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Satomimagae

 

東京を中心に活動するエクスペリメンタル・フォーク・アーティスト、Satomimagaeがデビュー・アルバム『awa』の10周年記念リイシューに収録されるシングル「Tou(塔)」を公開しました。

 

今回、Satomimagaeは、10年前に自主制作したデビュー作をアートワークを一新し、リマスター盤として再編集することになった。アルバムの発表時、最初の先行シングル「Inu」が公開されています。『awa』のリイシュー盤は、RVNG Intl.から2月3日に発売されます。


 

©︎Steve Gullick


Graham Coxon(グラハム・コクソン:Blurのギタリスト)とRose Elinor Dougallによるプロジェクト、The WAEVEが新曲「Over and Over」を公開しました。
 
 
この曲は、2月3日にTransgressive Recordsよりリリースされるデビュー・アルバムに収録される予定で、先んじて公開された「Kill Me Again」「Can I Call You」「Drowning」と並んで収録される予定です。



©Camille Alexander


20世紀の古めかしい軍服に身を包み、個性的なパフォーマンスを行うことで知られるUKの謎めいたシンガーソングライター、Heartworms(ハートウォームズ)は、デビューEP『A Comforting Notion』をアナウンスしている。CrassやBauhausの傑作群を彷彿とさせるモノクロのアートワークは、実際、このアーティストの鋭利なポスト・パンクサウンドとエレクトロ・サウンドの劇的な融合というクールなかたちで反映されている。

 

ハートウォームズは、単なる音楽家とは言いがたい。あるときはミュージシャンであり、また、あるときはパフォーマーであり、さらにはダンサーとしてもステージで躍動し、その役柄を軽やかに変じてみせる。アーティスト本人は一つのジャンルに規定されないマルチタレント性について、プリンスの影響が大きいと語る。このシンガーソングライターが企むのは新しい音楽、そして新しい表現の確立なのである。

 

Heartwormsの記念すべきデビュー・アルバムは、Speedy Wundergroundから3月24日に発売される。この発表に伴い、国内メディアの注目を集めたデビュー・シングル「Consistent Dedication」に続く新曲「Retributions of an Awful Life」が公開された。この曲は、Niall TraskとDan Matthewsと共に制作されたミュージック・ビデオ付きで、下記よりご覧いただくことができる。


Heartwormsは今回のニュー・シングル「Retributions of an Awful Life」について次のような声明を発表している。


「この曲は、歌詞の内容が不穏であるため、それを映像を通じて表現したかった。この曲は、歌詞の内容自体、とても心を不安にさせるもので、私が実際に行動している様子を表現したかった」

 

「私は、特定の連隊の軍服を着て、白と黒の服を着て、冷たい水と濡れた泥に自分の体をさらそう、というイメージを持っていた。でも、私は泳ぎが得意ではないので、これは私の快適なゾーンから踏み出すことでした。深い水は私を非常に怖がらせる、特に寒さと完全な軍服のとき。


彼女はさらに、こう続けました。「私が知っているアーティストやバンドで、これほど生々しいアクションをした人はあまりいません。私は、きれいなダンサーが登場する派手なビデオや、エアブラシ・フィルターをかけた美しい壁紙を作りたかったわけではありません。新しい痛みを吸収し、罰を与え、恐怖と戦いながら、私の友人たちと一緒に容赦ないことをやりたかったのです。アートのために、自分が怖いと思うことを体に叩き込んだ...、何か爽快な気分です」 


「Retributions of an Awful Life」



Heartworms 『A Comforting Notion』EP

 

 

Label: Speedy Wunderground

Release Date: 2023年3月24日

 

Tracklist:


1. Consistent Dedication

2. Retributions Of An Awful Life

3. A Comforting Notion

4. 24 Hours



独創的なディープハウス〜エレクトロニカに仕上がっています。

aus

 

東京出身のエレクトロニカ・アーティスト、ausが、Seb Wildbloodのレーベル、All My Thoughtsよりニュー・シングル「Until Then」を1月25日に10インチ/CDでリリースします。(国内盤はFLAUより発売されます)このニュー・シングルは、aus名義の作品として、『After All』、『Light In August,Later』以来となる、十数年ぶりの待望の復帰作となります。

 

ファン待望のニュー・シングル「Until Then」は、ミックスにMatt Karmil、マスタリングにMatt Coltonを迎え、ストリングスやピアノ、マリンバなどの生楽器と特徴的なボイス・サンプルをフィーチャーした独創的なディープハウス〜エレクトロニカに仕上がっています。また、この新曲に加えて、2曲入のシングルのB面には、Seb Wildbloodのリミックスが追加収録されます。


また、ausはこのシングル・リリースに関して次のようにコメントしています。


たくさんの時間が過ぎてしまいましたが、こうしてまた曲を出すことができて嬉しく思います。

長年製作を共にしている友人の横手ありささんの声、高原久実さんのバイオリンからインスパイアされて、ビデオ用に作ったエディットをSeb Wildbloodが気に入ってリリースすることになりました。Sebが選んでくれたタイトルもそうですが、自分の中でこれまでやってきたことの振り返りのような曲だと感じています。

本日、1月18日、ニュー・シングル「Until Then」がデジタル・リリースされました。同時公開されたビデオは下記よりご覧ください。

 

 


aus  『Until Then』

 


 

Label :all my thoughts / FLAU

Digital Release :2023年1月18日

10inch/CD Release :2023年1月25日

 

Format:10”/CD/DIGITAL 

 


Tracklist:


1. Until Then
2. Until Then (Seb Wildblood Remix)

 

Pre-order(ストリーミング/先行予約):

 

https://aus.lnk.to/UntilThen


  

Eluvium


 マシュー・クーパーによる電子音楽プロジェクト、Eluvium(エルヴィウム)はニュー アルバム『(Whirring Marvels In) Consensus Reality』をTemporary Residenceから5月12日にリリースします。マシュー・クーパーのアンビエント作品を完全にオーケストレーションしたもので、すでに「Escapement」と「Swift Automations」のいくつかのトラックを共有しています。

 

今日、Eluviumはさらに2つのトラックを公開しました、「Vibration Consensus Reality (for Spectral Multiband Resonator)」と「Scatterbrains」。以下で両方をご視聴下さい。


マシュー・クーパーは、「Vibration Consensus Reality」についてのプレスリリースで次のように説明しています。

 

