Nils Frahmが、アルバム『Music For Animals』のプレビュー第3弾として、27分に及ぶニューシングル 「Briefly」を配信で公開しました。


『Music For Animals』は、2019年の『All Encores』と2018年の『All Melody』以来となるフラームの全新曲によるレコードとなり、ベルリンの複合施設Funkhausにある彼のスタジオで過去2年間にわたりレコーディングされたものである。


フラームは今度のアルバムについて、「私の不変のインスピレーションは、素晴らしい滝や嵐の中の木の葉を見るような魅惑的なものだった。シンフォニーや音楽に展開があるのは良いことだが、滝には第1幕、第2幕、第3幕、そして結末は必要ないし、嵐の中の木の葉にも必要ない。葉っぱが揺れたり、枝が動いたりするのを見るのが好きな人たちもいる。このレコードはそんな人たちのためのものだ」


「私の考えでは、最近の多くの音楽はクリスマスツリーの飾りのように装飾されすぎている」とフラームは続けた。


「僕はただツリーが欲しい。なぜ、毎年ツリーの飾りが増えるのか、なぜ、曲がもう少しコンパクトで濃く、消化されないのかがよくわからない。これが、私には、ますます不自然に感じられる点です。私は、リスナーが自分の頭の中で作曲を始めるように、そこにあるはずのものがないことを示す方が良いと思う。リスナーが音楽の中に自分自身を見出すこと、それが私の音楽の核心的な要素です。このアルバムでは、特に大きな空間が残されていて、そこはきつすぎず、圧迫されていないんだ」


 

©︎ El Hardwick

Naima Bockが、デビュー・アルバム『Giant Palm』からのシングル「Campervan」のライブ・パフォーマンス映像を公開しました。この曲は、バイオリニストのOliver Hamilton(caroline, Shovel Dance Collective)とInstitute Collectiveのコンテンポラリーボーカルアンサンブルと共に録音されたものです。マーゲイトのウェーバリーハウスで撮影された映像は以下から。


ボックはプレスリリースで「Institute Collectiveと一緒に仕事をするのは本当に楽しいことで、シンガー、アレンジャー、スタッフみんなに会えて素敵な一日でした。撮影中はとても特別なエネルギーがあり、一緒に歌えば歌うほど良くなっていきました。このビデオをリリースすることができ、また、このような才能ある人たちと一緒に仕事ができたことを嬉しく思っています」と説明する。


Institute Collectiveを設立した作曲家、プロデューサー、ボーカルアレンジャーのHughie Gavinは、次のように述べている。


「この曲には自然な波と流れがあり、『Campervan』のアレンジがとても気に入りました。この曲には自然な波と流れがあるので、その動きに合わせて声が上がったり下がったりするように心がけました。また、曲のコントラストがはっきりした部分もより忠実に再現したかった。歌の内容もさることながら、合唱団の歌い方も重要で、詩の部分の軽やかな盛り上がりから、コーラスのリフレインまで、ほとんど荒々しく歌いました」


 

 

Photo: Rahi Rezvani

Editorsが、Blanck MassことBenjamin John Power(ベンジャミン・ジョン・パワー)とのタッグを組んで初のアルバム『EBM』から最新の先行シングル「Vibe」をリリースしました。これまでに公開された「Heart Attack」「Karma Climb」「Kiss」に続くシングルとなります。


 

  

バンドのギタリスト兼キーボード奏者のトム・スミスによると、この新曲は、(2019年のシングル)「Frankenstein」が去った場所を引き継ぎ、夜と、暗闇の中で繁栄する全てのものを祝う賛美歌である、と説明しています。


EBMは9月23日にPlay It Again Samからリリースされる予定です。



 


今週初め、世界的に大きな論争を巻き起こしたカナダのロックバンドArcade Fireは予定通り、UKツアーを開始した。先日の記事においても報じたように、現在、この問題は非常に世界的な問題となりつつあるようなのだが、張本人のウィン・バトラーは、今週日曜日のPitchforkの報道による告発を完全に否定している。しかし、カナダ国内の主要なラジオ放送局では、現在アーケイド・ファイアの曲のオンエアが停止されており、国内の二つのラジオ局はこれらの問題が何らかの解決を見るまで、同バンドの曲を公共電波に乗せないという趣旨の発表を行っている。

