©Christine and the Queens


フランスのスター、Christine and the Queensは、6月9日にBecauseからリリースされるニューアルバム『PARANOÏA, ANGELS, TRUE LOVE』のセカンド・シングル「True love」を公開しました。このニューシングルは、070 Shakeをフィーチャーし、この週末のCoachellaで披露されました。

 

Christine and the Queensは、アルバムのファーストシングル「To be honest」を、自分で監督したミュージックビデオで公開しています。PARANOÏA, ANGELS, TRUE LOVE』には、マドンナが3曲参加しています。

 

Christine and the Queensは、Héloïse Letissier(クリスと名乗る)のプロジェクトである。PARANOÏA, ANGELS, TRUE LOVE』は、昨年11月にBecauseからRedcarの別名義でリリースされた『Redcar les adorables étoiles』に続く作品です。

 

クリスティン・アンド・ザ・クイーンズは、マイク・ディーンとの共同プロデュースで新作を制作した。

 

クリスは以前のプレスリリースで、このアルバムについて、「この新譜は、2022年の『Redcar les adorables étoiles』も包含するオペラ的ジェスチャーの第2部である」と述べている。

 

 「True love」

 

 

英サウスロンドンのフローレンス・ショー擁するポストパンクバンド、Dry Cleaningが米シアトルのラジオ局KEXPに出演し、30分弱のライブパフォーマンスを行いました。

 

バンドは、昨年10月、4ADから発売されたセカンドアルバム『Stumpworks』の収録曲「Gary Ashby」、「Hot Penny Day」、「 No Decent Shoes For Rain」 「Anna Calls From The Arctic」を取り上げ、クールなパフォーマンスを行っています。

 

以前、バンドは米国のトーク番組”The Tonight Show Starring Jimmy Fallon”にも出演しているほか、3月上旬には最新EP『Swampy』を同レーベルから発売しています。 またボーカルのフローレンス・ショーは、Sleaford Modsの最新作『UK GRIM』の収録曲「Force 10 From Navarone」にもコラボレーターとして参加しています。


またセカンドアルバム『Staumpworks』は当サイトで、Weekly Recommendaitonとして紹介されているほか、2022年度のベスト・アルバムリストにも掲載しています。

 

 Metallica  『72 Seasons』

 

 

Label :  Blackened Recording Inc.

Release: 2023/4/14


 


Review

 

昨年、メタリカは『ライド・ザ・ライトニング』にちなんだ特製ウイスキーを"Blackened"という会社から販売したが、このとき、おそらくメタリカも他の多くのメタルバンドと同じように、過去のアーカイブの中や人々の記憶の中のみで生きるバンドになっていくのだとばかりと考えていた。ところが、実際はそうはならなかった。これはプロレスの壮大な前フリのようなもので、今年になって待望の11作目のアルバム『72 Seasons』をちゃっかり録音し、発売を控えていたことが判明したのである。つまり、メタリカは伝説の中で生きることを良しとせず、現在を生きる屈強なメタルバンドであることを選択したということである。タイトルの72の季節というのは、ラーズ・ウィリッヒとジェイムズ・ヘッドフィールドのメタリカはメタルシーンの最前線を疾走するバンドであるということを対外的に告げ知らせようとしているのである。

 

思い返せば、80年代のNWOHMの一角としてシーンに名乗りを挙げたメタリカだったが、その後には、スレイヤー、アンスラックス、メガデスを始めとするスラッシュ・メタルの先駆者として80年代から、『Master Of Puppets』、『Ride The Lightning』といったスラッシュメタルの傑作を残し、その後の90年代、グランジやオルタナ、ヘヴィ・ロックが優勢になろうとも、表面的な音楽性の変更は行ったものの、他のどのバンドよりもメタルであることにこだわったのがメタリカだった。そして、近年は以前に比べ、その勢いやパワフルさが若干鳴りを潜めていたのだが、2023年の最新作『72 Seasons』は彼らが未だ最盛期の渇望を失っていないことをはっきりと表しているように思える。

 

すでに、イギリスのメタル系の雑誌、Kerrang!とMetal Hammerのデジタル版では、レビューが掲載されているので、その結果をお伝えしておく。イギリスで最も売れるマガジン、ケラング!は4/5、一方のメタルハマーは3.5/5のスコアを記録している。他にもNMEにもレビューが掲載されており、星4つを獲得している。メタル・ハマーは辛めの評価であるが、近年ではパンク/ハードコアを中心に取り上げているケラング!の方が評価が高いというのは少し意外である。


『72 Seasons』は改めて聴くと、基本的にはメタリカの原点回帰を図った作品であることが分かる。意外なのは、アルバムの中盤か終盤に収録されていた叙情的なメタルバラードが収録されていないことである。おそらくバンドの念頭にはダークなメタルバラードを収録することもあったかもしれないのに、あえてそれをしなかった、ということに大きな意義があるように思える。

 

スラッシュ・メタルの代名詞であるザクザクとした歯切れのよいギターリフ、そして、基本的には8ビートであるにもかかわらず、ウルリッヒのもたらすプログレッシヴ・メタルのような変則的な構成が、80年代よりも前面に突き出された作品というのが、『72 Seasons』の個人的な解釈である。つまり、メタリカは80年代に自分たちが何をやっていたのかを思い出し、それを現代的なレコーディングの俎上で何が出来るのか、ということを試したのである。そして結果的には、バラードなしのメタリカらしい屈強なメタルで最後までグイグイ突き通すのである。

 

メタリカは、特にフロントマンのジェイムズ・ヘッフィールドが謙遜して述べているように、「ならず者が集まってできた」のである。そして、現代のメタルシーンの音楽とは関係なしにならず者としてのメタルの集大成をこの作品で示そうとしている。それはタイトル曲「72 Seasons」に目に見えるような形で現れている。ハーレーで突っ走るようなスピード感、そして、アウトサイダー的な雰囲気、そして、今なお衰えないヘッドフィールドのパワフルなボーカル、そして、屈強さと叙情性を兼ね備えるツインリード・ギター、これらのメタリカを構成する主要なマテリアルが渾然一体となって掛け合わさり、唯一無二のサウンドが出来上がったのだ。

 

これまでの個人的な印象としては、メタリカは強者やマッチョイズムに象徴されるようなバンドだった。しかし、今回、彼らは、近年、所属団体がトルコへの義援金を寄付したりと慈善的な活動を行っている。そして、それはバンドの埒外で行われていることではなく、アルバムの収録曲にも反映されており、「Screaming Suicide」では、自殺の危険に瀕した人々へもしっかりと目を向けている。相変わらずの屈強なサウンドではあるのだが、それは同時に単なるヒロイックなマッチョイズムではなく、弱者の心を奮い立たせるべく、彼らはこの曲で奮闘している。メタル・ヒーローのあるべき姿である。

 

はじめにスラッシュ・メタルの原点に回帰する意図があったのではないかと述べたが、一方で、90年代のグランジやヘヴィ・ロックに触発された音楽性も加味されている。一般的には、バンドとして苦難の時期でもあった90年代の『Load』のサウンドメイクを彷彿とさせるワウを噛ませたアメリカン・ロックが、タイトル曲、「Lux Æterna」、そして、さり気なく凝ったメタルサウンドに取り組んでいる二曲目の「Shadow Follow」あたりに乗り移っているのである。乗り移っているというのは、彼らが意図してそうしようとしているのではなく、レコーディングやセッションで自然な形でそうなっていっただけ、という感じもするのである。

 

『72 Seasons』は一貫して、ヘヴィロックやパンクロックに触発されたスラッシュ・メタルという形で展開されていく。この潔さについては作品全体に重みとパワフルさという利点をもたらしている。一方で、アルバムの終盤、そのパワフルさが鳴りを潜めているのが少し惜しまれる点か。しかし、近年のアルバムの中では白眉の出来である。80年代の名作群や、90年代の二部作にも引けを取らない内容となっている。

 

この歴史の浅いサイトの評価軸の一例として、もし仮にヘヴィ・メタルとしての100点が出るとするなら、オジー・オズボーンの「Blizzard Of Ozz』、スレイヤーの『Reign In Blood』、メタリカの『Master of Puppets』、『S&M』、ハロウィンの『Keeper of the Seven Keys Pt.1&2』、アイアン・メイデンの『Number Of The Beast』、もしくは、アーチ・エネミーの『Burning Bridges』、セパルトゥアの『Roots』、スリップノットの『IOWA』といった名盤を挙げておく。

 

『72 Seasons』は、そこまでの超弩級の作品ではないにしても、少なくとも、メタリカの復活、スラッシュ・メタルの復権を高らかに告げるような意味が込められており、佳作以上の意味を持つ聴き応え十分のアルバムである。ひとつ補足するならば、他のバンドがだんだんとメタルではなくなっていき、ロック/ポピュラー化していく中で、メタリカだけは現在も他のどのバンドよりも”メタルバンド”であることにこだわり続けている。そして、それこそが、結成40年を経た2023年になっても、彼らが世界中から大きな支持を集める理由なのではないだろうか??

