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King Gizzard & The Lizzard Wizzard
©︎Maclay Heriot

キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザード(King Gizzard & The Lizzard Wizzard)がソーシャル・メディアで待望の26枚目のスタジオ・アルバム『FLIGHT b741』を発表した、発売元は p(doom)ーー最近設立されたインディーズ・レーベルーーから8月8日にリリースされる。

 


『Flight b741』の発表時には先行シングルは発表されないとのことだったが、正式な発表後に、「Le Risque」の映像が公開された。


ガイ・タイザック監督のコメント付き。「この素晴らしい格納庫にアクセスできたのは超ラッキーだった。この曲が選ばれたのは、ギズのほとんどのメンバーが歌うパートがあったからで、楽しくて止まらないペースでマイクが回されるのが楽しみだった。この日は、私たちが手に入れたいものが超ぎっしり詰まっていて、手を抜きたくなかった。私たちのクルーはタイトだったし、ギズのみんなはショーのやり方を知っている。時間に追われ、一日中トイレにも行けなかったよ」


このアルバムについて、バンドのフロントマンのステュー・マッケンジーは「原始的で、本能的で、もっと "直感的 "なものを作りたかったんだ。楽しいものを作りたかった」と述べている。

 

「このアルバムは、僕たちにとって最も共同作業的なアルバムでもあるんだ。共同作業は部屋の中で行われ、自由で、みんなが曲やアイデアを持ち寄った。そして、できるだけ多くのリード・ヴォーカリストを起用し、これは私のパートで、私のアイデアだった。このアルバム全体がそれを中心に作られている。結局、バッキング・ヴォーカルと追加レコーディングをたくさんやったんだけど、そういう雰囲気を出すために、みんな部屋で2、3本のマイクを囲んだんだ」

 

「どの曲にも、そしてアルバム全体にも大まかなテーマはあったんだけど、マイクを渡したら、あとは歌う人次第だった。誰かが自分のバースを書いてデモで歌い、それが次の人のパートにインスピレーションを与える。だから、お互いにリフし合っていた。リリックは、かなり内省的なものばかりで、とても楽しいんだけど、かなりヘビーなことを歌っていることも多い。おそらくいつもより深く普遍的なテーマを歌っていると思う。SF的なレコードじゃなくて、人生について歌っているんだ」



「Le Risque」- Best New Tracks



キング・ギザードは、長らくライブバンドとしてメタル、ハードロック、そしてサイケを飽くなき探究心で渉猟してきた。2022年、フルアルバムを立て続けに発表し、多作なサイケロックバンドとしての地位を獲得。2023年のプロジェクト『The Silver Cord』では、エレクトロなロックへと作風を転化させ、その音楽性の間口の広さでファンに少なからず驚きを与えた。およそ10ヶ月、キング・ギザードの熱狂的なファンは次作を待ち望んでいた。バンドは「この作品には本当に一生懸命取り組んできた。みんなに聴いてもらえるのが楽しみだ!」 と述べている。


キング・ギザード・アンド・ザ・リザード・ウィザードの最後のアルバムは2023年の『The Silver Cord』

 

 


King Gizzard and the Lizard Wizard  『FLIGHT b741』



Label: p(doom)

Reelase: 2024年8月8日

 

Tracklist:


1. Mirage City

2. Antarctica

3. Raw Feel

4. Field of Vision

5. Hog Calling Contest 

6. Le Risque

7. Flight b741

8. Sad Pilot

9. Rats In The Sky

10. Daily Blues


 

©Joe Magistro


マーキュリー・レヴがニューシングル「Ancient Love」をリリースした。同曲は、バンドにとって9年ぶりとなるオリジナルアルバム『Born Horses』に収録。6分のトラックを以下でチェックできる。

 

「今日あるものは昨日の思考と認識から生まれ、現在の思考が明日の人生を構築する」とバンドは新曲についての声明で語っている。"私たちの人生は、古代の愛に由来する私たちの心の創造物である」


Mercury Revによるニューアルバム『Born Horses』は9月6日にベラ・ユニオンからリリースされる。


「Ancient Love」

 

©︎Emily Marcovecchio

UKのロックバンド、ブロック・パーティーが新曲「Flirting Again」をリリースした。以下よりお聴きください。


「''Flirting Again "は、シーンに戻され、その仕組みを思い出そうとすることについて歌っている」とKele Okerekeはプレスリリースで説明している。

 

「魅力的に見せようとする一方で、自分を定義する傷を隠そうとする。私たちは皆、長年にわたって積み重ねてきた様々な傷跡を背負っており、その傷跡が私たちがどのように愛を与え、愛を受け取るかを形作ってきた。この曲は、自分自身を立ち直らせ、続けていくことを歌っているんだ」


昨年、Bloc Partyは2022年のアルバム『Alpha Games』に続く『High Life EP』を発表した。



 

Coldplay

UKのロックバンド、コールドプレイがニューシングル「feelslikeimfallinginlove」をリリースした。クリス・マーティンとの共同制作による、ワイドスクリーンですべてを包み込むようなアンセミック・ポップ。10枚目のアルバム『Moon Music』の最初の先行シングルである。


日本の音楽市場でも「Viva La Vida」が大ヒットを記録、一世を風靡したコールドプレイの待望の新作アルバム「ムーン・ミュージック」はパーロフォン/アトランティックから10月4日に発売予定。『Music From the Spheres』シリーズの第2弾となり、2021年の『From Earth With Love』(シリーズ第1弾)と同様、マックス・マーティンがプロデュースを手がけた。


コールドプレイは直近のツアーや新作のプレス生産の工程でCO2削減への取り組みを率先して行っている。ムーン・ミュージックからフィジカル・リリースを行うにあたり、バンドは可能な限りカーボンフットプリントを小さくしようとしている。その概要は以下の通りとなっている。


このアルバムは、140gのEcoRecord rPET LPとしてリリースされる世界初のアルバムとなります。これにより、25トン以上のバージン・プラスチックの製造を防ぐことができ、従来の140gレコードと比較して、製造工程でのCO2排出量/kgを85%削減することができる。


さらにバンドは、長年のパートナーであるThe Ocean Cleanupとのコラボレーションにより、追加フォーマットである”Notebook Edition EcoRecord rPET LP”を制作した。


このエディションのrPETは、グアテマラのリオ・ラス・バカスからオーシャン・クリーンアップによって回収され、ホンジュラス湾や大西洋への流出を防いだ70%の河川プラスチックで構成されている。Moon MusicのCD版は、世界で初めてEcoCDでリリースされる。


EcoCDは、消費者廃棄物から回収された90%の再生ポリカーボネートから作られる。これにより、少なくとも1kgあたり78%のCO2排出量削減を実現し、5トン以上のバージン・プラスチックの製造を避けることができる。

 

*全曲リストは現時点では公開されておりません。下記より先行シングルを試聴可能です。

 

 

「feelslikeimfallinginlove」

 


元ソニック・ユースのギタリスト、Thurston Moore(サーストン・ムーア)はギタリストとして以前と変わらぬ創造性を発揮している。そのことを証明付ける9枚目のソロアルバム『Flow Critical Lucidity』がザ・デイドリーム・ライブラリー・シリーズから9月20日にリリースされる。

 

最初の発表に合わせて、StereolabのLætitia Sadierをフィーチャーしたシングル「Sans Limites」を公開した。このアルバムには他にも「Isadora」、「Hypnogram」、「Rewilding」が収録されている。


この新曲について、サーストン・ムーアは声明の中で次のように述べている。


「Sans Limites'は、ギターとピアノの周期的な音で始まり、一回転するごとにどんどん広がっていく。兵士は善戦できるという考え。戦争に反対する戦士」

 


「Sans Limites」


Thurston Moore 『Flow Critical Lucidity』


Label:  Daydream Library

Release: 2024/09/20


Tracklist:


1. New in Town

2. Sans Limites

3. Shadow

4. Hypnogram

5. We Get High

6. Rewilding

7. The Diver

 


アイルランド出身の5人組、Fontaines D.C.がニューシングル「Favourite」の自主制作ビデオを公開した。この曲は彼らの次のアルバム『Romance』のセカンドシングル。「Favourite」はファウテインズ・D.Cの新しい可能性を示唆しており、スコットランドのギター・ポップにアイルランドの哀愁を添えている。この曲には従来になくバンドのセンチメンタルな一面が反映されている。


プレスリリースの中で、バンドのグリアン・チャッテンは「Favourite」を「この終わりのないサウンド、幸福感から悲しみへの連続的なサイクル、永遠に回転する2つの世界」と表現している。


