柴田聡子が2014年にリリースしたセルフ・レコーディングによる、ほぼ全編弾き語りのセカンド・アルバム「いじわる全集」が本日(4/25)よりスペースシャワーから配信開始。さらに、明日、4月26日に2LPとCASETTE TAPEの2バージョンでリリースされる。


本作は柴田聡子の2014年にP-VINEから発売されたアルバムのリイシューとしてダブルで再発される。収録曲「いきすぎた友達」のミュージックビデオもご覧ください。


また、最新アルバムのレコーディングを行った、岡田拓郎、まきやま はる菜、浜公氣、谷口雄によるバンド編成でのツアーが今年7月から開催される。札幌から福岡まで6ヶ所の公演を、7月中旬〜8月上旬にかけて開催し、暑い日本の夏を盛り上げてくれる。


また、若い年代に絶大な人気を誇るソングライター、カネコアヤノを迎えてのライブも、六本木EXシアターで5月3日に開催予定。こちらのツアー日程もご確認ください。



「いきすぎた友達」




・柴田聡子「いじわる全集 [2LP]」





DDJB-91256 | 2025.04.26 Release | 5,200 Yen+Tax





・柴田聡子「いじわる全集 [CASETTE TAPE]」



DDTB-12008 | 2025.04.26 Release | 2,727 Yen+Tax




・柴田聡子「Passing」


Digital | 2025.01.15 Release





「Passing」-最新シングル



・柴田聡子「My Favorite Things [LP]」


DDJB-91252 | 2025.01.29 Release | 4,000 Yen+Tax




・柴田聡子「My Favorite Things」

DDCB-12123 | 2024.10.23 Release | 3,000 Yen+Tax




・柴田聡子「Your Favorite Things」


 DDCB-12121 | 2024.02.28 Release | 3,000Yen+Tax




▪️柴田聡子 presents「ありがとう」vol.2 〜柴田聡子 (BAND SET) × kanekoayano

2025年5月03日(土・祝)

EX THEATER ROPPONGI

OPEN 16:30 / START 17:30



▪️柴田聡子 Tour 2025 "夏" [BAND SET]


柴田聡子(Vo. Eg.), 岡田拓郎 (Eg.), まきやまはる菜 (B.), 浜公氣 (Dr.), 谷口雄 (Key.)


チケット先行予約受付 [ https://l-tike.com/shibatasatoko ]


日程:

2025年7月13日(日)札幌 BESSIE HALL
2025年7月15日(火)京都 磔磔
2025年7月17日(木)福岡 BEAT STATION
2025年7月19日(土)広島 CLUB QUATTRO
2025年8月01日(金)仙台 MACANA
2025年8月05日(火)東京 Zepp Shinjuku

 

©︎Steve Gullick


本日、ニューヨークのシンガーソングライター、Greg Frienan(グレッグ・フリーマン)は2ndアルバム「Burnover」をTransgressive/Canvasback Recordsより8月22日にリリースすることを発表した。  


グレッグ・フリーマンは、無名のシンガーとして活動を始めたが、デビューアルバムの好評により口コミで人気を獲得した。今年に入り、ミュージシャンはトランスグレッシヴと契約を交わした。


この発表と同時に、グレッグはリード・シングル「Point and Shoot」をリリースする。この曲は、生々しくカオティックなギターと、時にペイヴメントを想起させるシュールなリリックが印象的な、広がりのあるライブワイヤー・トラックだ。


また本日、このシングルに付随するビデオも公開された。モノクロで撮影されたこのビデオは、グレッグが「Burnover」を通してインスピレーションを得ている19世紀のアメリカの歴史に言及している。  


このアルバムのタイトルは、19世紀初頭に熱狂的な宗教復興とユートピア・コミュニティの温床となったニューヨーク中央部と西部の地域を表すのに使われた『The Burned-Over District』という言葉から拝借したものだ。


「ビデオ制作はとても楽しかった」とグレッグは振り返る。 「僕と大勢の友人たちは、基本的に6時間ぶっ続けで自宅の地下室で酒を飲んでタバコを吸ったんだ。  僕の中では、この曲は欲望を追い求めたり、不健康な方法で過去を追体験しようとしたりすることに関係している。  でも、いろんなことを歌っているのかもしれない。  曲の中に "君は笑って「ああ、世紀の大犯罪だ」と言った "という一節がある。 スピード違反で車を止められた警官が言った言葉だ。 そして300ドルの切符を切られたんだ」



グレッグが2022年にデビュー・アルバム「I Looked Out」をひっそりとリリースしたとき、PRキャンペーンもレーベルも音楽業界のプロモもなかったが、それでも全米の著名な批評家から賞賛を集めた。


UPROXXのスティーヴン・ハイデンは「2023年に発見した2022年のお気に入りアルバム」と評し、Paste Magazineは「2020年代のベスト・デビュー・アルバム25選」にこのアルバムを選んだ。 このリリースの口コミでの成功により、フリーマンは容赦ないツアースケジュールをこなすようになった。


「Burnover」のオープニング・トラックである「Point and Shoot」は、それに続く9曲と同様、爆発的で、不穏で、否定できない。 エネルギッシュなインディー・ロックに、アンブリングなトワングとアメリカーナの要素を難なく融合させたこの曲は、冒険的かつパーソナルであり、フリーマンを唯一無二の才能として確固たるものにした。

 

 「Point and Shoot」


ニュー・アルバムのリリースに先駆け、フリーマンはハミルトン・ライタウザーのサポートでアメリカを回り、その後イギリスへ向かい、グレート・エスケープ、ドット・トゥ・ドット、エンド・オブ・ザ・ロードのフェスティバルに出演するほか、ヨーロッパでの日程も控えている。

 


Greg Freeman 「Burnover」



Label:Transgressive/Canvasback

Release: 2025年8月22日


Tracklist:


Point and Shoot

Salesman

Rome, New York

Gallic Shrug

Burnover

Gulch

Curtain

Gone (Can Mean A Lot of Things)

Sawmill

Wolf Pine


【GREG FREEMAN ON THE ROAD】

MAY

16th  The Great Escape, BRIGHTON

17th  London Calling, AMSTERDAM

20th  Jaki, COLOGNE

21st  Continental, BRUSSELS

22nd  La Mecanique Ondulatoire, PARIS

24th  Dot to Dot Festival, BRISTOL

25th  Dot to Dot Festival, NOTTINGHAM

 

AUGUST

28th - 31st End of the Road Festival, DORSET

 

SEPTEMBER

1st    The Albert, BRIGHTON

2nd    The Lexington, LONDON

5th    Brudenell Social Club, LEEDS

6th    The Hug and Pint, GLASGOW

7th    The Workmans Club, DUBLIN

9th    YES, MANCHESTER

10th   Clwb Ifor Bach, CARDIFF

11th   Hare and Hounds, BIRMINGHAM

13th   Ekko, UTRECHT

14th   Blue Shell, COLOGNE

15th   Molotow, HAMBURG

17th   Bar Brooklyn, STOCKHOLM

18th   Vega, COPENHAGEN

19th   Lark, BERLIN

 


カナダの5人組、Foxwarren(フォックスウォーレン)は、アンディ・シャウフ、エイブリー&ダリル・キシック、ダラス・ブライソン、コリン・ニーリスの4人組。彼らのニューアルバム『2』が5月30日にANTI-からリリースされる。


『2』は、ジャンルと曲の境界線が常に曖昧な、楽しくて驚くべきアルバムだ。フォックスウォーレンは、表向きはフォーク・ミュージックを演奏しており、温かみのあるトーンと奔放なリズムが、軽薄なヴォーカルの中で実存的な苦悩と格闘する登場人物の歌を支えている。


