Bill Callahanが、10月中旬に発売予定の新作アルバム『YTI⅃AƎЯ』から最初の先行シングル「Coyotes」を公開しました。このシングルのリリック・ビデオは以下よりご覧いただけます。


この新曲「Coyotes」について、ビル・キャラハンは、声明の中でアルバムリリース発表時と同じように現代詩のニュアンスを交えて暗示的に説明している。

 

「私たちは、しばらく丘の上にある家に住んだ。コヨーテの丘だ。コヨーテは夜明けになると歌い始める。

 

 夜明けと夕暮れ時がコヨーテの主な出没時間。うちの犬は、朝、時々、外で寝てて、うちの子はまだスモールサイズだ。

 

コヨーテは、距離感を取りつつ、毎日、少しずつ近づいてくる。朝はキングサイズの屋外用ベッド・・・。コヨーテたちは、さながら正しい海潮の移ろいのように、私たちの世界に流れ込んで来る。

 

捕食者と被食者、曖昧な関係・・・。過去と現在が曖昧になる。若者から、老人に至るまで、掠め取られ、食い荒らされる。過去の命は、我々に話しかけるべく近づいてくる。現世は、眠れる犬のごとく過去世を見つめる。そして、愛は、無辺に及ぶ。だから、その思いは一生涯より深い」

 


ビル・キャラハンのニューアルバム「YTI⅃AЯ」は、10月14日にDrag Cityからリリースされます。

 

©︎Bob Sweeney

今年10周年を迎えたThe Menzingersの名作『On the Impossible Past』は、今週末のRiot Fest、The Fest、そして、Touche AmoreやScreaming Femalesとの秋のツアーでフルにプレイされる予定となっています。

 

アルバムに付属する限定バイナルのみのアコースティック・デモEP『On the Possible Past』が、11月4日にEpitaphから、史上初めてストリーミング・サービスに登場することも発表された。それに伴い、「Burn」のアコースティック・バージョンのリリック・ビデオが公開されました。下記よりご覧下さい。


"このレコードは僕らの人生を永遠に変えたんだ "と、ギター/ヴォーカルのTom Mayは語っている。

 

「バンドとしてのこの10年間は、バンや飛行機、大音量のステージ、深夜、愛、大切な友人、そして一生に一度の体験の渦中にあったんだ。オン・ザ・インポッシブル・パスト』はそのチケットだった。私たち4人を、フィリー南部の煙が充満した小さな地下室から、世界中の都市のステージへと運んでくれるロケットのようなものだった」


 



The Menzingers  『On The Possible Past』EP

 


Tracklist

 
Good Things (demo)
Burn (demo)
Ava (demo)
Sun Hotel #2 (demo)
Sculptors and Vandals (demo)
Casey (demo)
I Can’t Seem To Tell (demo)
Freedom Bridge (demo)


 

©︎ Eddie  Whelan

ブリストル在住のソングライター兼プロデューサー、トーア・マリーズのソロ・プロジェクト、Billy Nomates(ビリー・ノメイツ)が、2ndアルバム『CACTI』のリリースを発表しました。


2020年のデビュー作に続く本作は、1月13日にInvada Recordsからリリースされる予定です。この発表に併せて、Billy Nomatesは、NWSPK.が監督したニュー・シングル「balance is gone」のPVを公開しました。この曲、アルバムのカバーアート、トラックリストは以下からご確認下さい。


「CACTIの執筆には1年強かかったと思います」とトーア・マリーズはプレスリリースで説明しています。「一生懸命に書いた後、全然、書かなくなった。(実はこれは、私が最も得意とする作曲術なんです)。


「古いドラムマシンを手に入れ、いつも使っている小さなマイクロキーボードを使ってキッチンでマッピングし、Invada Studiosの戸棚や部屋をあさって、古いシンセやアップライトピアノ、奇妙なオルガンを使って演奏、実験した。『CACTI』の中で、皆がそれぞれの物語を見つけてくれることを願ってます。すべてを生き抜くための作品になると思うから」


