METZ


カナダ・トロントのパンクロックバンド、METZは、 2012年10月9日にリリースされたセルフタイトル・デビューアルバムの発売から10周年を記念して、デラックス・エクスパンデッド・バージョン『METZ (Deluxe Edition)』を10月6日にSub Pop Recordsからリリースしました。

 

『METZ (Deluxe Edition)』には、3曲のボーナストラックが追加収録されている。"Wet Blanket", "Wasted", "Get Off "は、バンドが、BBC Radio 1のMaida Vale Studiosで行ったライブセッションの録音となる。これは、Huw Stephensの番組で2013年にオンエアされたものです。


さらに、METZは、この記念すべき十周年のリリースに合わせて、メタリック箔にプリントされた24×36インチの10周年記念ポスター(ジェフ・クラインスミスのデザイン、リック・フロバーグの新しいイラストを使用、125枚限定)など、限定版のマーチャンダイズやバンドルも発表している。『Metz」のデラックス・エディションのアートワークと収録曲は下記にてご覧下さい。


10月下旬に、バンドは北米でのアニバーサリーツアーに出発し、カナダ唯一の公演地であるトロントでのライブを筆頭にツアーを開始する予定です。また、最近、IDLESのJoe Talbotと新曲「Come on Down」で共演しています。 

 

 

 

Metz 『Metz: Deluxe Edition


 

Label: Sub Pop

 

Release: 2022年10月6日


Tracklist:

 

1. Headache
2. Get Off
3. Sad Pricks
4. Rats
5. Knife in the Water
6. Nausea
7. Wet Blanket
8. Wasted
9. The Mule
10. Negative Space
11. Wet Blanket (BBC Maida Vale Session)
12. Wasted (BBC Maida Vale Session)
13. Get Off (BBC Maida Vale Session)

 

 

Official-order:


 



ロサンゼルスを拠点とするバンド、Militarie Gunが”Loma Vista Recordings”と契約を交わし、2021年にリリースされたEP『All Roads Lead to the Gun』のデラックス・エディションのリリースを発表しました。


10月20日にリリースされるデラックス・エディションには、既発されたオリジナルEPの4曲に加え、4曲の未発表曲が追加収録される予定です。

 

そのうちの1曲「Let Me Be Normal」は、フロントマンのIan Sheltonが監督、ギタリストのWilliam Acuñaがアニメーションを担当したビデオと同時公開されています。PVは下記よりご覧ください。







Militarie Gun 『All Roads Lead to the Gun (Deluxe)」
 





Tracklist:

1. Ain’t No Flowers
2. Don’t Pick Up The Phone
3. Fell On My Head
4. Stuck In A Spin
5. Big Disappointment
6. Disposable Plastic Trash
7. Background Kids
8. All Roads Lead To The Gun
9. Let Me Be Normal
10. Can’t Get None [feat. MSPAINT]
11. I Can’t Stand Busy People [feat. Woolworm]
12. Pull It Out [feat. Woolworm]


 Their / They're / Thereは、今年初めに2013年のEP以来、PacemakerとのスプリットEPで静かに復活を遂げている。以前、マイク・キンセラが在籍していたことで知られるシカゴのマスロックバンドです。

 

今回、T/T/Tは、エヴァンのStorm Chasers Ltdからポリビニールと提携し、初のフルアルバム『Their / Their're / Three』を10/21にリリースすると発表しました。現時点では、日本国内での販売が行われるかは未定。Storm Chasers Ltdの公式サイトから先行予約が可能となっております。


バンドのオリジナル・ドラマー、Mike Kinsella(マイク・キンセラ)の後任として、今回新たに、Jared Karns (Kiss Kiss, Hidden Hospitals, Djunah)を迎えてレコーディングが行われている。

 

新作アルバム『Their / Their're / Three』のファースト・シングルとして 、「Living Will Or Living Well」が公開されています。エヴァンの紛れもない叫びのメロディーと、マニアックなギター・ワークからは、T/T/Tの絶好調ぶりがうかがえる。このシングルは下記よりご試聴下さい。

 

 

 「Living Will Or Living Well」

 

 

 

 

Their / They're / There   『Their / Their're / Three』 

 



Tracklist:

 

 
A1: A Symphony Of Sparrows
A2: All In All We All
A3: A Patient (Cured) Is A Customer (Lost)
A4: Their / They're / Three
A5: Living Will Or Living Well
B1: Enemies Of Every Feather
B2: The Ultimate Ideas
B3: We're Moving Pictures
B4: A Kingdom Of (Y)our Own
B5: The Meaning & The Meadow 

 

