イギリスのサイケデリック・ポップ4人組、Templesは、Sean Ono Lennon(ショーン・レノン)がプロデュースしたニューアルバム『Exotico』を4月14日にATOからリリースする。バンドは最新シングル「Afterlife」を、ビーチで撮影したミュージックビデオで公開しました。以下よりご視聴ください。


「Templesのベーシスト、Thomas Walmsleyはプレスリリースで「トラックリストを作成する際に、ジェット機や宇宙船が島に到着し、この想像上の場所を横断するような旅をイメージしていた。レコードの後半になると、私たちは黄昏に移る。”Afterlife”は間違いなく夜の曲の1つです」


「"Afterlife”は、遠距離恋愛や、愛と孤独がしばしば隣り合わせになることを反映しています」と、リードシンガー/ギタリスト、ジェームス・バグショーは付け加えた。「孤独を感じるかもしれないが、決して一人ではないのだ。遠くにある光を見ることで、また会えるという希望が持てるようになる」

 

Templesはこれ以前に、ショーン・レノンが所有するスタジオで録音された「Cicada」、アルバムの発表に合わせて「Gamma Ray」を公開している。

 

「Afterlife」

 


ニューオーリンズのカントリーシンガー、Esther Rose(エスター・ローズ)は、4月21日にNew West Recordsからリリースされるアルバム『Safe to Run』のタイトル曲を公開しました。Hurray for the Riff RaffのAlynda Segarraとのデュエットで、この曲はアルバムのリードシングル「Chet Baker」に続く。


2021年の『How Many Times』の次作『Safe to Run』は、ロス・ファーベがプロデュースした。

 

「ソニック的に、ロスと私はこの曲にあらゆるアイデアを投げかけ、まるでこのメガパワーのある容器のようにすべてを吸収した」と、ローズは声明で「Safe to Run」について述べている。

 

「私たちはアウトロにたくさんのレイヤーを作り上げました。ロスがメロトロンで奏でるカウンターメロディと、彼が『天使たち』と呼ぶ高音1音のシンセドローンが大好きです。ベイエリアのデスメタルバンドCormorantのNick Cohonは、上昇するギターのアウトロをアレンジして破滅をもたらしました。アリンダ・セガラとのコラボレーションはとても有意義で、曲が飛び始めるのを聞くことができた。アリンダの声は、この巧みに調整された筋肉のようなもので、彼らが歌うと、すべてを感じることができます」


「Safe to Run」

 Hanakiv 『Goodbyes』


 


Label: Gondwana Records

Release Date: 2022年3月10日



Review


エストニア出身、現在、ロンドンを拠点に活動するピアニスト/作編曲家、ハナキフの鮮烈なデビューアルバム。マンチェスターの本拠を置くGondwana Recordsは、同国のErased Tapesとならんで注目しておきたレーベルです。最近では、Olafur Arnolds、Hania Raniらの作品をリリースし、ヨーロッパのポスト・クラシカル/モダンクラシカルシーンにスポットライトを当てています。

 

ハナキフの記念すべきデビューアルバム『Goodbyes』は一見すると、ポスト・クラシカルを基調においた作風という点では、現代の著名なアーティストとそれほど大きな差異はないように思えます。多くのリスナーは、このアルバムの音楽を聴くと、アイスランドのオーラヴル・アーノルズ、ポーランドのハニア・ラニ、もしくは米国のキース・ケニフを始めとする音楽を思いかべるかもしれません。しかし、現在、停滞しがちな印象も見受けられるこの音楽シーンの中に、ハニキフは明らかに鮮烈な息吹をもたらそうとしているのです。

 

ハナキフの音楽は、アイスランドのヨハン・ヨハンソンのように映画音楽のサウンドトラックのような趣を持つ。ピアノのシンプルな演奏を中心に、クラシック、ニュージャズ、エレクトロニカ、これらの多様な音楽がその周囲を衛星のように取り巻き、常に音楽の主要な印象を曲ごとに変えつつ、非常に奥深い音楽の世界を緻密な構成力によって組み上げていきます。特筆すべきは、深いオーケストレーションの知識に裏打ちされた弦楽器のパッセージの重厚な連なりは、微細なトレモロやレガートの強弱のアクセントの変容によって強くなったり、弱められたりする。これらがこのアルバムを単なるポストクラシカルというジャンルにとどめておかない理由でもある。

 

アーティストはそもそも、エストニアが生んだ史上最高の作曲家、アルヴォ・ペルト、他にもジョン・ケージのプリペイドピアノ、ビョークのアートポップ、エイフェックス・ツインの実験的なエレクトロニック、他にもカナダのティム・ヘッカーのノイズ・アンビエント等、かなり多くの音楽を聴き込んでいる。それらの音楽への深い理解、そして卓越した作曲/編曲の技術がこのデビュー作ではいかんなく発揮されている。このアルバムには、現代音楽、ニュージャズ、エレクトロニカ、アンビエントと一概にこのジャンルと決めつけがたいクロスオーバー性が内包されているのです。

 

オープニング「Godbyes」において、ハナキフはみずからの音楽がどのようなものであるのかを理想的な形で提示している。ミニマルなピアノを根底におき、ポリリズムを用いながら、リズムを複雑化させ、リズムの概念を徐々に希薄化させていく。最初のモチーフを受けて、ハナキフは見事なバリエーションを用いている。最初のプリペイドピアノのフレーズをとっかかりにして、エレクトロのリズムを用い、協和音と不協和音をダイナミックに織り交ぜながら、曲のクライマックスにかけて最初のイメージとはかけ離れた異質な展開へと導く。モダンクラシカルとニュージャズを融合させた特異な音楽性を最初の楽曲で生み出している。曲のクライマックスではピアノの不協和音のフレーズが最初のイメージとはまったく別のものであることに気がつく。

 

続く二曲目の「Mediation Ⅲ」は、ジョン・ケージのプリペイド・ピアノの技法を用いている。ポピュラーな例では、エイフェックス・ツイン(リチャード・D・ジェイムス)の実験的なピアノ曲を思い浮かべる場合もあるでしょう。そもそもプリペイド・ピアノというのは、ピアノの弦に、例えば、ゴム等を挟むことで実際の音響性を変化させるわけなんですが、演奏家の活用法としては、必ずしもすべての音階に適用されるわけでありません。その特性を上手く利用しつつ、ハナキフは高音部の部分だけトーンを変化させ、リズムの部分はそのままにしておいて、アンビバレンスな音楽として組み上げています。特に、ケージはピアノという楽器を別の楽器のように見立てたかったわけで、その点をハニキフは認識しており、高音部をあえて強く弾くことで、別の楽器のように見立てようとしているのです。その試みは成功し、伴奏に合わせて紡がれる高音部は、曲の途中でエレクトロニカのサウンド処理により、ガラスのぶつかるような音や、琴のような音というように絶えず変化をし、イントロとは異なる印象のある曲として導かれていくのです。