「これはアルバムのために書かれた最初の曲であり、他のすべてが構築された中心でした. 音楽は、当時私が取り組んでいたこの特定の共鳴器の「歌」を中心に書かれました。これまでに書いた曲の中で一番好きかもしれません」


「Scatterbrains」について、次のように付け加えました。「さまざまな考えの瘴気。しかし、その起源は実際には、私が犬と一緒に定期的に訪れている絶壁の端にある木の避難所への訪問に由来しています. 通常、そこにはワシが巣を作り、風が頻繁に遠吠えします。風はとても平和な存在であり、まるで私の考えを取り去り、下の土地に散らばらせて、私を無心にして休ませているかのように感じることを考えました. 音楽は、 これらのの考えを混ぜ合わせたものです」

 

 

Jamie xx

Jamie xxは2015年のエレクトロニック・クラシック『In Colour』に続く新作を「ミキシングし終えたところ」だそうだ。The xxのメンバーがtriple j Morningsに語ったように、このプロジェクトには、オーストラリアのエレクトロ・グループ、The Avalanchesが参加する予定だ。


"フィニッシング・ミキシング "モード、つまり、今ちょうど、ミキシングの最終段階にあるんだ。そして、もうこれ以上は無理なんだ」と話し、「ああ、次のアルバムのことだよ」と確認した。


彼は、この曲は「何年もかけて作ったものだ」と付け加えた。「僕は単に作業が遅いだけなんだ、それでいいんだと気づいたよ。そして、実はその過程をとても楽しんでいる。それに、バンドからオリバーのレコードを作ったり、最後のXXのアルバムを作ったりしていたから、そんなに時間がかかったとは感じなかったけど、やりたいことを全部集める時間ができたんだ" と語っている。


ファンはすでに新プロジェクトの噂を耳にしているかもしれない。昨年は "LET'S DO IT AGAIN "と "KILL DEM "の2枚のシングルをリリースした。2020年にはソロ曲の "Idontknow "もリリースしている。


ジェイミーは、インスピレーションを得たのは「DJをしながら古いレコードを見つけること、そしてかなりたくさんサンプリングしている」と語った。

 

「パンデミック前にThe Avalanchesの前作で少し一緒に仕事をしたんだけど、その後を引き継いだというような感じだね。彼らがどのように作業し、どのようにサンプリングするのか、その制作過程を見るだけでも、僕にとっては常にインスピレーションを与えてくれる。彼らと同じトラックで作業することで、僕にとって音楽制作の異なる方法を少し知ることができたよ」。


彼は、今回の新作アルバムにおける彼らとのコラボレーションにとても満足しているようです。「彼らは何か新しいものを生み出してくれる。でも、ストレートなサンプルではないんだ。彼らは、すでに存在するものに自分たちの感情を込めて、とても革新的で、彼ららしいサウンドに仕上げてくれる」と語っています。インタビューは以下よりご確認ください。

 

 


ニューヨークを拠点に活動する韓国人プロデューサー、Yaejiが4月発売予定のデビュー・アルバム『With A Hammer』を発表しました。


ヤエジは2021年にOHHYUKと組んで「Year to Year / 29」を発表して以来、新曲を発表していませんが、本日(1/11)ソーシャルを通じてデビューアルバムのタイトルを「With A Hammer」と発表、今年4月7日にXL Recordings発売予定であることを明らかにしました。


このアルバムには、イギリスのミュージシャンLoraine James、ボルチモアのシンガーNourished By Time、NYのプロデューサーK Wata、Yaejiの仲間であるSLINK NYCのEnayetが参加しており、Yaejiは「With A Hammer」からのファーストシングル「For Granted」をリリースしています。


「For Granted」のビデオが公開されましたので、今すぐ下記からチェックしてみてください。


『With A Hammer』のニュースは、YaejiがJai Paul、boygenius、Rosalïa、Björk、ヘッドライナーのBLACKPINK、Bad Bunny、Frank Oceanなどと共にCoachella 2023のラインアップに加わった1日後に発表された。収録曲等の詳細は後日発表される。ソーシャルの公式の投稿は以下の通りです。


©︎Ella Helme

 

M83(別名:Anthony Gonzalez)が、ニューアルバム『Fantasy』を発表し、ファーストシングル「Oceans Niagara」のミュージックビデオを公開しました。また、アメリカでの新しいツアー日程も発表しています。Fantasy』は3月17日にMuteからリリースされる予定です。Oceans Niagara」のビデオは、Yann Gonzalez(Anthonyの弟)が監督しています。アルバムのトラックリストとカバーアート、そしてツアー日程は以下の通りです。


Anthony Gonzalezはプレスリリースで次のように語っています。


新しいアルバム『Fantasy』の1曲目をお届けできることをとても光栄に思います。この曲は、オーシャンズ・ナイアガラ、と呼ばれ、私の兄ヤン・ゴンザレスと私自身による初めてのコラボレーション・ミュージック・ビデオです。私は、この友情の感覚を作りたかったのです。この曲を聴いていると、一緒に走ったり、速く走ったり、宇宙船に乗ったりする人たちを想像してしまうんです。この曲は、新しい世界を発見するために飲む魔法の薬のように、前に進んでいく感覚です。冒険の彼方へ!


さらに、映像ディレクターのヤン・ゴンザレスは付け加える。


「オーシャンズ・ナイアガラ」は、M83の音楽の完璧な統合です。音と感情の壁がクライマックスまでクレッシェンドしていき、純粋なメロディのエクスタシーの瞬間があり、個人的には、まるで10代の頃に戻ったように、浮かれて、愛して、一気に泣ける感じになっています。アンソニーのミュージックビデオを監督するのは今回が初めてで、僕らが好きな日仏のアニメやホラー映画、80年代や90年代の子供向けの奇妙なテレビ番組をヒントに、僕ら自身の子供時代や10代の頃の共通の参照点や感情を共有する良い機会になったよ。


M83の通常のフル・アルバムは2016年の『Junk』が最後だが、2019年にはアンビエント・アルバム『DSVII』をリリースしている。


アンソニー・ゴンザレスは新作の方向性についてこのように語っている。


このレコードはライブでとてもインパクトのあるものにしたかったんだ。Before the Dawn Heals Us』のエネルギーに近いものを携えて戻ってくるということだった。ギターとシンセの組み合わせは、常に僕の音楽の中にあるものだけど、この新譜では前作よりも存在感が増しているかもしれない......。最初は大変だったけど、歌詞や歌の面でより存在感を出したかったんだ。それが実現できれば、このアルバムはこれまでの作品よりもパーソナルなものになるんじゃないかと思ったんだ。