 

英国のシンガーソングライター、Feistは、アイルランド/ダブリンで行われたアーケイド・ファイアの最初の2公演のオープニングを飾った。この2公演は、ウィン・バトラーを複数の女性が性的不品行で告発して以来、バンドにとって初めてのコンサートとなり、フィーストのマーチャンダイズの売り上げは、アイルランド全土の女性や子どもに対する家庭内暴力の防止に取り組む団体、[WOMENS AID DUBLIN/ウィメンズ・エイド・ダブリン]に全て寄付されることになっているが、今回、ファイストは、この二公演を終了した時点で、同ツアーから離脱すると公式に発表した。このツアーからの離脱は相当な迷いがあった上で決断されたものと思われる。


インスタグラムの公式アカウントに投稿された声明で、Feistはこのキャンセルについて次のような声明を公開している。


ダブリンのパブで、私のバンドとリハーサルをした後、私は、多くの方々と同じような(アーケイド・ファイアにまつわる)見出しを読みました。私たちには、これから起こることに備える時間はもちろん、この状況の心の中に収めつつ、海を渡って飛び込むことを決断するチャンスを与えられなかった。このツアーを続行することは、私にとって信じられないほど困難なことであり、(今回のアーケイド・ファイに対する告発に際して)名乗り出た人たちがどれほど困難であったかはそれほど想像に難くありません。私は、現時点で、何よりも関係者の方々の癒しを願っています


これは私よりも、私自身がうたう歌よりもはるかに、そして、どんなロックンロール・ツアーよりもはるかに大きな問題に変わりありません。この難しい状況における自分の責任について考えようとした時、周囲の人々から何十通ものメッセージが届き、私が二律背反の状況に追い込まれたことにいささか同情してくれました。その後、アーケイド・フィアのツアーサポートに居残ることは、私がウィン・バトラーによる複数の女性への性被害を容認するか無視するかのいずれかの象徴となるわけであり、去ることは、私が裁判官であり陪審員であることを意味するかもしれません。


私は、もちろん、Arcade Fireのために、あるいはArcade Fireと共に立つためにステージに立とうというのではありません。自分の居場所であり、自分のものとして獲得したと感じるようになったステージに、自分の足で立つためにここにいようと考えるのです。私は常々、自分のバンド、クルー、彼らの愛する人たち、そして、私たちの家族、そして、ショーという集団的な相乗効果の中で空間を共有するために苦労して稼いだお金を払ってくれる人たちのために演奏をしています。私の成功や失敗、その他の決断のウェイヴが、私たちの生活すべてに影響を与えます。私は、自分の人生や考え、経験について歌いながら世界中を旅しており、それが私のキャリアとなることがいかに幸運なことかを認識しています。それを当然と思ったことは一度もありません。


私の経験には、土曜日にニュースが流れてから話した多くの人たちと同じ経験が含まれていますし、この手紙でしか伝えられないかもしれない、あるいは全く伝えられないかもしれない多くの見知らぬ人たちも含まれています。私たちは、皆、基本的な有害な男らしさから蔓延する女性差別、そして実際に身体的、心理的、感情的、性的暴行を受けたことまで、幅広い範囲での物語を持っている。この状況は私たち一人ひとりの人生に触れ、私たち一人ひとりの処理に特有の言語で語りかけてくるのです。上記のいずれかに耐えた場合、治癒への道は一通りではありませんし、加害者を更生させる道も一通りではないはずです。また、加害者を更生させるための道もありません。辞めても解決しないし、居ても解決しない。でも、少なくとも続けることはできない。


しかし、そのような(脆弱な)行動は常に恐怖から生まれるものであり、恐怖は私たちが最高の自分を見つけ、最高の決断をする場所ではないのです。恐怖は、共感や癒しを促さず、この種の会話を発展させるための安全な空間を開くことも、被害を受けた人々に真の説明責任と反省を提供することも出来ません。


私は不完全な人間であり、おそらくこの決断を下すことについても不完全でしょう。しかし、バンドやクルー、そして家族を大切にするための最善の方法は、このツアーからしばらく距離を置くことであり、これらの話題からしばらく離れることだということは確かなのです。この2日間のステージにおいて、私の歌は、この決断をしてくれました。これらのレンズを通して音楽を聴くと、私のキャリアを通じて、自分自身を明確にするために取り組んできたこととは不一致となるものでした。私はいつも、自分の中にある微妙な難点を挙げ、最高の自分を目指し、必要な際には責任を主張するために曲を書いてきました。そして今、私は自分の責任を主張するため、(アーケイド・ファイアのツアーサポートを取りやめ)家に帰ることを決断いたしました。