©︎J Leiby

 フィラデルフィアのバンド、Gladieは、ニューアルバム『Don't Know What You're In Until You're Out』のリリースを発表しました。この新作は、11月18日にPlum Recordsから発売されます。

 

この発表と同時に、リード・シングル「Nothing」がリリースされています。下記よりチェックしてみて下さい。


バンドのフロントパーソン、元CayetanaのヴォーカリストAugusta Koch(オーガスタ・コッチ)は声明を通じて、ニューアルバムについて次のように語っている。


「この最初の曲を共有し、新譜『Don't Know What You're In Until You're Out』を発表することにとても興奮しています。私たちはこのレコードにしばらく取り組んできましたが、ついにその中から1曲を共有することができ、爽快な気分です。


 この最初の曲「nothing」は、曲のサビの部分である "What would it feel like to want Nothing? "に基づいた思考実験から生まれたものです。

 

 基本的に、人生のあらゆる側面において、人間関係であれ、消費主義であれ、その他の恒常的な欲求であれ、常に外部と内部の力から「もっと、もっと、もっと」と押し付けられるが、それは本当に健全な生き方なのだろうか? 

 

 しかし、それは本当に健康的な生き方なのでしょうか? もしかしたら、より少ない欲望で、今持っているものが見かけより大きいことに感謝する方が実りあることなのかもしれません」


 次作アルバムは、11月18日にPlum Recordsからリリースされる。(レコードは、サプライチェーンの問題で春先に発送される予定ですが、アルバムが発売と同時にデジタルリリースを入手することが可能です。

 


 

 

 『Don't Know What You're In Until You're Out』は、2022年の初めにThe Bunkでマット・シメルフェニグ(ギター、キーボード、ボーカル)、パット・コナボイ(ギター)、デニス・ミシュコ(ベース)、マイルス・ジスカインド(ドラム)とミー・ガス(ボーカル、ギター)で録音されました。

 

マット・シメルフェニグはレコーディングとミキシングも担当し、ライアン・シュワーベがマスタリングを担当しました。マーク・グリック(チェロ)、マイク・パーク(サックス)、ブライアン・ロッカーム(トランペット)がアルバムの4曲でゲスト参加しています。



このアルバムを親友に送ったところ、「あなたのルーツと枝葉の音が聞こえる」と言われました。音楽を共有する限り、私は新しい枝を伸ばすことができると願っています。私たちは、皆、成長する価値がある。そして私たちの音楽を聴いてくれて心から感謝しています。

 

Augusta




Gladie 『Don’t Know What You’re In Until You’re Out』

 

 



Tracklist:

1. Purple Year
2. Born Yesterday
3. Mud
4. Hit the Ground Running
5. Nothing
6. Soda
7. Heaven, Someday
8. Fixer
9. Smoking
10. For a Friend
11. Something Fragile


 



 ”新世代パリ・シーンの代表格”とも称される、フランス・ヴェルサイユのロックバンド、Phoenixが、先週10月5日(水)に、米国のトーク番組”Jimmy Kimmel Live”に出演し、次作アルバムのタイトルトラック「Alpha Zulu」を披露しました。ライブパフォーマンスは下記よりご覧いただけます。


Phoenixは、新作アルバム『Alpha Zulu』を、Loyaute/Glassnote Recordsより11月4日にリリースする予定です。バンドは、先月、Stephan Colbertで披露したEzra Koenigをフィーチャーした「Tonight」で、この新作アルバムのプレビューを行っています。


 

The Cure in Latvia Arena 2022 10/6


 UKのロックバンド、The Cureが、先週木曜日、10月6日の夜、ラトビアのArena Rigaで三年ぶりのコンサートを行い、ヨーロッパ・ツアーをスタートさせた。全25曲のセットリストにはファン待望のニューアルバム『Songs of a Lost World』に収録される新曲「Alone」と「Endsong」も含まれていた。


「Alone」は "Plainsong "に隣接する7分の壮大なナンバーで、ギタリストのRobert Smithがギターなしでステージに上がり、インストのイントロで観客を迎え入れるというCureらしいオープニングを飾った。


「Endsong」は、当然ながらバンドのメインセットを締めくくった(その後、2回のアンコールがあった)。2曲目は、メランコリックなシンセサイザーにミリタリックなドラムリフを乗せた10分にも及ぶシネマティックな作品。これらの曲を聴く限り、ロバート・スミスが「Songs of a Lost World」を”執拗なまでに破滅的で陰鬱”と表現したのは、まさにその通りだと言えるでしょう。


