Molly Lewis 『On The Lips』 

 

 

 

Label: Dead Oceans

Release: 2024/02/16

 

Review

 

 

オーストラリア出身のウィストラー(口笛)奏者、モリー・ルイスは古典的な西部劇映画、例えば「荒野のガンマン」に代表されるシネマの音楽、例えば、エンニオ・モリコーネサウンドを20世紀のブロードウェイの音楽と繋げ、それを口笛の演奏によって表現する。ルイスは、若い時代をオーストラリアで過ごし、父親からブロードウェイミュージカルのサウンドトラックを聞かせてもらい、それらの音楽に親しむようになった。幼少時代から、ルイスは何時間でも口笛を吹いていたといい、それを父親は慈しみの眼差しで見守ってあげたのだった。モリー・ルイスはこれまで、他ジャンルのアーティストと親交を積極的に交わしている。音楽的な盟友のなかには、Yeah Yeah Yeah'sの釜山出身のニューヨークのフロント・シンガー、カレン・Оもいる。

 

モリー・ルイスは、言葉が過剰になった現代社会の風潮にそれとは別のコミニケーション方法があることを教えてくれる。彼女は口笛を吹くことの定義について、「人間のテルミン」とし、なぜ口笛を吹くのかについて次のように話している。「なぜ、私は口笛を吹くのかといえば、それはコミュニケーションをすることに尽きるでしょう。その他にも、私にとって口笛を吹くということは創造することであり、身振りやジェスチャーをすることとおなじようなものです。悲しみと喜びという2つの原初的な感情を最もよく表現するのにぴったりなのがこの口笛という楽器なのです」

 

二作のEPに続いて、発表されたデビュー・アルバム『On The Lips』 は、ルイスの音楽としてお馴染みのマカロニ・ウェスタン、エンニオ・モリコーネの映画のサウンドトラックを彷彿とさせるインストゥルメンタルに加えて、ジャズ、ラウンジ、トロピカルを交えたムードたっぷりのアルバムとなっている。聴き方によっては昭和歌謡や同年代のムード歌謡のようなノスタルジックな音楽とも言える。これまでムードや内的な感覚をロマンティックな口笛の単旋律に乗せ、音楽制作をしてきたルイスのアプローチに大きな変更はないように思われる。

 

モリーはこのところ、ニューヨークで過ごすことが多かったのだという。そして、バーのラウンジに足を運んで、これらの音楽を吸収していたのだった。また、実生活における様々な経験もこのデビュー・アルバムに何らかの影響を及ぼしているように思える。


過去数年間、ルイスは、映画『バービー』のサウンドトラックでマーク・ロンソンと共演したほか、ドクター・ドレー、カレン・O、ジョン・C・ライリー、マック・デ・マルコ、ファッション・ハウスのシャネル、グッチ、エルメス、フォーク・ロックのジャクソン・ブラウンらと共演し、音楽的スキルを発揮してきた。LAのZebulonで開催されたカフェ・モリーの夕べで、長年の友人であるウェイズ・ブラッドとバート・バカラックの『The Look of Love』で共演した後、モリーはこのシンガーの全米ツアーをサポートし、彼女のサウンドをまったく新しい聴衆に紹介した。「私がやっていることには、驚きとユニークさがあることを時々忘れてしまう」

 

アルバムにはやはり、このアーティストの考えるロマンスや憧れが凝縮されている。シンバルで始まり、ラウンジ・ジャズをベースとした曲調に、アコースティックギターの演奏がかさなり、ややミステリアスな雰囲気を持つモリー・ルイス・ワールドが繰り広げられる。今回、ルイスは、オープニングトラック「On The Lips」で、スポークンワードに取組んでいるのに驚く。そして、それを受け、やはりムード感たっぷりの口笛がはじまる。まるでそれは現実とは異なるファンタジーの扉を開くような幻想性に満ちあふれている。つづく「Lounge Lizard」ではエンニオ・モリコーネのマカロニ・ウェスタンへのオマージュを示し、西部劇のウエスタンな時代へと遡っていく。モリーの口笛の中に含まれる悲しみ、孤独、そして、それとは対象的な悦びやロマンチシズムが複雑に重なり合い、流麗な旋律の流れを作っていく。とりもなおさずそれは感情表現、あるいは口笛による感覚の奔流となり、ひとつの川の流れのように緩やかに流れていく。ベースラインやジャズの影響を含めたアルトサックスの心地よい流れが聞き手を安らかな心境へと導く。

