ブリーチャーズのサウンドを解題する上で、アメリカン・ロックのボスとして名高いブルース・スプリングスティーンが少し前、後悔を交えて語っていたことを思い出す必要がある。ボスは80年代に『Born In The USA』で商業的な成功を収め、アメリカンロックの象徴として音楽シーンに君臨するに至る。しかし、スプリングスティーンのファンはご存知の通り、ボスは90年代にそれほど象徴的なアルバムをリリースしなかった経緯がある。本人曰く、実は結構、録り溜めていた録音こそあったのだったが、それが結局世に出ずじまいだったというのだ。
ということで、このアルバムはプロデューサーではなく、バンドマンとしての喜びが凝縮されている。本作の冒頭を飾る「I Am Right On Time」はニューウェイブ系のサウンドに照準を絞り、ミニマルなテクノサウンドを基調にしたロックが展開される。アントノフのボーカルはサブ・ポップからもう間もなくデビューアルバムをリリースする''Boeckner''のような抑えがたい熱狂性が迸る。アントノフは意外にも、JAPAN、Joy Divisionの系譜にあるロートーンのボーカルを披露し、トラックの背景のミニマルなループをベースにしたサウンドに色彩的な変化を及ぼそうとする。サビでは、今年のグラミー賞の成功例に即し、boygeniusのゴスペルからの影響を交え、魅惑的な瞬間を呼び起こそうとする。曲全体を大きな枠組みから俯瞰する才覚は、プロデューサーの時代に培われたもので、構成的にもソングライティングの狙いが顕著なのが素晴らしい。
ニューウェイブからの影響は、続く「Jesus Is Dead」に反映されている。ドライブ感のあるシンセがループサウンドの形を取ってトラック全体に敷き詰められ、 ぼやくように歌うアントノフのボーカルには現代社会に対する風刺が込められている。ただ、それほど過激なサウンドになることはなく、The1975のようなダンサンブルなロックの範疇に収められている。バッキングギターとベースの土台の中で、シンセのシークエンスの抜き差しを行いつつ、曲そのものにメリハリをもたらす。このあたりにも名プロデューサーとしてのセンスが余すところなく発揮される。
続く「Me Before You」は、ドン・ヘンリーのAORサウンドを織り交ぜた、バラードともチルウェイブとも付かない淡いエモーションが独特な雰囲気を生み出す。現代的なポピュラーバラードではありながら、その中に微妙な和音のポイントをシンセとバンドアンサンブルの中に作り出し、繊細な感覚を作り出そうとしている。また80年代のソフトロックをベースにしつつも、アルト/テナーサックスの編集的なプロダクションをディレイとリバーブを交えて、曲の中盤にコラージュのように織り交ながら、実験的なポップの方向性を探ろうとする。しかし、アントノフのプロダクションの技術は曲の雰囲気を壊すほどではない。ムードやアトモスフィアを活かすために使用される。アンサンブルの個性を尊重するという点では、ジョン・コングルトンの考えに近い。このあたりにも、良質なプロデューサーとしてのセンスが発揮されている。
例えば、「Call Me AfterMidnight」はクインシー・ジョーンズのアーバン・コンテンポラリーを受け継ぎ、そのサウンドをAOR/ソフト・ロックの文脈から解釈している。その他にも、「We' Gonna Know Each Other Forever」は友情ソングともいえ、それは映画のクライマックスを彩るエンディングのようなダイナミックなスケールを持つポピュラーバラードの手法が選ばれている。
2014年にデビュー・アルバム「Strange Desire」をリリースしたバンドは、3枚のスタジオ・アルバムで熱狂的な支持を集め、印象的なライヴ・ショーと感染力のある仲間意識で有名になった。前作「Take the Sadness Out of Saturday Night」では、アントノフの没入感のあるソングライティングと、Variety誌が証言するように「個人的なストーリーを、より大きなポップ・アンセムに超大型化する」生来のスキルが披露され、バンドは新たな高みへと到達した。
