Geeseはニューヨークのベースメントでセッションを始めたところから始まった。バンドはハイスクールの放課後に活動するバンドとして以後活躍している。ハドソンは結成当初から在籍しており、2021年のデビューアルバム『Projector』、及び、今年初めにリリースされた『3D Country』でギターを演奏している。バンドはその後、『4D Country EP』を発表している。
ギタリスト、ハドソンの脱退を発表したものの、Geeseは今後も活動を続ける予定だ。来年の秋には、オーストラリアのKing Gizzard & Lizard Wizzardのツアーサポートを務める他、5月には、Nation Of Language、Indigo De Souza、Thus Loveなどが出演する「Field Day Rocks」でライブアクトを行う。
パラモアがソーシャルメディアのプロフィールを消去し、公式ウェブサイトも閉鎖した。このことに様々な憶測が流れている。今年リリースされた6枚目のスタジオ作『This Is Why』の後、パラモアはアトランティック・レコードとの契約が終了している。直近のUproxxとのインタビューでは、このアルバムが彼らの最後のアルバムになる可能性を明らかに示唆しているようだった。
パラモアは『THIS IS WHY』のリリースツアーに1年を費やした。これで彼らはレーベルの契約における義務をすべて果たし、事実上フリーエージェントとなった。パラモアの将来については、3人のメンバー全員が "不確実性がある "と同意している。
香港にルーツを持つイギリスのシンガー、mui zyuは他の移民と同じように、当初、自らの中国のルーツに違和感を覚え、それを恥ずかしいものとさえ捉えていた。ところが、ミュージシャンとしての道を歩み始めると、それらのルーツはむしろ誇るべきものと変化し、また音楽的な興味の源泉ともなったのだった。今年、Mui ZyuはFather/Daughterと契約を交わし、記念すべきアーティストのデビューフルレングス『Rotten Bun For An Eggless Century』(Reviewを読む)を発表した。
デビューアルバム『Follow the Cyborg』(Reviewを読む)をMuteから発表。『Follow the Cyborg』でソーンは、機械が、その無力な起源から自覚と解放へと向かう過程を追求している。この作品は、エレクトロニックな実験と刺激的なエレキギターが織り成す音の世界を表現している。ピッチフォークが評したように、「ミス・グリットは、彼女の曲を整然とした予測可能な形に詰め込むことを拒み、その代わりに、のびのびと裂けるように聴かせる」
ミス・グリッツがサイボーグの人生についてのアルバムを構想するきっかけとなったのは、このような機械的な存在のあり方に対する自身の関わりからきている。混血、ノンバイナリーであるソーンは、外界から押しつけられるアイデンティティの限界を頑なに拒否し、流動的で複雑な自己理解を受け入れてきた。ローリング・ストーン誌に「独創的で鋭いシンガー・ソングライター」と賞賛されたMiss Gritのプロセスは内省的で、ビジョンは正確である。ミス・グリッドは、サイボーグの人生を探求する中で、『her 世界でひとつの彼女』、『エクス・マキナ』、『攻殻機動隊』、ジア・トレンティーノのエッセイ(『Trick Mirror: Reflections on Self-Delusion』より)、ドナ・ホロウェイの『A Cyborg Manifesto』などに触発を受けている。
『With A Hammer』は、コロナウィルスの大流行による閉鎖期間中に、ニューヨーク、ソウル、ロンドンで2年間にわたって制作された。これは、アーティストの自己探求への日記的な頌歌であり、自分自身の感情と向き合う感覚、勇気を出してそうすることで可能になる変化である。
この場合、Yaejiは、怒りと自分の関係を検証している。これまでの作品とは一線を画している。トリップホップやロックの要素と、慣れ親しんだハウスの影響を受けたスタイルを融合させ、英語と韓国語の両方で、ダークで内省的な歌詞のテーマを扱っている。ヤエジはこのアルバムで初めて生楽器を使用し、生演奏のミュージシャンによるパッチワークのようなアンサンブルを織り交ぜ、彼女自身のギター演奏も取り入れる。「With A Hammer』では、エレクトロニック・プロデューサー、親しいコラボレーターでもあるK WataとEnayetをフィーチャーし、ロンドンのLoraine JamesとボルチモアのNourished by Timeがゲスト・ヴォーカルとして参加している。
