特に今作『Cave Dog』のオープニングを飾る「Vardo」では、従来のクラークの複数作品よりもはるかに強いキックが出ており、そこに新たに複数のボーカルが加わることで、ユーロビートのような乗りやすさ、つまりコアなグルーブを付与している。アウトロの静謐なピアノも余韻十分で、「Playground In a Lake」でのモダン・クラシカルへの挑戦が次の展開に繋がったとも解せる。
「Vardo」
今一つ着目すべき点は、クラークがシンセサイザーの音色の聴覚的なユニークさをトラックの中に音階的に組み込んでいること。二曲目「Silver Pet Crank」では、ミニマル・テクノの中に音階構造をもたらし、その中にトム・ヨークのボーカル・トラックを組み込んでいる。わけても興味を惹かれるのは、ヨークのメインプロジェクト、The Smile、Radioheadでは、彼の声はどうしてもシリアスに聞こえてしまうが、CLARKの作品の中に組み込まれると、意外にもユニークな印象に変化する。これは旧来のトム・ヨークのファンにとって「目から鱗」とも称すべき現象だ。
「Domes of Pearl」については、レトロな音色を使用し、エレクトロニックのビートの未知の魅力に焦点を当てようとしている。テック・ハウスをベースにして、その上にチップ・チューンの影響を交え、ファミリー・コンピューターのゲーム音楽のようなユニークさを追求している。Aphex Twinが使用するような音色を駆使し、ベースラインのような変則的なビートを作り上げていく。この曲は「Ted」をレトロにした感じで、プロデューサーの遊び心が凝縮されている。
続く、「Doamz Ov Pirl」は、クラークの代名詞的なサウンド、アシッド・ハウスの作風をもとにして、そこにボーカル・トラックを加えることで、どのような音楽上のイノベーションがもたらせるかという試行錯誤でもある。実際、前作アルバム『Sus Dog』よりもボーカル曲として洗練されたような印象を受ける。前曲と同じように、別のジャンルの音楽からの影響があり、それはアシッド・ジャズからラップのドリルに至るまで、新奇なリズムを追求していることが分かる。ボーカルやコーラスの部分に関しては、ブラジル音楽からの影響があるように思える。これが奇妙な清涼感をもたらしている。何より聴いていると、気分が爽やかになる一曲だ。
ここまでをアルバムの前半部としておくと、後半部の導入となる「Unladder」は、『Playground In A Lake』における映画音楽やモダン・クラシカルへの挑戦が次なる形になった瞬間と呼べるだろう。ピアノの演奏をモチーフにした「Unladder」は骨休みのような意味があり、重要なポイントを形成している。ピアノ曲という側面では、Aphex Twinの「April 15th」を彷彿とさせるが、この曲はエレクトロニックの範疇にあるというよりも、ポスト・クラシカルに属している。エレクトロニックの高揚感や多幸感とは対極にあるサイレンスの美しさを凝縮した曲である。制作者は、現行のポスト・クラシカルの曲と同様、ハンマーに深いリバーブを掛け、叙情的な空気感を生み出す。中盤からアウトロにかけての余韻については静かに耳を傾けたくなる。
続く、「Oblivious/Portal」に関しては、『Playground In A Lake』を制作しなければ作り得なかった形式と言える。オーケストラ・ストリングスをドローン音楽として処理し、前衛的な作風を確立している。壮大なハリウッド映画のようなシネマティックな音像はもちろん、作曲家としての傑出した才覚を窺い知れる曲である。アンビエント/ドローンという二つの音楽技法を通して、ベテラン・プロデューサーは音楽により、見事なサウンドスケープの変遷を描いている。中盤からクライマックスにかけての鋭い音像の変化がどのような結末を迎えるのかに注目したい。
11月29日水曜日、スポティファイは、テイラー・スウィフトが2022年のアルバム『Midnights』、2023年の再リリース『Speak Now (Taylor's Version)』と『1989 (Taylor's Version)』、そして現在進行中の "Eras Tour "のリリースの影響もあってか、1年間で261億ストリーミングを記録したと発表した。2022年、バッド・バニーがそれまでの年間最多ストリーミング記録を塗り替えたが、彼のストリーミング数は約185億に過ぎなかった。
米国のシンガーソングライター、Noah Kahan(ノラ・カハン)は昨夜(12月2日)、サタデー・ナイト・ライブに出演し、サード・アルバム『Stick Season (We'll All Be Here Forever)』から「Dial Drunk」と「Stick Season」を披露した。パフォーマンスのリプレイは以下から。