 

 

86/100 

 

 

Featured Track 「72 Seasons」

 

Clara Engel ©Tanja-Tiziana



今回、Music Tribuneで初めて紹介するカナダ/トロントを拠点に活動する気鋭の若手ミュージシャン、クララ・エンゲルは、インディペンデント・ミュージシャンとして、オリジナリティあふれる作風で知られています。

 

今回、Music Tribuneで最初にご紹介するカナダ/トロントの気鋭のミュージシャン、Clara Engel(クララ・エンゲル)は、インディペンデントの音楽家であり、独創性の高い作風で知られています。特に、前作アルバムの曲の中の歌詞に強く心を動かされ、さらにこのミュージシャンの音楽を聞いた時、この世に存在するどの音楽にも似ていないと考えたため、そのインスピレーションの源泉をぜひとも知りたいと思い、この度、ミュージシャンにインタビューを申し込んだところ、無事に回答を得ることができました。
 
 
クララ・エンゲルは、これまで主流のサブスクリプションではなく、Bandcampを中心に作品のリリースを行っており、ダークではありながら芸術性の高い詩的な音楽を多数制作しています。そして、エンゲルは音楽家であると同時に、ビジュアルアーティストとしても活躍しています。


そして、先にも述べたように、エンゲルの芸術形式は、既存の価値観や概念に縛られるものではなく、音楽や芸術自体を既存の狭い価値観から開放するものである。そして実際に、エンゲルの音楽は、独創性の高い表現形態によって支えられていますが、これは直接的な触発を受けて制作されたものではないそうで、他にはないオリジナルを求めて制作を重ねていった結果が、イントゥルメンタルとボーカル曲を中心とした前作のアルバム『Their Invisible Hands』、ボーカル曲を中心とした6月16日に発売予定の『Sungrinaria』に現れることになったのです。
 
 
また、エンゲルの既存の作品は、ミュージシャンの出身地であるカナダの公共放送CBCや、英国の公共放送BBCで複数回オンエアされており、カナダ国外でも評価を受けています。どのようにして、クララ・エンゲルの音楽や歌、詩情が生み出されるのか・・・。前回のインタビューと同様、以下にそのエピソードを読者の皆様にご紹介致します。

 

今回も日本語訳と合わせてアーティストによる原文も掲載致します。クララ・エンゲルのこれまでの作品はBandcampから視聴できます。 

 


 

 
  
 
 

Music Tribune presents "10 Questions For Clara Engel"

 
 
 
 1. 先ず始めにお伺いします。ソロアーティストとして音楽活動を開始したのはいつ頃ですか? 音楽活動のきっかけとなった出来事があればお聞かせください。

 
 
 
子供の頃は詩を書いたり絵を描いたりしていましたが、11歳か12歳の時にギターを手にしました。それからすぐに曲を書き始めたのですが、正直なところ、何がきっかけになったのかわかりません。自然な流れでした。私はいつも何かを作ってきました。それは、私の世界での存在の仕方であり、私がやらなければならないことのように感じています。


 
 
2.あなたの音楽は、実験的なフォークミュージックとして位置づけられているようです。あなたが最も影響を受けた音楽家は誰でしょうか?また、彼らの音楽はどのような形であなたの音楽に反映されているのでしょうか?
 
 


正直なことを言えば、影響を受けたという質問に関して、どう答えていいかわからなくなりました。

 

今、現在、私は自分の音楽とは似ても似つかないような音楽をたくさん聴いていますが、それが本当に私の支えになっていますね。他の人と同じ音を出そうとして失敗し、最終的に自分の声を作り上げたのは、まだ駆け出しの頃でした。最近は、Getatchew Mekuria、Emahoy Tsege Mariam Gebru、Lisa O'Neill、BronskiBeat、Sangre De Muerdagoのアルバムをよく聴いていますね。聴くもの全てから影響を受けていると思いますが、それを模倣したり再現したりするという意味ではありません。
 
 


3. 最新アルバム『Sanguinaria』が6月16日に発売されます。このアルバムはいつ、どのようにレコーディングされたのでしょう? また、作品のコンセプトやテーマのようなものがあれば、教えてください。
 
 
『Sanguinaria』は、2022年の夏から秋にかけて、ほとんど自宅でレコーディングしました。私はレコーディング・エンジニアとしての正式なトレーニングを受けておらず、パンデミックの最中に自宅でレコーディングの方法を学び始めました。春の儚い花、ブラッドルートのラテン語名 "Sanguinaria Canadensis" にちなんで、この名前をつけました。家の近くで花が咲いている頃に、この曲を書き始めたんです。

 


 
4. 昨年のアルバム『Their Invisible Hands』から1年ぶりの新作となります。前作の実験的なアプローチに比べ、より親しみやすい楽曲が多いように感じます。新作を制作する上で、何か心境の変化があったのでしょうか?




前作との大きな違いは、『Sanguinaria』にはインストゥルメンタルがないことでしょう。ただ、特に私の歌詞は基本的に詩であり、詩が親しみやすい芸術形態であると言われることはほとんどありません。私のインストゥルメンタルは、一般的にとてもメロディアスで分かりやすいものです。私の言葉を使った音楽は、もしかすると、言葉が苦手な人や、言葉と音楽が別世界に存在すると考える人には、少しとっつきにくいかなと思います。このアルバムは特に、詩のチャップブックのような感じですが、3Dです。音楽は3次元なのです。

 

 



5. 最新作『Sanguinaria』では、これまでの作品と同様に珍しい楽器が使われているようですね。ギター/ピアノのほか、タルハルパ、グドク、ラップスチール、メロディカなどを演奏されています。民族楽器であるグドックは、かなりレアな存在です。こうした民族楽器を楽曲に使用する狙いは何でしょうか?

 


 

パンデミックが始まった頃、様々な民族楽器についての本を読み始めました。弓を使った楽器の訓練はしていませんが、以前から興味があったんです。チェロやビオラは経済的に無理だろうし、学習曲線もかなり急であると思う。私が演奏する民族楽器(タルハルパとグドック)は、手作りで美しく作られていて、その音色はとても生々しく、声のようなものがあり、私の歌を上手く引き立ててくれています。ラップスチールは、友人のLys GuillornとBrad Deschampsがオーバーダビングしてくれたので、ラップスチールの音が聞こえたら、それは彼らの仲間です!

 



 

6. 最新作のヴォーカルは、繊細で柔らかい印象を受けます。ヴォーカリストとしてどのような影響を受けているのでしょうか?


 

 

全曲でリボンマイクを使っているので、ヴォーカルはよりダークで "鮮明 "ではないサウンドの感触になっています。ダイナミクスという点では、かなりばらつきがありますが、全体的には、大音量のロックンロールというよりは、会話や室内楽のようなボリューム感のある曲になっていますね。
 
またー意識して大きな声で歌おうとか、小さな声で歌おうとか決めたことはありませんし、曲の中に入り込んで、それを精一杯伝えようということです。
 
また、アマリア・ロドリゲス、スキップ・ジェームス、ペギー・リー、アノーニ、ブラインド・ウィリー・ジョンソン、ジリアン・ウェルチ、ビリー・ホリデイなど、私に深い影響を与えた歌手の数々から、私は無意識にいろいろなことを吸収してきたんだと思います。私は、一般的に言って、あからさまなダイナミクスよりも、微妙なダイナミクスの方が面白いと思うようになりました。




 
7. あなたの音楽は、イタリアのCBCやBBC、ナショナルラジオなどの主要メディアで紹介されているようです。これらのメディアで紹介された音楽について、詳しく教えてください。


 

私がカバーしたイディッシュ語の名曲「Mayn Rue Plats」が、少し前にCBCで放送されました。この曲は、昨年秋にリリースした『Undergrowth』というEPに収録されています。何年か前からBBCでも放送されるようになった。



最初はVox Humana(UK)というレーベルのおかげだったと思う。その後、BBCは私のアルバム『Where A City Once Drowned』からのセレクションを放送してくれました。イタリア国営放送では、何年も前に私のアルバム『Tender』をリリースしたBackwards(IT)というレーベルのおかげです。



 

メジャーなラジオ局での放送はとてもありがたいのですが(インディーズアーティストとして、その機会を得るのは簡単ではありません!)、私の作品をより頻繁に放送し、多大なサポートをしてくれるインディーズや大学のラジオ局には深い愛着と敬意を抱いていることをお伝えしておきます。例えば、WFMU、KALX、WZRD、WHUS、KVCU、CFRU、CJRU...数え上げればきりがありません。 

 

 




8. 作品制作において、Aidan Baker、Armen Ra、Thor Harris、Siavash Aminiなどのミュージシャンとコラボレーションしていますね。他のミュージシャンとのコラボレーションは、サウンドトラック制作のプロセスをどのように変化させると思いますか?

 


 

ええ。それらのアーティストはすべて私のアルバム『Visitors are Allowed One Kiss』に大きく貢献してくれていて、多くの人が関わっているという点ではとてもユニークでしたね。それでも私はすべての曲をひとりで書いて、そのベースをソロでレコーディングし、その後、人々に曲を送り、実験してもらいました。最終的な仕上がりも気に入っていますが、ああいうプロジェクトでは、ミキシングエンジニアのミッチェル・ジリオと一緒にスタジオで録音していたことがとてもうれしかったですね。自宅で一人であのようなことをやる機会はあまりないと思いますから。


 

 

 


9. あなたはトロントを拠点に活動されていますが、この街の一番の魅力は何だと思いますか?

 

 

私は図書館と公園が好きです。それ以上に、トロントはひどく物価が高いので、アートに携わる人間にとっては本当に大変なところですよ。

 

 10. それでは最後の質問になります。6月にニューアルバムをリリースしますが、今後のライブの予定はありますか?




 

ミュージッシャンとしての予定は現時点ではないんですが、私はビジュアルアーティストでもあるので、トロントのカフェで2回、シアトルのギャラリーで1回、計3回のアートショーが控えています。


 

・The Original Text of Interview 


 

If there is a music scene that needs the most attention today, along with London, England, I would definitely mention Toronto and Montreal, Canada. Almost every month, great music and musicians are appearing in Canadian cities.

 And what is most wonderful about the music scene in this region is that even though the genres of music played are completely different, they respect each other, and the musicianship of each musician is completely unwavering.
 
Clara Engel, a young up-and-coming musician based in Canada/Toronto, who is first introduced in this issue of Music Tribune, is an independent musician and is known for her highly original style. 

We were particularly moved by the lyrics in the songs of her last album, and when we heard her music, we thought it was unlike any other music in the world, so we wanted to know the source of her inspiration. We asked the musicians for an interview, and they responded successfully.
 
