昨年、アメリカン・フットボールはデビューアルバムの25周年を一連のライブ・パフォーマンスで祝福した。そのツアーの模様がコンサートフィルムという形で不滅になる。『American Football (Live in Los Angeles)』は、ロサンゼルスのエル・レイ・シアターで2夜にわたって収録された。
さて、デビューアルバム『Definitely Maybe』のリリースから31年、前作『Dig Out Your Soul』(2008年)のリリースから17年、オアシスは間違いなくイギリス最大のバンドであり続けている。
当時、『Definitely Maybe』はイギリスで史上最も早く売れたデビュー・アルバムだった。 1995年の『What's the Story Morning Glory? 』、1997年の『Be Here Now』はさほど評判は良くなかったが、それでも成功を収めた。 1998年の『The Masterplan』は、史上最高のB面曲集のひとつとされている。 バンドはさらに4枚のスタジオ・アルバムをリリースし、2009年に解散した。 長年にわたるリアムとノエルの確執が、再結成を阻んできたが、ついにオアシスが今年再始動する。
「Acquiesce (Unplugged)」
Oasis 『(What's The Story) Morning Glory?』 - Reissue
シンシナティからシカゴに拠点を移して活動を続けるSmutの2022年以来となるニューアルバム『Tomorrow Comes Crashing』。前作よりもハードロック/メタル風のサウンドアプローチが展開されている。前作よりもキャッチーな曲作りを意識しているのが明らかで、それらがブルックリンでの10日間における集中的なレコーディング、そして、アーロン・コバヤシ・リッチの的確なプロデュースにも表れ出ている。
前作『How The Light Felt』よりメタリックなロックアルバムで、カルト的なスタジアムロック・バンドの座に上り詰めようとする。すべてではないにしても、ライブ中心のレコーディングになっていることが分かる。どのフレーズやシークエンスが後から被せられたものなのか、それはおそらく曲をよく聴けば分かると思う。ヴォーカルとギターの録音が全面的に押し出されたのは、このバンドの主要なソングライターとしての役割を担っているのが、ローバックとミンということを伺わせる。前作に比べると、ドラムのテイクがダイナミクスを増し、鮮明になった。しゃりしゃりした心地良いドラム/ハイハットのパーカーションにおけるプロデュース処理はその賜物だろう。
さらに、このアルバムは、おおよそ三つのロックソングのタイプに分割されている。アルバムの序盤はスタジアムロックを意識したトラック、中盤からはシンシナティからシカゴ、そしてニューヨークとこの十数年でバンドが培ってきたメロディアスなロックソング、さらに終盤にかけては、Taking Back SundayなどのUSオルタナティヴロックからの影響をかけあわせたものまで広く存在する。全般的にはスタンダードなロックが中心だった『How The Light Felt』よりもパンクやメタルのようなフックを意識した曲作りやスタジオのセッションを想像することが出来る。その上で、エモやポストエモのエッセンスが加わり、バランスが良くなったという印象である。アルバムのどの部分から聴いても、違ったテイストが味わえる絶妙な作品となっている。
また、全般的には90年以降のオルタナの影響こそあれ、普遍的な80年代以降のロックソングの形を踏まえ、それらのハードロックを哀愁がある切ない感じのメロディアスのボーカルスタイルの形と結びつけるというこのバンド特有のスタイルは、「Dead Air」に発見出来る。それらがアルトポップの方向にベクトルに傾くと、「Ghost」、「Burn Like Violet」のような曲に変化する。後者の二曲は、AOR風の楽曲としても聴かせる。これらはSmutとしての絶妙なバランス感覚によって成立している。他のラインナップでは、こういった抽象的な領域にあるサウンドにはならず、よりクリアな音楽性になっていたかもしれない。これらのメンバーの相互に見出せる音楽的な理解というのは長く時間を共有しないと出てこない、いわば目に見えない形のサウンドという形で出現した、ある種の信頼関係のようなものであろうと思われる。
