South Penguin、グループ名をタイトルに据えたセルフタイトルアルバム「South Penguin」が本日、スペースシャワーからリリース。プログレともポスト・ロックとも呼ばれる東京のバンドの新作に注目したい。
 

また、アルバムのリリースを記念して、5月9日(木)渋谷WWWにて初のワンマン・ライブ「South Penguin First Oneman Show」の開催が決定。チケット販売中。アルバムの配信リンクと合わせて下記よりチェックしてみよう。


2019年の「Y」、2022年の「R」に続く、2年振りとなる新作アルバム「South Penguin」。引き続き、プロデューサーに岡田拓郎を迎えて制作された。バンドの集大成となるアルバムの登場。



South Penguin 『South Penguin』‐ New Album

 

Digital | SP3_6  | 2024.02.14 Release
Released by SPACE SHOWER MUSIC


Tracklist:

01. animal planet
02. metro
03. dance
04. empty
05. kani
06. business
07. tiger
08. teardrop
09. actress
10. suki suki daisuki

 

配信リンク:

https://southpenguin.lnk.to/SouthPenguin 

 

アルバムから最初のシングルにもなる「animal planet」は、ニューウェイブ/ポストパンクを経由したクールでブギーなダンスミュージック。図太いベースから始まる強靭なスリーピースバンドを軸としたサウンドに加え、歌詞に「ダブル浅野」を配したトレンディな一面も感じさせるメロウな「metro」。

 

続く「dance」はメロウでスロウなチルポップを奏でている。ユニークなギター・イントロからスタートする軽快なリズムが光る「empty」。御徒町の路上で5分で作ったという歌心溢れるハートウォーミングな「kani」。「マネーの虎」から着想を得たというテクノのようなミニマルな要素を持ったダンスミュージック「business」。

 


強烈なファンク・ギター/サックスを主体としたサウンドにプログレが交差するスリリングな楽曲「tiger」。ダイナミックで特徴あるリフを展開し、フリーキーなソロも配置されているアルバムの中で一番ヘビーな楽曲「teardrop」。
 

「actress」は三拍子の楽曲、美しいメロディが光る。「suki suki daisuki」は、アルバムの最後を飾るに相応しい充実の10曲が収録。ミックス/プロデュースは、岡田拓郎。 録音は、池田 洋(hmc studio)、マスタリングは、渡部牧人(PADOK)。アートワークは、町田ヒロチカが担当した。

South Penguin First Oneman Show:

 

・2024.05.09 (Thu)

 

・Open/Start 18:30/19:30


・WWW, Shibuya, Tokyo

https://www-shibuya.jp/schedule/017524.php

 
・Ticket e+:

https://eplus.jp/sf/sys/comingsoon.html 

 


・2.14 (Wed) 20:00_2.25 (Sun) 23:59 / e+先着先行発売


・3.02 (Sat) 10:00_ / e+ / PIA / LAWSON一般発売


・ADV. 3,500 Yen [+1D]



South Penguin:


2014年7月に東京で結成。2016年、EP「alaska」でデビュー。


2017年6月、台湾での初の海外ライヴを行った後、アカツカ以外のメンバーが全員脱退。その後は、サポートメンバーを迎え活動。


2017年、2nd EP「house」をリリース。2018年、中国のフェス「Taihu Midi Festival」を含む中国ツアー、2019年には、台湾のフェス「WAKE UP FESTIVAL 2019」を含む台湾ツアーを行った。そして、2019年8月、1st Album「Y」、2020年6月には7INCH「bubbles / mad love」、2022年3月には7曲入りの作品「R」を、2024年2月14日にアルバム「South Penguin」をリリース。


2024年5月09日には、渋谷WWWにて初のワンマン・ライブ「South Penguin First Oneman Show」を開催する。2021年8月には二度目の「FUJI ROCK FESTIVAL」出演を果たした。

Label: Tonal Union

Release: 2024/02/16 



Review


 カナダのBowed Guitarの演奏家によるアルバム『Imerro』は明後日発売される。既に英国の商業誌、MOJOとUNCUTでレビューが掲載済み。ディアブはギターの弓による演奏を取り入れ、抽象的なドローン音楽を生み出す。それらを、中世ヨーロッパの民族音楽、電子音楽、とりわけ、ミニマルテクノ、アンビエント、ドローンという形で昇華している。この中で、アンビエントという切り口から見ると、Stars of The Lidの音楽性を想起させるのは、レーベルのプレスリリースでも紹介されている通りである。


 このアルバムは、カトン・ディアブの史学的な音楽の興味が凝縮されている。それはアラビアとスラブを含む、「地政学的な音楽史の興味」とも換言出来る。例えば、中世ヨーロッパのスコアを再解釈したアイルランドのフォークグループ、”Lankum”の音楽を思いうかべる方もいるかもしれない。ただ、ディアブの音楽的なアプローチはそれよりもさらに古い。セルティック・フォークの源流をなす13世紀のアルフォンソ10世(Alfonso Ⅹ)というカスティーリャ国王の音楽に近い。アルフォンソ10世は神聖ローマ帝国の国王を親類に持つ人物であり、政治の為政者として知られるのみならず音楽家としても活躍した。

 

 アルフォンソの音楽には、舞踏的な要素が含まれている。そしてアラビア、アナトリア、スラブからの音楽の影響があり、中世のヨーロッパの音楽の重要な素地を形成した人物である。その後、デーン人のアイルランド・スコットランドの音楽にも強い影響を及ぼした音楽家である。これは実は修道院を中心に発展したグレゴリオ聖歌、ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナの音楽よりも数百年も早い。つまり、イタリアのバロックよりも数世紀も前の音楽なのである。

 

 カスティーリャ国王のアルフォンソ10世を筆頭に、13世紀や14世紀のヨーロッパの古楽からの影響は、「Lunar Berge」、 「Crypsis」、「Tiny Umbrellas」、「Surge Savard」に見出すことが出来るはずである。ただ、ディアブの音楽的な志向性としては、電子音楽に傾倒しており、それらがクラシック音楽とエレクトロニックの中間にある音楽としてアウトプットされる。これらの要素は、古楽に対する親しみをもたらすにとどまらず、モダンな印象を与える。特に、「Crypsis」に関しては、トイトロニカ/フォークトロニカというアイスランドの電子音楽を基調とするフォーク・グループ、mumに比する実験的な音楽性を読み解くことが出来る。

 

 C Diabのもうひとつの音楽的な魅力は、純粋なエレクトロニック・プロデューサーとしての表情にある。これらのアプローチは、ミニマル/グリッチを2000年代に生み出した複数の電子音楽のアーティストとの共通点を見いだせる。例えば、「Quatsino Sound」には、Warp Recordの所属アーティストのリミックスを手掛ける”ISAN”のモジュラー・シンセを駆使したエレクトロニックのノスタルジアを堪能することが出来る。この曲には、Aeroc(Jeff White)のような淡いロマンチシズムがちらつき、複数の要素が渾然一体となり、曲全体の空気感を作り出す。

 

 他にも、Bowed Guitarをミニマル音楽として解釈し、それらを電子音楽に近い切り口から構成した曲もある。「The Excuse Of Fiction」では、ダンサンブルなビートを生の楽器により構築している。弓のギターのベースを活かして、ポスト・ロックともエレクトロニックともつかない、アンビバレントな表現を探求している。その上に、ドローン音楽の要素を散りばめ、さらにモジュラーシンセのフレーズを織り交ぜ、前衛的な音楽を制作している。曲はダイナミックな変遷を辿り、最もノイジーになったところで、それらの音がしだいに途絶えていく。このラウドな展開からサイレンスの展開に切り替わる瞬間、爽快なカタルシスを覚えることが出来る。

 

 ドローン音楽としても興味を惹かれる曲が収録されている。「Erratum」では、ドローン音楽の始原に近づく。スコットランドのバグパイプのような楽器を独自に制作したドローン音楽の先駆者であり、日本/ニューヨークの音楽家、Yoshi Wadaの騒音的なドローンを復刻している。この曲では、金管楽器のドローンと弓のギターのドローンを組み合わせ、それらをノイズとして発現させようとしている。アプローチとしては、テープを中心にサンプリングを構築していくウィリアム・バシンスキーに近いものが感じられる。ただ、この曲に学術的な面白さが求められるのは、電子機器ではなく、アコースティックの楽器を中心にノイズを発生させていることだろう。もちろん、デジタルの出力よりもアナログの出力の方が強烈な音量を発生させられるのと同じように、「ノイズとしての限界性」を探っている。これらの前衛的な音楽性はむしろ、こなれたドローン音楽に慣れてしまったリスナーに新鮮な感覚を与えるものと思われる。

 


 C.ディアブの最新作『Imerro』は、ややマニアックな音楽性で選ばれているが、一方、前述の「Quatsino Sound」や「You'll Never Come To Dorset」のような純粋なアンビエントは、癒しの瞬間をもたらす。そしてこの電子音楽の手法にこそ、このアーティストの無限の可能性が秘められている。

 

 

 The Canadian bowed guitarist's latest album, Imerro, has been reviewed in the UK's commercial magazines MOJO and UNCUT. Diab incorporates bowed guitar playing to create abstract drones. He sublimates this into a form of medieval European folk music, electronic music and in particular minimal/glitch and ambient. The ambient angle is reminiscent of the musicality of Stars of The Lid, according to the press release.

 The album is a condensation of Katon Diab's historiographical musical interests. It can be described as a "geopolitical interest in the history of music", including Arabic and Slavic music. One might think, for example, of the music of Lankum, an Irish folk group that reinterprets medieval European scores. But Diab's musical approach is even older. It is closer to the music of Alfonso X, the 13th-century king of Castile, from whom Celtic folk music originated. Alfonso X, a relative of the king of the Holy Roman Empire, was not only known as a statesman but also as a musician.

 Alfonso's music contains elements of Butoh. There are also musical influences from Arabia, Anatolia and Slavic music, which made him an important driving force in the music of Europe during the Middle Ages. Later, he was a musician who had a strong influence on the music of the Danes in Ireland and Scotland. This is actually several hundred years earlier than the music of Gregorian chant, Giovanni da Palestrina, which developed mainly in monasteries. In other words, this music predates the Italian Baroque by several centuries.

 Influences of 13th and 14th century European antique music, especially that of King Alfonso X of Castile, are to be found in "Lunar Mountains", "Crypsis", "Tiny Umbrellas" and "Surge Savard". However, Diab's musical orientation is more towards electronic music, which is output as music somewhere between classical and electronic. These elements not only bring a familiarity with ancient music, but also give a modern impression. Especially on 'Crypsis', the experimental nature of the music can be compared to that of mum, an Icelandic folk group based on electronic music known as toytronica/foktronica.