 

3曲目の「And It Felt So Nice」は芳醇なホーンの音色を生かした一曲です。前の2曲と同様、ピアノを基調にしたトラックであり、ECMのニュージャズのような趣を持った面白い楽曲です。ピアノの演奏はポスト・クラシカルに属するものの、複雑なディレイ処理を管楽器に加えることでサイケデリックな響きをもたらしている。ピアノの叙情的な伴奏やアレンジをもとに、John Husselのような前衛的な管楽器のアプローチを踏襲しています。ここでも前曲と同じように、電子音楽で頻繁に用いられるエフェクトを活用しながら管楽器の未知の可能性を探求している。


4曲目の「Lies」では、二曲目と同じプリペイドピアノ技法に舞い戻る。一見して同じような曲のようにも思えますが、エストニアのアルヴォ・ペルトの名曲「Alina」のように、低音部の音響を駆使することにより、ピアノそのものでオーケストラレーションのような大掛かりな音楽へと導いていきます。前曲とミニマリズムという点では同様ですが、印象派の音楽として全曲とは異なる趣を楽しめるはずです。特に、ミニマルの次のポストミニマルとも称すべき技法が取り入れられている。ここで、ハナキフはプリペイドピアノの短いフレーズをより細分化することによって、アコースティックの楽器を通じてエレクトロニカの音楽へと接近しているわけです。

 

5曲目の「No Words Left」は、Alabaster De Plumeをゲストに迎えて制作されたミニマルミュージックとニュージャズの要素を絡ませた面白い楽曲です。ハナキフはジャズとクラシックの間で揺らめきつつ抽象的な構成を組み上げている。特に、「Goodbyes」と同様、モチーフのバリエーションの卓越性がきらりと光る一曲であり、時にその中に予期できないような不協和音を織り交ぜることにより、奇妙な音階を構成していきます。 時には、ホーンの演奏を休符のように取り入れて変化をつけ、そのフレーズを起点に曲の構成と拍子を変容させ、映像技術のように、印象の異なるフレーズを組み上げています。これが、比較的、ミニマル・ミュージックの要素が強い音楽ではありながら、常に聞き手の興味を損なわない理由でもあるのです。

 

6曲目の「Mediation Ⅱ」はおそらく二曲目と変奏曲のような関係に当たるものであると思いますが、ダイナミックなリズムを取り入れることにより、二曲目とはまったくその印象を変え、 作曲家/編曲家としての変奏力の卓越性を示している。時には、弦楽器のピチカートらしきフレーズを織り交ぜ、シンコペーションを駆使しながら、本来は強拍でない拍を強調している。そこにプリペイドピアノの低音を意図せぬ形で導入し、聞き手に意外な印象を与える。ある意味、バッハの鏡式対位法のように、図形的な作曲技法が取り入れられ、カンディンスキーの絵画のようにスタイリッシュでありながら、数学的な興味を駆り立てるようなトラックに昇華されている。

 

7曲目の「Home Ⅱ」は、このデビュー・アルバムでは最も映画のサウンドトラックのような雰囲気のある一曲で、アイスランドのヨハン・ヨハンソンやポーランドのハニア・ラニの音楽性に近いものを多くの聞き手は発見することでしょう。ピアノの演奏はすごくシンプルで簡潔なんですが、対比となるオーケストラレーションが叙情性を前面に押し出している。特に弦楽器の微細なパッセージの変化がまるでピアノ演奏と呼応するかのように変化する様子に注目です。

 

8曲目の「Home I」は、ポスト・クラシカルの曲としては王道にあるような一曲。日本の小瀬村晶の曲を彷彿とさせる。繊細でありながらダイナミックス性を失わず、ハナキフはこの曲をさらりと弾いていますが、その中にも他の曲にはないちょっとした遊び心が実際の鍵盤のタッチから感じ取ることが出来ます。フランスの近代の印象派の作曲家の作風に属するような曲ですが、それはやはり、近年のポスト・クラシカル派の楽曲のようにポピュラー・ミュージックのような形式として落とし込まれている。演奏の途中からハナキフはかなり乗ってきて、演奏そのものに迫力が増していく。特に、終盤にかけては演奏時における熱狂性すら感じ取ることが出来るでしょう。

 

近年、 ポストクラシカルシーンは似通ったものばかりで、少し停滞しているような印象を覚えていましたが、先日のポーランドのハニア・ラニとエストニアのハナキフを聴くかぎりでは、どうやら見当違いだったようです。特に、ハナキフはこのシーンの中に、ニュージャズと現代音楽という要素を取り入れることで、このデビュー作において前衛的な作風を確立している。MVを見ると、前衛的なバレエ音楽として制作されたデビューアルバムという印象もある。

 

エストニア出身のハナキフは、作曲家/編曲家として卓越した才覚を持ち合わせています。今後、映画のスコアの仕事も増えるかもしれません。活躍を楽しみにしたいアーティストです。

 

 

90/100

 


 

 

東京のオルタナティヴ・ロックバンド、mitsumeがホワイトデーに合わせてサプライズシングル「チョコレート」を発表した。このニューシングルはミツメにとって2023年の最初のシングルとなる。また本作はバレンタインデーに24時間限定のリリックビデオが公開され、話題を呼んでいた。

 

少し前に、ミツメのメンバーは、ファンクを聴き込んだり、改めて作曲を勉強しなおしたという話ですが、このエピソードを強く印象づける一曲。もちろん、ミツメらしい切なくも甘みを感じさせるメロディも聴き逃がせないナンバーとなっています。カバー・アートワークは、写真家のトヤマタロウ氏が手がけている。昨年リリースのシングル「メビウス」とも関係性があるという。 

 

 

 


mitsume  「チョコレート」 New Single 

 

 

 Label: mitsume

 Release Date: 2023/3/14


楽曲のご視聴/ストリーミング:


https://ssm.lnk.to/Chocolate 

 



Art School Girlfriend(ポリー・マッキー)は、2ndアルバム『Soft Landing』を発表しました。8月4日にFiction Recordsからリリースされるこの新作アルバムには、以前シェアされたトラック「A Place to Lie」と、ニューシングル「Close to the Clouds」が収録される予定です。