レスリー


 

©︎Samantha King

 

シンガーソングライター、Molly Payton(モリー・ペイトン)が、次のEP『Compromise』のリリースを発表し、ニュー・シングル「Do It All the Same」のPVを公開しました。

 

2021年のフルアルバム『Slack』に続くこの作品は、”The Orchard”から11/2にリリースされる予定となっています。先行シングル「Do It All the Same」は以下からチェックしてみてください。


"この曲は、特に悪いことが続いた後に生まれた "と、ペイトンはプレスリリースで説明している。

 

「お金がなく、余裕のないツアースケジュールを始めようとしていて、自分の将来を本当に憂いていた。そのような生活を送っていると、手に入れられるどんなものにも本当に一貫して感謝するようになります。”Do It All The Same "は、深遠なものでも画期的なものでもなく、ただ自分のために存在するもう一人の人間に感謝する曲です」

 




さらに、モリー・ペイトンは、今月、オーストラリア、及び、母国ニュージーランドで開催される、イギリスのシンガーbeabadoobeeの”BeatopiaTour”のサポート・アクトを務める予定です。


 


1980年代初頭から活躍するロックンロールのカルトヒーロー、偉大なシンガーソングライターでもあるRobyn Hitchcockは、来月、5年ぶりの新作LP『SHUFFLEMANIA!』の発売を予定しています。7月のアルバム発表時には次のようなHitchcockからのメッセージが添えられていました。

    

親愛なるリスナーの皆さん、こんにちは。

    新しいレコード・アルバム『SHUFFLEMANIA!』を世に送り出すことができ、とても嬉しく思っています。

    SHUFFLEMANIA!」とは何か?それは、運命に乗ること、直感を信じること、そして、運命と闘うことです。ランダムなものを受け入れ、たとえそれが歯を磨く必要があるときでも、それと一緒に踊ることだ。おそらく、私が作ったアルバムの中で最も一貫性のあるアルバムだと思います。パーティーのレコードだが、パーティーにはつきものである厳粛な瞬間も少しある。グルーヴオン、グルーバーズ!

    Love on you,

    RH x

    2022年7月、ナッシュビル

 

ロビン・ヒッチコックは、この作品を「きちんとしたポップ・アルバム」と称しており、ブレンダン・ベンソン、ジョニー・マーといった友人や崇拝者の協力を得て、パンデミック時代に世界中の地域でレコーディングを行った。ヒッチコックは、ファースト・シングル 「The Shuffle Man」を公開している。 

 

 

 

今回、ロビン・ヒッチコックはファーストシングルに続いて「The Raging Muse」という新曲を発表した。


「The Raging Music」は、大掛かりなリフとサイドロングのフックに満ちた、不協和音の雰囲気に満ちたパワーポップジャムとなっています。ロビン・ヒッチコックは、この曲を、”You Am I”のリーダーDavid Lane(デヴィッド・レーン)の協力を得てレコーディング、タイトでありながら雑多な印象を与える作品に仕上げた。プレスリリースを通じて、ヒッチコックは「この曲は私の潜在意識の湖から生き生きと揺らめきながら、私のもとに新鮮なままやって来た」と語っている。


 「そもそも、私は強迫観念的な作家であると打ち明けねばなりません。"The Raging Muse "は、2020年にナッシュビルで書かれた。 1986年に『Element Of Light』で弾いたのと同じ古いテレキャスターのギターを使用し、タビーとリンゴが忠実にエンジニアを務めた、大雑把なホーム・レコーディングからこのプロジェクトは始まりました。

 曲の大方の骨組みが完成したところで、メルボルンの友人デイヴィー・レインにデモを送ると、彼はスパイクのような刺激的なリード・ギターで肉付けしてくれた。その後、カーディフの友人チャーリー・フランシスに、メロドラマ風のピアノとバグパイプのアレンジを付け加えてもらいました。

