©︎Ernest Green


現在のチルウェイブやローファイの象徴的なアーティストであるアーネスト・グリーンのプロジェクト、Washed Outが5枚目のアルバム『Notes from a Quiet Life』をSub Popから6月28日にリリースする。

 

本作はウォッシュト・アウトのアーネスト・グリーンが初めて自身でプロデュースし、ネイサン・ボディ(ジェイムス・ブレイク、ムラ・マサ)とデヴィッド・レンチ(カリブー、フローレンス+ザ・マシーン)がミックスした。タイトルは、アトランタを離れ、彼が育ったジョージア州メーコンの田舎に戻るというグリーンの決断を意味している。このアルバムについて、グリーンはこう語っている。

 

「5年、いや10年ごとに、あなたは実質的に別人になる。「あなたが経験していることは、結局あなたを変えることになり、あなたは別人のようなものだ。このアルバムはその反映なんだ。絵画や彫刻の実験は、私の音楽を助けてくれる。互いに影響し合っている。それは私にとってある種の気づきだった。いつか自分の人生を振り返って、『ああ、すべては生産性を最大化するためだった』なんて思いたくない。これを楽しみたい」


最初のシングルは "The Hardest Part "で、アーティストのポール・トリロがOpenAIのSoraを使って制作したビデオと合わせて公開された。アーネスト・グリーンは次のように説明しています。


「『The Hardest Part』は、ノスタルジアと失われた愛についての物語です。ビデオでは、この物語を真摯な方法で、エキサイティングで意外性のあるものにしたいと思いました。私は長い間ポールのファンで、彼は単に衝撃や畏怖で物語を補うのではなく、物語を高める最先端の視覚効果を取り入れることに驚くほど長けている。彼は私の協力者候補の筆頭だった」


「彼が生み出したものは、ノスタルジックで、悲しく、高揚感があり、しばしば非常に奇妙だ。しかし、それでも彼は登場人物に感情移入させ、彼らの人生がどのように進んでいくのかという旅に投資させることに成功している。ポールが、このビデオはこの新しいAI技術を使わなければ作れなかったと言っているのは正しいと思う。私の意見では、Soraのクリップの幻覚的な質は、それ自体が新しいジャンルの始まりのような気がする。超現実的で予測不可能な、従来の映画やアニメーションにもまったくないものなんだ」

 

 

 「The Hardest Part」




Washed Out 『Notes from a Quiet Life』

Tracklist:

1. Waking Up

2. Say Goodbye

3. Got Your Back

4. The Hardest Part

5. A Sign

6. Second Sight

7. Running Away

8. Wait on You

9. Wondrous Life

10. Letting Go


 


ニューヨークを拠点に活動するブレア・ハワートン擁するバンドプロジェクト、Why BonnieがFire Talkと新しい契約を交わした。この発表と同時に、ハワートンは「Dotted Line」を発表した。シングルの購入はこちらから。

 

この曲は、ハワートンとグレース・ペンドルトンが共同監督したミュージック・ビデオと共に公開された。以下で視聴できます。


ハワードンは、「資本主義の重さ」を体験し、地獄のようにお金がなかった時期に「Dotted Line」を書いたとプレスリリースで説明しています。「私たちが成功の印だと言われているものすべてについて考えてました。このままでは、私はおそらくどれも手に入れることはできないだろうって」

 

Why Bonnieは前作『90 in November』においてアメリカーナとインディーロックを融合させた。その作風はウェンズデーやワクサハッチーと比較されることもある。ブレア・ハワートンは最新作の制作時、テキサスからニューヨークへと活動拠点を移したが、これらのホームタウンへの思いが秀逸なオルタナティヴロックソングに昇華されることがあった。特にこのアルバムに収録されている「Nowhere in LA』はテキサスの雄大な土地を思わせる素晴らしい楽曲でした。

 

 

 「Dotted Line」


 サウスロンドンのロイル・カーナーは、多彩な音楽性をラップミュージックに取り入れてきた。ジャズやディープソウルを中心に構成される、カーナーのラップには奇妙な癒やしが存在する。喜びはもちろん、悲しみのような負の感情をもつことも時には大切なことなのではないかと。

 

 ロイル・カーナーは2023年、英国内外の大規模なフェスティバルや会場を飾ったが、中でもロンドンのウェンブリーOVOアリーナでの公演は、そのキャリアの中でも傑出したものだったと言われている。グラストンベリーのウェスト・ホルツ・ステージ、プリマヴェーラ・サウンド、そして最近ではレディング&リーズ・フェスティバルでのヘッドライン・スロットを含む。


 マーキュリー賞にノミネートされた最新作『hugo』は10曲からなる。カーナーは個人的なものから政治的なものに至るまで、さまざまなテーマを盛り込んでいる。映画的なスケールと広がりを持つ『hugo』は、炎の中で鍛えられた世代への叫び。混血の黒人として、アーティストとして、父親として、息子として、アルバムの他の部分を牽引する個人的な内的葛藤の研究でもある。