昨年末、このアルバムの発表を事前にリークした時、リアム・ギャラガーは「リボルバー以来の傑作」とソーシャルで宣伝していた。しかし、このアルバムには、ビートルズの最初期の音楽性を想起させる「I'm So Bored」において、ビートルズの『Revolver』に収録されている「She Said She Said」に象徴されるようなマージービートという古典的なロックのスタイルを図っているのを除けば、明らかにローリングストーンズの影響下にあるアルバムである。次いで、言えば、このアルバムは、オアシスのようなアンセミックなフレーズ、そして清涼感のある音楽性を除けば、「Let It Bleed」のようなブルースの要素を前面に押し出した作品に位置づけられる。
アルバムには二人のミュージシャンの音楽的な語法を元に、ある意味では二人が理想とするスタイルが貫かれている。「Raise Your Hands」は、ギャラガーの生命力のある歌唱や、スクワイアの経験豊富なギターの組み合わせにより、理想的なロックミュージックの型を作り出す。この曲は、聞き手の心を鼓舞させ、音楽が人を消沈させたり悩ませたりするものではないことを表している。ギャラガーの音楽性は、お世辞にも新しいものとは言えまいが、それでも、この音楽の中には融和があり、愛がある。そして何より、音楽とは、人を怖がらせる化け物でもなく、また人を脅すものでもなく、聞き手にそっと寄り添うものであるということを示唆している。
「Mars To Liverpool」
理想的な音楽の形を示しながらも、リアムとジョンは、人間的な感覚をいまだに大切にしている。「Mars To Liverpool」は、彼らの住む場所を与えられたこと、ひいては生きていることへの感謝である。かつて若い頃は、「そういったことがわからず、家に閉じこもってばかりいた」と話すギャラガーは、彼が日課とする「愛犬との公園での散歩」という日常的なテーマに基づいて、最も良いメロディーを書こうとしている。
そこにスパイスを与えるのがスクワイアだ。二人の演奏の息はぴったり合っていて、根源的な融和という考えを導こうとしている。人種や政治、現代的な社会情勢を引き合いに出さずとも、こういった高らかな音楽を作ることは可能なのである。「過去へのララバイ」とも称せる「One Day At A Time」はノスタルジックなイントロを起点に驚くほど爽快なロックソングへと移行する。オアシスやソロ・アルバムで使い古された手法ではあるものの、こういったスタンダーなロックソングは複雑化しすぎ、怪奇的な気風すら漂う現代的な音楽の避暑地ともなりえる。
「I'm A Wheel」では、ジョン・スクワイアのブルースギタリストの才質が光る。ジョン・リー・フッカー、バディ・ガイのような硬派なブルースのリフを通じて、そこから飛び上がるように、お馴染みのリアム・ギャラガーが得意とするサビへと移行していく。シンプルでわかりやすい構成を通じて、BBCの「Top Of The Pops」の時代の親しみやすい音楽へと変遷を辿る。アウトロは、キース・リチャーズの得意とするような、渋みのあるリフでフェードアウトしていく。この音楽には、他にも英国のパブ・カルチャーへの親しみが込められているように思える。曲を聴けば自ずと、地下にある暗い空間、その先にある歓楽的な歓声が浮かび上がってくる。
アルバムの序盤では、驚くほどビートルズの要素は薄いが、「Love You Forever」 ではわずかにフォロワー的な音楽性が顕現する。ブルース・ロックをベースとし、シンコペーションを多用したロックソングが展開される。特に、楽節の延長を形作るのが、スクワイアのギターソロである。ここでは、ジャズのコール・アンド・レスポンスのように、ギャラガーのボーカル、スクワイアのギターによる音楽的な対話を重ねている。ギャラガーのボーカルが主役になったかと思えば、スクワイアのギターが主役になる、という面白い構成だ。音楽的な語法は、古典的なブルース・ロックやジョージ・ハリソンが好むような渋いロックソングとなっているが、その中に現代的な音楽の要素、主役を決めずに、語り手となる登場人物が切り替わる、演劇のようなスタイルが取り入れられている。この曲はまさに新旧のイギリスの音楽を咀嚼した内容である。
「Make It Up As You Go Along」は、キース・リチャーズがゲスト参加したと錯覚させるほどの見事なギターの模倣となっている。ストーンズの曲でもお馴染みのホンキー・トンク風のギターで始まり、TVドラマのエンディングのような雰囲気の曲調へと変遷していく。しかし、その後はビートルズのレノンが得意とする同音反復を強調するボーカルの形式を踏襲している。これらは、すでに存在する型を踏まえたものに過ぎないが、ポップ・ミュージックの理想的な形をどこかに留めている。この曲にある温和さや穏やかさはときに緊張感の欠いたものになる場合もあるが、アルバムを全体的な構成の中では、骨休みのような意味合いが込められている。つまり、崇高性や完璧主義とは別軸の音楽の魅力があり、また、少し気を緩めるような効果がある。