「"Close To The Clouds”は、自分の20代をある種の切ない後知恵で振り返るという内容だ。10代から20代前半にかけて聴きまくった音楽のエネルギーを体現したかった」とマッキーは声明で説明している。「満足感を得るための曲がりくねった道を振り返り、それを見つける方法をやっと見つけたという内容」「"ソフトランディング "というアルバムタイトルは、この歌詞から取られ、このトラックは、内省、喜び、青春という、このアルバムのテーマの多くを表しています」


『Soft Landing』は、ポリー・マッキーの2021年のデビュー作『Is It Light Where You Are』に続く作品となります。「それが世に出るまでに、私はそれに無縁だと感じていたんです」と彼女は述べている。「でも、この新譜こそ、私の真のデビュー作のように感じています」

 

「Close to the Clouds」

 

Art School Girlfriend 『Soft Landin』


Label: Fiction Records
 
Release Date: 2023年8月4日



Tracklist:

1. A Place To Lie
2. Close To The Clouds
3. Real Life
4. Waves
5. Blue Sky feat. Tony Njoku
6. The Weeks
7. Laugh My Head Off
8. Out There
9. Heaven Hanging Low
10. How Do You Do It
11. Too Bright


 

Rihanna(リアーナ)は第95回アカデミー賞のステージで、ディズニーが配給する映画『ブラックパンサー』に提供した「Lift Me Up」を披露しました。ライブパフォーマンスの様子は以下よりご覧ください。この他にも、アカデミー賞ではレディー・ガガ、デイヴィット・バーンらがパフォーマンスを行っている。


「Lift Me Up」はオリジナル楽曲賞にノミネートされましたが、結局RRRの「Naatu Naatu」に敗れました。レディー・ガガの「Hold My Hand」(『トップガン:マーベリック』)、Son Lux、Mitski、David Byrneの「This Is a Life」(『Everything Everywhere All at Once』)、Rahul Sipligunj, Kaala Bhairava, M.M. Keeravaniの「Naatu Naatu」(RRR)、ソフィア・カーソンの「Applause」(Tell It Like a Woman)も同部門にノミネートされていました。


リアーナは先月、スーパーボウルのハーフタイムショーで5年ぶりにライブステージに返り咲いている。

 

 


JPEFGAMIAとDanny Brownは、長らく待ち望んでいたコラボレーションLP『Scaring the Hoes』を発表した。このアルバムの発売日は3月24日。JPEGMAFIAがプロデュースしたリード・シングル「Lean Beef Patty」で、このアルバムのプレビューを発表しました。以下、チェックしてみてください。


JPEGMAFIAは、2021年に最新のソロ作品『LP!』をリリースしています。Danny Brownの最新アルバム『uknowhatimsayin¿』は、2019年に発売されました。


 


Dean Bluntとのコラボレーションでもお馴染みのミュージシャン、画家、詩人のJoanne Robertson(ジョアンヌ・ロバートソン)。2018年、彼女はロンドンを後にし、グラスゴーに移住した。
 
 
彼女の絵画と音楽は、いずれも即興表現の瞬間から形成される。『Blue Car』は彼女の未発表のソロレコーディングのアーカイブを収録したアルバムとなっている。『Painting Stupid Girls』と同様、その瞬間、彼女がその日の感情をどこに置いたのか、日記のような記録となっている。これらのトラックはいつ書いたかは不明だが、およそこの10年の間に書かれたものだという。
 

 

©Shervin Lainez


The Hold Steadyは、近日発売予定のアルバム『The Price of Progress』収録の最新シングル「Understudies」を公開しました。

 

「これはサウンド的にTHSの過去8枚のレコードのどの曲からも飛躍している」とフロントマンのCraig Finnは声明で述べています。


「Franzがこのアイデアを持ち込んで、たくさんのクールな場所に行ったんだ。コントロールルームに入ると、GalenとプロデューサーのJosh Kaufmanが、最後のバースで入ってくるパンされたベースパートに取り組んでいたのを覚えています。私はそれに驚き、興奮しました。私たちは皆、そうでした。この話は、ある俳優が演技を終えて落ち着かない。彼と仲間のスタッフは、何か眠れるものはないかと、夜の街に消えていった。翌日、二人とも連絡が取れなくなり、監督は代わりのスタッフを探すために奔走する」


『The Price of Progress』はホールド・ステディの自社レーベルPositive Jamsから3月31日に発売される。

Interview  


Elijah Knutsen 

 


最初のインタビューは、米国/ポートランドのアンビエント・プロデューサー、Elijah Knutsenさんにお話を伺いました。

 

Elijah Knutsen(エリヤ・クヌッセン)は2021年にデビューしたばかりの新進の音楽家ではありますが、既にフルアルバムを一作、そして複数のシングルを発表しています。特筆すべきは、Elijahさんは大の日本愛好家であり、ファースト・アルバム『Maybe Someday』には、青森の青函トンネルを主題にした「Seikan Undersea Tunnel」が収録されています。また、電子音楽のプロデューサーではありながら、ザ・キュアーを彷彿とさせるオルタナティブロック、さらに美麗なサウンドスケープを想起させる叙情的な環境音楽まで幅広いアプローチを図っています。最近では、Panda Rosaをコラボレーターに迎えて制作された『...I wanted 10 Years Of Pacific Weather...』、そして先日には『Four Love Letters』を発表し、非常に充実した活動を行っています。

 

今回、MUSIC TRIBUNEは、Elijah Knutsenさんにインタビューを申し込んだところ、回答を得ることが出来ました。

 

音楽活動を始めるようになった契機から、プロデューサーとしての制作秘話、影響を受けたアーティスト、ポートランドや日本の魅力、他にも、パンデミック時にドッグトレーナーとして勤務していた時代まで様々なお話を伺っています。読者の皆様に以下のエピソードをご紹介します。

 

 


Music Tribune -12 Questions-

 

 

1. イライジャさんが音楽活動を始めたのはいつ頃ですか? また、音楽活動を始めるきっかけとなった出来事などがあれば教えてください。

 

私が幼い頃、母は学校に向かう車の中でいつもRadioheadのCDを流していました。最初は大嫌いでした。でも、大人になるにつれて、トム・ヨークの孤独な思いに共感するようになったんです。私が初めて楽器に触れたのは12歳頃のことで、ピアノでした。最初はピアノを習っていたのですが、あまりに難しいので、簡単な作曲を耳で覚えるだけでしたし、正式な音楽教育を受けていない今でもそうしています。