しかし、ジュノー賞にノミネートされた2018年のセルフタイトル・デビューアルバムをツアーした後、フォックスウォーレンはこれまでとは違うやり方でやっていこうと決心し、最終的にはおなじみのバンド・イン・ルームのルーティンをやめ、代わりにこれらの曲や他のさまざまなサウンドをサンプラーに差し込んで『2』を作っていった。


4つの州にまたがるそれぞれの自宅スタジオで、5人のメンバー全員が曲のアイデアやメロディックなフレーズ、リズムの断片を共有フォルダにアップロードした。


トロントでは、アンディ・シャウフがこれらをサンプラーに接続し、バンドメンバーから提供された断片から曲を構築した。フォックスウォーレンは毎週オンライン・ミーティングを開き、曲がどのように変化するかについて遠距離から提案した。その結果、37分間のコラージュ・アートを通して、ある関係の表裏をなぞるような、魅惑的で不気味なアルバムが完成した。

 

 

「Yvonne」


Foxwarren 『2』


Label: ANTI-

Release: 2025年5月30日

 

Tracklist:


1. Dance
2. Sleeping
3. Say It
4. Listen2me
5. QuiteAlot2
6. Strange
7. Havana
8. Yvonne

9. Deadhead
10. True
11. Round&round
12. Dress
13. Wings
14. Serious
15. Again&

 


ブルックリンのR&B/ネオソウルシンガー、Yaya Bbey(ヤヤ・ベイ)が、Drink Sum Wtrから6月20日にリリースするニューアルバム『Do It Afraid』を発表した。 


このアルバムには、BADBADNOTGOOD、Butcher Brown、Exaktly、Rahrah Gabor、Nigel Hall、Father Philisらとのコラボレーションが収録されている。 今日の発表と同時に、彼女はアルバムの "二面性を体現する "と言われる全く異なる2枚のニュー・シングルを発表した。


ヴィンテージ・ファンクの "Dream Girl "はビデオ付きでリリース。ヤヤいわく、「しばらくの間、パーティに逃避すること」と「自分の欲望を本当に掘り起こすこと-自分の注意を必要とする重たいことが山ほどあることを知りながら、ファンタジーの余地も残しておくこと」を歌っているという。

 

アルバムの冒頭を飾るダウンテンポのヒップホップナンバー「Wake Up B*tch」は、より物思いにふける一面を披露している。 

 

 「Wake Up B*tch」

 



Yaya Bey 『Do It Afraid』


Label: Drink Sum Wtr

Release; 2025年6月20日

 

 

Tracklist

1. wake up b*tch

2. end of the world (feat. Nigel Hall & Butcher Brown)

3. real yearners unite

4. cindy rella

5. Raisins

6. spin cycle

7. dream girl

8. merlot and grigio (feat. Father Philis)

9. breakthrough

10. a surrender

11. in a circle

12. aye noche (feat. Rahrah Gabor & Exaktly)

13. no for real, wtf?

14. blicky

15. ask the questions

16. bella noches pt1

17. a tiny thing that’s mine

18. choice

 

 

Pre-order: https://drinksumwtr.lnk.to/yaya-bey-do-it-afraid

 


シンガポールのオルトロックバンド、Subsocic Eye(サブソニック・アイ)は、6月11日にTopshelfからリリースされる5枚目のアルバム『Singapore Dreaming』を発表した。 

 

サブソニック・アイは、シューゲイズのテイストを漂わせるトレンドのオルタナティヴロックソングが主要な特徴である。

 

ファースト・シングルは「Aku Cemas」と題されたドリーミーでドライヴ感のあるインディーロックソングだ。ヴォーカルのヌール・ワヒダはこの曲について次のように語っている。


この曲についてボーカルのヌル・ワヒダは次のように語っている。 

 

じっとしていられなかったけど、そうしなければならないような気分だった。 1日に20件の求人に応募しては、またノートパソコンで映画を見ていました。 やっと好きなことをする時間ができた。 本を読んだり、編み物をしたり、手芸をしたり、サイクリングをしたり。

 

 雇われていたときのように、自由な時間に好きなことをするのが楽しみだった。 しかし、この破滅感と役立たず感がすべてを曇らせてしまった。 無職であることへの不安が強すぎて、好きなことをする意欲がわかなかった。 私は自由になりたかったのではなく、好きなことがしたかっただけなんだ。

 

 

「Aku Cemas」

 

 

 

Subsonic Eye 『Singapore Dreaming』


Label: Topshelf

Release: 2025年6月11日

 

Tracklist

 

1.Aku Cemas

2.Why Am I Here

3.Sweet

4.My iPhone Screen

5.Overgrown

6.Lost

7.Being Productive

8.Situations

9.Brace

10.Blue Mountains

 

 

Pre-save:https://www.topshelfrecords.com/286

 


ロンドンのドリームポップバンド、Bleach Lab(ブリーチ・ラブ)がEP『Close To The Flame』を発表した。今度のEP『Close To The Flame』について、Bleach Labはこう語っている。


「”Close To The Flame”は、個人的な経験から恋愛の苦難を探っている。 愛と痛みの間で常に引っ張られるような関係から抜け出せないことについて歌っています。 誰かの全てでありたいと思ったり、離れていく誰かを抱きしめたり、罪悪感や不安と闘って前に進むのが難しくなったり......。 

 

このEPは、愛にしがみつこうとする一方で、自責の念や後悔、そしてその過程で自分を失う恐怖に対処する、厄介な現実をとらえている。 つながりを求めて戦いながらも、その重みを感じている」


セルフ・プロデュースによるEP『Close To The Flame』は、Bleach Labの2023年のデビュー・アルバム『Lost In A Rush Of Emptiness』に続く作品。 バンドは2025年11月にロンドンのブッシュ・ホールでのヘッドライン・ライヴを含む7日間のUKツアーを行うことも発表している。

 

「Feel Something」

 

 

Bleach Lab 『Close To The Flame』 EP

 


Tracklist:

Drown
Feel Something
In Your Arms
Close To The Flame
If I Could Be Anything

 

Pre-order: https://ffm.bio/bleachlab


【Best New Track】 August Royals  「Skintight Crazy」 元RCA所属アーティストによるインディペンデントな歩み


 

アルトポップ/アルトロックアーティスト、August Royals(オーガスト・ロイヤルズ)はルックス、スター性、音楽性、どれをとっても素晴らしい。次世代のUSポップシーンを担うべき存在だ。

 

「Skintight Crazy」と名付けられたこのニューシングルは、プロデューサーのジョン・クラス(ミディアム・ビルド、ミシガンダー)とのコラボレーションにより制作。この曲は、恋愛の余韻を表現している。恋愛のハイライト・リールを認識しつつも、それがハイライト・リールに過ぎないことを自覚する曲。悲観的なロマンチストにとっては、常に「もしかしたら」がある。



オーガスト・ロイヤルズはブロックハンプトンのケヴィン・アブストラクト、ライアン・ビーティ、ドミニク・ファイクといったアーティストとも共演している。これからの活躍が楽しみだ。

  

V Magazine、Rollacoaster、Lyrical Lemonadeなどから大きな賞賛を浴びたオーガスト・ロイヤルは、2021年に急速にその名を馳せ始めた。オーガストは、Pigeons & Planes誌の 「Best New Artists 」に選ばれ、「芸術性とアクセシビリティの難しいバランスを図る稀有な才能」と称賛された。その後、RCAレコードと契約し、デビューシングル「Blue Football」をリリースした。



2022年、オーガスト・ロイヤルはデビューEP『Inhaler』をリリース。9曲入りで、彼自身の経験と葛藤を多数のジャンルに反映させた作品だった。

 

