NoSoは、LAを拠点に活動するシンガーソングライター兼ギタリストのBaek Hwongのプロジェクトです。BaekはUSCのmusic deptを卒業し(King Princess & MUNAと同じプログラム)、Blood Orange、Ben Howard、「Born In The USA」、90年代のK-POPなどを参考に挙げています。
昨年7月、Baek Hwong(バエク・ウォン)はアルバム『Stay Proud Of Me』(キャプチャード・トラックスのトップエンジニアがプロデュースを担当)をPartisan Reccordsから発表し、耳の早いポピュラーミュージック・ファンを魅了しました。アルバムはこの週のMTのWRにも選ばれています。このアルバムではクイアネスとして自信を持つことを主題とし、青春の思い出が織り込められ、美麗なポピュラーミュージックが展開されていました。
今回、NoSoは『Stay Proud Of Me』以来となる新作シングル「Kaitlin」を発表しました。アコースティックで構成される清涼感たっぷりのニューシングルについて、Hwongは、「ギターを中心にソングライティングを行った作品で、これまでで最も意欲的な作品」と説明しています。同日に公開されたミュージック・ビデオではアーティストが弾き語りをする姿を見ることが出来ます。今週のHot New Singlesの一つとして読者の皆様にご紹介します。
デイヴ・グロールがRCAのインプリントとして95年に設立したRoswellから発売となった「But Here We Are--だが、私たちはここにいる」という名を冠したフー・ファイターズのアルバムは、 タイトルからも分かるように、2022年3月に惜しまれつつ亡くなったテイラー・ホーキンスへの追悼の意味を込めた作品である。いまだに彼の追悼コンサートでの彼の息子のシェーン・ホーキンスの素晴らしいドラムの演奏が目にありありと浮かぶ。あの時、バンドには選択肢がいくつかあった。テイラー・ホーキンスを代えの効かない唯一無二のドラマーとしてフー・ファイターズを封印するという可能性もなくはなかった。しかし、バンドは以前とは別のバンドになると思うが、活動を継続すると発表した。結局、それをしなかったのは、フー・ファイターズというバンド自体が、友人の死、そして、コバーンの弔いの意味から95年に出発したグループであるからなのだと思う。そして、おそらく、テイラー・ホーキンスの死後になって、フー・ファイターズの未知の音楽を聴きたいというファンの思いは、さらに強まったともおもわれる。結局は、デイヴ・グロールは旧来のファンの期待を裏切るわけにはいかなかったのだ。
しかし、このアルバムがフー・ファイターズの代名詞であるアメリカン・ロックを主眼に置いているからといって、彼らが新しいサウンドを提示していないというわけではない。タイトル曲「But Here We Are」には新生フー・ファイターズとしての片鱗が伺え、変則的なリズムを配し、近年で最もヘヴィーな瞬間へと突入する。この曲にはオルタナティヴ/グランジの後の時代のタフな生存者として活躍してきたロックバンドとしてのプライドが織り込まれており、これはまた90年代以降のヘヴィロックの流れをその目で見届けてきたロック・バンドとしての意地でもある。そしてこのロックソングはホーキンス亡き後のバンドとしての力強い声明代わりになるとともに、バンドにとっての新しいライブ・アンセムとなってもおかしくないような一曲だ。
その後、アルバムの冒頭の「Rescued」で読み取ることが出来るエモーションは、90年代のグランジの暗鬱な情感と複雑に絡み合うようにして強化されていく。「Show Me How」ではサウンド・ガーデンのクリス・コーネルが書いたような瞑想的なグランジ・サウンドを現代に呼び覚まし、それを深みのある形に落とし込んでいる。しかし、グランジを下地に置くからといって、それほど暗澹とした雰囲気はほとんど感じられず、そこにはからりとした乾いた質感すら漂っている。これはデイヴ・グロールのソングライティングの才覚が最大限に発揮された瞬間と称せる。そのあと、アメリカのロックバンドとしての印象はアルバムの後半に至るほど強まっていき、それは80年代のナイト・レンジャーのようなメタリックな雰囲気すら帯びるようになる。
