのサウンドを活用し、シンプルなコード進行のロックソングに昇華している。近年、複雑化しすぎた音楽をより省略したり簡素化する一派が出てきている。昨年のファビアーナ・パラディーノのようにゆったりとしたスケールの進行やシンプルな曲作りは、POLICEのヒットソングのソングライティングのスタイルと組み合わされ、2020年代のUKロックのベースになったという気がしている。これはスティングだけではなく、The Alan Person's Project、Tears For Fearsのヒットソングの系譜に属している。これはもちろん類似性を指摘したいというのではなく、ヒットソングには必ずステレオタイプが存在し、過去の事例を活かすことが大切だということである。もちろん、それを現代の歌手としてどのように表現するのかが、2020年代に生きる人々の課題なのである。そして何かに似すぎることを恐れずに、自分なりの表現をつきつめていくのが最善であろう。

 

 

前作を聴いたかぎりでは、フェンダーの音楽が何年か経つと形骸化するのではないかという不安要素もあった。しかし、このアルバムではそういった心配は無用である。彼は、依然として80年代のディスコやダンスミュージック、華やかなMTV時代のポピュラー音楽に背を支えられ、軽妙で味のある2020年代の音楽を作り上げている。よく個性とは何かと言われることもあるが、それは端的に言えば、他者とは相異なる性質を示すことである。そして、それが意外なものであればあるほど、多くの人に受け入れられる可能性がある。音楽にちなんで言えば、他の一般的な人々とは異なる音楽的な背景がその人物の個性をはっきりと浮かび上がらせる。


例えば、一般的な音楽と相容れない性質を示すことを恐れていると、だんだんと音楽は無個性になり、均一化せざるを得ない。そして、一般的な要素を肯定しながらも、何かしら特異点を設けることが重要になってくる。それは音楽を演奏したり歌う人にとっては、その人が育った土地、環境、人生そのものを意味する。その点では、サム・フェンダーは本当の意味での他者が持たないスペシャリティを示しつつ、それをマイルドな方法で提示することに長けている。そしてそれこそが、ポピュラーミュージックでの大きな成功を掴むための秘訣でもあると思う。「Crumbing Empire」は、今多くの人が求めているタイプのポピュラーソングだと思う。それは聞きやすく、そして口ずさみやすいという商業音楽の基礎をしっかりと踏まえたものである。

 

『People Watching』は文句のつけようのない完成度だと思う。これらの楽曲の中では、苛烈なライブツアーの中で掴んだ手応え、大多数のオーディエンスとの共鳴する瞬間など、実際の体験者しかわからない感覚を踏まえて、的確なポピュラー/ロックソングとして昇華させているのが素晴らしい。

 

中盤ではビートルズのアートロックからの影響を感じさせる「Rein Me In」など、前作にはなかった実験的な音楽の方向性が選ばれている曲もあり、今後の制作にも期待したい。また、本作の中で最も力強くパワフルな「TV Dinner」は、フェンダーの新しいアンセム曲が誕生したと言えるかも知れない。この曲は、アリーナのスタジアムのライブパフォーマンスのために書かれた曲ではないかという推測も出来る。少なくともライブで素晴らしい効果を発揮しそうなトラックだ。


きわめつけは、クローズを飾る「Remember My Name」となるだろう。シンガーとしての圧倒的なスケールの大きさを感じさせるし、彼はこの曲で内側に秘めるタレントを惜しみなく発揮している。これまでで最もドラマティックなバラードソングである。ホーンセクションとサム・フェンダーのボーカル融合は新たな「ウォール・オブ・サウンド」が台頭したことを印象付ける。

 


 

95/100

 

 

 Best Track 「Remember My Name」

▪Moshimossの海や水にインスパイアされた4曲からなる楽曲集。マレーシアのmü-nestレーベルより2/24(月)デジタル・リリース。
 

山梨在住の音楽家Kosuke AnamizuのプロジェクトMoshimossはアンビエントとポスト・クラシックを比類なき感性で折衷する。儚い美しさをとらえ、純粋な感情を伝える繊細な彼のサウンドは、Spotifyで170万以上の再生回数を記録し、シアトルのラジオ局KEXPやポスト・クラシカルの巨匠オーラブル・アルナルズのBBCのラジオ番組などでも取り上げるなど高い評価を受けている。



また、ソロ活動にとどまらず、Issey Miyake、SK-II、OPPOなどの国際的なブランドのCM音楽、直近では映画『死に損なった男』(監督 田中征爾)の音楽を手掛け、映像に感情や美の深層を吹き込むサウンド・デザインの才能で芸術表現の幅広い可能性を示している。


本EPは、新曲 「Water's Edge」と既発曲 「Sunset on the Boat」「Repeating」「Ocean in the Palm 」の水や海にインスパイアされた4曲からなる楽曲集。ギターを中心とした控えめなメロディーにローファイなテクスチャーを融合させたMoshimoss独自のミニマルなアプローチで、束の間の儚い美しさをタイムレスなサウンドスケープへと昇華させている。 



 本作を通して、Moshimossはリスナーを静謐で内省的な音空間へと誘い、ゆっくりとした時の流れや人生の細部に宿る静かな重みに浸らせてくれる。
 






【Mini Review】

 

四曲収録のEP「Reminiscence」はエレクトリックギターで生成されたアンビエントテクスチャーを中心に構成される。豊かなフィーリングとエモーションを兼ね備えた音の運びはTychoのサウンドにも親和性がある。

 

曲の中には、ダイナミックなパーカッションが導入され、ナラティヴな音の運びを楽しむことが出来る。アルバムの陰影に富んだアートワークに呼応する形で、美しい風景のサウンドスケープを呼び覚ます。

 

Moshimossのエレクトロニカの楽曲に耳を傾けると、おのずと波の音や夕景が思い浮かんでくる。最近、都市圏から少し離れた地域から傑出したミュージシャンが出てくるのは偶然だろうか。それは地方の人々が音楽を通じて発信するべき何かを持っているということではないか。いずれにせよ、注目のエレクトロニックプロデューサーが山梨から登場した。--Music Tribune--




Moshimoss   「Reminiscence」 EP





発売日: 2025年2月24日(月)
アーティスト : Moshimoss
タイトル : Reminiscence
フォーマット:デジタル配信
レーベル:mü-nest
Tracklist:
1. Water's Edge
2. Sunset on the Boat
3. Repeating
4. Ocean in the Palm


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