『balance is gone』について彼女はさらに説明しています。「バランスをとるのって大変なこと。バランスって難しい。誰か、すべての調和を達成したことが? 私はそれがユニークな追跡であると思わない。何日かは、それが立ち上がって、どこかに出て行ったことを認めるのはそれほど悪い気分ではないんだし」



Billy Nomates 『CACTI』

 

 

Tracklist:


1. balance is gone

2. black curtains in the bag

3. blue bones (deathwish)

4. saboteur forcefield

5. roundabout sadness

6. spite

7. fawner

8. same gun

9. vertigo

10. apathy is wild

11. blackout signal

©︎Neil Krug

 

Sub Popは、Natalie Mering(ナタリー・メリング)のプロジェクト、Weyes Blood(ウェインズ・ブラッド)の最新アルバム『And In The Darkness, Hearts Aglow』を11月18日にリリースすることを発表しました。


今回、この発表と並行して、オープニングトラックの「It's Not Just Me, It's Everybody」が公開された。この曲は、メリングがアルバムの発表に添えた膨大な手紙の中で書いているように、「現代の幻滅の意味に光を当てる」目的で書かれ、2019年の『Titanic Rising』を「特別な三部作のうちの最初のアルバム」と表現している。つまり、次回作はこの三部作構想の二番目のアルバムとなるようです。

 


「『Titanic Rising』は、これから起こること、差し迫った破滅の感情を観察するものだった。

 

次作アルバム『In The Darkness, Hearts Aglow』は、次のステージに入ること、つまり、私たち全員が今日置かれている状況、文字通りその真っ只中にいることを表現している。不安定で取り返しのつかない変化の時代において、意味を求め、暗闇の中を歩き回る。

 

かつて火があった場所に残り火を探す。アルゴリズムと繰り返されるループの運命からの自由を求めて・・・」


さらに、プレスリリースでは、「(次の作品は "希望 "について書かれた)」と予告されている。


「It's Not Just Me, It's Everybody "は、仏教の賛歌であり、すべての生き物の相互関連性と社会構造のほころびを表現しています。私たちの文化は、ますます人に頼らなくなっています。

 

このことが、新たな、かつてないレベルの孤立を生んでいるのです。その空虚さから抜け出す方法を買うことができるという約束は、私たちが今生きている恐怖、つまり、時代遅れになることへの恐怖を前にしては、ほとんど慰めにもなりません。

 

何かが違う・・・、その違和感は人それぞれではあるにせよ、普遍的なものなんです」


Writing :Weyes Blood (アーティスト執筆の報道資料))

 

ナタリー・メリングは、『タイタニック・ライジング』に続く作品の多くをジョナサン・ラドと共同制作し、クローズ・トラックの "A Given Thing" では、ロダイド・マクドナルドと組んだ。

 

この新作アルバムは、主にロサンゼルスの101スタジオでケニー・ギルモアがミックスを手掛け、ニューヨークのザ・ロッジでエミリー・ラザーとクリス・オールグッドがマスタリングした『And In The Darkness, Hearts Aglow』には、メグ・ダフィー(ハンド・ハビッツ)、ダニエル・ロパティン(ワノーリックス・ポイント・ネバー)、メアリー・ラティモアがゲスト参加している。 

 

 


Weyes Blood 『And in the Darkness, Hearts Aglow』

 



Tracklist:


1. It’s Not Just Me, It’s Everybody

2. Children of the Empire

3. Grapevine

4. God Turn Me Into a Flower

5. Hearts Aglow

6. And in the Darkness

7. Twin Flame

8. In Holy Flux

9. The Worst Is Done

10. A Given Thing

 

©︎Af cortes


Metz(カナダのノイズロックバンド)はIDLESのフロントマンJoe Talbotとタッグを組んで、新曲「Come On Down」を発表しました。


「Come On Down "はもともとAtlas Vendingのセッションで録音されたもので、完全には完成していなかった。

 

「パンデミックの間、私はライブ音楽の喪失によって残された空白を埋めるための方法として、コラボレーションというアイデアに引き寄せられた。ライブが与えてくれるコミュニティーの感覚を得るため、遠くの友人たちに連絡を取りました。IDLESのJoe Talbot(ジョー・タルボット)はMETZが何度も何度もステージを共にした長年の友人で、この曲は彼に追いつき、オフの時間を使って何か前向きなことをするための、とても自然で楽しい方法だった "と語っている。