hi everyone, hayden is in stable condition but the show got canceled, with that being said, if you have a video of her collapsing on stage, please don’t post it. that’s extremely insensitive and disrespectful. wishing her a speedy recovery💗
最初のシングルは『There She Goes』で、1988年に発売されたが、ヒットしなかった。この曲は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの『There She Goes Again』にインスパイアされたという噂が絶えなかったが、タイトルと歌詞が似ている以外は異なるものだった。誰もがこの曲を名曲だと言っていたため、再発される機会がないうちに、さらにラインアップに問題が生じ、リーの弟で、正式には彼らのローディだったニールがドラムとして参加することになった。
「There Shes Goes」(Original Us Version)
この曲は1989年1月に再リリースされたが、全英チャート59位と低迷。テストプレスはラジオ局や音楽新聞社に送られ、Melody MakerはSingle of the Weekとしたが、Maversはレコードの出来に満足せず、そのまま廃盤となった。この頃、ストーン・ローゼズ、ハッピー・マンデーズ、シャーラタンズ、インスパイラル・カーペッツなど多くの新しいバンドが登場し、彼らは結局Timeless Melodyを発表することにしたが、57位にとどまった。この曲は「There She Goes」より少し高い順位を記録したが、ファンに支持されており、「There She Goes」は1990年末に再びリリースされ、今度はかなり広範囲に放送されたため、13位を記録し、バンドの最初のヒットを記録した。メイヴァースはピート・タウンゼントやレイ・デイヴィスといったロックの伝説たちと好意的に比較されるようになり、普遍的な賞賛を浴びた。
「There She Goes」はどんな曲なのだろうか? ”There”というのは、「そこへ」を指すわけではなく、「ほら!」という冠詞に近い意味であり、歌詞の中にはそれほどはっきりとした詩はなく、コーラスが4回のみ繰り返されるだけだが、「There she goes again, racing through my brain, pulsing through my vein, no one else can heal my pain~」という歌詞が見られることから、この曲は当初、様々な憶測を呼ぶことになった。一般的にはルー・リードの曲と同じように、ヘロインについて歌っているのではないかとも噂されていた。 当時、 ある音楽新聞には、「The La's' ode to heroin」というかなり過激な小見出しが掲載されたという。ベーシストのジョン・パワーはこの件に関してコメントを求められたが、回避的な答え方をし、元ギタリスト、ポール・ヘミングスはその噂を一蹴した。
1999年、シックスペンス・ノン・ザ・リッチャーが、曲の内容を無視したカバーを録音し、La'sより1つ低い順位でピークを迎えた。その後、彼らは再び注目を集めるようになり、レコード会社がプロモーションのため、5度目の再発売に踏み切ったが、意外にも65位にとどまり、目に見えるような効果を及ぼさなかった。さらに、2003年、「In Search of The La's」という本が出版された。謎に包まれたバンドをよりよく知るための一冊である。そこには3年前のインタビューが掲載されており、リーは自分の性格や音楽的な意図について語り、シーンへの復帰についても言及している。
その後、2011年にリバプールのバンド、The Banditsのメンバーだった友人のGary Murphyと、Lee Rude & the Velcro Underpantsという奇妙なバンド名で、いくつかのアコースティック・セットを演奏することになった。そのあと、彼らはマンチェスターのデフ・インスティテュートでシークレット・ギグの演奏を行った。