その後、アメリカ国内の屈指の大手レーベル、RCAとの契約を終えたオーガストは、活動を一時休止し、"アーティストとして自分がどうありたいか"を模索することに時間を費やした。テキサスの象徴的なボーイズバンド、Brockhampton(ブロックハンプトン)のケヴィン・アブストラクト、さらにライアン・ビーティ、ドミニク・ファイクといった著名なアーティストと仕事をした後、オーガストはアーティストとしての自分のセンスと自己発見を見直す準備を整えていた。


しばらく、オフラインとスタジオで静かに過ごした1年後、オーガスト・ロイヤルは劇的な進化を遂げている。自称「これまでで最高、そして最も本格的」な楽曲を携え、2025年に再登場を果たす。

 

インディペンデントで発表されたデビューシングル「American Spirit」は、新しいリスナーにとってポップな親しみやすさを保ちつつも、ユニークなヴォーカル・パフォーマンスを誇っている。

 

今作「Skintight Crazy」は、今日の愛が明日の混乱と傷になりうるという彼の考えを表現したアップビートな曲。この2枚目のインディペンデント・リリースで、オーガスト・ロイヤルはついに、世界中のリスナーにその名を轟かせる準備に入る。



「Skintight Crazy」

 

 

Alt-pop/alt-rock artists August Royals have the looks, star power, and musicality to match. He is the next generation of the US pop/rock scene.


Garnering praise from V Magazine, Rollacoaster, Lyrical Lemonade, and more, August Royals quickly started making a name for himself in 2021. August was selected as part of Pigeons & Planes’ highly coveted “Best New Artists,” he was heralded as “the rare kind of talent who’s positioned to strike the difficult balance between artistry and accessibility.” 

 

August signed with RCA Records for the release of his debut single “Blue Football” gaining nods and critical acclaim. 



In 2022 August Royals released his debut EP, Inhaler, a nine-track, multi-genre reflection of his own experiences and struggles. Departing from RCA, August decided to pause and spend time developing who he wanted to be as an artist. After working alongside artists such as Kevin Abstract of Brockhampton, Ryan Beatty, and Dominic Fike, August was ready to reevaluate his own taste and self-discovery as an artist.



 After a year quietly spent offline and in the studio, August Royals has returned, coming into 2025 with a handful of songs that are his self-proclaimed “best to date and most authentic” with his first single “American Spirit” boasting a unique vocal performance that still maintains pop accessibility for new listeners. 

 

Now coming in strong with a carefully finessed fresh take on pop, is “Skintight Crazy”, an upbeat track that captures his take on how the love of today can be the confusion and hurt of tomorrow. With this second independent release, it seems like August Royals is finally ready to reach new heights.


▪世界的な評価も高めている東京拠点の孤高のエクスペリメンタル・フォーク・シンガー、SatomimagaeがRVNG Intl.からニューアルバム『Taba』を4月25日にリリース


 

©︎Norio

東京を中心に活動しているミュージシャン、ソングライター、そして内なる世界と外なる世界を旅するSatomimagaeの2021年の傑作『Hanazono』に続くニューアルバムが四年ぶりに完成した。

 

本作は今週末(4/25)にRVNG(日本ではPlanchaからリリースされる。RVNGは、実験音楽に特化した名物的なレーベルで、アメリカ版のWARPといっても過言ではない。カタログの中には、NYでオノ・ヨーコと交流があったドローン音楽のイノベーター、Tashi Wadaのアルバムが含まれている。

 

サトミ・マガエは、日本国内の大学で研究的な分野に携わった後、ソロシンガーソングライターの道のりを歩んできた。実験的なポピュラー、フォークを日本的な感性と組み合わせ、比類なき音楽の境地を探る。音楽的な原点は、彼女が幼い頃に住んでいたアメリカでの生活にあった。

 

日本の著名なエレクトリック・プロデューサー、畠山地平にその才能を見出された後、White Paddy Mountainに所属したあと、ニューヨークのRVNGからリリースを行うようになった。以降、ソロアルバムの制作、Duennとのコラボレーションアルバムなどに取り組んできた。また、シンガーは、音楽的な活動にとどまらず、アーティストとしての広汎な分野に興味を見出している。

 

待望の四年ぶりとなるフルアルバム『Taba』は、想像力豊かな考察を集め、広大な観念を辿り、つつましい瞬間に静かな余韻を残す。個人と集団、構築的なものと宇宙的なもの、明瞭なものと感じられるものの間を鮮やかにつなぐ。本作は個人的なことと普遍的なこと、目に見えることと見えないことの両方を記録した一連のヴィネットとして展開する。自宅スタジオの外に流れる人生のつかの間のシーンやサウンドを観察し吸収しながら、彼女は自分自身を超え、現在と記憶の奇妙な流動の両方の魂とシステムの軌道の中で歌い、直線的なソングライティングではなく、トーンやテクスチャーが拡大し、広がりのあり 深みのあるストーリーが展開される。 


『Taba』のリード・シングル「Many」は、疎外された時代のフォーク・ミュージックであり、より有機的な曲作りと、Satomiを 取り巻く世界の自然な響きを強調し、取り入れるアレンジへの微妙だが意図的なシフトを示している。

 

気づかれなかった人生や集合的な記憶についての考察に導かれ、個人やグループを結びつけたり解いたりする結合組織を繊細になぞる「Many」は、不明瞭なエコーや漠然とした音のジェスチャーが織り成すエーテルに対して、ループやスパイラルの中でSatomiが考えを巡らせている。 


このアルバムは、「Taba- 束(たば)」(異なるものを束ねたもの、束ねたもの、ひとまとめにしたものを意味する日本語)の論理に従い、緩やかな短編小説集として組み立てられている。詩人のような語り手へと変貌を遂げたSatomiは、疎外されつつある現代を定義するありふれた出来事や、やりとりから形成される不可解な形に作家の目を投げかけている。


前作『Hanazono』 (2021年)が、私的な内面という青々としたフィールドから花開いたのに対して、『Taba』の鳥瞰図は、アーティストをより広く、よりワイルドな世界のどこかに位置づけようとしている。 

 


「グループとしての人間、そしてグループの中の個人をどう見るかについて考えていました」とサトミ・マガエiは言う。

 

グループはどの ようにつながっているのか、また、どのように境界線が存在するのか。

 

私たちは集団(束)の中の一要素に過ぎないのに、一人ひと りの目に見えない経験や記憶がどこかに残っていて、気づかないうちに私たちや社会に影響を与えているという意識……。つまり、私たちは塊の中の小さな点なのだ。


 

『Taba』の最初のざわめきは、Satomiの曲「Dots」で聴くことができる。この曲は、RVNG Intl.からリリースされた2021年のコンピ『Salutations』の星座にマッピングされた多くのきらめく点のひとつ。パンデミック初期、SatomiがiPhoneに録音していた素材の奥から引き出された「Dots」は、彼女を影のようでありながら誘う道を案内する、言葉のない内なるガイドだった。 

 

興味をそそられ、インスピレーションを受けたサトミは、この感覚を大切にし、新しい創造的な環境の中で新しいコード、リズム、テンポを試した。しかし、Tabaの精神を呼び起こしたのは、サウンドアーティスト、duennとのコラボレーションアルバム『Kyokai(境界)』 でのやりとりであった。 


“俳句以上、音楽未満”というテーマを掲げた『Kyokai』は感覚を言葉にし、Satomiが記録している音の断片が単なる未完成のスケッチではなく、強力な造形物であることを明示した。伝統的なフォーク・ソング的アプローチを脇に置き、デモの質感を取り払ったSatomiのソングライティングは、パズルやパッチワークに近い内容に進化し、音楽の礎となるアコースティック・ギターとヴォーカルが『Taba』全体で聴かれるイマジネーション豊かなアレンジへとピースを繋ぐ。

 