1990年から2005年まで在籍していたペリー・バモンテがバンドに復帰したことも、ザ・キュアのラトビア公演の大きなニュースとなった。


バンドは、8日にも、フィンランドのヘルシンキでコンサートを開催した。さらに、今年後半には、アルバム『Wish』の30周年を記念して、未発表デモやライブ音源、レア曲などを収録したデラックス・パッケージでLPを再発する。ラトビアでのライブのセットリストは下記の通り。

 

 

 

Setlist:

 
Alone (World Debut)
Pictures of You
Closedown
A Night Like This
Lovesong
Trust (First time since 2016)
Burn
Fascination Street
Push
In Between Days
Play for Today
A Forest
Want
Shake Dog Shake
39
From the Edge of the Deep Green Sea
Endsong (World Debut)



「Alone」

 

 

 

「Endsong」 

 

 

Beabadoobeeは、先月のBLACKSTARKIDSのシングル「CYBERKISS 2 U*」への出演に続き、BBCラジオ1の番組、Live Lounge Monthに出演し、ヴァネッサ・カールトンの「A Thousand Miles」のカバーを披露している。ライブパフォーマンスの模様は以下で御覧下さい。

 

BBC Radio 1のLive Loungeには、Aitch、リナ・サワヤマ、Harry Styles、WILLOW、Lewis Capaldi、Wet Leg、RAYE、Sam Smith、Self Esteem、YUNGBLUDが登場し、カバーを演奏しています。

 


 

一柳慧、ジョン・ケージと 1981  写真: 松本徳彦


 ジョン・ケージに師事し、日本の実験的現代音楽の発展に大きな貢献を果たして来た前衛ピアニスト・作曲家の一柳慧(いちやなぎ・とし)氏が死去されました。89歳でした。


一柳慧が10月7日(金)に死去したとの訃報については同氏が総合芸術監督を務めていた神奈川芸術文化財団が公表している。死因の詳細については明らかにされていません。同財団の玉村和美理事長は、土曜日の声明で、「生前、彼を愛していたすべての人々に心から感謝の意を表したい」と述べています。


一柳は、ニューヨークのジュリアード音楽院で学び、日本の伝統的な要素や楽器だけでなく、電子音楽も取り入れた自由な発想の作曲法で、ミュージックシーンのパイオニアとして頭角を現した。ジャスパー・ジョーンズ、マース・カニングハム、建築家の黒川紀章、詩人・劇作家の寺山修司といった日本の革新的なアーティスト、1950年代半ばから数年間結婚していたオノ・ヨーコ、ジャンルの枠にとらわれない多彩なコラボレーションでその名を知られるようになった。


一柳慧は、かつてアーティスト・ステートメントの中で、「私の創作は、音楽においてしばしば対照的で対極的なものとして別々に考えられてきた様々な要素を、共存させ、浸透させることを試みてきた」と述べている。


日本の伝統音楽は、「時間芸術」としての通常の音楽の定義や、彼が「区分」と呼ぶ、相対と絶対、新と旧といったものにとらわれていないため、インスピレーションと勇気を貰ったと一柳は語り、現代音楽はむしろ「音楽がもたらす精神的な豊かさを回復するための実質的な空間」であると言った。


オーケストラのための代表的な作品に "ベルリン連詩 "がある。連詩とは、日本の共同詩の一種で、「連句」のような厳格な形式でなく、自由詩に該当する。1989年、一柳は伝統楽器と声明に焦点を当てたオーケストラ・グループ、東京国際ミュージック・アンサンブル-ザ・ニュー・トラディション(TIME)を結成した。


一柳の音楽は、前衛的なミニマリズムから西洋のオペラまで、文化や国境を超えて自由にクロスオーバーしている。ニューヨークのカーネギーホールやパリのシャンゼリゼ劇場などで初演を行い、国立劇場の委嘱を受けるなど、世界各地で活躍した。また、国立劇場からもいくつかの音楽作品を委嘱されている。


2013年には「マリンバとオーケストラのための協奏曲」、2016年には「ピアノ協奏曲第6番」を発表し、東京のフェスティバルで独奏を披露するなど、長年にわたり多作を続けていた。受賞歴もきわめて多い。ジュリアード音楽院のアレクサンダー・グレチャニノフ賞、フランス共和国の芸術文化勲章、日本政府から旭日小綬章、紫綬褒章など、数多くの名だたる賞を受賞している。


一柳慧は、神戸の音楽一家に生まれ、若くして作曲家として将来を嘱望された。戦後の日本では珍しかった10代での渡米を前に国内の大きなコンクールで優勝を果たしている。

 

 

 

Label: Polyvinyl/P-Vine

 

Release:  2022年10月7日


 