「You're Not The Only One」のイントロでは、New York Dolls、Sladeを思わせるブギーを主体にした呆れるほどシンプルなロックンロールに転じる。「You're Not The Only One」の場合は、少しクールというか気障なスタイルを採っている。この中に流動的なスクワイアのギター、そして、ストーンズのように4(8)拍を強調するピアノ、Led Zeppelinの「Rock N' Roll」の70年代のハードロックの要素が渾然一体となり、Zeppelinのバンドマークの要素を作り出す。これらは最近、ポストロックという形で薄められてしまったロックンロールの魅力を再発見することが出来る。
「リボルバー以来の傑作」という制作者自身の言葉は、作品全体には当てはまらないかもしれないが、「I'm So Bored」には、お誂え向きのキャッチフレーズだ。イントロでは、ビートルズの初期から中期の音楽へのオマージュを示し、その後、ソロ・アルバムで追求してきた新しいロックの形を通じて、曲の節々に、ビートルズのマージービートのフレーズをたくみに散りばめている。
懐古的なアプローチが目立つ中、この曲は古びた感覚がない。それはスタンダードであり、またロックの核心を突いたものであるがゆえなのだ。ギターの録音のミックスもローファイな感覚が押し出され、モダンな雰囲気がある。その中にはザ・フーのタウンゼントに近いギターフレーズも見いだせる。UKロックのおさらいのような意味を持つのが上記の2曲である。ここには現代的な録音へのチャレンジもあり、ザ・スマイルが最新作『Wall Of Eyes』(リリース情報を読む)で徹底して追求したボーカルのディレイ、リバーブで、音像を拡大させるという手法も披露されている。
『Funeral For Justice』は西アフリカの政治的な背景が反映されている。完成後の2023年7月、ニジェールの民主的選挙で選ばれた政府は軍事クーデターにより退陣。大統領は軟禁され、国家は混乱と不安のどん底に陥った。フランスは撤退。以降、この地域はテロの脅威にさらされ続けている。当時アメリカツアー中だったバンドは、しばらくの間、家族のもとに帰ることができなかったのだ。
・Mdou Moctor 『Funeral For Justice』 US & UK& Europe Tour
Sunday, April 14 Coachella, Indio CA Sunday, April 21 Coachella, Indio CA Wednesday, June 5 Anchor Rock Club, Atlantic City NJ Thursday, June 6 The Abbey Bar at ABC, Harrisburg PA Friday, June 7 Friday Cheers Brown’s Island Saturday, June 8 Haw River Ballroom, Saxapahaw NC Sunday, June 9 The Orange Peel, Asheville NC Tuesday, June 11 Pour House, Charleston SC Wednesday, June 12 Saturn, Birmingham AL Thursday, June 13 Terminal West, Atlanta GA Friday, June 14 Bonnaroo, Manchester TN Saturday, June 15 The Hi-Fi, Indianapolis IN Tuesday, June 18 Thalia Hall, Chicago IL Wednesday, June 19 Magic Bag, Detroit MI Thursday, June 20 Beachland Ballroom, Cleveland OH Friday, June 21 Asbury Hall, Buffalo NY Saturday, June 22 Green River Music Festival, Greenfield MA Sunday, June 23 Paradise Rock Club, Boston MA