 Another of C Diab's musical attractions lies in his expression as a purely electronic producer. These approaches find common ground with several electronic music artists who created minimalism/glitch in the 2000s. For example, 'Quatsino Sound' offers a taste of electronic nostalgia with the modular synths of 'ISAN', who has remixed several Warp Record artists. The song has a flicker of Aeroc (Jeff White) romanticism, and the various elements come together to create the overall atmosphere of the song.

 Other songs interpret bowed guitar as minimalist music, composed from an almost electronic angle. In "The Excuse Of Fiction" a danceable beat is constructed with live instruments. Using a bowed guitar bass, the band explores an ambivalent expression that is neither post-rock nor electronic. It also incorporates elements of drone music and modular synth phrases to create avant-garde music. The song goes through a dynamic transition, and at its noisiest point these sounds gradually die out. The moment when the music changes from this loud development to the development of silence is exhilarating and cathartic.
 

 The album contains songs that are also interesting as drone music. In "Erratum", Yoshi Wada approaches the origins of drone music. 

 It revisits the noisy drones of Yoshi Wada, a Japanese-New York musician and pioneer of drone music, who created his own Scottish bagpipe-like instrument. In this piece, Wada combines the drones of brass instruments and bowed guitars in an attempt to manifest them as noise. 

 The approach seems similar to that of William Basinski, who builds his sampling around tapes. What makes this piece academically interesting, however, is the fact that the noise is mainly generated by acoustic instruments rather than electronic devices. Of course, "marginality as noise" is explored in the same way that analogue output can generate more intense volume than digital output. These avant-garde musicalities are more likely to give a fresh sensation to listeners who have become accustomed to mature drone music.

 The latest work by C.Diab, "Imerro", is chosen for its somewhat manic musicality, but on the other hand, the inclusion of pure ambient, such as the above-mentioned 'Quatsino Sound' and 'You'll Never Come To Dorset', brings moments of healing. And it is in this electronic musical technique that the artist's unlimited potential lies.



 

 82/100

 

 

 

 

 

 

 

 

Press Release of 『Imerro』:

 

 

©Megan-Magdalena


 

カナダの弓奏者でマルチ・インストゥルメンタリストのC.Diab(C・ディアブ)が、2月16日にリリースする5枚目のアルバム『Imerro』を発表。さらにリード・シングル「Lunar Barge」を発表した。

 

カトン・ディアブは、幼少期に住んでいたバンクーバー島北部の壮大な大自然を想起させるサウンドスケープを創り出す。実験的なテクスチャー、民俗的な倍音、テープ操作を取り入れたC.ディアブは、その間にある未知の空間を独自に発見し、自身の作品を「ポスト・クラシカル・グランジ」と名付けた。


『Imerro』は新たな音の領域を探求し、絶賛された「No Perfect Wave」(2016年、インジャゼロ)以降、「Exit Rumination」(2018年)、「White Whale」(2020年)、「In Love & Fracture」(2021年)をリリースして築き上げてきた音世界の集大成である。ザ・ワイヤーは、この作品を "最高の意味でのアンビエント・ミュージック、つまり非侵襲的で没入できる生活のための音楽...叙事詩 "と呼んでいる。


Imerroは、2021年の7月末から8月にかけて、BC州シーダーにあるRisque Disque Studioでレコーディングされた。

 

この夏の前代未聞の2回目の「ヒート・ドーム」では、気温が40度以上にまで上昇した。常連のコラボレーターであり、エンジニアのジョナサン・ポール・スチュワートと共にレコーディングを行った2人は、"シンプルで恍惚とした即興演奏 "というプランのもと、気晴らしの少ない場所へボートでスタジオへ向かった。ディアブはこう説明する。「音楽は進むにつれて 、その顔を見せる という信念のもと、テーマ性をほとんど感じさせない創造の空間に身を置きたかった。演奏経験があろうとなかろうと、私は楽器を手に取り、音を出す。それが演奏されたければ、演奏するのだ」

 

 

「Ourselves At Least」は、リズミカルなアルバムのオープニングで、人間のようなメトロノームを核に優雅に跳躍し、深夜に創作する過程でディアブが感じた高揚感の奔流を表現している。「Lunar Barge」は、エレクトロニック/アコースティック・トランスに落ちる前に、クライマックスのピークに向かってディアブのギターを滑るような、音色を曲げる弓のような打撃が炸裂する。

 

Huun-Huur-Tuのリズミカルな作品や、アーサー・ラッセルを彷彿とさせるアニメーションのようなチェロのプレイにインスパイアされた部分もある。

 

 

  Canadian bowed guitarist and multi-instrumentalist C. Diab announces his fifth album "Imerro," out February 16th, and presents the trip-infused lead single ‘Lunar Barge’. (Real name) Caton Diab creates soundscapes that evoke the spectacular wilderness of his childhood home in northern Vancouver Island. Incorporating experimental textures, folk overtones and tape manipulations, C. Diab uniquely finds the unseen spaces in-between, and fittingly dubs his creations “post-classical grunge”. Imerro explores new sonic realms and is the culmination of a sound world that Diab has built up since the critically acclaimed ‘No Perfect Wave’ (2016, Injazero) and subsequent releases ‘Exit Rumination’ (2018), ‘White Whale’ (2020) and ‘In Love & Fracture’ (2021). The Wire calls it "ambient music in the best sense - music for living, which can be both non-invasive and immersive...epic" 


  "Imerro" was recorded in late July and August of 2021 at Risque Disque Studio in Cedar, BC, during the summer’s unprecedented second “heat dome”, which saw temperatures soaring to over 40 degrees. Recorded with regular collaborator and engineer Jonathan Paul Stewart, the pair journeyed by boat to the studio to a place with minimal distraction with a plan of “simple ecstatic improvisation.” Diab explains: “I wanted to place myself in a space for creation with little thematic pretence, with the belief that music ‘shows its face’ as you move along. I would pick up an instrument, whether I had experience playing it or not, and make a sound. If it wanted to be played, it would play.” ‘Ourselves At Least’, the rhythmic album opener gracefully leaps and bounds with a human-like metronome at its core, capturing a rush of elatedness felt by Diab over the course of its late night creation. ‘Lunar Barge’ bursts into life with tone-bending bow strikes that glide across Diab’s guitar towards a climatic peak before the track drops into an electronic/acoustic trance.
Inspired in part by the rhythmical works of Huun-Huur-Tu and the animated cello play remindful of Arthur Russell.


 
  “Lunar Barge is a track for a dry, hot night in the forest (which it quite literally was.). I roamed around the floors of the studio picking up any instrument standing out in the moment, and tried to see if it had anything to say.” ‘The Excuse of Fiction’ sees Diab return to free-flowing guitar play, the chosen instrument of his youth. He loops layers to form an ethereal backbone before plucking further melodies from the air on top. The result is a cinematic guitar-laden expanse brimming with optimism and nostalgia. The title references a quote by Zizek: “We need the excuse of a fiction to stage what we really are.” 

 

 Themes of remembrance, yearning and desire pervade the album's 9-tracks with a palpable presence as we reach ‘Quatsino Sound’, named after an inlet on Northern Vancouver Island where Diab grew up. It features hoopoe birdcalls which were sampled from a found cassette tape of African sounds before being randomized until it became rhythmic, then embellished with synth lines, bass drops, and bowed layovers.
 

 The album centres around the nocturnal ‘Crypsis’ with Diab sleepily playing notes on a switched-off Wurlitzer before dampened piano chords, bow scrapes, and noisy glitches reverberate.
‘Erratum’ erupts with untamed force from a war cry of screaming saxophone layers reminiscent of Colin Stetson. Its visceral thirst and energy seem to be a response to the heat of the night and Diab’s urge to play the instrument he loved but had yet learnt.

 ‘Tiny Umbrellas’, an improvised pass of banjo, bowed guitar and ethereal modular synths breathes a contemplative pause before ‘Surge Savard’ chimes in. This whirlwind closer started life as a longform jam under the influence of psychedelics; its modular synth, air organ, guitar and sax lines were initially improvised with final touches made at Watch Yer Head studio. 

 ”Imerro” is a collection of song odes to both heat and desire, closely felt. Its title literally presented itself to Diab from a random page contained in a poem by Ezra Pound found in the book ‘The Imagist Poem’. Searching for its meaning, Diab discovered that Imerro is “a Greek word for ‘desire for, I desire you’, yet nothing could substantiate its truth. “It made sense, almost like it had chosen me. An obscure word for Desire, one that might not even exist, or is so ancient that nobody really remembers it meaning anything. It's just a sound, like an album.”

”Imerro” finds Caton at his most expressive and free-spirited. Inviting the music to find him, almost by osmosis, foregoing any preconceptions of playing any instrument he is unfamiliar with or regrets not learning during adolescence. This is music for wide screens: the result is an undeniably evocative, moving and mysterious voyage. 


C. Diab — ‘Imerro’ is released on Tonal Union on February 16th, 2024

 

©Holly Witaker


ロンドンのGoat Girl(ゴート・ガール)が次作アルバムを発表。『Below the Waste』は6月7日にラフ・トレードからリリースされる。

 

バンドのロッティ・ペンドルベリー、ロージー・ジョーンズ、ホリー・マリノーは、2021年の『On All Fours』に続く作品を、ブラック・ミディやランカムの作品で知られるジョン・スパッド・マーフィーと共同プロデュース。

 

リード・シングル「ride around」は下記をチェック、アルバムのアートワーク(トビー・エヴァンス=ジェスラとエイダン・エヴァンス=ジェスラによる)とトラックリストについても下記より。


「当時、フィリップ・グラスやディアフーフの音楽をたくさん聴いていて、緊張と決着の関係を弄んでいたんだ」

 

「当時は、みんなと同じように、私たちも互いに孤立していたからかもしれない。でも、それ以上に、私が夢見た会話は、私たちが必死にしがみついている礼儀作法を取り去り、自分自身の最も興味深い部分が抑圧されがちな水面下の部分まで踏み込んでいくような、深いものだとも感じていた」


この曲には、フォーリン・ボディ・プロダクションズのルーク・クルクンディスとマテオ・ヴィラヌエヴァ・ブラントが監督したミュージック・ビデオが付属している。映像の概要は以下の通り。

 

「この映画は、欲望と繋がりに対する恐怖の双方を通して、アウトサイダーというテーマを探求している。"資本主義の閉塞感と不条理な平凡さにまみれた、殺風景な世の中での奇妙な一体感''をね」

 

 

「ride around」


 

 


 