 この曲の中に出てくる草叢の中のいる奇妙な魚は、実のところ、私が何度も繰り返し見る不思議な夢の一つであって、おそらくまた、すぐ夢に出てくるだろうと思います」

 

シングル発売と同時公開された「The Raging Muse」のアニメーション・ビデオにもロビン・ヒッチコックの夢に出てきたという不可思議な魚が登場しています。

 

 

 

 

Robyn Hitchcock 『SHUFFLEMANIA!』

 


 

Tracklist

 

1.Shuffle Man

2.Inner Life Of Scorpio

3.The Feathery Serpent God

4.Midnight Tram to Nowhere

5.Socrates In Thin Air

6.Noirer Than Noir

7.The Man Who Loves The Rain

8.The Sir Tommy Shovell

9.The Raging Music

10.One Day(it's Being Scheduled)

 

 




ケンドリック・ラマーが、今年5月13日に発表した最新スタジオアルバム『Mr. Morale & the Big Steppers』に収録されていたハイライト曲「We Cry Together」のショートフィルムを公開した。


このビデオクリップには、ケンドリック・ラマーだけではなく、同曲にゲスト参加しているテイラ・ペイジが出演している。ジェイク・シュレイアー、デイヴ・フリー、ケンドリックの3人が監督を務めた。2020年3月にライブボーカルでワンテイクで撮影されました。下記よりご覧ください。


『Mr.Morale & the Big Steppers』のリリースと同時にケンドリックはアルバム・トラック「N95」のビデオを公開しています。

 


ニュージャージー出身のヒップホップアーティストCakes Da Killaが、Young Art Recordsより10月28日にリリースされる新作アルバム『Svengali』を発表した。ケイクス・ダ・キラは、ヒップホップ、ハウス、エレクトロニック、ダンスミュージックを融合させたアメリカの次世代を担うラップアーティストの一人です。

 

本日の発表では、アルバムのタイトルトラックと、Rahil Ashruffが監督を務めたビデオが公開されています。アルバム・ジャケットとトラックリストは下記にてご覧ください。


『Svengali』は、2020年と2021年にそれぞれリリースされたDa Killaのミックステープ『Muvaland Vol.1 & 2』に続く作品となりますが、それ以前にレコーディングが行われたものだという。先にリリースされたシングル「Drugs Du Jour」と「Sip Of My Sip」が収録されています。





Cakes Da Killa 『Svengali』


 

Tracklist:


1. Overture
2. W4TN
3. Rabbit Hole
4. Svengali
5. Luv Me Nots
6. La Cocaina
7. Mirror Mirror
8. Drugs Du Jour
9. Gratitude
10. Ball And Chain
11. Sip Of My Sip [feat. Sevendeep]
12. Luv Me Nots [Reprise]
13. Sub Song
14. Think Harder
15. Climax


 

©︎Samuel Bradley


The 1975の最新シングル「I'm In Love With You」は、彼らの復帰公演となったサマーソニックで最初に披露された曲です。


この曲は、10月14日に"Dirty Hit"からリリースされる5thアルバム『Being Funny In A Foreign Language』に収録されるもので、75年代のクラシックなポップ・バップとなっています。


The 1975は、この新曲の発表と同時に、2023年初頭にUKツアーを行うことも発表しています。


サミュエル・ブラッドリーが監督した「I'm In Love With You」のミュージック・ビデオは、バンドの「I Like It When You Sleep...」ヒット曲「A Change Of Heart」の続編で、米国の人気シンガー、Phoebe Bridgersが特別出演しているのにも注目です。

 

 


Franz FerdinandがThe Late Late Show With James Cordenに出演し、最近のベストアルバム『Hits to the Head』に収録されている新曲「Curious」を披露してくれました。その模様は以下でご覧ください。

『Hits to the Head』はDominoから3月に発売された。「Curious」に加えて、「Billy Goodbye」という新曲も収録されています。




ジャネット・ジャクソンの「リズム・ネイション」の特定の周波数が、マイクロソフト社の特定のコンピューターをクラッシュさせていたことが、同社の主任ソフトウェア・エンジニア、レイモンド・チェンのブログ記事で明らかになった。チェン氏は記事の中で次のような記事をかいています。


「私の同僚が、Windows XPのプロダクトサポートでの話を教えてくれました。ある大手コンピューターメーカーが、ジャネット・ジャクソンの「リズム・ネイション」のミュージックビデオを再生すると、あるモデルのノートパソコンがクラッシュすることを発見したのだ。この問題を調査するために彼らが設置したはずの実験室に、私はいたくなかったでしょう。芸術的な判断ではない


 調査中の一つの発見は、ミュージックビデオを再生すると、競合他社のラップトップもクラッシュするということだった。


 そして、極めて奇妙なことが発見された。あるノートパソコンでミュージックビデオを再生すると、その近くにあるノートパソコンがクラッシュしたのです!そのノートパソコンはビデオを再生していなかったのに。


どうしたんだろう?