19歳のときにひどい別れを経験した後、質屋でギターを買い、長い時間をかけて弾き方を学び、何年もかけて低品質のレコーディングをたくさん作りました。それまでギターを弾いたことがなかったのに、自分はこんなに上手なんだ!と思っていました。でも最初に出したリリースを思い出すと、ゾッとします。



音楽活動を本格的に始めたのは、Covid-19の流行が始まった頃で、「Memory Color」というレコードレーベルを立ち上げたのがきっかけです。




2. 「Seikan Undersea Tunnel」など、日本の土地にまつわる曲も収録されています。日本やその文化に興味を持ったきっかけをお聞かせください。

 

日本は私にとって、いろいろな意味でとても興味深い国です。内向的で繊細な文化は、内気で物静かな私にとって、とても大切なものです。



日本やその文化には、明らかに西洋のローマ字が使われていますが、私が日本に魅了されているのは、それ以上のものだと思います。これほどまでに違う場所に行けば、自分の人生も大きく変わるに違いないと思うところがあるのです。それが本当なのかどうか、確かめたいと思っています。



日本の自動販売機も大好きですよ!(笑)



3. あなたの作品には、フィールドレコーディングが使われていると思います。どのように録音されているのでしょうか?

 

フィールドレコーディングの多くは、"Freesound "というウェブサイトから調達しています。また、ポートランド周辺の新しいエリアを訪れてフィールドレコーディングをするのも好きですが、レコーダーを売ってからはあまりしていません。自分のアルバムがある場所(例えば青森など)にリンクしたフィールドレコーディングは、ここで作るよりも特別なものになると思います。



4. 過去の作品には、ある特定の場所からインスピレーションを受けたものが多くあります。何らかの風景や写真からインスピレーションを得ることはあるのでしょうか? 



私は、自分が見た夢から多くのインスピレーションを得ます。私はとても鮮明な夢を見て、周りの環境と相互作用したり、感情を強く感じたりすることができます。以前、文明から遠く離れた南極の街に閉じ込められるという、とても寂しい夢を見たことがあります。その夢は、私のアルバム までのフィーリングを刺激することになりました。



また、日本や東欧など、世界中の場所の風景や写真を見るために、googleを使っています。長い時間をかけて世界の曖昧な場所を探索し、そこに住むとどんな生活になるのだろうと考えています。


曲が生まれる瞬間というのは、ある種の神秘的な瞬間であると思っています。曲を思いつくとき、そして完成させるとき、どのようにするのか、詳しく教えてください。



私の曲の多くは、その瞬間に完成します。技術的に難しい、もの(ドラムなど)でない限り、作曲を始めてから1、2時間以上はかかりません。コードや音符を思いついた後、フィールドレコーディングや、さらに様々な楽器を重ねて、トラックに追加します。



レコーディングよりも、アレンジやミキシング、マスタリングに時間を割くことが多いですね。自分の感情を楽器に託すような、最もシンプルな作品が一番幸せなんです。



5.これまでの作品では、アンビエント、ギターロック、環境音楽など、幅広い方向性を持っていますね。これは今後も続けていくつもりなのでしょうか?

 

私は非常に多くの種類の音楽を聴いているので、すべての音楽からインスピレーションを受けないということは難しいでしょう。新しいジャンルやタイプの音楽を試したりするのが好きなんです。


6. イライジャさんは、アメリカのポートランドにお住まいですよね? ポートランドの魅力、地元の魅力的な音楽、シーンなど、どんなことを知っていますか?



7歳の時にポートランドに引っ越してきて、それ以来ずっと住んでいます! ポートランドは大好きです。川が流れていて、遠くに山が見える、とてもきれいな街です。この街の場所にはたくさんの思い出があります。私のお気に入りの場所は、街を見下ろす大きな丘の上にあるローズガーデンです。とても穏やかで落ち着く場所です。この街にはたくさんのローカルミュージックがあり、小さな会場やフェスティバルもたくさん開催されています。ロックやパンクが多いのですが、私はパンクはあまり好きではありません。


7. あなたがこれまで聴いてきた音楽に最も大きな影響を与えたアーティストは誰ですか? また、それらのアーティストがどのような形で今のあなたに影響を与えていると思いますか?

 

私は "The Cure "の大ファンなんです。ロバート・スミスの文章には、いつもとてつもない感動を覚えます。私はかなりメランコリックな人間なので、彼の作る作品の多くに共感することができます。また、オーストラリアのサイケデリック・ロックバンド、「The Church」も大好きです。私は自分の曲には歌詞を書きませんが、これらのバンドが作る痛快な作品に大きなインスピレーションを感じています。



また、日本のアンビエントミュージシャンである "井上徹"(編注:1990年代〜2000年代に活躍したアンビエント・ミュージックのパイオニア的存在)にも大きなインスピレーションを受けています。彼のアンビエント・ミュージックはとてもユニークで、今まで聴いたことがないようなものばかりです。コクトー・ツインズのハロルド・バッドとロビン・ガスリーも、私のアンビエント作品に大きなインスピレーションを与えてくれています。



8. あなたの最初の音楽体験の記憶についてお聞かせください。また、それはあなたの人生に何らかの形で影響を与え続けていると思いますか?

 

音楽に関する最初の記憶は、幼い頃に祖父母の家でピアノを弾いたことだと思う。アンビエント」という言葉を知る何年も前に、私はかなりアンビエントなサウンドの曲を作っていましたよ。



9. Covid-19のパンデミックやロックダウンのおかげで、アーティストが音楽に集中できるようになったと考える人もいるようです。この点について、イライジャさんはどのようにお考えでしょうか? また、2021年以前と比較して、作りたいものが変わったのでしょうか?

 

パンデミック以前は、ペット用品店でドッグトレーナーとして働いていました。自分や家族が病気になるのが怖くて、有給を全部使ってしまい、結局解雇されました。しかし幸運なことに、何カ月も失業手当をもらうことができ、今までよりも多くのお金を手にすることができました。そのお金でレコード会社を立ち上げ、レコーディング機器や楽器に投資しました。



また、それまでリリースしていたポストロック・プロジェクト "Blårød "ではなく、自分自身の名前で環境音楽を制作するようになりました。そして、自由な時間のすべてを最初の2枚のアルバムの制作につぎ込みました。


 
10 .『Vending Machine Music 1』のリマスター盤が発売されましたね。この作品は、例えばブライアン・イーノの『Music For Airport』のように、これまでの作品の中で最も環境音楽的な要素が強いと思うのですが。改めて、なぜこの作品をリマスターすることになったのでしょうか? その理由を詳しく教えてください。

 

『Vending Machine Music 1』については、私の最高傑作のひとつだと思うので、リマスターすることにしました。この作品を最新の方法で聴衆に紹介したかったのです。このアルバムのマスタリングはあまり良くなかったし、まだミキシングについてあまり知らなかった頃に作ったものだった。また、オリジナル・アルバムでリリースされていない、私が手がけた過去のトラックも収録したかった。




11. あなたにとって、アンビエント・ミュージックとは何ですか? 消費される音楽以上の意味を持つとお考えでしょうか? 