オープニングを飾る「Say It and Mean It」は、このポップ・アルバムの壮大な序曲ともいえ、ボレロのような形式で、ひとつずつ各楽器のパートが代わる代わる登場し、アルバム全体の器楽的な種明かしをするかのようである。ルーシー・ブルー自身によるエレアコギターのささやかな弾き語りという形で始まり、シンセの付属的なアルペジエーターが加わる。さらに、その後、ルーシー・ブルーのボーカルが載せられたとたん、曲の雰囲気がガラリと一変するのが分かる。
二曲目の「I Left My Heart」に、シンガーソングライターのダブリンに対する淡い郷愁が込められていたとしてもそれほど驚きはない。この曲はまた、「十代の頃の自分に対する書かれることがなかったラブレター」と称してもそれほど違和感がない。少なくとも、ケルティックのフォーク・ミュージックの音楽性に根ざしたこの曲は、モダンなベッドルーム・ポップのサウンドプロダクションの指向性を選ぶことにより、シンガーと同世代のリスナーの心を見事に捉え、共感性を呼び覚ます。ウィスパーボイスに近いスモーキーな発声を用い、アコースティック・ギターに対するボーカルラインに切なさをもたらす。
その後も曲のイメージは緩やかに変化していき、「Do Nothing」では、ベッドルームポップの音楽性に回帰する。このジャンルの最も重要な点をあげるとすれば、それはソロアーティストがホームレコーディングを主体とするプロダクションの中で、キュートさやスマートさを重視していりというポイントにある。その点、ルーシー・ブルーは、ClairoやGirl In Red、Holly Humberstoneといったこのジャンルの主要なアーティストと同じように、2020年代のメインストリームにある音楽性の核心を端的に捉えた上で、それを同年代のそれほど詳しくない音楽ファンや、彼女の年代とは離れた年代にも自らの理想とする音楽をわかりやすく示そうとしている。
def.fo (a project by Tom Powell) announces its new single "Autumn Leaves". This is the latest single from the artist who crosses over rap, funk, and pop music, following "Godly".
Autumn Leaves" is a soulful, breezy pop-folk masterpiece. Carefully crafted, the song offers comfort and reassurance to both the creator and the listener. Glistening like frost in the sun, the introspective lyrics weave a warm blanket of hope, reminding us that adversity can be overcome and that even in the darkest of times, brighter days will surely come. Spring will always come. Let us embark on a journey to reflect wholeheartedly on the ever-changing seasons of life.
Tom Powell (Michael Head and the Red Elastic Band) provides vocals, guitar, and bass on this song. Alongside him are respected musicians Phil Murphy (Michael Head and the Red Elastic Band, Bill Ryder Jones) on drums and Chris Geddes (Belle and Sebastian) on keys, all contributing to the song's dynamic depth.
Production is a seamless collaboration between Tom Powell and Steve Powell (The Strands, John Power, The Stairs), resulting in an emotional and reassuring soundscape. Mixed by Roy Merchant (Omar, M.I.A., Ixample), mastering engineer Howie Weinberg (Jeff Buckley, PJ Harvey, Sheryl Crow) adds his magical touch.
The new single "Autumn Leaves" is released by December 1, 2023 and is the final single from def.fo's EP "Eternity". Pre-order the album here.
