Lande Hekt  『Lucky Now』


Label: Tapete

Release: 2026年1月30日

 

 

Review

 

イギリスのシンガーソングライター、Lande Hekt(ランデ・ヘクト)は2022年のアルバム『House Without A View』以来の最新作『Lucky Now』を先週末にリリース。2022年のシングル「Romantic」を聴くと分かるように、パワーポップやジャングルポップを中心とする良質なソングライターで、甘酸っぱく切ないメロディーをさらりと書き上げる能力を持ち合わせている。『Lucky Now』は前作の延長線上に位置するアルバムで、良曲揃いのアルバムとなっている。

 

アルバムのサウンドは、インディーフォークやネオアコースティックが主体となっている。本作の冒頭曲「Kitchen Ⅱ」は、思わず口ずさんでしまいそうなキャッチーなフレーズ、どことなく懐かしい感じのするメロディーで満載となっている。ほどよく力が抜けたボーカル、そしてドラム、ベースと聞きやすさを重視したサウンドで、爽やかで軽快なオープナーとなっている。

 

タイトル曲は、同じくネオアコースティックに属するが、ランデ・ヘクト持ち前の甘酸っぱいメロディーセンスを活かした良曲となっている。これらのサウンドは、アズテック・カメラ、オレンジ・ジュース、パステルズ、ヤング・マーブル・ジャイアンツなど、このジャンルの代名詞となるグループを彷彿とさせるものがある。決して現代的なサウンドとは言えないけれども、独特な雰囲気の曲展開、そして柔らかな曲の雰囲気についつい惹き込まれてしまうことがある。


また、「Rabbits」などを聴くと分かる通り、The Undertonesのような北アイルランドのパンクバンドの影響を感じさせることもある。 そういった中、ギターに薄いフェイザーをかけたようなサウンドを中心とする「Favourite Pair of Shoes」は前半の一つのハイライトとなりえる。ボーカルメロディーの親しみやすさもさることながら、ギターワークに光る部分があるのに注目だ。『Lucky Now』は、純粋なボーカルアルバムというよりも、その向こうから聞こえるギターリフに一瞬のきらめきが込められている。ドラム、ベースというシンプルなバンド構成がそれらの曲をほんのり引き立てている。また、曲全体から感じられる叙情的な音楽性からはどのような風景が思い浮かべられるだろうか。曲そのものが何らかの換気力に富んでいるのにも着目したい。

 

そういった中で、インディーフォークに舵をとった「Middle Of The Night」は新鮮な響きが込められている。クリアな雰囲気の中で、美麗なギターのアルペジオ、そしてバンジョーのような響きが聞こえてくる。さらに、夜の澄んだ空のような神秘的な雰囲気が立ち上ってくることがある。ここには、ランデ・ヘクトの吟遊詩人的なミュージシャンの姿を捉えられる(かもしれない)。


パワーポップやジャングルポップの雰囲気で繋がる「Circular」は、おなじみの陰影のある曲調に、ザ・リプレイスメンツのようなサウンドが加わる。そしてそれらは、全般的なロックの文脈の中で行われ、依然としてキャッチーな曲調を維持している。また、ここでもサビ(コーラス)の最後の方で、チューブアンプを中心としたギターワークがキラリと光る。それはランデ・ヘクトのソングライティングの中で、ギターソロが大きな割合を占めることの証でもある。

 

 アルバムの後半では、さらにインディーフォークやネオ・アコースティックの性質が強まり、「My Imaginary Friend」ではレモンヘッズ、ザ・ポウジーズ、ヴェルヴェット・クラッシュにも比する甘酸っぱいメロディーが満載である。それらがセミアコースティックギターの演奏を中心にボーカルと合わさり、爽やかな雰囲気を呼び込む。今回のアルバムで少しわかったことは、ランデ・ヘクトのソングライティングは、物申すような自己主張的なサウンドではなく、控えめで抽象的なサウンドである。それが80年代から90年代にかけてのインディーロックやパワーポップと結びついている。それはまた続く「The Sky」にも共通する点であると思われる。

 

最終盤ではこれまでの主要な楽曲とは異なる雰囲気の曲が出てくる。異色ではあるが、良曲ぞろいである。「Submarine」、「Coming Home」などは、ビートルズやビーチボーイズのサウンドをパワーポップやジャングルポップの側面から再構築している。 特に、アルバムをしっかりと聴いたファンはきっと、「Submarine」が隠れた名曲であることに気づくはずだ。楽曲の構成は以前よりもダイナミックになっていて、より大きな構想を練っているような気配も感じられる。この曲でもギターソロがクールな箇所がある。2分以降を聞き逃さないようにしてもらいたい。


まだ、このアルバムで最終的な答えが出たとは言えないかもしれない。しかし、ランデ・ヘクトの音楽性はいよいよ核心に近づきつつある兆候を捉えられる。クローズ曲「Coming Home」は叙情的なサウンドで聴かせる箇所があり、フォークとロックの中間にある淡い感覚を見出せる。

 

 

 

78/100 


 

 「Submarine」- Best Track





▪️過去のレビュー


LANDE HEKT 『HOUSE WITHOUT A VIEW』
©︎ Rachel Winslow


シカゴのピアニスト/作曲家、Gia Margaret(ジア・マーガレット)が2018年の『There's Always Glimmer』以来となる初ボーカルアルバム『Singing』を発表した。アコースティックピアノを中心に制作された前作『Romantic Piano』に続く待望の新作となる。アーティストは近年来日公演も行っている。


『Singing』の音楽は、沈黙の中で培った宝石細工師のような細部への繊細な感性を示している。「音を聴いて何かを感じる。だからこそ私たちは音楽に惹かれる。スタジオのあらゆる機材に深い感情的な愛着がある。各楽器には、私に特定の感情を抱かせる何かが宿っている」とマーガレットは語る。


『Singing』制作の過程は、そうした感覚一つひとつを信頼する方法を学ぶ旅だった。アルバムの一部はロンドンでFrou Frouのガイ・シグスワースと共に録音され、彼がマーガレットの奔放なアイデアを統合する手助けをした。  


次作には声楽の魅力が凝縮されている。ILĀによるグレゴリオ聖歌やターンテーブルのスクラッチなど、数多くの要素が込められいる。 またデイヴィッド・バザンとエイミー・ミラン、カート・ヴァイルとショーン・キャリーも参加。マーガレットの長年の共同制作者ダグ・サルツマンは本作の大半で演奏と共同プロデュースを担当。ザ・ウィーピーズ出身のデブ・タランは、アルバムの締めくくりであり決定的な声明とも言える「E-Motion」に歌声とピアノ、ギターを提供した。 


「こうしたコラボレーター(今は友人)との出会いの多くは、まったくの偶然の産物でした」とマーガレットは語る。 「まるで彼らが私の中に何かを感じ取ったかのよう。それは確かに、そもそも彼らに影響されたものだったと思う」しかし彼女が言うように、他のアーティストに音楽を開放しようとした試みは「結局、自分自身へと戻ってきた。なぜなら、私は本当にプロデュースが好きだと気づいたから。自分でそれらを探求しないことで、何かを見逃している気がした」


ジア・マーガレットは過去に声帯を痛め、シンガーとしては厳しい状態に立たされたものの、前作で自信を取り戻し、ボーカルアルバム『Singing』で復活を遂げる。先行シングル「Everyone Around Me Dancing」はピアノとエレクトロニックのビート、ボーカルを掛け合わせた優美な一曲。同楽曲はキャサリン・ロメディコ監督によるミュージックビデオが同時公開された。


「Everyone Around Me Dancing」


Gia Margaret 『Singing』


Label: jagujaguwar
Release: 2026年4月26日


Tracklist:

1.Everyone Around Me Dancing

2.Cellular Reverse

3.Alive Inside

4.Moon Not Mine

5.Rotten

6.Rotten Outro

7.Good Friend

8.Phenomenon

9.Ambient for Ichiko

10.Phone Screen

11.Guitar Duo

12.E-Motion


ニューヨークの作曲家/シンガー、Mitskiが2月27日、Dead Oceansよりニューアルバム『Nothing’s About to Happen to Me』をリリースする。本日、同作のセカンドシングル「I’ll Change For You」を公開した。ミツキの新アルバム『Nothing’s About to Happen to Me』が2月27日、Dead Oceansよりリリースされる。また、世界規模のツアー日程も発表された。


Nothing’s About to Happen to Me』では、ミツキが荒れ果てた家に閉じこもる女性を主人公とした豊かな物語に没入している。 家の外では彼女は異端児、家の中では自由。レキシー・アレイ監督、レナ・ジョンソン編集による「I’ll Change for You」のミュージックビデオは、この世界を拡張し、アレイが撮影したアルバム写真で提示されたタンジー・ハウスの混沌とした散らかった宇宙へと深く踏み込む。


ミツキは『Nothing’s About to Happen to Me』の全楽曲を作詞作曲し、全ボーカルを担当。パトリック・ハイランドがプロデュースとエンジニアリングを、ボブ・ウェストンがマスタリングを手掛けた本作は、『The Land Is Inhospitable and So Are We』(2023年)で確立された音楽的路線を継承し、『The Land』のツアーバンドによる生演奏とアンサンブルアレンジをフィーチャーしている。 オーケストラはサンセット・サウンドとTTGスタジオで録音され、ドリュー・エリクソンが編曲・指揮を担当、マイケル・ハリスがエンジニアリングを担当した。


ミツキは『Nothing’s About to Happen to Me』を世界各国の主要都市で披露し、主要会場でのレジデンシー公演を実施する予定。


ミツキの常連コラボレーターであるパトリック・ハイランドがプロデュースとエンジニアリングを担当した「Nothing's About to Happen to Me」は、ボブ・ウェストンによってマスタリングされた。ミツキはアルバムの全楽曲を作詞作曲し、全ボーカルを自ら担当。ツアーバンドがバックを務めた。また、ドリュー・エリクソンが編曲・指揮、マイケル・ハリスがエンジニアリングを担当したオーケストラとのレコーディングをサンセット・サウンドとTTGスタジオで行っている。


「I'll Change For You」

九段ハウス/東京・千代田区 ©︎Martin Margiela


登録有形文化財・九段ハウスにて、アーティストとして活動するMartin Margiela(マルタン・マルジェラ)の日本初となる大規模個展「MARTIN MARGIELA AT KUDAN HOUSE」を開催いたします。

 

1927年竣工の歴史的な邸宅という空間に、現代美術作品を展示するというコントラストに、Margielaは強い関心を寄せています。本展では、邸宅全体を舞台に、数多くの作品が儚くも一時的なインスタレーションとして展開されます。


 

・ABOUT THE EXHIBITION


Martin Margielaは、再利用、分解、変容といったテーマへの探究を継続しており、その創作において人間の身体は今なお重要なインスピレーションの源であり続けています。


Margielaの作品は、日常の中にありながら見過ごされがちな物や状況への鋭い観察から生まれ、平凡なものが非凡なものへと転化していきます。


本展では、コラージュ、絵画、ドローイング、彫刻、アッサンブラージュ、映像作品など、多様な技法による作品を紹介します。


生活の痕跡が残る古い邸宅に作品を設えるという選択は、Margielaにとって大切な「私的な空気感」を反映するものです。


来場者は、邸宅全体に広がるさまざまな部屋を巡りながら、極めて親密な距離感の中で作品と向き合う体験へと招かれます。


なお、展示構成およびキュレーションは、すべてアーティスト自身によって手がけられています。

 

・FROM THE ARTIST


「匿名性は、私の創造の自由にとって不可欠なプライバシーを守るために必要なものです。

ファッションの時代と同じ興味や強迫観念を、私は今も持ち続けていますが、人間の身体はもはや唯一の表現媒体ではありません。」


「私は常に観察者であり、日常的な物や状況から強いインスピレーションを受けています。

今日ではさまざまな技術的サポートを用いることが当たり前になっていますが、私は可能な限り、手仕事のプロセスを見せることにこだわっています。それが、不完全さやパティナ、未完成の美に対する私の深い愛情につながっています。」