 

私は、ほとんどすべての音楽が同じだけの重要性を持っていると感じています。ロマンチックな気分の時は、安っぽいポップスを聴くこともあるし、一般的に消費される音楽よりも「知的」ではないと思われるものも聴くことがある。しかし、そのような音楽でも、重要なことが書かれていないわけではありません。日本の環境音楽のリリースは、とても「イージーリスニング」でありながら、私にとってはとてもエモーショナルです。



アンビエントというジャンルを定義するのは、とても難しいことです。柔らかい、広い、ミニマル......ランプの音や虫の音のような小さなものがアンビエント・ミュージックになり得るのです。



最後に。


12. 今後の予定があれば教えてください。また、現在取り組んでいる作品があれば教えてください。曲(Four Love Letters)のテーマについて詳しく教えてください。

 

ニューアルバム『Four Love Letters』をリリースしたばかりですが、今は次のプロジェクトのインスピレーションを待ちながら、すねているところです。ここ数ヶ月は、ラーメン屋の仕事を失ったり、友人を亡くしたり、振られたり、腎臓結石になったりと、とても辛い日々でした。



アルバム『Four Love Letters』は、私が経験した辛い別れの後に生まれたもので、この関係に対する私の気持ちを音楽で表現するためのものです。これほど孤独を感じ、落ち込んだことはありません。このプロジェクトには、たくさんの感情、特に悲しみが込められていて、まだ悲しいですが、このアルバムの出来栄えにはとても満足しています。



本当にありがとうございました。- イライジャ・クヌッセン



1. When did you start your music career, Elijah? Also, please tell us about any events that triggered you to start your music career.

 

When I was younger my mother would always play Radiohead CDs in the car, on the way to school. At first I hated them! But as I got older I realized how much I really could relate to the lonely musings of Thom Yorke. I was first introduced to an instrument when I was around 12, the piano. I took piano lessons at first, but found them too difficult, and just learned to make simple compositions by ear, something I still do today, as I have no formal music education.


After a bad breakup at the age of 19, I bought a guitar from a pawn shop, and spent a long time learning how to play, making lots of low quality recordings over the years. I had never played the guitar before, and thought I was so good at it! I shudder when I think of the releases I started out with.


I began taking my music career more seriously at the beginning of the Covid-19 pandemic, when I started my “Memory Color” record label.




2. I think some of your songs are related to Japan, such as the ”Aomori Seikan Tunnel”. Please tell us how you became interested in Japan and its culture.

 

Japan is very interesting to me in many ways. For one, the culture there is much more introverted and subtle, something I have always valued, being a shy and quiet person myself.


There is obviously a bit of western romanization with Japan and its culture, but I find that my fascination with the country is more than that. One part of me must think that if I go somewhere so vastly different, that my life will also become vastly different. I am eager to find out if that’s true or not.


I also love the vending machines in Japan!



3. I believe that field recordings are used in some of your compositions. How are these recordings made? 

 

I source a lot of my field recordings from the website “Freesound.” I also love to visit new areas around Portland and make field recordings, although I haven’t done that much since I sold my recorder. I find that the field recordings linked to places that my albums are about (such as Aomori, Japan,) are more special than the ones I can make here.



4. Many of Elijah's past works have been inspired by a particular place. Do you get inspiration from some kind of landscape or photographic reference? 

 

I get lots of inspiration from dreams I have. I have very vivid dreams where I can interact with the environment around me, and feel emotions strongly. I had a very lonely dream once where I was stuck in a city in Antarctica, far away from all civilization. That dream ended up inspiring the feeling for my album “Maybe Someday.”


I also use google to view scenes and pictures of places from around the world, such as Japan or Eastern Europe. I spend a long time exploring obscure places in the world, and wonder what life would be like living there.




And I also think that the moment a song is born is a kind of mystical moment. Can you tell us(me ) more about when you come up with a song, and how you complete it?



A lot of my tracks are done in the moment, I usually don’t spend more than an hour or two composing a track after I’ve started unless it's something technically difficult (like drums.) After coming up with something like chords or notes, I add field recordings, and various layers of more instruments to the track.

 

Most of my time is spent arranging, and then mixing and mastering the track rather than recording! I find that the work I am happiest with has been the simplest, where it’s just my emotions letting the instruments show how I feel.


5. Throughout your past works, Elijah, you have taken a wide range of directions: ambient, guitar rock, and environmental music. Is this something that you intend to do?

 

I listen to so many different types of music that it would be difficult to not be inspired by all of them. I love experimenting with new genres & types of music. 



6. Elijah, you live in Portland, USA, right? What do you know about Portland, its attractions, its fascinating local music, its scene, etc.!

 

I moved to Portland when I was 7 years old, and have lived here since! I love Portland. It’s a very pretty city with a river running right through it, and mountains in the distance. I have lots of memories attributed to the places here. My favorite place is the Rose Garden, up on a big hill overlooking the city. It’s a very calm and tranquil place. There is a ton of local music here, and lots of smaller venues and festivals that occur. A lot of rock and punk is present here, although I’m not too big a fan of punk music.




7. Which artists have had the greatest influence on the music you have listened to? And in what ways do you think those artists influence you today?

 

I am a huge fan of “The Cure.” I have always felt incredibly moved by Robert Smith's writing. I am quite a melancholic person, and can relate to much of what he’s made. I also really love “The Church,” an Australian psychedelic rock band. Although I don’t write any lyrics for my songs, I find great inspiration in the poignant works these bands produce.


I am also greatly inspired by the Japanese ambient musician “Tetsu Inoue.” His ambient music is so incredibly unique, and unlike anything I had ever heard before. Harold Budd and Robin Guthrie of “Cocteau Twins” are also very big inspirations to my ambient works.



8. Please tell us about your earliest memory of your first musical experience. And do you think it continues to influence your life in some way?

 

I think my first memories of music would have to be when I would play the piano at my grandparents house as a younger child. I made some quite ambient sounding compositions years before I knew what “ambient” was!



9. Some people seem to think that the Covid-19 pandemic, and the lockdown for that matter, has allowed artists to focus on their music. What are your thoughts on this point, Elijah? Also, have you changed what you want to make compared to before 2021?