 

 

 

Review

 

 

 カナダ・ トロントを拠点に活動するインディーロックバンド、アルヴェイズは、2014年にリリースされたセルフタイトルアルバムに収録されている、大学卒業後の世代の若者の声を代弁した「Archie,Marry Me」で一躍、注目を浴びるに至った。その後、リリースされた2ndアルバム「Antisocialites」も好評を博し、カナダ国内のポラリス音楽賞にもノミネートされています。

 

続く、3rdアルバム「Blue Rev」は五年ぶりのアルバムとなる。なぜ、これほど長い期間を擁することになったのか? それは、レコーディングの最初期には多くの障壁がバンドの前に立ちはだかったことによる。多くのファンが知っていることではあるが、モリー・ランキンのデモテープが盗まれたり、地下のスタジオが洪水に見舞われたりと散々だった。もちろん、パンデミックの国境封鎖もそのひとつで、レコーディングが遅遅として進まなかったのも頷ける。こんなことが起きれば、普通なら嫌になりそうなのだけれど、しかし、意外に、フロントパーソンのモリー・ランキンは、これらの難事に対し、あっけらかんと対処している。人生という荒波を乗りこなすには、こういった一種の豪放磊落な性質が、時にはぜひとも必要となってくるのでしょう。

 

2021年10月、改めてバンドは、カナダ人のプロデューサーのショーン・エヴェレットとLAに場所を変え、レコーディングを開始する。そして、このアルバムの制作を急ピッチで仕上げたという。どのような作品でも同じことですが、出来上がった作品を聴くのは、一瞬のことだとしても、その背景にある出来事が作品には反映され、そして、製作者の実体験がその作品に(本人たちが否定するとしても)何らかの形で表れてくるものです。そして、このアルヴェイズの三作目は、アルバム全編を聴き通した時に、スピード感のある作品だという印象を受けます。

 

もちろん、これまでのジャグリーなインディー・ポップ、そして、My Bloody Valentineのようにシューゲイザー寄りのアプローチ、さらに、このバンドの最初期からのエヴァーグリーンな音楽性の要素などなど、一作目、二作目のバンドとしての成果をしっかり踏まえたアルバムとなっている。ところが、二作目とは何かが異なっています。

 

一体、それは何なのか?? それは、バンド自体の音楽性の変化よりも、モリー・ランキンのヴォーカルスタイルの微細な変化、モデルチェンジにあるように思える。前作まで、このヴォーカリストは少なくともインディーロックバンド内のシンガーという役割を十二分に果たしていましたが、この作品からバンドには収まりきらない圧倒的な存在感が現れている。モリー・ランキンのボーカルは、以前よりも抒情的で、さらにエヴァーグリーンな雰囲気を醸し出している。これは紆余曲折あったにせよ、三作目にチャレンジしたバンドのみに与えられる収穫をカナダ・トロントのオールヴェイズはこのアルバムで大いに享受しているのです。


先週も同じようなことを述べましたが、バンド、ひいては、このボーカリストの音楽に対する喜びが凝縮されたのがサード・アルバム「Blue Rev」の本質であり正体です。それは、曲のドライブ感、パンキッシュなサウンドアプローチにより、アルバムの序盤から中盤にかけて加速していくようにも感じられる。始めこそ遅かったが、エンジンをかければ、このバンドは、誰よりも速く、誰よりも遠くへリスナーを運んでみせてくれる何とも頼もしい存在なのです。

 

本作には、ハイライトが幾つもある。それはバンドのたどってきた軌跡のようなものが反映されているとも言え、しっかりと聴きこまなければ、その全容を把握することは難しそうな作品です。オリジナル・シューゲイズの要素を受け継ぎ、このバンドらしい音楽性のひとつ、Nu-Gazeとして昇華させた「Pharmacist」、「Easy On Yoru Own?」、その他にも、村上春樹の小説にインスピレーションを受けた「After The Quake」をはじめ、インディーロックバンドらしからぬ、アンセミックなポップソング、そして、アリーナで演奏されるとシンガロングを誘うようなポップ・バンガーも収録されています。その他、メロウなポップソング、ローファンに触発された楽曲も中盤の展開を強固にしており、バラエティに富んだ世界観を体験することが出来るはずです。

 

特に、オールヴェイズのバンドとしての進化を示しているのがアルバムの終盤に収録されている「Belinda Say」ではないでしょうか。ここでは、このバンドの最初期からの特徴であるエバーグリーンな性質を受け継いだポップ・バラードが提示されていますが、それはショーン・エヴェレットのマスタリングの手腕により、クオリティの高い楽曲に引き上げられており、圧倒されるものがある。アルバムを聞き終えた後には、”アルバムを聴いた”という実感がある。きっと、それは、全14曲が細部まで丹念に作り込まれており、それらが、LAのレコーディングにおいて一気呵成に演奏されているため勢いがあるからなのでしょう。