 有名プロデューサーのkwes.(ソランジュ、ケレラ)と共に、カーナーはこのアルバムでサウンドとストーリーの両面で手を抜かない。ゴージャスなネオ・ソウルの瞬間から轟音ヒップホップまで、即効性があり感染力のあるバンガーや非ミュージシャン(混血のガイアナ人の詩人ジョン・アガード、青年活動家で政治家のアティアン・アケック)のサンプリングによるインタールードを交えた10曲のアルバム。カーナーはミクロからマクロへとシームレスに移り変わり、家族との緊張した関係から階級差別による社会の涙まで、あらゆるものに立ち向かおうとした。



 ロイル・カーナーは29歳の誕生日、マーキュリー賞にノミネートされた『ヒューゴ』を記念し、一夜限りのロイヤル・アルバート・ホールに戻った。最初の10分でスタンディング・オベーションが起こったことからも、このショーはファンにとって忘れられないものになった。


 午後8時30分、サウス・ロンドン出身の彼がステージに登場する間、観客はその様子を注意深く見守っていた。ヴァイオリン、ハープ、生バッキング・ヴォーカルを含むオーケストラに飾られたカーナー(ベンジャミン・コイル=ラーナー)は観客の注目を集め、ファンがその瞬間に酔いしれる間、携帯電話はポケットにしまったまま。アルバムの中で人気のある曲『Plastic』を演奏した後、カーナーは宣言した。「信じられないほど感謝している。言葉では言い表せないくらい」


 カーナーが観客の誰かから青いバースデー・ハットをもらい、ファンから「ハッピー・バースデー!!」の大合唱を受ける、ほほえましい場面もあった。歌詞の鋭い弱さで知られるイギリス系ガイアナ人アーティストは、父性、許し、そして、都心部の凶悪犯罪にトラウマを持つ世代について触れている。通常、ヒップホップ・アーティストが触れることのないトピックから遠ざかることを恐れないカーナーは、すべてのリスナーが学ぶことのできる立派な弱さを示している。



 彼は、2020年にハックニー地区で生まれた息子に”Homerton”という曲を捧げ、観客はコラボレーターであるJNR WILLIAMSのソウルフルなボーカルに酔いしれた。「Blood On My Nikes」はカーナーが16歳の時に銃乱射事件を目撃したことに触れている。若者の議員アティアン・アケックをはじめとする少数の優柔不断さのため、これほど貴重なものが失われた事例はない。このような問題に対し英国政府から意味のある行動を引き出すのに苦労している国民の悲しみと絶望……。それはこの瞬間に捉えられ、あるファンは「ファック・ザ・トリーズ!」と叫んでいた。


 有害な男らしさについて、ロイル・カーナーは『私は男とは何かという考えがある場所で育った......。有害な男らしさなんてクソ食らえだよ』と言う。彼は、精神的な苦悩について信頼できる誰かに相談するように促していて、息子が自分の感情を率直に表現できることに誇りを示しているという。



 今後のプロジェクトからの数曲を披露し、アルバートホールのオーディエンスはジャングル/ブレイクビーツを取り入れた楽曲の一端を垣間見るという幸運にあやかった。Loose Endsのパフォーマンス中、2人の10代の少女が歌詞を一言一句唱和していたが、これはカーナーの感動的で親近感のわく歌詞が、さまざまな背景を持つファンの心を打つことを裏付けているのではないか。


 愛、家族、そして、赦しについて歌った「HDU」で誕生日を記念するショーを締めくくったこの曲は、感情的に痛烈でありながら、未来への希望に包まれたパフォーマンスで有終の美を飾った。

 

 ロイヤルアルバートホールでの公演の模様は音源化され、5月24日に発売される。アルバム発売に先駆けて「A Lasting Place」が公開された。再構成された曲には原曲よりもジャジーな落ち着いた雰囲気が漂う。


 



 Owen 『The Falls of Sioux』

 

 

Label: Polyvinyl

Release: 2024年4月26日

 

 

Review

 

マイク・キンセラはアメリカン・フットボールとは異なる音楽性を''Owen''というソロ・プロジェクトを通じて追求してきた。


アメリカンフットボールがインディーロック的なアプローチであるとするなら、Owenではインディーフォーク調の音楽性を追い求めている。2011年のアルバム等が有名だが、他にもレキシントンでのライブ・アルバムも聞き逃せない。観客との距離感を大切にしたこの音源では、イギリスのフットボールに関する微笑ましいやりとりも残されている。ある観客が「好きなフットボールチームはどこ?」と聞いて、キンセラは「フットボール!?」と苦笑いで答えた。いわば、インディーフォークの温かい感情を留めたアルバムだったのだ。
 

最新アルバム『The Falls of Sioux』はどうか? いつもよりドラマティックなサウンドを探求しているように感じられる。旧来のインディーロックやフォークの音楽性に、オーケストラベルを導入したり、アコースティックの録音を再構成として散りばめたりと、かなり作り込まれたプロダクションになっている。そこにマイク・キンセラによる音のストーリーテリングの要素が加えられた。
 