Clara Engel has been releasing her work mainly on Bandcamp, rather than through mainstream subscriptions, and has created a lot of dark, yet artistically poetic music. 

And as well as being a musician, he is also a visual artist.

And as mentioned earlier, Clara Engel's art form is not bound by existing values and concepts, but liberates music and art itself from existing narrow values. And in fact, Engel's music is supported by highly original forms of expression, like Steve Gunn's in New York, which were not created under direct inspiration, but the result of a continuous search for originality that cannot be found anywhere else, and the result of a series of productions, mainly instrumental and vocal songs. 

The result is "Their Invisible Hands" an album of mainly instrumental and vocal songs, and "Sungrinaria," to be released on June 16, which will feature mainly vocal songs.
 
The existing work has also received recognition outside of Canada, with multiple airings on the Canadian public broadcaster CBC, the musician's hometown, and the British public broadcaster BBC. At present, very few people in Japan know about this musician, but as an important experimental folk musician, he deserves your attention. How does Clara Engel's music, songs, and poetry come to be? As in the previous interview, we will share the episode with our readers below. 

The original text by the artist is also included, along with a Japanese translation. You can listen to Clara Engel's previous works on Bandcamp.




 
1. When did you start your musical career as a solo artist? Please tell us about any events that triggered your musical activities
 
I wrote poetry and drew a lot as a kid, then I picked up a guitar when I was eleven or twelve years old. I started writing songs soon after that, and to be honest, I don’t know what triggered it. It was a natural progression. I have always made things; it just feels like my way of being in the world and something I’m compelled to do.
 
 
2.Your music seems to be positioned as experimental folk music. Who are your biggest musical influences? In what ways is their music reflected in your music?
 
I no longer know how to answer questions about influences. At this point I listen to a lot of music that sounds nothing like what I do, but it really sustains me. It was only when I was just beginning that I tried to sound like other people, and in failing to do so I ultimately developed my own voice. Lately I’ve been listening quite a bit to albums by Getatchew Mekuria, Emahoy Tsege Mariam Gebru, Lisa O’Neill, BronskiBeat, and Sangre De Muerdago. I think I’m influenced by everything I hear, but not really in the sense that I am trying to emulate or recreate it.
 
 
3. Your latest album, Sanguinaria, will be released on June 16. When and how was this album recorded? Also, if you have any kind of concept or theme for the work, please let us know.
 
Sanguinaria was mostly recorded in the summer and fall of 2022, at home. I have no formal training as a recording engineer, and I started learning how to record at home during the pandemic. I named it after the spring ephemeral flower, bloodroot, whose Latin name is “Sanguinaria Canadensis.” I started writing these songs when the flowers were blooming near my house.
 
4. This new release comes a year after last year's album "Their Invisible Hands". Compared to the experimental approach of the previous album, the songs seem to be more accessible. Did you have any changes in mindset when creating the new album?
 
The main difference is that Sanguinaria has no instrumentals. It’s odd to me how instrumental pieces are automatically dubbed more “experimental” – especially since my lyrics are basically poems, and poetry is rarely described as an accessible art form. My instrumentals are generally very melodic and easy to follow. I actually think that my music with words is less accessible to people who aren’t fond of words or who see words and music as existing in distinct realms. This album in particular feels like a chapbook of poetry but in 3D. The music is the third dimension.
 
5. It seems that your latest work, "Sanguinaria," uses the same unusual instruments as your previous works. In addition to guitar/piano, you play talharpa, gudok, lap steel, melodica, etc. The gudok, a Russian folk instrument, in particular, is quite rare. What is your goal in using these ethnic instruments in your songs?

 
At the beginning of the pandemic I started reading about various folk instruments… it all begin with acigar box guitar and expanded from there. I have no training on any bowed instrument, but it’s something I had been curious about for a long time. Cellos and violas are beyond my means financially, and I think the learning curve is quite steep. The folk instruments I play (talharpa and gudok) are handcrafted and beautifully made and there’s something very raw and voice-like about the tones they produce - I find they complement my songs well. I don’t actually play lap steel, my friends Lys Guillorn and Brad Deschampscontributed some overdubs, so whenever you hear lap steel, it’s one of them!
 
 
6. The vocals in your latest work seem to have a delicate and soft quality to them. What are your influences as a vocalist?
 
I am using a ribbon microphone on all the songs, which gives a darker and less “crisp” sound and feel to the vocals. In terms of dynamics there is a fair bit of variation, but overall the songs do have more of a conversational or chamber music volume than a bombastic rock and roll quality to them. I never decide consciously to sing loud or quiet, it’s about being inside the song and putting it across as best I can. I’m sure I’ve unconsciously absorbed things from many different people; Amalia Rodrigues, Skip James, Peggy Lee, Anohni, Blind Willie Johnson, Gillian Welch, Billie Holiday, to name just a few singers who really affected me in a deep way. I’ve come to find subtle dynamics more interesting than really blatant ones, generally speaking.
 
7. It seems that Clara Engel's music has been featured in major media such as CBC, BBC, and National Radio in Italy. Could you tell us more about the music that has been featured in these media?
 
The CBC aired a famous Yiddish song that I covered, “Mayn Rue Plats,” a little while ago. That songappears on an EP that I released last fall called Undergrowth. Over the years I’ve received some BBC airplay – I think it was thanks to a label I worked with called Vox Humana (UK) initially. Years later the BBC also played a selection from my album Where A City Once Drowned. As for Italian National Radio, it was thanks to a label called Backwards (IT) who released my album Tender many years ago.
It’s important to mention that while I really appreciate airplay on more major stations (and it isn’teasy to get, as an independent artist!) I have a deep fondness and respect for all the independent and college radio stations who play my work much more frequently, and have been tremendously supportive. For example WFMU, KALX, WZRD, WHUS, KVCU, CFRU, CJRU….the list goes on and on! 
 
 
8. You have collaborated with musicians such as Aidan Baker, Armen Ra, Thor Harris, and Siavash Amini in the creation of your work. How do you think collaborating with other musicians will change the soundtrack production process?

 
All of those artists contributed to my album Visitors are Allowed One Kiss, which was unique in terms of how many people were involved. I still wrote all the songs alone and recorded the basis for them solo, then I sent the songs out for people to experiment with. I love the final result, but for a project like that I was very glad that I was recording in a studio with mixing engineer Mitchell Girio. I don’t think I would ever undertake something like that on my own at home.
 
 
9. You are based in Toronto. What do you find most attractive about this city?
 
I love the library and the parks. Beyond that, Torontois becoming a terribly expensive place, which is really difficult for people working in the arts.
 
 
This will be the last question,
 
 
10. You are in the midst of releasing a new album, but do you have any upcoming live dates?
 
I do not, but I am also a visual artist and I have three art shows coming up – two at Toronto cafes and one at a gallery in Seattle.
 
 
Thank you for replying for our Questions,Engel!! 

 
 
 
Inteviewer:

Music Tribune(Editor:Nakamura)    Tokyo, April 15th,2023    Very Rainy Day.

American Grafitti

全般的に見ると、映画やサウンドトラック、つまり映像や映画の中で流れる音楽は、その映像媒体の単なる付加物に過ぎません。

 

ところが、なんの変哲もない、つまらない映像のワンショットが、ある種の情感を引き立てるようなBGMが付加されることで、時代を象徴するような名シーンに変化する場合がある。そして、それは時に映画全体の評価すら変えてしまう場合もあるのだから不思議だ。ローマの休日、スタンド・バイ・ミー、さらに、時計じかけのオレンジ、シャイニングといった著名な映画のワンシーンではそのことがよく理解出来る。つまり、映画のサウンドトラックとは、本質的には映像の付加物に過ぎないけれども、一方では、映像そのものよりも優位に立ち、ストーリーや映像を支配する場合すらあるのです。

 

例えば、ホラー映画のワンシーンにおいて、そのシーンとは全く別のユニークな音楽が流れたらどう考えるでしょう。多くの鑑賞者は、その瞬間、恐怖を忘れ、また、失望し、興ざめしてしまうはずです。反対にコメディー映画のワンシーンで、場違いなホラーの音楽が流れたら、(それはそれで前衛的で面白いと考える人もいるかもしれませんが)興ざめすることでしょう。つまり、一見、映像とその付加物に過ぎない音楽が分かちがたく結びついた途端、主媒体の持つ意味が変化し、本来、付加物であるはずの音楽が優位に立つケースが極稀に存在するのです。このことについて、映画評論家のジェイムズ・モナコーー”映画を読む”という考えに基づいて作品の評論を行った人物ーーは、そもそも映画の音楽が効果的な形で活用されるようになったのは、ブロードウェイのミュージカルの時代であると指摘しており、この2つの媒体がどのように関連しているかについて、以下のように述べています。「だが、今日、ミュージカル形式の映画の中で、最も成功しているのは、純然たるコンサート・フィルムである。これはサウンドトラックがフィルムを伴っていて、映像がサウンドトラックに支配されているのだ・・・(以下略)」というのです。

 

例えば、ジュディー・ガーランドのミュージカルの時代から、その後のハリウッドを中心とする映画全盛期の時代にかけて、もしくはフランスのパリ、イタリアのミラノを始めとするヨーロッパを中心とする映画の時代において、音楽がその映像作品のストーリーを強化することは決して珍しいことではありませんでした。たとえば、好例としてはトーマス・マン原作の「ヴェニスに死す」があります。この映画の最後のシーンでは、疫病に侵された音楽家が、人気のなくなったイタリアの浜辺で息絶えますが、明暗のコントラストを最大限に活用することで知られるイタリアの巨匠であるヴィスコンティ監督は、この印象的なシーンに、グスタフ・マーラーの『アダージェット』を使用し、その光と影の微細な変化と同期させ、この映画を不朽の名作たらしめた。つまり、実際の良い映画音楽は、単なる付加物にとどまることはほとんどなく、本来の役割を離れ、映像すら超越し、その映画のワンシーンを印象的な形で鑑賞者の記憶に留めておくのです。