サウス・ロンドンのトリオ、Goat Girl(ゴート・ガール)がニューアルバムのセカンド・シングル「motorway」のミュージックビデオを公開した。


プレスリリースの中でペンドルベリーは、"motorway "は「声を中心にした曲を書きたいという願望から生まれた」と語っている。

 

「ヴォーカル・ラインが予期せぬ展開やメロディーの展開によって注目を集める音楽をたくさん聴いているうちに、同じようなことをやってみたいと思った。シンプルなサブ・ベース・ラインに座って、声を好きなように動かして実験し、その瞬間をとらえるために自分のビデオを録画した」

 

「最初は「Driving on the motorway」しか歌詞がなくて、繰り返し歌ってみんなを困らせていた。それがとてもキャッチーなリフになり、この曲のオープニング・ラインとして、そしてもちろんメイン・テーマとして定着した。車の後部座席に座っている子供のような、どこに向かっているのかわからないけれど満足感を感じているような、あるいは新しい街で過ごすつかの間の瞬間のような、目的地よりもむしろ旅が主な要素のように感じられることがあるような、そんな気持ちを思い起こさせた」


「一緒に作曲しているうちに、自然とエレクトロニックなサウンドに惹かれるようになり、それがこの曲のポップなスタイルに合っていた。バンドとして、私たちは90年代のポップ・ミュージックへの愛を共有しており、Kid Cudiの'Pursuit of Happiness'や'Day n Ni'のようなトラックを参考にしている」

 

 

「motorway」


Goat Girl 『Below the Wast』

Label: Rough Trade

Release: 2024/06/07

 

Tracklist:


1. reprise

2. ride around

3. words fell out

4. play it down

5. tcnc

6. where’s ur <3

7. prelude

8. tonight

9. motorway

10. s.m.o.g

11. take it away

12. pretty faces

13. perhaps

14. jump sludge

15. sleep talk

16. wasting



Pre-order:

https://goatgirl.ffm.to/belowthewaste 

 


アラバマ州出身のフォークシンガー、ケイティ・クラッチフィールドことWaxahatchee(ワクサハッチー)は、3月22日にANTI-からニューアルバムをリリースする。そのセカンド・シングル「Bored」のミュージック・ビデオを公開した。コルベット・ジョーンズとニック・サイモナイトが監督した。クラッチフィールドと彼女のバンドがバーで演奏するシーンがメインとなっている。


クラッチフィールドはプレスリリースで "Bored "について次のように語っている。 「曲を書くときの私のコンフォート・ゾーンは、悲しみや心痛といった感情のスペクトラムのどこかにあるという気がする。幸せなところから書くのは怖くて。切実すぎるし。怒りはさらに怖い。Bored」は、怒りが必要とされ、自分が経験していることについて書く唯一の正真正銘の場所だった、そんな状況について書いた。それは私にとって挑戦であり、'Bored'はその結果でもある」


ワクサハッチーは以前、MJ Lendermanをフィーチャーしたアルバムのファースト・シングル「Right Back to It」を公開した。


『Tigers Blood』は、『Saint Cloud』に続く作品。2022年、クラッチフィールドはジェス・ウィリアムソンと組み、Plains(プレインズ)を結成し、デビューアルバム『I Walked With You A Ways』をANTI-からリリースした。


この新作には、フィルとブラッド・クックに加え、スペンサー・トゥイーディーも参加している。テキサス州国境の町トルニロにあるソニック・ランチでレコーディングされた。ブラッド・クックがプロデュース。

 

ニューシングルはお馴染みのアメリカーナをベースとして、ロック寄りのアプローチが選ばれている。バンドとしてのセッションの醍醐味がミュージックビデオからも伺いしることができる。


「Bored」

 


 

 

 

JAZZの新世代として注目を集めるピアニストの壷阪健登とベーシスト/ヴォーカリストの石川紅奈によるユニット、soraya。1st Album「soraya」のリリースが3月13日に決定。アルバムより「風の中で」が本日配信される。


2024年3月29日(金)には「soraya 1st Album Release Live "ゆうとぴあは そこに"が東京キネマ倶楽部で開催決定。現在チケット発売中。アルバムの配信リンクと合わせて下記よりご覧下さい。

 

先行リリースを行っている「ひとり」は、sorayaとしてはじめて作った星座にまつわる内容でsorayaのテーマ曲といえる。同時にリリースされた「ちいさくさよならを」はピアノ、パーカッション、フルートによるアンサンブルが心地よい雰囲気を作り、童謡さながらに誰でも親しめるメロディが融合している。

 

セカンドシングルとしてリリースされた「BAKU」は幻の動物をテーマにしたワーク・ソング。リズムマシンに加えて、民族音楽から着想を得た様々なリズムを取り入れたトラックに、「バクバク...」の連呼が癖になる。

 

サードシングルとなった「耳を澄ませて」は「自由」をテーマに、彼らのホームであるジャズの要素を取り入れたポップソング。

 

4作目のシングルとなった「ゆうとぴあ」は、マリンバ、ストリングスなどを導入したsorayaによるエキゾチカ解釈となっており、ゴージャスでロマンティックなサウンドとなった。カール・ブッセの「山のあなた」に触発を受けて制作された。

 

先行シングル以外のアルバム収録曲「風の中」は、大自然の中で前へ前へと駆け抜けるような清涼感のあるサウンドが魅力。歌詞をRuri Matsumuraに依頼し、制作された。「ルーシー」は、美しいアコースティックギターが全体を彩るフィルム映画のような温かさを思わせる。「レコード」は、sorayaらしいジャパニーズ・シティ・ポップ/歌謡曲とも言える曲。可愛らしくて、一癖あるメロディが良いアクセントとなっている。アルバムの最後を飾るのは、ピアノ、ボーカル、ベースのみのシンプルなスピッツのカバー、「愛のしるし」が収録されている。

 

本作のサウンドプロダクションには、sorayaと親交を持つ気鋭のミュージシャンを起用した。レコーディング/ミックスには葛西敏彦と吉井雅之を起用。

 

sorayaは3月29日にリリース記念ライブの開催を発表しました。詳細についてはこちらからご覧下さい。アルバム発表後の情報はこちら




・soraya「soraya」‐ New Album

 



Digital/CD [4543034053032] | DDCB-13056 | 2024.03.13 Release
Released by B.J.L. X AWDR/LR2



01. ひとり
02. 風の中で
03. ルーシー
04. ゆうとぴあ
05. BAKU
06. ちいさくさよならを
07. レコード
08. 耳を澄ませて
09. 愛のしるし

アルバムより「風の中で」が本日配信。

PRE-ADD/PRE-SAVE:

https://ssm.lnk.to/soraya

 

・soraya「風の中で」‐ Lead Single



Digital | DDCB-13056_5 | 2024.02.14 Release
Released by B.J.L. X AWDR/LR2

 

配信リンク;

https://ssm.lnk.to/kazenonakade 



lyric: Ruri Matsumura
music: Kento Tsubosaka
bass&vocal: Kurena Ishikawa
piano&arrangement: Kento Tsubosaka
guitar: Taka Nawashiro
marimba: Tomoko Yoshino
drums: Tomoaki Kanno
recording: Takuma Kase
recording&mix: Toshihiko Kasai



2024年3月29日(金)には「soraya 1st Album Release Live "ゆうとぴあは そこに"が東京キネマ倶楽部で開催決定。現在チケット発売中。

 

 

 

・soraya 1st Alubum Release Live  "ゆうとぴあは そこに"



・2024.03.29 (Fri)


・Open/Start 19:00/19:30


・東京キネマ倶楽部 TOKYO KINEMA CLUB, Tokyo


・Ticket PIA [ 0570-02-9999 ] 

・e+ [ https://eplus.jp/sf/sys/comingsoon.html ] 

・LAWSON [ 0570-084-003 ]


・[前売 / ADV. ] 5,000 Yen [+1D]



soraya:

 

JAZZフィールドで活躍中の音楽家、壷阪健登と石川紅奈による、国も世代も超えて分かち合うポップスをお届けするユニット。


海の向こうのお気に入りのアーティストの曲名、中東の国の親しみのある女性の名、宇宙に浮かぶ星団の名でもある「soraya」(ソラヤ)という、遥か遠くの何処か想起させる、不思議で親しみやすい響きの言葉を由来とする。


2022年4月シングル「ひとり / ちいさくさよならを」でデビュー。2023年夏は「Love Supreme Jazz Festival Japan」や「日比谷音楽祭」などのフェスへも出演。


各メンバーのソロ活動も活発化しており、石川紅奈は2023年春にVerveよりメジャーデビュー。壷阪健登も国内での単独公演を成功させ、スペイン「San Sebastian Jazz Festival」への出演を果たすなど、ミュージシャンとして世界への拡がりを見せている。


3月13日にsorayaとしてファースト・アルバム「soraya」のリリースが決定。3月29日(金)には、集大成となるリリース・ライブを東京キネマ倶楽部で行う。

 

©︎Gem Hale

アトランタ発のポストパンクバンド、Omniは、今週金曜日にリリースされる『Souvenir』から最終プレビューを公開した。Zach PylesとAJ Holderが監督したビデオは下記よりご覧下さい。

 

最終シングル「Compliment」はラフなロックの音楽性を選びながらも、Omniらしいユニークな性質が表れている。Devoの70年代のニューウェイブのシュールさ、Bad Company、Blue Cheersのような原初的な米国のハードロックバンドとの共通項も見いだせる。つまり、このシングルにはUKのポストパンクバンドとの親和性もあるが、ブルースロックに近い渋さが最大の魅力だ。その中にはガレージ・ロックに近い小規模のセッションの面白さ、そしてラフさもある。


Omににとって未知の領域を探求する「Compliment」はボディアスなギターワークをフィーチャー。「ポストモダンの世界におけるポスト・モダニズムとの戦いが描かれている」 という。

 

 

 「Compliment」

 


『Souvenir』は2月16日にSUB POPから到着する。先行シングルとして、「Exacto」「Plastic Pyramid」(AutomaticのIzzy Glaudiniをフィーチャー)、「INTL Waters」が公開されている。

 

 

 

©Tim Nagle


ツイン・ピークスのバンドリーダー、カディアン・レイク・ジェイムスが、lake j名義でのソロデビューアルバムを発表した。リードシングル「My Own Mess」とアルバムのジャケット、トラックリストは以下をチェック。


『Dizzy』には、WhitneyのJulien Ehrlich、Max Kakacek、Will Miller、Malcolm Brown、FINOMのMacie Stewart、Yuma Abe(阿部勇磨)、Andrew Humphrey、そして、ジェームスのツイン・ピークスのバンドメイト、Colin Croomなど、シカゴのミュージシャンが参加している。