Wednesday, June 26 Warsaw, Brooklyn NY Thursday, June 27 9:30 Club, Washington DC Friday, June 28 Union Transfer, Philadelphia PA Wednesday, July 3 Electric Brixton, London UK Sunday, July 7 Down The Rabbit Hole, Beuningen NL Monday, August 19 Festaal Kreuzberg, Berlin DE Tuesday, August 20 UT Kreuzberg, Leipzig DE Wednesday, August 21 Ampere, Munich DE Thursday, August 22 Magnolia Summerstage, Milan IT Sunday, August 25 Petit Bain, Paris FR Monday, August 26 OLT Revierenhof, Antwerp BE Tuesday, August 27 Paradiso, Amsterdam NL Friday, August 30 End of the Road Festival, Dorset UK Saturday, August 31 Manchester Psych Fest, Manchester UK Sunday, September 1 Moseley Folk Festival, Birmingham UK Monday, September 2 Saint Luke’s, Glasgow UK Tuesday, September 3 Boiler Shop, Newcastle UK Wednesday, September 4 The Brudenell Social Club, Leeds UK
『The Collective』はゴードンのセカンド・ソロアルバムで、2019年の『No Home Record』に続く作品です。同アルバムと同様、ゴードンは再びプロデューサーのジャスティン・ライセン(リル・ヤッチー、ジョン・ケイル、ヤー・ヤー・ヤーズ、チャーリー XCX、イヴ・トゥモア)とコラボレーションした。アンソニー・ポール・ロペスが追加プロデュースを担当した。
・Wednesday, March 27 Regent Theater, Los Angeles CA
・Friday, March 29 Ventura Music Hall, Ventura CA
・Saturday, March 30 The Fillmore, San Francisco CA
元オアシスのシンガー、リアム・ギャラガーと元ストーン・ローゼズのギタリスト、ジョン・スクワイアが新曲「Just Another Rainbow」(MV)のため、最近タッグを組んだばかりだが、2人は続いてデビューアルバム『Liam Gallagher John Squire』を正式に発表し、続いてセカンドシングル 「Mars to Liverpool」を公開した。ミュージシャンのリバプール愛が凝縮されたナンバーである。
オーケストラの参加の影響は、ビートルズの「I Am The Walrus」に代表されるフィル・スペクターによるバロックポップの前衛性、ラナ・デル・レイが最新アルバム『Did You Know〜?』で示した映画音楽とポップネスのドラマティックな融合、そして、変拍子を多用したスキナーのジャズドラム、ヨークが持つ特異なソングライティング、グリーンウッドの繊細さとダイナミックス性を併せ持つギターの化学反応という、3つの点に集約されている。全8曲というきわめてコンパクトな構成ではありながら、多角的な視点から彼らの理想とするロックサウンドが追求されていることが分かる。
最近、Burialの7インチのリリースを予定しているが、当初はダンスミュージックのコアなリリースを専門とするレーベルだった。そのことが何らかの影響を及ぼしたのか、『Wall Of Eyes』は、全体的にダブの編集プロダクションが敷かれている。リー・スクラッチ・ペリーのようなサイケデリックなダブなのか、リントン・クウェシ・ジョンソンのような英国の古典的なダブの影響なのか、それとも、傍流的なクラウト・ロックのCANや、ホルガー・シューカイの影響があるのかまでは明言出来ない。