 その曲には、同社や他のメーカーが使っている5400rpmのノートパソコン用ハードディスクの固有振動数の1つが含まれていたのです。


 このメーカーは、オーディオのパイプラインにカスタムフィルターを追加し、オーディオ再生時に問題の周波数を検出して除去することで問題を解決しました。


 そして、そのオーディオフィルターには、デジタル版の「削除禁止」ステッカーが貼られていたはずです。(しかし、この回避策が追加されてから何年も経っているので、誰もその理由を覚えていないのではと心配になります。願わくば、彼らのノートパソコンには、もう使わないモデルのハードディスクの破損を防ぐために、このオーディオフィルターがまだ搭載されていないことを祈りたい)。


そしてもちろん、自然共振周波数の話は、1940年のタコマナローズ橋の崩落を抜きにしては成立しません」


どうやらこの問題は、ノートパソコンがビデオを再生しているかどうかに関係なく発生し、曲の周波数が、5400rpmのハードディスクを搭載したノートパソコンの自然共振周波数に近すぎたことが原因だったそうです。


この問題は、メーカーがオーディオ再生時にこの周波数を検出・除去するカスタムフィルターを追加したところ、すぐにシステムは復旧したという。マイクロソフトは、このクラッシュについて "芸術的判断ではない "と指摘している。


この奇妙な問題にもかかわらず、ジャネット・ジャクソンのこの曲を収録したアルバムはビルボード200チャートで4週連続1位を獲得する大ヒットとなった。どうやらこの曲の周波数はコンピュータを惑わす魔力を持っているらしい・・・。


 実存主義とニヒリズムの美学 Gothの系譜 

 

 ゴシックロックとは、1970年代から80年代にかけて隆盛を極めたロックミュージックで、それ自体が英国の若者のカルチャー、ファッションと結び付けられる場合もある。 1970年代、実際、最初のゴシックという文化がどこから生じたのか、これは多くの文献を辿らなければわからない。一例では、オーストラリアのニック・ケイヴを擁するバースデイ・パーティの音楽を、音楽ジャーナリスト、サイモン・レイノルズが「ゴシック」というように評した。これが音楽におけるゴシックという概念の初出となる。

 

 ファッションや1つのニヒリズムに象徴されるように、ゴシックは思想的な側面とも全く無関係ではないものの、音楽という側面から語るのならば、この音楽の最初の下地を作ったのは、ジョイ・デイヴィジョン、そしてこのバンドのフロントマン、イアン・カーティスのキャラクター性にあると思われる。モノクロのアーティスト写真、そして、モノクロのアートワークというその時代性から逆行するような印象を掲げ、マンチェスターのシーンに登場したイアン・カーティス及びバンドだったが、これらのゴシック性は、ポスト・パンクの文脈から生まれでたものであることは疑いない。彼らのファッション自体も素朴でありながら、パンクロックの系譜にあるモノクロの概念によって彩られていた。

 

 これらのゴシック性(ゴス性)は、イアン・カーティスのニヒリズム、実存主義的な歌詞、歌唱法によって、さらにそのイメージが強化され、のちのイギリス国内のゴシックムーブメントに引き継がれていく。ジョイ・デイヴィジョンの後続のロックバンドの多くは、New York Dolls、T-Rexのマーク・ボラン、デヴィッド・ボウイのようなグラム・ロックの中性的なメイクを施していることから、以前の1970年代に隆盛したグリーター・ロックと密接な関係を持つ。

 