 
オープニング「A Reckoning」ではアコースティックギターの弾き語りを通じて、途中からインディーロックのダイナミックスを意識した迫力のあるサウンドへ変遷を辿っていく。その中には、編集的なプロダクションで新しいロックを提示したウィルコの最新アルバムに近い何かがある。そこにキンセラのエモーショナルなボーカルが加わり、オーウェンのサウンドが出来上がる。曲の後半では、エレクトリックとアコースティックギターの双方を緻密に重ね合わせて、きらびたかなサウンドへと移行していく。この曲にはエモやインディーフォークの象徴的なシンガーソングライターとして経験を重ねてきたキンセラの次なるステップが垣間見えるような気がする。続く「Beacoup」はアメリカンフットボールに近い楽曲で、ソロプロジェクトではありながら、バンドアンサンブルの響きを重視している。強調されるベースライン、そして、シンプルではあるがツボを抑えたアコースティックギターとマイク・キンセラのボーカルの兼ね合いは、やはりアメリカンフットボールの音楽性の延長に位置する。しかし、この曲の中盤からはディレイ処理を施したピアノが導入されたりと、実験的なサウンドを織り交ぜている。そこにはこのシンガーソングライターの美的センスがなんとなくうかがえるような気がする。


続く「Hit and Run」は、OWENの代名詞的な曲であり、ソングライターのフォークソングの涼し気なイメージが流れる滝のようにスムーズな質感をもって展開される。アルバムの序盤の2曲のようにエレクトリック/アコースティックギターの多重録音に加え、ピアノの美麗な旋律が曲に優しげな印象を添えている。また、ネイト・キンセラとのデュオの活動で培われたシンセサウンドは飾りのような形でアレンジに取り入れられている。ギターの旋律やコード進行の巧緻さはもちろんのこと、そこにヴァイオリン/フィドルの上品な対旋律を加えながら、気品のあるフォークミュージックが作り上げられる。それらは複数の演奏を入念に行った後で、緻密に最終的なサウンドを構築する過程が記されているのである。始めから出来上がったものを示するのではなしに、一つずつ着実に音の要素を積み上げていく過程は圧巻である。そこにオルタネイトな旋律やアメリカーナのギターが加わることで、癒やしのあるサウンドが作り上げられる。
 
 
 「Cursed ID」はやや遊び心のある曲で、ギターのリズム性を意識したアルペジオを重ねながらイントロからアウトロにかけて起承転結がストーリーのような形をとって構築されていく。やはり、緻密なサウンドであるのは他の曲と同様なのだが、この曲ではピアノのアレンジに、ジャズ的な響きが加わる。そしてオーウェンの他の曲と同じように、だんだんと感情の流れがゆるやかに増幅していくような感じで、曲の構成が次なる段階へ移行していく。この曲には、タイトルの風景が少しずつ移ろい変わっていくようなサウンドスケープがオーウェンらしい形式で作り上げられていく。弦楽器のプロダクションにもこだわりがあり、ドローン風のレガートを散りばめたりと、インディーフォークを起点としながらも実験的なサウンドが繰り広げられる。

 

「Virtue Misspent」ではドラムのリズム性に重点を置いたエモが繰り広げられる。この曲には従来のアメリカンフットボールのファンもカタルシスや共感を覚えてもらえるかもしれない。「Never Meant」を彷彿とさせるギターのフレーズはもちろん、タイトルの部分ではマイク・キンセラ節ともいうべき他のアーティストには見られないような特異な歌唱が繰り広げられる。そこにシンセサイザーやグロッケンシュピールを加え、曲そのものにドラマ性をもたらそうとしている。最終的にはミニマルミュージックのような微細なマテリアルと、スポークンワードを織り交ぜることによって、従来にはなかったオーウェンの曲の形式が作り出されている。

 

 

終盤の3曲は従来のOwenのソングライティングの延長線上にあるナンバーとして楽しめる。しかし、そこはやはりベテランのミュージシャンで、旧来にはなかった新しい音楽性も付け加えられている。#6「Mount Cleverland」ではギターやドラムの演奏の中にジャズ・フュージョンやアフロビートからの影響がわずかにあるように思える。しかし、それらのエキゾチックなイメージはしだいにマイク・キンセラのフォーク・ミュージックの中に吸い込まれていく。この曲の中には音楽そのものにより雄大なアメリカの自然を物語るような感覚があってすごく面白い。なおかつ、この曲の中盤では、珍しくハードロック的なギターサウンドが展開されるが、やはりそれは、モダンなサウンドプロダクションとして昇華され、コラージュ的なサウンド(ミュージックコンクレート)として中盤のハイライトを形づくっている。しかし、たとえ、前衛的なサウンドの表情を見せることがあっても、その後はやはりマイク・キンセラらしい安心感のあるロックソングへと移行していく。ここにはこのアーティストによる様式美のようなものが体現されているのかもしれない。

 

『スーの滝』はベテラン・ミュージシャンによる飽くなき音楽の探求心が刻印されているように思える。クローズを飾る「With You Without You」では、Cap N' Jazzの時代から存在した中西部のインディーフォークの要素が、華やかなシンセストリングスとドラムのダイナミックなリズムによって美麗なエンディングを作り上げる。バスドラの連打に合わせて歌われるキンセラの歌はエモーショナルの領域を越えて、何かしら晴れやかな感覚に近づく。アウトロの巧みなアコースティックのギター、そのなかに織り交ぜられる繊細なエレクトリック・ギターやストリングスに支えられるようにして、このアルバムは最後に最もドラマティックな瞬間を迎える。

 

 

85/100

 

 

「With You Without You」

 

Luis Vidal
 

ロンドンを拠点に活動するプロデューサー/シンガー・ソングライターのLiza Lo(リザ・ロー)が、ニュー・シングル「A Messenger」をGear Box Recordsから発表しました。