 
Satomiの世界観に近い他のアーティストやミュージシャンとのコラボレーションが、アルバムのサウンドに一層彩りを添えている。写真と映像でアルバムのビジュアル・アイデンティティを決定づけた、Norioのシンセサイザーラインは、優しいバラード 「Kodama」を盛り上げている。

 

「Dottsu」は、鈴のようなローズ・ピアノがSatomiのギターの周りで鳴り響き 、2021年の『Colloid EP』のジャケット・アートを手がけたAkhira Sanoが演奏している。

 

「Spells」を完成させるパズルのピースとなったYuya Shitoのクラリネットは、有機的なテクスチャーとエレガントなエッジの擦り切れを聴き取りながらTabaをミックスし、Satomiのこれまで の表現とは明らかに異なるエネルギーを発散させた。 


これらの曲の土台となっている音色とリズムの遊びは、メロディーのジェスチャー、ノイズのような共鳴、Satomiの手元の レコーダーが捉えた尖った瞬間など、カラフルなパレットにも活気を与えている。

 

『Taba』は、これまでのSatomiの音楽を特徴づけてきた生来の親密さにまだ貫かれているが、これらの曲は、彼女の新しく広々とした、探究心旺盛なソングライティング・アプローチに沿ったものである。そしてそのプロセスで珍らかなレイヤーが解明されている。サウンド・デザインの思索的な詩学に包まれた曲もあ れば、ベッドルーム・ポップの窓からのぞく曲もある。 


想像力豊かな考察を集め、広大な観念を辿り、つましい瞬間に静かな余韻を残す『Taba』は音楽的な意義を越え、個人と集団、構築的、宇宙的、明瞭的と感覚的な概念の狭間を鮮やかにつなぎ合わせる。


Satomiの音の物語は、会話の中に存在するという単純な事実によって雄弁な一貫性を獲得し、動き回る人生のもつれた回路がうなるようなパーツのハーモニーを奏でる。 洋楽として聞いても、そして邦楽として聞いても新鮮さがある。サトミマガエの象徴的なアルバムといえそうだ。

 

 

「Many」

 

 

▪️過去のインタビュー:  SATOMIMAGAE(サトミマガエ)   デビューアルバム「AWA」から最新作「境界」までを語る           

 


【新譜情報】 Satomimagae 『Taba』 




トラックリスト:

01. Ishi
02. Many
03. Tonbo
04. Horo Horo
05. Mushi Dance
06. Spells
07. Nami
08. Wakaranai
09. Dottsu
10. Kodama
11. Tent
12. Metallic Gold
13. Omajinai
14. Ghost
15. Kabi (Bonus Track)

 

 

【Satomimagae】

 

東京を中心に活動しているアーティスト。暖かさと冷たさの間を行き来する変化に富んだフォークを創造している。

 

畠山地平が手掛ける''White Paddy Mountain''より2作のアルバムをリリース後、2021年にNYのRVNG Intl.へ移籍。4枚目のアルバム『Hanazono』を幾何学模様のメンバーが主催するGuruguru Brainと共同リリース。 

 

2012年にセルフリリースしていたデビューアルバム『Awa』のリマスター拡張版『Awa (Expanded)』を2023年にRVNG Intl. よりリリースした。


今年のコーチェラ・フェスティバルに出演したWispがニューシングル「Get back to me」をInterscopeからリリースした。

 

昨年、ウィスプはタヌキチャンの新作EP『Circles』にも参加している。次世代のロックアーティストのニューシングルは、彼女の新しい中世的ファンタジーと深い夢の世界を広げている。 生々しい感情と精密に操作されたニューメタルが混ざり合った、ほとんど聖なる曲だ。 


"Get back to me "は、リードシングル "Sword "に続く新曲。残酷なまでに絶妙で、氷のように繊細に、壮大な割合で吹き荒れる内的な大渦を描写している。

 

ウィスプは、すでにコーチェラで1週末プレイしており、ボナルー、キルビー・ブロック・パーティー、そしてシステム・オブ・ア・ダウンの大規模なスタジアム・ツアーに参加し、SOAD、コーン、デフトーンズ、アヴェンジド・セヴンフォールドらとステージを共にする予定だ。


このシングルについてウィスプは、「『Get Back To Me』は、自分を犠牲にしてでも混沌を求める欲を表している。 この曲は、自分にとって良くないと分かっている場所に留まり、絶望、無謀さ、そして淫らな気持ちを描いている」と語っている。



「Get Back To Me」




【Wisp】


ウィスプは、WhirrやSlowdive(2024年に夢の共演を果たした)にインスパイアされ、ロックの可能性を広げようとする個性的で洗練されたサウンドを作り上げた。

 

 Pigeons & Planesは、「ウィスプがGen-Zのエーテルフィックスになるのは時間の問題だ」と的確に予測し、Notionは、「彼女はシューゲイザーを復活させる」と宣言した。  


ウィスプは、Apple MusicのNew Music Dailyの世界的な表紙を飾り、全てのプラットフォームで数億ストリーミングを達成し、NYLON、Pigeons & Planes、Spotify Lorem Artist To Watch、Amazon Breakthrough Artists、Consequence Artist of the Monthの注目すべきアーティストに選出された。

 

また、ニューヨーク・タイムズ紙とLAタイムズ紙で特集され、Alt Pressの最新冬号の表紙を飾ったほか、Rolling Stone、Stereogum、PAPER、Brooklyn Veganなど、ウェブ上でも多数取り上げられている。


デビュー・シングル "Your Face "はビルボード・ホット・ハード・ロック・ソングスで10位を記録。 「Your face」は現在、Spotifyだけで1億1000万回以上のストリーミングを記録し、クロスプラットフォームでの総ストリーム数は2億5000万回を超えている。


2024年5月、彼女はロサンゼルスでデビュー・ライヴを行い、自作のグッズを身につけた熱狂的なファンで2回ソールドアウトした。 

 

そのわずか3ヵ月後には、ロラパルーザ、レビテーション、キャンプ・フログ・ノウ、コロナ・キャピタルで初のメジャー・フェスティバルに出演した。 彼女は、3つの異なる大陸でソールドアウトしたショーのヘッドライナーを務めたこともある: 北米、ヨーロッパ、アジア。


ウィスプは、これまでの経験に謙虚になりながらも、次のステップに進む決意を固めた。 ウィスプのサガは、彼女のデビュー作に向けて続いていく。


アイルランド出身のドリームゲイザー・ミュージシャン、Maria Somerville(マリア・サマーヴィル)は、4ADからのデビュー・プロジェクトであるセカンド・アルバム『Luster』を今週金曜日4月25日にリリースする。最終シングル「Spring」が公開された。この曲はシューゲイズ/ドリームポップだけではなく、オートチューンを含めたダンスミュージックの要素が色濃い。4ADサウンドの新機軸が示されたと言えるだろう。アルバム発売前にチェックしておこう。

 

「Spring」は、歪んだアコースティックの打ち込み、幽霊のようなサイレンの鳴き声、頭を揺らすパーカッション、オートチューンのアウトロで構成された、フルでありながら儚い、渦巻くような雰囲気のドリームゲイザー・トラックだ。


ここ数ヶ月の間に、サマーヴィルは他の3枚のシングルで、ラスターの心を揺さぶる静けさと瑞々しいサウンドの背景をさらに紹介してきた。

 

 "Stonefly"(ダニエル・スワン監督による雰囲気のあるミュージック・ビデオを伴う、スリンキーなアンビエント・ワルツ)、"Garden"(スザンヌ・クラフトことディエゴ・エレーラがプロデュースした、高鳴るフィードバック、風通しの良いパーカッション、ノスタルジックなギター・コードの融合)、"Projections"(ファズアウトしたベースとかき鳴らされたギターによる、切なくロマンチックなシューゲイザー・トラック)。これらのトラックは共に、彼女の生まれ故郷であるアイルランド、コネマラのコリブ河岸での経験を反映し、This Mortal Coilのようなノスタルジックな4ADアーティストが織り成す音のタペストリーにオマージュを捧げている。