ライブこそ開催したが、新たなリリースの噂もないまま現在に至る。熱心なファンの間では、今もバンドのフォーラムを中心に様々な憶測が飛び交っている。2008年には1stアルバムのデラックスバージョンもPolydorから発売された。デラックス盤には、Mike HedgesとJohn Leckieがリミックスを手掛けた「There She Goes」の二つの異なるバージョンが収録されている。おそらく、この二つのリミックスに当時のリー・メイヴァースが理想とするサウンドにかなり近いのではないかと思われる。しかし、いまだ彼らの謎は謎のままで、本当のところを知る人はそれほど多くはない。
昨年約4年ぶりに全国9都市で開催した「Perfume 9th Tour 2022 “PLASMA”」のライブを収録した映像商品「Perfume 9th Tour 2022 “PLASMA”」を先日発売したばかりのPerfume。6月1日(現地時間)にスペインのパルセロナにて、ヨーロッパ最大級の音楽フェスティバル「Primavera Sound 2023」に出演しました。同じステージには、米国のハードコアバンド、Turnstileや、来日公演を控えているALEX Gなどが出演。パフュームのライブアクトの全貌はこちらよりご視聴出来ます。さらに当日のライブのセットリストについては下記よりご覧下さい。
Perfumeにとって、海外の音楽フェスの出演は2019年にエレクトロポップというジャンルにおける初の日本人女性アーティストとして出演したアメリカの「Coachella Valley Music and Arts Festival」以来となる。日本のステージよりもベースラインの強い刺激的なエレクトロ・ポップで観客を魅了した。
音楽のバックグランドについて言及すると、興味深いことに、メアリー・J・ブライジやゴスペルデュオのメアリー・メアリーなど、「ファーストネームがメアリーであるアーティスト」が彼の家庭の音楽環境を特徴づけていた。これらのアウトキャストとの出会いはディクソンにとってきわめて重要なものとなった。ヒップホップへの愛を深める一方で、当時流行していたシアトリカルなロックにも興味を持つようになった。「メリーランド州の友人から紹介されたMy Chemical RomanceやPanic! At The Disco、これらのグループは、私の憧れの感覚を音楽で表現してくれていた」と彼は話している。結局、彼はこれらの影響を、バージニア州リッチモンドの大学に通いながら、2013年にリリースしたデビューEPの制作時に全力で注ぎ込むことになった。
やがてマッキンリー・ディクソンの音楽は、ブラックネスや癒しとの関係について言及されるようになり、彼の主要な自己表現手段となりかわっていった。その次にリリースした『Who Taught You To Hate Yourself?(2016年)、『The Importance Of Self Belief』(2018年)を経て、彼のスタイルは進化を遂げ、特に楽器の演奏に関しては自信を深めていった。
デビューアルバム『For My Mama and Anyone Who Look Like Her』は、ディクソンが心の痛みや悲しみに照準を合わせたゲームチェンジャーとなった。「私は本当に濃密で混沌とした曲を作っていて、どんな考えでも5分半の曲に詰め込もうとしていた」と、ディクソンはプロジェクトについて語っている。続く 『Beloved!Paradise! Jazz!!!』は、さまざまな衝動をぶつける試みとなった。
この作品では、「あの激しさと濃密さを保ちながら、より短く、よりキャッチーな曲を作ったらどうだろう?って考えてみたんだ」と彼は述べている。1992年に出版されたモリソンの友情とハーレムを描いた小説『ジャズ』を朗読するアブドゥラキーブのイントロダクションの後、ディクソンはリスナーに "Sun, I Rise" を提供する。ハープが奏でるクリスタルのようなラインの上でラップするディクソンは、時に低く、時に頂点まで軽やかに舞い上がるように、声のトーンを変えて演奏する。彼の歌詞は捉えどころがなく、文学的で、正真正銘のヒップホップだ。それは、ディクソンのフロウの能力の強かな表明であり、スキルの棚卸しでもある。「イカロスとミダス王を混ぜたような少年の物語を作りたかった」とディクソンは言う。ゲストボーカリストのアンジェリカ・ガルシアは、ピュアな歌声で、この傑出したシングルにさらなる深みを与えている。