終盤のハイライトで先行シングル「Touch & Go」は、シカゴの伝説的なインディーズレーベルにちなんでいる。しかし、意外とこのレーベルの音楽らしくはない。いや、どちらかと言えば、Jade Treeのパンクソングだ。先にも述べたように、Taking Back Sunday、Third Eye Blind、Saves the Dayといった00年代前後の名物的なUSパンク/オルナナティブバンドの代表曲を彷彿とさせるものがある。イントロは、ハードロックやパンクロックなのだが、以降の流れはエモやパワーポップである。これらのメロディアスなエモの領域にあるサウンド、それと対象的なハードロックやヘヴィメタルの領域にあるサウンドのコントラストがアルバムの聞き所となるかもしれない。
「Crashing In the Coil」が従来のスマットの集大成であるとすれば、より一般的な支持を獲得するべく書き上げたスタジアムロックを意識したバンガー「Spit」こそ、彼らのサウンドが新境地に達した瞬間である。そして、Smutでしか味わえないサウンドは、陰影のある切ないメロディアスなポップソング。作曲のその真価はクローズを飾る「Sunset Hymnal」に明瞭に表れ出ている。
78/100
ニューヨークのブルックリンを拠点とするガールズバンド、Say She Sheは、ピヤ・マリク、サブリナ・ミレオ・カニンガム、ニャ・ガゼル・ブラウンによって率いられている。そのサウンドはナイル・ロジャースやシックと比較されることもある。
トリオは三作目のアルバム『Cut & Rewind』を発表した。本作は10月3日にdrink sum wtrから発売され、同時に国内盤も発売される。セイ・シー・シーの象徴的なサウンドであるディスコソウル、ファンク、社会意識が融合したサウンドを楽しめる。アルバムのタイトル曲のミュージックビデオは下記よりご覧ください。
脈打つディスコビート/スペイシーなホイッスルトーン/耳に残るメロディが融合するサイケデリックな音世界。 The Meters風のジャムや、Booker T. & The M.G.’sのスタジオでの規律のある行動、さらにリキッド・リキッドのSal Principatoとのポストパンク即興バンド経験を持つマリクの影響が感じられる。
「Cut & Rewind」
Say She She 『Cut & Rewind』
アーティスト : Say She She (セイ・シー・シー) タイトル : Cut & Rewind (カット・アンド・リウィンド) レーベル : drink sum wtr 発売日 : 2025年10月3日(金) ジャンル : SOUL
Tracklist:
1. Cut & Rewind 2. Under the Sun 3. Disco Life 4. Chapters 5. Possibilities 6. Take It All 7. She Who Dares 8. Shop Boy 9. Bandit 10. Little Kisses 11. Do All Things With Love 12. Make It Known
1990~2000年代以降のエレクトロニカの文脈を普及させた最重要グループ、アイスランドのmúmが12年ぶりのニューアルバム「History of Silence(ヒストリー・オブ・サイレンス)』を発表した。原盤は、CD/LPの二形式でMorr Musicから9月19日に発売。CD国内盤がImpartmentからリリースされることが明らかになった。
テキサス出身のスロウコアバンド、Teetheが新曲「Hate Goodbye」をリリースした。同楽曲はウィンスピアから8月8日に発売予定のニューアルバム『Magic Of The Sale』に収録される。
『Magic of the Sale』は、2020年のセルフタイトルのデビュー作に続く2枚目のフルアルバムだ。"Hate Goodbyes "は、タイトル曲と "Holy Water "に続くアルバム3枚目のシングルである。『Magic of the Sale』には、Wednesday、MJ LendermanのXandy Chelmis、HovvdyのCharlie Martin、Adelyn Strei、Emily Elkinがゲストとして参加する予定だ。
Teetheは秋と冬のツアーにUK/EU公演を追加した。このツアーには、feble little horse、Momma、Aunt Katrina、Winterなどの公演が含まれる。