 

 

「Spring」

イタリアのフィエスタ・アルバ    ポリリズム、ポスト・マスロック、そして世界中の声を通したグローバルな音の旅


謎めいたイタリアの実験的なロックバンド、Fiesta Alba(フィエスタ・アルバ)は、エレクトロニック、ヒップホップ、アフロビート、プログレ、オートチューンのボーカル、アヴァンキャルド・ジャズマスロックを組み合わせて、独創的な音楽スタイルをヨーロッパのシーンにもたらそうとしている。 Battles、C'mon Tigre、Squidなど、実験的なロックがお好きな方は聴いてみてほしい。


彼らはメキシコのレスリングのルチャ・マスクを特徴とし、異形としての印象が強い。不気味だが、そのサウンドはさらにワイアードだ。覆面のバンドという面ではイギリスのGOATを彷彿とさせる。しかし、そのサウンドはミステリアスでエレクトロニックのキャラクターが強い。今回、バンドのPRエージェンシーから、バンドメンバーによるトラックバイトラックが到着した。


デビュー・フル・アルバム『Pyrotechnic Babel』が2025年3月21日(金)にリリースされた。 ここ数週間、シングル「No Gods No Masters」(feat.カタリーナ・ポクレポヴィッチ)が先行発売されている。 このアルバムは、neontoaster multimedia dept./ Bloody Soundレーベルからデジタル・フォーマットとCD(スタンダード・バージョンと限定デラックス・バージョン)で発売済み。



『Pyrotechnic Babel』は、フィエスタ・アルバによる初の公式アルバムであり、2023年のセルフタイトルEPに続く2枚目のリリース。 40分以上に及ぶこのアルバムは、複雑で多面的な音楽を提供し、彼らの高い評価を得たデビュー作で紹介された言語やテーマを洗練させ、発展させている。


タイトルの『Pyrotechnic Babel』は、音のマニフェストである。数学ロックに根ざしながら、ジャンル、音色、言語を変幻自在にブレンドしている。 アフリカン・ポリリズム、ダブ、20世紀のアメリカ人作曲家の洗練されたミニマリズム、ループトロニカ、プログレッシブ・ロック、現代ブリティッシュ・ジャズ、ドラムンベースが豊かなサウンドスケープに融合している。 その結果、色彩とエネルギーがダイナミックに爆発し、まさに花火のようなバベルとなった。


初リリースでイタリア、アメリカ、アフリカの声を取り入れたフィエスタ・アルバは、その幅をさらに広げた。 


このアルバムでは、日本、中央ヨーロッパ、アフリカ、イタリアのシンガーやラッパーが、ラディカルな思想家、哲学者、現代の語り部たちがフィーチャーされている。 バンドの複雑な音楽的テクスチャーに支えられたこれらの声は、現代世界の矛盾や複雑さを生き生きと表現している。


周縁部出身でありながら、紛れもなく国際的なビジョンを持つフィエスタ・アルバは、音と文化の探求を続けている。 『Pyrotechnic Babel』は、野心的な第二のステップであり、全世界からの声、音、アイデア、闘争に満ちたレコードである。



 

 

【Track  By Track】フィエスタ・アルバによる楽曲解説


1. No Gods No Masters (feat. Katarina Poklepovic)


シンセティックなサウンドのギター、アフロなベースライン、デジタルビートを模倣したドラムの中、カタリーナ・ポクレポヴィッチ(ソー・ビースト)の声が、神も主人も必要ない感覚の帝国を語りかける。

 

2. Technofeudalism (feat. Gianis Varoufakis)


ループするギターとプログレッシブ・ミュージックのエコーが、ディストピア的な現在を宣告された惑星のサウンドトラックとして容赦ないリズムを打ち鳴らす中、現代の預言者が新しい資本主義のアイデンティティを概説する。


3. Je Suis le Wango (feat. Sister LB)


ミニマルなギターと断片的なベースラインが密に織りなす上に、セネガル出身のシスターLBの歌声が音楽的、地理的な境界を超えた架け橋を築く。 彼女は目に見えない障壁を燃え上がらせる花火のようなバベルを歌う。


4. Collective Hypnosis


息もつかせぬエレクトロニクスが、ループするギターとともに縦横無尽に回転する。 アルバム初のインストゥルメンタル・トラックでは、タイトなリズムと万華鏡のようなシンセとギターのレイヤーが、私たち全員が陥ってしまった集団催眠を物語る。


5. Waku Waku (feat. Judicious Brosky)


バトルズとヘラの中間のような、インストゥルメンタル・マス・ロックが織り成す濃密なテクスチャーと非常にタイトなリズムの上で、日本人ラッパーの武骨な歌い回しが際立つ。 高速列車を舞台にした極東の小さなラブストーリー。


6.Post Math


インストゥルメンタルのポリリズムが幾重にも重なり、多面的なハイパーキューブを形成する。 エレクトロニック・ブラス、ベース・ライン、歪んだギター・リフ、ミニマルなシンセ、切迫したドラム・マシーンの中で、奇妙なメトリックス、トニック・シフト、不協和音が見事に調和している。 タイトルが示すように、この曲はほとんどマニフェストだ。


7. Learn to Ride Hurricanes (feat. Alessandra Plini)


ディストピア社会で生きることの葛藤についての生々しい寓話が、宣言的でありながら夢のような声で歌われている。 ストリングスが幽玄なギターに寄り添い、アルバムの中で最もロック色の強いエピソードとなっている。


8. Doromocrasy


ギターとシンセが交差し、追いかけっこをしながら、四角く容赦のないリズムを刻む。 スピードのパワーの神話を物語る、カラフルで花火のようなインストゥルメンタル曲。


9. Safoura (feat. Pape Kanoute)|


アフリカのグリオの賢者が、マスロックのポリリズムとエシェリアのアラベスクの上に座り、世界最古の物語を語る。


10. Mark Fisher Was Right (feat.Mark Fisher)


加速度論者の故マーク・フィッシャーは、オンユー・サウンドの威厳に響くポリリズミックなダブ・トラックに先見の明を感じさせる歌声を乗せ、アルバムを最高の形で締めくくる。


【Biography】


フィエスタ・アルバの音楽は、オルタナティヴ・ロックの進化を通して、提案、影響、実験がダイナミックに混ざり合い、本物のルートを描いている。


 アングロサクソン的な数学ロックの独特な解釈から始まったバンドは、アフリカン・ポリリズム、ループトロニカ、ダブ、ヒップホップ、プログレッシブ、ドラムンベースとの過激なハイブリッドによって、ジャンルの限界を越えようとしている。 インストゥルメンタルに重点を置きながら、フィエスタ・アルバは世界中の声をサウンドに加える。 


各トラックはユニークな個性を持ち、パンク、ラップ、アフロビートの要素で汚染されている。 その結果、ハイパー・キネティックで洗練された万華鏡のようなサウンドが生まれ、観客や批評家を魅了し、彼らのデビューEP(s/t, neontoaster multimedia dept.)が熱狂的に歓迎されたことが証明している。 


この研究は、このファースト・アルバム『Pyrotechnic Babel』において増幅され、バンドは新たな音楽的領域を探求し、慣習に挑戦し続けている。 実験と不適合に満ちた彼らのアプローチは、ジャンルやアルゴリズムに縛られる音楽シーンに対抗するものだ。


バトルズからキング・クリムゾン、アイ・ヘイト・マイ・ヴィレッジ、カエ・テンペスト、エイドリアン・シャーウッド、サンズ・オブ・ケメットを経て、ブライアン・イーノ、スティーヴ・ライヒ、フェラ・クティといった巨人にまで影響を受けたと宣言している。 彼らの音楽の流動的な進化を反映した、モザイクのような影響。