 

Before the pandemic, I was working at a pet supply store as a dog trainer. I used all of my time off because I was afraid of getting myself and my family sick, and eventually got laid off. Thankfully I was able to get unemployment payments for months, which amounted to more money than I’ve ever had before! I decided I wanted to pursue music as a career instead of just a hobby, and used the money to start my record label, and invest in recording equipment/instruments.


I also began to produce environmental music under my own name, rather than the post rock project I had been releasing under; “Blårød.” I put all of the free time I had into making my first two albums, which turned out to be my most successful releases!



10. Elijah has just released a remastered version of "Vending Machine Music 1”. I think this record, like, for example, Brian Eno's Music For Airport, has the strongest environmental music element of any of your previous works. Once again, why did you decide to remaster this work? Could you elaborate on the reasons?


I decided to remaster Music For Vending Machines because I feel that it is one of my best works. I wanted to re-introduce it to my audience in an updated way. The mastering of the album wasn’t great, and I had done it when I still didn’t know much about mixing. I also wanted to include a previous track I had done, that hadn’t been released with the original album.


11. What does ambient music mean to you? Do you consider it to mean more than music of consumption? 

 

I find mostly all music to hold the same amount of importance. Sometimes when I’m feeling romantic I will listen to cheesy pop records, or something one might view as less “intelligent” than the music I generally consume. Even if it is meant for easy consumption, that doesn’t mean it doesn’t have anything important to say! The Japanese environmental music releases are very “easy listening,” but also still very emotional to me.



Ambient as a genre is very hard to define. Many things to me mean ambient; soft, spacious, minimal… Something as small as a buzzing lamp or the sound of insects can constitute ambient music.



Lastly,


12. What are your future plans, if any? Are there any works that you are currently working on? Can you tell me more about the theme of the song (Four Love Letters)?

I just released my new album “Four Love Letters,” and am currently sulking around, waiting for inspiration for my next project. The past few months have been very hard for me, losing my job at a ramen shop, the loss of a friend, getting dumped, and kidney stones!



The album “Four Love Letters” comes after a hard breakup that I have gone through, and is a way for me to express my feelings about this relationship through music. I have never felt more alone and depressed! A lot of emotion, particularly sadness, has been put into this project, and although I am still sad, I can say I am very happy with how this album turned out. 



Thank you so much! - Elijah Knutsen

 

 

Interviewer: Music Tribune 

 

March 5th.  Cloudy Day.

 

 

また、Elijah Knutsenは先々週の3月4日に四曲収録の新作「Four Love Letters」をリリースしています。ブライアン・イーノの往年の作品を彷彿とさせる連曲です。上記の作品とともにチェックしてみて下さい。Elijah Knutsenのバックカタログはこちらでご視聴/ご購入出来ます。

 


 

このリリースに関して、「アルバムは非常につらい別れの後に作られ、私はこのプロジェクトに多くの悲しみと感情を注ぎ込みました。ロマンチックな喜びよりも、ほろ苦い失われた愛のアルバムです.これほど孤独で落ち込んでいると感じたことはありません」とElijahはコメントしています。


 

Miley Cyrus 『Endless Summer Vacation』 

 

 

Label: Columbia/Sony Music Entertainment

Release: 2023 3/10




マイリー・サイラスは歌手として大成功を収めたメガスターとも言え、さらに人気ドラマにも出演し、歌手、俳優として活躍するテネシー州出身のシンガー。ソロキャリアの売り上げは2000万枚超。シングルセールスは2億枚を誇る。また、俳優としても活躍目覚ましく、社会現象となったドラマ「ハンナ・モンタナ」にも出演したことで知られる。


2008年には『タイム』誌の最も影響力のある100人の内の一人、『ピープル』誌の最も美しい100人の内の一人に選ばれ、フォーブズ誌の有名人100では2,500万ドルを獲得し、35位だった。まさに、スターになるために生まれてきた人物といえますが、それでは、現地の主要メディアはこのシンガーについてどう見ているのでしょう? 


ローリング・ストーンのサイラスの賞賛記事「Miley’s Whole Career Has Been Building to This Moment」には次のように書かれています。


マイリー・サイラスのファンとして、なんという瞬間だろう。「Flowers」は、単なるサプライズ・カムバック・ヒットではなく、マイライズムの勝利である。タブロイド・スキャンダルやエレクトロ・スリーゼが渦巻く『Bangerz』時代の「Wrecking Ball」以来、10年ぶりのナンバーワン・ヒットとなった。


しかし、今、彼女はついに、ずっとなりたかったオールドスクールな大人の伝説へと変貌を遂げた。土曜日にリリースされる離婚後のアルバム『Endless Summer Vacation』のリード・シングル「Flowers」は、ハンナ・モンタナから世界的な大人への旅の集大成となる。この瞬間は現代のポップス界で最も長く、最も奇妙な物語の1つの頂点にあるチェリーである。


マイリーはまだ30歳ではあるが、すでに20年近くメガフェイマスアーティストとして活躍している。彼女は、普通のアメリカ人女性としての秘密の生活を持つ架空のポップスターを演じるディズニーのモペットとしてスタート。ハンナ・モンタナは、アイデンティティの面では楽しい鏡の家だ。彼女の父親は、実の父親である「Achy Breaky Heart」のビリー・レイ・サイラスが演じており、彼はすでにデヴィッド・リンチの映画の悪夢のシーンで自分を演じていた。


15年前の最初のトップ10ヒット「シー・ユー・アゲイン」でも、マイリーは自分の人格の危機を歌っている。サビのフックは「親友のレスリーは、『ああ、彼女はマイリーのままなんだ!』と歌っている。そして、以来、多くの変身を経て、常にマイリーであり続けている。最近、彼女は「あなたは私がトワークでマリファナを吸い、口の悪いヒルビリーだと言うことができますが、私は嘘つきではありませんから」とも打ち明けている。


「Flowers」がサイラスの最大のヒット曲となったのは、彼女にとって最もリアルであり、離婚後に再出発し、自分を愛することを学ぶための痛烈な頌歌だからである。彼女は「自分に花を買うことができる」という誓いで元彼に別れを告げた。元夫のリアム・ヘムズワースとの繋がりは誰にでもわかることで、10年連れ添った2人の結婚は1年足らずで終わり、2019年に燃え尽きた。

 

彼女は、"We were right till we weren't/Built a home and watched it burn "という言葉で、マリブ(カルフォルニア)の家が炎上するのを見た実体験を歌い上げている。また、2020年のカバーストーリーでローリング・ストーン誌のブリタニー・スパノスに語っている。「この火事は自分ではできなかったことをやってくれたのです。もはや目的を果たさないものから私を取り除いてくれたんです」



