8月にリリースされた『Niger EP Vol.1』に続く6曲入りのこの新作は、Moctarのディスコグラフィーから、彼の故郷ニジェールでのライブと別バージョンの楽曲を収録しています。この最新EPのデジタル・リリースに続き、Niger EPシリーズの両作品が3月10日に限定ヴァイナルでリリースされることも決定しています。
Niger EP Vol.2』に収録される楽曲の中には、2019年の『Blue Stage Session』に収録された「Ibitilan」の新しいライヴ・ヴァージョンが含まれている。この曲について、Moctarのプロデューサー兼ベース・プレイヤーは次のように語っている。
最初の先行シングル「There’d Better Be A Mirrorball」は、アルバムの中で最も説得力のある楽曲に挙げられる。アナログテープの逆再生の手法を交え、クラシカルなロックと古典的なR&Bの中間にあるポイントを探っているように見受けられる。この新たなポイントに加え、アークティックの最初期の名曲「Only Ones Who Know」を彷彿とさせる内省的なロマンチシズムが漂う。その他、この曲と同系統に当たる「Body Paint」もまた、アレックス・ターナーのボーカリストとしての円熟味を感じさせるバラードソングとして十分に楽しんでいただけると思われます。
これらの最初期のガレージロックバンドとしての性質の中に隠れていた要素、実はこのバンドの最も重要な性質でもあるソウル・バラードをアルバムの全体像として捉えることも出来るのですが、その他にも、表題曲の「The Car」では、近年の『AM』『Tranquility Base Hotel & Casino』の音楽性の延長線上にあるゴージャスな雰囲気を持ったR&Bソングに、ダンスホール時代のソウル・ミュージック、ファンク、はては、フランスのゲンスブールのようなイエイエの時代のダンディズムを加えた、玄人好みの音楽観を感じさせる。それらが、ピアノ、ギター、ベース、ストリングスを交えて、多角的なアプローチに取り組んでいる。これはありえないことではあるものの、音楽から、往古の時代の芳醇なノスタルジアが匂い立つように感じられる。映画音楽、また、古い時代への温かなロマンチズムやノスタルジア、つまり、それこそ、アレックス・ターナーがこの最新作『The Car』で描きたかった表現性なのかもしれません。
2018年の『Tranquility Base Hotel & Casino』に続く『Car』には、以前シェアされたシングル「There'd Better Be a Mirrorball」と「Body Paint」が収録されている。
The 1975 「Being Funny In A Foreign Language」
Label: Dirty Hit
Release: 2022年10月14日
Review
マンチェスターのロックバンド、The 1975の「Being Funny In A Foreign Language」のレビューをお届けします。
The 1975は多くの人が知っている通り、英国内では、賛否両論あるロックバンドです。レディングのヘッドライナーを務めたときも、批判もあった。彼らのロックは親しみやすいものであるとともに、また消費的な商業音楽でもあり、その点が意見が左右される場合があるのでしょう。しかし、この点は、例えば、日本国内でのこのバンドの評価を見た際に、洋楽初心者と、比較的、洋楽に慣れ親しんだリスナーとの間で評価が二分されることも事実かもしれません。しかし、間違いなく、The 1975のライブパフォーマンスは、世界的に見ても随一のクオリティーであり、フロントマンのマッティー・ヒーリーも、ロックバンドのフロントマンとしては世界的に見ても秀でた歌唱力を持っている、そのことはまず認めておかなければなりません。
ダーティー・ヒットからの最新作「Being Funny In A Foreign Language」は、マッティー・ヒーリーが、「外国語で人を笑わせることが出来たら、どれほど世界が朗らかになるだろう?」というアーティストなりの提言となっている。そして、アルバムのアートワークに関しても、モノトーンに映された写真で車の上に乗っているのは、他でもないマッティー・ヒーリー本人で、これは2013年に発表された「Music For Cars EP」時代のThe 1975のイメージからの脱却という意味、暗示が込められている。この2013年の自分たちの古びたイメージとの決別を告げている(古い自分たちを乗り越えよう)という表明と捉えることも出来るわけです。
しかし、興味深いことに、最新作「Being Funny In A Foreign Language」は、彼らの次なる段階への進歩を示しつつ、原点回帰を図ったアルバムに位置づけられるかもしれません。2018年の「Brief Inquiry Into Online Relationship」ではエレクトロの影響が色濃かったものの、今作では一転、クラシカルなロックのスタイルに方向転換を図っている。それは、普遍的なロックバンドへの歩みを進めつつある過程ともいえ、それらの苦心の跡もアルバムには感じられる。