M83 「Fantasy」




Fantasy Tracklist:

1. Water Deep
2. Oceans Niagara
3. Amnesia
4. Us and the Rest
5. Earth to Sea
6. Radar, Far, Gone
7. Deceiver
8. Fantasy
9. Laura
10. Sunny Boy
11. Kool Nuit
12. Sunny Boy Part 2
13. Dismemberment Bureau

Quasi


米国/ポートランドのエレクトロ・デュオ、Quasi(クワジ/クワージ)は、十年ぶりとなる復活作『Breaking The Balls Of History』の3rdシングル「Nowheresville」として公開しています。


「Nowheresville」は、Sam Coomes(サム・クームズ)/Janet Weiss(ジャネット・ワイス)による2023年最初の作品で、昨年発表された先行シングル "Doomscrollers"と "Queen of Ears"と合わせて新作アルバム『Breaking The Balls Of History』に収録されます。


『Breaking The Balls Of History』は、2013年のアルバム『Mole City』に続く作品です。シアトルのロブ・ラング・スタジオでジョン・グッドマンソン(スリーター・キニー、ビキニ・キル)と共に2人がプロデュースしている。


ジャネット・ワイスは、このレコードの制作について、「人生を肯定してくれるような感じがした。その場にいられたこと、そしてその場にいることがどれだけ幸せなことか、音楽から伝わってくるんだ」と説明している。

 

Quasiの新作アルバム『Breaking The Balls Of History』はSub Popから2月10日に発売される。

 

 

 「Nowheresville」

 

 

Everything But The Girl


1982年に活動を開始し、2000年前後を境に活動を休止していたイギリスの伝説的なデュオ、Everything But The Girl(エヴリシング・バット・ザ・ガール)が、およそ24年ぶりとなる新作スタジオ・アルバム「Fuse」を4月21日にリリースすることを発表しました。アルバムのアートワーク、収録曲は下記よりご覧下さい。

 

Everything But The Girlは、Ben Watt(ベン・ワット)とTracy Thorn(トレイシー・ソーン)により、1980年代にイギリスのハル大学で結成され、名門のチェリー・レッドからデビューを果たした。デビュー・アルバムは『Eden』で、UKチャートで14位を記録。デュオの音楽は、ザ・ジャムのポール・ウェラー、エルヴィス・コステロらに大きな称賛を受け、当時、最新鋭であったエレクトロ・サウンドとともに、当時流行したネオ・アコースティックのほか、ジャズ、映画音楽、AOR(ソフト・ロック)など多岐にわたる音楽性を擁していた。その後、メジャー・レーベルと契約を交わし、順調にリリースを続けていたが、1990年代の後半、ベン・ワットが子供と過ごす時間を取りたいという思いがあり、デュオは解散することを発表した。


この20年以上もの歳月を経て公開となる復活作『Fuse』が90年代半ばの作品を現代風にアレンジしたものであることに、彼らのファンは大いに満足すると思われる。このニュー・アルバムは、2021年の春から夏にかけて、オリジナル・メンバーのベン・ワットとトレーシー・ソーンによって作曲とプロデュースが行われている。アルバムからのファースト・シングル「Nothing Left to Lose」には、監督のチャーリー・ディ・プラシドによるミュージック・ビデオが付属しており、以下でご視聴いただけます。楽曲の各種ストリーミング配信はこちらから。


バンドの再出発とニュー・アルバムについて、トレーシー・ソーンはこう語っている。「皮肉なことに、2021年3月にスタートしたとき、ニュー・アルバムの完成されたサウンドは、私たちの最後の関心事だった。もちろん、このような待望のカムバックのプレッシャーは承知していたから、代わりに、方向性は不明だが新しい発明を受け入れる、オープンマインドな遊び心の精神で始めようとした」


バンドは2021年の春から夏にかけて、アルバムの作曲と制作に取り組み、自宅とバース郊外の小さな川沿いのスタジオで、友人でエンジニアのブルーノ・エリンガムと密かにレコーディングを行った。


一方のベン・ワットは、「エキサイティングだった。自然なダイナミズムが生まれました。私たちは短い言葉で話したり、少し見たりして、直感的に共同作曲をしました。それは、私たち2人の自己の総和以上のものになりました。それだけで、”Everything But The Girl”になったんだ」。


アルバムのタイトル「Fuse」は、バンドが長い年月を経て再結成した際にスタジオで生まれたダイナミックなエネルギーにインスパイアされたものである。プロとして互いに長い間離れていたため、スタジオでは摩擦と自然な火花の両方があった」とトレイシーは実直に説明している。「私たちがどんなに控えめにしていても、ときにはまるで導火線に火がついたような感じになった。そして、それは一種の合体、感情の融合で終わった。とてもリアルで生きている感じがした」

 





Everything But The Girl 『Fuse』
 



Label: Virgin Music Group

Release Date: 2023年4月21日



Tracklist:

 
1.Nothing Left To Lose
2.Run a Red Light
3.Caution to the 
4.Wind
5.When You Mess Up
6.Time and Time Again
7.No One Knows 
8.We’re Dancing
9.Lost Foreverorever
10.Interior 
11.Space
12.Karaoke 
 
 
 
 Pre-save/Pre-add:
 
 
 

 

DAMEFRISØR ©︎ Holly Delooze

UK/ブリストルを拠点に活動するDAMEFRISØRが、2月24日にリリースされるデビューEP「Island of Light」に先駆けて、ニューシングル「D.O.D.」を公開しました。


「D.O.D.は目に見えない感覚について歌っている」とボーカルのKazhi Jahfarは語る。


「この曲は、何かを経験しながらも、誰も自分の存在に気づいていないような感覚について歌っているんだ。都市における孤独は、このアルバムで繰り返し扱われているテーマなんですが、音楽的には、あらゆる努力が無駄になる中で、人に見られようとする強さを表現しているように感じます。歌詞は、そのような感覚から生まれるストレスフルな雰囲気に反応する、ある種の内的独白のようなものなんだ」


新作EP「Island of Light」について、Kazhi Jahfarはさらに続ける。


「このEPは、前2枚のシングルを出してから、本当に自然な流れのようにも感じているんだ。これらの曲は、自分たちの音楽にもっとスペースを作りたいと考え、自然音と工業音のミックスをさらに追求することを意図して書いたんだ。レコーディングのためにスタジオに入る前は、曲は基本的な段階にあり、アイデアは予めあったのですが、まだ明確な形になっていなかった」