ビデオは、ギタリストのカルロス・オコネルが生まれ育ったマドリッドで撮影された。また、各メンバーの幼少期の映像も使用されている。


さらにファウテインズ・D.Cは秋の北米ツアーの開催を発表した。9月20日から10月20日までの1ヶ月間行われるツアーで、ニューヨークのバンド、Been Stellarがオープニングアクトを務める。


バンドの4枚目のアルバム『Romance』は、2022年の『Skinty Fia』(イギリスとアイルランドのアルバムチャートで1位を獲得)、2020年のグラミー賞ノミネート作『A Hero's Death』、2019年のマーキュリー賞ノミネート作『Dogrel』に続く作品だ。本作で彼らは初めてプロデューサーのジェームス・フォードと仕事をしている。フォードは、アークティック・モンキーズ、ブラー、デペッシュ・モード、フォールズ等の作品を手掛けたUKロックの敏腕プロデューサーである。


バンドはアイルランド/ダブリンで結成されたが、近年はロンドンに活動拠点を移している。グリアン・チャッテン(ヴォーカル)、カルロス・オコネル(ギター)、コナー・カーリー(ギター)、コナー・ディーガン(ベース)、トム・コル(ドラム)が参加している。新作アルバムの構想は、アークティック・モンキーズのアメリカ、メキシコ・ツアー中に生まれ始めた。

 

Fontaines D.C.の新作アルバム『Romance』はバンドの最もスピリチュアルな一面が現れたもので、ボーカルのチャッテンは、日本の漫画『Akira』に触発を受けたとも語る。8月23日にXL Recordingsから発売される新作アルバムは今年のロックミュージックの最大の注目作となりそうだ。

 

 

 「Favourite」

 

©︎Anna Lee


UKのロックバンド、コールドプレイが3年ぶりのアルバムを発表した。2021年の『Music of the Spheres』に続く『Moon Music』は10月4日にリリースされる。そのファースト・シングル「feelslikeimfallinginlove」は、バンドが昨夜、ブダペストのプスカース・アレーナでのソールドアウトしたスタジアム・ライヴで初披露したナンバーで、今週末、6月21日(金)にリリースされる。


近年、コールドプレイはロックバンドとして環境保護活動に取り組んでいる。ライブ活動が内輪向けの消費のためだけではなく、より良い社会を作るための働きかけを行おうという姿勢を保持している。更に、コールドプレイは、『Music of the Spheres』のリリースを兼ねた最新のライブツアーにおいてCO2排出量の削減に率先して着手し、59%のエネルギー削減目標を掲げている。これは、バンドがイギリスの音楽賞ブリット・アワードの取り組みと足並みを揃えていることを表す。


マックス・マーティンのプロデュースによる「Moon Music」は、140gのEcoRecord rPET LPとしてリリースされる世界初のアルバムとなる。プレスリリースによると、『ムーン・ミュージック』(EcoRecord LPとEcoCDの両方)の初回限定盤は、今後のどのエディションよりも「高い仕様」で生産される。初回のプレスにはコールドプレイプレイのサインがディスクに付属している。


コールドプレイは『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』を引っ提げたワールド・ツアーの真っ最中で、11月16日にニュージーランドのオークランドで行われる2公演目でツアーは幕を閉じる。



Coldplay 『Moon Music』



 


ソニー・ミュージックは、ブルース・スプリングスティーンの『Born In The U.S.A.』の発売40周年を記念して、新色ヴァイナルと拡張パッケージを採用したスペシャル・エディションをリリースする。海外盤の他、日本盤についても、対訳付のカラー・ヴァイナル・ヴァージョンが発売される。海外盤は6月14日に発売、それに次いで、日本盤は6月19日に発売となる。

 

スプリングスティーンの代表作『Born In The USA』の40周年記念のアニヴァーサリー・エディションLPは、レッド・クリア・ヴァイナルで、ゲットフォールド(見開きジャケット)となり、エリック・フラニガンによる書き下ろしのライナーノーツと当時のアーカイブ写真を追加したブックレット、LPサイズのカラーリトグラフが付属する。国内盤は、完全生産限定輸入盤国内仕様で、特色シルバーの巻き帯と英文ライナー翻訳他、解説・歌詞・対訳付で発売される。


Born In The U.S.A.ツアーが1984年夏にスタートしてから40年、スプリングスティーンとEストリート・バンドは先月カーディフで2024年のヨーロッパ公演をスタートさせた。『Born In The U.S.A.』の40周年記念リリースは、ソニー・ミュージックがリリースしたキャリアを網羅する『Best Of Bruce Springsteen』コレクションに続く作品となる。


『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』ツアーがキック・オフした1984年夏から40年。ブルース・スプリングスティーン & Eストリート・バンドはヨーロッパ・ツアー中。「他のどんなチームの追随も許さない」(ビルボード誌)、「基準を打ち立て続ける」(ローリング・ストーン誌)、「史上最強にパワフル」(ヴァラエティ誌)と称賛されてきたライヴ・パフォーマンスを披露している。


 

 

 

 

ブルース・スプリングスティーン 『ボーン・イン・ザ・USA』 (40周年記念カラー・ヴァイナル)


ブルース・スプリングスティーン 『ボーン・イン・ザ・U.S.A.(40周年記念カラー・ヴァイナル)』帯付きパックショット
 

Side A


1. BORN IN THE U.S.A. ボーン・イン・ザ・U.S.A. *
2. COVER ME カヴァー・ミー *
3. DARLINGTON COUNTY ダーリントン・カウンティ
4. WORKING ON THE HIGHWAY ワーキング・オン・ザ・ハイウェイ
5. DOWNBOUND TRAIN ダウンバウンド・トレイン
6. I’M ON FIRE アイム・オン・ファイア *


 
Side B


1. NO SURRENDER ノー・サレンダー
2. BOBBY JEAN ボビー・ジーン
3. I’M GOIN’ DOWN アイム・ゴーイン・ダウン *
4. GLORY DAYS グローリィ・デイズ *
5. DANCING IN THE DARK ダンシン・イン・ザ・ダーク *
6. MY HOMETOWN マイ・ホームタウン *
(*=シングルカットされすべてTOP10入りを果たした)

 

 

*先行予約はこちらから

(Tower Records Online/Sony Music Shop/HMV/Onkyo Music等で予約受付中)



 2024年6月19日発売 完全生産限定盤1LP SIJP-178 税込4,400円 (輸入盤国内仕様)
*レッド・クリア・ヴァイナル 新見開きジャケット 新ブックレット LPサイズのカラーリトグラフ収録
*日本盤のみ特色シルバー巻き帯、英文ライナー翻訳、解説・歌詞・対訳付

 

Pixies ©Liam Maxwell


ピクシーズは、2022年のフルレングスアルバム『Doggerel』(レビューを読む)に続いて、ニューシングル「You're So Impatient」と1950年代のクラシック・スタンダード「Que Sera, Sera (ケ・セラ・セラ)」のカバーソングを発表した。

 

前者「You're So Impatient- (君はとてもせっかち)」はローリング・ストーンズを思わせる軽快でスタンダードなロックソングとなっている。シンプルな構成の中に変拍子が入り、緩急があるのも、ピクシーズらしいと言える。サビでは、ブラック・フランシスらしいウィットに富んだフレージングが満載。


後者「Que Sera, Sera (ケ・セラ・セラ)」はドリス・デイの1956年の楽曲。ロビン・ヒッチコックの「知りすぎていた男」の主題歌であり、ピクシーズらしいメキシカーナを思わせる渋いアレンジとなっています。


「You're So Impatientは、郊外のカルチャーをちょっとコミカルに描いた曲なんだ。そこには男と女がいて、恋の綱引きが繰り広げられているようだ。ところが、背景はショッピングモール...。モールはガサツなんだけど、ゾンビ映画やロックンロール・ホラー映画の舞台でもあるんだ」



「You're So Impatient」

 

 

 

 「Que Sera, Sera」

 

 

©Dana Trippe

ブルックリンを拠点とするサイケロッククインテット、GIFTがニューアルバム『Illuminator』を発表した。同時に「Going In Circles」をミュージックビデオで公開した。(シングルのストリーミングはこちら

 

GIFTは、ヴォーカリスト/ギタリストのTJ Freda、マルチ・インストゥルメンタリストのJessica GurewitzとJustin Hrabovsky、ドラマーのGabe Camarano、ベーシストのKallan Campbellを擁している。