 

二曲目でジャズやラウンジ、フュージョンへのアプローチに傾倒した後、ルイスは、アメリカーナ/フォーク・ロックに近い音楽へと歩みを進める。ノスタルジックな音楽性は健在であり、20世紀初頭のブロードウェイ・ミュージカル、日本の第二次世界大戦後の昭和歌謡やムード歌謡に近い、コアな音楽性が含まれている。 曲の進行にエレクトーンやオルガンのレトロな音色を配し、ダブに近いビートを生み出す。スロウな曲でありながら、アーティストとしては珍しくダンスミュージックに近い音楽性が選ばれる。それはポール・クックの娘、ホリー・クックのソロアルバム(Reviewを読む)のダンサンブルなアプローチに近い。これまでモノフォニーによる旋律を重視してきたルイスだが、この曲ではリズム性に重点を置いている。これは旧来からアーティストの音楽をよく知るリスナーにとって、新鮮なイメージをもたらすと思われる。

 

やはり映画のサウンドトラックを意識したコンポジションは健在で、続く「Slinky」では、モリコーネ・サウンドを基調とする西部劇の世界に舞い戻る。このサウンドへの入れ込みようには一方ならぬものがあり、女性的なコーラスを配するところまでほとんど完璧な模倣を行っている。しかし、この音楽にはイミテーション以上の何かがある。それはボサノヴァに近いゆったりしたリズム、安らぎと穏やかさが曲にワールド・ミュージックに近い意義を与えている。間や休符の多い曲は、情報が過多になりがちな現代のポピュラーミュージックに聞き慣れたリスナーに休息と癒やしを与える。さらに音楽という表現を介し、ナラティヴな試みも行われる。「Moon Tan」では、「海の上に浮かぶ夜の月」を眺めるようなロマンティックなサウンドスケープが描かれる。そこには概念や考えとはかけ離れた感覚的な口笛がのびのびと吹かれ、とてもあざやかな印象をもたらす。これは「バービー」のサウンドへの参加とは違う形で現れたシネマティックな試みでもある。

 

続く「Silhoette」では「007」のようなスパイ映画で聴くことが出来る、緊迫したシーンとは別の箇所で使用されるリラックスしたインストゥルメンタルの楽曲が展開される。ミニマリズムのアプローチが敷かれているが、しかし、ルイスの口笛は、映画的な音響にフルートの演奏のようなニュアンスをもたらし、人工の楽器というよりも、器楽的な音響を彼女自身の口笛によって作り出そうとしている。それは口を膨らませて、その中を空洞のようにして空気を外側に出すというクラシックのオペラのような歌唱法で、これらのウィストルが吹かれている事がわかる。 これらの音楽のやすらいだムードを効果的に高めるのが、女性コーラスとレトロな音色のシンセ。これらの複合的な音楽の要素は全体的に見ると、アフロジャズ、トロピカル、そしてヨットロックの組み合わせのような感覚をもたらす。そして、ポール・クックの音楽のように、海辺のバカンスを脳裏に呼び覚ますピクチャレスクな換気力を持ち合わせている。

 

その後も、ムード感とリラックス感のあるインストゥルメンタル・ミュージックが続く。そしてEPの時代に比べると、ワールド・ミュージックの要素が強まったという印象を覚える。例えば、「Porque Te Vas」では、Trojan在籍時代のボブ・マーリーのレゲエのドラムの立ち上がりから、キューバのBuena Vista Social Clubのようなキューバン・ジャズの哀愁へと繋がっていく。最終的にはジャズやファンク、そしてR&Bという大まかな枠組みに収めこまれるが、やはりリズム性を重視しているのは一貫していて、今回のアルバムの重要な中核をなしている。その後、ワールドミュージックの性質が強まり、「Cocosette」ではアントニオ・カルロス・ジョビンのブラジルのクラシックの影響下にある音を展開させる。ブラジルのサンバとは対極にあるリラックスした海辺の街の音楽を強かに踏襲し、それらをやはりルイスは口笛で表現するのである。