「でも、彼は素晴らしいアイデアとテクニックを持っていて、私たちのアイデアを実現するために強く貢献してくれました。それぞれの要素を深く掘り下げていくことに時間を費やすことができた。結果、僕ら全員が本当に誇りに思うレコードが完成した。僕らのアイデアに命を吹き込んでくれたアレックスに感謝しています」






DAMEFRISØR 『Island of Light』EP   

 


Label: Permanent Creeps

Release: 2023年2月14日


Tracklist:



1. D.O.D.
 
2. The Grip 

3. Above Board

4. 52a

5. Horizon (Extended Mix)

Weekly Recommendaiton

 

John Roberts 『Like Death A Banquet』

 


Label: Brunette Editions

Release: 2022年12月23日 


Genre: Electronic/Ambient/Experimental

 

 

Review

 


ジョン・ロバーツは、”音楽家”という肩書きでは一括りに出来ない幅広い領域で活躍するアーティストです。敏腕プロデューサーの表情を持つ一方で、8ミリのフィルムのリリースや、彼の出版する雑誌のカバーアートなど、写真作品を見るかぎり、強固な美学に裏打ちされた作品を複数リリースしています。映画、写真、メディア・アート、異なる分野に及ぶ見識については、彼自身の音楽や音源のアートワークに力強く反映されています。2019年からのリリースでは、ボーリングの球体の写真を始めとする円状のアートワークが並ぶ。球体という図形に関する興味は、このアーティストが空間芸術に高い関心を持つことを示しているかも知れません。


12月23日に発売となった最新EP『Like Death A Banquet』において、ジョン・ロバーツは既存の作品とは一風異なる作風に挑んでいます。これまで前衛的な電子音楽を複数リリースしていましたが、今回の作品ではピアノと電子音楽の組み合わせに挑戦している。これまで、先鋭的なエレクトロニックを作曲してきたロバーツの新たな表現性を本作に見出すことができるはずです。

 

2曲入りのEPというと、シンプルではありますが、これは単なるシングルとも言いがたい。抽象的な概念を通じて繰り広げられるピアノ・アンビエントのフレーズの単位はミクロ的な視点で構成され、大掛かりな作品が生み出されている。


ロバーツは、シンプルな楽曲構成を心がけ、単調さの陥穽を上手く避けている。アンビエンスの効果を最大限に活用し、教会や高い天井を持つ空間を演出する奥行きあるリバーブ・エフェクトやディケイを取り入れ、音響中に微細な変化をもたらしています。

 

『Like Death A Banquet』に内包される音楽は、ジョルジョ・デ・キリコの絵画作品のごとくシュールレアリスムのような不思議な感じに満ちている。意味のない空間のように思え、その中に何らかの意味を見出したくなるという趣旨もある。しかし、また、キリコのように、音を俯瞰して眺めていると(聴いていると)現実的な感覚が希薄なため、そこに奇妙な安らぎを覚えることも事実です。ここには、現実性と一定の距離を置いた異質な空間が広がり、現実空間とは没干渉な音楽が展開されています。いわば、人気のない奇妙な空間に足を静かに踏み入れ、その中に安寧を見出したり、また、人気のない美術館に足を踏み入れる際におぼえる安心感にも喩えられる。そこでは、己の中にある美的感覚がはっきりと浮き彫りとなる。まさに、この2曲収録のEPは、以上のような、ジョン・ロバーツの持つ、きわめて強固な美的感覚が緻密に提示されており、凛とした静けさと安らぎに充ちた音響空間はこの再生時間の中で維持されている。そして、この音楽において、その内なる美的感覚は鑑賞者の手に委ねられるわけです。つまり、この音楽の中に、どのような美的感覚を見出すのかは聞き手の感性如何に一任されているのです。

 

この作品は、常に静けさに満ちており、その中には異質な神秘性すら見出すことができる。このミステリアスな感覚を加味するのは、ピアノのフレーズの合間に導入されるパーカーションや、弦楽器のピチカートの切れ端、断片的なサンプリングといった複数の要素です。ロバーツは、音源の素材をシンセとミックスダウンで巧みに処理し、ピアノのフレーズを後に繋げていきます。さらに、抽象的なフレーズの合間に、木の打音や弦楽器の演奏の断片を導入し、音の配置を緻密に入れ替えたり、フレーズを組み替えた変奏を重ねることにより、同じフレーズであるものを、まったく別のフレーズのように聴かせる。それまでの意味を新しく塗り替えてしまうわけです。

 

このEPは、単一の主題によって立体的に組み上げられた趣のある作品ですが、驚くべきことに、音楽に対する見方や角度を変えれば、異なる音楽のように聴こえることを暗示しています。これらのリズムやフレーズの配置の多彩なバリエーションにより、「Like Death A Banquet」は、16分もの間、別のフレーズが独立して存在するように感じられる。表面上だけを捉えると、よくあるようなアンビエント/モダン・クラシカルではないかとお考えになるかもしれません。しかし、ジョン・ロバーツは、『Like Death A Banquet』において、聞き手の予測を上回る前衛的な作風を確立しています。ここで、ロバーツは、ミニマル・ミュージックの先にあるアブストラクト・ミュージックの未知の可能性を実験的かつ断片的に示しているといえそうです。

 

 

 86/100

 






John Roberts


ニューヨークを拠点に活動するプロデューサー/演奏家であるジョン・ロバーツは、2010年のデビュー・アルバム「Glass Eights」、2013年の2ndアルバム「Fences」のリリースで批評家の称賛を浴び、エレクトロニック・ミュージックのトップ・イノベーターとしての地位を確固たるものにしました。また、Rough Trade、Hyperdub、Young Turks、R&S Recordsなどの著名レーベルのリミックスを手掛けている他、国際的な高級ブランドであるプラダ、エルメス、モンクレール、ブガッティに、オリジナルの作曲とサウンドデザインを提供しています。


2015年、ジョン・ロバーツは、ジャンルやメディアに縛られない特異で学際的な作品のリリースに焦点を当てた自主レーベル、”Brunette Editions”を設立。2016年には、3枚目のフルレングス・アルバム『Plum』、さらに、それに付随するスーパー8mmフィルムをリリースしています。


Pitchforkは、「ロバーツは、彼の同業者が、ただ12インチを売りさばいているように思えるほど、個人的かつ芸術的なセンスで活動している」と評しています。2019年には、ミュージシャン、仮想楽器、フィルム編集技術との関係を探求した「Can Thought Exist Without The Body」をリリースしました。