「私は答えを示すよりも、問いを投げかけたいのです。」


・ABOUT THE EXHIBITION VENUE


本展の会場となる九段ハウスは、1927年に竣工したスペイン様式の洋館を改修した、会員制ビジネス・イノベーション拠点です。旧山口萬吉邸として知られ、現在は登録有形文化財に指定されています。


本年4月、Martin Margielaはこの場所において、かつての家族邸宅が持つ私的で親密な空気感を蘇らせることを選びました。


九段ハウスを訪れたMargiela自身もその佇まいや空気感に強い共鳴を覚えています。


2000年、彼は東京・恵比寿の歴史ある邸宅に、世界初となる「Maison Martin Margiela(メゾン マルタン マルジェラ)」の店舗をオープンし、浴室やキッチンを含む邸宅全体にコレクションを展示しました。


そして四半世紀を経た2026年、再び東京へと戻り、同じく歴史的な邸宅である九段ハウスで作品を発表することを選びました。


「再び東京に戻り、1927年に建てられたこの家で作品を見せられることを嬉しく思います。2000年のときと同じように、来場者が各部屋の親密な空間の中で作品と出会い、驚きを感じてもらえることを願っています。」 -Martin Margiela 

・SELECTED WORKS



・ABOUT THE ARTIST : Martin Margiela

1957年 ベルギー・ルーヴェン生まれ

1980年 アントワープ王立芸術学院卒業

1984–1987年 Jean-Paul Gaultier(ジャン=ポール・ゴルチエ)(パリ)のアトリエでデザインアシスタントをスタート

1988年 Jenny Meiren(ジェニー・メレンズ)とともにパリで「Maison Martin Margiela(メゾン マルタン マルジェラ)」を設立、初のショーを発表

1997–2003年 「Hermès(エルメス)」(パリ)ウィメンズ クリエイティブ・ディレクター

2008年 20周年ショーを機にファッション界を離れ、ビジュアルアートに専念

2019年 Bielefeld Kunsthalle(ビーレフェルト美術館)にて初のグループ展

2021年 パリのLafayette Anticipations(ラファイエット・アンティシパシオン)にて初の個展

2022年 同展が北京・MWoods(エムウッズ)に巡回

2023年 同展がソウル・Lotte Museum of Art(ロッテ美術館)に巡回

2023年 アムステルダム・Eenwerk Galleryにて個展

2024年 ブリュッセルおよびアテネのBernier / Eliades Galleryにて個展

・EXHIBITION DETAILS

会期:2026年4月11日(土)- 2026年4月29日(水)

開館時間:10:00〜19:00(最終入場18:00)

※2026年4月29日(水・祝)のみ最終入場16:00、閉館時間17:00

会場:九段ハウス

〒1020073 東京都千代田区九段北1-15-9

観覧料:一般 2,500円(税込)

チケット購入オンラインサイト:

https://artsticker.app/events/103820

【クレジット】

主催:原田 崇人(rin art association)

共催:kudan house

協力:Bernier / Eliades Gallery

 Gallery NAO MASAKI

Taka Ishii Gallery

協賛:株式会社ジンズホールディングス

制作:黒瀧 紀代士

Kornieieva Varvara

黒瀧 保士

   

制作協力:

株式会社 アートコア

株式会社 原人社

ハイロックデザインオフィス

糟谷 健三

 

ウェブデザイン・制作:

Thought. / SA . 

イングリッシュ・バロックの世界 シェイクスピアと演劇 ヘンリー・パーセルのセミオペラの登場

 

・フランスとの交流 イギリス国教会との音楽の歩み

シェイクスピア

 

イタリアやフランスで沸き起こったルネサンス運動は、イギリスでも16世紀から17世紀にかけて隆盛をきわめた。元々、イギリス文化に関しては、単一民族で成立したものではない。10世紀にノルマン人が北フランスのコタンタン半島にノルマンディー公国を打ち立てた。6世紀ごろからノルマンディはイングランドに侵攻し、専有地を設けた。その後、1066年になると、ノルマンディー公国のウィリアムがイングランドを征服、やがてノルマン朝を樹立した。


このあと、およそ300年にもわたってイギリスは、北フランスとの文化的な交流を続けた。おのずと、宮廷文化の形式、教会文化を両国は共有することになった。また、それ以降、イギリスにはフランスの音楽が伝来し、12世紀から13世紀にかけてイギリスの音楽のほとんどはパリの影響下にあった。イギリス音楽はノートルダム楽派の影響を受け、発展し、やがてそれはフランスのブルゴーニュ楽派の成立を後押しした。

 

こうした中、イギリス音楽は第二期とも呼ぶべき発展の時代を迎えた。それが宗教音楽の時代である。イギリス国教会ではカトリック的な典礼の中で、音楽文化を育んできたが、ヘンリ8世の時代から従来のカトリック式の典礼を改革した。従来のラテン語での歌唱を取りやめ、音楽的にもカルヴァン派の手法を取り入れることになった。その中で、アンセムが登場し、合唱隊が活躍。エリザベス一世の時代には、バード、タリスといった宗教音楽の優れた作曲家が登場した。

 

いかにイギリス音楽の発展が公国や王族、そして宗教音楽によって支えられてきた側面があるとはいえども、16世紀から17世紀以降に差し掛かると、イタリアのオペラが登場し、イギリスンの音楽も変容せざるを得なくなった。そして、このイタリアやフランスでのオペラやバレエの発展を期に、イギリスのバロック音楽も歴史上において重要な分岐点を迎えたのだった。

 

 

・シェイクスピアと演劇、そしてオペラ 


その音楽発展を支えたのが、戯曲や演劇で有名なウィリアム・シェイクスピアである。現在ではシェイクスピアのオペラは総数300以上にものぼり、もはや定番化している。通称ロミジュリこと「ロミオとジュリエット」、 「マクベス」、「夏の夜の夢」など、グノー、ヴェルディ、ブリテンなど国内外の優れた作曲家らが、シェイクスピアの劇伴音楽に取り組んできた。


シェイクスピアの戯曲は、文章だけで読んでも味気なく、舞台上の人物たちの動き、口頭劇、そして時には音楽的な内容が伴わないと、物足りなさを覚える。言ってみれば、シェイクスピアが目指したのは、オペラそのものだったのではないかとさえ思える。

 

ウィリアム・シェイクスピアはゲーテ、セルバンデスと並ぶ世界的な文豪という一般的な評価を与えられている。実際的に、彼の戯曲を読んで見ればわかるが、その圧倒されるような文章量は、他の追随を許さない。しかし、他方、シェイクスピアは必ずしも文学者だけにとどまる人物ではなかった。演劇の世界に革命を起こし、そしてその中で、音楽的な要素をもたらし、従来のイギリスの演劇の世界に音楽をもたらしたマルチクリエイターでもあったのである。

 

そもそもシェイクスピアは劇の中で音楽を巧みに使用し、その技術が非常に長けていたと言われている。彼は音楽によって、物語そのものを際立たせたり、あるいは、ストーリーの変化を効果音(SE)で表現することによって、ワーグナーの歌劇のような音楽的な音響効果を付け加えた。


残念ながら、シェイクスピアの時代の演劇に使用された音楽の資料は残されていない。しかし、それらのほとんどはポピュラー音楽に近く、短い効果音のような音響にとどめられていた。一方で、その劇伴音楽の使用法はきわめて多彩な内容であった。例えば、宴会、夜会、行進、決闘など、演劇の象徴的なシーンで、演劇のイメージを強調するような効果音が使用されていた。しかも、それは台本のト書きにも記され、「オーボエ、トランペットなど静かな音楽」と音楽監督のような指示が明確に記載されていたのである。これはシェイクスピアが完全なオペラには至らないにせよ、フランスのバレエやイタリアのオペラを演劇に導入しようとしていた形跡でもある。


また、意外と重要視されないが、シェイクスピアの演劇には音楽が不可欠だった。彼の演劇では出演者の俳優が単独で歌唱を披露したり、 リュートがその歌の伴奏として演奏されることもあった。ポピュラー音楽としての歌曲が導入されることもあり、また、詩学としての効果を強調し、短い韻を踏んだ歌曲まで披露されることもあった。イギリスのスポークンワードのような形式は元をただせば、すでに16−17世紀のシェイクスピアの時代に始まっていたのである。 

 

 

・イギリスのオペラの貢献者、ヘンリー・パーセル 


どうも音楽史を概観すると、他国の文化をライバル視することがあり、それらを巧みに輸入した上で、自国の文化として組み替える動向がある。しかし、翻って、音楽文化の源流をなすイタリアですら、ブルゴーニュやフランドル地方の音楽とは無縁ではなく、何らかの関連性を持っている。このことを勘案すると、文化という概念が一国の生産の集積だけによって形成されるとは考えがたい。これらの文明のやりとりから生じる混交性ーーそれこそが民族が移動し、流動的な文化の側面を持つ、''ヨーロッパの歴史の実態''を形作ってきたとも言えるのである。その一方で、上記の二国に続くようにして、島国であるイギリスにもいよいよ国教会の音楽やカルヴァン派の宗教音楽に続く、イングリッシュオペラが17世紀に登場することになった。

 

それまでにも、イギリスは「シアター(劇場)」の文化が国内に定着していたというが、1642年、ピューリタン革命によって劇場が封鎖された。しばらく劇場の文化は遠ざかっていたが、それが王政復古の時代に入り、復活を遂げる。これがおのずと、優れた作曲家を輩出する機会を形作った。ヘンリー・パーセルは、宮廷の侍従の父親を持ち、幼い時代を英国王室の礼拝堂合唱団で過ごした''王室お抱えの人物''である。そして、フランスがルイ国王を称賛するためのバレエを推進してみせように、イギリスもまた、王政の基盤を支えるための芸術や、その制作を推進したのである。専らパーセルが取り組んだのが、「セミオペラ」と呼ばれる形式で、音楽的には、ブルゴーニュやフランドル学派のマドリガーレや、イタリアンバロックに近い、どことなく優雅な雰囲気を持つ内容である。専門家によれば「演劇とオペラのハイブリッド」だという。

 

ヘンリー・パーセルは、ロイヤル礼拝堂、ウェストミンスター大聖堂や、その他宗教音楽の作曲家として知られている。その一方で、オペラの発展に寄与し、1688年には、ギリシア悲劇的な色合いを持つオペラ「ディドとエネアス」を作曲した。これは最も古いオペラの一つと言われている。また、その他にも、「ディオクレシアン」、「アーサー王」、「ディモン・オブ・アテネ」、そして有名な「妖精の女王」など、音楽的な側面で、歌劇に大きな発展性をもたらした。

 

「セミ・オペラ」はイングリッシュ・オペラの異名を取り、 歌、踊り、器楽を交え、演劇的なエピソードや口語劇を組み合わせた。特に、セミ・オペラは、エンターテインメントの性質が強調され、演劇の中でのストーリーの変化、機械装置、飛行など、ダイナミックな演出効果が用いられ、1673年から1719年にかけて発展していった。一般的に、セミオペラの音響効果は、シーンの切り替わりや超自然的な変化の際に使用されることが多かった。しかし、パーセルは、「マスク」としての側面で完結し、 いわば独立した音楽としての性質を強めたのである。そのため、プロットや演劇の動作と直接的にリンクすることはきわめて少なかった。

 

 

 ・シェイクスピア原作 ヘンリー・パーセル「妖精の女王」


こうした中、ヘンリー・パーセルはシェイクスピア原作を見事なセミオペラとして再編した。その音楽には、イタリアとフランスの古楽を受け継ぎ、演劇化するという意図が込められていた。