 

その後はフュージョン・ジャズに近い音楽性が「Sonny」に見いだせる。旋律の進行に関しては、ニューヨークのジャズボーカルの元祖、フランク・シナトラの古典性、もしくは、坂本九の「すき焼き」の昭和歌謡に近い印象がある。ただ、もちろん、ルイスは、ボーカルや声ではなく、ウィストルという彼女にしか出来ない演奏法によって表現しようと試みる。そして、この曲でも、ルイスが口笛によって伝えたいことは一貫して、ロマンスや安らぎ、淡い幻想性なのである。これらの音楽は、現実的な表現方法よりもリアリティーがある瞬間があるのはなぜなのだろう。ともあれ、アルバムは、口笛の国際コンクールで上位入賞の経験のあるウィストラー奏者の一定の水準以上の音楽を通じて、アーティストによるロマンスが感覚的に続いていく。


クローズ「The Crying Game」では、カントリー/フォークの古典的な音楽がシンセのアレンジと併せて繰り広げられる。この曲は、一連のストーリーのエンディングのような印象もあり、他の楽器パートに対し、口笛が色彩的なカウンターポイントを形成している。最後では、男女混声によるコーラスがこの曲のロマンティックなムードを最大限に高める。個人的な印象に過ぎないものの、ボーカル、ハミング、スポークンワードを積極的に披露しても面白かったのではないか? しかし、少なくとも、忙しい現代人のこころに空白や余白をもたらしてくれる貴重な作品であることは確かである。

 

 

 

75/100

 

 

Best Track-「Sonny」


フジ・ロックと並んで、日本最大級の音楽フェスティバル、Summer Sonicが今年も開催されます。今年は、8月17日から18日の2日間、東京、大阪の二箇所で開催。

 

また、大阪開催では会場を舞洲から万博記念公園に移します。さらに、今年はアジア開催が決定。バンコクで8月24日から25日にかけて2日間開催されます。こちらも非常に楽しみです。


バンコク開催についてのクリエイティブマン代表である清水直樹氏のコメントは以下の通りです。


今週2024年のサマーソニックの日程と会場が発表されました。そして、関西が新しく大阪のシンボルと言える万博記念公園になったとオフィシャルにできた事に、ただただ興奮をしています。振り返れば2007年に舞洲に移転をしてから昨年で15回を数え、実に多くの方々に来場していただきました。


サマソニにとって舞洲は忘れられないライブやシーンの数々を生んできた宝島でした。そして今回移転を余儀なくされた中でも、皆が大阪での継続に拘り抜いて動き続けて、遂にこの新天地にたどり着く幸運を掴んだのです。今は枯れ葉ばかりの公園も、夏になれば沢山の木々に葉が生い茂り自然の休憩エリアが誕生します。新たな歴史の始まりと共に、また一緒に至福の祭典を共有していきましょう。


そして2024年のもう1つのチャレンジとして、サマーソニックがいよいよ海外に進出します。タイのバンコクにて東京、大阪の翌週となる8/24 & 25の開催となります。海外フェスが様々な地域に飛び火して成功を収め、韓国アーティストが世界的に活躍をしている今、日本からも音楽で世界に繋がる手段としてサマーソニック・バンコクをスタートします。

 

両国で素晴らしいアーティストのブッキングをして、より魅力的で強力なラインナップを目指していきます。この灯りがさらに各国に広がっていくのか期待して下さい。

 

本日、サマーソニックの出演者のラインナップの第一弾が公表された。ヘッドライナーには単独来日公演でもお馴染みのイタリアを代表するロック・バンド、Maneskin(マネスキン)、イギリスのメタルロックの代表格、Bring Me Horizon(ブリング・ミー・ホライズン)が抜擢されました。


グラミー賞を受賞したR&Bシンガー、Jon Batiste(ジョン・バティステ)、北欧ポップの象徴的なシンガーソングライター、Aurora(オーロラ)、テイラー・スウィフトのプロデューサーとして知られるジャック・アントノフによるバンド、Bleachers(ブリーチャーズ)の出演も決定しました。

 