米国、英国を始め、国外でも評価が高まっているオールヴェイズでありますが、この勢いに満ちたパワフルな作品『Blue  Lev』を聴くかぎりでは、今後、さらにワールドワイドな活躍が期待出来るかもしれません。

 

 

 84/100

 

 

Weekend Featured Track 「Easy On Your Own?」



©︎Zelda Hallman



米国のシンガーソングライター、Fiona Appleが新曲「Where the Shadows Lie」を発表しました。

 

この楽曲は、「The Rings of Power」のサウンドトラックに収録されていて、来週放送されるAmazon Studiosのシリーズのシーズン・フィナーレに登場する。Amazon Music限定のこの曲は、J.R.R.トールキンの「一つの指輪」の詩にインスピレーションを受け、音楽はシリーズの作曲家ベア・マクレアーと共同で書き下ろされた。


2020年に『Fetch the Bolt Cutters』をリリースして以来、フィオナ・アップルは、共同制作や、サウンドトラック提供、カバーを中心に活動を行っている。シャロン・ヴァン・エッテンのセカンドアルバム『Epic』の10周年記念リイシューのために「Love More」のカバーをシェアしている。また、Watkins Family Hourの「(Remember Me) I'm the One Who Loves You」の演奏に参加しており、Appleのアニメシリーズ「Central Park」にも楽曲を提供している。


 Thus Love 「Memorial」

 

 

 

 

Label: Captured Tracks

Release: 2022年10月7日

 

 

Official-order




Review



 もし、そのバンドにとってグループの活動が、バンドの意味以上の何らかの重要な意味があるとしたら? それはきっと説得力溢れる芸術表現として昇華されるに違いありません。そのことを体現してくれているのが、10月7日にCaptured Tracksから記念すべきデビューアルバム『Memorial』をリリースしたThus Loveです。

 

このトリオにとって、Thus Loveとは、バンドという意味があるだけにとどまらず、小さな共同体という意義をも兼ね備えている。バーモント州ブラトルボロ出身のThus Loveは、Echo Mars(彼女/彼)、Lu Racine(彼/彼女)、Nathaniel van Osdol(彼ら/彼女)は、同じ屋根の下で暮らし、自分たちの商品をデザイン・制作し、さらに自分たちのレコーディングスタジオをゼロから作り上げていきました。彼らにとって、音楽活動、及び、その延長線上にある活動は、DIYという流儀を象徴するだけでなく、トランス・アーティストとしての生き様をクールに反映させているのです。 


パンデミック下、元々、Thus Loveは、ライブを主体に地元で活動を行っていましたが、このパンデミック騒動が彼らの活動継続を危ぶんだにとどまらず、彼らの本来の名声を獲得する可能性を摘むんだかのように思えました。しかしながら、結果は、そうはならなかった。Thus Loveは幸運なことに、ブルックリンのインディーロックの気鋭のレーベル、キャプチャード・トラックスと契約を結んだことにより、明日への希望を繋いでいったのである。それは、バンドとしての生存、あるいは、トランスアーティストとしての生存、双方の意味において明日へ望みを繋いだことにほかなりません。

 

この作品は、このブラトルボロでの共同体に馴染めなかった彼らの孤独感、疎外感が表現されているのは事実のようですが、しかし、それは彼らのカウンター側にある立ち位置のおかげで、何より、パンデミックの世界、その後の暗澹たる世界に一石を投ずるような音楽となっているため、大きな救いもまた込められています。Thus Loveのアウトサイダーとしての音楽は、今日の暗い世相に相対した際には、むしろ明るい希望すら見出せる。それは、暗い概念に対する見方を少しだけ変えることにより、それと正反対の明るい概念に転換出来ることを明示している。これらの考えは、彼らが、ジェンダーレスの人間としてたくましく生きてきたこと、そして、マイノリティーとして生きることを決断し、それを実行してきたからこそ生み出されたものなのです。


Thus Loveの音楽性には、これまでのキャプチャード・トラックスに在籍してきた象徴的なロックバンドとの共通点も見出すことが出来ます。Wild Nothingのように、リバーブがかかったギターを基調としたNu Gazeに近いインディーロック性、Beach Fossilsのように、親しみやすいメロディー、DIIVのように、夢想的な雰囲気とローファイ性を体感出来る。さらに、The Cure、Joy Division、BauhausといったUKのゴシック・ロックの源流を形作ったバンド、ブリット・ポップ黎明期を代表するThe SmithのJohnny Marrに対する憧憬、トランス・アーティストとしての自負心が昇華され、クールな雰囲気が醸し出されている。