『Fairy Queen(妖精の女王』は当時一般的だったように、復古期の観客の好みに合わせるため、劇が改変された。ここでは、無名の改編者がシェイクスピア戯曲を編集し、独自の台詞や舞台指示を追加し、シェイクスピアの台詞の多くを削除し、一部を現代化、変更し、通常は各幕の終盤に向け音楽劇を挿入する機会を創出した。しかし、劇中に、多数の音楽を盛り込むため、物語の一部は簡略化され、複数の出来事の順序も変更された。1692年に初演された際、原作のシェイクスピア劇はまだ''認識''できたが、翌年の二度目の上演ではさらに音楽が追加され、劇のカットや再構成が進んだため、原作を知らない観客には物語を追うのが難しい部分も出ていた。  


1692年のこの作品の初演は費用がかさんだ。パーセルの同時代人が記すところによれば、『妖精の女王』は「シェイクスピア氏の喜劇を基にオペラとして制作された」という。 装飾の豪華さにおいては比類なく、特に歌手と舞踊家の衣装、舞台装置、機械仕掛け、装飾品は豪華に整えられ、舞台が演じられた。宮廷の人々も町の大衆もこれに大いに満足したというが、制作費が膨大だったため、劇団の利益はごくわずかであった。 初期費用の一部を帳消しため、翌年には「改訂・追加と数曲の新曲を追加して再演されたのは間違いない」と記されている。ここにもイタリアのオペラに匹敵する長大な作品を上映しようとする並々ならぬ熱意が感じられる。


タイトルは、1世紀前に書かれたスペンサーの『妖精の女王』から来ている。これはシェイクスピアの戯曲とほぼ同時期の作品。スペンサーの寓意叙事詩はエリザベス1世を称えるプロパガンダの重要な要素であり、彼女の血筋を伝説のアーサー王に結びつけ、処女王の美徳を神話化した。


『妖精の女王』の劇は五幕構成で、各幕の冒頭に器楽曲が置かれている。観客が着席する間、おのおの二曲ずつの第一楽章と第二楽章が演奏された。その後、トランペットのファンファーレで始まる序曲が劇の幕開けを告げる。幕間には場面転換中に演奏される器楽の幕間曲が配置されている。以下に紹介するのは現代的な演劇と歌劇を組み合わせたセミオペラらしいパフォーマンス。




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イギリスのインディーポップバンド、Telemanのドラマーとして活動していたHiro Amaは近年、エレクトロニック・プロデューサーとして活躍している。

 

ドラマーとしての蓄積をもとにミニマルテクノの新しい領域を開拓し、分けても、和楽と呼ばれるシンセサイザーを使用、日本の古楽の音楽のテイストと実験的なパーカッションを追求している。特に、前作『Music for Peace And Harmony』では、IDMとサティのような近代音楽の要素、ボーカル、そして日本的な旋律を散りばめて、独自のエレクトロニックの手法を確立した。

 

新作EPは、落ち着いたIDMの領域を追求していたミュージシャンが、レフトフィールドテクノに舵をとった作品だ。「平和と調和のための音楽を作り、スローでミディアムテンポのサウンドを探求した後は、まったく正反対のものを創りたかった。MFPAHの180度転換。この4曲は、私の音楽のよりエネルギッシュで身体的な側面を探求している」とHiro Amaが明かすように、これらはダンスミュージックのエネルギッシュな魅力を追い求めた作品と称せるかもしれない。

 

新作EPの発表と合わせてリリースとなったリードトラック「Lava」は、レイヴに着想を得たリズム感あふれる楽曲。脈打つベースとサイレンを思わせるシンセを基調に、グルーヴを前面に押し出しつつ緊張感、エネルギー、躍動感を生み出す。


「この曲ではビートとリズムに集中した」とヒロ・アマは説明する。「強烈でレイヴ的なものを創りたかったので、サイレン音を使ってサウンドを作り、脈打つベースを加えた。意図的に和声要素を最小限に抑え、リズムにトラックを運ばせた。メロディックな動きの代わりに、チューニングをずらしたベースで、グルーヴから外れることなく緊張感とエネルギーを生み出した」


新作EP「Booster Pack」はレフトフィールドテクノの領域での新しい挑戦となる。本作はPRAH Recordingsより4月10日にリリースされる。

 

「Lava」 

 

Hiro Ama 『Booster Pack』 EP

 

Label: PRAH Recordings

Release: 2026年4月10日

 

Tracklist: 

1.Booster
2.Cloud 9    
3.Lava
4.Projection 

 

▪Pre-order:  https://hiroama.bandcamp.com/album/booster-pack-ep

 Softcult   『When A Flower Doesn't Grow』

 

Label: Easy Life Records

Release: 2025年1月30日

 

 

Review

 

カナダのライオットゲイズ、 Softcultは、パンキッシュなイメージとシューゲイズを融合させるグループで、特にライブツアーなどで定評を獲得している。前作『Heaven』では、やや不発に終わった印象もあったのですが、最新作『When A Flower Doesn't Grow』では、さすがの実力を見せています。前作より曲がバラエティ豊富になり、音楽性の引き出しが驚くほど増えている。

 

前作では、二人の構成ということで、ギターの音圧に頼るケースが多かったものの、今回はよりバンド形式に近い録音を楽しむことができる。そしてパンクやハードロック的を以前までは強調していましたが、センス抜群のインディーポップのエッセンスを取り込むことで、聞きやすいアルバムに仕上がっています。実際的には、ソフトカルトはこれまでシングルやEPのリリースにこだわってきましたが、フルレングスを制作したことで、音楽的な広がりが出てきています。

 

アルバムは意表をつく静かなエレクトロニック/テクノ/アンビエント「intro」で始まり、それ以降、二曲目「Pill To Swallow」でソフトカルトらしいロックソングを聴くことができるはずです。この曲では持ち前のポップセンスを散りばめて、聞きやすいポップソングを下地にしつつ、おなじみの超大な音像を持つシューゲイズが加わる。特に今回のアルバムでは、ボーカルトラックに力を入れており、即効性があって感染力があるフレーズを惜しみなく歌い上げている。


また、ドラムやパーカッションの面でも、タンバリンのような音色を入れて、リズムの分厚さを出している。シューゲイズといえば、甘いメロディーに苛烈なファジーなギターが特徴ですが、基本的な形をストレートに打ち出している。しかし、このようなわりと激しい印象を持つ曲ですら、全体的な緩急を意識している。例えば、2分半前後のハードロックに依拠した間奏などはその代表例です。つまり全体的に聞き入らせるようなソングライティングや曲作りがなされていて、なおかつ聴いていて飽きさせない工夫が凝らされている。これは称賛すべき点でしょう。

 

しかし、そういったシューゲイズの基本的な曲よりも「Naive」のほうが際立っている印象がある。轟音のディストーションギター、そして超大な音像は維持しつつ、ボーカルについてはポップソングを意識している。リズム的な工夫も随所に凝らされていますが、その複雑さを経経てアンセミックなサビに来る部分で爽快感がある。いわば音楽的なフリークとそうではないファンの両方に響きそうなフレーズを大切にしています。 いつもジェンダーや政治的なメッセージを欠かさない双子のミュージシャンの音楽は、アヴリル・ラヴィーンの影響を感じさせることもあるため、実は結構ポップでミーハーと言えるでしょう。しかし、それこそが唯一無二の長所となり、ライブシーンで映えそうなアンセミックなフレーズを生み出している。また、双子らしいボーカルの息の取れたハーモニーの美しさは他のバンドでは容易には出しえない。二人は、ある意味では、Mewのような北欧的なロックバンドの清涼感のある空気感を導き出す。

 

ソフトカルトのもう一つのサウンドの特徴はメタル的なヘヴィネスを併せ持つこと。「16/25」はメタリックなドラムの連打に対して清涼感のあるヴォーカルのフレーズが特徴です。ボーカルの間に入るバッキングギターはハードロック的なニュアンスに富んでいてかっこよい。また、同じフレーズとリズムを続ける中で、1分15分以降に音楽が開けてきて、奥行きが出てくることがある。いわばボーカルとドラムがヒプノティックな効果を発揮し、トランスやレイヴのようなダンスミュージックの性質を帯びる。これは2000年以降のニューメタルのニュアンスを引き継いでいると言えるでしょう。そして、その挑戦はたぶん上手くいったのではないでしょうか。 


楽曲の構成は目まぐるしく変化し、アンセミックなボーカルを織り交ぜながら、ジェットコースターのように楽しい展開力を形作る。また、曲の後半では、90年代のグランジやストーナーへと傾倒していき、アリス・イン・チェインズやサウンドガーデンのようなグランジサウンドも登場したりしてものすごく楽しい。一曲の中で、ジャンルが移り変わっていくような柔軟性がある。それらが最終的には、80年代のハードロックやヘヴィメタル、強いて言えばメロディックメタル調の叙情性のあるボーカルのフレーズも登場する。ここまで強固なサウンドを見せつけられると、それにうなずくよりほかなくなる。つまり、新旧という概念を超えているのです。

 

また、このアルバムはソフトカルトのメンバーの音楽的な好みが凝縮されている。グランジロックとしてより濃厚になる「She Said,She Said」はオーバードライヴをかけたベースから始まるが、全体的な音楽性やボーカルにパンクのエッセンスを散りばめつつ、双子らしいヘヴィネスと毒々しさを追求している。しかし、重く、また、毒があるとは言え、音楽そのものはそれほど聞きづらくないはずです。これらの軽い姿勢とかノリの良さが楽曲全体に良い均衡をもたらしている。そして歌詞としても、なぜか口ずさんでしまうような魔力を持っているのに驚き。


「Hurt Me」は更に激しいヘヴィネスを追求していて、狂気の一歩手前まで行く。このサウンドは現代的なヘヴィメタルというより、90年代のミクスチャーロックの印象に近い。時々、横揺れのリズムを織り交ぜながら、ほどよいかっこよさを追求している。しかし、轟音を中心としたドロドロした曲はその後、急に静けさへと帰っていく。そして、その後、この曲は驚くべき変貌を遂げ、エモーショナルでアンセミックなロックへと飛躍していく。最後は、ソフトカルトの美学とも言えるアーティスティックなギターで締めくくられる。このあたりの両極端な二面性が面白い部分で、全体的にこのアルバムを楽しむ上で、抑えておきたいポイントとなるでしょう。

 

アルバムの音楽は激烈になったり、それとは対象的に精妙になったりというように、感情的な振れ幅は90年代のスロウコアに匹敵する。しかし、ソフトカルトをその存在たらしめているのは、抜群のポップセンスです。

 

「Queen of Nothing」はドリームポップの側面が色濃く出ており、聞きやすく、エモーショナルなロックソングに仕上がっている。「Queen of Nothing」はおそらく、アルバムのハイライトであり重要な楽曲でもある。怒りや轟音の向こう側にある感覚を二人は探し求めており、それが結果的に示唆されている。また、音楽的にも陰影のある切ないフレーズを呼び覚ましている。さらに、ハードコアパンクやストレートエッジに挑んだ「Tired」もかっこいい曲で、ハードロック風のエッセンスが付け加えられている。これらの反骨精神が聞きどころとなりそうです。


最新作『When A Flower Doesn't Grow』は音楽的にはなんでもありの、ごった煮のアルバムなのですが、ソフトカルトの好きな感覚がいたるところに垣間見えることがあり、なにか微笑ましい感覚に満ちています。また、終盤に収録されている「Not Sorry」はアルトロックソングとして申し分なし。Mommaの系譜にある聞きやすく、そして掴みやすいロックナンバーとなっています。

 