英国の現代ポップスシーンをリードするPinkpantheress(ピンクパンサレス)、2023年のコーチェラ・フェスティバルにも出演したハイパーポップ界の新星、Yves Tumor(イヴ・トゥモア)、そして、スコットランドのギター・ポップ/インディーロックの代表格、Belle And Sebastian(ベル・アンド・セバスチャン)など、注目のアーティスト、バンドが出演します。また、本サイトでもお馴染みのLAのジャズシンガー、Laufey(ラウフェイ/レイヴェイ)の出演も決定しています。

 

例年と同じく、追加ラインナップは後日発表されます。続報は公式サイトをご覧下さい。また、チケット詳細につきましては、クリエイティヴマンの特設ホームページにてご確認下さい。

 

 

 Summer Sonic 2024 第一弾ラインナップ:




 

・Maneskin

・Bring Me Horizon

・Aurora

・Yves Tumor

・Major Lazer

・ONEPUBLIC

・Underworld

・AJR

・Bleachers

・Belle And Sebastian 

・Greta Van Fleet

・Henry Moodie

・Bright

・Jon Batiste

・Laufey

・Lovejoy

・Madison Beer

・Nothing But Thieves

・Olivia Dean

・Pinkpantheress

・Stephen Sanchez

・Tyra

 

Shibata Satoko Band ©Space Shower Music


新作アルバム『Your Favorite Things』のリリースを目前に控えて、柴田聡子が最終シングル「Side Step」を本日デジタル配信で公開しました。アルバムジャケットと配信リンクは下記より。

 

この新曲について、アーティストは以下のように説明しています。

 

ある日のリハで、ドラマーの浜さんが「イタロディスコ聴きたいですね」と言って、自分はイタロディスコはおろかディスコも作ったことが無かったのでやってみたいな、そういえば底の見えないものすごいでかい穴があったら、そこに絶対なにかあるに違いないと思ってしまう人たちの、結果何も無くても怒り出さない結末の曲を作りたかったというアイデアがディスコにぴったりな気がして「Side Step」となりました。

この曲も岡田さんにビートを打ち込んで頂くところから始まり、まきやまはる菜さんに踊り出すベースを入れて頂き、”そのあとどうしよう?”というところに、別所さんにスタイリッシュなシンセを入れていただき、ミックスでの試行錯誤を経て、大好きな曲となりました。

 

この度もいっしょに作ってくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました! いよいよニューアルバムのリリースも目前です。どうぞお楽しみにです! 

 

ー柴田聡子

 

 

アルバムの発売を記念するリリースツアーの完売を受けて、追加公演が決定しました。Spotify 0-Eastにて5月31日(金)に開催されます。こちらの公演情報も下記よりチェックしてみよう。

 

さらに、同じく、アルバムリリースを記念して、FM-京都のラジオ出演も決定しました。レコ発ラジオα-STATIONによる「Your Favorite Racital」が3月3日に放送決定。こちらもお楽しみに。


ニューアルバム『Your Favorite Things』はシンガーソングライターである柴田聡子に、まきやまはる菜、浜公氣、岡田拓郎の三人のミュージシャンを加えて、バンド形式で録音された。バンドメンバーとしても参加する岡田拓郎がエンジニアを務め、プロデューサー的な役割を担った。

 

最終のマスタリングには、Yves Tumor,Paramore、Wolf Alice、Ariel Pinkの作品を手掛けてきたロサンゼルスの名プロデューサー、Dave Cooley(デイヴ・クーリー)を迎えた。個性的でドリーミーなポップ・ワールドと日本語歌詞の融合がどのように花開くのかに期待します。

 


 

アルバム発売後の情報はこちらより。

 

 

 

柴田聡子 「Side Step」 ‐ New Single



 

作詞・作曲:柴田聡子|All Lyrics & Music by Satoko Shibata


プロデュース、アレンジ:柴田聡子、岡田拓郎|Produced & Arranged by Satoko Shibata & Takuro Okada


柴田聡子:ボーカル|Satoko Shibata: Vocals


岡田拓郎:エレクトリック・ギター、シンセサイザー、サンプリング|Takuro Okada: 

Electric Guitar, Synthesizer & Sampling 

 

まきやまはる菜:エレクトリック・ベース|Haruna Makiyama: Electric Bass
 

別所和洋:シンセサイザー|Kazuhiro Bessho: Synthesizer


レコーディング・エンジニア:宮﨑洋一、岡田拓郎、柴田聡子|Recording Engineer: Yoichi Miyazaki, Takuro Okada & Satoko Shibata