オーストラリアのインディー・フォーク・ソングライター、ハリソン・ストームとのEU/UKツアーを完売させたばかりのリザは、ロンドンと故郷アムステルダムで公演を行ない、口コミで急速に知名度を上げています。このニュー・シングルは、彼女がセルフ・リリースした『flourish』EPに続くもので、インディー・フォークに優しく瞑想的なテイストを取り入れたこのEPは、幅広いプレイリストの支持を集め、プレスやラジオでも早くから高い評価を得ました。


ドーター、マロ、ビリー・マーティンなどからインスピレーションを得たリザ・ローのサウンドは、穏やかなフォーク風のインストゥルメンテーションとインディー・ポップが交差する。ジョン・ケリー(ポール・マッカートニー、ケイト・ブッシュ)とスタジオ13でレコーディングされた彼女の内省的な「A Messenger」は、繊細なストリングス・アレンジとゴッサムのようなギター・ワークが組み合わされ、リザの親密で詩的なヴォーカルを中心にうねり、花開いています。  



同楽曲についてリザ・ローは、「友人を失ったときの心の傷について書いたものなの。人は時に小さなメッセンジャーのようにやってきては、思いがけない足跡を残して去っていく。友情の突然の終焉に伴う痛みは誰もが知っていることだけど、このトピックはあまり語られることがないのよね。これは私がとある親友との会話の後に書きあげた曲なの」というように話しています。

 

 

 「A Messenger」

 

 

 


「A Messenger」ーNew Single

 

ダウンロード/試聴はこちら: https://bfan.link/a-messenger

 

 

Liza Lo Biography: 

 

スペインとオランダで育ち、現在はロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、プロデューサー、ミュージシャン。親密で詩的な独自の音楽世界を創り出す彼女は、ドーター、マロ、ビリー・マーティンなどからインスピレーションを受け、生々しいヴォーカルと誠実なソングライティングで聴く者を内省と静寂の世界へと誘う。最新EP『flourish』は、Spotifyの「New Music Friday UK」、「NL」、「BE」にセレクトされ、「the most beautiful songs in the world」プレイリストでも紹介された。2024年5月1日、最新デジタル・シングル「A Messenger」をリリース。現在は、西ロンドンのスタジオ13で、ジョン・ケリー(ポール・マッカートニー、ケイト・ブッシュ)とバンドと共に新曲のレコーディングに取り組んでいる。

 


ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライター、スチュワート・ブロノーのプロジェクト、Lionlimb(ライオンリンブ)がアルバム『Limbo』の最新シングル「Underwater」をリリースしました。スチュワート・ブロノーはエンジェルオルセンバンドとしても活動しています。


前作「Hurricane」、エンジェル・オルセンをフィーチャーした「Dream of You」に続く新曲です。以下よりチェックしてみてください。




「Underwater」






2021年の『Spiral Groove』に続く『Limbo』は、5月24日にBayonet Recordsからリリースされる。
パンデミック(世界的大流行)の最中、ブルックリンのアパートに閉じこもっていたブローノーは『Limbo』を書いた。


70年代のソウル・シンガー、グロリア・アン・テイラーからイタリアの映画作曲家アレッサンドロ・アレッサンドロまで、古い無名の楽曲を探し求めた。ファンキーなベースライン、メロドラマティックなストリングス・アレンジ、ファズアウトしたギターにシタールのようなギターを重ねたブロノーは、西部劇のカウボーイ映画と同じように『ツイン・ピークス』にも登場しそうな音楽を作り出している。


デュエット・アルバム『Limbo』には、エンジェル・オルセン、エワ・シノヴィエツ、ジャスティン・オラル、ブリ・エイブラム、ゾーイ・フイン、テイラー・ベルといった女性ヴォーカリストが参加し、それぞれがブロノーの控えめなヴォーカル・パフォーマンスに質感のある対極を加えている。「私はヴォーカルを単なる楽器のひとつだと思っている。最初に他の人に歌ってもらおうとしたとき、私はそれが好きだった。これらのシンガーがブローノーとどのようにトレードオフし、双方が彼の内なる感情を表現するのか、そこには夢のようなクオリティがある」




アメリカのパワー・ポップバンド、Charly Bliss(チャーリー・ブリス)が新作アルバムの制作を発表しました。彼らはラッキーナンバーから『FOREVER』を8月16日にリリースする。ラッキー・ナンバーはオーストラリアのMiddle Kidsが所属しており、ユニークなルースターを擁する。

 

本日、彼らは新曲「Nineteen」を公開した。ヴォーカルのエヴァ・ヘンドリックスは新曲について次のように説明しています。

 

「私はいつも愛と、なかなかうまくいかず、失恋の津波をもたらす関係に魅了されている。躁的な喜びの波の上に乗せてくれるのと同じように、岩にぶつかるような愛から遠ざかれば遠ざかるほど、その全容が見えやすくなる。初恋はクレイジーだ」


『FOREVER』は、2019年の『Young Enough』に続く5年ぶりのニューアルバムとなります。

 




Charly Bliss 『FOREVER』

 

Label: Lucky Number

Release: 202408/16

 

Tracklist:


1. Tragic

2. Calling You Out

3. Back There Now

4. Nineteen

5. In Your Bed

6. I’m Not Dead

7. How Do You Do It

8. I Don’t Know Anything

9. Here Comes The Darkness

10. Waiting For You

11. Easy To Love You

12. Last First Kiss

 


トロントのローファイ・アーティスト、HOMESHAKEが早くもセカンドアルバムの構想を打ち出した。HOMESHAKEことピーター・サガーは、ローファイを制作することで知られています。オルタナティヴロックにとどまらず、エレクトロニックへの造形も深いミュージシャンであるという。

 

ピーター・サガーは今年初めにアルバム「CD Wallet」を発表した。このアルバムは週末の特集として紹介しています。ボリュームがあり、聴き応えのある素晴らしい作品でしたが、彼の才気煥発なクリエイティビティは前作だけでは終わらかった。HOMESHAKEは、わずか半年足らずで2枚目となる新作をリリースする。

 

『Horsie』は6月28日にSHHOAMKKE / Dine Alone Recordsから発売される。シンガー・ソングライターがライブ・パフォーマンスの世界に戻ることへの複雑な心境を探求し、旅先での不安や孤独というテーマをさらに検証している。この秋、彼は北米ツアーでその感情と正面から向き合う。


サウンドは、サガーの最新作と比べて、大きく変化していないようです。ホーシーは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、フォー・テット、ディアンジェロ、セード、ライ・クーダーの影響を受けたテクスチャーとリズムのメドレーを採用している。エンソニックのEPSとローランドのジュノ60が、自宅スタジオでレコードをレコーディングする際のサガーの重要な機材だった。


リードシングル「Nothing 2 See」は、ジム・ラーソンが監督したミュージック・ビデオと共に発表された。このビデオでは、ビバリーヒルズの邸宅に集まった小さなカルト集団を通して、見え隠れするアーティストの白昼夢が描かれている。 

 

 

 「Nothing 2 See」



HOMESHAKE 『Horsie』



Tracklist:

 

1. Ravioli

2. Horsie

3. Dinner Plate

4. Blunt Talk

5. On A Roll

6. Smiling

7. Nothing 2 See

8. Simple

9. Easier Now

10. Believe

11. Empty Lot

12. Ice Tea

 


カナダ/トロントのR&Bシンガーソングライター、Charlotte Day Wilson(シャーロット・デイ・ウィルソン)が今週末に発売されるニューアルバム『Cyan Blue』から一挙に2曲の先行シングルを公開しました。

 

『シアン・ブルー』からの最新曲は「My Way」とLPのタイトル・トラック。どちらもセード全盛期の洗練された親密さを思い起こさせる、雰囲気のあるR&Bの没入感のある作品となっています。

 

シャーロット・デイ・ウィルソンはジャック・ロションと両曲を共同プロデュースし、レオン・トーマスもマックスウェルを取り入れた渦巻くネオ・ソウル・ジャム「My Way」を手がけた。「Cyan Blue」は比較的短く、控えめで、ウィルソンのささやくようなアルトボーカル、繊細なピアノ、スタンドアップ・ベースを中心に構成されている。2曲とも以下よりチェックしてみて下さい。

 


「My Way」
 

 

 「Cyan Blue」

 

 



リバプールのシンガーソングライター、ピクシーは、デビューアルバム「Million Dollar Baby」をチェス・クラブ・レコードから8月2日にリリースすることを発表しました。


このアルバムは、「Colours」(2019年)、「Free To Live In Colour」と「Sunshine State」(共に2021年)、そして「Dreams, Pains & Paper Planes」(2022年)という4枚の小規模プロジェクトの後にリリースされる。彼女の生まれ故郷であるリバプールとロンドンの間で作曲されました。トム・マクファーランドとリッチ・ターヴェイと共にピクシー自身がプロデュースした「Million Dollar Baby」は、90年代のノスタルジックなブレイクビーツへの彼女の愛と、モダンなオルタナポップへの才能を融合させた作品となっています。


アルバムについてピクシーはこう語っています。「このアルバムは、自分自身を証明しようとしてきた数年間の最終形なんです。私はいつも、何かに近づいているような気がしていました。このアルバムは、男性の視線を通した自分自身への認識をナビゲートする一方で、力を取り戻し、自分の本当のアイデンティティを形成しようとする物語なんです。成就への道は他人のためのパフォーマンスではなく、本物の自分になるための旅なのです」


この発表を記念して、スカウス出身のソングライター、プロデューサー、マルチ・インストゥルメンタリストは、LPのタイトル・トラックを公開し、また、このアルバムを引っさげて今秋、英国でヘッドライン・ミニ・ツアーに出ることを明らかにしています。


『「ミリオンダラー・ベイビー』は、有名になりたいと思っているLAの女の子との会話から生まれたの。この曲は風刺的で、名声を追い求めることの不条理さと、砂糖でコーティングされた野心を歌っている。この曲は、私がアルバムを書いている間に気づいた多くの真実を反映している。音楽業界のパフォーマンス的な性質は、しばしば幻想を売りつけるものであり、本当の充実感は音楽を書くことそのものから得られるものなのです」

 


Pixey 『Million Dollar Baby』

 


Tracklist:

1. Man Power

2. Million Dollar Baby

3. The Thrill Of It

4. Best Friend

5. Damage

6. Give A Little Of Your Love

7. Love Like Heaven

8. Bring Back The Beat

9. Oxygen

10. The War In My Mind





 

Le Makeupはモダンなポップソング、そしてヒップホップやローファイのサウンド処理をミックスし、独創的なボーカルソングを提供するシンガーです。

 

ミュージシャンの音楽には二面性があり、内省的な一面をうかがわせたかと思えば、それとは裏腹にエネルギッシュなポップで痛快な気分をリスナーにもたらす。前作アルバムはMakeupの魅力が存分に凝縮されていた。U-Zhaanとのコラボで知られる環ROYをフィーチャリング。Pitchforkがレビューを行ったとのことで、今後、アジア圏を中心にワールドワイドな活躍が期待される。

 

今回、 Le Makeupは初のワンマンライブの開催を発表した。会場は渋谷WWW。 5月21日に開催されます。また、昨年のフルレングスに収録されていた「Dress」のMVを公開した。UMMMLが映像の監督を務めた。このミュージックビデオに関しても下記よりチェックしてみてください。

 

初のワンマンライブに関するアーティストの声明は下記の通りです。

 
 

ーーソロとバンドセットで2020年に出した「微熱」というアルバムの曲から新しく出すアルバムの曲まで。もっと前の曲もやるかもしれないです。

 

知ってる人も知らない人も、この日聞いてもらえたら自分がどんなこと考えてる(考えてた)のかわかってもらえる気がする。わかる必要が皆さんにあるのかは置いといて。

 

絶対なにかを起こすとか、だれか救うとかそんなこと言う気ないけど、5月21日WWWに来てくれたら僕がパフォーマンスしてると思う。それだけは約束できそう。こんな機会待ってたから嬉しいし、楽しみですーー



 

 

 

 
Le Makeup One-Man Live "予感"




Date| 2024.05.21 [Tue] Open/Start 19:00/20:00
Venue| WWW (Shibuya, Tokyo)
Act| Le Makeup (Oneman Show)
Adv.| 3,000 Yen (Tax in) +1D
Door| 3,500 Yen (Tax in) +1D
Ticket| LivePocket [ https://t.livepocket.jp/e/lemakeup ]
Information| WWW [03-5458-7685]



 
Pitchforkで取り上げられ、話題となったLe Makeupの最新アルバム「Odorata」がLP化。5月21日(火)WWWにて会場先行で販売が決定。LP用に新ミックスや新曲も追加されています。



Le Makeup「Odorata [LP]」



 


LP | PURE008LP | 3,600 Yen + Tax | Released by AWDR/LR2

SIDE A

A1. Odorata
A2. あの日のこと
A3. うつくしい人
A4. Dress
A5. ふたりのかげ feat. Dove
A6. Alice feat. JUMADIBA
A7. Play feat. Tohji, gummyboy
A8. In the Mood for Summer

SIDE B

B1. EVERY Breath feat. 環ROY
B2. かさなるかげ feat. Dove
B3. カラブリア
B4. あたたかい陽、あたらしい街
B5. あの話の続き
B6. Drive My Car (あなたとわたし)
B7. Self Service
B8. Line (Outro)

 


Jessica Pratt(ジェシカ・プラット)は今週金曜日、メキシカン・サマーからリリースされる『Here In The Pitch』のサード・シングルを公開しました。アルバムのエンディング・トラック。


ロサンゼルスを拠点とするミュージシャンは、ブルックリンのゲーリーズ・エレクトリック・スタジオでレコーディングを行った。


彼女は以前からのコラボレーターであるマルチ・インストゥルメンタリスト/エンジニアのアル・カールソンとキーボーディストのマット・マクダーモットと仕事をしました。ベーシストのスペンサー・ザーンとパーカッショニストのマウロ・レフォスコ(デヴィッド・バーン、アトムス・フォー・ピース)もセッションに参加。ライリー・ウォーカー、ピーター・マッジ(マック・ミラー、J.I.D.)、アレックス・ゴールドバーグもアルバムに貢献しています。


「このアルバムを制作している間に、カリフォルニアの夢のダークサイドを象徴する人物に夢中になった」と、プラットは以前のプレスリリースで『Here in the Pitch』について語っています。


プラットはこのアルバムを2020年から2023年までの3年間に渡ってレコーディングした。アルバムとアルバムの間の5年間の空白について、彼女は次のように語っています。「こんなに長くかかるとは思わなかった。私は本当に完璧主義者なの。私はただ正しい感覚を得ようとしていただけなのよ。


 


La Luzが『News Of The Universe』のニューシングル「I'll Go With You」をリリースした。サイケロック風のイントロから夢想的なアルトポップソングへ移行する。クルアンビンを彷彿とさせるアンサンブルの巧みさはもちろん、クリーブランドのボーカルは浮遊感をもたしている。

 

ヴォーカルのシャナ・クリーヴランドはプレスリリースの中で、「この曲はヤンティ・ベルサウダラ(インドネシアのポップバンド)から大きな影響を受けている」と説明しています。「この曲の歌詞は、ある晩、曲のメロディーを頭に浮かべながらベッドに入ったときに見た夢の再現でもある。別の言葉も考えていたのだけど、この甘く小さなロマンスの夢が支配してしまった」