最後には意外な一曲が収録されています。インディーフォークに傾倒した、アコースティックギターの弾き語り曲です。前作『Heaven』では音楽性が画一的になりがちでしたが、最新作では驚くべき興味の広さを見せました。ソフトカルトはシューゲイズ、パンク、グランジ、メタルなどを織り交ぜ、クールな音楽を探求しています。 このアルバムは、カナダのデュオがまだ見ぬ領域を開拓した作品。と同時に、聴き応え十分の楽曲群によってその潜在的な能力を発揮しています。

 

 

82/100 

 

 

 


ボストンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Staci Gruber(ステイシー・グルーバー)のニューシングル「This Time Around」が公開された。ハーバードで医学の専門的な研究を行う傍ら、グルーバーは音楽活動を行っている。今回の新曲はトム・ペティを彷彿とさせるカントリー/アメリカーナを吸収した渋いロックソングである。

 

このカントリー・ミーツ・アメリカーナ・チューンはナッシュビルでレコーディングされ、タイ・ハーンドン、ジェイミー・オニールのエリック・ハルビッグがプロデュースした。 


ステイシーとマイケル・オーランド(アメリカン・アイドル)が書いたこの曲は、親しみやすく感染力のあるホンキートンク・アンセムだ。 ステイシーは、「『This Time Around』は、強引すぎる愛、遅すぎた真実、そして最も重要なときにようやく耳を傾けた心の物語なの」と語っている。 


ステイシー・グルーバーはボストンを拠点とする革新的なアーティストであり、卓越した音楽的才能、物語性豊かな作詞作曲、そして情感の深さが聴く者の心に深く響く。彼女の作品は個人的な体験と他者の感情的な物語をシームレスに織り交ぜ、孤立や孤独、そして希望といったテーマを探求する深い音楽的つながりを生み出している。

 

幼い頃から音楽はステイシーの人生に欠かせない存在だった。クローゼットの中でこっそり歌うという内向的で内省的な情熱として始まったものが、小学校で初めてソロ曲「12 Days of Christmas」を披露した際に、力強い歌声へと急速に開花した。その時、ステイシーは真の歌声を見出し、それ以来、決して振り返ることはなかった。 

 

幼少期から夏はフレンチ・ウッズ芸術祭で過ごし、音楽への深い愛をさらに確固たるものにした。タフツ大学とニューイングランド音楽院の先駆的な5年制ダブルディグリープログラムにおいて、クラシック声楽科からジャズ研究科へ移行した初の学生となったことで、彼女の歩みはユニークかつ野心的な転機を迎えた。 

 

この独特な教育背景が、彼女の多面的な芸術性を形作り、パフォーマーとしてもソングライターとしてもその多才さを磨いた。彼女の多様な音楽的影響は、アン・マレーからバーブラ・ストライサンド、カレン・カーペンター、KDラング、ビリー・アイリッシュ、ピンク・ナンシー・ウィルソン、ジョン・コルトレーンなど多岐にわたり、さまざまなジャンルが彼女独自の音楽的るつぼに浸透している。これにより、彼女は、折衷的な音楽スタイルと趣味を演奏する人気のあるGBバンドのリードボーカルとなった。 

 

ボーカリストとして音楽キャリアを積む一方で、ステイシーはまったく別の分野でも、ハーバード大学医学部の著名な教授、そしてマクリーン病院の先駆的な神経科学者として高い評価を得ています。大麻に関する彼女の画期的な研究では、さまざまな症状に対するカンナビノイドの長期的な影響の解明に焦点を当てています。 ステイシーの研究はゲームチェンジャーとなり、臨床試験に影響を与え、様々な疾患に対する大麻の潜在的な効能に関する重要な知見を提供する実世界のデータを生み出している。

 

ステイシー・グルーバーの新曲「This Time Around」は、ナッシュビルで録音され、エリック・ハルビッグ(タイ・ハーンドン、ジェイミー・オニール)がプロデュースを担当。ステイシーとマイケル・オーランド(アメリカン・アイドル)が共同で作詞作曲したこの曲は、共感できる中毒性のあるホンキートンク・アンセムだ。 ステイシーはこう語る。「『This Time Around』は、強すぎる愛、遅すぎた真実、そして最も重要な瞬間にようやく耳を傾けた心についての物語です」。 


ステイシーはダン・エイクロイド&ブルース・ブラザーズとの共演、ビリー・ジーン・キングのアンセム制作、共同制作者マイケル・オーランドとの数々の大型イベント出演で成功を収めてきた。 音楽と研究を通じて、ステイシー・グルーバーは「つながりの力」を体現している——音楽の変革力であれ、医療ソリューションの科学的探求であれ——そして「どこにいようと、人は決して一人きりではない」と私たちに気づかせてくれる。彼女はこう語る。「音楽は、人が感じるべき感情を本当に引き出せるのかもしれない…音楽が他者の視点を理解する手助けとなることを、私は常に願っている——それは最も純粋な意味での共感だ」 

 

 

「This Time Around」



▪️EN

Staci Gruber is a transformative Boston-based artist whose exceptional musical talents, storied songwriting, and emotional depth resonate deeply with her listeners. Her work seamlessly intertwines personal experiences with the emotional stories of others, creating a profound musical connection that explores themes of isolation, loneliness, and hope.

 

Music has been an intrinsic part of Staci’s life from an early age. What began as a shy, introspective passion—singing privately in her closet—quickly blossomed into a powerful voice when she performed her first solo, "12 Days of Christmas," in elementary school. It was then that Staci discovered her true voice and has never looked back. 

 

Throughout her childhood, Staci spent summers at the French Woods Festival of the Performing Arts, which further solidified her deep love for music. Staci’s journey took a unique and ambitious turn when she became the first person to transition from the classical voice program to the jazz studies department in a pioneering five-year dual-degree program at Tufts University and the New England Conservatory of Music. This distinctive educational background has shaped her multifaceted artistry and honed her versatility as both a performer and a songwriter. Her diverse musical influences range from Anne Murray to Barbra Streisand, Karen Carpenter, KD Lang, Billie Eilish, Pink Nancy Wilson, John Coltrane and more, seeping various genres into her own unique musical melting pot. This led to her becoming a lead vocalist in a popular GB band that performed an eclectic range of musical styles and tastes. 

 

While her musical career flourished as a vocalist, Staci also achieved distinction in a completely separate field as a renowned Harvard Medical School professor and pioneering neuroscientist at McLean Hospital. In her groundbreaking work on cannabis, she focuses on understanding the long term impact of cannabinoids across a wide range of conditions. Staci’s research has been a game-changer, generating real-world data that has influenced clinical trials and provided critical insights into the potential benefits of cannabis for various medical conditions.

 

Staci Gruber’s new country meets Americana rock single "This Time Around" was recorded in Nashville and produced by Erik Halbig (Ty Herndon, Jamie O'Neal). Written by Staci and Michael Orland (American Idol), the track is a relatable and infectious honky tonk anthem. Staci shares, "This Time Around is really a story of love that pulled too hard, truth that came too late, and a heart that finally listened when it mattered most". 


Staci has found success performing with Dan Aykroyd and the Blues Brothers, writing an anthem for Billie Jean King, and performing at several large events with collaborator Michael Orland. Through her music and her research, Staci Gruber exemplifies the power of connection – whether through the transformative power of music or the scientific exploration of medical solutions—and reminds us all that no matter where we are, we are never truly alone. She shares, “Maybe music really can help people feel things they need to feel… I always hope that music allows people to understand someone else’s perspective – empathy in its truest sense.” 

 

 



ウィメンズ・メンズウェアブランド、daisuke tanabe(ダイスケ タナベ)は、最新となる2026年秋冬コレクション season 04 "atom" を発表しました。コレクションのルックは以下よりご覧いただけます。


ーー前シーズンのコレクション「x」では、James Blakeの楽曲『Like the End』に端を発する危機感から、不要な関心の増幅がもたらす社会全体の「無関心」をテーマに据えました。真偽の曖昧な情報が速度優先で拡散される時代において、“x”を未定数や不確かさの象徴とし、揺らぐ真実の輪郭をグレーの階調で、未然の予兆をブルーで表現しました。


今シーズンの「atom」は、その霧を晴らすための答えを出すのではなく、霧の中にいながら希望を見失わないために個人という最小単位へ、視点を落としていく試みです。 


転換のきっかけは、昨年の夏、図らずも耳にした山下達郎氏の「アトムの子」でした。


自ずから抱いていたぼんやりとした危機感や不安を追い越し、先に体温だけを立ち上げてしまうプリミティブな力。それは「自己肯定」という別の選択が可能であることを理屈ではなく身体が先に知ってしまう、心地よいバグのような経験でした。ここで言うatomは、これ以上分割できない「不可分なもの」、外部がどれほど個を解体しようとしても奪えない核の比喩です。希望とは、世界が明るくなることを保証する言葉ではなく、今ここにある自分自身を肯定するための、静かな選択であると定義しました。


本コレクションの思想的背景には、映画『ブレードランナー 2049』が提示した実存主義があります。主人公Kが、自らが「特別な本質」を持つ複製体ではないと知った絶望の淵で、自らの意志による選択によって自らの実存(魂)を確立したように、私たちもまた、自らの手で自らを定義します。たとえ世界が無機質なグレーの階調に沈もうとも、今この瞬間を肯定すること。その静かな決意こそが、本コレクションにおける「希望」の定義です。


衣装デザイナーのRenée Aprilは、この作品を「ファッショナブルな映画ではない」と捉え、世界の湿度や汚染、厳しさに従って服を作り、物語に不要な“尖り”をあえて削いだと語っています。 さらにKは映画を通してほぼ同じ装いで生き延びる。撮影のために同型のコートが何着も用意されたという事実も含めて、衣装は装飾ではなく、環境に耐えるための「ユニフォーム」として設計されている。 私はその姿勢を、今季のコレクションに適用しようと思いました。


この視点を拡張するために、私は身体を守るために洗練されてきた機能主義の系譜に着目しました。1892年創業のD. Lewis(現Lewis Leathers)が、航空用装備「Aviakit」を手掛け、第二次大戦期のRAF(英国空軍)パイロットたちが生存のためにその装備を私費で求めた歴史は、衣服が「装い」から「防護(シェルター)」へと役割を拡張してきた過程でもあります。これらリサーチを元に、各製品の外骨格としてのデザイン画を描きました。


しかし、私が目指したのは単なる生存のための「機械」としての服ではありません。Le Corbusierが「住宅は住むための機械である」と合理性を追求したのに対し、建築家Eileen Grayはその冷徹な機械主義を批判し、デザインは身体だけでなく「精神の避難所」でなければならないと説きました。彼女にとって建築やテキスタイルは、機能を満たすだけの器ではなく、住まい手の心理的な充足までを包み込み、拡張するための装置でもあります。ーー


Photo: Taro Mizutani




今シーズンのパレットの起点は、Eileen Grayが描いたラグのデザインにあります。彼女が引く幾何学的なラインを理性、その底に流れる温かみのある配色を感情の象徴として捉え直しました。『Centimetre』などに見られる秩序ある線は、混沌を整理しようとする知性を表し、一方で豊かな色彩や手織りの質感は、人が生きるための根源的な情動を示しているように思えます。抑制されたトーンの中に置かれたブルーとゴールドは、暗さを破るための派手さではなく、静けさの中で確かに残る体温の印です。


中でもブルーは、孤独な空白の中で自らの位置を特定するための座標として配置しました。この色を、冷徹な世界の中で絶えることなく燃え続ける「青い炎」として扱っています。シルクとカシミヤのダブルフェイスは、カシミヤのマットな質感の奥から、内なる輝きとしてベージュゴールドのシルクが覗くよう設計しました。随所に走るベージュゴールドのファスナーテープも同様に、内側の熱が消えていないことを知らせる小さなサインです。また、カルガンラムのファーが幾何学的なシルエットの輪郭をわずかに曖昧にし、ベビーカーフやカシミヤと響き合うことで、コレクションに生命の揺らぎを与えています。


常に今の自分の最大出力を表現すること。次があるという考えを捨て、ひたすら「今」に勢力を注ぎ込むことこそ、黄金の朝日に繋がると信じています。



Nothing Gold Can Stay


Nature’s first green is gold, Her hardest hue to hold. Her early leaf’s a flower; But only so an hour. Then leaf subsides to leaf. So Eden sank to grief, So dawn goes down to day. Nothing gold can stay.