アレサ・フランクリン、エラ・フィッツジェラルドとも共演してきたカナダ人トランペット奏者/作曲家/エンジニアのチャーリー・グレイを父に持ち、カナダの音楽学校「Discovery Through the Arts」を設立したマドカ・ムラタを母にもつ音楽一家に育ち、幼い頃から兄のルシアン・グレイとさまざまな楽器を習得した。グレーは10代の頃にバンド活動を始め、ジャマイカのペンテコステ教会でセッションに明け暮れた。その後、ベーシストとして世界中をツアーで回るようになり、ダニエル・シーザーやウィロー・スミスの音楽監督も務めている。
テイラー・ホーキンスの亡き後も、結局、フー・ファイターズは前進を止めることはなかった。『But Here We Are』は表向きにはそのことは示されていないが、暗示的にホーキンスの追悼の意味が込められている収録曲もある。グランジの後の時代にヘヴィーなロック・バンドというテーゼを引っ提げて走りつづけてきたデイヴ・グロール率いるフー・ファイターズであるが、新作アルバムではアメリカン・ロックの精髄に迫ろうとしている。更にこれまで表向きには示されてこなったバンドの音楽のナイーブな一面をスタンダードなロックサウンドから読み取る事もできる。
『This Is Why』は現代社会についてセンセーショナルに書かれた曲が多い。タイトル曲では、インターネット/ソーシャルメディア文化の息苦しさや、公然と浴びせられる中傷について嘆きながら、苛立ちの声を上げ、「意見があるならそれを押し通すべき」と歌う。ウィリアムズの怒りと苛立ちを表現したこの曲は、Paramoreの先行アルバム『After Laughter』のダンス・ファンクにエッジを加えることに成功し、多くの人の共感を呼ぶ内容となっている。ドラマーのザックは世界的に見ても傑出した演奏者であり、彼のもたらす強固なグルーブも聴き逃がせない。
スウェーデンは90年代後半、ガレージロックやパンクが盛んであった時期があり、Backyard Babies、Hellacoptersと、かっこいいバンドが数多く活躍していた。しかし、最も人気を博したのは、ガレージ・ロックのリバイバルを合間を縫って台頭したHivesだ。デビュー当時の代表曲「Hate To Say I Told You So」はロックのスタンダード・ナンバーとして今なお鮮烈な印象を放っている。
『The Death of Randy Fitzsimmons』はコンセプチュアルな意味が込められ、さらにドラマ仕立てのジョークが込められている。なんでも、ハイヴズの曲は「ランディ・フィッツシモンズ」という謎のスヴェンガリによって書かれたと長い間言われてきたというが、一度も一般人の目に触れることはなかった。そして、つい最近になって、フィッツシモンズが
"死んだ"らしく、ハイブスは彼の墓を探し回っていたところ、偶然にもデモ音源を発見し、『ランディ・フィッツシモンズの死』というタイトルにふさわしいアルバムに仕上げた(と言う設定となっている)。
オリジナル・アルバムとしては2015年以来となるブラーの『The Ballard Of Darren』。デーモン・アルバーンはこのアルバムに関して最善は尽くしたものの、現在はあまり聴いていないと明かしている。どちらかといえば、先鋭的な音楽性という面では、グラハム・コクソンの新プロジェクト、The Waeveのセルフタイトル(Reviewを読む)の方に軍配が上がったという印象もある。もちろん、音楽は優劣や相対的な評価で聴くものではないのだけれど。
ストーナーロックの元祖、砂漠の大音量のロックとも称されるKyussの主要なメンバーであるジョッシュ・オムを中心とするQOTSA。すでに多くのヒット・ソングを持ち、そのなかには「No One Knows」、「Feel Good Hit Of The Summer」など、ロックソングとして後世に語り継がれるであろう曲がある。2017年の『Villains』に続く最新アルバム『In Times New Roman...』はジョッシュ・オムの癌の闘病中に書かれ、ロックバンドの苦闘の過程を描いている。現在、オムの手術は成功したようで、ファンとしては胸をなでおろしていることだろう。
これまでは長らく「音楽」という形式がポリー・ジーン・ハーヴェイの人生の中心にあったものと思われるが、それが近年では、ウィリアム・ブレイクのように、複数の芸術表現を探求するうち、音楽という形式が人生の中心から遠ざかりつつあるとPJ ハーヴェイは考えていたらしい。しかし、音楽というものがいまだにアーティストにとっては重要な意味を持つということが、『I Inside The Old Year Dying』を聴くと痛感出来る。一見すると遠回りにも思え、ばらばらに散在するとしか思えなかった点は、このアルバムで一つの線を描きつつある。