 

今回、改めて、映画の中に導入される音楽が重要視されるようになったブロードウェイの時代から、 映画産業の最盛期にかけての名作映画とサウンドトラックを、下記に網羅的にご紹介致します。以下のプレイリストを参考にすることで、実際の映画を鑑賞するときに、”音響効果としてサウンドトラックがどのような形で映像に効果を及ぼしているのか?”という観点から映画を観ることもまた映画鑑賞の一興となるでしょう。

 

 

 

Louis Armstrong  『Hello Dolly!』 映画『Hello Dolly!』(69年)より


 



ジェイムズ・モナコが指摘するように、ミュージカルがサウンドトラックの原点にあるとするならば、まずはじめに紹介しなければならないのは、同名のミュージカル『Hello Dolly!』が映画化された本作である。

 

監督は、ジーン・ケリー、振り付けはマイケル・キッドが担当した。第42回アカデミー賞で美術賞、ミュージカル賞、録音賞の3部門を獲得した。ジャズボーカル/トランペットの巨匠であるルイ・アームストロングが客演した同名の作品のテーマソングである「ハロー・ドリー!』は、マンハッタンのブロードウェイミュージカル全盛時代の華やかな雰囲気を味わうのに最適である。


 

 

 

Irving Berlin/ Ethel Merman 映画『There’s No Business Like Show Business』 『There’s No Business Like Show Business』(54年)より


 



 

もし、ブロードウェイのミュージカルがどのような音楽として出発したのかを知りたいのであれば、ハロードリーの次に思いうかぶのがエセル・マーマンが歌った映画『There’s No Business Like Show Business』の表題曲である。

 

20世紀のニューヨーク/マンハッタンが最も反映した時代の華やかさを見事に捉えた名曲。エセル・マーマンは、この曲の中で、まるで舞台女優のように歌うのだが、実際の音源からもミュージカルの様子を想像することが出来る。まさにショービジネスのような華やかなビジネスはこの世に存在しないことを体現している。ブロードウェイのネオンが目に浮かぶような一曲である。

 

 『ショウほど素敵な商売はない』(There's No Business Like Show Business)は、1954年のアメリカ合衆国のミュージカル。監督はウォルター・ラング、出演はエセル・マーマンとマリリン・モンロー!! など。 ミュージカル『アニーよ、銃をとれ』のために書かれたアーヴィング・バーリンの歌「ショウほど素敵な商売はない」の曲名をそのまま映画のタイトルにしている。

 

 

 


『Love is a Splendered-Thing(慕情)』 映画『Love is a Splendered-Thing(慕情)』(55年)

 





『慕情』(Love Is a Many-Splendored Thing)は、1955年のアメリカ合衆国の恋愛映画で、20世紀フォックスが配給し、同年、日本でも公開されている。

 

監督はヘンリー・キングで、出演はジェニファー・ジョーンズとウィリアム・ホールデンほか。ベルギー人と中国人の血を引く女性医師ハン・スーインの同名の自伝的小説(英語版)を映画化した作品である。

 

 主題歌「Love Is a Many-Splendored Thing 慕情」は第28回アカデミー賞歌曲賞を受賞し、多くの歌手によりカバーされた。同曲を作曲したサミー・フェインはジャコモ・プッチーニの歌劇『蝶々夫人』のアリア「ある晴れた日に」を参考に作曲した。

 

この原曲のバージョンはミュージカルであるものな、映画のアレンジバージョンが複数存在すると記憶しており、一番有名なメインテーマのオーケストラ・バージョンに加え、実は、中国風のイントロのメロディーがきわめて印象的なボーカル・バージョンのバラードのレコーディングが存在する。

 

テーマソング『Love Is a Many-Splendored Thing 慕情』は、オーストリアの作曲家であるグスタフ・マーラーの管弦楽法の影響を直接的に受けた爽やかな雰囲気を擁するオーケストラレーションは、映像の持つ魅力を最大限に引き出すことに成功している。


 


 

Debby Reynolds 『Tammy』 映画『Tammy and the Bachelor(タミーと独身者)』(57年)より


 



 

デビー・レイノルズは、女優としても演技力が随一といっても差し支えないはずだが、歌手としても他のミュージックスター達の歌唱力に引けを取らない甘美な歌声を持った伝説的なシンガーである。女優としての才能だけでなく、歌手としての素晴らしい才覚を示してみせたのが、ロマン・コメディ映画の「タミーと独身者」だった。

 

米ユニバーサルから配給された映画「タミーと独身者」1957は、シド・リケッツ・サムナーの小説を原作とし、ジョセフ・ペブニーがメガホンを取った。年頃の少女が自分の恋心の芽生えに気づいた淡い感情を描いてみせた名作の一つで、コメディの風味も感じられるが、米国らしいロマンティックさに彩られた往年の名画といっても良い。

 

 

 

 

Judy Garland  『Over The Rainbow』 映画「The Wizzard Of OZ』(39年)より


 



 
ハリウッド映画の黄金時代を象徴する女優/歌手のジュディー・ガーランドの華やかな人生は、反面、その影であるドラッグ産業とともに象徴づけられる。ガーランドは20世紀初頭の華やかなミュージカルの時代の過渡期に伝説的な女優として活躍した。
 
 
ミュージカルと映画の転換期にあたる『オズの魔法使い」におけるガーランドの名演は、映画史に残るべきものである。劇中歌で使われた『Over The Rainbow』も米国のポピュラー史の中でも屈指の名曲に挙げられる。推測に過ぎないが、後の時代に隆盛をきわめるディズニー映画の音楽のステレオタイプは『Over The Rainbow』の夢見るようなロマンチシズムに求められるといっても過言ではない。ライマン・フランク・ボーム原作の『The Wondeful Wizzard Of OZ』(1900)のファンタジックな物語性を音楽的な側面から見事に捉えた伝説的な名曲である。
 

 

 


Pat Boone 『April Love』   映画『April Love』(57年)より






パット・ブーンの「April Love」を聴けば、映画の中に挿入される音楽が、どれほど映像の持つ雰囲気を盛り上げるのかがよく分かる。

 

ビルボード・マガジンの集計によると、パット・ブーンは、エルヴィス・プレスリーに次ぐチャート記録があるヒットメイカーとして知られている。同名映画のテーマソングである「4月の恋」50~60年代において大成功を収めたポピュラー歌手で俳優/作家のパット・ブーンが、1957年にDOTレーベルからリリースしたシングル。ビルボード・ホット100チャートで最高1位、さらにUKシングルチャートで最高7位を記録した。

 

サミー・フェインが作曲し、ポール・フランシス・ウェブスターが作詞したポピュラーソングである。パット・ブーンとシャーリー・ジョーンズが主演を務めた、ヘンリー・レヴィン監督の1957年の映画『エイプリル・ラヴ』の主題歌として書かれた。春先のロマンチックな雰囲気を漂わせる甘いバラードソングだが、これ以上に爽やかな映画のテーマソングは寡聞にして知らない。


 


 

8.Buddy Holly 『That's ll Be The  Day』  映画『American Grafitti』(73年)より


 



 ”Mel’s Drive-In"に行ったことがある人はいるだろうか? それは冗談としても、SFの傑作『スターウォーズ』で知られるジョージ・ルーカルのもう一つの傑作が、70年代の米国の若者の暮らしを見事に活写した『アメリカン・グラフィティ』 である。


実は、この映画、米国のオールディーズ、ドゥワップの名曲ぞろいで、ほとんどこのジャンルのベスト盤といっても過言ではない。

 

ロックのアイコン、チャック・ベリーを始め、スカイライナーズ、プラターズ、バディー・ホリーと怒涛のドゥワップの名曲のオンパレードで、実際の映像のムードを盛り上げている。特に、スターウォーズのように大掛かりな演出が施されているわけではないのに、私はこの映画が大好きである。

 

特に、エンディングにかけてのビーチ・ボーイズの名曲『All Summer Long』は、劇中の主人公たちの青春と相まって、ほとんど涙ぐまさせる何かが込められている。また、この曲の中では、HONDAが登場し、若者の間で日本の外車がトレンドであったことも容易に伺える。ドライブインやクールな車が登場し、その物語の中を若者たちが所狭しと動き回る様子は、同じく青春映画の傑作『スタンド・バイ・ミー」に匹敵する。この時代の奇妙な近未来的な作風は、後の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に大いに影響を与えたのではないだろうか?

 

 

 


The Platters 『Smoke Gets In Your Eyes』映画『A Guy Named Joe』(43年)/『Always』(89年)


 




ザ・プラターズの『煙が目に染みる』は、1933年、ジェローム・カーンの作曲により、ミュージカル『ロバータ』 (Roberta) のミュージカルのショー・チューンとして書かれた。作詞はオットー・ハルバック(Otto Harbach)が手掛けている。 同年10月13日に、ガートルード・ニーセン(Gertrude Niesen)により最初のレコード録音が行われた。1946年には、ナット・キング・コールもカヴァーしている。1958年、コーラスグループのザ・プラターズがカバーしてリバイバル・ヒットした。

 

1958年、プラターズのドゥワップのカバーは全米R&Bチャートで3位、全英では1位を記録し世界中で大ヒットしたことはよく知られている。1943年のアメリカ映画『A Guy Named Joe』のリメイク版、1989年スティーブン・スピルバーグ監督の映画「オールウェイズ」でも、この曲が効果的に使われた。前者の映画は古すぎるため、一度も観たことがない。特にサントラとして効果的に使用されているのはスティーヴン・スピルバーグ監督の作品の方だろう。歴代のバラードソングの中でも屈指の名曲/カバーといっても良いのではないだろうか? 