「My Own Mess」




Lake J 『Dizzy』

Tracklist:

1. My Own Mess

2. What You See

3. Wild Wind

4. Don’t You Lie

5. Often My Mind

6. Ten to the Day

7. Tell Me Something Good

8. Keeping Score

9. Looming Towers

10. Sparrow



Pre-order: 

 

https://lakej.bandcamp.com/album/dizzy 

 


ジェシカ・プラット(Jessica Pratt)が4枚目のアルバム『Here in the Pitch』を発表した。5月3日にCity SlangとアメリカのMexican Summerからリリースされる予定だ。


リード・シングル「Life Is」は、コルビー・ドロッシャーと共同監督し、2023年後半にニューヨーク周辺で撮影されたビデオとともに本日公開された。また、カバー・アートとトラックリストは以下を参照のこと。


「ある意味、偽旗のようなものだ」とパットはニュー・アルバムの冒頭を飾る「Life Is」について」とパットは語った。人生は行ったり来たりで、思ったところに着地できなかった。この曲は第3幕で、暗くなる前にまた馬に乗ろうとしているの」


プラットは、ブルックリンのゲーリーズ・エレクトリック・スタジオに戻り、マルチ・インストゥルメンタリスト/エンジニアのアル・カールソン、キーボーディストのマット・マクダーモット、ベーシストのスペンサー・ザーン、パーカッショニストのマウロ・レフォスコらと協力しながら、アルバムのレコーディングを行った。ライリー・ウォーカー、ピーター・マッジ、アレックス・ゴールドバーグもこの作品に名を連ねている。


「このアルバムを作っている間に、カリフォルニア・ドリームのダークサイドを象徴する人物に取りつかれたんだ。私は本当に完璧主義者なんだ。私はただ正しい感覚を得ようとしていただけで、それには長い時間がかかってしまう」






Jessica Pratt 『Here in the Pitch』



Label: City Slang/ Mexican Summer
Release: 2024/05/03

Tracklist:

1. Life Is
2. Better Hate
3. World on a String
4. Get Your Head Out
5. By Hook or by Crook
6. Nowhere It Was
7. Empires Never Know
8. Glances
9. The Last Year




 

パール・ジャムが次作アルバム『Dark Matter』を発表、タイトル曲も公開した。2020年の『Gigaton』に続くこのアルバムは、モンキーレンチ・レコードから4月19日にリリースされる。タイトル曲「Dark Matter」の視聴、アルバムのジャケットとトラックリストは以下を参照のこと。


新作のプロデュースは、マイリー・サイラス、ポスト・マローン、オジー・オズボーンなどのアーティストを手がけてきたアンドリュー・ワットが担当。「この1年、彼と一緒にスタジオにいた時、彼は僕らの尻を蹴り上げ、集中させ、次から次へと曲を演奏させた。ギタリストのマイク・マクレディはClassic Rockのインタビューでこう語っている。「アンドリューはこう言ったんだ。君たちはレコードを作るのに時間がかかるだろう。今すぐ、これをやろうじゃないか」


「最初の2枚のレコードのメロディとエネルギーがある。アンドリューは、私たちが長い間やってきたように、ハードでメロディアスで思慮深い演奏をするよう、私たちを後押ししてくれた」とマクレディは付け加えた。


「マット・キャメロンのドラミングには、彼がサウンドガーデンでやっていたことと同じ要素があるような気がする」




 
 
「Running」 ー 2ndシングル
 
 

 
カムバック・シングル で複数のビルボード・ロック・チャートのトップを飾ったオルタナティゔロックバンド、パール・ジャムが、ラウドでファストでパンキーな 「Running」をリリースした。


このナンバーには、独特のチャント調のギャング・ヴォーカル・コーラスがあり、そのリフはベーシストのジェフ・アメントが作った。


「ギタリストのストーン・ゴッサードは、SPIN誌にこう語っている。「ブリッジが大好きなんだ。マクレディが弾いているコードが一体何なのかわからないけど、オリジナルなものに聞こえるんだ」


「Running」は、ロサンゼルスのリック・ルービンのシャングリ・ラ・スタジオで、プロデューサーのアンドリュー・ワットと録音した最後の曲。「もう1曲アップテンポの曲を作るのは楽しかった」とゴッサードは語り、フロントマンのエディ・ヴェダーの 「ここぞという箇所のヴォーカルの器用さ、そしてアルバムの他のいくつかの箇所でのヴォーカルは本当に見事だ」と付け加えた。


ヴェダーは今週ロンドンを訪れ、長年続いているティーンエイジ・キャンサー・トラストのベネフィット・コンサート・シリーズの一環としてザ・フーと歌った。木曜日(3/21)、彼はロンドンで招待客を前に「Dark Matter」を初披露した。2月にロサンゼルスのトルバドールで開かれたリスニング・パーティーと同じように、彼は、午後の観客にテキーラのショットを注いだ。


2ndアルバムは2020年の『Gigaton』の続編。5月4日のバンクーバーを皮切りにマルチレッグのインターナショナル・ツアーが予定されている。
 
 



後日掲載されたアルバムのレビューは下記よりお読み下さい。







Pearl Jam   『Dark Matter』



Label: Monkenwrench
Release: 2024/04/19



Tracklist:

1. Scared of Fear
2. React, Respond
3. Wreckage
4. Dark Matter
5. Won’t Tell
6. Upper Hand
7. Waiting for Stevie
8. Running
9. Something Special
10. Got to Give
11. Setting Sun


Pre-order:


 
 
 
・ロイヤル・アルバートホールで開催されたThe Whoのコンサートにエディー・ヴェーダーが出演


パール・ジャムのエディ・ヴェダーは、3月24日に行われるティーンエイジ・キャンサー・トラストの慈善コンサート・シリーズのフィナーレで、大物アーティストと共演する予定だったが、3月20日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われたザ・フーのセットで、数日早く登場した。


ヴェダーは、長年ティーンエイジ・キャンサー・トラストのキュレーターを務めてきたロジャー・ダルトリー、ピート・タウンゼントらとともに、『クアドロフェニア』から「パンクとゴッドファーザー」を演奏。

 

マイクチェックで「アイ・ラブ・ユー・ロジャー、アイ・ラブ・ユー・ピート」。アーティストは、ティーンエイジ・キャンサー・トラストの過去のチャリティにも出演しており、今日はロンドンでパール・ジャムのニュー・アルバム『ダーク・マター』のリスニング・パーティも開催される。


ダルトリーは、ロバート・プラント、ケミカル・ブラザーズ、ノエル・ギャラガーのハイ・フライング・バーズ、スクイーズなどが出演した今年のシリーズを最後に、キュレーターのバトンを渡すことになる。ティーンエイジ・キャンサー・ターストによると、ダルトリーは過去20年間で4,000万ドルの資金調達に貢献し、その資金は "NHS内の28の専門ユニット、専門看護師やユースワーカーのための基盤 "となり、がんで世界がひっくり返った若者に寄り添う。


コンサートは、今夜はギャラガーとスペシャル・ゲストのブロッサムズ、明日はヤング・ファーザーズ、23日はケミカル・ブラザーズ、24日はダルトリー、ヴェダー、プラント、ポール・ウェラー、ステレオフォニックスのケリー・ジョーンズという豪華な顔ぶれが出演します。

 

 


Rafael Anton Irisarri  『Midnight Colours』 (Remastered)

 

 

Label: Black Knoll Editions

Release: 2024/02/ 09


Review

 

ニューヨークの気鋭のプロデューサーが示す「終末時計」


 ニューヨークのエレクトロニック・プロデューサー、ラファエル・アントン・イリサリはアンビエントシーンの中心人物として知られ、その作風は幅広い。最初期はピアノを基調とするポスト・クラシカルや、活動中期に入ると、ノイズ・アンビエント/ドローンの音楽性を押し出すようになり、ときにそれは純粋なノイズ・ミュージックという形でアウトプットされる場合もある。


 アーティストはウィリアム・バシンスキーや坂本龍一など、最もニューヨーク的なアンビエントを制作することで知られる。イリサーリの音楽性の核心をなすのは、ゴシック/ドゥーム的とも言えるメタリックな要素であり、それらがノイズの形質をとって現れる。例えばGod Speed You ,Black Emperorのようなポスト・ロックのインストともかなり近いとうように解釈出来るわけである。もちろん、カナダのバンドのように、現実的な神話の要素を内包させていることも、それらの現実性を何らかの難解なメタファーにより構築しようというのも共通項に挙げられる。


 このアルバムは長らく廃盤になっていた幻の作品の再発である。以前の作品と同様に、難解なテーマが掲げられている。『Midnight Colours』は単なるアルバムをはるかに超えた、人類と時間との間の謎めいた関係の探求である。世界の存亡の危機を象徴する「終末時計」の音による解釈として構想されたイリサリの作品は、リスナーに私たちの存在の重さと、それを包む微妙なバランスについて考えるよう招来している。「夜の影の中に共存する不安と静謐な美しさの両方、時間と人間の関係の本質を捉えたかった」とイリサリは説明する。「ヴァイナル・フォーマットは、リスナーに音楽と物理的に関わるように誘い、体験に触覚的な次元を加える」

 

 いわば、純粋な音源というよりも、フロイドやイーノ、そして池田亮司のような音と空間性の融合に焦点が絞られている。そういった楽しみ方があるのを加味した上で、音楽性に関しても従来のイリサリの主要作品とは異なるスペシャリティーが求められる。ノイズ、ドローンの性質が強いのは他の作品と同様ではあるものの、イリサリの終末的なエレクトロニックの語法は、1つの音の流れや作曲構造を通じて、壮大なアプローチに直結する。音の流れの中に意図的な物語性を設け、それらをダニエル・ロパティンの最新作のように、エレクトロニックによる交響曲のように仕上げるという点は、今作にも共通している。それが最終的にバシンスキーのようなマクロコスモスを形成し、視覚的な宇宙として聞き手の脳裏に呼び覚ますことも十分ありうる。


 「The Clock」では、『インディペンデント・デイ』で描かれるような映画的な壮大なスペクタルを、エレクトロニック、アンビエント、ドローンという制作者の最も得意とする手法によって実現させていく。それはやはり、米国的なアンビエントといえる。Explosions In The Skyのようなポストロックバンドにも近似する作曲法によって重厚感のあるアンビエントが構築される。

 