アルバムの他の部分では、彼は、落ち着きのなさと銃の暴力("Run, Run, Run")、友人を失うという底知れない悲しみ("Tyler, Forever")、才能の孤独("Dedicated to Tar Feather")について取り組んでいる。ディクソンはオーケストラの指揮者のように、鍵盤、弦楽器、優しいベースをはじめとする生楽器を組み込もうとした。「全ての曲で美しい言葉を書こうとした、これまでで一番手応えがある」とディクソンは語るが、それは楽曲の美しさと題材に見合った偉業となることだろう。
重苦しい緊張感に満ちた前曲の後、レゲエやジャズを基調にしたユニークなラップソングが控えている。「Run Run Run」は、表向きには銃社会について書かれているが、アルバムの中で親しみやすく、軽快なリズムに支えられている。ここにはディクソンのジャマイカのコミュニティや、そのカルチャーの影響が色濃く反映され、Trojanに所属していた時代のボブ・マーリーのR&Bの延長線上を行く古典的なレゲエやアフロ・キューバン・ジャズを融合させた一曲である。シンプルなピアノのフレーズが連続した後、ディクソンはアンセミックな響きを持つフレーズを繰り返す。アフロ・ビートのように軽快なリズムとグルーブ感は軽やかに走り出しそうな雰囲気に満ちあふれている。中盤からラップへと移行するが、トランペットのミュートに合わせて歌われるディクソンのうねるようなラップの高揚感は何物にも例えがたいものがある。
同じように続く「Live From The Kitchen Table」も心沸き立つような雰囲気に充ちている。 タイトルもファニーで面白いが、特にアーティストのジャズに対する理解度の深さと愛着が滲み出ているナンバーだ。特に、曲の中盤のサックスの駆け上がりは、アルバムの中で最も楽しみに溢れた瞬間を刻印している。これらのジャズの要素に加え、アルバムの序盤とは正反対に、ディクソンは心から楽しそうにラップを披露する。その歌声を聴いていると、釣り込まれて、ほんわかした気分になる。この曲が終わった頃には、心が温かくなる感覚に浸されることだろう。
終盤では、ゴージャスなオーケストラ・ストリングスのハーモニーを活かした「Dedicated To Feather」が強烈な印象を放っている。前曲の友人への弔いのあと、その魂をより高らかな領域へと引き上げ、レゲエ調のエレクトーンの音色を取り入れ、渋さのあるポピュラーミュージックを展開させる。4ADから新しいアルバムの発売を控えている、注目すべき黒人シンガーソングライター、Anjimileをゲストボーカルに迎えたことは時宜にかなっていると言える。両者の息のぴったり合ったボーカルとコーラスは、アンニュイなネオソウルの魅力を体現しており、シンガロングを誘発させるサビの痛快さはもちろん、ボーカルのサンプリングやジャジーな管楽器の芳醇な響きによって、曲の情感は徐々に高められていくことがわかる。
ジャズのスタンダードな形式の管楽器のフレーズで始まる前奏曲に続き、「The Story So Far」を介して、アルバムのテーマはいよいよ核心へと向かっていく。アフロ・キューバン・ジャズの要素を取り入れたこのトラックで、パーカション効果を最大限に駆使しながら、マッキンンリー・ディクソンはジャズとラップの融合のひとつの集大成を示している。それは序盤の重苦しい雰囲気とは異なり、天上に鳴り響く理想的なラップとも捉える事ができるし、近未来的な響きを持つヒップホップとも解せる。キューバン・ジャズ風のリズムや管楽器の響きは、Seline Hizeのハリのあるボーカルによって、楽曲の叙情性は深度を増していくのだ。
悲哀、狂気、恐怖、それと対極にある温和さ、楽しさ、平らかさ、多様なブラックカルチャーに内在する感覚をリアルに体現した後、アルバムの最後に祝福された瞬間が待ち受けている。タイトル曲「Beloved! Paradise! Jazz!?」は、スタンダードなソウルやR&Bを下地にしたDe La Soulを彷彿とさせるナンバーで、ディクソンは相変わらず、淡々とし、うねるようなリリックを展開する。後に続く温和なコーラスワークの響きは、ハープやジャジーな管楽器とポンゴの響きに支えられ、Ms Jaylin Brownのソウルフルなボーカルに導かれて、アルバムの最後は微笑ましい子どもたちのコーラスにより、ダイナミックかつハートフルなクライマックスを迎える。