「METZは、彼らが僕らの人生に現れて物事を良くしてくれた時から、僕らが尊敬しているバンドなんだ "とジョー・タルボットは付け加える。

 

「初めて彼らを見た時のことも、他のどの回も決して忘れないだろう。彼らと一緒に歌うことを許可してくれたことは、贈り物であり、気に入ってもらえると嬉しい。僕はそれが大好きだし、彼らを愛している。METZ万歳!!」


 

Wilco


ウィルコは、9月16日に発売される『Yankee Hotel Foxtrot』の20周年記念盤に先駆け「A Magazine Called Sunset (The Unified Theory of Everything Version)」という未発表バージョンのシングルを公開しました。 

 

この曲は、「Kamera (The Unified Theory Of Everything Version)」や「Reservations」「Pot Kettle Black」「Ashs of American Flags」のライブバージョンと共に記念再発盤に収められる予定です。

 

『Yankee Hotel Foxtrot』の20周年記念のスーパー・デラックス・エディションは、LP11枚とCD1枚のパッケージ、またはCD8枚のパッケージで発売されます。また、どちらのフォーマットにも82曲の未発表曲が収録される予定。未発表曲には、デモ、草稿、インストゥルメンタル、2002年のコンサートライブ録音、2001年9月のラジオ出演とインタビューが含まれています。


ウィルコは、7枚組LPのデラックス・エディションとデジタル・デラックス・エディションもリリースする予定で、どちらも39曲の未発表曲を収録。また、2枚組LP版と拡張CD版もあり、どちらもオリジナルアルバムのリマスター版を収録しています。

 



 

Caribouとして活動する電子音楽家、Dan Snaith(ダンスナイス)が、Daphni名義の新たなシングル「Arrow」を発表しました。これはどちらかといえば、チルアウトとアシッド・ハウスを絡めたミニマルなエレクロニカで、Bonoboの2019年のシングル「Linked」を彷彿とさせるようなトラックです。

 

今回、既にリリース済みのタイトルトラック、「Cloudy」、「Clavicle」、「Mania」に続く先行シングルで、Daphniの5年ぶりの新作アルバム『Cherry』に収録される予定となっています。

 

「”Arrow”は、じっとその場に座っていることに満足している曲のひとつなんだ」と、ダン・スナイスは声明で説明しています。

 

「ループし続けることに満足し、アレンジに凝れば凝るほど、満足できなくなるような曲なんだ。派手さはないし、大きなビルドやドロップもない...。でも、ダンスフロアで熱っぽい雰囲気を作り出すことができるはずだ」


『Cherry』はダン・スナイスが主宰するレーベル”Jiaolong”から10月7日にリリースされる予定です。


 

©︎Thurstan Redding

今週金曜日、9月16日、ダーティー・ヒットからリリースされるセカンド・アルバム『Hold The Girl』に先駆け、リナ・サワヤマが新作のラスト・プレビュー「Hurricanes」を公開しました。

 

『Hold  The Girl』の告知の後、タイトル曲、「This Hell」「Catch Me In The Air」「Phantom」と全ての先行シングルをご紹介してきました。これで、アルバム発売前の先行曲はすべて出揃い、アルバム到着を待つのみとなりました。最後に一番素晴らしいシングルが出たという印象で、先行曲を聴くかぎりでは、シンセ・ポップを基調にした良作となりそうです。


この先行シングルの中で最も明るい雰囲気を擁するパワフルなポピュラーソングは、「人生から投げかけられる試練に打ち勝ち、楽しむ」ことを歌った、アンセミックなポップロック・トラック。シングル・リリースに合わせてリリック・ビデオが公開されています。下記よりお楽しみ下さい。

 

 