ケンドリック・ラマー、テイラー・スウィフト、リアーナ、トラヴィス・ケルシー、シモーヌ・バイルズらが、最高のインターネット・コンテンツとクリエイターを表彰するウェビー賞で栄誉に輝いた。


ウェピー賞はインターネット界のアカデミー賞とも称される。これまでIT分野において目覚ましい貢献を果たした団体やプラットフォームに贈与されている。過去の受賞サイト/プラットフォームは、Amazon、iTunes、eBay、Yahoo!、Google、Wikipediaなど。


一般的にはウェブメディアが表彰されることが多いが、今年は有名ミュージシャン、及びミュージシャンが運営するWEBプラットフォームも選出された。


国際デジタルアート&サイエンス・アカデミーは、火曜日に様々な部門の受賞者を発表した。 第29回授賞式は、5月12日にニューヨークのシプリアーニ・ウォール・ストリートで開催される。


ウェブビー・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー賞はスヌープ・ドッグに贈られた。 ウォルトン・ゴギンズは、"The White Lotus"、"The Righteous Gemstones"、"Fallout "などのストリーミング・プロジェクトでの演技が評価され、最優秀男優賞を受賞した。


Snoop Dog

授賞式はコメディアン俳優のイラーナ・グレイザーが司会を務め、ナイキ、ネットフリックス、レターボックス、アップルなどの主要ブランドやプラットフォームを表彰する。 フェイフェイ・リー博士は、人工知能への貢献と人間中心のAIを推進するリーダーシップに対して生涯功労賞を受賞する。


ウェブビー・メディア・グループのジェシー・ファイスター執行役員は次のように述べた、「今年の受賞者たちは、創造性と革新性のマスタークラスです。 彼らはインターネットの力を活用し、変化を促し、会話を弾ませ、新しい方法で私たちをつなげてきました。 新カテゴリーの導入により、これらのクリエーターはデジタル世界の未来を形成していることが評価されています」


この賞は1996年にウェブサイトを表彰することから始まった。 アプリやソフトウェア、ソーシャルメディアやゲームなど、新しいテクノロジーを取り込むまでに成長した。


グーグルは初のブランド・オブ・ザ・イヤーを受賞したほか、 NBCユニバーサルは最優秀メディア企業賞を受賞した。特別功労賞には、アメリア・ディモールデンバーグ、ジャスミン・クロケット下院議員、ジュールズ・レブロン、マルチェロ・エルナンデス、メイダス・タッチ・ポッドキャスト、ノーマン・ティーグが選ばれた。


その他の受賞者には、レディー・ガガのウェブサイト、マライア・キャリーとKAY Jewelersのパートナーシップ "It's Time"、ルポールの "Drag Race: The Pit Stop"、ラマーの "Not Like Us "ミュージックビデオ、ブライアン・コックスの "Brian Cox Goes to College "などがある。


また、エルトン・ジョン・エイズ基金、全米移民法センター、ホイットニー美術館など、使命感にあふれた団体も受賞した。今年は、活況を呈するクリエイター・エコノミーとクリエイターの影響力の拡大にスポットライトを当てる新しいカテゴリーが設けられた。 受賞者には、ザック・キング、ケイレブ・シンプソン、ジェイミス・ウィンストンなどがいる。

 


台湾期待のインディー・ポップ・バンド、緩緩 Huan Huan(ホァンホァン)が4月上旬にリリースされたシングル「心內話講袂出喙(Words Unsaid)」に続くニューシングル「害伯(Afraid)」をリリースしました。


Huan Huanは、同じく台湾のエレファント・ジム(大象体操)の次世代を担うポップ/ギターロックバンドとして注目です。 

 

ニューシングル「Afraid」は、アジア圏での根強いインディーポップの人気を裏付ける。Coco Hsiaoによる、心温まるようなボーカルを中心とする、親しみやすいポップソングである。マイルズ・チャンの叙情的なギターソロが印象的です。アウトロは、ココ・シャオによる夢想的なボーカルが、鳥の声のサンプリングと融和するかのように、心地よくフェードアウトしていく。



この曲は、5拍子と6拍子が絡み合うリズムを通して、人生の浮き沈みや本当の恐怖に直面する葛藤を描き、素直に自分を告白するという、緩緩-Huan Huanの民族性を示している。

 

アレンジでは、初めてメンバー全員で歌うことに挑戦し、ゴスペル調のオルガンやハーモニーを取り入れ、ギタリストのMyles Changの華麗なソロをさりげなく引き立て、間奏の核となり、この曲のハイライトへとつながっている。



ヴォーカルのCocoは、この曲は幼少期に買ったアイドル、孫燕姿 (Sun Yan-Zi )の「我要的幸福 (My Desired Happiness)」へのトリビュートだと語る。


彼女が子供の頃に初めて買ったアルバムで、この曲を書く過程で、「我要的幸福 (My Desired Happiness)」が5拍子混じりの6拍子の先駆けであることを知り、その偶然に驚き、痛く感動したという。

 

「害伯(Afraid)」

 

 

 

【ニューシングル情報】


 


アーティスト:緩緩 Huan Huan (ホァンホァン)
タイトル:害怕 (Afraid)
リリース日:2025年4月22日
フォーマット:デジタル・ダウンロード/ストリーミング
レーベル:Lirico

 

ストリーミング: https://lirico.lnk.to/DDIP-3110 



<プロフィール>


台北出身のインディー・ポップ・バンド。ヴォーカル/ギターでソングライターのココ・シャオを中心としたスリーピース。2017年にEP『緩緩』でデビュー。


2020年、1stフル・アルバム『水可以去任何地方 Water Can Go Anywhere』をリリースした。2022年、EP『Blue Room Orange Man』をリリース。


2023年10月、待望の2ndアルバム『When The Wind Came Across(瀏海被風吹得整個飛起來)』をリリース。

 

 
Coco Hsiao(蕭戎雯):Vocals, Guitar
Myles Chang (張天偉) : Guitar
Stone Shih(石哲安) : Bass
Yi Jen Peng(彭一珍): Drums


 
ボストンを拠点に活動する変幻自在のシンガーソングライター、Stacie Gruber(ステイシー・グルーバー)がニューシングルとミュージックビデオ「No One Is Alone」を公開した。ステイシー・グルーバーはハーバード大学で現代医学の専門的な研究を行い、現地の病院で最先端の医療に携わる才媛である。

 

米国の最高の学術機関で医学研究を行う専門的な研究者が音楽を通じて伝えたいことはなんなのだろうか? ER(Emergency Room)のようなドキュメント? これは非常に意外なことかもしれないが、それは人間の本質的な生き方なのかもしれない。投薬治療では治癒しえないもの、それを音楽という形で彼女は提供している。

 

ニューシングル「No One Is Alone(誰もひとりではない)」はその象徴のような意味がある。さらにそのメッセージの中には、現代社会に対するジャーナリスティックな精神が通底している。

 

今回、リリースされた「No One Is Alone」は、彼女が科学的な仕事と私生活の両方で、日々遭遇する人間的な体験を心に響く形で反映している。現在の世界で多くの人々が感じている孤独や孤立にインスパイアされたこの曲は、つながりや一体感の重要性を訴えるメッセージとなっている。



ステイシーは、多作な作曲家・編曲家マイケル・オーランド(アメリカン・アイドル)とプロデューサーのアヴリ・アヴリアフ(バックストリート・ボーイズ、NSYNC、レイJ)とチームを組み、喚起的で高揚感のあるポップ・ロック・アンセムに仕上げた。

 