 しかし、ウィリアム・バシンスキーの直近のアンビエントと近い宇宙的な響きが含まれていることを踏まえた上で、近年のイリサリの作品とは明らかに異なる作風が発見出来ることも事実である。まず、この曲にはドゥームの要素はほとんど見いだせず、アンビエントの純粋な美しさにスポットライトを当てようとしている。そして、「Oh Paris, We Are Fucked」ではより静謐なサイレンス性に重点を置いた上で、その中に徐々に内向きのエネルギーを発生させる。これは近年の作風とは明瞭に異なる。しかし、一貫してノイズに関してのこだわりがあるのは明確なようで、曲の中盤からは静謐な印象があった序盤とは正反対にノイズが強められる。そして雑音を発生させるのは、美麗な瞬間を呼び起こすためという美学が反映されていることがわかる。この点において、オーストリアのFennes(フェネス)と近い制作意図を感じることが出来る。



 そして、最近のウィリアム・バシンスキーの近未来的なアンビエントに近い雰囲気のある音楽性も続く「Circuits」に見いだせる。この曲では、アントン・イリサリとしては珍しく、感覚的な音楽を離れて、より理知的なイデアの領域へと近づいている。その中に内包される終末時計という概念は、よりこのアンビエントのイデアを高め、そしてそれらの考えを強化している。


 しかし、イリサリにとっての終末的な予感とはディストピア的なものに傾かず、より理想的で開けたような感覚を擁するアンビエントの形に繋がっている。これがつまり、恐ろしいものではなく、その先にある明るい理想郷へと聞き手を導くような役割をもたらす可能性を秘めている。

 

 さらにイリサリのアンビエントとは一風異なる音楽も収録されていることは心強い。「Every Scene Fade」はホワイトノイズを交えながら、ダブステップのようなダンスミュージックの要素を突き出した珍しい曲である。ここにはホーム・レコーディングの制作者ではなく、実際のフロアでの演奏者/DJとしてのアーティストの姿を伺える。しかし、それらのリズム的な要素は、抽象的なアンビエントをベースにしており、やはりオウテカのようなノンリズムによって昇華される。サウンドスケープの抽象性に重点が置かれ、カルメン・ヴィランのようなリズム的な要素が主体となることはほとんどないのである。そして、それらはやはり、ドローンを中心点として、パンフルートのような枯れた音色や、ストリングの音色を通じて、驚くほど明るい結末を迎える。近年では、暗鬱な音楽が中心となっている印象があったが、この曲ではそれとは対極にある神々しさが描かれる。それはイリサリの従来とは異なる魅力を知る契機となるに違いない。


 他にも意外性のある楽曲が収録されている。「Two and Half Minutes」ではダニエル・ロパティンのようなミニマル音楽のアプローチを取っているが、これはこれまでのイリサリのイメージを完全に払拭するものだ。これまでのダーク・アンビエントとは対象的に、祝福的なイメージを短いパルス状のシンセによって描き出そうとしている。これもまた鮮烈なイメージを与えるはずだ。従来と同様、ノイズ・アンビエントとしての究極系を形作るのが「Drifting」となる。旧来のゴシック/ドゥームの枠組みの中で、ギター演奏を取り入れ、抽象的なサウンドを構築していく。ドビュッシーの「雲」のように、それまで晴れ渡っていた空に唐突に暗雲が立ち込め、雲があたり全体を覆い尽くすようなサウンドスケープを呼び覚ます。アンビエントは手法論としての音楽とは別に、音楽そのものがどのようなイメージを聞き手に呼び覚ますのかが不可欠な要素であり、それをイリサリは自らの得意とする表現方法により構築していくのである。

 

 そして、イリサリはアンビエントを一つの手段とは考えていないことも非常に大切であると思う。上述した「Oh Paris, We Are Fucked」と同じように、制作者の考える「美しいものとは何か?」という答えらしきものが示されている。結局のところ、アンビエントは、制作手段が最も大切なのではなくて、何を表現したいのか、それを表現するための精神性が制作者にしっかりと備わっているのかどうかが、音楽性を論ずる際に見過ごすことの出来ぬ点である。それが次いで、聞き手のイメージをしっかりと呼び覚ます喚起力を兼ね備えているかというポイントに繋がってくる。これらの作曲性はリマスターによって荘厳で重厚感のある音楽へと昇華される。

 

 クローズ曲は、イリサリの最高傑作であると共に、「電子音楽の革命」と称せるかも知れない。本曲でのアンビエントは、「終末時計」という制作者の意図が明瞭に反映されている。それは映画に留まらず、オーケストラの弦楽に比する重厚な響きを形成するに至る。もしかすると、イリサリは今後、映画音楽やオーケストラとの共演等を行う機会が増えるかもしれない。もしそうなったとき、アンビエントの先にある、未来の音楽が作り出される可能性が高い。本作は音楽の過去ではなく、音楽の未来を示唆した稀有なエレクトリック・ミュージックなのだ。

 

 

 

86/100 

 

Itasca 『Imitation of War』 

 

 

Label: Paradise of Bachelors

Release: 2024/02/09

 

Listen / Stream 

 


Review

 

 


 ロサンゼルスのシンガー、Itascaことケイラ・コーエンによる最新作『Imitation of War』は作品のコンセプトの中に神話的なモチーフを織り交ぜながら、抽象的な表現を通じて、物語の核心に迫ろうと試みる。実際にアルバムには次のようなナラティヴなテーマが掲げられている。

 

悪魔が仕掛けた罠だったのか?/ そして私はその罠にはまった/ 私は聖人だった/ 礼拝堂の壇上で/ この戦争の模倣の中で/

 

 この寓話性は、ミューズ、聖人、悪魔に加え、エルドラド、キルス、オリオン等、不可解な暗示のシンボリズムが含まれている。しかし、これらの暗喩は、必ずしも非現実性に基づくというわけではないようだ。コーエンは2020年の秋、セコイア国有林に近いカルフォルニア州のパインフラットでバンドのガン・アウトフィットとレコーディングしはじめた時、森林火災がその日を暗闇に変えた。レッドウッドの上空にある月を不吉に覆い隠したり、消したりしたというのだ。

 

 Itascaのサウンドは、サッドコアやスロウコアに近いブルーな感情が中心となっている。それにモンゴメリーのようなジャズ・ギターを下地にし、パット・メセニーの最初期のジャズとフォークをクロスオーバーしたギターサウンドの影響を織り交ぜている。またそれはフランジャーを中心とするギター、ブルースを基調とするシンプルなベースライン、ジャズの影響を擁するドラムによってくつろいだバンドサウンドが組み上げられる。多重録音に柔らかい感覚をもたらすのがコーエンのボーカル。彼女のボーカルはどこまでも澄んでおり、内省的な雰囲気を擁する。

 

 オープニングの「Milk」を通して、ケイラ・コーエンは、抽象的なボーカルをバンドサウンドの上に乗せる。コーエンの声は、ウィスパーボイスに近く、スモーキーで、かすかな悲しみに彩られているが、それがギターラインのスケールの変化に合わせ、暗い雰囲気から明るい雰囲気へと揺動する。しかし、昂じたような明るさには至らず、かすかな憂いの合間に揺れ動く。それらの感情をもとにしたボーカルは、折々スポークンワードの技法を用いながら、バリエーションに富んだトラックとして昇華される。ギターの和音は演奏されず、純粋な単旋律がカウンターポイントをボーカルに対して形成する。コーエンのボーカルが消えやると、ブルースやブルースロックをベースに置いた渋い演奏が繰り広げられる。さながらクラプトンのように。

 

 ブルース・ロックのアプローチは、現代的なローファイ・サウンドと絡み合い、タイトル曲「Imitation of War」で最も洗練された形となる。70年代のロックの懐古的な響きは、同じく70年代の女性ボーカルのシンガーソングライターのような、ほのかな暗さを擁するが、その中に奇妙な癒やしが存在する。これらの感覚的な流れが、Real Estate(リアル・エステイト)のようなフランジャーを主体とするコアなギターサウンドと融合し、ノスタルジックなサウンドを作り出す。その中にはマージー・ビートや同年代のYESのプログレッシヴに触発されたようなギターラインの進行に導かれるようにして、ときに切ないような雰囲気を生み出しているのが見事である。


 これらの懐古的とも現代的ともつかない抽象的な音楽の方向性は、解釈の仕方によっては、Itascaの掲げる神話のテーマに上手く結びついているかも知れない。定かではないものの、前曲のプログレッシヴの要素は、インディーフォークやジャズの要素と結びつき、続くトラック「Under Gates of Cobalt Blue」の核心を形成する。この曲では、ギターの多重録音を駆使しながら、プログレッシヴやフュージョンのような70年代のもう一つの音楽性と結びついている。ただ、この年代のアーティストは、ほとんどが男性で占められており、女性シンガーはフォークミュージックに集中していたため、現代になって、こういった音楽を演奏することは、それ相応に意味があることなのではないかと思われる。そして、もちろん、コーエンのボーカルは、時代感を失ったかのように、それらの不明瞭な時代の流れの中を揺れ動き、柔らかい感情性を織り交ぜながら、最終的には、中期のビートルズを思わせるアートポップを作り上げていく。それらの曲のムードを高めているのが、フュージョン・ジャズを主体にしたギターラインである。このギターは稀にサイケに近づいたり、チルアウトに近づいたりし、定まることはない。さながらカルフォルニアの海のように、美しい陽を浴びながら、視界の果てにゆらめいている。

 

 アルバムの中盤の音楽性はパット・メセニーの最初期のカントリーとフォーク、そしてジャズ的な響きを擁する。それらにケイラ・コーエンのボーカルが入り、柔らかなトーンや響きを生み出す。「Tears on Mountain」では、本作の冒頭のようにエリオット・スミスのような繊細なサッドコア性を呼び覚ますが、コーエンの声は、70年代の女性シンガーのボーカル曲を思わせ、ノスタルジックな気分に浸れる。「Dancing Woman」ではカントリーの音楽性に近づき、ニューヨークのLightning Bugのボーカルーーオードリー・カンのようなオーガニックな雰囲気を生み出す。この曲では、ガン・アウトフィットによるものと思われるアコースティックギターのアルペジオを基調とするクラシックギターに近い気品のあるフォーク/カントリーを楽しめる。

 

 神話的なモチーフはアルバムの終盤になって現れる。「El Dorado」は、アメリカの黄金郷を意味する。これは特にメキシコに近いバンドの音楽に頻繁に現れることがある。Itascaは、南アメリカのテーマをチェンバーポップのアプローチ、つまりはメロトロンを駆使することで乗り越えている。フュージョン・ジャズ、近年のインディーフォークの要素を散りばめながら、やはり一貫して柔らかい質感を持つコーエンのオーガニックなボーカルが良い空気感を作り出す。