イギリスのシンガーソングライター、サム・フェンダーが今後予定していた公演のいくつかをキャンセルすることを発表した。これは近年のオーバーワークによる精神的な疲労が原因となっている。フェンダーは、昨年ポリドールから「Seventeen Going Under」を発表してから過密日程をこなしており、今回、改めて自分をケアする時間を持ちたいと考えているようだ。


インスタグラムに投稿された声明文の中で、サム・ファンダーはこのライブのキャンセルの理由について以下のように説明している。「自分自身のメンタルヘルスをケアする時間を取らないのであれば、メンタルヘルスについての議論を提唱し、それについて曲を書くことは完全に偽善に思える」

 

続けて、「もう1年以上も自分をないがしろにしてきて、自分の内面に深く影響していることに対処していない」と明かし、「友人や同僚はしばらく私のことを心配してくれていた、私が時間を取らないかぎり良くなることはないだろう」と述べている。


今後、頭の中にスペースを確保するため、サム・フェンダーは、以後行われる予定だったアメリカでの三度のヘッドライン・ライヴに加え、フローレンス+ザ・マシーンとの共演、ライフ・イズ・ビューティフル・フェスティバルへの出演を取りやめることが決定した。さらに、以前からイギリスのレコードショップでの公演もキャンセルとなり、チケット購入者のために「何とかする」と約束している。


「しかし、私の健康状態は、私のパフォーマンスを含むすべての行動に影響を与え始めています...。私はそこに行くことを拒否し、私のすべての時間を与えることはありません、あなたたちは何も劣ってはならないので」


「こんなにも素晴らしいファンベースを持つことができ、どれだけ感謝しているか言葉にできません。長年に渡ってかなりの人数に会ってきたけど、その出会いは純粋に人間に対する信頼感を回復させてくれた、みんな、信じられないくらいに健全だ」

 

サム・フェンダーのInstagramの投稿は下記の通り。

 



 

ロンドンを拠点に活動する実験音楽家Laila Sakini(ライラ・サキニ)は、マンチェスターの電子音楽レーベル"Modern Love"からニューアルバム『Paloma』を10月下旬にリリースすると発表しました。

 

ライラ・サキニは、2020年、Boomkat Editionsから『Strada』、Total Stasisから『Vivienne』という実験音楽作品を発表している。2021年には自主制作のEP『Blip In The Bungalow』をリリースしている。また、昨年、Moopieのレーベル、A Colourful Stormから、同名の別名義でセルフタイトルアルバム『Princess Diana Of Wales』をリリースしています。


この新作アルバム『Paloma』において、「絶望的な時代における希望」というアイデアを探求しており、サキニの曲は目の錯覚、反射、魔法、神秘に触れている。ピアノとリコーダーが楽曲の中心に取り入れられているのはこれまでの作品と同様ですが、他にも、様々なオーケストラ楽器、バイオリン、グロッケンシュピール、ティンバーレが導入されています。アルバムリリースの発表に伴い、先行シングル「The Light That Flickers In The Mirror」が公開されています。

 


Laila Sakiniの新作アルバム『Paloma』は10月21日にModern Loveからリリースされます。下記のアートワークとトラックリストをチェックしてみてください。

 


Lila Sakini 「Paloma」

 


 

 

Tracklist:

1. Fleur d’Oranger (Rise)
2. The Light That Flickers In The Mirror
3. The Missing Page
4. That Wave, That Line
5. Wrong Turn from Julies at 6pm
6. Paloma Expressions

 

Photo: Steve Gulick



現在、PJハーヴェイは、新作に取り掛かっているという噂もあるが、書籍「Orlam」の発刊を行い、新しく執筆に挑戦する傍ら、既存アルバムのリイシューを行っている。

 

今回のリイシュープロジェクトの最後を飾るのが、11月4日に発売される『B-Sides, Demos And Rarities』コレクションとなる。このアルバムには、59曲が収録されており、その多くはこれまでデジタルでもフィジカルでも入手不可能だったもので、完全未発表の曲も含まれています。B-Sides, Demos And Raritiesコレクションは6xLP、3xCD、デジタル版で発売される予定となっている。


このリイシューには、「Dry」と「Missed」の未発表デモに加えて、1995年の『To Bring You My Love』の限定版B面CDに収録されていた「Somebody's Down, Somebody's Name」が収録される。。