フレダはプレスリリースで "Going In Circles "について次のように語っている。「この曲は、私がIlluminatorのために書いた最初の曲で、アルバムの方向性を理解するのに役立った。受動的にギターを弾きながらコーラスを書き、そのアイデアを急いでレコーディングした。その瞬間、何かがピンときて、アルバムの方向性がわかったんです。『Momentary Presence』ツアーのライヴでは、観客が動かずに目を見開いて立っていました。だから、プライマル・スクリーム、オアシス、マッシヴ・アタックのようなバンドにインスパイアされた。この曲は、90年代のイギリスのレイヴ・カルチャーに対する僕らのサイケロック・トリビュートでもあるんだ」

 

 

Going In Circles






GIFT 『Illuminator』

Label: Captured Tracks

Release: 2024/08/23

 

Tracklist:

1. Wish Me Away

2. Light Runner

3. To The Stars and Back

4. Going In Circles

5. It’s All Too Fast

6. Falling Down

7. Destination Illumination

8. Later

9. Glow

10 Water In My Lungs

11 Milestones

 

Pre-oder: https://gift.ffm.to/illuminator.vlb

Last Dinosaurs

日本にルーツを持つキャスキー兄弟からなるオーストラリアのインディーロックバンド “ラスト・ダイナソーズ” が5thアルバム『KYORYU』をリリースする。下記より配信リンクをチェック。


これまでにリリースしたEP「RYU」と「KYO」の集大成である本作。作品を通して【1000年後の文明崩壊後の世界】を描いており、その壮大な物語がついに完結した! リード曲である新曲「Wait Your Turn」を含む、こだわり抜かれたストーリーとサウンドがリンクしたメッセージ性の強い全13曲が収録。アルバムの先行シングルのミュージックビデオを改めて下記よりチェックしてみよう。


EPのタイトルは日本にルーツをもつキャスキー兄弟のミドルネーム“Ryuhei”と“Kyohei”から名付けられ、タイトルを合わせるとバンド名「ラスト・ダイナソーズ」の象徴でもある ”KYO-RYU” (恐竜)になるという、壮大な物語の裏側にあるラスト・ダイナソーズの遊び心も楽しめる。 

 

これまで、数々の日本のサブカルチャーにオマージュを捧げた作品を発表してきたラスト・ダイナソーズ。日本でもその仕掛けが話題を呼び、日本でのファンベースを着実に拡げてきたバンドの動向から目が離せない。  

 

 

「N.P.D」( *MVにはオカモト・レイジが出演。新宿LOFTのワンカットもあり)



 

「Paranoia Paradise」

 



Last Dinosaurs(ラスト・ダイナソーズ) 『Kyoryu(キョウリュウ)』 -New  Album



レーベル(国内):ASTERI ENTERTAINMENT

ストリーミング・ダウンロード・LP

 

Pre-add/Pre-save(配信リンク):  https://asteri.lnk.to/LD_kyoryu

 

 

 

Review:

 

オーストラリアのラスト・ダイナソーズは、The 1975とThe Strokesが未知の邂逅を果たしたとも喩えられる。『KYORYU-(キョウリュウ)』は、キャスキー兄弟は日本のルーツをオープンかつ明らかにし、謎掛けのような日本語の語りのサンプリング「Keys To Your Civic」で始まる。

 

しかし、そういったミステリアスな試みの後には、驚くほど軽やかなダンスロックが展開される。シティポップやAORの系譜にある、明るく清涼感のあるダンスポップのナンバーが目立つ。


ダイナソーズはハネ感のあるグルーヴィーなビートをシンセサイザーとギターを中心に作り出し、ベース/ギターサウンドを通じてチルウェイブのテイストを添え、スポークンワードのサンプリング等、近未来的な音楽の要素を散りばめる。The Killers、The 1975の系譜にあるダンサンブルで親しみやすいロック性は、彼らの持つ温和なエモーションとマッチしている。キャスキー兄弟を中心に構成されるラスト・ダイナソーズは、AIの革新やオートメーション化が進むこの世界で''人間性とはなにか''という、これからの人類が抱えるテーマを探求するのである。 


先行シングル「N.P.D」、「Paranoia Paradise」を始めとするキラーチューンはもちろん、「Afterlife」を筆頭にThe Strokesを彷彿とさせる痛快なロックナンバーも本作の持ち味だ。アルバムの終盤に収録されている「The Way You Are」は、持ち前のダンサンブルなロックがアンセミックなボーカルと結びつき、切ないエモーションを醸し出している。圧巻はアルバムのクローズを飾る「Not From Here」。シンセ・ピアノがロックの即効性とは対極にある癒やしをもたらす。クローズを聴くと、フルアルバムを聴いたという充実感を抱かざるをえない。トリオ編成のロックバンドの一体感を心ゆくまで味わえる力強いアルバム。ラスト・ダイナソーズのファンは本作を通じて、SFのような趣向を持つ未来派のロックソングに遭遇するだろう。


 

 

85/100 

 

 

 


Last Dinosaurs Biography:


オーストラリアと日本の血を引くLachlan Caskey(ロクラン・キャスキー)(Gt.)、Sean Caskey(ショーン・キャスキー)(Vo.)兄弟、そしてMichael Sloane(マイケル・スローン)(Ba.)の3人からなる、オーストラリアのインディーロックバンド。

2012年にリリースされた1stアルバム『In A Million Years』は、オーストラリアのARIAチャートで初登場8位を記録し、大きな注目を集めた。このアルバムの成功によりオーストラリア全土のライブをソールドアウトにし、イギリス、ヨーロッパ、東南アジア、南アフリカで大規模なヘッドラインツアーとフェスへの出演を果たした。 

2ndアルバム『Wellness』、3rdアルバム『Yumeno Garden』をリリース後、2018年12月には初のUSツアーを発表し、LAの第1弾公演はチケット販売開始1分以内にソールドアウト!その後すぐに全米で17公演がソールドアウトに。 Webster Hall、Fonda Theatre、The Fillmoreなどの有名な会場で21日間のヘッドラインツアーを含むアメリカとカナダの2つのソールドアウトツアーも行った。その後、バンドはイギリスとEUに渡り、パリ、ベルリン、アムステルダム、ロンドンでの2日間のツアーをソールドアウトにし、東南アジアでの公演も大成功を収めた。

また、Last Dinosaursは、Foals、Matt & Kim、Lost Valentin、Foster the Peopleなどといった国際的なアーティストをサポート。対バンやフェスでの共演も数多く、グローバルに活躍している。

コロナ禍では、メキシコとオーストラリアのスタジオに入り作曲とレコーディングを行い、4thアルバムとなる『From Mexico With Love』を2022年にリリース。

またルーツだけでなく、日本の音楽シーンとも関わりが深く、The fin.の日本国内リリースツアーへのゲスト参加、オカモトショウ(OKAMOTO'S)のソロアルバムにフィーチャリング参加、さらに2022年9月〜10月に開催されたOKAMOTO'Sとの日本国内対バンツアーは大成功のうちに幕を閉じた。

The Lemon Twigs  『A Dream Is All We Know』 

 


 

Label: Captured Tracks

Release: 2024/05/03

 

 


Review    ダダリオ兄弟が巻き起こすパワーポップ/ジャンクルポップの熱狂

 

 

最近、よく思うのは、例えば、イギリスのロンドンやマンチェスターから登場する音楽はある程度事前に予測出来るが、アメリカから登場する音楽は予測することがほとんど不可能ということである。つまり、どこから何がやってくるのかさっぱり見当がつかないし、そして驚きに充ちているというのがアメリカの音楽の楽しさなのである。

 

ご多分に漏れず、ニューヨークのキャプチャード・トラックスに在籍するダダリオ兄弟による四人組のバンド、ザ・レモン・ツイッグスの音楽も驚きに充ちていて、2024年の時間軸から1970年代、いや、それよりも古い年代にわたしたちを誘う力があるのではないだろうか。


レモン・ツイッグスの音楽は、一般的にアメリカのメディアで比較対象に出されるように、ビートルズやビーチ・ボーイズに近い。ついで、ルビノーズのようなビートルズのフォロワーの時代に登場したロック・グループの音楽を現代に蘇らせている。70年代頃にイギリスやアメリカで盛んだったビートルズの音楽をモダンに解釈しようという動きは、Flaming Grooviesに代表される”マージービート”という名称で親しまれていたが、それが以降のThe WHOやThe Jamに象徴付けられる英国のモッズロックの形に繋がった。また、もうひとつの流れとしては、ビートルズは、オーケストラ音楽をポップスの中に組み込んだチェンバーポップ/バロックポップという形式を重要な特徴としていたが、このジャンルのフォロワーは以後の世代に無数に生み出され、パワーポップというマニアックなスタイルへと受け継がれていったのである。この流れのから、アメリカの最初のインディーロックスター、アレックス・チルトンも台頭し、その系譜は最終的にポール・ウェスターバーグに続いていったのである。パワーポップの有名なコンピレーションとして、「Shake Some Action」という伝説的なカタログが挙げられる。このコンピには、Shivversというマニアックでありながらアメリカの良質なバンドの曲が収録されていた。