 これらのイギリスのバンドの流れを汲んだ後、1990年代に入ると、この建築用語に根ざしたゴシック文化は、以前のパンクカルチャーと同じように、音楽の文脈のみで語られるものではなくなっていく。以後は、その他地域でもファッションの中に普通に取り入れられるようになり、米国でもこれらの暗鬱な雰囲気をキャラクター化したMisfitsのようなホラーパンクバンド、トレント・レズナー擁するNIN、過激なステージ・パフォーマンスで常に物議を醸し出すマリリン・マンソン、その他、ロブ・ゾンビ率いるWhite Zombieのようなそれに付随するインダストリアル・ロックの系譜に当たるセンセーショナルなバンドが、これらのゴシック文化の影響を受け、ミュージック・シーンに続々と登場し始めていた。2000年代に差し掛かると、このゴシックカルチャーは、ファッションとしても導入されるようになり、メインストリームに押し上げられたため、アーティストたちが率先して取り入れる必要もなくなり、ゴシック・メタルなどのバンドのキャラクター性として取り入れられていたものの、ミュージックシーンとししてアンダーグランドに潜りつづけた。しかし、近年、再び、ミュージシャンのキャラクター性の中に取り入れられるようになっている。例えば、イタリアのマネスキン、イギリスのペール・ウェイヴズらも、これらのゴシック・カルチャーに影響を受けたバンドとして位置づけられる。

 

 一体、この英国のマンチェスターという港湾都市、工業都市、建築的にも古い歴史を持つ由緒ある土地で生まれたモノクロの色彩に彩られた「ゴシック」という概念の本質とは何なのだろう?? ここではその答えまでは言及することを避けたいが、少なくともそれは、カルチャーを代表するアーティストの姿に身近に接し、さらにその音楽に耳を傾けることでより鮮明となるはずである。

 

 常に、文化というのは、常に、ひとつずつ人の手作業によって積み上げられ、組み上げられていくものなのである。言い換えれば、文化ーーカルチャーーは、決してそれを誰か高尚な専門家が定義づけることによって生み出されるわけではなく、その時代の生きた人々の軌跡を何らかの形で表した一般的な概念を大衆が肯定的にそれと認めたものである。今回の名盤特集は、これらのゴシック・ロックのオリジネーターたちの傑作群にスポットライトを当てていこう。




Joy Division 





「Unknown Pleasure」1979

 


当時、公務員とミュージシャン、二足の草鞋を履いていたイアン・カーティスにとってゴシックなる概念は念頭になかった。カーティスは、その前の時代のパンク・ロックを引き継いだポスト・パンクの台頭を告げたイギリス国内の現代のミュージックシーンを語る上で欠かすことの出来ない人物となる。

 

しかし、この前身をナチスの喜び組を意味する”Warsaw”というパンクバンドにまつわる暗鬱でいかがわげなイメージ、Factoryを中心とするインディペンデントのライブ会場を中心に活動していたせいもあり、それほど大きなライブ会場ではライブを数多く行わなかったこと、そしてアルバムアートワークやアーティスト写真が一貫してモノクロであったことが、ゴシック・ロックの先駆者としてふさわしく、また、このミュージシャンの姿をより魅力的にしているのは事実である。

 

彼らの記念すべきデビュー・アルバム『Unknown Pleasure」は、以後のマッドチェスターのミュージックシーンは、後のバンド、ストーン・ローゼズ、アークティック・モンキーズのような、ダンスとロックの融合というテーマを、あろうことか1979年に先んじて提示している。ポストパンクの金字塔『Unknown Pleasure」の魅力は、テクノをどのようにロックとして解釈するのかを究明し、無機質なマシンビートの反復のドラム、ソリッドなギター、低いトーンで理知的に歌うイアン・カーティスの暗鬱なボーカルが合わさり、空前絶後の音楽が生み出されていることである。

 

「Unknown Pleasure--知られざる喜び」は、その時代のポスト・パンク・シーンの呼び声を上げる作品となったにとどまらず、その翌年、台頭するゴシック・ロックの誕生をすでに予見していた。これらの本来そぐわないと思われていた、エレクトロとロックの融合という主題は、イギリス国内のメインカルチャーの基礎の形成に繋がり、イアン・カーティスの死後、残りのメンバーによって結成されたュー・オーダーに引き継がれ、1つの集大成を迎えるに至る。

 

他にもアルバムに収録されなかったシングル「Atmosphere」、ニュー・オーダー名義でしか公式リリースされなかった「Ceremony」といった名曲も必聴となる。