 

 



PJ Harvey 『B-Sides, Demos And Rarities』


 

 

 

シェフィールドのロックバンド、アークティック・モンキーズは、UKロックを代表する『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』の先行シングル「I Bet You Look Good On The Dancefloor」の大ヒットにより、2000年代初頭にメインスターダムに躍り出た。さらに快進撃は続き、2ndアルバム「Favorite Nightmare」で彼らは完全に世界を収めることに成功した。以来、アークティック・モンキーズは、多くの同世代のどのインディーズバンドよりも長い活躍をし、2022年現在もUKシーンで最も尊敬されるトップランナーであり続けている。


「The Car」の先行曲として8月の発表された「There'd Better Be A Mirrorball」聴くかぎりでは、Arctic Monkeysの今度のスタジオワークは、これまでで最も新奇なものになりそうな予感もある。 

 

アルバム「The Car」は、The Beatles,Led Zeppelinのように、往年のヴィンテージのレコーディングスタイルにヒントを得たという趣旨をアレックス・ターナーは語っている。これはうろ覚えではあるが、かつてZEPが、『Led Zeppelin Ⅳ』の時代に、イングランドの田舎地方の屋敷を借り切り、そこに拠点を置き、レコーディングを行ったことを示唆していると思われる。


フロントマンのアレックス・ターナーの言葉にある通り、最新シングル「There'd Better Be A Mirrorball」は、「AM」に近いゴージャスなスタイルが取り入れられながらも、より古い音楽への原点回帰を感じさせる。豪華なストリングス・アレンジ、カクテル・ジャズ風のドラム、そしてアナログのテープループが古き良き時代のグラマラスな雰囲気を醸し出している。しかし、既存のアークティック・モンキーズ作品とは少し趣が異なることを、熱心なファンはきっとお気づきになられただろう。指摘をしておくと、アレックス・ターナーが2011年に発表したロマンティックな映画のオリジナル・スコア「Submarine」の方向性、そして、さらに、バンドの2013年のアルバム「AM」をダイナミックに融合したような作風となる可能性がきわめて高い。


さて、今回、spotify上で公開されたアレックス・ターナーが選りすぐりの曲を集めたプレイリストは、アークティック・モンキーズの次回作「The Cars」の音楽性を計る上で重要な手がかりになるかもしれない。このプレイリストには60-70年代の名曲が中心に取り上げられている。

 

最初の曲として選出されたレナード・コーエンの「Is This What You Wanted」は、実は、2016年にアレックスと彼のラスト・シャドウ・パペッツのバンドメイト、マイルズ・ケインがカバーしていることでも知られる。コーエンのアルバム『New Skin For Old Ceremony』に収録されたこの曲は、シャーリー・ジャクソンの小説のような心理的複雑さで煮えたぎっている。ーーこれが、あなたが望んだことなのか?ーーレナード・コーエンは、女性バック・ヴォーカルに包まれ、さらにーー私とあなたの幽霊が取り憑いた家に住むことーーとミステリアスに歌っている。

 

さらに、マーヴィン・ゲイの「I Want You」で、近年のアークティック・モンキーズの作品のR&B寄りの指向性が顕著に伺える。その他、モッズシーンの象徴的な存在、ポール・ウェラー率いるスタイル・カウンシルの「It Did't Matter」も通好みのかなり渋いセレクションと言える。


また、ターナーは、フランスの名作曲家/プロデューサー、ゲンスブールの官能的な雰囲気に包まれたアルバム『Magnificat L'histoire de Melody Nelson』も、このプレイリストの中に選んでいる。フレンチ・ポップの立役者であるゲンスブールが手がけた『L'histoire』は、史上最も陶酔的なカルトアルバム、マスタークラスである。ギター、ドラム、ベース、ボーカル、ストリングス、すべてのレコーディングが完璧に洗練されている。特に、「l'hotel particulier」でのジャン=クロード・ヴァニエのストリングス・アレンジは、これ以上ないほど見事なものである。