全体的には、アルバムのハイライトで、サマーソニックで初披露された「I'm In Love With You」を始めとする1980年代のディスコ時代のポップス、そして、ダリル・ホール&ジョン・オーツのソフト・ロックを融合させたようなサウンドで、口当たりはよく、それほど洋楽に詳しくないという方でも入りやすさがあるように思われる。さらに、以前に比べて、バリエーションを持たせるべく、バンドは苦心しており、サックスを取り入れたこれらのダンサンブルなロック/ポップスの中に、これまでのアルバムのオープニングと同タイトルである、お馴染みの「The 1975」では、ボン・イヴェールを思わせる実験音楽とポップスの融合を試みていたり、さらには、R&Bの全盛期を思わせる「All I Need To Hear」といったトラックでは、まさにマッティー・ヒーリーのソングライティングの核心とも言える、しっとりとしたバラードソングも聴くことが出来ます
「Being Funny In A Foreign Language」は、多くの人の心を捉えるような出来となっており、クオリティーも軒並み高い。そして、アリーナクラスの楽曲が勢揃いしていて、何より多くのリスナーの共感を得そうな雰囲気もあるため、洋楽の入門編としては、これ以上のアルバムは存在しない。しかし、ひとつだけ、このアルバムの難点を挙げるとするなら、これらの楽曲は、とっつきやすさがあるのと同時に飽きやすさがあるという点でしょう。実はバンドは、そのことを前作ですでに把握していて、そういったこのバンドイメージにまつわる軽さを払拭しようと苦心し、ロックバンドの経験を踏まえ、円熟味や深みを追求したのが、「All I Nerd To Hear」「About You」あたりの楽曲ではないだろうかと思われます。
昨年のデビュー作「It Won't Always Be Like This」に続くこの2ndアルバムでの先行シングルとして「Love Will Get You There」を公開している。下記よりご試聴下さい。
Inhaler 「Cuts & Bruises」
Label: Polydor
Release: 2023年2月17日
Tracklist:
1. Just To Keep You Satisfied 2. Love Will Get You There 3. So Far, So Good 4. These Are The Days 5. If You’re Gonna Break My Heart 6. Perfect Storm 7. Dublin In Ecstasy 8. When I Have Her On My Mind 9. Valentine 10. The Things I Do 11. Now You Got Me
今年初めにリリースされたアルバム「C'mon You Know」に続き、リアム・ギャラガーが男性のメンタルヘルスにおけるチャリティ団体”Talk Club”とタッグを組み、「Too Good For Giving Up」のPVを制作している。
「私たちは、皆、自殺の影響を受けた人を知っています。悲しいことに、自殺は過去最高になりつつあるようです」リアム・ギャラガーは説明する。「私は、あまりにも早く、多くの人を失ってしまったので、何らかの話をすることは重要です。この曲で少しでも力になれることを本当に嬉しく思っていますし、僕の曲『Too Good For Giving Up』LG xでTalk Clubと組む予定です」
ファースト・シングルは「Keep On Dreamin」、Robert "Roboshobo" Schoberとビジュアル・アーティスト、El Omsが手がけたアニメーション・ビデオと共に到着した。下記よりご覧ください。
Electrophonic Chronicは、ナッシュビルのアウアーバッハのEasy Eye SoundスタジオとニューヨークのElectric Lady and the Diamond Mindで録音され、アウアーバック、レオン・ミケルス、ニック・モブション、ホーマー・スタインワイス、故リチャード・スウィフトのバンドのオリジナルラインナップをフィーチャーしている。アウアーバッハとミケルスが共同プロデュースしたこのアルバムは、そのほとんどが2018年にリチャードが亡くなる前にレコーディングされたものだそうです。
イギリスのロック・トリオ、Tigercubが、Pearl JamのギタリストであるStone Gossardが主宰するレーベル”Loosegroove”から初の楽曲となるシングル "The Perfume of Decay" をリリースしました。このトラックは、来年、Loosegrooveから発売となるフルアルバムに収録される予定です。
”The Perfume of Decay "は、Queens Of The Stone AgeやMuseのファンにはたまらないヘヴィーなサウンドで、フロントマンのJamie Hallは「僕らの新しい時代の始まりだよ。これはTigercubの中で最もヘヴィであり、最も完成度が高く、最も無表情なものだ」と説明している。
「この曲は、インターネットやソーシャルメディア、あるいは、ホールが言うところの”毎日自分の社会的履歴書を修正し、自分の人生を可能な限りバラ色に、そして、不可解な方法で他人に描写しなければならない公開台帳”の遍在をテーマにしている。もちろん、現実はこれ以上ないほど真実だ。この仮面の下で、私は崩れ、絶望に落ち、自分の感情と対立しているのだ。”The Perfume of Decay”は、この感情を表現したもので、気取った感じと自然体の間の議論である」