 

 

 

The Righteous Brothers 『Unchained Melody』 映画『Ghost』(90年)より


 




90年の『ゴースト』は、興行的には大成功をおさめた作品であるのは事実だが、永遠の名作なのかは疑問符が残る。私はそれほど映画には詳しくない、と断った上で言わせていただきたいが、この映画の発想自体は斬新で面白く、90年代に流行ったということについても頷ける話だけれども、現代的な感覚から見ると、どことなくB級感漂う作品というのが個人的な感想なのである。

 

もちろん、一方で、映画のサウンドトラックという観点から見ると、「Unchained Melody」は映像効果のムードの側面に素晴らしい影響を与えている。原曲は55年で、35年の時を経て、同映画の表題曲として採用され、英国一位のリバイバルヒットを記録している。例えば、最近の『ストレンジャー・シングス 未知の世界」のメタリカやケイト・ブッシュの例を見ても分かる通り、オリジナルの楽曲が、数十年も後になってリバイバルヒットを記録するケースはそれほど稀有なことではないのだ。

 

また「ゴースト」のプロデューサーは、ビートルズのレコーディングプロデューサーとしてお馴染みのフィル・スペクターである。ジョン・レノンやジョージ・ハリスンはフィル・スペクターのことを気に入っていたと言うが、ポール・マッカートニーはあまり好きではなかったという。この噂の真相までは定かではない。ともあれ、「Unchained Melody」は幻想的でありながら現実的であるという、この映画の核心をうまく体現している。また映画のサントラとしては問答無用に素晴らしい一曲である。



Simon & Garfunkel 『Sound Of Silence』 映画『The Graduate』(67年)より 


 




 
「サウンド・オブ・サイレンス」(原題はThe Sound of Silence、またはThe Sounds of Silence)は、サイモン&ガーファンクルが1964年に発表した。1964年のオリジナルレコーディングは商業的に成功せず、直後にバンドは解散することになる。しかし、1965年、オーバー・ダビングされたバージョンが1966年にビルボード誌で2週に渡って週間ランキング第1位を獲得した。ビルボード誌1966年年間ランキングは第25位。 1967年のアメリカ映画『卒業』では挿入曲となった。


『卒業』は1967年に公開された作品で、主演はダスティン・ホフマンである。今では大物俳優の彼の記念すべきデビュー作である。この映画は、アメリカン・ニューシネマの代表作としても認知されており、当時のアメリカの時代背景(ベトナム戦争や女性運動など)が反映され、政治に対する不信感を感じることができる作品となっている。

 

『明日に架ける橋』など他の全般的な代表作を見ると、それほどマイナー調の曲は少ないサイモン & ガーファンクルではあるものの、「サウンド・オブ・サイレンス」だけは非常に暗鬱な雰囲気が漂う。ある意味では、ベトナム戦争時代の米国の当時の若者のリアリティを反映させた作品とも称せる。


 


Steppenwolf 『Bone To Be Wild』 映画『Easy Rider』(69年)より






私はバイク乗りではないものの、デニスホッパー主演の『Easy Rider」ほどモーターサイクルやハーレー・ダヴィッドソンがかっこよく思える映画もそうそうないと思う。


映画のテーマ曲「Born To Be Wild(ワイルドで行こう)」(68年)を提供したステッペン・ウルフの方は、60年代後半のアメリカンロックを代表するバンドである。元々、バンド名も、カルフォルニアのUCLAの学生が好んで読んでいたという作家のヘルマン・ヘッセの前衛小説「荒野のおおかみ」に因んでいる。そう考えると、カルフォルニアのヒッピーの自由主義、ラブ・アンド・ピースのキャッチフレーズを掲げて登場したロックバンドと、ワイルドであることを生きる上での金科玉条とする作中人物たちの生き様は、他のどの映画よりも絶妙にマッチしていたのだ。

 

「Born To Be Wild」は60年代のアメリカン・ロックの最高傑作の一つであり、映画のサウンドトラックとしても超一級品である。ちなみに、バンドのアルバムの原曲では存在しないが、映画のサウンドトラックのバージョンのイントロには、バイクのマフラーをブンブン吹かす音が入っている。

 

 

 



Ben E King 『Stand By Me』  『Stand By Me』(86年)


 




四人の若者たちが、青空の下の線路の上を仲睦まじく歩く姿を想像してもらいたい。そしてそれは、それ以前の映画の作中人物の人間関係をしっかり辿った上で見ると、涙ぐまずにはいられないような映画史きっての印象的なシーンなのだ。つまり、青春映画の最高傑作『Stand By Me』の魅力は、あの名場面に尽きるのである。ただ、Music Tribuneは映画サイトではないため、あのシーンが本来どのような意味を持つのかについては考察するのを遠慮しておきたい。

 

軽快なコントラバス(ウッドベース)の演奏で始まる『Stand By Me』は、1961年にアトコ・レコードからシングルとして発売されたベン・E・キングのシングル作である。1986年に公開された同名の映画で主題歌として使用され、映画の宣伝のためにミュージック・ビデオが制作された。同年、再発売され、全英シングルチャートで第1位を獲得した。作詞作曲は、キングとジェリー・リーバーとマイク・ストーラーが手掛け、チャールズ・アルバート・ティンドリーによって作曲された黒人霊歌「Load, Stand By Me」に触発されて書かれた。つまり、あまり知られていないことだが、「スタンド・バイ・ミー」はポピュラーミュージックである前にゴスペルソングなのである。


「Stand By Me」は初盤の発売以降、そうそうたるミュージシャンに気に入られ、ジョン・レノン、ブルース・スプリングスティーン、レディー・ガガ、忌野清志郎によってカバーされた。現時点でのカバー・バージョンの総数は400を超える。 映画の最高のテーマ曲の一つとして最後に挙げておきたい。




Weekly Music Feature 

 

Bodywash 






モントリオールのデュオ Bodywashが見据える未来の音


モントリオールのデュオ、ボディウォッシュのセカンドアルバム『I Held the Shape While I Could』では、"故郷"とは移ろいやすいもので、完全にそうでなくなるまで心に長く留められている場所であるということが示されている。ボディウォッシュのメンバーであるChris Steward(クリス・スチュワード)とRosie Long Decter(ロージー・ロング・デクター)は、アルバムの12曲を通して、場所の感覚を失ったという、別々の、そして共通の経験、一度固まったものが指の間をすり抜けてしまう過程、そして、その落差から新しい何かを築こうとする試みについて考察しています。

クリス・スチュワードとロング・デクターの二人は、2014年に大学で出会いましたが、すぐに音楽言語を共有したというわけではなかった。クリスはロンドンでブリティッシュ・ドリーム・ポップとクラシックなシューゲイザー、ロージーはトロントでフォークとカナディアンを聴いて育った。彼らが最初に出会ったのは、カナディアン・フォークの血統を持つドリーム・ポップ・バンド、Alvvays(オールウェイズ)だった。風通しの良いボーカル、複雑なギターワーク、雰囲気のあるシンセサイザーという独自のブレンドを目指して、2016年にBodywashとしてデビューEPを発表、さらに2019年に初のフルレングスとなる『Comforter』をリリースしました。

『Comforter』の制作段階において、ロング・デクターとスチュワードともに私生活で疎外感のある変化を経験し、お互いにズレたような感覚を持つようになりました。彼らは、『Comforter』の心地よいドリーム・ポップよりも、よりダークで実験的で爽快な新曲を書き始めた。2021年、これらの曲をスタジオに持ち込み、ドラマーのライアン・ホワイト、レコーディングエンジニアのジェイス・ラセック(Besnard Lakes)と共有した。

最初の先行シングル「Massif Central 」では、”官僚的な煉獄”の経験(政府からの手紙のタイプミスにより、スチュワードは一時、カナダでの合法的な労働資格を失った)を語るStewardのささやくようなボーカルに、荒々しいギターと執拗なドラムのビートが寄り添っている。

「Perfect Blue」は、スチュワードの日本人とイギリス人の文化的アイデンティティをサイケデリックに探究しています。

日本のアニメイター、今敏(こん さとし)監督の1997年の『パーフェクト・ブルー』がプリズムのような役割を果たし、スチュワードは自分の混血を二面性に投影し、複雑に屈折させている。波打つシンセのモチーフは、スチュワードの歌声に合わせて弧を描き、内側に渦巻くかのように複雑に折り重なっていきます。ここで「半分であることは、全体でないこと」と、スチュワードは英国と日本という自分のルーツについて歌っている。

また、先行シングルのプレスリリースでは、スチュワードが体験した重要な出来事が語られています。このときに彼が感じざるをえなかった疎外感や孤独が今作のテーマを紐解く上では必要性不可欠なものとなっている。

「カナダに8年間住んでいた後、2021年の春に、政府の事務的なミスにより、私はここでの法的な地位を失うことになりました」

 

実は、英国人として、私は労働ビザの権利を失ってしまったんです。しばらくアパートの隅を歩き回ることしかできない月日が続いて、私の貯金はついに底をついてしまった。
独力で築き上げようと思っていた人生が、一瞬にして奈落の底に消えていくような気がしたため、私は、すぐに荷物をまとめて出て行く覚悟を決めました......。「Massif」は、たとえ、底なしの崖の底に向かって泣き叫んでも、反響が聞こえるかどうか定かではないような茫漠とした寂しい音なんです。
この曲は、私のベッドの後ろの壁に閉じ込められて、救いを求めて爪を立てていたリスを目にした時、インスピレーションを受けました。
友人、家族、音楽、そして、数人の移民弁護士(と残りの貯金)の助けを借り、私は幸いにも、今、この国(カナダ)の永住権を持っています。しかし、この曲は、その出来事とともに私が搾取的な国家制度に遭遇したことの証立てとして、今も深く心に残りつづけているのです。

 


 「I Held The Shape I Could」 Light Organ



 
 