「Autumn Leaves」
Hollu Humberstone(ホリー・ハンバーストーン)がMUNAと組み、「Into Your Room」の新バージョンを発表した。ハンバーストーンは先日、「Elvis Impersonators」のミュージックビデオの撮影のため来日し、東京でカラオケを楽しんだ。彼女の妹は東京に住んでいるという。
オリジナルは10月にリリースされた彼女のデビュー・アルバム『Paint My Bedroom Black』に収録されており、来春にはUKツアーを行う予定。
1. Hot For Preacher 2. Meet Me 3. Versions Of You 4. Bad Time 5. Scars 6. Break 7. Shake With Me 8. Blood, Hair And Eyeballs 9. Hinterlude 10. Broken Down In A Time Machine 11. Teenage Heart
Lana De ReyがJohn Denver(ジョン・デンバー)の「Take Me Home, Country Roads」のカヴァーを公開した。彼女の演奏は、頻繁にコラボレートしているザック・ドーズによってプロデュースされた。試聴は以下からどうぞ。
1976年、マガウアンは最初のバンド、ニップル・エレクターズに加入した。ベーシストのシャンヌ・ブラッドリーによって結成されたシンガーのマクガワンとドラマーのエイドリアン・フォックスは、1978年にシングル「King of the Bop」/「Nervous Wreck」をリリースした後、ザ・ニップスに改名。同じ頃、マクガワンはブリキ笛奏者のピーター・"スパイダー"・ステイシーとバンジョー奏者のジェム・ファイナーに出会い、彼らは別のバンド、ミルウォール・チェインソーズを結成した。
Pogues
ポーグスは1982年、アコーディオン奏者のジェイムズ・フィアンリーがマガウアン、ステイシー、ファイナーに加わり、ポーグ・マホーンとして正式にスタートした。パンク・ロックの常套手段である政治的エートス、そしてマクゴーワンの象徴的な歌い方と、シンガーのアイルランドの血を引く音楽を組み合わせたポーグスは、ケルティック・パンクとして知られるようになった。ベーシストのケイト・オリオーダンとドラマーのアンドリュー・ランケンを加えたバンドは、1984年に最初のシングル「Dark Streets of London」をリリース。
ザ・クラッシュのツアーのオープニングを務めた後、ザ・ポーグスはスティッフ・レコードの目に留まる。同レーベルは1984年10月にデビュー・アルバム『Stiff Roses for Me』をリリース。エルヴィス・コステロがプロデュースした『Rum Sodomy & the Lash』は1985年にリリースされ、「Dirty Old Town」、「Sally MacLennane」、「A Rainy Night in Soho」といった曲が収録されている。
ポーグスは『Rum Sodomy & the Lash』のリリース後に崩壊し始め、特にマクゴーワンの薬物使用の増加が原因だった。彼らのサード・アルバム『If I Should Fall from Grace with God』は1988年にリリースされ、カースティ・マッコールとのクリスマス・デュエット曲「Fairytale of New York」が最大のヒットとなった。この曲はイギリスのホリデー・クラシックとなった。
claquepotが12月20日に二枚組アルバム『recuitment』をリリースする。claquepotは、昨年12月にアルバム「the test」を発表し、大阪と横浜で開催したZeppツアーも大盛況を博した。新作アルバム『recuitment』には、宮川大聖、Aile The Shotaがゲストとして参加している。収録曲、アートワークを下記よりご覧下さい。
本作には、デジタルリリースされた「space feat. 竹内アンナ」、「detox」、「ターコイズ・ドリップ」を含む、アーバンなチルアウトR&Bを中心とする楽曲を収録。タイトル曲「リクルートメント」、宮川大聖をフィーチャーした「ドゥーム・スクロール」、Aile The Shotaをフィーチャーした「メロー・イエロー」を含む、全7曲収録のEPに加え、今年1月に開催された神奈川公演「claquepot live tour2023 -the test-」のライブを収録した、全17曲入りの2CD仕様となる。