さらに、ロバーツは、アーティスト、映画制作者、ミュージシャンの視点から、仮住まいを検証する、世界的に著名な印刷物「The Travel Almanac」の共同創設者兼編集長を務めています。(公式サイトはこちらより)この雑誌では、デヴィッド・リンチ、イザベル・ユペール、リチャード・プリンス、ハーモニー・コリン、コリアー・ショールとの対談が掲載されています。




*本レビューが2022年最後のウィークリー・レコメンドになります。今年もありがとうございました。皆さん、良いお年をお迎えください。


ロンドンのO2アカデミー・ブリクストンでの3公演がソールドアウトとなったばかりのFred again.が、「Studio Live」プロジェクトの第3弾として、ロンドンでの1時間に及ぶライブ映像を公開しました。


「これは今までやった中で一番気に入っている」と彼は述べている。「ここには多くの素敵な驚きがある」


最近リリースしたアルバム「Actual Life 3 (January 1 - September 9 2022)」からの楽曲をフィーチャーしたこのパフォーマンスには、2018年のデビュー作「Life's A Trip」からラッパーのトラック「Missing My Idols」をサンプリングしたTrippie Reddとの未発表トラックも含まれているという。

 





東京の電子音楽家、蓮沼執太が12月9日にニューシングル「Vanish,Memoria」を配信リリースしました。


「Vanish, Memoria」は蓮沼が12月23日に開催するフィルコンサート「消憶 きおく」で披露するために書き下ろした楽曲。しかしフィル編成でのレコーディングが困難になったことから、メンバーの石塚周太(G)と、アメリカ・ニューヨーク在住のドラマー、グレッグ・フォックスの演奏によって音源を完成させた。蓮沼によるビートプログラミング、石塚のドライなエレキギター、グレッグの生ドラムが複雑なリズムの重なりを生み出している。


蓮沼執太のコメントは以下の通り。


12/23(土)に行われる蓮沼執太フィル公演「消憶|Vanish, Memoria」で初演しようとして、蓮沼執太フィルのために書いたのが、この楽曲です。でも事情があってフィルでのレコーディングが難しくなってしまい(12/23のライブでその理由をお話します)、ソロのシリーズをスタートさせたことだし、完成させようと思って作りました。完全なる2022年作曲です。ドラムはNYの友達Greg Foxに、ギターは蓮沼執太フィルの石塚周太くんにお願いしました。


蓮沼執太  「Vanish,Memoria」New Single



Release: 2022年12月9日


Tracklist:


1. Vanish,Memoria


楽曲のストリーミング:


https://virginmusic.lnk.to/VanishMemoria



 

 

BlurのDamon Albarn(デーモン・アルバーン)のバーチャルバンド、Gorillazが、ニューシングル「Skinny Ape」を公開しました。

 

この曲は、12月17日14:30(米国東部時間)にタイムズスクエアで、12月18日14:00(日本時間)にピカデリーサーカスで、バンドによるライブパフォーマンスが予定されています。Jamie HewlettとFx Gobyが監督した「Skinny Ape」のパフォーマンスは、Nexus Studiosが制作し、GoogleのARCore Geospatial APIを利用して、ARで公共空間を変身させる。新曲の試聴と予告編は以下よりご覧ください。


Gorillazのバーチャル・ベース奏者、Murdoc Niccalsはプレスリリースで次のように述べています。

 

「私たちのフォロワーの皆さん、あのゴリラがこの場所を破壊して以来、最大のタイムズスクエア買収に備えましょう。私たちは4人で構成されているので、より大規模になります。Googleの技術者たちのおかげで、今世紀のミュージックビデオ・イベントを作ることができた。ピンクのローブを着て、今まで見たことのないようなGorillazを見に来よう。未来はすぐそこだ!」


Cracker Islandは、Stevie Nicks、Adeleye Omotayo、Thundercat、Bad Bunny、Beckが音楽的に参加しているのが特徴です。この作品は、バンドがGreg KurstinとRemi Kabaka Jr.と共にプロデュースしたものです。


6月、GorillazはThundercatをフィーチャーしたアルバム・タイトル曲「Cracker Island」を公開しました。8月のアルバム発表と同時に、Tame ImpalaとBootie Brownをフィーチャーしたシングル 「New Gold」を発表しました。 

 


昨年、GorillazはEP『Meanwhile』をリリース。彼らの最新アルバム『Song Machine, Season One: Strange Timez』は2020年10月に発売された。

Weekly Recommendation 
 
 
 
Move D& D man 「All You Can Tweak」
 
 


Label : Smallville Records   

Genre: Techno/House
 
Release: 2022年12月2日 
 
 



Featured Review    
 
 
ードイツ/ライン地方のダンス・ムーブメントの30年の集大成ー



1990年頃、ドイツ・ハイデルベルクは、アンダーグラウンド・レベルでダンスシーンがこれまでになく盛り上がりをみせていた。ゲーテ、ヘンダーリン、アイヒェンドルフで有名なネッカー川にほど近いフィロゾーフェン通り(哲学者の道)や、ドイツで最も美しい古城を始めとする由緒ある旧市街地、また学生街でもある--ハイデルベルクのベルクハイマー通りにある「Blaues Zimmer」(ブルールーム)というライブ・スペースには、当時、定期的に優秀なプロデューサがここぞとばかりに集っていた。
 
 
このドイツのアンダーグラウンド・シーンの一端を担った「Blaues Zimmer(ブルー・ルーム)は、Dirk Mantei(Dman)が所有するスタジオであり、David Moufang(Move D)は、この場所を、その後の10年間にライン・マイン地域で起こったエレクトロニック・ミュージック・ムーブメントの「種(Keimzellenーカイムツェーレン)」と呼びならわしている。ハイデルベルクは、マンハイム、ルートヴィヒスハーフェン、ダルムシュタット、といった中堅都市が比較的近くに位置し、フランクフルトにも簡単に行くことが出来たためか、この町の90年代のダンスフロアは活況をきわめ、その頃、多くのクラブやパーティーが開催されたが、プロデューサー、Dirk Mantei(ディルク・マンテイ)とDavid Moufang(ダビデ・モウファン)は、当地のクラブシーンの一翼を担う存在だったという。