 定かではないが、アメリカの南部のロックバンド、Great Whiteを始めとするハードロックバンドが、80年代ごろに追い求めていた米国南部に対するロマンチズムが織り交ぜられている。これらの陶酔的な空気感は束の間のものに過ぎない。続く「Easy Spirit」では、目の覚めるような精彩感のある70年代のUSロックやブログレ的な音楽が展開される。特に、アンサンブルの妙が光る。ベース、ドラムの溜め、ブレイクの後の決めが心地よいグルーブを作り出し、ボーカルのメロディアスなアプローチと対角線上に交差する。それらはライブセッションのような形に繋がり、アルバムの序盤と同じく、クラプトンのバンドのようなブルージーな雰囲気を生み出す。

 

 アルバムの冒頭では、神話的なテーマが薄い気もするが、最終盤になると、その要素が強められる。ギターによる多重録音のサイケデリアは、ジャズ・フュージョンの音楽と合致し、「Moliere's Reprise」で花開く。メセニーに触発されたようなカントリー/フォークのギターは多重録音を介してサイケデリアという出口に繋がり、一貫してドリーミーな癒やしのアンビエンスによって柔らかく包まれている。米国南部的な神話は、やがてギリシア神話に対する興味を反映した「Olympia」で終焉を迎える。それはジム・オルークのようなアヴァンギャルド・フォークに近い音楽性によら包み込まれている。ガスター・デル・ソルのように内省的であり深淵な音楽性は、ギターの波長と同調するかのようなコーエンの瞑想的なボーカルを通じて、その可能性が最大限に引き上げられる。無論、深読みすることなく楽しめる音楽ではあることは自明だが、同時に、深読みせざるをえないようなミステリアスな雰囲気が本作の最大の魅力である。


 クローズ曲では、オープニングと同様に、コーエンによるスポークンワードを聞くことも出来る。何を物語ろうとしているのかまではつかないが、その最後はシュールな感じで終わる。それはあまり物事を真面目に捉えすぎないことの暗喩でもあるのだろう。傷つきやすさというのは、現実に近づき過ぎることから生ずるが、そこから逃れることも出来る。このアルバムは、現実性に基づきながらも、どことなく現実から一歩距離を置いたような性質を擁する。そういった意味では、厳格な現実主義者に別の出口を用意してくれるアルバムと言えるかもしれない。

 


Itascaのインタビューは下記よりお読み下さい。

 

INTERVIEW - ITASCA  来日公演を目前に控え、最新アルバムやフォークミュージック、日本の印象について語る

 


84/100 

 

 

 Best Track 「Imitation of War」

 


イギリス/ベッドフォードシャーに生まれた青年アルフィー・テンプルマン。2022年にリリースしたファーストアルバム『Mellow Moon』は、業界関係者と音楽ファンの両方から賞賛され、総再生回数3億回以上を記録、世界中を席巻した。イギリスのDIYのインタビューでもお馴染みの若手シンガー。

 

そんなアルフィーが多様な音楽性を吸収し、彼の持つポップスの才能を更に進化させたニューシングル「Eyes Wide Shut」をリリース。THE 1975やArlo ParksなどのMVを手がけるプロダクションチームが作成したMVも同時公開。


前作の『Mellow Moon』の楽観的な雰囲気を保ちながら、70年代ファンクのパワフルでグルーヴィーなエネルギーを加え、モダンファンクな楽曲に昇華させた。歌詞は朝目が覚めた直後の10分間で書いたアイデアの断片を派生させて作られた。これまで以上にダイレクトに、アルフィーの本音を前面に押し出しており、シンガーソングライターとしてより成熟した姿が垣間見れる。

 



Comments from Alfie Templeman:

 

”Eyes Wide Shut”はツアーについて考えたことを全て集めたような楽曲です。ショーの後、僕の脳には常に大音量で音楽が流れていて、リラックスするのが本当に難しいんです。ビジネスホテルに戻るとアドレナリンはすぐに飛んでいって燃え尽きてしまう。 この曲は、その感情を表現していて、ライブで演奏し始めてからは、「自分に優しく」と思い出させてくれるリマインダーみたいな曲になっています。 楽曲の制作期間中、プリンスとトーキング・ヘッズをたくさん聴いていて、シンセの奇妙なテクスチャー や、クレイジーなベースラインはそれらに影響されてできたものです。

 




Alfie Templeman 「Eyes Wide Shut」- New Single



レーベル:ASTERI ENTERTAINMENT (アステリ・エンタテインメント) 

形態:ストリーミング&ダウンロード 


配信リンク:

https://asteri.lnk.to/AFEWS

 

 

Alfie Templeman: 

 

イングランド、ベッドフォードシャー出身のシンガーソングライター / マルチインストゥルメンタリスト / プロデューサー。

 

 8歳の時にRushのライブに魅せられ、曲づくりを始める。ドラム、ギター、キーボード、マンドリン、ハーモニカなど10個以上の楽器を独学で習得。

 

2018年にEP『Like an Animal』でデビュー。2022年には1st フルアルバム『Mellow Moon』をリリース。

 

全世界でのストリーミング数は現在累計3億回以上を超える。UKのインディーポップ・シーンの新星としてBBCラジオ、サンデー・タイムズ、The ObserverやVOGUE UK(ヴォーグ イギリス版)などからも注目を集める。

 


ハルを拠点とするシューゲイザー・バンド、bdrmmはモグワイがその才覚を認めたバンド。彼らは新曲「Standard Tuning」をリリースした。この曲は昨年10月に公開されたシングル「Mud」に続く作品。シューゲイズの色合いを残しつつも、ダンサンブルで聴きやすいトラックに昇華されている。ギターの轟音性に囚われないスタイリッシュなポストシューゲイズのアプローチが、今後どのように花開くのかに注目したい。


「"Standard Tuning''は、私自身とジョーダンのコラボレーションであり、私たちの創造的なプロセスの変化し続ける発展において重要なトラックである」とフロントマンのライアン・スミスは声明の中で説明している。


「僕はサンプルを伸ばしたり、切り刻んだりするテクニックを使ってループを作り、ジョーダンはシンセティックとドラムの加工を加えて、今聴いているようなトラックに構成した」


「歌詞については、古い幼なじみを失ったことを追っている。何年も話していないにもかかわらず、動揺と喪失の雰囲気が感じられる。この訃報は、ハル・コミュニティに影響を及ぼし、僕らの音楽にも影響を受けないわけにはいかなかった。この曲は喪失感を歌ったもので、旧友への賛辞でもある」


bdrmmのセカンドアルバム『I Don't Know』は昨年リリースされた。(WMFを読む)



「Standard  Tuning」



日曜日の夜、ラスベガスで開催されたスーパーボウルで、ビヨンセはルネッサンス3部作の第2幕を発表した。『ルネッサンス』の続編は、今年7月に発売され、カントリー・アルバムと予告されている。この発表と同時に、ビヨンセは2枚のシングル「16 Carriages」と「Texas Hold 'Em」をストリーミングサービスTidalで独占配信している。


広告の中でビヨンセは、Barbeyと呼ばれる映画を作ったり、Beyonc-AIと呼ばれるホログラムを作ったり、Botusの大統領選挙キャンペーンを行ったり、女性として初めて宇宙でパフォーマンスをしたりと、インターネットを壊す方法を見つけようとしている。OK、準備はできたわ。ルネサンスは終わらないって言ったでしょ」


彼女が2022年に『ルネッサンス』をリリースしたとき、アルバムのライナーノーツにはこんな手紙が添えられていた。「この3幕のプロジェクトは、パンデミックの間に3年間かけてレコーディングされた」


7枚目のスタジオ・アルバムのリリース後、ビヨンセはグラミー賞史上最多受賞記録を更新した。また、コンサート映画『ルネッサンス』も公開した。







 

 

  60年代半ばはサイケデリックな時代の幕開けとなり、急成長を遂げたロンドンのアンダーグラウンド・シーンでは、当時のムードに合ったドリーミーでトリップしたようなサウンドを生み出すバンドが数多く登場した。

 

60年代のサイケデリック・シーンのあまり魅力的でなかった特徴のひとつは、一部のパフォーマーたちが自分たちのことをあまりにも真剣に考えすぎていたことだ。新しいバンドが次々と登場しては消えていく様子は、すぐに地元の図書館の神話コーナーでビックバンが起こったかのような印象を与えた。

 

このシーンから、「ダンタリオンの戦車」、「ヤコブの梯子」、「アフロディーテの子供」、「神々」といったありそうもないタイトルのバンドが次々と登場したのだ。幸運なことに、アクエリアスの時代を祝うために真剣に努力する、前兆のある名前のグループの流れの中で、このシーン全体が少し真剣すぎるのではないかという考えに、喜んで首肯する人たちが何人かいた。いくつかのバンドは、アンダーグラウンド・シーンは単なる一過性のジョークに過ぎないかもしれないと認識し、グループ名にやんわりと自嘲的なダジャレを取り入れることで、出口をしっかりと見据えていた。

 

 

  1965年、あるバンドは、イギリスのケンブリッジ出身の友人たちにロンドンの建築大学出身の新しい知り合いを加え、結成された5人組のラインナップを擁していた。当初、グループは、小さなクラブやプライベートなパーティー、そして、自分たちの大学の安全な場所でギグを演奏していた。「RAFノースホルト」で行われた広い世界でのギグに飛び出してみると、意外なことに、ロンドン・サーキットに「ティー・セット」と名乗る2つのグループがいることがわかった。

 

ライブ会場の必然的なダブル・ブッキングを避けるため、新参グループたちはその場で代案を出すことになった。彼らのリード・シンガーがすぐに決めた名は、「ピンク・フロイド・ブルース・バンド」だった。1965年の初夏から、この名前はポスターやフィルターに登場するようになった。ピンク・フロイド・ブルース・バンドには当初、ボブ・クロースがギターとヴォーカルで参加していた。ボブはあまり長くは活動せず、バンド名のブルースの要素もなかった。1965年の夏までにバンドは4人編成にスリム化され、バンド名もそれに合わせて縮小された。その後数年間、バンドは「ザ・ピンク・フロイド』として知られることになる。バンドがようやく定冠詞の『The』を振り払うことができたのは、1970年代初頭のことだったが、1971年までには、彼らは単にピンク・フロイドとして広く認知されるようになっていた。

 

  ピンク・フロイドとして知られる4人組の初期メンバーは、ベースのロジャー・ウォーターズ、キーボードのリチャード・キース、ドラムスのニック・メイスンだった。リード・ギターとヴォーカルを担当したのは、ロジャー・キース・バーネットで、シド・バレットとしてよく知られている。シドのグループにとって、報われない無名の長い年月はなかった。バンドは、初期のリズム・アンド・ブルースのスタンダードを捨て去り、次のようなスタイルで活動していた。1966年11月までに、このバンドに関する情報は首都の居心地の良い世界を超えて広く伝わり始めていた。