 

一社会におけるマイノリティー、少数派という立場に置かれる(また、置かれざるを得ない)ことは、彼らのように音楽を表現する上で欠かさざる要素であるように思える。Thus Loveは、このデビュー・アルバムにおいて、自分たちがどのようなバンドであるのか、そして、今後、どのような存在でありつづけたいのかを明示しています。それは、デビューアーティストに対するファンの漠然とした期待感に対する彼等三人のしたたかな回答とも言えるでしょう。

 

さらに、このデビュー作には、Thus Loveの2018年頃からの思い出が色濃く反映されているのが窺える。不思議なことに、彼らの音楽は、どことなく映像的であり、彼らの体験した出来事や感情をこの作品のリスニングを通じてなぞらえる、つまり、彼らの人生の断片を追体験するかのようでもある。それは、単なる音楽を聴くという体験にとどまらず、時に、記憶という得難い概念を通して、何かそれらにまつわるノスタルジアのような感覚を、彼ら、Thus Loveと共有したり、呼び醒ますことに繋がるのです。

 

このアルバム『Memorial』では、バンドとして発足後、最初期から地元のギグで演奏してきたという「Pit and Pont」、次いで、「Morality」がハイライトとなるでしょう。これらの楽曲は、耳の聡いインディーロックファンの期待に沿うばかりでなく、リスナー自身の他では得難い記憶に成り代わるだろえと思われる。Lu Racineのクールなボーカル、シューゲイズに近い歪んだギター、そして、それらのを背後から強固に支えるシンプルなリズムが合致することで、バンドアンサンブルの崇高な一体感が生み出されている。それはバンドのレコーディング風景が如何なるものなのか、これらの音楽から何となく窺えるようでもある。

   

デビュー・アルバム『Memorial』は、Echo Mars、Lu Racine、Nathaniel van Osdol、三者の強い結束力によって結ばれているがゆえ生み出された作品で、強い存在感と説得力を兼ね備えている。このレコードは、社会における少数派として生きざるを得ない人々を勇気づけるにとどまらず、その肩を強く支えるに足るものになるかも知れない。



84/100




Featured Track「Pith and Point」



 

 90年代のブリティッシュ・シューゲイザー・バンドRideの創設メンバーであるAndy Bellが、最新ソロ・アルバム『Flicker』制作中にBellにインスピレーションを与えた曲のリミックス、アコースティック・バージョン、カバーを収録した3枚のEPのリリースを発表しました。


最初のEP『I Am A Strange Loop』は、現在発売中となっている。このEPには、様々なアーティストによる『Flicker』の楽曲のリミックスが収録されています。Bellは、David Holmesがリミックスした "The Sky Without You "のPVを公開しています。Jean de Oliveiraが監督した映像は以下からご覧ください。


3部作の2枚目のEP『The Grounding Process』は11月4日にリリースされ、アルバム収録曲のアコースティックバージョンが収録されています。

 

3枚目のEP『Untitled Film Stills』は、3枚のEPの10インチレコードでのフィジカルリリースと同時に11月25日に発売される予定です。Untitled Film Stillsは、オノ・ヨーコやThe Kinksなどの楽曲のカバーが収録されています。3つのEPのカバーアートは下記からご覧いただけます。


ベルはプレスリリースで、最初のEPについて詳しく説明しています。「Flickerの楽曲を様々な仲間、友人、ヒーローに聴かせたら、何が返ってきたかを見るのはとても素晴らしいことだった。David Holmesはこの曲と少し関係があったので、オープニングの曲をリクエストしたんだ。


フリッカーは2月にソニック・カテドラルから発売され、シングル "Something Like Love "が収録されている。


ベルのソロ・デビュー・アルバム『The View From Halfway Down』は、2020年にSonic Cathedralからリリースされた。昨年、アンディ・ベルはGLOK名義でアルバム『Pattern Recognition』をBytesからリリースしている。

 

 

Slipknot


 スリップノットが、9月30日にロードランナーからリリースした最新アルバム『ザ・エンド・ソー・ファー』で歴代3作目となる全英1位を見事に獲得しました。


アイオワ出身のヘヴィ・ロックバンド、スリップノットは、ジョージ・マイケルとの厳しい競争を退けて頂点に達し、340枚のチャート・ユニットを獲得してこの週を終えた。『The End So Far』は、2001年リリースの『Iowa』と2019年のLP『We Are Not Your Kind』のフォローアップとなり、グループにとってこれまで3作目のチャート・トップの獲得となった。この記録は、過去7日間で最もダウンロードされたアルバムであることも証明している。