— Robert Frost



▪daisuke tanabe season 04 Tokyo showroom 

 

会期:2026年2月9日(月)〜 2月15日(日)

会場:3E STUDIO 

住所:〒107-0062 東京都港区南青山3-14-15 Kawamata Bldg. 2F



about daisuke tanabe:

daisuke tanabeは2024年に設立されたウィメンズ・メンズウェアブランド。映画や小説、写真を元に創作したフィクションをベースに、世界各地の伝統的な職人技術と、前衛的なテクノロジーをミックスしたコレクションを展開する。実験的なクリエイションはファッションという概念の軽やかさと、ものづくりの厳かさの両面性を表現し、ハイエンドな素材と独創的なパターンを織り交ぜて体現する。


about designer:

2021年に京都大学経済学部を卒業後、株式会社細尾に入社。2023年に独立し、ファッションブランド「daisuke tanabe」を立ち上げる。2024年2月にファーストコレクションを発表し、国内外での展開を始める。

 


トロントのシンガーソングライター、シャーロット・デイ・ウィルソンが、2月6日にStone Woman Music / XL RecordingsよりリリースするEP「Patchwork」を発表した。ウィルソンは昨年のグラミー賞にノミネートされ、また、すでに朝霧ジャムに出演したほか、単独の来日公演を行なっている。


この発表と合わせて、ニューシングル「If Only」もリリース。従来はネオソウルに属する音楽がメインだったが、今回のシングルではホーンが強調され、ジャズ風のアレンジが施されている。また、歌詞の中で「If Only」は、脆さや、手の届かない瞬間への憧れといったテーマを探求し、繊細なコーラスがミニマルなアレンジに感情的な重みを加えている。


ウィルソンは、不完全さ、本能、そして感情的な誠実さを形作るプロジェクト「Patchwork」で、新たな創作の章へと足を踏み入れる。元々は自信喪失の時期にデモとして構想されたこれらの曲は、荒削りながらも完成されたものであり、洗練よりも脆さを精神とサウンドの両面で受け入れている。昨年のシングル「Selfish」と「High Road」でカムバックを果たしたウィルソンは、サヤ・グレイをフィーチャリングした「Lean」で2026年をスタートしており、親密さと感情的な精密さで彼女の音の世界を広げた。シングル「High Road」と「Selfish」は、どちらもサヤ・グレイ、エース・G、そしてブラデン・サウダーが共作・共同プロデュースを手掛けています。


「私にとってプロデューサーとは、他に何もするなと指示を出せる人でもあり、このプロジェクトでは彼女がそういうことをたくさんやってくれました。デモを見せるたびに『あなたの作品は最高よ。そのままでいいの。他の人に持ち込まないで』って言ってくれました。それがエグゼクティブ・プロダクションなのか、それともただの親友なのかは分かりませんが」


ウィルソンの楽曲はドレイク、ジョン・メイヤー、ジェイムス・ブレイクなど多くのアーティストにサンプリングされ、ケイトラナダ、BADBADNOTGOOD、シド、オーリなどとコラボレーションし、最近ではギヴオンとのアリーナツアーも行いました。『Patchwork』では、ウィルソンは自身の軌跡を、意図、誠実さ、そして抑制をもって紡ぎ合わせた、非線形の瞬間の集合体として再構築しています。


「If Only」

 ▪️サマーソニックが25周年を迎える 2026年第一弾ラインナップが発表

昨日(2月2日)、国内最大級の音楽フェス、サマーソニック2026の第一弾ラインナップが発表されました。実はストロークスに関しては、ソーシャルメディアで事前に出演がほのめかされていました。


2026年のラインナップはThe  Strokes、L'Arc-en-Cielなど懐かしのバンドを筆頭に、 David Byrne、FKA Twigs、Kasabian、Cardinals、Jamiropuai、Suede、Le Sserafim、Cornelius、サカナクション、 Suchmos、羊文学。豪華アーティストが出演予定です。サマーソニックは8月14日から三日間にわたって開催されます。ぜひサマソニで夏の思い出を作ってみてはいかがでしょうか。


近年、アジア開催などで国際志向のビジョンも見える中、今年はより国内志向が強まりました。ロック、パンク、メタル、エレクトロニックなどサマーソニックは2000年代からジャンルを問わず国外のバンドを日本国内に紹介してきました。そんな中、ウィーザー、グリーンデイ、レディオヘッドのような存在を定着させてきた。サマーソニックも遂に25周年を迎えます。どのような事業やイベントも継続することほど難しいことはありません。クリエイティブマン代表の清水直樹氏は公式ホームページを通じて、次のようなメッセージをファンに向けて送っています。


1990年にクリエイティブマンを立ち上げて、10年後の2000年に満を持してスタートしたサマーソニック。海外に移動しなくても世界レベルの音楽フェスを気軽に楽しんでもらいたいというメッセージ(Travelling Without Moving)と共に、日本初となる東阪同日開催の大型フェスに挑みました。


初年度からGreen Dayを筆頭に多くの国内外のアーティストが出演し、2003年にはRadioheadが伝説のライブでトリを飾り名実共に世界に知られるフェスになったのです。それからは、サマーソニック出演後にBIGになっていくアーティストも次々と生まれていき、10年、20年の記念イヤーでの3日間の開催を経て、来たる2026年には25周年には過去最大の3日間で33万人の動員記録にチャレンジとなります。


過去24年でサマーソニック/ソニックマニアに参加してくれた約470万人のオーディエンスには、心からの感謝と共にもう一度忘れられない夏の日々を合作してもらいたいと願います。


来年も心躍る魅力的なACTSが、一生に一度/Once in a Lifetimeと思える気合いで、最高のライブを繰り広げる事でしょう。懐かしい再会や新しい発見がまた始まります。


▪️第一弾ラインナップがアナウンス



記念すべき25周年のサマソニ、第一弾ラインナップの発表です! まずは衝撃のデビュー以来21世紀のロックを定義付けたTHE STROKES、そして結成35周年という節目を迎える日本が誇るロックバンドL'Arc-en-Cielが、満を持してヘッドライナーとして初出演決定!


さらに、数多くのヒット曲と唯一無二のグルーヴで知られる カリスマJAMIROQUAI、BLACKPINKのメンバーとしても世界的人気を誇るJENNIE、『ストップ・メイキング・センス』、『アメリカン・ユートピア』で音楽のアートフォームを革新した音楽界の巨匠DAVID BYRNEが遂にサマソニに出演!


TikTokからスターダムにのし上がった注目のシンガーソングライターALEX WARREN、世界を魅了し続ける、マルチ・クリエイターFKA TWIGS、熱狂的ロックアンセムを放ち続けるUKロックの雄KASABIAN、プロデューサー、マルチ奏者という多彩な肩書きを持つベトナム系アメリカ人 KESHI、ダイナミックなライブパフォーマンスで世界を魅了するLE SSERAFIM、世界的アカペラグループ PENTATONIXも登場。バンドというフォーマットを革新し続ける唯一無二の存在サカナクション、ネオソウル界を代表する若き天才STEVE LACY、新たなフェーズへと突入し、再始動後ますます存在感を増すSuchmos(東京のみ)、ブリットポップを象徴する重鎮SUEDEがステージを彩ります。


『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』で一躍注目を集めブレイクしたAUDREY NUNA、オーストラリア発のR&BシンガーBOY SODA、シューゲイザー、パンク、アイリッシュ・トラッドを融合したサウンドで注目を集めるアイルランドのCARDINALS、マレーシア生まれロンドン発の次世代ポップアーティストCHLOE QISHA、国内外で高い評価を得るクリエイティブアーティストCornelius、フロリダ出身のR&BアーティストDESTIN CONRAD、アイルランド出身の気鋭のロックバンドFLORENCE ROAD、新世代インディポップデュオGOOD NEIGHBOURS。


海外ツアーも成功させ活動の幅を広げるオルタナティブロックバンド羊文学、独特の詞世界と歌声が話題のキタニタツヤ、解散を発表し日本最後のライブとなるKODALINE、圧倒的なサウンドとエネルギーでUKロック/クラブシーンに君臨するPENDULUM、メルボルン出身のインディロックバンドPRETTY BLEAK、R&Bシーン期待の新星SEKOU(シークゥ)、海外アーティストとしてサマソニ最多出演を更新!ZEBRAHEADが確実に会場を盛り上げます。



▪️サマーソニック公式ホームページ: https://www.summersonic.com/

Session Photo:  ブライアン・カルバートソンは右から二番目

スムース・ジャズ/フュージョン界を代表するイリノイ州出身のピアニスト、ブライアン・カルバートソン(Brian Culbertson)による新作アルバム『Day Trip』が完成しました。2026年3月27日に本作の日本盤がInpartmaint Inc.より発売されます。コンテンポラリージャズ、ファンク、フュージョン、そして深みのあるソウルフルなグルーヴが融合した躍動感あふれる音楽の旅。

 

コンピューターの打ち込みや近道をする事なく、楽器を使ってスタジオでライブレコーディングされた作品となっています。マーカス・ミラー、シーラ・E、ブランフォード・マルサリス、ランディ・ブレッカー、エリック・マリエンサル、アイザイア・シャーキー、カーク・ウェイラム、マイク・スターンなど世界最高峰のミュージシャンたちを迎えた至高の作品が完成しました。

 

リードシングル「On The Road」はデジタル配信が好評で、本作のエネルギーと革新性を感じられる一曲。海外でリリースされていた作品が遂に日本で登場します。スムースジャズの楽曲で、思わず旅に出たくなるようなロマン溢れるナンバーとなっています。ドライブのBGMにも最適でしょう。

 

カルバートソンはこのアルバムについてつぎのように語っています。「『Day Trip』では、自分を形作ったレコードがどんなふうに作られていたか、その原点に立ち返りたかった。コンピューターの打ち込みも近道もなく、スタジオで本物の楽器を使ってライブ録音する――そんな制作でした」


「世界最高峰のミュージシャンたちを迎え、これまでにない作品に仕上げました。作曲面でもサウンド面でも完全な冒険であり、それがタイトルの由来となりました」

 

また、長年のコラボレーターであるニコラス・コール(ブライアンと共作で9曲を制作)、ネイザン・イースト、リル・ジョン・ロバーツ、レニー・カストロ、ポール・ジャクソン Jr.、レイ・パーカー Jr.、マイケル・スティーヴァー、マイケル“パッチズ”スチュワートら一流ミュージシャンが、作品に豊かで重層的なサウンドを加えている。下記より先行シングルをご視聴下さい。

 

 

 



▪️Brian Culbertson (ブライアン・カルバートソン)  『Day Trip (デイ・トリップ) 』



アーティスト : Brian Culbertson (ブライアン・カルバートソン) 

タイトル : Day Trip (デイ・トリップ) 

レーベル : Inpartmaint Inc.