レコーディング・スタジオ:IDEAL MUSIC FABRIK、DUTCH MAMA STUDIO、抹茶スタジオ、studio Aoyama、 OKD Sound Studio|Recorded at IDEAL MUSIC FABRIK, DUTCH MAMA STUDIO, Matcha Studio, studio Aoyama & OKD Sound Studio


ミキシング・エンジニア:岡田拓郎|Mixing Engineer: Takuro Okada


ミキシング・スタジオ:OKD Sound Studio|Mixed at OKD Sound Studio


マスタリング・エンジニア:Dave Cooley (Elysian Masters, LA)|Mastering Engineer: Dave Cooley (Elysian Masters, LA)

 

 

「Side Steps」の配信リンク(Pre-save) :

 

https://satokoshibata.lnk.to/SideStep



 

 

・「Your Favorite Things」‐ New Album

 


 

CD/Digital | DDCB-12121 | 2024.02.28 Release | 3,000Yen+Tax | Released by AWDR/LR2


Tracklist(収録曲):

01. Movie Light
02. Synergy
03. 目の下 / All My Feelings are My Own
04. うつむき / Look Down
05. 白い椅子 / Sitting
06. Kizaki Lake
07. Side Step
08. Reebok
09. 素直 / Selfish
10. Your Favorite Things


 

アルバムの先行予約(Pre-order/Pre-save);

https://ssm.lnk.to/YFT 



・New Live Event 柴田聡子「Tour 2024 "Your Favorite Things"」

 


ソールドアウトとなったリリース・ツアー東京編の追加公演が5月31日(金)にSpotify O-EASTにて決定。


岡田拓郎 (G) / まきやまはる菜 (B) / 浜公氣 (Dr) / 谷口雄 (Key) / Dub Master X (FOH)



・2024.03.02 (Sat) 東京 恵比寿 LIQUIDROOM OPEN 17:00 / START 18:00 *SOLDOUT


・2024.03.19 (Tue) 大阪 梅田 CLUB QUATTRO OPEN 18:15 / START 19:00


・2024.03.22 (Wed) 愛知 名古屋 JAMMIN’ OPEN 18:15 / START 19:00

 

柴田聡子「Tour 2024 "Your Favorite Things"」追加公演

 
岡田拓郎 (G) / まきやまはる菜 (B) / 浜公氣 (Dr) / 谷口雄 (Key) / Dub Master X (FOH)

2024.05.31 (Fri) 東京 渋谷 Spotify O-EAST OPEN 18:00 / START 19:00

2024.02.21 [Wed] 12:00_2024.03.03 [Sun] 23:59

 

 

チケットの先行予約はこちら:

https://eplus.jp/shibatasatoko 

 

 

 

・Media Event; α-STATION「Your Favorite Recital」


アルバム・リリースを記念したレコ発ラジオα-STATION「Your Favorite Recital」が3月03日に放送も決定。

2024.03.03 (Sun)に「柴田聡子」のレコ発ラジオ再び。今度はゲストに石山蓮華を迎えてリサイタル!
α-STATIONのスペシャルプログラム「Your Favorite Recital」。

α-STATION SPECIAL PROGRAM「Your Favorite Recital」
2024.03.03 (Sun) 23:00〜24:00
DJ : 柴田聡子 / ゲスト : 石山蓮華

 

 

・出演の詳細につきましては、FM-京都の公式ホームページをご覧ください。

 

https://fm-kyoto.jp

 

 

・柴田聡子 SATOKO SHIBATA:



シンガー・ソングライター/詩人。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。


2010年、大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始める。


2012年、三沢洋紀プロデュース多重録音による1stアルバム「しばたさとこ島」でアルバムデビュー。以来、演劇の祭典、フェスティバル/トーキョー13では1時間に及ぶ独白のような作品「たのもしいむすめ」を発表するなど、歌うことを中心に活動の幅を広げ、2022年、6枚目のオリジナルアルバム「ぼちぼち銀河」をリリース。


2016年には第一詩集「さばーく」を上梓。同年、第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。詩やエッセイ、絵本の物語などの寄稿も多数。2023年、足掛け7年にわたる文芸誌「文學界」での連載をまとめたエッセイ集「きれぎれのダイアリー」を上梓。