アルバムのオープニングを飾る「I'm Not Giving Up Tonight」を通じてわかることがある。今作において、ノエル・ギャラガーはスタンダードなフォーク・ミュージックとカントリーの要素を交えつつも、ポピュラー・ミュージックの形にこだわっている。微細なギターのピッキングの手法やニュアンスの変化に到るまで、お手本のような演奏が展開されている。言い換えれば、音楽に対する深い理解を交えた作曲はもちろん、アコースティック/エレクトリックギターのこと細かな技法に至るまで徹底して研ぎ澄まされていることもわかる。どれほどの凄まじい練習量や試行錯誤がこのプロダクションの背後にあったのか、それは想像を絶するほどである。このアルバムは原型となるアイディアをその原型がなくなるまで徹底してストイックに磨き上げていった成果でもある。そのストイックぶりはプロのミュージシャンの最高峰に位置している。
#2「Pretty Boy」もこのアーティストらしい哀愁と悲哀を交えたお馴染みのトラックであるが、旧来のオアシス時代のファンに媚びようとしているわけでもなく、もちろん楽曲自体も時代に遅れをとってはいるわけでもない。最新鋭のエレクトロやダンスミュージックの影響を交えながら、やはりノエル・ギャラガーは自分なりのアーティストとしての美学を貫き通すのだ。そして必ずといっていいほど、メロに対比する楽曲のピークとなるサビを設けている。これはアーティスト自身が言うように、かつてジョン・ピールがホスト役を務めたBBCのTop Of The Popsの時代の「夢のある音楽」を再び現代の世界のミュージックシーンに復刻したいという切なる思いがあるからこそ、こういったスタンダードな作曲スタイルを取り入れているのかもしれない。
#3「Dead To World」はタイトルこそドキッとするが、繊細な情感を少しも失うことなく、良質なフォークミュージックの見本を示している。繊細なストロークから織りなされるアコースティック・ギターの巧みな演奏は、時代を忘れさせるとともに、音楽そのものに没入させる力を持っている。そしてそのギターの上に乗せられるギャラガーの歌声はやさしく、慈しみがあり、さらに情感たっぷり。もちろん、トラックの上に重ねられるオーケストラのストリングスの重厚なハーモニーは、彼のボーカルの抑揚が強まるとともに、そのドラマティック性を連動するように引き出している。高揚したテンションと落ち着いたテンションを絶えず行き来するノエル・ギャラガーの老練とも称するべき巧みなボーカルは、潤沢な音楽経験と深い知識に裏打ちされたもので、そしてそれは一つの方法論であるのとどまらず、ポピュラーミュージックとして多くの音楽ファンの心を魅了する力をそなえている。音楽のパワーをノエル・ギャラガーは誰よりも信じている。実際、それは本当の意味で人の心を変える偉大な力を持っているのだ。
オアシスの名前は出さない予定であったが、続くアルバムの最終の先行シングルとして公開された#4「Open The Door,See What You Find」では明らかにオアシスに象徴される90年代のブリット・ポップの音楽の核心に迫ろうとしている。この時代、宣伝文句ばかりが先行し、ブリット・ポップという言葉が独り歩きしていた印象を後追いの世代としては覚えるのだが、しかし、その本質をあらためて考えなおしみると、ポスト・ビートルズということが言えると思う。そしてこの曲を聴いて分かる通り、90年代のリアルタイムに多くのリスナーがインスパイラル・カーペッツ(ノエル・ギャラガーはデビュー前にバンドのローディーをしていたと思う)やハッピー・マンデーズやザ・ストーン・ローゼズの後の時代の奇妙な熱に浮かされていたために、聴きこぼしていたもの、その本質を曲解していたものをあらためてノエル・ギャラガーは2020年代に抽出し、その本質を真摯に捉えようとしている。ノエル・ギャラガーは、オーケストラのベルやストリングスを効果的に用い、ビートルズの時代のチェンバーポップやバロックポップへの傾倒をみせながら、晴れやかなポピュラー・ミュージックをこのトラックで示そうとしている。アルバムタイトルには混乱した次の時代への道標ともなるべき伝言が込められているが、それは聞き手に対し一定の考えを押し付け、その考えに縛りつけつおこうとするのではなく、最後はその目で見届けなさい、というメッセージが込められているのである。