そして、産業ロックに近い音楽性もありながら、その中にはキース・リチャーズのブギーやブルース・ロックを基調とする渋いロック性も含まれている。そして最初期からそうであったように、フォークやカントリーの影響を込めた楽曲も「Depends On You」「Dream Skies」に見出すことも出来る。そして、「Jamping Jack Flash」の時代のアグレシッヴなロック性も「Bite My head Off」で堪能出来る。他にもダンスロック時代の余韻を留める「Mess It Up」も要チェックだ。
Best Track 「Whole Wide World」
Noel Gallagher’s High Flying Birds 『Council Skies』
「Love
Is a Rich Man」ではスタンダードなロックの核心に迫り、Sladeの「Com On The Feel The
Noise」(以前、オアシスとしてもカバーしている)グリッターロックの要素を交え、ポピュラー音楽の理想的な形を示そうとしている。ロックはテクニックを必要とせず、純粋に叫びさえすれば良いということは、スレイドの名曲のカバーを見ると分かるが、ノエル・ギャラガーはロックの本質を示そうとしているのかもしれない。
「Think
Of A Number」では渋みのある硬派なアーティストとしての矜持を示した上で、アルバムのクライマックスを飾る「We're Gonna
Get There In The
End」は、ホーンセクションを交えた陽気で晴れやかでダイナミックな曲調で締めくくられる。そこには新しい音楽の形式を示しながら、アーティストが登場したブリット・ポップの時代に対する憧れも感じ取ることも出来る。
今年7月に発売された『A New Reality Mind』の再録アルバム『The Same Again: ANRM(Tiny Telephone Session)』は、シンガーソングライターの音楽の本質的な魅力に迫るのに最適な一枚。本作は最新作をオープンのアップライト・ピアノを中心に再録したもので、オークランドのタイニー・テレフォンでわずか一日で録音された。
最新アルバムでは、ハイパーポップやエクスペリメンタルポップを中心とする前衛的なポップスを展開し、ポピュラー・ミュージックの新しいスタイルに挑戦していたが、それらの表向きの印象は、この再録アルバムで良い意味で裏切られることになる。彼女は、あらためてSSWとしてのメロディーセンスや歌唱力をレコーディングのプロセスを通じてリアルに体現しようとしている。『A New Reality Mind』においてマデライン・ケリーは、受け入れ、自己を許し、前に進もうとする意思によるプロセスを示しているが、今回の再録アルバムにおいては、バラードというスタイルを選ぶことによって、最新作の持つ潜在的な側面に焦点を絞ろうとしている。
同じように、最新アルバムの主要曲だった「I Draw The Line」についても、マックス・リヒターの曲を思わせる気品溢れるコンテンポラリークラシックの要素を付加することにより、涼やかな感覚を引き出そうとしている。しかし、ピアノの旋律に乗せられるマデラインのボーカルは、スタンダードなジャズを意識しているように思われる。そして、ミニリズムに即したピアノの楽節は装飾音的な音階の変化を加え、和音そのものを移行させる。その上で、ケニーのボーカルもピアノの演奏に呼応するかのように、歌うフレーズや叙情的な感覚をその中で変化させていく。
そして、最も注目すべきは、「The Same Thing」におけるアメリカーナ、ジャズの要素を交えたクラシカルなポピュラーミュージックのスタイルにある。例えば、Angel Olsen(エンジェル・オルセン)の歌声にも比するフォーキーなノスタルジアと深い情感を体感出来る。この曲において、マデライン・ケリーは、ささやくような歌声を駆使しながら、シンガーとしての渋さを追求している。もちろん、その後、この曲はピアノの流麗な演奏を介して、ダイナミックな変遷を辿り、最終的には、抑揚や起伏を持つポピュラーソングへの流れを形作っていく。曲の中で、なだらかなストーリー性を設けるようなボーカルの表現力については圧巻というより他ない。
2023年度のエレクトロニック・シーンの話題の中で、最も注目すべきは、イギリスのエイフェックス・ツインがライブに復帰し、そして新作EP『Blackbox Lif Recorder 21F/In a Room7 F760 』をリリースしたことに尽きる。
フレッシュな存在としては、ウェールズからはトム/ラッセル兄妹によるデュオ、Overmonoが台頭し、ニューヨークのシンセ・ポップ・デュオ、Water From Your Eyesが登場している。また中堅アーティストの活躍も目覚ましく、ジェイムス・ブレイクも最新作でネオソウルとヒップホップを絡めたエレクトロニックに挑戦している。さらに、アイルランドのロイシン・マーフィーもDJ/ボーカリストとしての才覚を発揮し、最新作で好調ぶりをみせている。