それはまた、トム・ヨークの繊細な感覚の揺れ動きを的確に表しており、不安な領域にあるかと思えば、その次には安らいだ領域を彷徨う。これらの色彩的なスケールの進行に気品とダイナミックスを添えているのが、ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラによるゴージャスなストリングスだ。そのなかにダブステップの影響を織り交ぜ、「面妖」とも称すべき空気感を作り出している。アウトロには、Battlesの前身であるピッツバーグのポスト・ロックバンド、Don Caballeroの「The Peter Chris Jazz」のアナログ・ディレイを配した前衛的なサウンドプロダクションの影響が伺えるが、このタイトル曲では、比較的マイルドな音楽的な手法が選ばれている。無明の意識の大海の上を揺らめき、あてどなく漂流していくかのような神秘的なオープニングだ。
『Wall Of Eyes』は、ポストロックの影響が他の音楽の要素とせめぎ合うようにして混在している。3曲目「Read The Room」のイントロでは、グリーンウッドのギターが個性的な印象を擁する。
バロック音楽とエジプト音楽のスケールを組みわせ、Blonde Redheadの「Misery Is A Butterfly」の時期の作風を思わせる古典音楽とロックの融合に挑む。しかし、最初のモチーフに続いて、「OK Computer」の収録曲に象徴される内省的なサウンドが続くと、その印象がガラリと変化する。スキナーの卓越したドラムプレイが曲の中盤にスリリングな影響を及ぼす。そして終盤でも、ポスト・ロックに対するオマージュが示される。Slintの「Spiderland」に見受けられる荒削りな音作りが、移調を散りばめた進行と合致し、魅力的な展開を作り上げている。
それに加えて、再度、ドン・キャバレロやバトルズのミニマリズムを基調としたマス・ロックが目眩く様に展開される。これらの音楽は、同じ場所をぐるぐる回っているようなシュールな錯覚を覚えさせる。それと同様に、ポスト・ロック/マス・ロックの影響を交えた曲が後に続き、「Under Our Pillows」でも、ブロンド・レッドヘッドの「Futurism vs. Passeism Pt.2」に見受けられるように、バロック音楽のスケールをペンタトニックに織り交ぜようとしている。
ただ、「Friend Of A Friend」に関しては、ポップ/ロックの歴史的な名曲であり、ザ・スマイルの代名詞的なトラックとなる可能性が高い。トム・クルーズ主演の映画「Mission Impossible」のテーマ曲と同様に、5/8(3/8 + 2/8)という複合的なリズムを主体とし、The Driftersの「Stand By Me」を思わせる、リラックスした感じのウッドベース風のベースラインが曲のモチーフとなっている。
その中で、さまざまな表現方法が織り交ぜられている。旧来のレディオヘッド時代から引き継がれるトム・ヨークの本心をぼかしたような詩の面白さ、ボーカルの微細なニュアンスの変容がディレイやダビングと結びつき、また、スポークンワードのサンプリングとの掛け合い、オーケストラの演奏をフィーチャーしたフィル・スペクター風のチェンバーポップが結び付けられ、最終的には、ビートルズの「I Am The Walrus」の影響下にある、蠱惑的なロックサウンドが組み上げられていく。分けても、終盤に収録されている「Bending Hectic」と同様に、ロンドンコンテンポラリーオーケストラの演奏の素晴らしさが際立っている。アウトロでは、トム・ヨーク流のシュールな歌詞がストリングスの和音のカデンツァに溶け込んでいくかのようである。
それと同時にロックミュージックのセンセーショナルな一側面を示している。繊細なアルペジオを基調としたポスト・ロックの静謐なサウンドが続き、その後、「Friend Of A Firend」と同じようにスペクターが得意としていたストリングスのトーンの変容を織り交ぜた前衛的なサウンドへと変遷を辿る。曲の終盤では、70年代のジミ・ヘンドリックスのハードロックサウンドに立ち返り、ヨークの狂気すれすれのボーカルのループ・エフェクトを通じて、ダイナミックなクライマックスを迎える。しかし、曲の最後がトニカ(終止形)で終了していないことからも分かる通り、アルバムには、クラシック音楽のコーダのような役割を持つトラックが追加収録されている。