歌手、俳優として注目を受けた後、結婚生活のあっけない終焉、悲劇的なカルフォルニアのマリブの自宅の火事、こういった一連のゴシップに関連する出来事は、もちろんすべてがそうではないにしても、マイリー・サイラスに前進する勇気を与えたのではないでしょうか。そして世間的な幸福や成功というものが幻想のようにいかにいかに儚いものであるか気づかせたのかもしれない。

 

『Endless Summer Vacation』はマライア・キャリーの全盛期を彷彿とさせる米国らしさのあるポピュラー・ミュージックとなっている。それは近年の米国のポップスの文脈から見てもそれほどかけ離れた内容とはいいがたいものがある。アルバムには、ポップス、シンセポップ、R&B,南米的な情熱を交えた痛快なポピュラーアルバムとなっているが、そこには、マイリー・サイラスの表面的な華美さに加え、純粋で素朴な性質も感じられます。

 

『Endless Summer Vacation』の発売前には、オリジナルとデモの2つのバージョンを併録する「Flower」だけしか公開されなかった。これは興行の面で大きな効果を生むためのコロンビア・レコードの奇策の一つと言え、当日まで、アルバムの内容をミステリアスなベールで覆うことにより、発売時の音楽の印象を際立たせようとしたのです。

  

すでに、かなりの賛否両論を巻き起こしている作品ですが、年代を問わず楽しめるアルバムとなっています。少なくとも、哀愁と情熱を織り交ぜた「Flowers」や、それ続く、繊細さとダイナミックス性を兼ね備えた「Jaded」の2つの王道のポピュラー・ソングにおいて、サイラスは歌手としての抜群の安定力を見せ、華美さにとらわれない音楽を通じ、安らぎと晴れやかさを与えてくれる。これはサイラスなるシンガーの歌が類い稀な存在感を持ち、さらにオーディエンスを聴き入らせる情感の深さを持ち合わせていることを証左しているように思える。 

 

「Flowers」 

 

 

マイリー・サイラスの音楽性は、マライア・キャリーの時代のポピュラーソング、プリンスの時代の華やかなシンセポップ、スタックス・レコードの時代のR&B,少し前の時代のエイミー・ワインハウス、最近のリアーナを彷彿とさせるソウルフルなポピュラーソング、最新のトレンドのラップソング、その他にも、彼女の重要なルーツであるテネシーのカントリーミュージックが織り交ぜられています。


それらの要素が一つ前に出たかと思えば、別の曲では他の要素が前に出たりと、柔軟かつ流動的な役割を果たしている。どの音楽の影響が色濃く反映されているかまでは明言できませんが、アーティストが慣れ親しんできた音楽文化がナチュラルな形で曲に表れ出ている。これは、先にも述べたように、複数のプライベートの困難な出来事を通じ、現実的な出来事の中にある虚栄というものの寂しさや侘しさをアーティスト自身が感じとったからなのかもしれません。

 

これらの感覚は、派手なシンセを交えたダンサンブルなポピュラーミュージックの渦中にあって、哀愁と称するべき抒情性によって縁取られている。このブルージーな感覚が色濃く反映されたのが「You」となるでしょう。  


「You」

 


 往年の米国らしいバラードソングのスタイルを踏襲し、アーティストのルーツであるテネシーのカントリーとスタックス・レコードのR&Bのワイルドな雰囲気を交えたこのトラックは、新しいとも古いともつかない時代を超越したバラードとなっている。また、これは他のどの地域にも求められない特性で、アーティストの故郷テネシーへの淡い郷愁が表されている。サイラスのハスキーな渋いボーカルは開放感にあふれており、米国の広大で豊かな土地へのロマンを思わせる素晴らしい楽曲となっています。

 

さらに、天文学的なストリーミング回数記の記録を打ち立てた「Flowers」、美しさと圧巻の迫力を兼ね備えるバラードソング「You」の2曲に加えて、終盤に収録されている「Wonder Woman」も同じく、アーティストの代表的なレパートリーとなってもおかしくないようなトラックです。表面的なキャラクター性を越えた作品のクライマックスを飾る、繊細さと純粋さを兼ね備えたこのダイナミックな名曲には、表側には見えないスターシンガーの飾らない姿が垣間見える。特に、歌手の真の実力が試される簡素なバラードソング「Wonder Woman」において、マイリー・サイラスは、均一化されたデジタルレコーディングであるにも関わらず、自らの歌唱力と声量によって他を圧倒するような存在感を示しています。




 92/100 



Weekend Featured Track 「Wonder Woman」




マーズ・ヴォルタが2022年に発表したセルフタイトルのカムバック・アルバムの再構築された音響バージョン『Que Dios Te Maldiga Mi Corazon』を4月21日にClouds Hillより発売する。


「私は今、ようやくこのようなレコードを作ることができると悟ったんだ」と、メンバーのオマール・ロドリゲス・ロペスは言う。

 

「それが実験だったんだ。そして、めちゃくちゃ楽しかった。マーズ・ヴォルタはようやく始まったという感じだ。前作がセルフ・タイトルだったのはそのためで、ようやくすべてを取り払って、最初にあったコンセプトのすべてにたどり着いたから。そして、このアコースティック・バージョンは、深遠な場所からのもので、独自の意味と哲学、存在理由を持っているんだ」


『Que Dios Te Maldiga Mi Corazon』から公開された最初のシングルはフルートとパーカッションを駆使した「Blank Condolences」。Eva Gardnerがベース、Leo Genoveseがピアノを担当している。

 



St.Vincentは、今週放送された「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」に出演し、ルーツと一緒にポーティスヘッドの「Glory Box」のカバーを披露しています。パフォーマンスの模様は下記でご覧下さい。


このパフォーマンスは、セント・ヴィンセントが今週末に開催されるLove Rocks NYCのGod's Love We Deliver慈善コンサートに出演する前に行われた。イベントには、シェリル・クロウ、ジェームス・テイラー、ジム・ジェームス、ジョン・メイヤーなども出演し、ライブストリーミングされる予定です。St.Vincentの最新アルバムは2021年の『ダディーズ・ホーム』はとなる。

 

 

©Nik Pate


UKのシンガーソングライター、Róisín Murphy(ロイシン・マーフィー)が、DJ Kozeがプロデュースした新曲「CooCool」で、Ninja Tuneとの契約を発表しました。以下、チェックしてみてください。


この新曲について、マーフィーはプレスリリースで次のように語った。「表向きは儚げな小さな花だが、根っこの部分には大きな力が秘められている」

 