2019年のデビューアルバムからそうであったように、Bodywashが掲げる音楽は、基本的にはドリーム・ポップ/シューゲイズに属している。もしくは、現在のミュージックシーンのコンテクストを踏まえて述べるなら、Nu-Gazeと称するのがふさわしいかもしれません。しかし、このジャンルは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ジーザス・アンド・ザ・メリーチェイン、コクトー・ツインズ、チャプター・ハウス、ライドといった草分け的なバンドがそうであったように、(全てが現実を反映したものでないわけではないものの)いわゆる”夢見るような”と称される現実逃避的な雰囲気やアトモスフィアに音楽性の基盤が支えられていました。
 
以後の時代になると、2010年を通じて、日本人ボーカル擁する米国のドリーム・ポップバンド、Asobi Seksuや、Captured Tracksに所属するWild Nothing,DIIV,Beach Fossilsが米国のミュージックシーンに"リバイバル"という形で、このシューゲイズという音楽を復刻させ、そしてその後ほバンドがShoegazeのポスト・ジェネレーションに当たる”Nu-Gaze”という言葉をもたらした時でさえ、また、いささか古臭く時代遅れと思われていた音楽に復権をもたらした時でさえ、その音楽の持つ意義はほとんど変わることはなかった。いや、どころか、音楽の持つ現実逃避的な意味合いはさらに強まり、より現代的に洗練された感じや、スタイリッシュな感じが加わり、現実から乖離した音楽という形で、このジャンルは反映されていくようになったのでした。

しかし、カナダのドリーム・ポップ/シューゲイズディオ、bodywashはその限りではありません。現実における深刻な体験を咀嚼し、爽快なオルタナティヴ・ロックとして体現しようとしている。それは2010年以降何らかの音楽のイミテーションにとどまっていたシューゲイズというジャンルの表現性を、スチュワードとデクターは未来にむけて自由な形で解放しようとしているのです。

ボディウォッシュは新作を制作するに際し、19年のデビュー作よりも”暗鬱で実験的でありながら、痛快な音楽を制作しようとした”と述べています。例えば、ロンドンのJockstrapのように、エレクトロの影響を織り交ぜた前衛的なポップ、アヴァンギャルド・ポップという形で二作目の全体的な主題として還元されていますが、これらの暗澹とした音の奥底には、日本の今敏監督の筒井康隆原作のアニメーション『パプリカ』のように全般的には近未来に対する憧れが貫流しているのです。
 
アルバムのオープニングを飾る「Is As Far」は、その近未来に対する希望を記した彼らの声明代わりとなるナンバーです。アヴァン・ポップという側面から解釈したエレクトロとダイナミックなシューゲイズの融合は、このジャンルの先駆者、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが到達しえなかった未知の領域へ踏み入れたことの証立てともなっている。リラックスして落ち着いたイントロから、ドライブ感のある新旧のクラブミュージックの影響を織り交ぜたエネルギーに満ちたエレクトロへの移行は、ボディウォッシュが飛躍を遂げたことを実際の音楽によって分かりやすい形で示しています。
 
それに続く、「Picture Of」は、Bodywashが2010年代のWild Nothingとは別軸にある存在ではなく、ニューゲイズの系譜にある存在であることを示唆しています。ここで彼らは、90年代、さらに古い80年代へのノスタルジアを交え、甘美なオルタナティヴロック/インディーロックの世界観を組み上げていきます。彼らの重要なバックボーンである80年代のディスコポップやエレクトロの融合は、ロング・デクターの甘美なメロディーを擁するボーカル、彼女自身のコーラスワークにより、聞き手の聴覚にせつなげな余韻を残してくれるのです。

夢想的なドリーム・ポップとアヴァン・ポップの中間にあるサウンドの渦中にあって、現実的な視点を交えて書かれた曲が、「Massif Central」となる。前の2曲とは少し異なり、クリス・スチュワードがメインボーカルを取っていますが、彼はWild Nothingに代表されるスタイリッシュなシューゲイズサウンドの中にポスト・トゥルース派としての現実的な夢想性をもたらしています。さらに、この曲では、デュオが共有してきた孤立した感覚、居場所を見出すことができないというズレた感覚、そういった寂しさを複雑に絡めながら、そして、今敏監督のアニメーション作品のような近未来的な憧憬を緻密に織り交ぜることによって、オリジナルのシューゲイズとも、その後のリバイバル・サウンドとも相異なる奇妙な音楽を組み上げようとしているのです。

こういった、これまでのどの音楽にも似ていない特異な感覚に彩られたロックサウンドがなぜ生み出されることになったのかと言えば、スチュワードが日本にルーツを持つことと、彼自身がアルベルト・カミュの作品のような”異邦人”としての寂しさを、就労ビザの失効という体験を通じて表現していることに尽きる。彼の住んでいる自宅で起こったと思われる出来事ーーベッドの後ろの壁に押し込められたリスが壁に爪を立てている様子ーー、それは普通であれば考えづらいことなのですが、スチュワードは、この時、小さな動物に深い共感を示し、そして、その小さな存在に対して、自己投影をし、深い憐れみと哀しみを見出すことになった。カナダの入国管理局の書類のタイプミスという見過ごしがたい手違いによって起きた出来事は翻ってみると、政府が市民を軽視しすぎているという事実を、彼の心の深くにはっきりと刻むことにも繋がったのです。
 
アルバムのハイライトである「Massif Central」に続く「Bas Relief」で、他では得難い特異な世界観はより深みを増していきます。それ以前のドリーム・ポップ/シューゲイズサウンドとは一転して、デュオはアンビエント/ドローンに類する前衛的なエレクトロ・サウンドを前半部の最後に配置することによって、作品全体に強いアクセントをもたらしています。「Bas Relief」において、前曲の雰囲気がそれとは別の形で地続きになっているような感を覚えるのは、かれらが前曲の孤立感をより抽象的な領域から描出しようと試みているがゆえ。これはまた、かれらがアヴァン・ポップと同時に現代的で実験的なエレクトロニカに挑戦している証でもあり、先週のティム・ヘッカーの『No Highs』の音楽性にも比する表現性を見出すことが出来る。つまり、ここで、ボディウォッシュは、現実という名の煉獄に根を張りつつ、 ディストピアとは正反対にある理想性を真摯に描出しようとしているようにも思えるのです。
 
さらに、それに続く「Perfect Blue」において、デュオは、イギリスのUnderworldの全盛期の音楽性を踏襲した上で、アヴァンギャルド・ポップとシューゲイズサウンドの融合に取り組み、清新な領域を開拓しようとしています。

スチュワードのボーカルは、この曲にケヴィン・シールズに比する凛とした響きをもたらしていますが、その根底にあるのものは、単なるノスタルジアではなく、近未来的への希望に満ちた艶やかなサウンドです。ここには三曲目において深い絶望を噛み締めた後に訪れる未来への憧憬や期待に満ちた感覚がほのかに滲んでいますが、これは後に、スチュワードがカナダ国内での永住権を得たことによる安心感や、冷厳な現実中にも癒やしの瞬間を見い出したことへの安堵とも解釈出来る。そしてデュオは、暗黒の世界にとどまることを良しとせず、その先にある光へと手を伸ばそうとするのです。


「Perfect  Blue」




その後、アルバムの中盤部においては「Kind of Light」「One Day Clear」と、アルバムの暗鬱とした雰囲気から一転して、爽やかなシンセ・ポップが展開されてゆく。

この2曲では、クリス・スチュワードからメインボーカルがロング・デクターへと切り替わりますが、これが煉獄に閉じ込められたような緊迫した感覚をインディーロックとして表現しようとするスチュワード、さらに、それとは対象的に、開放的な天上に至るような感覚を自身のルーツであるカナダのフォーク・ミュージックとシンセポップを織り交ぜて表現しようとするデスター、この両者の性質が交互に現れることによって、作品全体に見事なコントラストが生み出されています。

そして、一方のデクターのボーカルは、単なる歌にとどまらず、ラップやポエトリー・リーディングの影響をわずかに留めている。スチュワードと同様、ドリーム・ポップの甘いメロディーの雰囲気を擁しながらも、Jockstrapに比する前衛的で先鋭的な感覚をかなり際どく内在させている。この奇妙な感覚の融合がより理解しやすい形で表されているのが、後者の「One Day Clear」となるでしょう。デスターはスポークンワードを交え、アンビエントポップとポストパンクの影響を融合させた”未来の音”を生み出そうとしている。これは同国のハードコアバンド、Fucked Upと同様、表向きには相容れないであろうアンビバレントなサウンドをあえて融合させることで、固定化されたジャンルの既存の概念を打ち破ろうとしているようにも思えるのです。
 
さらに続く、「sterilizer」は、どちらかといえば、二曲目の「Picture Of」に近いナンバーであり、懐かしさ満点の麗しいシューゲイズサウンドが繰り広げられている。この段階に来てはじめて、デュオはデュエットの形を取り、自分たちがマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの系譜にあるバンドであることを高らかに宣言している。アンニュイな感覚という形で複雑に混ざり合う二人の雰囲気たっぷりのボーカルの掛け合いは、ブリストルのトリップ・ホップの暗鬱で繊細な感覚に縁取られており、聞き手を『Loveless』に見受けられるような甘い陶酔へといざなってゆく。そして、マッドチェスター・サウンドを反映したRIDE、slowdiveと同じように、この曲のサウンドの奥底には、80年代のフロアに溢れていたクラブミュージックのロマンチズムが揺曳している。いいかえれば、80年代-90年代のミュージシャンや、その時代に生きていた音楽への憧憬が、この曲の中にはわずかながら留められているというわけです。
 