1stアルバム『A Light For Attraction』で示唆されたヨークの新しい形のバラード「You Know Me?」は、ジェイムス・ブレイクの楽曲のようにセンシティヴだ。飛行機を乗るのはもちろん、自動車に乗るのも厭わしく考えていた90年代から00年代のトム・ヨークの音楽観の重要な核心を形成する閉塞的な雰囲気も醸し出される。しかしそのメロディーには美的な感覚が潜んでいる。
ザ・リバティーンズがニューシングル「Shiver」をリリースした。先日、アナウンスされたばかりの新作アルバム『All Quiet On The Eastern Esplanade』のカット。3月8日にリリースされるこのアルバムは、シングル「Night Of The Hunter」と「Run, Run, Run」で予告されている。メンバーが出演するモノクロトーンのクールなミュージックビデオは下記よりご覧下さい。
今年ブレイク必至のロンドンのロックバンド、ザ・ラスト・ディナー・パーティー(The Last Dinner Party)がデビューアルバム『Prelude to Ecstasy』のシングル「Caesar on a TV Screen」を公開。ロンドンのニューライザーの新曲は、バンドの「My Lady of Mercy」映像も手掛けたハーヴ・フロストが監督したミュージックビデオと共に到着。以下よりご覧ください。
昨年、ザ・ラスト・ディナー・パーティーにとって飛躍の年となった。BBC Radio 1が選出するSound Of 2024のロングリストに選出され、最終的に栄冠に輝いた。その他、BRITS Rising Starにも選ばれている。昨年、バンドは、シネイド・オコナーのカバーにも挑戦している。新作アルバム『Prelude to Ecstasy』はアイランド・レコードから2月2日にリリースされる。
ブリットポップのレジェンドであり、元オアシスのメンバーでもあるノエル・ギャラガーは、自身のプロジェクト、High Flying Birdsの新デモ曲として「In A Little While」を発表した。『Council Skies』に続いて公開されたこの曲でも、ノエル・ギャラガーのスタンスには大きな変更はない。歌詞の通り、世界に希望を見出すことの重要性について歌っているが、直接的には歌われず、サブテクストの範疇に留められている。
キラーズは、今年、惜しくも解散を発表した、Panic! At The Disco(パニック・アット・ザ・ディスコ)とならんで、ダンス・ロックの象徴的なグループである。ラスベガスのバンドではありながら、当初、イギリスで人気を獲得した。デビュー・アルバムから最新アルバムまで、UKチャートで七回、一位に輝いている。『Wonderful Wonderul」はUSチャートでも一位を獲得。キラーズ旋風は日本にも沸き起こり、 2004年には、フジ・ロックで来日している。バンドは以後、ウェンブリースタジアムでの公演を成功させ、イギリスでの評価を不動のものとした。
ロンドンのロックバンド、The Vaccines(ザ・ヴァクシーンズ)がニュー・シングルを発表しました。 「Love To Walk Away」は、1月12日にリリースされるバンドのニュー・アルバム『Pick-Up Full of Pink Carnations』からの最新カット。このシングルについてバンドは以下のように説明しています。
「アルバムに入るとき、音楽に何をさせたいかはっきりわかっているときもあれば、音楽が何をすべきかを教えてくれるのを待っているときもある。でも、アンドリューとスタジオに入った初日に "Love To Walk Away "を書いて初めて、このアルバムがどんなサウンドとフィーリングになるかわかったんだよ」
「Night of the Hunter」は、アレックス・ブラウン(ラ・ルー、ジェイムス・ブレイク)が監督した新しいビデオと一緒にリリースされた。ファーストシングル「Run Run Run」と同様、マーゲート周辺で撮影された。以下からチェックして見てください。
アルバム「Pick-Up Full of Pink Carnations」の第3弾となるThe Vaccines(ザ・ヴァクシーンズ)の最新シングルは、彼ららしいギター・ドライヴのアップビート・インディーで、フェスティバルの野原と暖かいビールをすぐに思い起こさせる。「Lunar Eclipse」と題されたこの曲は、フロントマンのジャスティン・ヤングが2022年にジョシュア・ツリーの砂漠を訪れた際に書かれた。