 
  ケント州で発行されている地元紙『ヘラルド』は、ピンク・フロイドのメンバーへのインタビューをいち早く掲載した。リック・ライトは、この特別なインタビューを担当し、バンドの音楽が急速に拡大する聴衆に与えた影響を説明する仕事を任された。

 

「それは時々、驚嘆に値するポイントに到達します。それはうまくいったときで、いつもというわけではありません。そのとき、楽器が私たちの一部になるのではなく、音楽が私たちから出ていることを実感するんだ。私たちの背後にある照明やスライドを見て、そのすべてが私たちと同じように観客に影響を与えることを願っています」

 

「完全に自然発生的なものなんだ。私たちはただアンプリファスターを上げ、それを試してみた。でも、私たちが望むものを正確に手に入れるまでには、まだ長い道のりがある。さらに発展させなければならない。私たちのグループは、どのポップ・グループよりもメンバー間の協調性が強いと思います。もちろん、ジャズ・グループのような演奏も出来る」「正しい音を出すためには一緒にいなければならないから、私たちは音楽的に一緒に考えるようになった。私たちの演奏のほとんどは、自然発生的でリハーサルのない即興的なものなんだ」

 

「私たちは比較的新しいグループで、本当に新しいサウンドを発信しているので、ほとんどの人は最初はただ立って聴いているだけです。私たちが、本当に望んでいるのは、音楽に合わせて、音楽と一緒に踊って、私たちの一部になってもらうことです。私たちが望んでいることを体験してくれる人がいると、ちょっとしたジャングルになるけれど、彼らは音楽と自分自身に夢中になっているから、それほど害はないわけです」「それは感情の解放であるが、外向きのものではなく、内向きのものであり、ですから誰もトランス状態になったりすることはないのです」



  アンダーグラウンド・シーンの口コミが急速に広まった結果、バンドはすぐに、権威あるサンデー・タイムズ紙を含む主要メディアの注目を集めるようになった、 1966年末、同紙はアンドリュー・キングにインタビューしたバンドに関する最初の全国的な特集のひとつを掲載した。


サイケデリックバンドと呼ばれることについて、マネージャーのアンドリュー・キングは次のように答えた。「自分たちをサイケデリックとは言わない。でも否定はしないよ」


ベース奏者のロジャー・ウォーターズはこう付け加えた。「しかし、それは協力的なアナーキーであり、私の言っている意味がわかるなら、それは間違いなくサイケデリアの目的を完全に実現していると思う。でも、もし、LSDを飲んだとしたら、何を経験するかはあなた次第。たいていは後者で、聴衆が踊らなくなると、口を開けたまま立ち尽くし、完全にグルーヴしてしまうんだ」


改善された音楽はもちろん好評で、渦巻くサイケデリックな光のショーが加わったことで、全体的な体験にアクセントが加わり、音楽がポイントを外れる瞬間がたびたびあったが、それもまた必要な気晴らしとなった。バンドが多大な時間と労力を費やしたのは、観客を引き離し、音楽を引き立て、時にはそれを凌駕するような、真に心を揺さぶるライト・ショーだったのだ。

 

このパワフルで即効性のあるインパクトの結果、ピンク・フロイドは、発売直後からすぐに聴衆の心をつかんだ数少ないバンドのひとつとなった。瞬く間にザ・バンドは、ロンドンで爆発的な人気を誇るサイケデリック・シーンの寵児となった。 

 

フロイドは1966年、伝説的なクラブ、マーキーへのレギュラー出演から始まった。その年の暮れには、同じく有名なUFOクラブがオープンし、ピンク・フロイドは急速にこのクラブのハウス・バンドとなり、ヒップでトレンディとされるものすべてのバロメーターとして広く認知されるようになった。



  1969年の9月、リック・ライトはUFOのクラブでの体験について、Top Pops and Music誌に次のように解き明かした。

 

「僕らが駆け出しの頃は、ヒットシングルを出さないと誰も聴いてくれなかった。当時は、音楽は踊るものだった。でも、踊らない人が多いのは残念だね。今のところ、観客は頭で考えているだけで、身体で感じていない。でも、これから変わっていくだろうね。私たちはUFOでこのことに気づいた。僕らが始めたころは、観客全員が踊っていたんだけど、だんだん踊らなくなり、聴くようになった。UFOはその変化にとても大きな役割を果たしたと思うね」

 

「以前はPowis Gardensの教会ホールで開催されていた、ワークショップのような雰囲気だった。すべてがオープンになり、とてもいい気分だった。すべて実験的なもので、当時は音楽と照明で何とかしていた」

 

「当時、私たちの生活の中心はUFOだった、すべてがオープンになり、とてもいい気分だったよね。フロイドはステージの上にいたけれど、観客や他のすべての出来事も同じくらい重要だった。お金は関係ないんだ。今はもっとプロフェッショナルな態度を取らなければならない。今でもたくさんの実験をしているが、同じではない。みんな私たちのことを知っているし、何を期待するかもわかっている。その 今の観客の感じはいいけれど、僕らの背後には、確立するために戦い抜かなければならなかったことがある。結成したてのころは、基本的に音楽を聴くために演奏していただけで、将来のことは考えていなかった。でも今は、しばらくはやっていけるという自信がある」

 

 




  1967年1月14日、UFOでの体験に近い時期に、ニック・メイソンとロジャー・ウォーターズはMelody Maker誌のインタビューを受けた。

 

「マネージャーが現れ、フルタイムで照明を担当する人を探し始めるまでは、私たちはとても混乱していた。その照明係は文字通りグループの一員でなければならない。初期の頃は、エレクトロニックな音楽はあまり演奏していなかったし、スライドもまだアマチュアっぽかった」

 

「しかし、今ではそれが発展し、主に改良されたエレクトロニックシーンへの "テイクオフ "はより長くなり、もちろん、私の意見では、スライドはとんでもないものに発展した。彼らは本当に素晴らしい。自分たちをサイケデリック・グループと呼んでいるわけでも、サイケデリック・ポップ・ミュージックをやっていると言っているわけでもない。ただ、みんな僕らをサイケデリックと結びつけて、ロンドンのいろんなフリークアウトやハプニングでよく起用されるんだ」

 

「サイケデリックという言葉に定義はないよ。サイケデリックという言葉はそもそも、私たちの中にあるのではなく、私たちの周りにあるものなのだから」とロジャー・ウォーターズ。「それは私達が数多くの機材と照明を持っているからであり、プロモーターがグループのために照明を雇う必要がないからだと思います。とにかく、フリークアウトは非公式かつ、自発的であるべきです。これまで最高のフリークアウトは、何百人もの人々が集まるパーティーにいるときだった。フリーアウトは、ビンを投げつける野蛮な暴徒であってはいけないんだ」

 

 





  もちろん、フロイドには誇大広告やフリークたち以上のものがあった。当時、光と音を組み合わせて本物のオーディオ・ビジュアル体験を提供する最前線にいた彼らは、そのステージ・ショーにも気を配っていた。

 

初期の実験は、大学の講師であり、家主でもあるマイク・レナードの協力を得て行われた。当時の基準では、パフォーマーや観客に投げかけられた渦巻くような色彩のパターンは、革新的で実に印象的だった。 刻々と変化する照明ショーは、催眠術のように脈打つ音楽のリズムに合わせて手作業でシンクロされ、結果、純粋に不穏なインスピレーションと催眠術のような効果が生まれた。レオナードのライトショーは、BBCの人気の科学番組『Tomorrow's World』のピンク・フロイドを特集したエピソードに収録されるほど、アヴァンギャルドであった。 


これらの初期のテレビ放送はもちろん白黒だったので、イベントは何か訳がわからなくなってしまった。コンサートの観客の薬漬けの部分にとって、ショーは確かに衝撃的だった。しかし、先入観を捨て、即興演奏の実験的な側面を受け入れる準備ができていたストレートな観客にとっても、このショーは同じように効果的だった。



  バンド結成当初の原動力となったのは、もちろんシド・バレットだった。しかし、当時のアンダーグラウンド・シーンがいかに小さく、ロンドンに集中していたかは興味深い。ピンク・フロイドがスウィングするロンドン・シーンの高みに上り詰めていくのに忙しかった頃、『アトム・ハート・マザー』の共作者であるロン・ジーシンのような未来のフロイドの共同制作者たちは、この高まりつつある現象にまったく気づいていなかったと、後になって回想している。

 

「シド・バレットとのピンク・フロイドは私の視野の外だったよ。彼自身の音楽に関しては、ちょっとボロボロで個性的だと言えるかもしれないね。実際、シド・バレットを見たのは、私たちが『アトム・ハート・マザー』をやっているときに、アビー・ロードのセッションにひょっこり顔を出したときだけだった。彼はスローモーションで2、3回転してまた出て行ったよ」


ロン・ジーシンはフロイドのことをあんまり知らなかったかもしれないが、常に次のセンセーションに目を光らせていたロンドンの流行に敏感な観客たちは、パワフルなライヴ・ショウを繰り広げる彼の素晴らしい新バンドの音楽をよく知っていた。

 

  1967年初頭には、フロイドはアンダーグラウンド・シーンで大きな話題となり、フロイドの体験を初めてフィルムに収めたインディペンデント・フィルム・メーカー、ピーター・ホワイトヘッドの注目を集めた。彼は、サウンド・テクニック・スタジオで「Interstellar Overdrive」を演奏するバンドを撮影し、1968年1月13日のUFOクラブでのパフォーマンスと、1967年4月29日にロンドンのアレクサンドラ広場で行われた24時間の "ハプニング "と称された24 hours Technicolour Dreamをモンタージュした映像に切り替えた。


  数週間後、『Record Mirror』のインタビューに応じたロジャー・ウォーターズは、フロイドの音楽とこれらの出来事との関連性を説明しようとした。「俺たちは好きなものを演奏するし、演奏するものは新しいんだ。 ファンが聴きたいものをやっているのは、俺たちだけだから、俺たちをこの新しい時代のハウス・オーケストラと表現することもできるだろう。私たちは、自由と創造性を含む現在のポップス全体の一部であり、楽しませることだけをやっている。私たちは、通常、リンクされない音をリンクさせるし、通常、リンクされない光をリンクさせる。自分たちが本当に言いたいことを示すため、アルバムに多くを頼っているんだ。私たちは、発展させようとしている。ただ、他のアーティストのコピーをしたり、アメリカのレコードを手に入れて、一音一音書き写していくような人たちに、私たちはあまり時間を割けない」