「クラシックな名人芸と軽快なタッチがあり、DJ Kozeの超モダンなプロダクションがバウンスとグライドを生み出しています。バカみたいにロマンチックな小さな愛の詩だ。このことは、どんなパロディもはるかに超えているんだ。この曲のすべてが真実であり、遊び心に満ちている。私たちは恋に落ち、ユーモアのセンスを保つことができるだろうか? そして自分の中の子供を受け入れよう! これは時代を超えた、エイジレスな、避けられない愛でもあるんだ」


「CooCool」は、マーフィーにとって、2020年のレコード『Róisín Machine』のリミックス版『Crooked Machine』をリリースした2021年以来の新曲となる。

 

 


Tame ImpalaがDungeons & Dragons(ダンジョンズ & ドラゴンズ)のために曲を書き下ろしました。


"D&Dのサウンドトラックのためのトラックを依頼されたことは、私が長年愛してきたファンタジー・プログレを満喫する見逃せない機会のように思えた。"と「Wings of Time」のKevin Parkerは言う。


「このテーマを最もよく理解している親友のニコラス・オールブルックに依頼しました。プリマヴェーラのツアー中に、スペインのお城のような別荘を2晩借りたんだ。その場所が僕らの心を動かし、そこから始まったんだ。夜遅くまで、変なアイデアや歌詞を考えていたよ」。


クリス・パイン、ミシェル・ロドリゲスなどが出演する本作は、3月31日にパラマウント・ピクチャーズとeOneによって全世界で劇場公開されます。


Sleaford Mods 『UK Grim』


Label: Rough Trade

Release Date: 2023年3月10日



Review 

 

ノッティンガムのジェイソン・ウィリアムソンとアンドリュー・ファーンのポスト・パンクデュオ、スリーフォード・モッズは2005年に立ち上げられたが、当初はウィリアムソンのソロ・プロジェクトとして出発した。

 

スリーフォード・モッズは、2009年までに三作のフルアルバムとEPをリリースした。まだこの時代にはスポークンワードとグライムの融合という現在の持ち味が出ていなかった。この状況を変えたのが、相方であるアンドリュー・ファーンだった。彼はUKのアンダーグランドシーンでDJをしており、2010年10月に、2人は出会ったのである。このとき、両者は、「All That Glue」という曲を書いて、翌年に共にデュオとして活動するようになった。


スリーフォード・モッズがプロミュージシャンとして独り立ちしたのは、2014年のことであり、グラスゴーでスカオリジナルバンド、ザ・スペシャルズのサポートを務めたとき。その後、英国に対する風刺を効かせたスポークンワード、UKのダンスフロア出身者らしいコアなグライムを制作するアンドリュー・ファーンのクールなトラックメイクが彼らの代名詞となった。彼らがザ・スペシャルズのサポートを務めた後、ミュージシャンとして独立したのは偶然ではあるまい。先日亡くなったテリー・ホールがそうであったように、デュオは労働者階級のヒーローともいうべき存在なのである。

 

現在、フロントマンのウィリアムソンさんは50歳を過ぎている。しかし、年齢からにじみ出る含蓄溢れるブレクジットや政権に対するシニカルな風刺という要素は、他のどのバンドにも求められないデュオの最高の魅力と言えるかもしれない。昨年、ラフ・トレードから発売された『Spare Ribs』もスポークンワードとポスト・パンクを融合させた快作だったが、昨日発売となった新作『UK Grim』もスリフォード・モッズの持ち味が十分引き出された快作となっている。いや、もしかすると、政治風刺の鋭さについては前作を上回るものがあるかもしれない。


先行曲として公開された「UK Grim」は、グリム童話のように、可愛らしくも不気味なイラストレーションのMVが特徴的だ。ジェイソン・ウィリアムソンは、ボリス・ジョンソン政権に対する暗示的な批判を加え、貴族たちに民衆が搾取されていることをほのめかしている。これらは英国政府の停滞を肌で感じる人々に痛快な印象を与えるはずだ。そして、デュオの代名詞である、ごつごつした鋭いポストパンクに根ざしたアンドリュー・ファーンのトラックメイク、お馴染みのジェイソン・ウィリアムソンのシニカルでウィットに富んだスポークンワードが刺激的な融合を果たしている。イントロダクションは戦闘機のエンジン音のように不気味な印象をもたらす。


その他、2ndシングルとして公開された「Force 10 from Navarone」では、2022年、4ADから『Stumpwork』を発売したイギリスのポスト・パンクバンド、Dry Cleaningのボーカリスト、フローレンス・ショーとコラボレーションを実現させている。これは表向きには、異色のコラボとも思えるかもしれないが、他方、両者とも知的なスポークンワードの要素を兼ね備えるという点では理にかなった共演と言える。情熱的なウィリアムソンのボーカルとショーのクールなボーカルという両極端の掛け合いは、スリーフォード・モッズの音楽に新鮮味をもたらしている。

 

さらに、3rdシングルとして公開された「So Trendy」には、Jane's Addiction(ジェーンズ・アディクション)のペリー・ファレルが参加した。ペリー・ファレルがデュオのファンで、彼の方から連絡をとったという。

 

このコラボレーションが面白いのは、USオルタナティヴの代名詞的な存在であるファレルは、痛快なコーラスワークによって、自身の音楽性の重要なアイコンであるヘヴィネスというより、オレンジ・カウンティのポップ・パンクのような明るい影響をこの曲に及ぼしていることだ。また、このトラックは今までのスリーフォード・モッズの楽曲の中で最も軽快さと明朗さを感じさせる内容となっている。他にも、前作『Spare Ribs』に収録されていた「Out There」の音楽性の延長線上にある「I Claudius」は、アシッド・ハウスとUKグライムを融合させたクラブミュージックで、アンドリュー・ファーンのセンス抜群のトラックメイクを堪能することが出来る。


前作に比べ、ウィリアムソンのスポークンワードは、アジテーションが少し薄まってしまったようにも思えるかもしれないが、依然として、昨年、トム・ヨークがサウンドトラックを担当したBBCのドラマ『ピーキー・ブラインダース』の終盤のエピソードに”ラザロ役”として出演したウィリムソンの醍醐味ーー怒りを内に秘めたスポークンワードーーの存在感は「Pit 2 Pit」に顕著に表れ出ている。さらに以前から自宅でのTikTok形式のダンスの動画をTwitterで公開しているミュージシャンらしいユニークさと遊び心も、本作の随所に見出すことが出来るはずです。

 

 

86/100

 

 

Featured Track「So Trendy」