 

 

 

Bauhaus 






「The Bela Session」EP  2018

 


上記のジョイ・デイヴィジョンがもしエレクトロをロックの領域に持ち込んだ先駆者とするなら、バウハウスはダブをロックの中に最初に導入した画期的なロックバンドに挙げられる。そして、ゴシック・ロックの最初の体現者であり、ゴシック・カルチャーの先駆者でもある。もちろん、バウハウスも上記のジョン・デイヴィジョンと同じように、1970年代後半のポスト・パンクの文脈の流れを受け登場したバンドであり、実際の歌詞の中で、物語として寓喩化されていてそのことは歌われないが、反体勢的なバンドに位置づけられても差し支えないだろう。


現在でいうビジュアル系アーティストの先駆者は、このバンドではないかと思わせるキャラクター性のアクの強さのため、アンダーグランドのバンドとして見なされる場合もある。

 

しかし、実際の音楽を聴けば分かる通り、バウハウスは、硬派のロックバンドに位置づけられる。ポスト・パンクの影響が強いデビューアルバム「In The Flat Field」も名盤の呼び声高いが、ゴス/ゴシックという雰囲気を掴むためには、シングル「Bela Is Dead」、「She's In Party」が収録されたアルバムが最適だ。「The Bela Session」EPでのボーカルの暗鬱さ、厳かさ、執拗なアナログループは、ゴシックの特徴でもあるホラー的な雰囲気を漂わせている。また入門編として、最初期のスタジオ・アルバムに加えて、シングルを収録した「Singles」もおすすめしたい。

 

 


 

The Birthday Party 





 

  「Hee Haw」 1979

 


 

バースデイ・パーティーは、現在、俳優や脚本家としても活躍目覚ましいニック・ケイヴが在籍したオーストラリアの伝説的なポスト・パンクバンドでブルース、フリージャズ、ロカビリーを一緒くたにしたアヴァンギャルドなロックバンドである。1977から1983年までの短期間で解散している。


近年のニック・ケイヴのどちらかと言えば紳士然とした佇まいからは想像できないが、このシンガーソングライターは本来オーストラリアのアンダーグランドの最暗部から登場したロックシンガーである。

 

1979年発表の「Hee Haw」は『Prayer On Fire』とともにこのバンドの数少ないアーカイブとして必聴の一枚となる。スカ、ダブ、ロカビリー、インダストリアルを飲みつくしたメチャクチャとしか例えようのないアバンギャルドなサウンド、ニック・ケイヴの獣にも似た咆哮は、LAのヘンリー・ロリンズにも引けを取らないどころか、奇抜さにおいて勝る部分もある。ゴシックという文脈からいっても、暗鬱さ、異質さ、奇抜さ、これらのサブカルチャーの基礎を築き上げたバンドとして多くの人の記憶に残るべき存在である。ジョイ・デイヴィジョンとは別軸のゴス/ゴシックという概念を確立したアンダーグランド・ミュージックの傑作に挙げられる。



 

 

Siouxsie And The Banshees  

 

Ray Stevenson

 

 

「The Scream」1978

 



一般的にはジョイ・デイヴィジョンがゴシックの先駆けというのが通説となっている。しかし、登場した年代の早さという面では、このスージー・アンド・ザ・バンシーズのほうが先である。ただ、ゴシックというバンドで語ることに否定的な見解を示す音楽評論家もいることは付け加えておきたい。

 

スージー・アンド・ザ・バンシーズは活動最初期の作品がゴシックとしてのくくりで語られる場合がある。特に1978年の「The Scream(香港の庭)」は、このバンドの最初期の傑作であるにとどまらず、パンクロックの名盤として挙げられる。フロントパーソンのスージー・スーのキャラクター性を押し出したTelevisionに近いポスト・パンクの流れを汲んだギターロックサウンドが特徴で、パティ・スミスのような文学性を漂わせる作風となっている。上記のバンドのような暗鬱さは薄く、音楽的に明確にゴシックというジャンルに該当するのは「Pure」「Jigsaw Feeling」となるだろう。 

 

スージー・アンド・ザ・バンシーズはビートルズの親衛隊として立ち上がっただけあり、スタンダードなロックの要素が強く、このデビュー作も同様である。ただ、奇妙な暗鬱さは後のドリームポップ勢にも通じるものがある。さらにこのバンドのビジュアルは明らかにゴシックとして位置づけられる。