Dirk Mantei & David Moufang,、Eric D Clark、Robert Gordon、Nils "Puppetmaster" Hess、DJ Cle-、などなど、ハイデルベルクに住んでいた秀逸なプロデューサーたちが、この時期にダークなフロアに集まっていた。このことに関して、Discogsは、Dirk Mantei(ディルク・マンテイ)を「南ドイツの1990年代のテクノ・シーンの中心的人物」と呼んでいるが、これにはそれなりの理由があるのだという。他でもない、Dirk Mantei(ディルク・マンテイ)は、地元のミュージック・シーンを盛り上げてきた人物であり、南ドイツのクラブ・ミュージックの地盤を築き上げた人物でもあるのだ。
 
 
Dirk Manteiは、個人経営のレコード店(Dubtools)を経営しながら、Planet Bass(1988年頃、ハイデルベルクのNormalで行われた日曜日のパーティ)、Hot Lemonade(1990年頃、マンハイムでの日曜日のパーティ)といった、伝説的なパーティを開催しながら、地元ハイデルベルクのダンスシーンを活性化させようとしていた。その後、ハイデルベルクからマンハイムに拠点を映すやいなや、Dirk Mantei(ディルク・マンテイ)は、伝説的なクラブ”Milk!”(1990年~)をオープンし、その後、HD800(MS Connexion内)というクラブを経営するに至った。この2つのクラブには、彼自身が購入し、調整した、巨大なサウンドシステムが導入された。David Moufangは、クラブ”Milk!”について、自分のソロ名義/Move Dとレーベル名Source Recordsの発祥の地と呼びならわしているようだ。


Dirk Mantei & David Moufangの実質的なデビュー・レコードは、Davids Sourceからリリースされた「Homeworks 1」という12インチだ。また、その1年前には、Source Recordsから最初のCDとしてリリースされた4曲もあった。また、「Wired To The Mothership」は、このCDコンピレーションに収録されている32秒のトラックで、あまりにも短いが、特別なものであるのだという。


シェフィールドにインスパイアされたブリープ、タイムレスなパッド、デトロイトなストリングス、JXP-3のオルガンソロ、アナログドラム、アナログ・ベースラインなど、時代を超えたコンポーネントが最も素晴らしい方法で織り成されてから消えていく。DavidとDirkは、この曲のロングバージョンが何故今まで存在していなかったかという点について、「当時のミックスダウンに満足おらず、30年近くかけてようやく2021年のフルバージョンを完成させた」と語っている。


 
今回、Smallville Recordsからリリースされた『All You Can Tweak』の全てのトラックは、1992年から2021年の間にDavid MoufangとDirk Manteiによって書かれ、プロデュースされ、ミックスされた作品である。
 

Move D


昨日、12月2日に発売された南ドイツのダンスシーンを象徴する二人のプロデューサーDirk Mantei & David Moufangの最新作『All You Can Tweak』は、先述したように、90年代に録音されていながら、長らく発表されていなかったトラックも複数収録されているという点で、伝説的なアルバムと呼べるかもしれない。二人のプロデューサー、Dirk Mantei (ディルク・マンテイ)& David Moufang(ダビデ・モンファン)のダンスミュージックは、デトロイト・テクノや初期のハウス・ミュージックに象徴される4つ打ちのきわめてシンプルなハウス・ミュージックが基本的な要素となっている。シンプルなスネアとドラムのキックに支えられた基本的なテクノ/ハウスではありながら、反復的に繰り返されるビートに、アシッド・ハウスやサイケの要素が加わっていくことにより、途中から想像しがたいような展開力を持ち合わせるようになる。
 
 
Move D/Dmanの最新作『All You Can Tweak』は、彼らのテクノ/ハウスの原点を探るような作品といえそうだ。この作品は、ジェフ・ミルズ、オウテカ、クラーク、ボノボの初期のように、最もテクノが新しい、と言われていた時代の熱狂性の痕跡を奇跡的に残している。時代を経るごとに、これらの4つ打ちのリズムは徐々に複雑化していき、ヒップ・ホップのブレイクビートの要素が付け加えられ、ほかにもロンドンのドラムン・ベースの影響が加わり、さらに細々と不可解に電子音楽は枝分かれしていった印象もあるが、『All You Can Tweak』を聴くとわかるように、これらの基礎的な4つ打ちのビートにも、まだ音楽として発展する余地が残されていることを、二人のプロデューサーはあらためて、この最新作『All You Can Tweak』ではっきり証明している。一方で、この作品は、単なるデトロイト・テクノや旧来のハウス・ミュージックへの原点回帰とはいいがたいものがある。三十年という月日は、Move D/Dmanにとって、これらの原始的なダンスミュージックを、さらに深化/醸成させるための準備期間であったのだろうと思う。二人のプロデューサーは、実際に、レコード店を経営しながら、そして、地元ハイデルベルクのダンスシーンと密接に関わりながら、イギリスにもない、イタロにもない、そして、アメリカにもない、特異なGerman-Techno(ゲルマン・テクノ)を綿密に構築していった。
 
 
彼らは、80年代のテクノやハウスのシンプルなビートの要素に加え、デュッセルドルフのテクノ、トランス、構造的なエレクトロの要素をもたらし、他にも、ホルガー・シューカイのダブの多重録音や、サイケの色合いを付け加える。ハウスの16ビートに、シャッフルビートを加え、グルーブの揺らぎを生み出し、オシレーターを駆使したフレーズを重ね、トーンの絶妙な揺らぎをトラックメイクに施し、音の進行に流動性を与え、曲そのものに多重性をもたせている。ビートは、常に反復的で、キックが強調されていることからも分かる通り、フロアの重低音の実際の音響に重点が置かれているが、軽薄なダンスミュージックを極力遠ざけて、思索的な音の運びを尊重している。二人のプロデューサーは、オシレーターによるトーンの微細な変化により、信じがたい音色を生み出す。多くの曲がイントロから中盤にかけて、印象がガラッと一変するのはそのためである。そして、これが今作を聴いていて、ランタイムが進むごとに、音楽の持つ世界が深度や奥行きを増していくように感じられる理由でもあるのだろう。
 
 
アルバムのアートワークを見ても分かる通り、これらのテクノ/ディープ・ハウスは一筋縄ではいかない。製作者の音楽的な背景を実際の音楽に反映したかのように、サイケデリックな色合いを持ち、アンダーグラウンド性の高い、緊迫したトラックが続く。リスナーはオープニングを飾る日本の江戸時代後期の浮世絵画家にちなんだオープニング「Hokusai」で、異質な何かを発見することになる。コアなグルーブと共に、ベースラインを強調させたリード、ハイハットのシンプルな連打がアルバムの世界観を牽引する。 これらは、二人のプローデューサーの豊かな創造性により、浮遊感が加味され、ときに、サイケデリック・アンビエントの領域に踏み込む場合もある。
 