プレイリストの最後のトラックとして、アレックス・ターナーは、Wu-Tang Clanの「I Can't Go To Sleep」は、Isaac Hayesの「Walk On By」のようなオーケストラ・アレンジを選出している。これまた、次作アルバム「The Car」の音楽性を知るための重要な手がかりになる。


 

Alex Turner Playlist Selection :


  • ‘Is This What You Wanted’ – Leonard Cohen 
  • ‘I Want You’ Marvin Gaye 
  • ‘The Hurt’ – Yusuf
  • ‘L’hôtel particulier’ – Serge Gainsbourg 
  • ‘Ain’t Had No Lovin” – Connie Smith 
  • ‘In my Room’ – Nancy Sinatra 
  • ‘It Didn’t Matter’ – Style Council 
  • ‘Main Title’ – John Carpenter 
  • ‘New England Crows’ – Hamilton Leithauser 
  • ‘This Is Your Life’ – Glaxo Babies 
  • ‘Waiting for an Inivtiation’ – Benji Hughes 
  • ‘I Can’t Go To Sleep’ – Wu-Tang Clan



 



Sunny Day Real Estate(サニー・デイ・リアル・エステイト)は昨晩(9月10日)、ワシントン州スポケーンの250人収容のBig Dipperで、待望の再結成ツアーに向けて急遽公演を行いました。2010年5月以来となるこの公演では、シアトルのバンドSpirit Awardの新ベーシストChris Jordanと、この秋のツアーでJason Narducyと役割を分担するツアーギタリストGreg Suranが紹介されました。




「こんにちは、皆さん。とフロントマンのジェレミー・エニグックが淡々と語り、1994年の伝説的なデビューアルバム『Diary』の1曲目「Seven」がスタートしました。「これは本当なんですか?「と観客の女性が叫ぶと、エニックは「そうだと思う。"夢かもしれない"。


この日のセットリストには、2009年と2010年の活動再開時には演奏されなかった曲も多く、『Diary』と1995年のセルフタイトル・アルバム『The Pink Album』に大きく傾倒していた。サニーデイは、1998年の『How It Feels To Be Something On』からタイトル曲など5曲、2000年のラストアルバム『The Rising Tide』から4曲を復活させた。




また、前回の再結成と同時にニュー・アルバムのレコーディングを試みたことで浮上した唯一の新曲「Lipton Witch」もライブ・デビューを果たした。2014年にサーカ・サヴァイヴとのスプリット・シングルとしてリリースされた。

 


Sunny Day Real Estate 

 

 

Big Dipper setlist:

 


Seven
Theo B
48
One
Pillars
Lipton Witch
Guitar and Video Games
The Ocean
5/4
Roses in Water
Every Shining Time You Arrive
How It Feels To Be Something On
Killed by an Angel
J’Nuh

Encore:

 
The Rising Tide
In Circles
Days Were Golden




 


サウス・ロンドンの新星、Wu-Lu(ウー・ルー)が先日、Jehnny Bethが司会を務めるフランス・ストラスブールのテレビ局"ARTE"の音楽番組「Echoes with Johnny Beth」に出演しました。

 

バンドは、ワープレコードから7月にリリースされたデビューアルバム「Loggerhead」の楽曲を中心に取り上げ、ダブルドラム編成のダイナミックなパフォーマンスを披露している。この日の40分以上に及ぶセットリストには、代表曲である「South」「Blame」が含まれている。パフォーマンスの模様はこちらからご覧下さい。

 

©︎Kane  Layland


Cavetownがニューアルバム「worm food」のリリースを発表しました。11月4日にリリースされるこの新作アルバムにはニューシングル「1994」が収録されています。


「1994 は、罪悪感と、それがいかに自分の頭の中で誇張されてしまうかについて歌っているんだ」と彼は説明しています。「ある状況において本当に間違っていることと、頭の中で作り上げられたことの境界線を明確にすることに取り組んでいる」


「歌詞は自分自身へのメッセージで、自分の中にまだ愛とケアに値する子供がいることを確認するためのものです。"say you're coming around/ I need you lately everything's getting me down "というラインは、自分を孤立させることで慰めを感じていたけれど、誰かの存在によって慰められることを学ぶという内容です」