 

 

ザ・レモン・ツイッグスの名を冠して活動するダダリオ兄弟は、上記のマージービートやチェンバーポップの要素を受け継ぎ、”アナログレコードの質感を現代的なレコーディングで再現する”というのをポイントに置いている。実際的にはアナログのサチュレーター等に録音した音源を落とし込むと、テープ音楽のようなビンテージな音の質感が得られることがあるが、レモンツイッグスの場合は、それらをライブセッションを通じて探求しようと試みる。彼らの音楽には、60、70年代のロックバンドの間の取り方があり、リアルなロックミュージックの魅力を留めている。

 

前作と同様、このアルバムの音楽に安心感があるのは、兄弟がクラシックなタイプのロックミュージックをじっくり聴き込んだ上で、それをどのように現代的に洗練されたサウンドとするのか、バンドセクションで試行錯誤しているからである。ただ、彼らが単に70年代のレコードだけを聞いていると見るのは早計で、実際の音楽に触れると分かる通り、他のヒップホップやローファイも結構聴くのかも知れない。そして、何より大切なのは、彼らはごくシンプルにロックの楽しさをわかりやすくリスナーに提供しようとしているということでだろうか。口ずさめるメロディー、そして乗りやすいリズム、複雑化した現代の音楽に一石を投じ、あらためてロックの真髄を彼らは叩きつける。選択肢が多いということは確かに長所であり、強みでもあるけれども、それを一点に絞ったほうが、その音楽の魅力がリスナーに伝わりやすくなる。シンプルな感覚を伝えようとすることは、複雑なものを伝えるよりも勇気を必要とするのである。

 

 

現時点のダダリオ兄妹の最大の長所は、傑出したコーラスのハーモニーにあり、これはビートルズ、ビーチボーイズ、あるいはチープトリックの全盛期にも匹敵するものである。 ときにメインボーカルはこぶしをきかせた力んだ感じの節回しになることがあるが、それは不思議と古びた印象を与えない。それは背後のバンドアンサンブルがボーカルを上手い具合に引き立てており、音の出処と引き際をうまく使い分け、レモンツイッグスしか生み出し得ないオリジナルのグルーブやメロディーを生みだすからである。


アルバムの冒頭に収録されている今年の年明けに発表された「Golden Years」は、このことを顕著に表している。シンプルな8ビートによるロックソング、そして、ビーチボーイズに比する美麗なコーラスのハーモニー、バンドアンサンブルを通じて曲の一連の流れのようなものを作り、サビの部分でクリアな響きを作り出す瞬間は、ほとんど圧巻とも言えるだろう。昨年のフルアルバムでは、ややノイジーなサウンドに陥ってしまうという難点もあったが、このオープナーはコーラスワークが洗練されたことに加え、バンドアンサンブルのグルーヴィーな音の運びが陶酔感のあるポップ/ロックの世界を生みり出す。「Golden Years」は米国の深夜番組、''ジミー・ファロン''のステージでも披露されたのを思い出すが、少なくとも、レモン・ツイッグスの代名詞のようなナンバーであるとともに、重要なライブレパートリーともなりそうな一曲である。


「They Don't Know Hot To Fall In Love」、「Sweet Vibration」を見るとわかるように、アルバムの序盤の収録曲には、ビートルズからの音楽的な影響を窺わせるナンバーが多い。そしてダダリオ兄妹は60年代頃のロックミュージックがそうであったように、青春時代をおもわせる爽やかさを織り込んだシンプルなラブソングに昇華させている。演奏の部分ではリバプールの四人組のスタイルを受け継いで、ドラムを中心にしなやかなアンサンブルを組み上げている。そして、例えば、ビートルズがチェンバロを使用した楽曲を、彼らはシンセのエレクトリックピアノの音色を織り交ぜて、ややクランチな質感を持つロックソングに変化させている。その他、クラシカルなロックに対するツイッグスの興味は、アルバムの中盤の重要なハイライトとなる「If You And I Are Not Wise」にも見出せるはずである。ここではCSN&Yのアルバムに見出せるようなフォーク・ミュージックを絡めてロックソングをアレックス・チルトンのBig Starのようなスタイルで解釈している。ここにはアメリカのインディーロック音楽の真髄を見ることが出来る。歌詞に関しても、少しウィットに富んだ内容を書いているのは珍しいことと言える。



アルバムの中のもうひとつの注目曲としては、先行シングルとして公開された「How Can I Love Her More?」が挙げられる。イントロでは、金管楽器に加えてギタープレイがフィーチャーされている。この曲で、ダダリオ兄弟は甘酸っぱいというか、青臭い感じのあるラブソングを書いている。また、曲の背景には、ビーチ・ボーイズの「Pet Sounds」の時代を思わせる爽やかなコーラスワークが散りばめられている。そしてツイッグスの甘酸っぱいサウンドを引き立てているのは金管楽器とストリングス、メロトロン、チェンバロの代用となるシンセベースである。

 

下記にご紹介する注目曲「How Can I Love Her More?」のミュージックビデオでは、ダダリオ兄弟がまるで録音の中でチェロを実演しているかのようなシーンが映像に収録されているが、多分このレコーディングでは、生楽器ではなくシンセが使用されている。レコーディングとしては、シンセストリングスを使う場合、安っぽくならないように細心の注意を払う必要があるが、バンドの喜び溢れるエネルギーに満ちた演奏がそのポイントをやすやすと乗り越えている。

 

曲の親しみやすさ、時代を越えても色褪せることのないロック性、さらに淡麗なメロディーの運びは、バロックポップ/チェンバーポップの最終形態とも言えるかも知れない。リフレインが続いた後、アウトロにかけてのダダリオ兄弟のボーカルは感動的なものがある。この曲には、Sladeの「Com On The Feel the Noize」に比するロックの普遍的な魅力がある。そう、最も理想的なロックソングとは、難しいことを考えず、叫びたいように叫べばよい、ということなのだろう。


今回の5作目のアルバムは、前作「Everythig Harmony」とは明らかに異なり、単なる懐古主義の作品とは決めつけがたい。いくつか新鮮な試みが見いだせることも、リスニングの際のひそかな楽しみになるに違いない。レモン・ツイッグスは、チルウェイブやローファイ、ヨットロック、ジャズの要素を他の収録曲で織り交ぜていて、これらが今後どんな形になっていくか楽しみである。例えば、「I Dream is All I Know」では、チルウェイブ風のロックソングを制作し、「Ember days」ではヨットロックをフォークやジャズと絡めて、安らぎと癒やしに満ちたナンバーを制作している。しかしながら、こういった多角的な音楽のアプローチも見受けられる中、アルバムのクローズを飾る「Rock On」では、やはりクラシックなロックに回帰している。そして、ブルースの基本的なスケールを基にして、Sweet、マーク・ボラン擁するT-Rexを思わせるかなり渋いグリッターロックを書いているのも、いかにもレモン・ツイッグスらしいといえるでしょうか。




90/100

 


Best Track-「How Can I Love Her More?」

 

©Madeline McManus


元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのオリジナル・メンバー、そしてエレクトリックビオラの演奏者でもあるジョン・ケイルは、近年、ソロ活動に転じ、若い時代と変わらぬ創作意欲を見せています。ソロ・プロジェクトでのジョン・ケイルはボーカリストとしての才能を発揮している。

 

ケイルは近日発売予定のアルバムから新曲「Shark-Shark」をリリースしました。リード・トラック「How We See the Light」に続くこの曲は、アビゲイル・ポートナー監督によるミュージック・ビデオと合わせて公開されました。以下より映像をチェックしてみてください。


「時には、純粋にムードのために曲を書くこともあるんだ」とケイルはプレスリリースで語っています。『Shark-Shark』には2つのバージョンがあり、どちらも音楽にユーモアを見出すためのものです。現実の世界を感じているとき、最高の気分転換は顔をニヤリとさせる。アビーとチームがどうやってこの撮影を続けたのかわからない。"不真面目 "であることはとても楽しかったよ!」


ジョン・ケイルのニューアルバム『POPtical Illusion』は6月14日にDominoからリリースされる。

 

 

「Shark-Shark」

・チャック・ベリーと1955年以降の数年間 クロスオーバーの流れを作る



 