 さらに、驚くべきことに、ジョージ・マイケルの1996年発売の名盤『Older』が、新たなフォーマットとドルビーアトモス空間音声ミックスを含むリイシューで、今週2位でトップ10に返り咲いている。26年前にリリースされた『Older』は、発売当時も1位を獲得しており、このシンガーの象徴的な作品として、これまでに9つのUKチャートの上位を獲得している。このアルバムは、オフィシャル・ヴァイナル・アルバム・チャートで首位を獲得し、今週最も多く購入されたレコード盤となっている。


 トップ3の最後を飾るのは、2枚目のスタジオ・アルバム『Burn The Empire』をリリースしたThe Snuts(3)で、ジャック・コクレーン、カラム・ウィルソン、ジョー・マクギルヴェレイ、ジョーダン・マッケイからなるスコットランドの4人組インディー・ロック・グループは、2021年のデビューLP『W.L.』で1位を獲得している。


 その他、クレイグ・デヴィッドは、8枚目のスタジオ・アルバム『22(7)』で嬉しいカムバックを果たしている。このアルバムはクレイグにとってこれまで6作目のトップ10入りとなり、サウサンプトン出身のシンガーは、2000年のデビュー作『Born To Do It』と2016年のリリース作『Following My Intuition』の2作でも英国ナンバー1を飾っている。また、『22』は今週独立系レコード・ショップで最も購入されたLPでもある。


 米国のオルタナティヴ・ロック・バンド、ヤー・ヤー・ヤーズも健闘しており、約十年振りに発表した5枚目のアルバム『Cool It Down』(10)で、今週4枚目となる全英トップ10入りを果たしている。カレン・O、ニック・ジナー、ブライアン・チェイスからなるトリオは、2006年の『Show Your Bones』(7)、2009年の『It's Blitz』(9)、2013年の『Mosquito』(9)で同様の成功を収めている。


 さらに、トップ10圏外には、アイスランド・ポップミュージックのパイオニア、ビョークの10枚目のスタジオ・アルバム『Fossora』(11)がランクインし、11作目のUKトップ40アルバムとなった。K-Trapの最新ミックステープThe Last Whip IIは、ペッカム出身のラッパーとして6枚目のUKトップ40作品となった(12)。一方、ボストンのロックバンド、ピクシーズも、根強い人気を獲得しており、BMGから発売された待望の8枚目のスタジオアルバム『Doggerel』(13)で、通算10作目のUKトップ40入りを果たしている。


 今週は、3組のアーティストが初のUKトップ40入りを果たしている。イギリス系アメリカ人の3人組、ガブリエルズは、『Angels & Queens - Pt 1』でデビュー(25)、フロリダ出身のラッパー、デンゼル・カリーは『Melt My Eyez See Your Future』で初登場(30)、サウスロンドン出身のシャイガール(Blane Muise生まれ)は『Nymph』で初登場(34)となっている。


 そして最後に、オルタナティヴロックデュオ、Shakespears Sisterの名盤『Hormonally Yours』の30周年記念リイシューが、今週トップ40に返り咲いた(37位)。このアルバムは、1992年にリリースされ、最高位2位を記録している。

 

©︎Ross Halfin

イギー・ポップが、カナダの伝説的なカントリー/フォークシンガー、Leonard Cohen(レナード・コーエン)の2016年に発表した楽曲「You Want It Darker」のカバーを公開した。「You Want It Darker」は、レナード・コーエンの生前最後に発表した同名のアルバムに収録されている。

 

 奇異なことに、この年、2016年にアルバムをリリースした翌月、レナード・コーエンはこの世を去っている。

 

それは、ミュージシャンとしてこの世でやるべきことをやり尽くしたという言葉が相応なのかもしれない。そして、彼の存在は、いまだ多くのミュージシャンにとって欠かさざるものだといえる。いまだにレナード・コーヘンを慕うミュージシャンは少なくない。それは、このアーティストの功績、そしてコーヘンの後進への影響がいかに大きいかを明示しているともいえよう。

 

 今回、イギー・ポップが発表したレナード・コーエンのカバーは、来週、10月14日にブルーノートから発売されるトリビュート・アルバム『Here It Is: A Tribute to Leonard Cohen』の収録曲となっている。

 