このような強力なビジュアル・ストーリーによって、テレビ局もアンダーグラウンド・シーンのワイルドで素晴らしい世界に興味を持ち始めるのに時間はかからなかった。1967年1月下旬、グランダ・テレビジョンは『Scene Special』というドキュメンタリー番組のために、UFOクラブで『Interstellar Overdrive』を演奏するバンドを撮影した。このエピソードのタイトルは "It's So far Out It's Straight Dawn "であったが、これはフロイドの音楽のクオリティを揶揄したものであったかもしれない。

 


  新たにプロとなったフロイドは、ブラックヒル・エンタープライズというマネージメント会社を設立。マネージャーのピーター・ジェナーとアンドリュー・キングは、以前はバンドのためにギグをブッキングしており、初期のフロイドの活動の原動力となっていた。時代の真の精神を反映し、ジェナーとキングは後にBlackhill Enterpirsesの所有権を自分たちとグループの間で等分した。グループのもう一人の初期の支持者は、ジョー・ボイドというアメリカのA&Rマンだった。


新生のプロフェッショナル・フロイドは、ブラックヒル・エンタープライズというマネージメント会社を彼らの代理人として指名した。マネージャーのピーター・ジェナーとアンドリュー・キングは以前、バンドのためにギグをブッキングしており、初期のフロイドの活動の原動力となっていた。

 

グループのもう一人の初期の支持者は、ジョー・ボイドというアメリカのA&Rマンだった。ジョーは、ブラックヒルをDoors以前のエレクトラ・レコードとの契約に誘うことに熱心だった。エレクトラはレーベルとして断られたが、ボイドは代替案としてポリドールを提示した。1967年2月、バンドはポリドールを念頭に置いて、ジョー・ボイドがサウンド・テクニック・スタジオでプロデュースした「アーノルド・レイン」のファースト・シングルをレコーディングした。このキャッチーなサイケデリアは、ポップ・ビデオの時代よりもずっと前に、プロモーション・フィルムまで制作されている。

 

デレク・ナイスがプロデュースと監督を務めたこの素朴で小さな短編映画は、基本的に流行のビートルズ・スタイルで撮影されており、4人のフロイドが仕立て屋のマネキンと浜辺ではしゃぎまわるという内容だ。このフィルムが1967年3月10日にUFOクラブで世界初公開された時、この地味なフィルムが、セルロイドに記録されたロック音楽の中で最も強烈なオーディオ・ビジュアル体験の先駆けになるとは、誰も思いもよらなかっただろう。


アーノルド・レインのポリグラムへの前進は、ロンドンのエージェント、ブライアン・モリソンの介入によってハイジャックされた。EMIは、すでにレコーディングされ準備の整った興味深いネス・イングルを携えていたため、このバンドが勝者であることを知っていた。ザ・バンドは、ビートルズの本拠地として誰もが認める名門レーベルと契約できたことを同様に喜んだ。とても "英国的 "な曲であるアーノルド・レインは、ロジャー・ウォーターズとシド・バレットが彼らの故郷ケンブリッジで実際に遭遇した出来事にインスパイアされた。シドとロジャーの母親はともに女子学生を下宿させており、下着の洗濯物干し場は定期的に下着泥棒に荒らされていた。


「Arnold Layne」Music Video

 

  バレットは1967年、メロディ・メーカー誌にこの曲の背景をこう語っている。「最近書いたんだ。アーノルド・レインっていい名前だと思ったし、すでに作曲していた曲にもぴったりだった。ベースのログの家の裏庭に巨大な洗濯物干し竿があったんだ。それで、アーノルドには趣味があるに違いないと思ったんだ。アーノルド・レインはたまたま女装が好きだったんだ。誰もが反対できる歌詞は、この部分だけだろうね。でも、もし彼らのような人たちが僕らを嫌うのなら、アンダーグラウンドの人たちのような人たちが僕らをディグすることになる」

 

B面はキャンディ・アンド・カレント・バン(Candy And A Current Bun)で、これもバレット作曲。原題は『Let's Roll Another One』で、EMIはタイトルを変更することを条件にリリースを承諾した。バンドはまだ初期で、党派的な路線に従うことを望んでいたため、タイトルは正式に変更された。

 

A面という珍しい題材にもかかわらず、バンドがEMIと契約して最初にリリースしたこの作品は、レコード購入者の間で意外なヒットとなった。しかし、ブラックヒル・エンタープライズのオフィスでは、サプライズの要素はやや薄かった。後にアンドリュー・キングが明かしたように、この曲をシングル・チャートで20位という立派なポジションに押し上げたのは彼らだった。歌詞に対する俗物的な反応から、このシングルは発売禁止にすべきだという声が一部から上がっていたことを考えると、シングルを宣伝するという決断は賢明なものだった。しかし、海賊ラジオ局ラジオ・ロンドンは、このシングルを正式に放送禁止にしたのだ。


ロジャー・ウォーターズ、リック・ライト、シド・バレットは、このシングルのリリース時にインタビューに答えている。ロジャーは「現実を直視しよう、海賊局はアーノルド・レインよりもずっと "スマート "なレコードをプレイしているんだ。実際、この曲を流しているのはラジオ・ロンドンだけだ。政治が違うだけで、僕らに恨みがあるわけじゃない。リック・ライトは彼自身の見解を付け加えた。「政治が違うだけで、反対するようなことは何もない」バレットは「どうせ、ビジネスライクな商業的侮辱にすぎない。私たちに個人的な影響はないんだ」と一蹴した。

 

 幸運なことに、アーノルド・レインに続くシングル『シー・エミリー・プレイ』は物議を醸すこともなく、商業的にも成功した。『シー・エミリー・プレイ』はチャート6位を記録し、60年代の短い花の期間に制作されたサイケデリック・ソングの中でも間違いなく最高傑作のひとつとなった。 

 

 

「See Emily Play」 

 

 

  この曲は、バンドが1967年春にクイーン・エリザベス・ホールで行った特別コンサート『Games for May』のために書かれたもので、歌詞の中でもそのイベントの名前がチェックされている。

 

その直後、『Record Mirror』はロジャー・ウォーターズのインタビューに基づいた記事を掲載し、このイベントについて触れている。「私たちは、彼らが聴きたいと思うものを演奏した最初の人たちの1人だから、ムーヴメントのハウス・オーケストラと表現できるかもしれない。私たちは、自分たちが好きなものを演奏することから始めただけで、現在のポップ・ムーヴメント全体の一部なんだ。僕らは、アナーキストじゃない。でも、私たちがやっているようなことは、クラブやダンスホールでやるよりも、コンサートでやるのが一番伝わるから、とても難しい立場にいるんだ。少し前にロイヤル・フェスティバル・ホールでコンサートを開いたとき、そこから多くのことを学んだが、同時に大損もしてしまった。すべてを手配するために、1週間の仕事をあきらめなければならなかった。Game for Mayと呼ばれるコンサートは夕方からで、私たちは午前中にステージに上がり、演技を練った。それまでは何をするか考えていなかった。それでも、個々のナンバーのリハーサルと照明の調整くらいしかできなかった」


『Games For May』はピンク・フロイドの発展における重要なマイルストーンとなり、バンドがライヴの音質に気を配るようになった最初の兆しを示すものとなったが、ニック・メイソンが当時のインタビューでこう振り返っているように、音楽に対する配慮はあまりなかったようだ。

 

「私たちはステージにたくさんの小道具を持っていき、即興で演奏したんだ。私たちがやったことのかなりの部分はうまくいったけど、多くのことは完全に失われてしまった。私たちは素晴らしいステレオフォニック・サウンド・システムを完成させ、それによって音がホールを一種のサークルのように巡り、観客はこの音楽に完全に包まれているような不気味な効果を得ることができた。もちろん、私たちは照明を使ってその効果を助けようとした。 残念なことに、それはホールの前の方に座っている人にしか効果がなかった」

 

「あのコンサートでは多くのミスを犯したが、この種のコンサートでは初めてのことだった。そして私たち個人も、そこから多くのことを学んだ。でも、自分たちがやっていること、過去3年間やってきたことが受け入れられ、他のグループが今やっているようなことに大きな影響を与えたと思うと、とてもいい気分だ。今年の2月になってから、僕らにとってすべてが起こり始め、プロに転向することを決意させた」


「しかし、待った甲斐があったよ。3年前は、それが何なのか誰も知らなかった。でも今、観客は私たちを受け入れてくれている。私たちは一般大衆を教育しようとは思っていない。もちろん何かを押し付けようとは思わない。でも、私たちが提供するものを受け入れてくれるのなら、そして今のところ受け入れてくれているようなら、それはとても素晴らしいことだと思う。私たちの考えが多くの人々に伝わっているのだからね」


ロックの殿堂が2024年の候補者を発表した。今年ノミネートされた15組のうち、3分の2が初選出となる。


マライア・キャリー、シェール、フォーリナー、ピーター・フランプトン、クール&ザ・ギャング、レニー・クラヴィッツ、オアシス、シネアド・オコナー、オジー・オズボーン、セイド。また、メアリー・J・ブライジ、デイヴ・マシューズ・バンド、エリック・B・アンド・ラキム、ジェーンズ・アディクション、ア・トライブ・コールド・クエストがノミネートされていたが、今回再びノミネートされた。2024年のノミネートリストは以下からご覧下さい。


昨年のノミネート者で2023年に再びノミネートされなかったのは、シンディ・ローパー、アイアン・メイデン、ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダー、サウンドガーデン、ウォーレン・ゼヴォン、ホワイト・ストライプス。


「この注目すべき候補者リストは、ロックの殿堂が称え、祝福する多様なアーティストと音楽を反映しています」と、ロックの殿堂財団のジョン・サイクス会長は声明で述べた。ロックンロールの真の精神を継承するこれらのアーティストたちは、世代を超えて影響を与え、彼らの足跡をたどる数え切れないほどの人々に影響を与えた独自のサウンドを創り上げてきました」


ミュージシャンは、最初のリリースから25年後にノミネートの対象となる。今年の候補者のうち5〜7人がロックの殿堂入りする。


受賞者は4月下旬に発表される。式典は今秋クリーブランドで開催される。ロックの殿堂財団は、2024年の候補者を発表した。今年ノミネートされた15人のうち3分の2が初選出となる。


Rock & Roll Hall of Fame 2024 Nominees:


A Tribe Called Quest

Cher

Dave Matthews Band

Eric B. & Rakim

Foreigner

Jane’s Addiction

Kool & the Gang

Lenny Kravitz

Mariah Carey

Mary J. Blige

Oasis

Ozzy Osbourne

Peter Frampton

Sade

Sinéad O’Connor

Eric B. & Raki