ロック・ミュージックの成立に関しては、どちら側の観点からその音楽を検討するかによって変化してくる。例えば、エルヴィス・プレスリーのようなミュージシャンを思い浮かべる人ならば、ロックはカントリーやウェスタンの延長線上にある音楽と言うかもしれない。それとは正反対に、リトル・リチャードやチャック・ベリーを最初のロックのアイコンとして見るなら、当然、ゴスペル、ブルース、ロカビリー、ドゥワップの以降の音楽、及び、ブラックミュージックの重要な定義である”ダンスカルチャーの中に組み込まれた音楽、及びその文化形態”と言うはずなのだ。

 

この場合はロックではなくて、厳密に''ロックンロール''という今や廃れかけた言葉を使用する必要があるかもしれない。ロールというのは”転がす”の意味で、つまり、2ビートの音楽の原始的なスタイルを示すと同時に、ダンスカルチャーの一形態のことを示唆しているのである。そして、もし、エルヴィス・プレスリーをロックの先駆者として解釈するならば、当然、SUNレーベルのリリースやヒット・ソング、チャートの推移データを検討する必要がある。もしエルヴィスから話を広げる場合は、音楽ビジネスや業界の形態の動向を度外視することは出来ない。

 

他方、もし、チャック・ベリーをロックの先駆者としてみるなら、彼の全盛期である1955年からの数年間の軌跡を追っていく必要がある。しかし、ロックが白人音楽のものなのか、それとも黒人音楽のものなのかというのは、ナーバスな問いで、いつまで経っても結論が出そうもない。これはバスケットボールとベースボールのどちらが凄いかという無益な論争にもよく似ている。どちらも凄いで良いのではないだろうか。少なくとも、ロックはどちらの音楽でもあるというのが著者の拙い私見なのである。

 

音楽のセンセーショナル性やスター性では、リトル・リチャードやプレスリーに軍配が上がるに違いない。しかし、私自身がチャック・ベリーがロックミュージックを概観する上で重要視したいのは、彼の音楽がロックの基本的なスタイルや素地を作ったからなのではなく、単純に彼が前の時代のマディー・ウォーターズからギターの演奏の薫陶を受けており、ベリーがモンゴメリーのような優れたプレイヤーだからである。そしてベリーの音楽は、ブラックミュージックとしてもクールだ。それはなぜなのか? それは彼がマディー・ウォーターズのバックバンドで演奏した経歴があり、いわゆるサポート・メンバーからスターダムへとのし上がった人物だからである。そして彼のロックの系譜の中には、やはりブルースの泥臭さがあるというべきなのだ。

 

チャック・ベリーは一貫して、ギタープレイヤーとして、シカゴのブルースマンや、それ以前のブルージャズのギタリストに習って、ギブソンの大型のカスタムギターを使用してきた。これは晩年になっても不変だったはずである。少なくとも、ベリーの頭の中には自分が単なるロックで終わったミュージシャンではなく、普遍的なジャズギタリストやブルースマンと同じように”時代に古びないプレイヤー”として見てもらいたいという思いがあったのではなかったか。

 

 

 

 チャック・ベリーの軌跡

 

 1928年10月18日、チャック・ベリー「本名: チャールズ・エドワード・アンダーソン・ベリー)は、カルフォルニアのサンホセに生まれたとされている。

 

ただし、これは俗説に過ぎず、 セントルイスの出身という説もある。すくなくとも、ベリーは幼年時代にミズーリ州に移り、そして少年時代を過ごしたと言われている。

 

ギターを演奏するようになったのは、中学時代で、卒業後、紆余曲折を経験し、ミュージシャンを志すようになった。彼はその後、当時、ブルースの聖地であったシカゴへ向かい、マディー・ウォーターズと出会った。その後、ベリーはウォーターズのバックバンドで演奏をはじめた。これがチャック・ベリーのプロミュージシャンとしての出発だった。そしてシカゴの名門のブルースレーベル、CHESSのオーディションを受け合格。チャック・ベリーはソロアーティストとしての契約にこぎ着けたのだった。

 

チャック・ベリーは、その後の2年間で驚くべき多作ぶりを見せている。1955年8月20日にはデビュー・シングル「Maybellene / Wee Wee Hours」 を発表した。この曲はベリーにとって最初のチェスレコードの録音だったが、驚くべきエフェクトを音楽業界に及ぼしている。そして彼の音楽はポップとして受けいれられることになった。いきなり、全米ポップチャートの五位にランクインし、チェック・ベリーという代名詞を広める要因ともなったのである。また同年、ベリーは同じくシングル「Thirty Days/Together」を発表した。惜しくもこのシングルは、ヒット作とはならなかったが、少なくとも、彼の知名度を上昇させる要因となったと見て良さそうである。

 

1955年は音楽評論の観点から言うと、ロックンロールが始まった年と言われることが多い。例えば、アメリカでエルヴィスがSUNレーベルに所属していた時代で、まだこの頃にはロックブームははじまっていない。もちろん、全米を代表するようなスターは誕生していない。さらに、厳密にいえば、のちのクロスオーバー現象もまだ起こってはいなかった。最初のブームが起きたのは、エルヴィスがRCAと契約した翌年であると言われている。ただ、この頃のチャック・ベリーの音楽は、まだ以降のような洗練されたスタイルと言い難かった。つまり、彼の音楽は、2ビートのシャッフルが基本であり、ロカビリーの延長線上にあったのである。そしてロカビリーは、カントリー/ウェスタンが派生したものであるというのが一般的な説である。つまり、ロックの最初は、ロカビリーをどのようにして次のモダンなスタイルに繋げていくのかがミュージシャンの間での論点だったわけだ。サム・フィリップスをはじめとするSUNのブレインは白人側からこの点に着目し、ベリーは黒人側からこの点を注目していたのだった。

 

ロカビリーというジャンルは、現在ではパンクと融合して”パンカビリー”というジャンルに転訛している。歌詞にも、現代に通じる特徴があり、ごく普通に現代のラップのようなスラングを使用していたという。その中には、少し際どい表現もあり、セクシャルな表現も散りばめられていた。ところが、ベリーはその限りではなかった。彼はどちらかといえば、十代の青春や純粋さを歌ったエバーグリーンな表現をロック・ミュージックに乗せて情熱的に歌ったのである。彼の歌詞のテーマは現代のラップミュージックにも近いもので、思春期の悩み、欲望等をストレートに表現していた。

 

 

・ロックンロールの最盛期

 

1956年に入ると、ロックンロールはアメリカで全国的な人気を獲得するようになった。その流れに乗って、チャック・ベリーはこの一年間で四作ものシングルを発表している。そのなかで彼のヒット作も誕生した。


「No Money Down / Download Train」、「Roll Over Beethoven/ Drifting Heart」、「Too Much Monkey Business/ Brown Eyed Handsome Man」、「You Can't Catch Me/Havana Moon」である。

 

これらのタイトルはカントリーのようなタイトルもあるが、「Roll Over Beethoven」、「Too Much Monkey Business」のような以降のクラシックなロックのヒントになり、ウィットに富んだタイトルがある。

 

このなかで、6月30日に発売された「Roll Over Beethoven」はチャック・ベリーの代表曲であり、以後のロックのクラシックとなるが、実際は、商業的にはいまいち成功していない。このシングルは発売当初、全米チャート29位に一週間だけランクインしただけにとどまった。後にヤードバーズやホリーズがカバーした「Too Much Monkey Business」はチャートインすらしていない。いわばミュージシャンズ・ミュージシャンの代表作にみなされている曲である。

 

1956年は、エルヴィスがRCAとサインし、ローカルなロカビリースターとして名を馳せた年だった。むしろチャック・ベリーのような黒人のロックミュージシャンは、チャートや商業主義とは別軸にあるロックブームの基礎をリリースと合わせて着実に積み重ねていった印象がある。


特に、この年代のベリーの音楽的な功績には注目すべき点がある。ブルース/R&Bを白人のウェスタン・スイングのリズムと掛け合わせ、さらに以降のロックの重要なリズムとなる4ビートと重ね合わせ、最終的にギターソロの原型をその中に付与することになった。これは間違いなく、彼がシカゴのブルースシーンのバックバンドで活躍していたのが理由で、セッションとしてのソロが後のロックやメタル、ハードロックの布石となったことは想像に難くない。 また、ベリーの歌詞にも、個性的な特徴がある。彼はオリジナルソングに、のちのラップに見受けられる韻を率先して取り入れたりと、人種的な枠組みにとらわれない自由な歌詞や歌の表現方法を模索していたのである。

 

 