La Luzはサブ・ポップのご当地バンド。クリーブランドを中心にシアトルで2012年に結成。現在のラインアップは、オードリー・ジョンソン、マリアム・クデュス、リー・ジョンソン。バンドはDick DaleやVenturesから音楽的な触発を受けているらしく、サーフ、ドゥ・ワップ、ネオサイケ等、コアなロック/ポップを展開する。Los Bitchos、Khruanbinと並んで、ラテン音楽を始めとするワールドミュージックを絡めたロックバンドとして注目しておきたいところです。

 

 

La Luzの新作アルバム『News Of The Universe』』は5月24日にサブ・ポップからリリースされる。

 

 「I'll Go With You」

 

渋谷クラブクアトロで開催される実験音楽家や個性的なロックバンドが出演する室内型イベント『ambient room』に注目。イベント第2弾が東京・渋谷”CLUB QUATTRO”で5月18日(土) に開催されます。

 

『ambient room』は喧騒から離れ、ライブハウスの閉じられた空間でアンビエントな世界を楽しむ企画。2回目の開催となる今年は海外アーティストを交えたカラフルなラインナップで開催。

 

オランダ/アムステルダムのレーベル"Guruguru Brain"よりデビュー作をリリースしているmaya ongakuをはじめ、韓国からインディーロックデュオ"Mukimukimanmansu"として活動していたMinhwi Leeが来日。本邦初公開の5名編成バンドでフルセットライブを披露します。

 

元CHAI姉妹による新ユニット、MANAKANAの出演も楽しみ。初ライブをアンビエントセットで敢行される。他にも、D.A.N.のベーシスト「JINYA」、DJとして「Suimin」「imus」、そしてニューヨークのレーベル、RVNGからリリースを行うエクスペリメンタルフォークアンビエントシンガー、Satomimagaeが登場します。Satomimagaeのインタビューはこちらよりお読み下さい。


 

・"ambient room"curated by Bias & Relax adv.

 

5月18日(土) 東京・渋谷CLUB QUATTRO

OPEN / START:16:00


出演:


maya ongaku/ 

Minhwi Lee (from KOREA / BAND SET) / 

MANAKANA (ex CHAI / AMBIENT LIVE SET) / 

satomimagae / 

JINYA (D.A.N.) / 

DJ Suimin / 

DJ imus


チケットの詳細:


https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2410241&rlsCd=001

 

©Ebru Yildiz


アフリカのニジェール族のロックバンド、Mdou Moctarが新曲「Oh France」をリリースした。バンドの次のアルバムの最新曲である。試聴は以下からどうぞ。


エムドゥー・モクターは2000年代以降のモバイルデバイスが普及した西アフリカの経済成長の最中から台頭した。ギタリストは、バスの中で、音楽をデバイスで共有したり、当初、モバイルでロックソングを発表し、西アフリカの都市圏で著名な存在となった。米国のレーベルと契約した後も、エムドゥー・モクターは故郷に親愛を示し、西アフリカの魅力を伝え続けている。近年、バンドはニジェールの砂漠でのライブセッションの様子を動画公開してきた。

 

2019年の『Afrique Victime』に続く『Funeral for Justice』は5月3日にMatadorからリリースされる。


バンドは、必ずしもロックだけにとどまらず、タマシェク語のアフリカのフォーク・ソングや民族音楽を旧作でアーカイブとして残している。最新アルバムでは、植民地政策に翻弄されてきたアフリカの代弁者として高らかなハードロックソングを書いている。





クンビア”はラテンアメリカのダンス音楽の一つで、コロンビアの伝統音楽でもある。この伝統音楽はおよそ1800年頃には存在したと言われ、1960年代に人気が沸騰し、世界中で人気を博した。

 

この音楽が近隣諸国に伝播していくにつれ、アスカンビア・ペルアナ(ペルー)、クンビア、アルゼンチン(アルゼンチン)、クンビア・チレナ(チリ)、クンビア・メキシカナ(メキシコ)など、各諸国で新しい形態のクンビアの派生音楽を生み出すことになった。メキシカーナなど上記の派生した音楽にも心を惹かれるものがありますが、特にコロンビアの海岸地域で発生した伝統的なクンビア、その音楽の最初期の発展こそがコロンビアという国家の重要な文化の基礎を形成している。

 

クンビアにはその前身となる音楽のスタイルがあるらしく、フォルクロルコロンビアーノといわれるアフリカ系コロンビア人が植民地時代に大陸から持ち寄った民族音楽がその発祥とされています。


植民地化以降、コロンビアの沿岸地域には、スペイン人、ネイティヴのコロンビア人、アフリカ系のコロンビア人が混在して生活していたと言われている。それらの人種的な混在が多様な音楽のスタイルを生み出し、何世紀にわたる音楽文化の礎石を築き上げていった。そして、この音楽は、移民としてアフリカ大陸から渡来した人々の音楽の記憶の継承でもある。 時々、遊牧民やジプシー等の民族をはじめとする人々は、定住する土地を持たぬため、音楽やそれにまつわるダンス、あるいは物語という形によって以降の人々に記憶を継承していくのである。

 

 