 
一転して、#2「All You Can Tweak」では、落ち着いたIDM寄りの電子音楽が展開される。ミニマル・グリッチ的なアプローチの中にチルアウトの要素が加味される。金属的なパーカションを涼し気な音響の中に落とし込むという点では、Bonobo(サイモン・グリーン)に近い手法が取り入れられている。さらに、#3「Colon.ize」は、本作の中でハイライトの1つとなる。4つ打ちの簡素なビートは、ハウスの基本的な要素を突き出しているが、特にバスドラムのベースラインを形成するシンセが絡み合うことにより、コアなグルーブ感を生み出していく。しかし、この曲が既存のハウス/ ディープ・ハウスと明らかに異なるのは、デュッセルドルフのテクノ、つまり、クラフトベルクのロボット風のシンセのフレーズがSFに近い特異な音響空間を導出する点にある。不思議なのは、これらのロボット・シンセが宇宙的な雰囲気を演出するのである。さらに続く、#4「Weierd To The Mothership 2021」は、ユーロ・ビートやトランスが隆盛をきわめた時代のノスタルジアが揺曳する。これらのアプローチは古びている感もなくはないが、その点を二人のプロデューサーは、リミックスを通し、アシッド・ハウスの要素を加味することによって克服し、淡白なダンスミュージックを避け、鮮やかな情感を添えることに成功している。

 
その後もまた、4つ打ちのシンプルなビートがタイトル・トラック「All You Can Tweak」で続くが、ここでは複合的なリズム性が現れ、シャッフル・ビートの手法を駆使し、特異なグルーブを呼び覚ましている。この曲でも、ビートやリズムは、新旧のハウス/ディープ・ハウスをクロスオーバーしているが、そこにシンセのオシレーターのトーンの振幅により、音色に面白い揺らぎがもたらされ、曲のクライマックスでは、ボーカルのサンプリングを導入し、近未来的な世界観をリスナーに提示している。ただ、ひとつ付け加えておきたいのは、それは人間味というべきなのか、電子音楽の良曲を見極める上で欠かすことの出来ない仄かな情感を漂わせているのである。
 
 
 
アルバムの終盤では、この二人のダンスフロアへの熱狂性がさらに盛り上がりを見せ、90年代のハイデルベルクのアンダーグランドのダンスフロアに実際に踏み入れていくかのようでもある。続く、#6「Doomstorlling」では、シンセ・リードにボコーダーのエフェクトで処理した面白い音色を生み出していてユニークであるが、やはり、80年代のイタロ・ディスコに触発されたマンチェスターのミュージック・シーンとも異なる、バスドラムのキックのダイナミクスを最大限に活かした少しダークな雰囲気を持つダンス・ミュージックを体感することが出来る。そして、アルバムのクライマックスを飾る#7「Luvbirdz」は、「Hokusai」「Colon.ize」「All You Can Tweak」と合わせて聞き逃すことの出来ない一曲である。彼らは、シャッフル・ビートを交えつつ、アシッド・ハウスの極北を見出す。タイトルに纏わる鳥のシンセの音色についても、二人のプロデューサーの斬新なアイディアを象徴するものとなっている。
 
 
 
総じて、『All You Can Tweak』は、90年代から続く、南ドイツのアンダーグラウンドのダンス・ミュージックの二人の体現者であるDavid&Dirkが、それをどのような形で現代に繋げていくのか、真摯に探求しているため、歴史的なアーカイブとしてみても、意義深い作品となっている。これらの7つのトラックは、90年代のハイデルベルクのミュージック・シーンの熱狂性を余すことなく継承しているばかりか、現在も新鮮かつ刺激的に感じられる。いや、それどころか、これらの楽曲が、2020年代の世界のダンス・ミュージックの最高峰に位置することに疑いを入れる余地はない。信じがたいことに、彼ら(David&Dirk)が90年代にハイデルベルクに蒔いたダンス・ミュージックの種-Keimzellen-は、30年という月日を経て実に見事な形で結実したのである。
 

98/100
 
 
 
 Weekend Featured Track #1「Hokusai」
 

Satomimagae-The Courtesy Of The Artist


Satomimagaeが、デビュー・アルバム『Awa』の10周年記念リイシューを発表しました。この度、10年前に自主制作したものをアートワークを一新し、再編集盤として発売されることになった。


2023年2月3日にRVNG Intlからリリースされるアルバム『Awa』は、数曲のボーナストラックと新しいアートワークとパッケージで再発される。昨日、彼女は先行シングル「Inu」の新しいビデオを公開しました。以下、チェックしてみてください。


「この曲のタイトルである "Inu "は日本語で "犬 "という意味。怖いもの/避けたいものの象徴であると同時に、受け入れたいもの、友達になりたいものの象徴でもある」とSatomimagaeはコメントしている。

 

 

「Inu」 

 



Satomimagae 『Awa』 Reissue

 


Label: RVNG

Release: 2023年2月3日


Tracklist:


1. #1

2. Green Night

3. Inu

4. Q

5. Koki 

6. Mouf

7. Hematoxylin

8. Bokuso 

9. Tou

10. Kusune

11. Riki

12. Kaba

13. Hono 

14. Beni.n 

15. Hoshi

16. Mouf Remix

 

 

 

 

 

Satomimagae  -Biography-


東京を拠点に、ギター、声、ノイズのための繊細な歌を紡ぎ、有機と機械、個人と環境、暖と冷の間で揺らめく変幻自在のフォーク系統を伝播するサトミマガエ。最新作は、RVNG Intl.から初のリリースとなる「HANAZONO」。

 

石や川や風から受ける純粋で私的な驚きという日常の神秘主義へのオマージュとして、彼女は自由な遊びとアンサンブル音楽への関心と孤独な音作りの私的世界を融合させ、シンプルさと複雑さを兼ね備えた、まさに無垢な芸術の生物圏というべき作品を作り上げた。



Satomiの芸術的な旅は、中学生の時にギターに出会った時代に遡る。父親がアメリカから持ち帰ったテープやCDのカプセルに入った古いデルタブルースの影響もあり、すぐにこの楽器に夢中になり、10代で曲作りの実験に取り掛かった。

 

コンピュータを導入したことで、より多くの要素を取り入れることができるようになり、まもなくソロ活動もアンサンブルを愛するようになる。大学では分子生物学を学びながらバンドでベースを弾き、様々な音の中に身を置くことに憧れ、自然やそこに生息する生き物への情熱と交差する。