発売日 : 2026年3月27日 

フォーマット : 国内盤CD

品番 : IPM-8149

価格 : 2,970円(税込)/2,700円(税抜) 

バーコード : 4532813731490

*ライナーノーツ収録(杉田宏樹)


 

Brian Culbertson(ブライアン・カルバートソン): 

 

29枚のアルバムとBillboardチャートで40曲のNo.1シングルを誇る現代を代表する最も刺激的でジャンルを超越したインストゥルメンタリストの一人。キーボーディスト、ソングライター、プロデューサーとして活躍し、ジャズ/ファンク/R&B/ポップなどを自在に融合し、常に進化を続ける独自のサウンドを築いてきた。

 

2019年には10年ぶりの日本ツアーを行い華麗なパフォーマンスを披露した。ダイナミックなライブと壮大なプロダクションでも知られ、ナパ・ヴァレー、ニューオーリンズ、シカゴで行われる「ジャズ・ゲッタウェイ」シリーズの立役者でもある。


 

プロデューサー、アーティスト、ソングライターのフェリシア・ダグラスが、ネイチャーを共同制作者として招き、デヴィッド・ロングストレス、ダーティ・プロジェクターズ、室内楽グループ・スターゲイズによる2025年発表の絶賛アルバム『Song of The Earth』に収録された「Shifting Shalestones」を、優しく癒やされるアンビエント・リミックスに仕立て上げた。


本作はリリース当時「燃えゆく世界のための交響曲」(ニューヨーカー誌)、「自然界への逃避行」(Line of Best Fit)と称賛され、地球に降りかかる計り知れない破壊の中にあってもなお、自然の美しさを見出し喚起する作品として評価された。


フェリシア・ダグラスはさらに一歩踏み込み、自然の音を楽曲に組み込んだ。アース・パーセント/サウンズ・ライトとの提携でリリースされ、NATUREを公式アーティストとしてクレジット。ストリーミング収益が地球規模の自然保護活動に還元される仕組みだ。


私は常に『Shifting Shalestones』の環境要素を中心とした描写の簡潔さに惹かれてきたため、NATUREと共に重層的なサウンドスケープを創り出すというアイデアに心躍らせました。ボーカルの反復を駆使し、岩を踏みしめる感覚を映すように躍動的な音を織り交ぜました。地球への愛と慈しみを届ける一助となれることを光栄に思います。


『Song of The Earth』はPitchfork、The New Yorker、MOJO、UNCUT、Line of Best Fit、DIY、ArtForum、Consequence of Soundなどで絶賛された。2024年、ロサンゼルス・フィルハーモニック管弦楽団との共演でディズニー・ホールにて米国初演。本公演のチケットは完売となった。


 

 

▪️ 「Shifting Shalestones」 

 Listen: https://soundsright.lnk.to/ShiftingShalestones


▪️『Song of The Earth』 

Listen/Buy: https://dirtyprojectors.lnk.to/SongOfTheEarth

 


▪️EN 

Producer, artist & songwriter Felicia Douglass calls on NATURE as a collaborator to deliver a gentle, soothing ambient remix of 'Shifting Shalestones', originally featured on the acclaimed 2025 album Song of The Earth by David Longstreth, Dirty Projectors & chamber group stargaze.


Upon its release the album itself was heralded as a "symphony for a burning world"  (New Yorker) and an "escapist jaunt into the natural world" (Line of Best Fit), still finding & evoking a sense of natural beauty within the context of the untold destruction inflicted upon our planet.


Felicia Douglass takes this one step further by incorporating the sound of nature into the piece. Released in partnership with Earth Percent / Sounds Right, the release credits NATURE as an official artist, allowing streams to generate royalties for global conservation.


I was always drawn to Shifting Shalestones for its descriptive simplicity centered around environmental elements, so I loved the idea of creating a layered soundscape with NATURE. I played with the repetition of vocals and weaved in exuberant sounds to mirror the sense of stepping on rocks. It’s an honor to play a small part in giving love and care for the planet.


Acclaim for Song of The Earth in Pitchfork, The New Yorker, MOJO, UNCUT, Line of Best Fit, DIY, ArtForum, Consequence of Sound & more. Premiered in the US in 2024 with a sold-out performance at Disney Hall in Los Angeles with the LA Philharmonic.

Photo: Julia Griswold


ニューヨークを拠点とするシンガーソングライター兼ミュージシャン、ROREYの新曲「Temporary Tragedy」は力強く、生々しく、心に響くベッドルームポップの楽曲です。


ROREYは生々しい告白を癒しと不安を同時に呼び起こす芸術へと昇華させる。セカンドEP『Dysphoria』は、精神疾患の矛盾に恐れを知らず飛び込む作品。心に刻まれるメロディと幽玄なボーカルが、催眠的な渦巻くインストゥルメンタルと融合する。

 

長年の共同制作者であるスコット・エフマンと2021年に共同制作したこのプロジェクトは、躁状態の中で意味を求めてもがく若きアーティストの混沌、美しさ、そして方向感覚の喪失を捉えている。


新曲「Temporary Tragedy」について、彼女は「この曲は、親密さを握りしめた時に自己放棄がもたらす代償と、自分自身を選ぶことの意味について歌っている」と打ち明ける。この楽曲は、関係が崩壊した後に生じる内省と絶え間ない螺旋を描いた映画的なミュージックビデオと共に公開されている。


「このビデオは私の初めてのクィアな関係に根ざしている。そのメッセージは普遍的なんだ。時に愛は、相手がそこに到達できない時、希望と現実の間の隔たりを埋めるには十分ではない」 ROREYの音楽は単に共鳴するだけでなく、口に出すのを恐れる真実を名指しし、その感情を抱くのは自分だけではないと気づかせてくれる。

 


「Temporary Tragedy」



ROREYの楽曲はZane Lowe(Apple Music)、LADYGUNN、Atwood Magazineから称賛を受けたほか、Spotifyのプレイリスト「Fresh Finds」「Fresh Finds Indie」「New Music Daily」「New in Pop」で紹介された。 今後注目すべきベッドルーム界のニューライザーの一人だ。
 
 

▪️EN


New York–based singer-songwriter and musician ROREY transforms raw confession into art that unsettles as much as it heals.
Her sophomore EP, Dysphoria, is a fearless plunge into the contradictions of mental illness, where haunting melodies and ethereal vocals merge with hypnotic, swirling instrumentals.

Co-written and produced in 2021 with longtime collaborator Scott Effman, the project captures the chaos, beauty, and disorientation of a young artist clawing her way toward meaning in the midst of a manic episode.

Her new single "Temporary Tragedy" is powerful, raw and poignant.  She confides, "The song is about the cost of self abandonment when you grip intimacy and what it means to choose yourself."

The track is shared alongside a cinematic music video which chronicles the rumination and constant spiraling that can occur after a relationship falls apart. "The video is rooted in my first queer relationship, its message is universal: sometimes love isn’t enough to bridge the gap between hope and reality, when the other person can't meet you there."

ROREY’s music doesn’t just resonate, it names the truths you’re afraid to speak and reminds you that you’re not alone in feeling them.
 
 
 

年明け、福岡の音楽フェスティバルCIRCLE ’26の開催が発表されました。本日、続いて追加出演者、日割りが公表されました。


昨年のNHK紅白歌合戦に出演し、アコースティックセットで抜群の安定感のあるパフォーマンスを披露したユニット、ハンバート ハンバート、J-POPシーンで幅広い世代に根強い人気を誇る、KIRINJI、そして日本のポストロック/マスロックの代表格、toeの追加出演が決定しました。

 

本日、1/30(金)19:00〜早割2次チケットの先行受付(抽選)が開始となりました。テントタープエリアの指定区画、専用駐車場をセットにしたチケットの販売も行います。こちらの詳細も合わせて下記よりご確認下さい。また、イベント主催による Spotify公式プレイリストも公開されています。


CIRCLE '26は2026年5月16日から土日の二日間にわたって福岡・海の中道海浜公園 野外劇場にて開催されます。


ハンバート ハンバート

KIRINJI

toe


公演タイトル:CIRCLE '26

日程:2026年5月16日(土), 5月17日(日)

会場:福岡・海の中道海浜公園 野外劇場

開園9:30/開場9:30/開演11:00

 

■出演者(アイウエオ順)

5/16(土) Day1

Andr

思い出野郎Aチーム

ZAZEN BOYS

Ginger Root (Solo Set)

D.A.N.

toe <NEW>

ハンバート ハンバート<NEW>

フルカワミキ÷ユザーン×ナカコー

 

5/17(日) Day2

EGO-WRAPPIN’ (Acoustic Set)

小山田壮平BAND

KIRINJI <NEW>

柴田聡子 (BAND SET)

SPECIAL OTHERS

Small Circle of Friends

高野寛 MVF trio with ゴンドウトモヒコ & ITOKEN

 

他、全18組出演予定。

 

■チケット先行受付(早割2次)

①早割2次[2日通し券]¥20,000→¥19,000

②早割2次[2日通し券]駐車券付 ¥31,000

③早割2次 4枚[2日通し券(整理番号付)]・テントタープエリア指定 ¥86,000

④早割2次 4枚[2日通し券(整理番号付)]・テントタープエリア指定/駐車券付 ¥98,000

⑤早割2次[1日券]¥11,000→¥10,000

⑥早割2次[1日券]駐車券付 ¥16,000

 

受付URL:https://eplus.jp/circle-fukuoka/

受付期間:1/30(金)19:00~2/11(水祝)23:59 ※抽選・おひとり4枚制限

 

■チケット

[2日通し券]¥20,000 《学割》¥15,000

[1日券]¥11,000 《学割》¥8,000

※全自由 ※料金は税込、入園料込。※中学生以下チケット不要

《学割》対象:大学生・専門学校生・高校生。当日、学生証をご提示ください。

ご提示がない場合は当日差額をお支払いいただきます。

 

■CIRCLE ’26 Spotify公式プレイリスト

https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DXebjPzM8sHrq

 

■クレジット

主催・企画・制作: TONE / BEA

後援:FM FUKUOKA / CROSS FM / LOVE FM

 

お問い合わせ:BEA【http://www.bea-net.com/info@bea-net.com

 

■オフィシャルサイト http://circle.fukuoka.jp


時代の評価軸を静かにすり抜けながら、現在進行形で更新を続ける孤高の電子音楽家【Shinichi Atobe】。セルフ・レーベルPlastic & Soundsから初となるアルバム「Silent Way」が3月27日リリース。「Silent Way」より、「Rain 1」が本日リリース。


The solitary electronic musician Shinichi Atobe, quietly evading the era's evaluative axes while continuously updating his work in real time. His new album, Silent Way, is released on 27th March via his self-run label Plastic & Sounds.From “Silent Way”, “Rain 1” is released today.



▪️Shinichi Atobe「Silent Way」



COLORED VINYL 2LP (5,900Yen+Tax Incl.) | 2026.03.27 Release | DDJB-91267 (P&S003) | JAN 4543034054114

Released by Plastic & Sounds | AWDR/LR2

[ https://ssm.lnk.to/SilentWay ] PRE-ADD/PRE-SAVE

LP Version


▪️Shinichi Atobe「Rain 1」- Lead Single

Digital | 2026.01.30 Release | DDJB-91267_1

Released by Plastic & Sounds | AWDR/LR2

[ https://ssm.lnk.to/Rain1 ]


Sounds:Shinichi Atobe

Mastering & Cutting:Rashad Becker

Photo:Yusuke Yamatani

Design:Satoshi Suzuki


作品詳細:

本年7月突如始動させたセルフ・レーベル【Plastic & Sounds】より、二枚の12インチ・シングルを経て、現時点での集大成となる全10曲を収録したアルバム「Silent Way」がCOLORED VINYL 2LP(Gatefold Sleeve/33RPM/Limited Press)レコードとデジタルで3月27日にリリース。


マスタリング/レコード・カッティングは、ベルリンのRashad Becker。アートワークは、写真家、山谷佑介の作品を核に、P&Sの全作品を手がける鈴木聖がその世界観を構築。

昨年、10月、Resident Advisorの人気シリーズ「RA Podcast」に登場し2023年4月に行われた世界初ライブの音源が公開、渋谷WWWにて、Plastic & Soundsローンチ公演「"Plastic & Sounds" label launch party」を開催。2026年1月には、同会場のニューイヤーパーティーで名盤「Haet」のライブセットを披露。


また、前作「Discipline」がPitchforkの「The 30 Best Electronic Albums of 2025」に、そして代表曲のひとつである「Butterfly Effect」がRA(Resident Advisor)の「The Best Electronic Tracks of 2000-25」に選出されるなど国内外で注目の高まる中のリリースとなる。


Following two 12-inch singles released via the self-run label Plastic & Sounds, which launched unexpectedly this past July, the culmination of their work to date—the album Silent Way, comprising ten tracks—will be released on 27th March as a coloured vinyl 2LP (gatefold sleeve/33RPM/limited press) and digitally.