”クンビア”はコロンビアの伝統的な民俗音楽ーFolkーとして知られている。日頃、わたしたちがよく使用する”フォーク音楽”というのは、民俗音楽を指し示し、それは以前の時代の一地域に生きていた誰かの記憶や行動形式、あるいは生活規範であったり思想形態の継承を意味します。それは旋律やリズム、そして、スケールなどを単に模倣したり、なぞらえたりするのではなく、誰かの口伝によって次の世代に伝えられていく物語と同様に、次の世代に向けての文化継承の意味が込められている。 それは、写真や映像のように形あるアーカイブとして保存できぬために、歴史的にとても意義深いものなのでしょう。他地域のフォーク音楽の起源や発展の経緯が深い靄の中にあるのと同じく、クンビアという伝統音楽の出発については明らかになっていません。

 

例えば、コロンビアのミュージシャンで、ギジェルモ・カルボ・オリベラ、ギジェルモ・アバディア・モラレスなどの民俗学者や音楽学者は、クンビアがバントゥー語の「Kumbe」に由来すると指摘している。この語源は踊る(kumbe)という意味があると両氏は言う。また、2006年になって、同国の音楽学者でミュージシャンのギジェルモ・カルボ・ロンデロスはクンビアについて、「議論の余地がある」としている。少なくとも同氏は、この音楽が「cumbe」という語に由来すると指摘している。

 

''クンベ''は赤道ギニアのダンス形式がその前身とされる。現在のマグダレナ川地域の上流渓谷の先住民族が住む地域、”ポカブイ”という場所に最初に出現したと現地の人々は信じている。

 

該当する音楽を聴けばお分かりのように、クンビアは、スペインのサルサの音楽的な気風に近い。情熱があり、陽気で、反復的なリズムや歌を通じて、舞踊音楽の一つの重要な特性である強固なエネルギーを外側に放つ。また、それらが世界各地のカーニバルのように、多くの人で演奏されたり、踊られるものとあれば、その意味は一層強まる。つまり、クンビアがラテンアメリカの舞踊音楽として発展していったことは、民俗学の観点から見ると、ブラジルのサンバ、スペインのサルサと同じような音楽的な動機があるのではないかと推測出来るわけです。

 


 

文化というのは、単一民族の行動形式や思想形態の伝承から成り立つことはきわめて少ない。これは、神聖ローマ帝国や、スペイン帝国、オスマン・トルコ帝国、大英帝国、アメリカというように、世界の中心地が何世紀にわたって絶えず塗り替えられてきた歴史の変遷を見ると明らかである。つまり、現代的な政治学における移民という考えと切り離してみても、オセアニアの歴史は土地に住む民族が世紀毎に変遷し、それらの異文化が混淆を重ねながら、新しい伝統形式が積み上げられていった。ラテンアメリカの一地域であるコロンビアという土地も同じでしょう。この地域はとりわけスペインやその国境を接するフランスからの影響が強く、クンビアの演奏時に着用される民族衣装は、スペインとチロル地方の服飾の影響がどこかに見受けられる。それらにアフリカの大胆な原色を中心とした色合いを加えたのが、クンビアの衣装なのです。

 

また、ヨーロッパからの文化的な影響の他に、リズムやビート、実際に使用される楽器を見ると、アフリカの儀式音楽の影響が含まれている。また、ガイタ、カニャデミロという楽器を演奏する点を見ると、コロンビアの先住民族の音楽の影響もあるという指摘もある。これらの複数の地域の音楽や文化のフュージョン性は異質な音響、音楽におけるエキゾチックな気風を生み出す。その中にはアフロ・ビートやアフロ・ジャズの原始的なリズムの継承性もあるが、一方で、ラテンアメリカの音楽的な陽気さもまた、この舞踏音楽の重要な礎となっているのです。

 

このジャンルの音楽的な特徴は、2/4、4/4というシンプルなリズム性に求められる。これらはアフリカの音楽からの影響もあるかもしれないが、リズムそのものを簡素化して踊りのための音楽として洗練させたのでしょうか。しかし、クンビアのリズムにはサンバやサルサに引けを取らない迫力があり、原始的な質感を持つパーカッションによるリズムがこの音楽の最大の魅力になっていることがわかる。当初、クンビアは、ボーカルなしの器楽曲として始まったが、他の地域のフォーク音楽と同じように、叙情的な詩がスケールとリズムに追加されることに。そして、演奏者たちはさまざまな変奏や工夫を重ね、楽器を増やしたりすることで、この音楽を発展させていった。

 

 

また、伝聞するところによれば、クンビアには男女間のシンプルな情愛が踊りと音楽によって表現される。これは実際のダンスのなかで、男女がペアで踊るというフラメンコと同じような様式にその概念が込められている。ダンス全体の動きを通して、男性は女性の体を自分の方に引き寄せる。またクンビアの女性ダンサーはサンバのように派手な衣装を身にまとうのが一般的であり、スパンコール、花の頭冠、そしてイヤリング、長いスカートを身につける。これらは、スペインやアルゼンチン、ブラジル等の服飾的な影響が込められているようです。他方、男性の衣装はコロンビアの性質が強く、ソンブレロ、白いズボン、白いシャツ、赤いバンダナというように扇情的な色合いの民族衣装を身に纏う。演奏者は踊りを通じ、民族的な歴史を表現し、アフリカとスペイン、そしてコロンビアの先住民族へのリスペクトを織り交ぜているようです。