三曲目の「Bas Releif」と並んで、アルバムのもう一つのハイライトとなりえるのが、終盤に収録されている「Acents」です。

ここでは、ロング・デスターが単なるデュオの片割れではなく、シンガーとして傑出した存在であることを示してみせています。アルバムの中で最もアヴァン・ポップの要素が強い一曲ですが、この段階に来て、1stアルバムのドリーム・ポップ/シューゲイザーバンドとしてのイメージをデスターは打ち破り、まだ見ぬ領域へ歩みを進めはじめたことを示唆しています。この曲はまた、「Dessents」の連曲という形で繰り広げられ、アンビエント/ドローンを、ポップスの観点からどのように再解釈するかを探求しています。彼らの試みは功を奏しており、四年前のデビュー作には存在しえなかった次世代のポピュラーミュージックが生み出されています。この曲を聴いていてなぜか爽快な気分を覚えるのは、デュオの音楽が単なるアナクロニズムに陥ることなく、未来への希望や憧憬をボディウォッシュらしい甘美的なサウンドを通じて表現しようとしているからなのです。
 
これらの強固な世界観は、まるで果てなく終わりがないように思えますが、クライマックスにも、ふと何かを考えさせるような曲が収録されており、きわめて鮮烈な印象を放ち、私たちの心を作品の中に一時でも長く止めておこうとする。新作発売前に最後のシングルとして公開された「No Repair」において、ロング・デスターは、内面の痛みを淡々と歌いながら、何らかの形で過去の自己をいたわるようにし、また、その内なる痛みをやさしく包み込むように認めようとしているのです。
 
 
 
90/100
 
 

 Weekend Featured Track 「Massif Central」
 

 
 
 
Bodywashの新作アルバム『I Held the Shape While I Could』は、バンクーバーのレーベル、Light Organ Recordsより発売中です。
 

 Fenne Lily 『Big Picture』

 


Label: Dead Oceans

Release: 2023年4月15日

 

 

 

Review

 

フェン・リリーの最新作は、ブリストルで制作され、20年の思いを手放すために曲が書かれました。レトロなポップスの影響を感じさせる一方で2020年代を生きる私達の日常的な感覚を繊細かつ巧みに表現した一作となっています。アルバムにはフェン・リリーというアーティストが音楽をどれだけ愛しているか、そして日常的に溢れる感覚を温かな感慨によって包み込もうとしているのか理解出来るはずです。

 

このアルバムの全体は、アメリカの90年代のUSインディーロックと、アーティストの趣向である70、80年代のポップスをかけ合わせた柔らかい感覚に充ちた作品となっている。フェン・リリーは詩の言葉を抱きしめるかのように丹念に歌っている。結果的には、ディストーションを交えたギターロックや、ノスタルジア溢れるフォーク・ミュージックと結びつくことで、心地よいサウンドが生み出された。フェン・リリーのサウンドは、海のように果てしなく、そして癒やされる感慨が漂っている。そして、それが彼女らしい素朴な表現性により、聞きやすい音楽という形で昇華されている。こういった音楽が嫌いという人はあまりいないのではないでしょうか?

 

オープニングトラックとして収録され、また、先行シングルとして紹介された「Map Of Japan」はアルバムの代表的なナンバーとなる。まるで春の到来を告げ知らせるかのようなリリーの歌声は、聞き手の心を和ませ、穏やかな感慨をもたらす。そして、オーストラリアのジュリア・ジャックリンのように、ポップスの中には、コアなオルタナティヴロックの要素が自然な形で入り込んでいる。ただし、オルタナの要素があるにしても、それらは部分的な効果として導入されているに過ぎず、ポピュラーな歌そのものが持つ柔らかさを損ねることはありません。また曲の終わりにかけて導入されるエレクトリックピアノの音色は切ない余韻を残しています。

 

続く「Downcolored House」は一曲目の雰囲気を受け継ぎ、カントリーやフォークの影響を絡めたインディーロックであり、自然味に溢れるフェン・リリーの歌声がバックトラックと絶妙な合致を果たしている。 そして、一曲目と同様に、彼女は内向的な感覚を自然な形で歌っていますが、特にアルバム全体の穏やかな雰囲気は、この曲を通じて、深みを増していくように思える。さらに、同じくカントリーの影響を交えた「Light Light Up」でも、二曲目の温和な雰囲気が受け継がれている。続く「2+2」は、それ以前の曲よりもブルージーに歌い、コアなインディーロックと絡めることで、心地よい雰囲気がを生み出されている。それらは繊細なギターフレーズと彼女自身のコーラスの多重録音により、アンセミックな音響効果すら兼ね備えている。

 

これらの前半の流れを受け継いで、穏やかなスローテンポのオルタナティヴフォークが清らかな川の流れのごとく続いていく。フェン・リリーの繊細なビブラートを交えたボーカルによって心地よい音楽空間を先んじて提供し、聞き手がそのことを受け入れるのならば、それはやはり、作者が予測していた以上のコンフォータブルな空間に変化する。そして、そのフレンドリーな雰囲気が作品の後半に至るほど、音楽の深みと温かみが増していくように感じられる。それは歌の中に日常の些細な出来事を織り交ぜることで、聞き手に近づきやすさをもたらしているとも言える。これは内省的なエモーショナルな音楽として胸に迫る場合もある。

 

そういったアーティストの持つ温和さと親しみやすさが最高潮に達するのが終盤に収録されている「Red Deer Day」となる。おそらく、Get Up Kidsの「Red Letters Day」に因んだと思われる、バンジョーのようなギターの音色とペダルスティールの音色が織り交ぜられたカントリーポップスは、フェン・リリーというアーティストの正体がボン・イヴェールの女性版であることの証ともなるかもしれません。これらの曲は2020年代のポップスのメインストリームにある音とは別の側面を刻印したものとしてアルバムの最後まで続いていくのです。


このアルバムはアーティストと聞き手の対話のようでもあり、またそれは聞き手がフェン・リリーの作品に参加してはじめて完成となる。穏やかな週末の午後、ゆったりした気分に浸りたいときにお勧めしたい作品です。

 

 

84/100 



Featured Track 「Map Of Japan」

 

Angel Olsen


昨日、jagujaguwarより発売となった米国の実力派シンガーソングライター、Angel Olsenの最新作である『Forever Means』EPは、昨年リリースされたフルアルバム『Big Time』に続く作品で、実際に続編のような意味を持つ。また、前作のフルレングスで製作者が言い残した何かを伝えるコーダのような役割を持つ作品として位置づけられるかもしれません。エンジェル・オルセンは、昨年のプロジェクトのアイデアを共有し、それを再確認しながら、愛と友情の文脈で「『永遠』とは何か」という問いを投げかけています。

 

オルセンは、私たちがいかにして成長しているか、そして「永遠」という概念を変化し続ける人生にどのように適応させればいいのかについて熟考する。このEPを構成する4曲の中で、オルセンは自分の考えを深く掘り下げています。


この最新作のオープニングを飾る "Nothing's Free "では、エンジェル・オルセンはEPのテーマである質問に対する答えを、「永遠は変化を説明できない」と外見的に暗示することから始めている。この歌詞は、ブルージーなインストゥルメンタルとともに、オルセンの声が反響し、彼女が誰もいない部屋に一人でいるような印象を与える。美しいピアノの音と力強いサックスで構成されたこの曲のブルージーな側面は、変化が避けられないという事実を彼女がどのように受け止めているか示唆しています。しかし、「そう、私たちは永遠に友達でいられる」と言われたら、それはどういう意味でしょう? 私たちの「永遠」という概念は、しばしば現在の私たちを満足させるための誇張表現になるようですが、実際には永遠とは言い難いのです。

 

タイトル曲では、オルセンがこの言葉を定義しているが、それは期待されたものではありません。しかし、それが重要です。彼女は永遠をさまざまな方法で表現し、それぞれを変化や自己成長に結びつけています。

 

「Foreverは、Take your timeという意味」と歌う彼女は、自分自身に集中するようにと呼びかけているように思える。一方、"Time Bandits "では、時間と "現在 "という感覚、つまり時間を失うことへの恐れと、一人の人間との時間を失うこと、それがその人に対する渇望を増加させることについて考察しています。そして、"Holding On "では、オルセンの考えていることに触れることができ、この曲の歌詞は、ミシシッピのウィリアム・フォークナーの意識の流れに近い感覚を擁している。彼女は恨みを抱くこと、それはいつも永遠に続くように感じられると表現し、女性的な感覚をうまく表現しようとしています。

 

さらに、新作EPの終わりには、オルセンはタイトルが約束するものを正確に検分し、リスナーを彼女の個人的な理解や経験へと導きます。Forever Meansは、人間関係、友情、つながり、思い出の捉え方について考える方法を提供し、オルセンはアーティスト、ミュージシャン、そして個人としての微妙な成長を示しています。

 

 

「Forever Means」

 

Flasher


ワシントンのデュオ、Flasherが新曲「Eastern Ave」でカムバックを発表しました。5月5日にリリースされるEP「In My Myth」の最初のティーザーとなる。Emma BakerとTaylor Mulitzからなるデュオの、2022年の2ndアルバム「Love Is Yours」以来の最新リリースとなります。

 

「Eastern Avenue」は、故郷と大切な人たちに捧げられたラブソングである。恋に落ちたり、仲間を見つけたりするときの道標となる、ごくごく平凡な瞬間にノスタルジックに飛び込んでいくような曲となっている。ミュージックビデオもまた日記的なアプローチで、エマはワシントンDC、テイラーはベイエリア、と、それぞれの本拠地での2人の並行した生活を描いている。「Swampy's DiaryやYouTubeの無数のVlogを観てインスピレーションを受けたんだ」とも語る。

 

新作EP「In My Myth」について、バンドは「ツアーの合間や海岸の間で書かれた曲のコレクションだ」とも語る。これらの曲は自分たちの自己神話化を見直し、「ウェルネス」の不吉な側面、時間と共に刻々と変化する人間関係を見い出し、まだそれが終りではないことを歌っている。

 

「Eastern Ave」

 



ロンドンのシンガーソングライター、Jessie Ware(ジェシー・ウェア)が、ニューアルバム『That!Feels Good!』を4月28日にPMR/Interscopeからリリースします。

 