Mastering and record cutting by Rashad Becker in Berlin. The artwork centres on photographer Yusuke Yamatani's work, with Satoshi Suzuki—who handles all P&S releases—constructing the overall aesthetic.

Last October, they appeared on Resident Advisor's popular series “RA Podcast”, with audio from their world premiere live performance in April 2023 released. They held the “Plastic & Sounds” label launch party at Shibuya WWW. In January 2026, they performed a live set of their acclaimed album “Haet” at the venue's New Year's party.

This release comes amidst growing international acclaim, with their previous album ‘Discipline’ featured in Pitchfork's ‘The 30 Best Electronic Albums of 2025’, and one of their signature tracks, ‘Butterfly Effect’, selected for RA (Resident Advisor)'s ‘The Best Electronic Tracks of 2000-25’.


Tracklist:

A1. intro 6.1

A2. Phase 2

A3. TRNS


B1. Blurred

B2. Aquarius

B3. Durability


C1. Rain 1 [ https://youtu.be/SBMw7CD9ZS4?si=q1CX453hqaNhbL-P ]

C2. Syndrome


D1. Fractal

D2. Defect



▪️Biography : Shinichi Atobe


Electronic artists based in Saitama, Japan. He made his debut with the 12-inch “Ship-Scope” (2001) released on Chain Reaction, a sub label of Basic Channel, a 90s cult label leading to dub techno and then the “minimal” trend of the 00s. A decade later, in early 2010s, he released his first full-length album, “Butterfly Effect” (2014) on DDS label by lobbying of Manchester duo Demdike Stare.

Since then, he has consistently released “World” (2016), “From The Heart, It's a Start, a Work of Art” (2017), “Heat” (2018), “Yes” (2020), “Love of Plastic” (2022),  “Discipline” and the EP ‘Ongaku 1’ (2024). He has garnered a large number of music listeners as well as club audiences and has received acclaim from various music media.


Although his debut on the legendary Chain Reaction and his releases on DDS have brought him to the attention of the world, he has remained an enigmatic and rare entity.

In 2025, he established his own private label, "Plastic & Sounds" . On 27 March 2026, the album ‘Silent Way’ is scheduled for release via Plastic & Sounds.


埼玉を拠点に活動する電子音楽家。ダブ・テクノ、その後の00年代の一大潮流"ミニマル"にまで至る90年代のカルト・レーベルBasic Channel傘下のChain Reactionからリリースされた12インチ「Ship-Scope」(2001年)でデビューを果たす。その10年後となる2010年代初頭、マンチェスターのデュオDemdike Stareの働きかけによりレーベルDDSから初のフル・アルバム「Butterfly Effect」(2014年)をリリース。 


それ以来同レーベルからコンスタントに「World」(2016年)、「From The Heart, It's A Start, A Work of Art」(2017年)、「Heat」(2018年)、「Yes」(2020年)、「Love of Plastic」(2022年)、「Discipline」、EP「Ongaku 1」(2024年)をリリース。クラブオーディエンスだけでなく多くの音楽リスナーを獲得し、多様な音楽媒体からも定評を受けている。


伝説化されたChain Reactionからのデビュー、DDSからのリリースをきっかけに世界に知れ渡ることになるものの、謎めいた稀有な存在として注目をされ続けている。

2025年には自身のプライベート・レーベル【Plastic & Sounds】を設立。2026年3月27日、Plastic & Soundsよりアルバム「Silent Way」をリリース予定。


[ https://plasticandsounds.bandcamp.com ]

Weekly Music Feature: Whitelands  ロンドンのオルタナティブロックバンドのステップアップ

 


ホワイトランズは、同名の大学のキャンパスで結成された。バンドはシューゲイズに特化したインディーズレーベル、ソニック・カテドラルと契約を交わし、イギリスのシューゲイズシーンで知名度を獲得した。以降、ピッチフォークフェスティバル(ロンドン)に出演したことは記憶に新しい。ギター/ボーカルのエティエンヌは一昨年、ピッチフォークフェスティバルの前にMUSIC TRIBUNEの質問に答えてくれ、日本のアニメが大好きだと教えてくれた。また、武道館公演の秘めた野望を明らかにした。バンドは前作のミュージックビデオ撮影のため、渋谷を訪れている。


本日、ソニックカテドラルから発売されたホワイトランズのセカンドアルバム『サンライト・エコーズ』は、スローダイヴからデイヴィッド・ジョンソンまで幅広いファンを獲得した原初的なデビュー作を基盤としつつ、シューゲイザーの影から抜け出し、より大きく、より良く、明るい場所へと導く広がりのあるサウンドを構築した。 長年の協力者、イアン・フリンがプロデュース、2度のグラミー賞受賞者エドゥアルド・デ・ラ・パス(ニュー・オーダー、ザ・ホラーズ、ザ・シャーラタンズ、The KVB、ドラッグ・ストア・ロミオズ)がミキシングを担当した。 


「私たちは成熟し、リアルになって戻ってきた」ボーカル兼ギタリストのエティエンヌ・クアルティ・パパフィオはステップアップについて語っています。「それは、私たちの音楽がどれほど感情的になったかに表れています。成熟とともに新しく自信も生まれた」 見事なメロディーが随所に散りばめられているだけでなく、エティエンヌのボーカルが全編を通して前面に出ている。


「チャペル・ローン、レイチェル・チヌリリ、サブリナ・カーペンター… 。彼女たちが今の私の歌のスタイルを形作った」とエティエンヌは言う。「私は取り残されたくなかった。Reddit ではシューゲイザーのシンガーたちの現状について不満の声が上がっていますが、そこがまさにWhitelandsの真価を発揮する場だと思う。自分にもっとできることはないか試してみたかった」 


「エティエンヌが限界を打ち破っていく姿を見るのは、本当に素晴らしいことです」 ある意味ではバンドの見守り役のベーシストのヴァネッサ・ゴヴィンデンは付け加えます。「このアルバムで私たちが取った方向性がかなり好きです。 リスクを冒している。半分半分かな」 彼女の言う通り、アルバム前半はブリットポップを思わせる軽やかさがあり、曲の背景にある深刻なテーマを覆い隠している。一方後半はあらゆる意味で重みを増し、荒々しさと重厚さが加わる。


「このアルバムは『耐え抜くこと』がテーマだ」とエティエンヌは語る。 「家族が亡くなり、私は金欠で、ADHDの薬も不足していた…。苦しんでいたのは自分だけじゃなく、周りのみんなもそうだった」ヴァネッサは締めくくる。「この2年間は本当に厳しかった。宇宙が本当に俺たちを弄んだのかも知れなかった。だからこそ喪失、断絶、分裂、渇望といったテーマが込められている。でも、その向こうには結束と希望もある」『Sunlight Echoes』は、この圧倒的なバンドによる詩的でメロディアスな宣言だ。ホワイトランズは逆境に立ち向かい、勝利を収める。

 


Whitelands 『Sunlight Echoes』-  Sonic Cathedral



今週は、激戦のリリース週間といえるが、ベストアルバムとして上がってきたのは、最も意外なバンドの作品であった。前作アルバム『Night-bound Eyes Are Blind To The Day』からホワイトランズは明らかな成長を遂げている。前作を聴いて、私はこのバンドをよく分かった気でいたけれども、それは大きな誤りであったと言わざるを得ない。彼等にはぜんぜん知らない一面がたくさん残されていた。そして、まだまだ彼等には知られざる魅力があったのである。レビューを行う上でも全てを明らかにせず、知り得ない点を残しておくことは悪くないと思う。


前作では、飽くまでシューゲイズやドリーム・ポップという範疇にとどまっていたWhitelandsのサウンドであるが、最新作では必ずしもインディーズミュージックにこだわっているわけではないと思う。どころか、ザ・シャーラタンズなどの90年代のブリットポップのサウンドを踏襲した音楽性で、幅広い層のリスナーを取り込もうとしている。ギター、ドラム、そしてベースなどのアンサンブルとしての音の作り込みは緻密である。と同時に、エティエンヌのボーカルはバンドの音楽性にポップネスを付与し、全体的にキャッチーで掴みやすい音楽性が押し出されている。全体的には、Sport Teamのような明るさとはつらつとしたイメージが加わっている。

 

しかし、上記のプレスリリースを見てもわかる通り、  『Sunlight Echoes』は90年代のブリットポップの主軸に据え、ホワイトランズらしいインディーズロックのサウンドを追求しているが、同時に、明るさと暗さの二面性を映し出す作品である。まるでアルバムの前半部と後半部では、まったく別のバンドの作品であるかのように、ホワイトランズの光と影の側面を鏡のように映し出す。本作の冒頭では青春時代の謳歌を感じさせる純粋な明るさがあるが、後半部では作風が一転し、オルタナティヴロックバンドとしての影の部分が顕わになってくる。後半部では、ソングライターの内面へと鋭く沈潜し、切実なテーマが明瞭になってくる。まるでそれは外側の光を内側の影に当て、本質を浮かび上がらせるという芸術的な技法である。この二面性が、この最新作のハイライトとなり、またフルアルバムとしての完成度の高さを証明付けている。

 

表向きではポップではあるが、裏側では相当すごいことをやっている。特に、ギターの音色の作り込みが凄く、実際的に、このアルバムのサウンドを構築するために、バンドメンバーはアナログのテープのリールを前に、相当数の試行錯誤を重ねている。シューゲイズの代名詞的なギターワークも登場するが、今作で意図されているのは、旧来のシューゲイズサウンドの解体と再生である。 そしてアナログのエフェクトを主体に、それらを最終的にデジタルで出力するという面倒な作業を完成させたのが、イアン・フリンとグラミー賞プロデューサーのエドゥアルド・デ・ラ・パスだ。この三位一体のタッグによって、洗練された作品が出来上がった。このアルバムはブリットポップとシューゲイズが合体した画期的な作品で、''Brit-Gaze(ブリット・ゲイズ)''も呼ぶべきサウンドの誕生を予感させる。(ネーミングセンスはあまり良くないが)

 

全体には、バンドメンバーの人生の足跡をたどるかのように長い時間が流れている。冒頭を飾る「Heat of Summer」は昨年、単独のシングルとして公開されたが、このバンドを古くから知るファンにとっては驚きの変貌ぶりだろう。サウンドの下地は、依然としてドリーム・ポップやシューゲイズであることに変わりないが、ボーカルの印象ははつらつとしていて、ほとんど鬱屈したような感情とは無縁である。まるでロンドンの空の霧が晴れたかのようにボーカルの印象は明るく、爽快なイメージすら与える。80年代のダンスポップやディスコポップを反映させ、コクトー・ツインズのようなサウンドを押し出し、それにダンサンブルなリズムを付与している。そしてそのサウンドは、Wild Nothingの最初期のようなスタイリッシュな響きをもたらす。特に、今作ではボーカルのメロディーラインの親しみやすさに焦点が置かれ、それらは先にも述べたように、90年代のブリット・ポップの一般的なイメージを再提示する。この曲には、ポップになることを恐れないソングライターの意図を読み解くことができる。実際的に、ホワイトランズの曲の中では、最も聞きやすく、取っつきやすいナンバーとなっている。