ステイシー・グルーバーは、ボストンを拠点に活動する変幻自在のアーティストで、その類まれな音楽的才能、ストーリー性のあるソングライティング、感情的な深みは、リスナーの心に深く響く。彼女の作品は、個人的な体験と他者の感情的な物語をシームレスに絡め、孤独、寂しさ、希望といったテーマを探求する深い音楽的つながりを生み出そうとしている。


音楽は幼い頃からステイシーの人生の本質的な部分であった。内気で内向的な情熱から始まり、クローゼットの中で個人的に歌っていた音楽は、小学校で初めてソロ曲「クリスマスの12日間」を披露したとき、力強い歌声へと急速に開花した。その時、ステイシーは自分の本当の声を発見し、それ以来一度も振り返ったことはなかった。


幼少期を通じて、ステイシーは、フレンチ・ウッズ・フェスティバル・オブ・ザ・パフォーミング・アーツで多くの夏を過ごした。タフツ大学とニューイングランド音楽院の先駆的な5年間のデュアル・ディグリー・プログラムで、クラシック声楽科からジャズ研究科に移行した最初の人物となったとき、ステイシーの旅はユニークで野心的な方向へと進んだ。

 

この独特な教育的背景は、彼女の多面的な芸術性を形成し、演奏家としても作詞家としても多才な才能を洗練させた。アン・マレーからバーブラ・ストライサンド、カレン・カーペンター、KDラング、ビリー・エイリッシュ、ピンク・ナンシー・ウィルソン、ジョン・コルトレーンなど、彼女の影響を受けた音楽は多岐にわたる。多彩なジャンルが彼女独自の音楽的な背景に揺曳している。

 

 

 「No One Is Alone

 

 

その結果、彼女は様々な音楽スタイルやテイストを演奏するGBの人気バンドのリード・ヴォーカルとなった。


 
ボーカリストとして音楽的キャリアを花開かせる一方で、ステイシーはハーバード大学医学部の有名な教授として、またマクリーン病院の先駆的な神経科学者として、まったく別の分野でも卓越した業績を残した。

 

大麻に関する画期的な研究において、彼女は幅広い症状におけるカンナビノイドの長期的影響の理解に焦点を当てている。ステイシーの研究は、臨床試験に影響を与え、さまざまな病状に対する大麻の潜在的な利益について重要な洞察を提供する実データを生み出し、ゲームチェンジャーとなっている。


 
ステイシー・グルーバーのシングル 「No One Is Alone 」は、彼女が科学的な仕事と私生活の両方で日々遭遇している人間的な経験を心に響く形で反映したものだ。この曲は、現在の世界で多くの人々が感じている孤独や孤立にインスパイアされたもので、つながりや一体感の重要性を訴えるメッセージとなっている。ステイシーは次のように語っている。

 

「私は毎日、断絶された、あるいは取り残されたような経験の中で、絶対的に孤独だと感じている人々に出会っています。『No One Is Alone』は、たとえ最も孤独な瞬間であろうとも、私たちは互いの中に、場所の中に、ペットの中に、あるいはどんな形の仲間の中にでも慰めを見出すことができるということを思い出させてくれます。私たちはそれぞれ、特に苦難の時に貢献できる価値あるものを持っていることを忘れないでほしいという呼びかけでもあるんです」

 

彼女のパワフルなデビュー曲のために、ステイシーは、多作なライター兼アレンジャーのマイケル・オーランド(アメリカン・アイドル)とプロデューサーのアヴリ・アヴリアヴ(バックストリート・ボーイズ、NSYNC、レイJ)とチームを組み、喚起的で高揚感のあるポップ・ロック・アンセムに仕上げた。

 

「No One Is Alone "は、ソウルフルなヴォーカル、鮮やかなテクスチャー、カタルシス溢れるメロディーが、爽やかで屈託のないリズムに乗った印象的なサウンド・タペストリーを特徴としている。この曲は、生の弱さを深い感動へと導くステイシーの非凡な才能を示すもので、心も魂も揺さぶる一曲となっている。


ステイシーは、ダン・エイクロイドとブルース・ブラザーズとの共演、ビリー・ジーン・キングのためのアンセムの作詞、マイケル・オーランドとの大規模なイベントでのパフォーマンスなどで成功を収めている。

 

全般的な音楽と研究を通して、ステイシー・グルーバーは、音楽の変容力であれ、医学的解決法の科学的探求であれ、つながりの持つ力を体現している。「音楽は、人々が感じるべきことを感じる手助けになるのかもしれない......。私はいつも、音楽によって人々が他の誰かの視点を理解できるようになることを願っている」 彼女のシングル 「No One Is Alone 」は現在リリース中。

 


 

Staci Gruber is a transformative Boston-based artist whose exceptional musical talents, storied songwriting, and emotional depth resonate deeply with her listeners. Her work seamlessly intertwines personal experiences with the emotional stories of others, creating a profound musical connection that explores themes of isolation, loneliness, and hope.


 
Music has been an intrinsic part of Staci’s life from an early age. What began as a shy, introspective passion—singing privately in her closet—quickly blossomed into a powerful voice when she performed her first solo, "12 Days of Christmas," in elementary school. It was then that Staci discovered her true voice and has never looked back. 


 
Throughout her childhood, Staci spent summers at the French Woods Festival of the Performing Arts, which further solidified her deep love for music. Staci’s journey took a unique and ambitious turn when she became the first person to transition from the classical voice program to the jazz studies department in a pioneering five-year dual-degree program at Tufts University and the New England Conservatory of Music. 

 

This distinctive educational background has shaped her multifaceted artistry and honed her versatility as both a performer and a songwriter. 

 

Her diverse musical influences range from Anne Murray to Barbra Streisand, Karen Carpenter, KD Lang, Billie Eilish, Pink Nancy Wilson, John Coltrane and more, seeping various genres into her own unique musical melting pot. This led to her becoming a lead vocalist in a popular GB band that performed an eclectic range of musical styles and tastes. 


 
While her musical career flourished as a vocalist, Staci also achieved distinction in a completely separate field as a renowned Harvard Medical School professor and pioneering neuroscientist at McLean Hospital. 

 

In her groundbreaking work on cannabis, she focuses on understanding the long term impact of cannabinoids across a wide range of conditions. Staci’s research has been a game-changer, generating real-world data that has influenced clinical trials and provided critical insights into the potential benefits of cannabis for various medical conditions.


 
Staci Gruber’s single, "No One Is Alone", is a heartfelt reflection of the human experiences she encounters daily, both in her scientific work and personal life. 

 

Inspired by the isolation and loneliness that so many people feel in our current world, the song delivers a unifying message of the importance of connection and togetherness. Staci shares, “Every day, I meet people who feel absolutely alone in their experiences—disconnected or left behind. No One Is Alone is a reminder that even in our most solitary moments, we can find solace in one another, in places, in pets, or in any form of companionship. 

 

It’s a call to remember that we each have something valuable to contribute, especially in times of distress.” For her powerful debut, Staci teamed up with prolific writer and arranger Michael Orland (American Idol) and producer Avli Avliav (Backstreet Boys, NSYNC, Ray J), resulting in an evocative and uplifting pop-rock anthem. “No One Is Alone” features a striking sonic tapestry filled with soulful vocals, vibrant textures, and cathartic melodies over breezy, carefree rhythms. The song showcases Staci’s extraordinary ability to channel raw vulnerability into something profoundly moving, delivering a song that stirs both hearts and souls alike.


 
Staci has found success performing with Dan Aykroyd and the Blues Brothers, writing an anthem for Billie Jean King, and performing at several large events with collaborator Michael Orland. Through her music and her research, Staci Gruber exemplifies the power of connection – whether through the transformative power of music or the scientific exploration of medical solutions—and reminds us all that no matter where we are, we are never truly alone. 

 

She shares, “Maybe music really can help people feel things they need to feel… I always hope that music allows people to understand someone else’s perspective – empathy in its truest sense.” Her single “No One Is Alone” is out now.  