この頃、アンビエント・ミュージック、エレクトロニック・ミュージック、テクノなど、より実験的でヴォーカルを排除した音楽に傾倒し、リスナーの幅を広げていく。サンプラーを手に入れ、クラブやカフェでソロライブを行うようになり、自分の声やギターの演奏に、追加楽器として考えたノイズを重ね合わせるライブを行うようになる。Satomimagaeは、彼女の特異なフォークトロニックの反芻を通じた公式キャラクターとなった。

 


UKのエレクトロ・ポップバンド、Hot Chipが、最新アルバム『Freakout/Release』から「Broken」のPVを公開しました。(レビューはこちらからお読みください)

 

また、Jacques Lu Cont、Planningtorock、Each Otherが手がけた3種類のリミックスも同時公開されています。マキシム・ケリーが監督したミュージックビデオとリミックスの試聴は以下から。


プレスリリースで、マキシム・ケリーは次のように述べています。「A.I.マシンがアートワークをすることに興味があります」

 

「将来的には、ロボットやコンピュータがミュージックビデオを作るかもしれません。私が幼い頃に見たMTVのボーイズバンドのビデオは、過度にセンチメンタルで、感情的で腹に響くパフォーマンスでした。このビデオでは、魂の抜けたアンドロイドが、このようなビデオのすべての動作と決まり文句を、死んだようなロボットのような正確さで実行しているのです。このビデオは、エンターテインメント性と観賞に耐える部分をすべて取り除いたポップ・ビデオです」

 

 

「Broken」PV

 

 

 

「Broken」Remix Version

 


 

Gold Pand ©Laura Lewis

ロンドンのプリデューサー、Gold Panda(ゴールド・パンダ)が、最新アルバム『The Work』からのシングル「Plastic Future」のSkee Mask Remixを公開しました。試聴は以下より。


「初めてSkee Maskを聴いたのは、家から街へ向かう憂鬱な平日の雨のバス移動の時だったかな」 Derwin Dicker(ダーウィン・ディッカー)は声明で語っている。

 

「"50 Euro To Break Boost "は、窓を流れる雨でフィルターされた車両のライトに完璧にフィットしている。リミックスができて、彼が、私の音楽を好きだと聞いて、とてもラッキーだ。『Lucky Shiner』がエレクトロニック・ミュージックへの入り口になり、今では僕よりずっと良い音楽を作っている人がたくさんいることが分かったのも嬉しい(笑)。このリミックスにはクラシックなSkeeのトラックの特徴がすべて詰まっている気がする。ちゃんとしてるよ!!」


 


本日、Soundwalk Collective with Patti SmithはBella UnionよりThe Perfect Vision deluxe box setをリリースしました。アルバムのストリーミング視聴はこちらから。

 

このリリースに先立ち、Soundwalk Collective with Patti Smithは、尊敬する作曲家でありプロデューサーのBrian Enoによるトラック「Peradam」の魅惑的なリミックスが公開されています。下記よりご覧下さい。



この曲は、『The Peyote Dance』、『Mummer Love』、『Peradam』という『The Perfect Vision』を構成する3枚のアルバムとともに、ボックスセットに付属するリミックスアルバムに収録されています。



2019年から2021年にかけて、サウンドウォーク・コレクティヴとパティ・スミスは、フランスの象徴的な3人の詩人の文章からインスピレーションを得た3枚組のアルバムでコラボレーションを行った。

 

アントナン・アルトー、アルチュール・ランボー、ルネ・ドーマルの3人の象徴的な詩人の文章からインスピレーションを得たものです。

 

この作品の中心は、詩人たちが自分自身や自分の芸術について新しいビジョンや視点を得るために、異なる土地を旅する必要性に迫られたことについて。メキシコのシエラタラフマラ(ペヨーテダンス)、エチオピアのアビシニアンヴァレー(ママーラブ)、インドのヒマラヤ山頂(ペラダム)で録音されたこのアルバムは、詩人たちの足跡をたどり、その場で録音したサウンドスケープを通し、隠れた存在である土俗音を求め、パティ・スミスがその風景にインスピレーションを得て発した詩人たちの言葉を再確認している。結果、ランボー、アルトー、ドーマルの作品を横断する音と映像のモンタージュが、どこか別の場所への航海を表現している。



ブライアン・イーノ: ミュージシャン、プロデューサー、ビジュアルアーティスト、活動家 1970年代初頭にイギリスのバンド、ロキシー・ミュージックの創立メンバーとして国際的に知られ、その後、ソロアルバムやコラボレーションを行う。

 

プロデューサーとしては、トーキング・ヘッズ、ディーボ、U2、ローリー・アンダーソン、ジェームス、ジェーン・シベリー、コールドプレイとのアルバムがある。

 

コラボレーションとしては、デヴィッド・ボウイ、ジョン・ハッセル、ハロルド・バッド、ジョン・ケイル、デヴィッド・バーン、グレース・ジョーンズ、カール・ハイド、ジェームズ・ブレイク、最近では彼の兄、ロジャーとの「ミキシング・カラーズ」などの作品がある。



ブライアン・イーノの光とビデオによる視覚的な実験は、彼の音楽的キャリアと並行して続けられ、世界中で展覧会やインスタレーションが行われています。現在までに、40枚以上のアルバムをリリースし、ベニス・ビエンナーレ、サンクトペテルブルクのマーブル宮殿、北京の日壇公園、リオデジャネイロのアルコス・デ・ラパ、シドニーのオペラハウスの帆など、広範囲に渡って展示を行っています。 ロング・ナウ財団の創設メンバー、クライアント・アースの評議員、Videre est Credereの後援者でもある。 2021年4月には、気候の緊急事態に取り組む最も影響力のある環境チャリティーのために、音楽業界から資金を調達する”EarthPercent”を立ち上げた。

 


Lead Single 「Peradam」

 

 

 


 

 

 



Soundwalk Collective With  Patti Smith 『The Perfect Vision: Reworkings』

 


1. Peradam (Brian Eno Remix)

2. Song of the Highest Tower (Kaitlyn Aurelia Smith Rework)

3. Ivry (Laraaji Rework)

4. Bad Blood (Lotic Rework)

5. Indian Culture (Lucrecia Dalt Remix)

6. Song of the Highest Tower (AtomTM Remix)

7. Eternity (Jim Jarmusch Rework)