 Jockstrap    「I Love You Jennifer B」

 


Label:Rough Trade

 

Release: 2022年9月9日

 

Listen/Buy

 

 

 

Review


ジョック・ストラップの記念すべきデビュー・アルバム『I Love You Jennifer B』は、先週リリースされたインディーポップ作品の中で最も注目を集めた作品となった。複数のメディアはこのアルバムに平均点以上の高評価を与えていることからの最初の反応は軒並み良いものとなった。

 

このアルバムで、ジョージア・エレリー、テイラー・スカイは、既存のポップスやロックを新しい形で組み直そうと挑戦している。そのことは、先行シングル「Jennifer B」、他にも「Greatest Hits」に表れている。北欧のトイトロニカ/フォークトロニカ、他にも若手のアーティストらしく、ティーンネイジャーカルチャーに基底を置くチップチューンに近いユニークな音楽性が、ポピュラー・ソングやフォークミュージックと融合を果たし、新鮮な息吹をもたらす楽曲として昇華されている。これらの楽曲は、デビュー作ということもあり荒削りな形で提示されているが、それがローファイのような魅惑的なジャンク感を演出しているのも事実である。

 

ロンドンの演劇学校「ギルドホール」で出会ったというデュオの結成秘話のようなものもまたこれらのポピュラーミュージックの先進的なアプローチの中に大きく寄与しているように思える。スコットランドのフォーク・ミュージックから現代的なインディー・フォークを踏襲した六曲目の「Angst」は、ハープを豪華に活かした演劇的な雰囲気を持つ一曲で、聞き手を幻想的なおとぎ話の世界へと優しく誘う。他にも、プリペイド・ピアノをポピュラー・ミュージックとして再解釈した「Glassgow」は、現代音楽とポピュラー・ミュージックの融合に取り組んでいる。

 

「Lancaster Court」は、艶やかな質感を持った、近年、稀に見るような斬新なインディーフォークだ。オーケストラのティンパニーやジャズにルーツを置いたデビュー当時のビョークのような華やいた印象も見受けられる。ジョック・ストラップは、この楽曲で、新進プロジェクトとは思えない存在感の大きさ、才覚の鋭さを初見のリスナーに印象づけることに成功している。さらに、ボーカルについても、舞台芸術のような視覚的な効果を重視しているのにも着目したい。

 

「Jennifer B」と同じく、先行シングルとしてリリースされた「50/50」では、2021年に発売されたシングル盤とは異なるエレクトロ調のリミックスをこのアルバムでは体験することが出来る。ただ、この曲については、正直、オリジナルシングルの方が魅力的な楽曲であったように思え、アルバム単位として聴くと、全体の作品価値をほんの少し貶めている印象を覚える。

 

ジョック・ストラップは、このデビュー作において、他の新進アーティストとは異なる際立った才質を示している。それは、80-90年代から始まったスコットランドの音楽文化の流れに与するもので、ギター・ポップ/ネオ・アコースティックのニューウェイヴを今作で呼び起こそうというのである。それはティーンカルチャーの興味と相まって新鮮な息吹を感じさせるものとなっている。

 

1つだけ難点を上げるのならば、これらのトラックを聴くかぎり、デュオの音楽性や本当の才覚が完全な形で示されたとは言いがたい。これらの楽曲のアプローチのベクトルは常に中心点に収束し、大きなスパークを起こしているわけではない、その音楽のベクトルは常に散漫になりがちなため、それが楽曲として大きな化学反応を起こすまでには至っていない反面、それらの難点は、ジョック・ストラップの収まりのつかない”創造性の高さ”を示すものともなっている。

 

今後、ジョックストラップの持つシアトリカルな効果が、音楽と劇的な形で融合を果たした際には、スコットランドのミュージック・シーンの記念碑的な作品が出てきそうな気配もある。ぜひ、ベル・アンド・セバスチャンの次世代を受け継ぐインディー・スーパースターになってもらいたい。

 

 

78/100

 


Featured Track  「Angst」