 これは、まさに、伝説的なシンガーの曲を伝説的なシンガーが敬意を表して演奏するという刺激的なトリビュートである。現存する秀逸なミュージシャンたちがレジェンドに対する敬意を余すところなく込めた一作であり、この伝説的なミュージシャンへの多くの愛情が捧げられているのだ。

 

このコンピレーションアルバムには、豪華アーティストが多数参加している。Norah Jones、James Taylor、Nathanial Rateliff、Peter Gabriel、Mavis Staples、Sarah McLachlan等など。


 今回のリリースに際して、イギー・ポップは声明を通じて、「レナードのような人はきっといないよ。"全世界ではね"」と述べている。


 

©︎  Hörður Óttarson


アイスランドのエクスペリメンタルロックバンド、Sigur Rósが、2002年のアルバム『()』の20周年記念リイシューのリリースを発表した。『()』のリイシューバージョンは、Heavyweight Double LP/10月27日にデジタルリリース、11月25日にフィジカルリリースされる。

 

また、同アルバムの "Untitled #7 "の未発表デモ・バージョンも同時に公開されました。デモの試聴と再発盤のトラックリスト/ジャケット・アートと共に以下よりご覧ください。


プレス・リリースによると、バンドは2013年の『Kveikur』以来となる新しいスタジオ・アルバムに取り組んでいるという噂です。


 




Sigur Rós『()』 2022 Aniversary Edition

 



Tracklist
1. “Untitled #1” — “Vaka” (The name of Orri’s daughter)
2. “Untitled #2” — “Fyrsta” (The first song)
3. “Untitled #3” — “Samskeyti” (Attachment)
4. “Untitled #4” — “Njósnavélin’ (The Spy Machine)
5. “Untitled #5” — “Alafoss” (The location of the band’s studio)
6. “Untitled #6” — “E-bow” [Georg uses an E-bow on this song]
7. “Untitled #7” — “Dauðalagið” (The Death Song)
8. “Untitled #8” — “Popplagið” (The Pop Song)
9. “Untitled #7” (Jacobs Studio Sessions)*
10. “Untitled #6” (Jacobs Studio Sessions)*
11. “Untitled #8” (Jacobs Studio Sessions)*
12. “Untitled #9 — “Smáskífa” 1 (Small Disc 1)*
13. “Untitled #9 — “Smáskífa” 2 (Small Disc 2) *
14. “Untitled #9 — “Smáskífa” 3 (Small Disc 3) *

 

King Gizzard and the Lizard Wizard

オーストラリアの多作なサイケロック・バンド、King Gizzard and the Lizard Wizardは、今月3枚のアルバムの発売を予定している。一ヶ月で三枚のアルバムをリリースした事例は寡聞にして知らない。

 

昨日、10月7日にその第一弾となる『Ice, Death, Planets, Lungs, Mushrooms and Lava』の全貌が明らかとなった。スタジオのジャム・セッションの延長線上にあるようなアルバムとなっており、ファンは必聴の一枚。このプロジェクトの試聴は以下からどうぞ。


キング・ギザードは、スタジオで、Ice, Death, Planets, Lungs, Mushrooms and Lavaを書き、7曲入りアルバムの全曲に、特定のビート/分値とメジャー・スケールのモードを割り振ったという。

 

「スタジオに入り、すべてをセットアップして、ラフなテンポでジャムるんだ」バンドリーダーのステュー・マッケンジーは声明でこう語っている。「先入観は全くなく、コンセプトもデモもない。45分くらいジャムって、楽器を入れ替えてまた始める。アルバムの歌詞もグループ作業で、バンドは共同でGoogle Docを活用して執筆したよ」


「Ice, Death, Planets, Lungs, Mushrooms and L」には、キング・ギザードが9月にシェアした曲「Ice V」と、今週初めにリリースされた「Iron Lung」が収録されています。


来週、10月12日、キング・ギザードは、今年4作目のアルバム『Laminated Denim』をリリースし、さらに、今月下旬の28日には、今年5作目となるプロジェクト『Changes』を発売する。このLP3枚組は、2022年にリリースされた前作『Omnium Gatherum』と、Tropical Fuck Stormとのコラボレーション・EP『Satanic Slumber Party』のフォローアップとなります。


また、King Gizzard and the Lizard Wizardは、フロントマンのスチュー・マッケンジーのクローン病との闘いに対処するため、8月のヨーロッパ公演をキャンセルし、今週、2022年ワールドツアーの北米公演を再開させた。10月末には、オースティンのLEVITATIONで公演を行い、コロラド州モリソンのRed Rocks Amphitheatreでの追加3公演で一連のツアーは閉幕を迎える予定です。

 

 

 『Ice, Death, Planets, Lungs, Mushrooms and Lava』