1957年、 ロックはついに最大のムーブメントと目されるようになった。この年、ベリーは三作のシングルを発表している。「School Days/ Deep Feeling」、「Oh ,Baby Doll /Oh, Juanda」という青春やナーバスなラブソング、そして「Rock’N' Roll Music /Blue Feeeling」というブルースの後の時代にこの音楽を位置づける彼の考えが反映されたものまである。そしてチャック・ベリーは、この年、音楽映画にも俳優として出演を果たし、まさにロックブームの人気に一役買った。


ロックミュージックは文字通り、最盛期を迎えるが、これが保守層の反感を買ったのは周知の通りである。特にロックンロールは、のちのビートルズが登場した時代のような感じで、”不良性を誘発する”とされ、ポピュラーシーンから締め出しを食らうことになった。先鋭的なものや前衛的なものが受け入れられるまでには、それ相応の時間を必要とするのである。

 

エルヴィスがテレビ出演を果たすと、88%の視聴率を獲得し、彼は押しもおされぬスターへと上り詰める。しかし、純粋な音楽的な価値は大きく変わらないにもかかわらず、チャック・ベリーはこれ以降の年代に受難の時を迎える。ちょうどこの年から黒人排斥運動が沸き起こった。つまり、彼のようなロックは保守層からの反発を受け、「黒人音楽が白人文化を堕落させる」というのが社会的なコモンセンスとなったのである。 ここには、音楽が、政治や社会以上の影響力を持つようになることへの社会的な恐れが反映されている。これもまたレノンがプレスに対して過激な発言を行い、ボイコットを受けた時代のエピソードと重なるものがある。そしてこれは、見方を変えると、チャック・ベリーをはじめとする黒人音楽が、ひとつの社会現象のようになりつつあり、それが保守層の反感を呼び、排斥運動に繋がっていったとも解釈出来る。

 

 

・ロックミュージックの2年のブームの終焉 クロスオーバーへの流れ

 

 




こういった流れのなかで、チャック・ベリーはヒットソングに恵まれなかった。58年と翌年の2年間にかけて、彼は以前と変わらぬ多作ぶりを見せ、実に10枚ものシングルを発表している。

 

ポップチャートの上位には白人のスウィートなポップスが独占することになり、本格派ミュージシャンとしてのベリーの音楽は本物であるがゆえに受け入れられがたかったのか。しかし、この2年の間において、のちのロックの定番曲「Johhny B Goode」が全米チャートの5位を記録し、他にも「Sweet Little Sixteen」が2位を記録しているのはさすがと言えるだろう。他にもこの時代、チャック・ベリーは同じく定番曲「Back In The U.S.A」をリリースしている。 


評論筋によると、チャートでは最大の成功を収めたとはいいがたいが、この2年間はチャック・ベリーの代名詞的な曲が多く、この時代にこそ、彼の音楽の独自の世界観を形成したとみなされているようだ。そして、1950年代後半に差し掛かると、最初のロックブームは終焉を迎え、以降のT-RexやNew Yorlk Dolls、あるいはデヴィッド・ボウイのような最初期のグラムロック/グリッターロック、及び、Mott The HoopleやKinksのようなハードロックの元祖ともいうべき原初的なハードロックシーンへと受け継がれていくことになった。


一般的には、チャック・ベリーの伝説もこの2年の後、ロックブームの鎮火とともに1958年から以前のような切れ味が見られなくなった。そしてスキャンダルに見舞われ、女性との揉め事によりムショ暮らしを強いられる。同時に同じく、ロック・ミュージックの代名詞的な存在であるリトル・リチャードもまた”ゴスペル宣言”を行い、異なる音楽へシフトチェンジを図る。唯一、この年代で活躍したBo Diddley(ボ・ディドリー)にしても、彼独自のビートがあったが、どちらかと言えば、古典的なR&Bの流れに組み込まれていくことになった。同年代から、プラターズを始めとするいわゆるコーラス・グループやドゥワップの一派が登場したことにより、ブラックミュージックとしてのロックンロールは、わずか2年でその役割を終えることになった。


その後のポップ・ミュージックの動向は上記の人種間の音楽的な性差が薄くなり、俗に言うクロスオーバーという考えが出てくる。以降の年代には、ストーンズのリチャーズがブルースやブギーからの音楽的な影響を掲げたり、エリック・クラプトンがブルースへの回帰を果たしたり、あるいはボウイがソウルや古典的なR&Bをポップの文脈の中に取り入れたりという流れが起こった。

 

音楽のクロスオーバーという考えは1960年代に始まり、それ以降の20年、もしかすると30年のポピュラー音楽を象徴づけることになったが、それと同時に弊害もあった。音楽が作品のクオリティによって評価づけられるようになったのだ。この60年代に起きたのは”評価概念の平均化”であり、その考えを基底に音楽も制作されるようになっていったのである。そして現代の音楽業界にいたっても、それはストリーミング再生数という指標に取って代えられたに過ぎない。


チャック・ベリーについては、60年代以降の作品に関しては一般的な評価はそれほど芳しくない。しかし、それはもしかすると、以降の評価概念の平均化という考えに彼の音楽がそぐわなかっただけなのかもしれず、カタログの中にはもしかすると、時代に古びない普遍的なものが残されている可能性もある。60年代以降のベリーの作品もあらためて再検討する必要がありそうだ。

 

©Ebru Yildiz


アフリカのニジェール族のロックバンド、Mdou Moctarが新曲「Oh France」をリリースした。バンドの次のアルバムの最新曲である。試聴は以下からどうぞ。


エムドゥー・モクターは2000年代以降のモバイルデバイスが普及した西アフリカの経済成長の最中から台頭した。ギタリストは、バスの中で、音楽をデバイスで共有したり、当初、モバイルでロックソングを発表し、西アフリカの都市圏で著名な存在となった。米国のレーベルと契約した後も、エムドゥー・モクターは故郷に親愛を示し、西アフリカの魅力を伝え続けている。近年、バンドはニジェールの砂漠でのライブセッションの様子を動画公開してきた。

 

2019年の『Afrique Victime』に続く『Funeral for Justice』は5月3日にMatadorからリリースされる。


バンドは、必ずしもロックだけにとどまらず、タマシェク語のアフリカのフォーク・ソングや民族音楽を旧作でアーカイブとして残している。最新アルバムでは、植民地政策に翻弄されてきたアフリカの代弁者として高らかなハードロックソングを書いている。



 Pearl Jam  『Dark Matter』

 


 

Label: Republic/ Universal Music

Release: 2024/04/20

 

 

Review    


-シアトルの伝説の華麗なる復活-

 

 

90年代のグランジシーンを牽引した偉大なロックバンド、Pearl Jamの待望の新作アルバム『Dark Matter』のプロディースは、アンドリュー・ワットが手掛けている。ワットは、マイリー・サイラス、ポスト・マローン、そして、オジー・オズボーンの作品に関わった敏腕プロデューサーだ。バンドのギタリストのマイク・マクレディは、新作アルバムに関して、アンドリュー・ワットの貢献が大きかったと明かしている。「この一年、彼と一緒にスタジオにいた時、彼は僕らの尻を蹴り上げ、集中させ、そして矢継ぎ早に曲を演奏させた」とマクレディは語る。

 

「そして、アンドリューは、わたしたちにこんなふうに言った。”君たちはレコードを作るのに時間がかかるだろう? 今すぐこれを仕上げようじゃないか”って」また、マクレディは、この復活作についてパール・ジャムのデビュー当時のエネルギーが存在し、それはほかでもないアンドリューのお陰であると述べている。「このアルバムには最初の2作のアルバムのエネルギーがある。アンドリューは、わたしたちが長年そうしてきたように、ハードでメロディアスで思慮深いプレイができるよう、わたしたちを後押ししてくれた」と、マクレディは述べた上で、次のように補足している。「マット・キャメロンのドラミングに注目してほしい。このアルバムの音楽には、彼がサウンドガーデンでやっていたことと同じ魅力が込められているんだ」


実際、彼らの新作『Dark Matterのサウンドに耳を傾けてみると、『TEN』の時代のパワフルなハードロックやグランジの魅力が蘇っていることに気づく。そして同時に音楽性としてドラマティックな要素が加わり、ハリウッド映画のような大スペクタルのハードロックサウンドが構築されている。アルバムにはロック・ミュージックの普遍的な魅力があり、パール・ジャムはそれを彼らのスタイルで奏でる。バンドの唯一無二の強固なサウンドを組み上げているのだ。

 