さらにノエル・ギャラガーは表向きの音楽の軽薄さにとどまることなく奥深い感情表現の領域へと足を踏み入れていく。つづく「Easy Now」は、このアルバムの収録曲の中で最もビートルズの影響下にあり、イントロダクションでは、マッカートニー/レノンの音楽性の最も見過ごし難い部分である瞑想性を再現させようとしている。苦悩や憂いといった感覚が先立つようにして、うねるような感覚が内面にうずまき、それが外交的とも内省的とつかない、すれすれの部分でせめぎ合いながら、後の展開へと引き継がれる。これまでアーティストが書いてきた曲の中で最も感情的なこのトラックは、近年それほど感情をあらわにしてこなかった印象のあるフライング・バーズのイメージを完全に払拭するものとなっているが、しかしながら、サビに至るや否や、アーティストらしさが出て来て、「Standing On The Shoulders Of Giants」の「Sunday Morning Call」のようなアンセミックなフレーズに繋がっていく。その後には哀愁に充ちたこれまでとは一風変わった展開へと続いている。これはアーティストが自身のソングライティングの癖を捉えつつ、旧来のイメージから脱却しようと試みた瞬間であるとも解釈出来るかもしれない。
続く、#8「There She Blows!」は90年代のUKポップのファンをニヤリとさせる曲で、明らかにThe La'sの傑作「There Shes Goes」に因んでいる。(以前、アーティストは、オアシスとして日本で公演を行った時、ちょうど偶然、同時期に来日していたThe La'sの公演を仲良く兄弟で見ていたと記憶している)無類のUKポップスファンとしての矜持と遊び心が感じられるナンバーである。また、旧来のオアシスファン心を安堵させるものがあるとおもう。ノエル・ギャラガーはリー・メイヴァースに対するリスペクトを示した上で、渋さのあるメイヴァーズのリバプール・サウンドをこの時代に復刻させようと試みている。ミュージシャンとしてではなく、音楽ファンとしての親しみやすいノエル・ギャラガーの姿をこのトラックに垣間見ることが出来るはずだ。
以上のように、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライングバーズは、近年の作風の中で最も多彩味あふれるアプローチを展開させていくが、アーティストのロックンロールに対する一方ならぬ愛着もこの曲に感じとられる。「Love Is a Rich Man」ではスタンダードなロックの核心に迫り、Sladeの「Com On The Feel The Noise」(以前、オアシスとしてもカバーしている)グリッターロックの要素を交え、ポピュラー音楽の理想的な形を示そうとしている。ロックはテクニックを必要とせず、純粋に叫びさえすれば良いということは、スレイドの名曲を見ると分かるが、ノエル・ギャラガーはロックの本質をあらためて示そうとしているのかもしれない。
「Think Of A Number」では渋みのある硬派なアーティストとしての矜持を示した上で、アルバムのクライマックスを飾る「We're Gonna Get There In The End」は、ホーンセクションを交えた陽気で晴れやかでダイナミックな曲調で締めくくられる。そこには新しい音楽の形式を示しながら、アーティストが登場したブリット・ポップの時代に対する憧れも感じ取ることも出来る。
アムステルダムの4人組インディーロックバンド、Pip Blomは3rdアルバム『Bobbie』のリリースを発表しました。アルバムはHeacenly Recordingsより10/20にドロップされる。発表と並んでリードシングル「Is This Love」のMVも公開されています。曲とビデオにはフランツ・フェルディナンドのアレックスが参加しています。