自身の作品発表以外にも、楽曲提供、映画やドラマへの出演、ミュージックビデオの撮影・編集を含めた完全単独制作など、その表現は形態を選ばない。

 


©︎Ingmar Chen

年明けにファット・ポッサムとの契約終了と同時にデモソングを発表したオードリー・カン擁するニューヨークのライトニング・バグが新作アルバム『No Paradise』を正式に発表しました。


2021年の『A Color of the Sky』に続くアルバムは、5月2日に自主制作盤としてリリースされます。


リードシングル「December Song」には、フロントウーマンであるオードリー・カンがギリシャのアンドロス島で脚本・監督・撮影したミュージックビデオが収録されています。アルバムのカバーアートとトラックリストは以下からご覧下さい。


ボーカリストのオードリー・カンはメキシコからニューヨークまで4,000マイルをバイクで走破したあと、「No Paradise」を書き始めたのだそうです。「December Song」について彼女は次のように語っています。 


「ナヤリットからニューヨークまでバイクを走らせて、持てるエネルギーの最後の一滴まで使い果たした後、ニューヨークに戻ったところでした。その旅が終わったとたん、私のこころは最低のどん底に落ちこんでしまいました。''ディセンバー・ソング''は、私のかなしみをひとつの物語、そしてひとつの季節の一部と考えることで、私の人生に再び意味を与えるための方法でした。曲の中で私は、悲しみで不毛の地と化した土地で娘の帰りを待つデメテルの視点から、ペルセポネの神話を再訪しました」


「December Song」



INTERVIEW- 





『No Paradise』




Tracklist:

1. On Paradise
2. The Quickening
3. The Flowering
4. The Withering
5. Opus
6. December Song
7. Serenade
8. Lullaby for Love
9. I Feel…
10. Morrow Song
11. Just Above My Head
12. No Paradise

 


ニューヨークのノイズコアバンド、Couch Slutが、4月19日にBrutal Pandaからリリースされる4枚目のアルバム『You Could Do It Tonight』を発表した。このアルバムはユニフォームのベン・グリーンバーグと共にレコーディングされ、同じニューヨークのバンド、インペリアル・トライアンファントとピルロンのメンバーも参加している。


ファースト・シングルは「Ode to Jimbo」で、バンドの特徴であるドロドロとした醜い不協和音を聴かせるが、その不潔さの中に実はラブソングがある...。つまりバーへのラブソングだ。ボーカルのミーガン・オシュトロシッツは、グリーンポイントのバー、ジンボ・スリムのことを指して、「"Ode to Jimbo "は、私たちが初めて作ったラブソング」という。この曲は以下から。


Couch Slutは4月20日のRoadburn Festでヨーロッパ・デビューを果たし、ニュー・アルバムを発売日にフル・パフォーマンスする。現在のところ、他に予定されているのは、5月26日にミネアポリスで開催されるCaterwaul Festのアフターパーティーでのヘッドライナーのみである。





Couch Slut  『You Could Do It Tonight』


Tracklist

Couch Slut Lewis

Ode To Jimbo

Wilkinson’s Sword

The Donkey

Presidential Welcome

Energy Crystals For Healing

Downhill Racer

Laughing and Crying

The Weaversville Home For Boys

 

©︎Ebru Yildiz

ムーア・マザーが、近日発売予定のアルバム『The Great Bailout』から新曲「All the Money」を発表した。ロニー・ホリー、メアリー・ラティモア、ライア・ワズとのコラボレーションによるリード・シングル「GUILTY」に続くこの曲は、ヴィジャイ・エアーが共同プロデュースし、アリヤ・アル・スルターニが参加している。監督のコーリーン・スミスによるPVは以下より。


2022年の『Jazz Codes』に続く新作アルバム『The Great Bailout』はANTI-から3月8日にリリースされる。



 

©︎Lucas O.M.