アルバムのオープニング「Scared Of Fear」にはドゥームサウンドや映画「インディペンデンス・デイ」を思わせるアンビエント風のイントロに続いて、乾いた質感を持つロックンロールサウンドが繰り広げられる。エディ・ヴェーダーのボーカルにはデビュー当時の勢いがあり、熟練のバンドマンとしてのプライドがある。そして、そこにはサウンドガーデンのクリス・コーネルのような哀愁、フー・ファイターズのデイヴ・グロールを思わせるパワフルさが加わった。まさにアルバムの一曲目でパール・ジャムは”グランジとは何か?”というその核心の概念を示す。確かにこの曲には、現代の世界の社会情勢にまつわるメッセージも含まれているのかもしれないが、パール・ジャムはその現状に対し、勇敢に立ち向かうことを示唆するのである。


以後、バンドはグランジにとどまらず、USハードロックの醍醐味を再訪する。「React, Respond」ではドラムのダイナミクスの強調やクランチなギター、分厚いグルーブを作り出すベースライン、ヴェーダーのワイルドな空気感のあるボーカルと、このバンドの持ち味が遺憾なく発揮されている。そこにあらためてハードロックの持つパワフルなサウンドを蘇らせる。これらのサウンドには一点の曇りもない。いや、それどころか、パールジャムが現在進行系のバンドであることを象徴付ける。もちろん彼らの最大の魅力であるシアトルサウンドを通してだ。


パール・ジャムのロックは必ずしもラウド性だけに焦点が置かれているわけではない。これはクリス・コーネル率いるサウンドガーデンと同様である。続く「Wreckage」では、フォーク/カントリーを中心とする現代のオルタナティヴサウンドに呼応する形で、ロックサウンドを展開させる。この曲には、CSN&Yのような回顧的なフォーク・ミュージックが織り交ぜられている。それのみならず、Guided By Voicesのようなオルタナティヴロックの前夜の80年代後半のサウンドがスタイリッシュに展開される。背後のフォークロックのサウンドに呼応する形で歌われるエディー・ヴェーダーのボーカルには普遍的なロックを伝えようという意図も感じられる。この曲にはオルタネイトな要素もありながら、80年代のスタンダードなハードロックサウンドのニュアンスもある。ロックソングのスタンダードな魅力を堪能することが出来るはずだ。

 

 

 

メタリカのラーズ・ウィリッヒのプレイを思わせるキャメロンのダイナミックなタム回しで始まる「Dark Matter」はパール・ジャムのサウンドがロックにとどまらず、ヘヴィメタルの要素が併存していることを象徴付けている。タイトル曲で、パールジャムは「TEN」の時代のハードロッキングなサウンドを蘇らせ、アンドリュー・ワットのプロデュースの助力を借り、そこにモダンな印象を付け加える。90年代の彼らのジャンプアップするようなギターサウンドはもちろん、それを支えるマット・キャメロンのドラムが絶妙な均衡を取り、シンセサイザーのアレンジを交え、エディ・ヴェーダーは”最もワイルドなロックソングとは何か?”を探求する。ここには90年代のミクスチャーロックの要素もあり、ホワイト・ゾンビを思わせる横乗りのサウンドが貫かれている。ロック・ミュージックのダンサンブルな要素を探求しているといえる。


アルバムの中盤ではこのバンドの最大の魅力ともいえる緩急のあるサウンドが際立っている。例えば、「Won't Tell」ではグランジのジャンルのバラードの要素を再提示し、それをやはりモダンな印象を持つサウンドに組み替えている。この曲には80年代のメタル・バラードの泣きの要素と共鳴するエモーションが含まれている。さらに続く「Upper Hand」では、エレクトロニックの要素を追加し、ヴェーダーの哀愁のあるボーカルを介し、王道のスタジアムロックソングを書いている。あらためてこのバンドが、フー・ファイターズと全くおなじように、スノビズムにかぶれるのではなく、大衆に支持されるロックナンバーを重視してきたことがうかがえる。続く「Wait For Steve」は、90年代のパール・ジャムの作風と盟友であるクリス・コーネルのソングライティング性を継承し、それらを親しみやすいロックソングとして昇華させている。


もうひとつ、『Dark Matter』のリスニングの際に抑えておくべき点を上げるとするなら、ストーナーとグランジの中間にあるオルタネイトなロックを、このアルバムの中でパール・ジャムは探求していることに尽きるだろう。「Running」は、Nivanaが登場する以前のグランジの最盛期のサウンドを思わせる。また、Melvins、Kyuss、Fu Manchu、最初期のQOTSAのようなストーナーのラウド性が含まれている。全体的なサウンドは、クリス・ノヴォセリックのプレイを思わせる分厚さと疾走感のあるベースラインを中心に構成される。それらをグリーン・デイのようなダイナミックなロックサウンドに昇華させているのは本当に見事であり、ほとんど離れ業とも言える。このあたりにもアンドリュー・ワットの敏腕プロデュースの成果が見受けられる。

 

パール・ジャムの90年代のサウンドの魅力はヘヴィーさにあったのは事実だが、もう一つ忘れてはならない点がある。それは「Something Special」に見出される叙情性と、アメリカーナの要素で、パールジャムの場合はメタリカの96年の『Road』のように、バーボンやウイスキーに代表されるアウトサイダーの雰囲気にある。この曲ではあらためてフォークやカントリーの要素を通じて、それらがワイルドな風味を持つアメリカン・ロックとしてアウトプットされる。 

 

特に叙情性という要素に関しては、続く「Got To Give」にも明瞭に感じられる。この曲では、ワイルドな雰囲気を込め、パールジャムらしいハードロックなバラードが展開される。そして、後者のアメリカーナ、フォークバラードという要素はアルバムのクライマックスに登場する。

 

本作のクローズ曲「Setting Sun」が果たしてサウンドガーデンのボーカルであるクリス・コーネルに因んだものなのかは定かではない。しかし、少なくとも、この曲が「Black Hole Sun」のレクイエムの意味を持つ曲であったとしても不思議ではない。パール・ジャムのアルバムに最初に触れたのは多分、2000年代だったと思う。もちろん、それは、Green River,Mother Love Bone,そしてMelvinsと共にあったのだ。あれから長い時間が流れたけれど、今、考えると、このバンドの音楽に親しんでいたことに、ある種の愉悦を覚えている。素晴らしいロックアルバム。

 


92/100

 

Best Track- 「Scared To Fear」


 

Peral Jamの『Dark Matter』は日本国内ではユニバーサル・ミュージックより発売中です。公式ストアはこちらから。



 

Disney+は、ザ・ビートルズを描いたオリジナル映画『Let It Be』を独占配信することを発表した。5月8日から配信予定。


1970年5月、マイケル・リンゼイ=ホッグ監督によって初めて公開され、ビートルズ解散の渦中にあった『レット・イット・ビー』は、今やバンドの歴史において重要な位置を占めている。


『レット・イット・ビー』には、『ゲット・バック』では紹介されなかった映像が収録されており、1969年1月、ビリー・プレストンが加わったザ・ビートルズがグラミー賞を受賞したアルバム『レット・イット・ビー』の作曲とレコーディングを行うスタジオやアップル・コープスのロンドンの屋上に視聴者を誘う。


マイケル・リンゼイ=ホッグは、この映像に関して述べている。「『レット・イット・ビー』は1969年10月から11月にかけて準備が整っていたが、発売されたのは1970年4月だった。発売の1ヵ月前、ビートルズは正式に解散した。だから、人々は『レット・イット・ビー』を観に行ったんだ」


「『もう二度とビートルズの共演は観られない。もう二度とあの喜びを味わうことはできないのだ』と思い、この映画の印象を非常に暗くした。しかし、実際、これほどの大物アーティストたちが、頭で聞いたことを曲にするために協力し合う姿を見る機会はそうそうないだろう」


「そして屋上で、グループとして再び一緒に演奏する彼らの興奮(注: ルーフトップ・コンサートのこと。正真正銘のビートルズのラストライブ。アップル・コア本社の屋上で行われた40分の演奏)、仲間意識、純粋な喜びを目の当たりにし、それが最後であったことを知る。私が50年前に撮影したすべての映像を使って、ピーターが『Get Back』でできたことに私は打ちのめされた」


「マイケルの映画『レット・イット・ビー』が修復され、何十年もの間入手不可能だったものがついに再公開されることになり、本当に感激している」と、『ゲット・バック』の監督兼修復者であるピーター・ジャクソンは語る。

 

「『ゲット・バック』のためにマイケルのNG集を入手できたのは本当に幸運だったし、『ゲット・バック』の物語を完結させるためには『レット・イット・ビー』が必要だとずっと思っていた。


3部構成で、マイケルとビートルズが画期的な新しいドキュメンタリーを撮影しているところを見せたが、「レット・イット・ビー」はそのドキュメンタリー、つまり1970年に公開された映画だ。私は今、50年の時を経てようやく完成した、ひとつの壮大な物語だと考えている。