「Is This Love」は、Pip Blomのネイティブなロックミュージックから逸脱し、Alex Karpranosからよりファンキーな影響を織り交ぜている。「アレックスと仕事をしていて良かったのは、雰囲気がとても良かったということの他に、私たち二人が異なる視点を持っていたということです。私はロック寄りですが、アレックスはもっとファンキー。それは、詩でもコーラスでも、曲にとって完璧なアクセントになりました」とブロムはプレスリリースで語っています。「これほどファンキーなPip Blomの曲が登場したのは初めて、みんな絶対に気に入ってます」
Pip Blomのスタイルに対する試みは、Jump For Joyの他の曲にも表れ、迫力があり、屈託のないシンセに没頭している。音楽性の飛躍と同時に、ブロムはこのアルバムのリリシズムでも自分を追い込んでいます。「私はネイティブスピーカーではないため、歌詞はいつも難しいと思ってます」と彼女は言います。「ちょっと強引な感じがして歌詞に時間をかけるのが難しいんです」
ピップ・ブロムの最後のアルバムは2021年の『ウェルカム・ブレイク』。昨年フランツ・フェルディナンドはベストアルバム『Hits to the Head』をリリースした。
Bloc Party(ブロック・パーティー)がニューシングル「Keep It Rolling (Feat. KennyHoopla)」をリリースしました。前作『Alpha Games』は旧来のファンにとっては若干の消化不良をもたらしたものの、このシングルを見るかぎりでは、2000年代のブロックパーティーの勢いを取り戻しつつある。
「Keep In Rolling」は、BPにとって初めてのコラボレーションソングで、最新のシングル「High Life」と昨年のアルバム「Alpha Games」に続く作品です。ケレ・オケレケは先日、ソロ・アルバムを発表したばかり。一方、コラボレーターのKennyHooplaはクリーブランドのシンガーソングライターで、これまでにシングルとミックステープを中心に作品の発表を行っている。
「以前からKennyのファンだったから、彼がロンドンに来たとき、一緒にスタジオに入るチャンスに飛びついた」とフロントマンのKele Okereke(ケレ・オケレケ)は言う。「午後1時に何曲も書いたけど、"Keep It Rolling "はその中の1つのアイデアだよ。そのアイデアにはいつも愛着があったので、Bloc Partyに持ち込みたいと思い、曲にした。全てはとてもオーガニックなものだ」
Be Your Own Petは、3rdアルバム『Mommy』を8月25日にリリースし、2023年秋のツアー日程を発表しました。バンドはアルバムのリード・シングル 「Worship the Whip」公開しました。
『Mommy』は、ナッシュビルのパンクバンドにとって、2008年の『Get Awkward』以来のフルレングス作品となる。ボーカルのJemina Pearl Abeggは声明のなかで、このアルバムを "the bitch in charge, the one in control "と呼び、個人的には "自分自身の再生 "を意味すると付け加えています。トラックリストには、3月下旬のカムバックシングル「Hand Grenade」も含まれています。
一方、ファンはアルバムの最新シングル「'Worship The Whip」を試聴することができます。パールは、「右翼の権威主義的性格」、つまり「自分と同じ考えではない人々に対して攻撃的で支配的である一方、根は自分を利用し虐待する権威者に従順な」人たちに向け、この曲で自分を鼓舞している。ジョーダン・ウィリアムズが監督したミュージックビデオは以下よりご覧ください。
『Mommy』は、ジャック・ホワイトの「Supply Chain Issues」ツアーにゲストとして参加したBe Your Own Petの2022年最初の再結成に続く作品です。
「Worship The Whip」
アルバムは、8月25日にジャック・ホワイトが主宰するThird Man Recordsから発売されます。
「リリックの前提は、人生のある時点で鏡を見ると、今までの自分とこれからの自分の全てがよく見えるというものなのです」ギャラガーは声明の中で「Open the Door, See What You Find」について語っています。「この曲は満足することを歌っている。人生において自分がいる場所、自分が誰であるか、そして、自分がどこへ行こうとしているのかに満足することだよ。人生はいいものなんだ!」