Mei Semonesが、4月5日にリリースするBayonet RecordsデビューEP『Kabutomushi』を発表した。新曲「Inaka」はLucas O.M.が監督した以下のビデオでチェックできる。


「この曲は、2022年の秋にブルックリンに引っ越した直後、毎日敗北感と疲労感に苛まれていた時に書いた。"私は都会が大好きになったが、当時は野心を失ってパートナーと田舎に引っ越すことを理想としていた。当時を振り返ってみると、都会が問題なのではなく、私が疲れていただけなのだと気づきました」







Moi Semones 『Kabutomushi EP 』


Tracklist:

1. Tegami
2. Wakare No Kotoba
3. Takaramono
4. Inaka
5. Kabutomushi


セイント・ヴィンセントが、2021年の『Daddy's Home』に続く新作に着手していることが分かった。MOJO誌との新しいインタビューで、このアーティストは、新作は近年のプロジェクトよりも "ダークでハード "だと語り、そのサウンドを "緊急でサイコティック "であると表現しました。


アニー・クラークはこのアルバムをセルフ・プロデュースし、LAのCompound Fractureスタジオ、ニューヨークのElectric Lady、シカゴのスティーヴ・アルビニのElectrical Audioでレコーディングを行った。


この経験について、彼女はこう語っています。「このアルバムは)ポスト・ペスト・ポップだと思いたいし、天国と地獄、つまり比喩的な表現が多い。スタジオに一人で何時間も座っているのは地獄の一種と言えるから」


彼女は、このアルバムにはデイヴ・グロールーとケイト・ルボンをレコーディングに招聘すると語っています。さらに、70年代と80年代に通じるアナログ・シンセとギターロックのアプローチが強いと付け加えました。「最も苛烈なサウンドであると同時に、サウンド的に開花していると思う。杭を打つような、意図的なサウンドだと思う」


クラークはこのアルバムについて、彼女のキャリアの中で "最も笑えないアルバム "だとユーモアを交えて語っています。「前作では、私は多くの痛烈なユーモアとウィットをもってタフなテーマにアプローチしていました。このアルバムは、よりダークでハードで、より骨格に迫っている」と。


『ダディーズ・ホーム』のリリース以来、クラークはケイト・ブッシュの "Running Up That Hill (A Deal with God)"、デヴィッド・ボウイの "Young Americans"、ポーティスヘッドの "Glory Box"、フリートウッド・マックの "Dreams "など、ライブパフォーマンスで他のアーティストの曲をカバーに挑戦した。


昨年、プリマヴェーラに出演したセイント・ヴィンセントは今年、いくつかの音楽フェスの出番を控えています。ナパ・ヴァレーで開催されるボトルロック、オランダのベストケプトへの出演が決定しています。

 


映画監督ゲイリー・ハストウィットによるブライアン・イーノの新作ドキュメンタリー『Eno』は、2024年サンダンス映画祭でワールドプレミア上映されます。4月20日にロンドンのバービカンセンターでプレミア上映される。驚くべきことに、この映画は、上映されるたびに内容が異なるのだそうです。


ゲイリー・ハストウィットとクリエイティブ・テクノロジストのブレンダン・ドーズは、ハストウィットのイーノへのオリジナル・インタビューと、イーノが所有する豊富な未公開映像や未発表音楽のアーカイブから、シーンをシークエンスし、トランジションを創り出す、特注のジェネレイティブ・ソフトウェアを開発しました。


『Eno(イーノ)』の上映は毎回ユニークで、異なるシーン、順序、音楽を提示し、ライブで体験することを意図しています。イーノが持つ生成的で無限の反復性は、イーノ自身の創造的実践、テクノロジーを使った作曲法、そして創造性の揺れ動く本質への果てしない深みと詩的に共鳴している。


「ブライアンのキャリアの多くは、プロデューサーとしての役割だけでなく、オブリーク・ストラテジーズ・カードやミュージック・アプリ『ブルーム』のようなプロジェクトでのコラボレーションを通して、彼自身や他の人々の創造性を可能にすることでした。私はイーノを、ブライアンの50年にわたるキャリアの成果を素材とした、創造性に関するアート映画だと考えています。私がやろうとしているのは、ブライアンの音楽とアートへのアプローチと同じくらい革新的な映画体験を創り出すことだった」