来年のグラミー賞にノミネートされている本作。ロンドンのプロデューサー/シンガーソングライターによる『Playing Robot Into Heaven』は、ネオソウル、ラップ、そしてエレクトロニックとアーティストの多彩な才覚が遺憾なく発揮された作品である。前作はボーカル曲の印象が強かったが、続く今作は、ダンス・ミュージックを基調としたポピュラー音楽へと舵取りを果たした。
しかし、その中にはアーティストが10代の頃からロンドンのクラブ・ミュージックに親しんでいたこともあり、グライム、ベースライン、ハウス、ノイズテクノなど多彩な手法が組み込まれている。これは制作者がライブセットを多分に意識したことから、こういった作風になったものと思われる。しかし、ボーカルトラックとしては、最初期から追求してきたネオソウルを下地にした「If You Can Hear Me」が傑出している。特に面白いと思ったのは、クローズ曲で、パイプオルガンのシンセ音色を使用したクラシカルとポップスの融合にチャレンジしている。これはBBCでもお馴染みのKit Downesの作風を意識しているように思える。意欲的な作品と言える。
アルバムの制作の前に、アーティストはペルーへの旅をしているが、こういったエキゾチックなサウンドスケープは、続く「Si Te Portas
Bonito」でも継続している。よりローエンドを押し出したベースラインの要素を付け加え、やはり4ビートのシンプルなハウスミュージックを起点としてエネルギーを上昇させていくような感じがある。さらにスペイン語/ポルトガル語で歌われるボーカルもリラックスした気分に浸らせてくれる。Kali Uchisのような艶やかさには欠けるかもしれないが、ソフィア・クルテシスのボーカルには、やはりリラックスした感じがある。やがて、イントロから中盤にかけ、ハウスやチルアウトと思われていたビートは、終盤にかけて心楽しいサンバ風のブラジリアン・ビートへと変遷をたどり、クルテシスのボーカルを上手くフォローしながら、そして彼女持つメロディーの美麗さを引き出していく。やがてバック・ビートはシンコペーションを駆使し裏拍を強調しながら、お祭り気分を演出する。もし旅行でブラジルを訪れ、サンバのお祭りをやっていたらと、そんな不思議な気分にひたらせてくれる。
Water From Your Eyes 『Everyone's Crushed』
2023年、ニューヨークのMatadorと契約を交わした通称「あなたの目から水」、Water From Your Eyesのネイサンとレイチェルは、二人とも輝かしい天才性に満ちあふれている。
『& the Charm』は、コアなDJとしての矜持がアルバムのいたるところに散りばめられている。テクノ、ディープハウス、オールド・スクールのUKエレクトロ、グライム、2Step、Dub Step、とフロアシーンで鳴らしてきた人物であるからこそ、バックトラックは単体で聴いたとしても高い完成度を誇っている。さらに、エマーソンの清涼感のあるボーカルは、彼女を単なるDJと見くびるリスナーの期待を良い意味で裏切るに違いあるまい。今回、アヴァン・ポップ界でその名をよく知られるブリオンをプロデューサーに起用したことからも、エマーソンがこのジャンルを志向した作曲を行おうとしたことは想像には難くない。何より、これらの曲は、踊りやすさと聞きやすいメロディーに裏打ちされポピュラーミュージックを志向していることが理解出来る。
フェイスモブは、彼のバンドと長年のプロデューサーであるマイク・ディーンと共に、「My Block」から「Smile」、ゲトー・ボーイズの「Mind Playing Tricks on Me」まで、6曲の名曲を披露した。彼は、ゲトー・ボーイズの同胞である故ブッシュウィック・ビルの名曲「Mind Playing Tricks Me」にオマージュを捧げた。フェイスの語り口と語り口も同様に痛烈であり、特に彼の代表作 "Mary Jane "など、ほとんどの曲を影響下でレコーディングしたことを口にしていた。
最近、フェイスはフェンダーとのインタビューで、ギターへの親しみを語った。「僕のおじさんたちはみんな左利きだったけど、ギターをひっくり返して右利きで弾いていたんだ。僕は弾き方を知らなかったから、ギターを逆さまにして弾いたんだ。だから、彼が作っていたコードは彼にとっては正しいんだけど、僕にとっては逆さまだった。何も知らなかったから、簡単だったんだと思う。初めてギターで覚えた曲は、テン・イヤーズ・アフターの「I'd Love to Change the World」だった。それからZZトップの「La Grange」を弾き始めた」