シンガーソングライターは、ブランニューアルバムの最新シングル「Begin Again」をミュージック・ビデオと合わせて公開しました。この曲は、前作『What's Your Pleasure?』の「Remember Where You Are」のサウンドを発展させ、よりダンサブルにしています。チャーリー・ディ・プラシードが監督したこのビデオには、ウェアと様々なダンサーが出演している。

 

Jessy Wareはプレスリリースで、このシングルについて次のように語っています。「 "Begin Again "は、このアルバムが始まった場所です。ある悲惨な日の午後、ロサンゼルスでJames FordがShungudzoとDanny Parkerをズームアップしたのです」

 

彼らは目覚めたばかりで、ロンドンはすでに夕闇が下りていた。イライラしながらも集中した私たちは、インターネットを通じて、新しい、そして、不自然な方法で文章を書くことにした。人と人との触れ合い、ブラジルへの逃避行、ビーチでのボディ、休暇中のロマンス、そのすべてを夢見ながら!この曲は、ジェームスの美しいプロダクションとホーンを聴くことができ、滅茶苦茶気に入っている。この曲は、『Remember Where You Are』を完成させてすぐに作りたいと思った曲なんだ。

 

「Begin Again」


 

©Kay Dargs


米国のエモコアバンド、Hot Mulligan(ホット・マリガン)が、新曲「Gans Media Retro Games」とミュージックビデオを公開しました。この曲は、「Shhh!Golf Is On」に続く作品で、5月12日に発売されるバンドのアルバム『Why Would I Watch』からのリード・シングルです。下記よりご覧ください。

 

「この曲は、自分が間違ったことをしていることだけを見ることについて歌っている」と、ボーカルのTades Sanvilleは声明の中で説明している。「この曲は、自分の悪いところばかりを見ている曲なんだ。音楽的には、この曲は、歪みと、私が熱狂している幽霊のようなリードの間のクールな小さなバランス演技を持っています。この曲は、僕らが今までやったことのないようなサウンドです」

 

「Gans Media Retro Games」

 

 Dudu Tassa & Jonny Greenwood ©Shin Katan
 

Radiohead/The SmileのギタリストJonny Greenwood(ジョニー・グリーンウッド)とイスラエルのロックミュージシャンDudu Tassa(デュデュ・タッサ)がタッグを組んだニューアルバム「Jarak Qaribak」の詳細が発表されました。このアルバムは6月9日にWorld Circuitからリリースされる予定です。

 

本日の発表では、レバノンのボーカリストRashid Al Najjarをフィーチャーしたリードシングル「Ashufak Shay」がリリースされました。アルバムのカバーアートワークとトラックリストは、下記よりご覧ください。

 

グリーンウッドとタッサは『Jarak Qaribak』を共同プロデュース、RadioheadのコラボレーターであるNigel Godrichがミキシングしている。ナイジェル・ゴルドリッチはThe Smileのデビューアルバムのプロデュースも手掛けている。Tassaはプレスリリースを通じて述べている。

 

「この音楽を聴いた人が "これは何だろう?”と思うのを想像するのがとても好きです。1970年代のサウンドなのに、ドラムマシーンがあり、ギターがあり、アラビア語で歌っている...。いったい何が起こっているのだろう?」と。

 

でも、あの国で何かをすれば、たとえそれが芸術的なものであっても、すぐに政治的なものになることは理解しています。芸術的なものであれば、なおさらのことだ。

イスラエルは、これらの国の間にある小さな国家であるため、これらの文化や音楽からとても影響を受けています。私の家族のように、イスラエルに住む多くの人は、中東の他の地域から来た人たちの子孫なので、すべてが混ざり合ってしまうんです。

 

「Ashufak Shay」



Jonny Greenwood & Dudu Tassa  『Jarak Qaribak』



Tracklist:

 
1. Djit Nishrab [feat. Ahmed Doma]


2. Ashufak Shay [feat. Rashid Al Najjar]


3. Taq ou-Dub [feat. Nour Freteikh]


4. Leylet Hub [feat. Mohssine Salaheddine]


5. Ya Mughir al-Ghazala [feat. Karrar Alsaadi]


6. Ahibak [feat. Safae Essafi]


7. Ya ‘Anid Ya Yaba [feat. Lynn A.]


8. Lhla Yzid Ikthar

 

©Frack Lebon

 

ヒップホップ、フュージョン、ポスト・パンク、エレクトロニカ、と様々な音楽をクロスオーパーし、独自の音楽性を追求するイギリスのシンガーソングライター、Archy Marshall(アーチー・マーシャル)が、King Krule名義での4枚目のスタジオアルバム『Space Heavy』を発表しました。この新作アルバムはXL Recordingsから6月9日にリリースされる予定です。

 

リード・シングル「Seaforth」は、Jocelyn Anquetilが監督したビデオと共に本日公開されています。また、Space Heavyの詳細は以下をご覧下さい。

 

2020年の『マン・アライヴ!』に続く本作は、マーシャルが2020年から2022年にかけて、ロンドンとリバプールの間で書き上げた。その後、頻繁なコラボレーターでありプロデューサーのディリップ・ハリス、そして長年のバンドメイトであるイグナシオ・サルバドーレス(サックス)、ジョージ・バス(ドラム)、ジェームス・ウィルソン(ベース)、ジャック・タウエル(ギター)と共に制作が行われています。

 

「Seaforth」

 

 

 

 King Krule 『Space Heavy』

 

Label:XL Recordings

Release:2023/6/9

 

Tracklist:

 
1. Flimsier


2. Pink Shell


3. Seaforth


4. That Is My Life, That Is Yours


5. Tortoise Of Independency


6. Empty Stomach Space Cadet


7. Flimsy


8. Hamburgerphobia


9. From The Swamp


10. Seagirl


11. Our Vacuum


12. Space Heavy


13. When Vanishing


14. If Only It Was Warmth


15. Wednesday Overcast

 

©︎Shervin Lainez


マサチューセッツのインディーロックバンド、Speedy Ortiz(スピーディ・オーティズ)が5年ぶりのニューシングルで復帰を果たした。ニューシングルは「Scabs」と題され、Illuminati HottiesのSarah Tudzinがバックボーカルを務め、共同プロデュースも担当しています。


「Scabs」は、シンガー・ソングライターのSadie DupuisとギタリストのAndy Molholtと共にフルタイム・メンバーとして加入した、長年のツアー・ベーシストAudrey Zee WhitesidesとドラマーJoey Doubekをフィーチャーした楽曲です。


「先進的な都市に住み、アートに携わる仕事をしていると、素晴らしい組織作りをする仲間に出会います」とDupuisはこの曲について語っている。

 

そして、庭の看板だけで "善良な "政治を示す隣人もいる。私は郵便局に並んでいるときに、お客さんがUSPSの職員を非難しているのを聞きながら、『Scabs』を書きました。

 

郵便組合が反対する予算削減など、郵便配達員にとって大きな問題があり、それが大きく報道されていた時期でした。必要不可欠な労働者への支持を宣伝する人々は、個人的な不都合に直面すると逆に行動した。この曲は、個人の利益のためにピケットラインを越えることにとやかく言わない、自称倫理主義者についてより広く知られるようになった。


Speedy Ortizの最新アルバムは2018年の『Twerp Verse』。2020年、デュプイはSad13としてアルバム『Haunted Painting』を発表した。

 

「Scabs」

 

©Hilla Eden


ザ・レモン・ツイッグスは、近日発売予定のアルバム『Everything Harmony』からの新たなシングルを発表しました。

 

「Every Day Is the Worst Day of My Life」は、これまでの「In My Head」「Any Time of Day」「Corner of My Eye」に続く作品です。Hilla Edenがこの曲の付属ビデオを撮影。

 

ニュー・アルバムはマンハッタン、ブルックリン、サンフランシスコのハイド・ストリート・スタジオで作曲/録音/制作/エンジニアリングを全てバンドが行った。

 

The Lemon Twigsの『Everything Harmony』は5月5日にCaptured Tracksからリリースされる予定です。

 

 

「Every Day Is the Worst Day of My Life」

 

©Dominik Freiss

ニューヨークのインディーポップバンド、Nation of Languageが次作アルバムを発表しました。『Strange Disciple』は9月15日に[PIAS]からリリースされます。

 

この発表は、前作「Sole Obsession」に続くニューシングル「Weak in Your Light」のリリースと同時に行われている。リードシンガーのIan Devaneyは、ニューシングルについて「一番感じるのは、何かや誰かに絶望的に献身していると感じる時だ」とコメントしています。

 

プロデューサーのNick MillhiserとレコーディングしたStrange Discipleは、ブルックリンのバンドの2021年のLP A Way Forwardに続く作品となります。 

 

 「Weak In Your Light」


ニューヨーク、ブルックリンを拠点とするシンセ・ポップ・トリオ、Nation of Languageは、9月15日にニューアルバム『Strange Disciple』を[PIAS]からリリースしますが、そのアルバムからの新曲「Stumbling Still」を公開しました。以下よりお聴きください。


3月、Nation of Languageはアルバムのファーストシングル「Sole Obsession」を公開し、アルバムのタイトルと新しいツアー日程も発表しました。そして、Strange Discipleが正式に発表されたとき、アルバムのオープニング曲「Weak In Your Light」を公開しました。


バンドはIan Devaney、Aidan Noell、Alex MacKayの3人です。Nick Millhiser (Holy Ghost!, LCD Soundsystem)がプロデュースしたアルバムは、ブルックリンでレコーディングされました。2021年の『A Way Forward』、2020年の『Introduction, Presence』に続く作品となる。



Nation Of Language 『Strange Disciple』



Label: [PIAS]

Release: 2023/9/15

 

 Tracklist:


1. Weak In Your Light


2. Sole Obsession


3. Surely I Can’t Wait


4. Swimming in the Shallow Sea


5. Too Much, Enough


6. Spare Me the Decision


7. Sightseer
8. Stumbling Still


9. A New Goodbye


10. I Will Never Learn