 

 

The Cure 

 


 

 

「Wish」1992

 



イギリスのクローリー出身のザ・キュアーは、ゴシック・ロックの最大の知名度を持つバンドに挙げられる。最初期は、上記のバンドと同様、ポスト・パンクの文脈から出てきたグループで、スージー・アンド・ザ・バンシーズとも深い関わりが持っていた。しかし、彼らの功績は、それらの最初期のサウンドではなく、普遍的なロック/ポップの良さを世界に広めたことにある。バンドメンバーのメイクについては上記のバンドのようにグリッターロック、ゴシックの系譜にあるけばけばしさだが、そのサウンドはどこまでも純粋なポピュラー・ソングとして楽しむことが出来る。

 

1979年のデビュー・アルバム「Three Imaginary Boys」に象徴されるように、最初期は他のバンドの影響もあってポスト・パンクの流れを汲んだサウンドを特徴としていたが、いくつかの変革期(三回)を経て、ゴシック・ロックより大衆にとって親しみやすいサウンドへ変化させていき、このバンドのハイキャリアを形作ったのが全英チャート一位に輝いた1992年の「Wish」となる。アルバムの中の収録曲「Friday I'm In Love」は、ザ・キュアーの最大の名曲の1つに挙げられる。他にも、この傑作には素晴らしいバラードソングが収録されている。

 

 

Anette Rodrigues

11月に来日公演を控えているQuicksandがニュー・シングル「Giving It Away」を携えてカムバックを果たしている。このシングルは2017年の再結成後、2枚目のLPとなる2021年のアルバム『Distant Populations』を引っ提げてのクラッチ、ヘルメットとのツアーに先駆けて到着した。

 

「この曲のワーキング・タイトルは「Greatest Quicksand Song Ever」だったから、この曲を『Distant Populations』の収録曲から外すのは非常に厳しい選択だった」とバンドは声明で説明している。

 

「この曲を外すことに同意できた唯一の理由は、今年の後半に向け、本当に強力な素材を用意しておきたかったからなんだ。 

最終的に、タイトルは、この曲の中で最も顕著な、現在を受け入れるというセリフからきていて、それは”Distant Populations”における僕らバンドメンバーの考えと一致している。僕らはこの曲をとても誇りに思っている。世界と共有することにとても興奮しているよ」


 

Photo: Ed Mason

ブライトンのメタルコアバンド、Architectsが10月21日にEpitaphからリリースされるニューアルバム「the classic symptoms of a broken spirit」に先駆けて2ndシングル「deep fake」を公開しました。

 

『the classic symptoms of a broken spirit』は、昨年の「For Those That Wish To Exist」に続く、アーキテクツにとって10枚目のスタジオ・アルバムとなります。

 

 


SOHNが5年ぶりのアルバム『Trust』の4枚目のプレビューとして「 Won't」というタイトルのシングルを公開しました。「I Won't」は、先行シングルとして公開済みの「M.I.A.」「Segre」「Figureskating, Neusiedlersee」とともにニューアルバム『Trust』に併録される。


SOHNは、「この曲は帰郷であり、私たちが背負っている荷物をようやく下ろして、周りの人たちの愛を受け入れる音だ」"と語っています。


『Trust』は、2017年の『Rennen』に続5年ぶりのSOHNのアルバムとなる。Yakob、Mike Sonier、Jesse Boykins III、Ryan Linvill、Noah Le Gros、Emile Mosseriといったコラボレーターを初めて迎えて制作された。

 

 

 

 SOHNのサード・アルバム『Trust』は、9月2日にデジタル配信、11月4日にリリースされます。 




KhruangbinとマリのギタリストVieux Farka Touréがニューシングル「Tongo Barra 」を公開しました。これは、9月23日にDead Oceansからリリースされるアルバム『Ali』からの最新リリースです。

このアルバムはトゥーレの亡き父でグラミー賞受賞ミュージシャン、アリ・ファルカ・トゥーレへのトリビュートアルバムとなっている。発表と同時に、KhruangbinとTouréはリードシングル "Savanne "を公開した。

Khruangbinの最新アルバムは2020年の『Mordechai』となる。