New Album Review:     Susanne Darre   『Travel Back』EP  

 

Label: Fluttery Records

Release: 2025年5月16日

 

Review

 

ピアノ曲の小品を主要な作風とするモダン・クラシックの一派は、これまでアイスランドのレイキャビクやイギリス/ドイツのアーティストを中心に作り上げられてきた。スザンヌ・ダールはこの次の世代の音楽家であり、メロディーの良さに重点を置いた感傷的なピアノの良曲を書いている。

 

5月16日にリリース予定のEP『Travel Back』は、ノルウェーのミュージシャン、Susanne Darre(スザンネ・ダール)による2024年のアルバム『Fragile』に続く作品となる。サンフランシスコのレーベル、Flutteryからのリリース。


スザンネ・ダールのピアノ音楽は、聴きやすく、琴線に触れる切ない旋律が特徴となっている。例えば、アイスランドのオーラヴル・アルナルズ、アイディス・イーヴェンセン、日本の高木正勝、坂本龍一、小瀬村晶、アメリカのキース・ケニフ(Goldmund)の音楽性を彷彿とさせる。あるいは、イージーなリスニングを意識した、静かでささやかなピアノの小品集としても楽しめる。カフェやレストランなど商業的な店舗のBGMとしてもオススメしたい。

 

近年のピアノ曲は、従来より音楽自体がポピュラー化している。ときに、それは旋律を口ずさめるという要素も込められているかもしれない。そして和声や楽曲の構造も簡素化に拍車がかかっている。これは近代以降、ミュージックセリエルなどの無調音楽が優勢になったことへの「反動」のようなものである。

 

結局のところ、ストラヴィンスキーやラヴェルなどの無調音楽に近い和声を多用した音楽家、そして、以降のジョン・アダムスですら調性を完全には放棄していない。彼らは、「調性の中の無調」というJSバッハの平均律の要素を異なる形で追求していた。いよいよ現代音楽そのものが形骸化しつつあり、内輪向けのものに変わりつつある中で、「無調の音楽をやる意味は何なのか?」という迷宮のような問いに対して、あっけないほど簡潔な答えを出したのが、2010年前後のドイツ/ベルリンのニルス・フラームであった。ロマン派の影響を交えたピアノ音楽は、ある意味では、それまでの現代音楽の作曲家とは別軸の答えを出したのだった。それは、結局のところ、ミニマリズムの範疇にある「音楽の簡潔化」という趣旨であった。クラシックは、つまり、ポピュラー、そしてイージーリスニングやアンビエントの範疇にあるBGMのような音楽の要素と結びついて、2010年代以降、以前とはまた別の形で蘇ったのである。だから、アンビエントプロデューサーの主催するレーベルから、このような音楽がリリースされるというのもうなずける話だ。それは別の形で音楽が繰り広げられるに過ぎないのかもしれない。

 

 

アートワークに象徴されるように、スカンジナビアの美しい風景を想起させるピアノ曲が中心となっている。それは、無限の時間と個人的な追憶という、2つの概念を原動力にして、伴奏と主旋律というシンプルな構成のピアノのパッセージが緩やかに流れていく。性急さとは無縁の落ち着き、静けさ、それは例えば、忙しい時間の中に生じる休息、そして、思い出の感傷的なエレジーのような雰囲気を持つに至る。「1-Nostalgia」はその象徴的な楽曲で、繊細でセンチメンタルな感覚を呼び覚ましてくれる。音の追憶の底に揺らめく安らぎ、時の流れが持つ美しさを感じ取ることも難しくはない。

 

「2-Picture」では、ニルス・フラームの最初期のようなイージーリスニングとモダンクラシックの中間にあるミステリアスな音楽を提供している。しかし、幾つかの下地やヒントがあるとはいえ、北欧のスカンジナビアの冬の雪の光景を思わせるような幻想的なサウンドスケープが施され、シンプルなピアノ音楽の中に神秘的な雰囲気と北欧神話のような幻想性を付け加えている。北欧的な神話の幻想性というのは、このノルウェーの作曲家の独創性の一つであり、最大の美点である。ぼんやり聴き始めると、いつの間にか終わってしまう。BGMのような性質を持つ、客観的な音楽である。

 

「3-Travel Back」は、ささやかであるが、センチメンタルで感傷的なピアノ曲である。イントロはドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」を彷彿とさせる、閃きのある単旋律を導入音として引き伸ばし、その後、淡々と短調を中心とするピアノのパッセージが続いている。この曲は、EPの楽曲構成の中で最も感傷的なイメージを持つ。 ピアノに深いリバーヴを施し、独特なアンビエンスを形成するという側面では、近年のモダンクラシックの流れに依拠している。


そして、同時に、何らかのサウンドスケープを呼び覚ます力があり、アルバムの全体的なイメージである、冬のスカンジナビアの海岸の光景や、その幻想性を想起させる。また、マスタリングのサウンド処理で、あえて高音部にエフェクトを施し、アンティークのピアノのような音色を作り出す。このあたりの残響を生かしたアトモスフェリックなサウンドは、アイスランドのオーラヴル・アルナルズに近い感覚がある。追憶の底にある懐かしさのような瞬間が演奏で表現される。聞き手は、その追憶という名の果てなき迷宮に迷いこまざるを得ない。

 

 

クローズを飾る「Hap」 EPの中で最も力が込められているように感じる。実際的に素晴らしい一曲である。この曲はミュージシャンが住むノルウェーの冬、雪深い風景という映像的なモチーフが、ピアノの麗しいパッセージによって、最も荘厳な美麗さを帯びる。アトモスフェリックなシークエンスを背景に繰り広げられる、アルバムに通底するマイナー調のピアノ曲は、冬の寒さ、儚さ、生命の気配に乏しい感覚を呼び起こすが、しかし、そこにしっかり息づく生命の神秘的な力を感じさせる。このピアノ曲は、クライマックスにかけて、幻想性が強まり、アートワークにリンクするかのように、神妙なエンディングを迎える。そこには、厳しさと慈しみを併せ持つ自然の崇高性に相対する時の人間の姿が、印象派の絵画のように、ものの見事に活写される。

 

ノルウェーの音楽家、スザンネ・ダールの描く音楽の世界は、追憶を元にした感傷的なエレジーのようだ。しかし、同時に、その最後には、感嘆すべきことに、神秘的な生命の力強さを得るに至る。『Travel Back』は、ミュージシャンの人生を見つめる力、そして、その端的な審美眼が作り出した、モダン・クラシックの美しき結晶である。

 

 

 

  

 

 

  

 Susanne Darre  :

 


ノルウェー出身の作曲家でピアニストのスザンネ・ダールは、ノルウェー北部の自宅でモダン・クラシック音楽を創作している。


ピアノへの生涯の情熱が彼女の創造性を刺激し、独自のメロディーを作曲、演奏している。音楽一家に育ったスザンネは、音楽とギター、そして膨大なレコード・コレクションを愛する父親の影響を深く受けた。


スザンヌは一人で音楽の制作、レコーディング、ミキシングをこなす。ヴィンテージ・ピアノのアコースティックな響きが好きで、歴史的建造物の中で音楽を創作するのが好きなスザンヌは、過去と現在の楽しいコントラストを生み出し、彼女の作曲に深みと個性を加えている。さらに、アンビエントなサウンドスケープや電子音とモダン・クラシック・ピアノ音楽の融合を探求し、伝統的な作曲の限界を押し広げている。


さらに、彼女の芸術的ビジョンは音楽だけにとどまらず、自然の風景の息をのむような美しさをとらえた写真にも及んでいる。スザンネ・ダールは、北ノルウェーの素晴らしさの真髄をとらえ、その静謐な風景と情感豊かなメロディーの感覚的探求へと誘う。