 

今回は特に、広い層に支持されるポップソングを書くということに抵抗がなくなった印象を覚える。そして、その試みはかなり成功したのではないかと思う。それはシャーラタンズの系譜にあるポップソング「Songbird(Forever)」に目に見えるような形で現れている。レコード産業全盛期を思わせるバブリーな雰囲気、また、ある意味では英国の音楽産業が著しい存在感を放っていた独特な多幸感のある空気感が、この曲には乗り移っている。だが、依然としてホワイトランズらしさが健在で、ドリームポップやシューゲイズ風の切ないメロディーラインが耳を捉える。特に、この曲のサビ(コーラス)は、ヒットソングの定型をよく研究していて、それらを忠実に再現している。また、全体的なプロデュース/ミキシングの側面でも、ブリットポップらしさが加わり、弦楽器のアレンジがボーカルの録音と絶妙に溶け込み、美しい音響効果を作り出す。そして何より、旋律的な効果にとどまらず、Nation of Languageのようなダンサンブルなポップソングの効果が、Pet Shop Boysのようなリズミカルな乗りやすさを生み出している。ここにも、軽く聞きやすい音楽を書くことを恐れぬ姿勢が如実に反映されていると言える。この曲に見受けられるような青春の淡い味わいがアルバムの序盤のハイライトである。

 

 

「Songbird」

 

 

インタリュードのような感じで導入される「Shibuya Crossing」は渋谷交差点をテーマに選んだポストロック/音響系を基調にした一曲だ。ホワイトランズの内省的な一面を反映させた上で、渋谷で感じた近未来的な空気感を、ギターミュージックとボーカルを介して表現している。プロデュースとしては、ディレイによりプログレロック風の音響効果が加えられることも。言ってみれば、Pink Floydの最初期の傑作『Echoes』の現代版とも言える実験的なサウンド。曲の最後には、電車の発着時のアナウンスのサンプリング的なSEが登場する。この音楽により、ホワイトランズは見事に時間と空間を飛び越え、遠く離れた場所の音楽性を生み出している。

 

アルバム序盤の80年代のダンスポップ/エレクトロポップのサウンドを踏襲した音楽性は、一つの頂点を続く「Glance」で迎える。この曲は小説の一節にちなんだ前作『Night-bound Eyes Are Blind To The Day』の音楽性と地続きにあり、全般的にはドリームポップやシューゲイズの中間に属する。しかし、やはりボーカリスト、エティエンヌの印象が一変し、Sport Teamのような爽快味と甘酸っぱさを兼ね備えたボーカルが、楽曲の全体的なイメージを形成する。また、ボーカリストの情熱的で叙情的な一面ばかりに目を取られがちなのだが、バンドのアンサンブルにも刮目すべき箇所がある。ドラムの華麗なタムの演奏が、このメロディアスなポップロックソングに安定感をもたらしている。いわば、エティエンヌの人間的な成熟という表側のイメージの向こうには、全体的なバンドとしての実力の底上げの瞬間を見出すことができる。 また、ボーカルの録音でも、輪唱の形式をなぞられ、2つのボーカルを併置し、多彩なサウンドを作り上げている。しかし、同時に、それらの複雑さを帳消しにするキャッチーさがこの曲の一番の魅力である。思わず口ずさんでしまうような親しみやすさのあるボーカルのメロディー、これが商業的なポップソングを書く上では基本的には欠かせない要素になってくる。

 

中盤部を最後を飾る「Sparklebaby」はアルバムの前半部の明るさの集大成をなしている。この曲では、Beach Boysのブライアン・ウィルソンのソングライティングを継承し、それらを”モダンなドゥワップ”とも称すべき作風に置き換えている。この曲で感じられる天上的な多幸感、そして、その合間に感じられる青春のエバーグリーンな空気感が、見事なコーラスワークを通じて体現されている。前曲と同じように、複数のボーカルの録音が配され、素晴らしいハーモニーを形成している。とくに曲の終盤での声のハーモニーは息を飲むような美しさがある。こういった曲は、ゴスペルとかコラールを現代的な感性によって組み替えようというのである。

 

「Blankspace」は最もホワイトランズらしい一曲であって、 なぜか聴いているだけで元気が出てくるし、また、ふしぎと活力がみなぎってくる気がする。2000-2010年代のポスト世代のシューゲイズサウンドを彷彿とさせるところがある。Wild Nothing、DIIVといったアメリカのアルトロックシーンのバンドの音楽性を受け継ぎ、それらにブリットポップの色合いを添えている。そしてやはり、ギターは轟音でうねりまくるが、 ボーカルの聞きやすさは維持されている。

 

この曲以降がアルバムの後半部となる。明るさや爽快感、また時には多幸感のような感覚を中心としていたアルバムの前半部からの印象がガラリと変化していき、気鋭のオルタナティヴロックバンドとしての性質が顕わになる。手放しに称賛したい楽曲が3つほど収録されている。『Sunlight Echoes』の凄みは序盤にあるのではなく、後半部の畳み掛けるようなクオリティにある。 

 

「I Am Not God,An Effigy」はバンドのドリームポップの性質が色濃く反映されているが、 SlowdiveやRIDEといったイギリスのシューゲイズに、シャーラタンズのようなブリットポップの色合いを添えている。ヴァースやコーラスの箇所だけに配慮するのではなく、間奏の箇所でもしっかり聞かせどころが作られ、シンセの音色により弦楽器のような音色を作り出し、このバンドの持ち味である美的なセンスを体現させる。そしてボーカルはバンドアンサンブルの全体的な和声進行と連動するような形で、内的な苦悩を最も感情的に表現していくのである。そしてその瞬間、胸を打たれるというか、表向きの音楽の裏側にある本当の核心に突き当たる。また、そのとき、表面的なやりとりだけでは知り得ぬ本当のバンドの姿に触れたという気がする。曲の後半では、シンセ、ギターがユニゾンが描く中、主旋律としての低音部のベースが浮かび上がる。ギター、ボーカル、そしてドラムが表面的に活躍するが、ここではベースが主役になる。こういった曲を聴くと、バンドは改めてどのパートも軽視することが出来ないのである。

 

「Dark Horse」と「Mirrors」の流れは圧巻で、間違いなく後半部の最高の聞き所となる。久しぶりに聴いていて感嘆の言葉を漏らしたほどだった。2つの曲ともに、アルバムの序盤の収録曲とはまったくイメージが対照的で、いわば人生における苦悩の側面が暗示的に明らかになる。今作は立方体のようであり、一側面が見えたかと思うと、それとは別の側面が出てくる。しかしもし、その苦悩を単なる傍観者(他者)として見るのではなく、同じ立場にある追体験者(自分)として見るのであれば、その音楽には、なにかしら勇気づけられたり、鼓舞されるところがきっと見つかるはずである。音楽的な体験というのは、単なる享楽的な行為にとどまらず、まったく見知らぬ人、あるいは少しだけ知っている人との感情的な回路を作り、音楽的な側面でリンクするという行為である。えてして、彼らのサウンドに勇気づけられるものがある理由は、ホワイトランズの面々は、自らの人生に直面した際、それと闘うのである。これらの姿、あるいは勇姿ともいうべき姿勢が音楽に乗り移り、独特なカッコよさに繋がっている。いずれも楽曲も、ボーカリストとしての個性、アーティスティックな感性のあるギター、的確なリズム感を保つドラム、そして特に、存在感あるベースの化学反応により成立している。「Mirrors」はアルバムのベストトラックであり、休符を効果的に挟んだ素晴らしいアルトロックソング。ベースが凄く、絶妙な対旋律を形成する。ぜひ聞き逃さないようにしてほしい。

 

いつも私自身はアルバムは収録順に聴くため、最後の曲を重要視していて、クラシック音楽のコーダのような感じで聴くことが多い。その中で、最後の曲は、バンドが言う”結束や希望”という一つの結末を暗示している。そして後半の序盤の曲と同様に、ヴァネッサのベースが主役的な役目を担い、曲の土台や骨組みを形作っている。私は以前からバンド写真を見るとき、彼女こそバンドの司令塔のような存在であり、影のフロントパーソンではないかと思っているが、どうやらその直感は正しいのかもしれない。ホワイトランズの曲がどのように出来ていくのか、その過程を実際の演奏によって解き明かしている。この曲には、ブリットポップに対する愛情が垣間見える。それはエティエンヌの開けたような感覚のあるボーカルの歌い方や旋律に宿っている。

 

最後の曲を聴くと、彼らはおそらく、オアシス、ブラー、オーシャン・カラー・シーン、シャーラタンズ、スパイラル・カーペッツ、ハッピー・マンデーズ、ストーン・ローゼズ、ヴァーヴなど、英国音楽の全盛期をどこかで追体験したり通過してきたことを伺わせる。そして、イギリスのインディーズシーンを中心に鳴り響いていたホワイトランズの音楽が、すでに屋内の小さな会場には収まりきらず、大きな青空の下で鳴り響く時が到来しつつあることを予感させる。

 

  

88/100 

 

 

「Mirrors」

 

 

 

▪Whitelandsのニューアルバム『Sunlight Echoes』は本日、Sonic Cathedralから発売されました。ストリーミングはこちらから。 





▪️レビュー


WHITELANDS 『NIGHT-BOUND EYES ARE BLIND TO THE DAY』

Photo: Kenya Tei

オランダ系南アフリカ人のシンガーソングライター、Joya Mooiによるニューシングル「Lookalike」は、亡き兄の面影を、日常のふとした瞬間に見出してしまう体験から生まれた、深い感情を宿す楽曲。


見知らぬ誰かの歩き方、聞き覚えのある笑い声。一瞬の錯覚のような感覚が、彼がもうこの世にいないという現実と同時に訪れる。そのわずかな瞬間に宿るのは、慰めと痛みが共存する、複雑な感情だった。

 

「悲嘆とは、行き場を失った愛そのもの」。Jamie Andersonの言葉を重ねるように、Joya Mooiは“悲嘆は愛が形を変えたもの”だと捉える。「Lookalike」には、喪失への怒りややり場のない感情、そして消えることのない絆が、静かな熱量をもって刻み込まれている。存在は失われても、愛はなお燃え続ける。その事実を真正面から描いた一曲となっている。


本作は、妊娠がわかった直後という人生の転機に書かれた前作「Pay Day」に続くリリース。「Pay Day」では、不安と希望、責任が交錯する心情を、南アフリカにおいて象徴的な“給与サイクル”のリズムになぞらえて描き出した。同曲はSpotifyのR&B WeeklyやNew Music Friday(オランダ、日本、南アフリカ、ベルギー)、Apple MusicのNew Music Daily、New in R&Bなど、各国の主要プレイリストに選出され、国際的な評価を獲得している。


2025年9月には東京で初のライブを成功させ、ソウル、R&B、ヒップホップを横断するクロスコンチネンタルなサウンドを披露。しなやかな強さ、親密さ、そして変化といったテーマを軸に、表現の幅をさらに広げている。

 

2025年から2026年にかけても新作のリリースが予定されており、「Lookalike」は、人生のもっとも困難な移行期に意味と美しさを見出す、Joya Mooiの恐れを知らないストーリーテラーとしての姿を鮮明に示す楽曲となっている。また、同楽曲は、本格派のUKソウルミュージックで、ライト/ヘヴィー層を問わず、多くのリスナーに共鳴するサウンドとなっています。

 


 

Joya Mooi   「Lookalike」- New Single




[作品情報]

アーティスト:Joya Mooi

タイトル:Lookalike

ジャンル:R&B/Soul

発売元・レーベル:SWEET SOUL RECORDS 


ストリーミング: https://lnk.to/Joya_Mooi_Lookalike