『レット・イット・ビー』は『ゲット・バック』のクライマックスであり、『ゲット・バック』は『レット・イット・ビー』に欠けていた重要な文脈を提供する。マイケル・リンゼイ=ホッグは、私が『ゲット・バック』を制作している間、たゆまぬ協力と寛大な心で見守ってくれた。

 The Libertines 『All Quiet On The Eastern Esplanade』

 

 

Label: Universal Music

Release: 2024/04/05



Review

 

 

2002年のデビュー・アルバムからおよそ23年の月日が流れた。リバティーンズは一時、フロントマンの二人のホテルでの機材の所有のトラブルが原因で空中分解することになった。これは音楽雑誌のバックナンバーを探ってもらいたい。以後、ピート・ドハーティのドラッグの問題等もファンの念頭にはあった。もちろん、カール・バラーの精神的な落ち込みについてはいわずもがなである。

 

以後、UKの音楽シーンを象徴するロックバンドでありながら、沈黙を守り続けていた。2000年代、ガレージロックリバイバルの流れに乗って登場したリバティーンズだが、結局のところ、このバンドは他のバンドと同じようにプリミティヴなロックのテイストを漂わせつつも、明確に異なる何かが存在した。いわば、リバティーンズはいつも”スペシャル・ワン”の存在だった。

 

音楽のシーンというのは、単一の存在から作られるものではない。誰かが何もない土壌に種を撒き、そしてその土壌から生育した穀物を摘み取る。しかし、その一連の作業は一つのバンドだけで行われるものではない。昨日、誰かがそれをやり、そして、次の日には別の人がそれを続ける。その連続性がその土地の音楽のカルチャーを形成する。つまり、何らかの系譜が存在し、どのようなビックスターもその流れの中で生き、音楽の作品をファンの元に届けるのである。

 

ザ・リバティーンズのアウトサイダー的な立ち位置、デビュー当初のアルバムジャケットの左翼的、あるいは急進的とも言うべきバンドの表立ったイメージ、そしてチープ・トリックの『Standing On The Edge』のアルバムジャケットの青を赤に変えた反体制的なパンクバンドとしての性質は、たとえ本作がイギリス国内だけで録音されたものではないことを加味したとしても、完全に薄れたわけではない。

 

例えば、バンドは先行シングルとして公開され、アルバムのオープニングを飾る「Run Run Run」においてチャールズ・ブコウスキーの文学性を取り込み、それらを痛快なロックサウンドとしてアウトプットする。ピカレスク小説のようなワイルドなイメージ、それは信じがたいけれど、20年以上の歳月を経て、「悪童」のイメージから「紳士的なアウトサイダー」の印象へと驚くべき変化をみせた。そして何かバンドには、この20年間のゴシップ的な出来事を超越し、吹っ切れたような感覚すら読み取れなくもない。特に、サビの部分でのタイトルのフレーズをカール・バラーが歌う時、あるいは、2002年のときと同じようにマイクにかなり近い距離で、ピート・ドハーティがツインボーカルのような形でコーラスに加わる時、すでに彼らは何かを乗り越えた、というイメージが滲む。そして2002年のロックスタイルを踏まえた上で、より渋さのある音楽性が加わった。これは旧来のファンにとっては無上の喜びであったのである。

 

リバティーンズは、以前にはなかったブルースの要素を少し付け加えて、そして旧来のおどけたようなロックソングを三曲目の「I Have A Friend」で提供する。2010年代にはリバティーンズであることに疑心暗鬼となっていた彼らだったが、少なくともこの曲において彼らが気恥ずかしさや気後れ、遠慮を見せることはない。現代のどのバンドよりも単純明快にロックソングの核を叩きつける。彼らのロックソングは古びたのだろうか? いや、たぶんそうではない。

 

リバティーンズのスタンダードなロックソングは、今なお普遍的な輝きに満ち溢れ、そして今ではクラシックな「オールド・イングリッシュ・ロックソング」へと生まれ変わったのだ。もちろん、そこにバンドらしいペーソスや哀愁をそっと添えていることは言うまでもない。これはバンドのアンセムソングでライブの定番曲「Don’t Look Back In The Sun」の時代から普遍のものである。マイナー調のロックバラードは続く「Man With A Melody」にも見出すことができる。


 

もうひとつ、音楽性のバリエーションという点で、長年、リバティーンズや主要メンバーは何か苦悩してきたようなイメージがあったが、この最新作では、オールドスタイルのフォーク・ミュージックをロックソングの中にこっそりと忍ばせているのが、とてもユニークと言えるだろう。「Man With A Melody」では、ジョージ・ハリスンやビートルズが書くようなフォークソングを体現し、「Night Of The Hunter」では往年の名ロックバンドと同様にイギリスの音楽がどこかでアイルランドやスコットランドと繋がっていることを思わせる。ここには世界市民としてのリバティーンズの姿に加え、イギリスのデーン人としての深いルーツの探求の意味がある。あたり一面のヒースの茂る草原、玄武岩の突き出た海岸筋、そして、その向こうに広がる大洋、そういった詩情性が彼らのフォークバラードには明確に反映されている気がする。そして、それらのイギリスのロマンチシズムは、彼らのいるリゾート地からその望郷の念が歌われる。これはウェラーのJamの「English Rose」の中に見られる哀愁にもよく似たものなのだ。

 

リバティーンズは、デビュー当初、間違いなくThe Clashの再来と目されていたと思う。実際、もうひとつのダブやレゲエ的なアクセントは続く「Baron's Clow」に見出すことができるはずである。ここには「Rock The Casbah」の時代のジョー・ストラマーの亡霊がどこかに存在するように感じられる。なおかつリバティーンズの曲も同様にワイルドさと哀愁というストラマーの系譜に存在する。また、70年代のUKパンクの多彩性を24年に体現しているとも明言できるのだ。


彼らは間違いなくこのアルバムで復活のヒントを掴んだはずである。「Oh Shit」はリバティーンズが正真正銘のライブバンドであることのステートメント代わりであり、また「Be Young」は今なお彼らがパンクであることを示唆している。アルバムのクローズ「Songs That Never Play On The Radio」では、あえて古びたポピュラー音楽の魅力を再訪する。20年以上の歳月が流れた。しかしまだ、リバティーンズはUKのロックシーンに対して投げかけるべき言葉を持っている。今でも思い出すのが、バンドの登場時、意外にも、Radioheadとよく比較されていたことである。

 

 

80/100

 



Best Track- 「Run Run Run」

 


リバプールのロックバンド、The Zutonsが16年ぶりのアルバム『The Big Decider』を4月26日にICEPOPからリリースする。 3枚目のシングルとなるタイトル曲「The Big Decider」が公開。また、19年ぶりとなる本格的な全米ツアーも発表された。


ズートンズは、デイヴ・マッケイブ(ギター、リード・ヴォーカル)、アビ・ハーディング(サックス、ヴォーカル)、ショーン・ペイン(ドラムス、ヴォーカル)の3人組。

 

バンドは3年前に再結成し、シックの共同創設者であるナイル・ロジャースのプロデュースによる新作をレコーディングする意向を発表した。バンドはこのアルバムをアビーロード・スタジオでレコーディングし、オリジナル・プロデューサーのイアン・ブルーディーとも仕事をした。


『The Big Decider』について、デイヴ・マッケイブは次のように語っている。「イアン・ブルーディーは、"Big Decider "のデモを聴いて涙が出たと言っていた。この曲は、アルバムのために最初に書いた曲のひとつだったから、イアンからこのような反応をもらったとき、自分たちが何か正しいことをしている気がした。この曲は、人生においてチャンスが巡ってきたときにそれをものにすること、そして同時に、慎重になること、過去の失敗から学ぶことを歌っている。僕にとっては、ベガスへの公平な乗り物のようなもので、最後に勝てればいいなと思うよ」


以前、バンドは『The Big Decider』から「Creeping on the Dancefloor」「Pauline」を先行公開している。

 


「The Big Decider」

 


テネシーのロックバンド、Kings Of Leon(キングス・オブ・レオン)がニューシングル「Split Screen」をリリースした。このシングルは、リードシングル「Mustang」に続き、近日リリース予定のアルバム『Can We Please Have Fun』に収録される。以下よりチェックしてみよう。


「この曲は気に入っている。ファンにも気に入ってもらえると思っている。Split Screen』は、『Mustang』を聴いた後に聴くと、アルバムの奥深さを少しわかってもらえるかもしれないね」


Kings Of Leonによる『Can We Please Have Fun』は5月10日にCapital Recordsからリリースされる。


「Spilit Screen」