本国以外でのリリース日はまだ発表されていませんが、この映画のサウンドトラックは、イギリスでのプレミアに先駆けて4月19日にリリースされます。


1974年の『Taking Tiger Mountain by Strategy』や1975年の『Another Green World』のような初期の "ロック "アルバムから、影響力のあるアンビエント作品、デヴィッド・バーン、ジョン・ケイル、クラスター、フレッド・アゲインとのコラボレーション、そして、ニューアルバム『FOREVERANDEVERNOMORE』、2021年にアテネのアクロポリスで行われたロジャー・イーノとのパフォーマンスまで、ブライアンが歩んできた全キャリアの選りすぐりの17曲が収録されています。


イギリスとアイルランドにお住まいの方は、サウンドトラックをご予約いただくと、バービカン・プレミア上映をご鑑賞いただけます。詳細はこちらからご確認ください。


昨日公開された「Lighthouse #429」を含む3曲の商業未発表音源が収録されています。エイフェックス・ツインのような雰囲気を持つこの曲は、以前はイーノのSONOSステーションのみで聴くことができました。



「Lighthouse #429」





・新作ドキュメンタリーフイルム『Eno』とは??


ゲイリー・ハストウィットの新しいプロジェクトは、100時間に及ぶ未公開映像を使用、イーノのアーカイブから未聴の音楽を収録され、作成と展示に画期的な生成技術(ジェネレイティヴ・テクノロジー)が活用されるという。


「Eno」には、ブライアン・イーノの個人の資料から未発表の音源、さらに、ビジュアルアートなど、ブライアン・イーノの人生の網羅するこれまでにない数百時間の映像が組み込まれています。


「Eno」は、アーティストに関する最初の公認ドキュメンタリー映像となります。このドキュメンタリーについて、監督を手掛けるゲイリー・ハストウィットは、最初の記者会見において以下のように述べています。


「彼はこの類のアプローチを使用するのに相応しい存在と言えるでしょう。彼は従来のようなバイオドキュメントを希望していなかったため、以前、多くのプロジェクトを断っています。''Eno''は、 ブライアンの50周年のキャリアの成果と素材を基にした創造性に関する芸術映画であると思っています」


ゲイリー・ハストウィットとブライアン・イーノのコラボレーションは、イーノがドイツ人デザイナー、ディーター・ラムスに関するオリジナルスコアをハストウィットが手掛けた2017年に遡る。


ブライアン・イーノは、1970年代にロキシー・ミュージックのメンバーとして有名になり、その後、ソロ活動に乗り出しました。ボウイとベルリンで親交を得た後、デヴィッド・バーンと組んで重要なプロジェクトを手がけ、ウィンドウズ95のダイヤルアップトーンを制作するなど、21世紀に入り、その創造性はますます強まっているようです。


ゲイリー・ハストウィット監督は、以前、サム・ジョーンズ監督の音楽ドキュメンタリー「I Am Trying to Break Your Heart: A Film About Wilco」、ジェシカ・エドワーズが監督したメイビス・ステープルズのドキュメンタリー「Mavis!」のプロデューサーを務めました。ハストウィットは、2007年の「Helvetica」で映画監督としてデビュー、ドキュメンタリー「Objectfied」、さらに「Urbanized」の制作を手掛けています。





・ENO: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK






1. Brian Eno – All I Remember *
2. Brian Eno with Daniel Lanois and Roger Eno – The Secret Place
3. Brian Eno & Fred Again – Cmon
4. Brian Eno & Cluster – Ho Renomo
5. Brian Eno – Sky Saw
6. Brian Eno & John Cale – Spinning Away
7. Brian Eno & Tom Rogerson – Motion In Field
8. Brian Eno – There Were Bells
9. Brian Eno – Third Uncle
10. Brian Eno & David Byrne – Everything That Happen
11. Brian Eno – Stiff
12. Brian Eno with Leo Abrahams and Jon Hopkins – Emerald & Lime
13. Brian Eno – Hardly Me
14. Brian Eno & David Byrne – Regiment
15. Brian Eno – Fractal Zoom
16. Brian Eno – Lighthouse #429 *
17. Brian Eno & Roger Eno – By This River (Live At The Acropolis) 

 


モーガン・モリスとヴェリティ・スランゲンによるエジンバラのデュオ、ノー・ウィンドウズがニュー・シングル「Fibbs」をリリースした。この曲は、「Song 01」を筆頭にリリースされたEP「Point Nemo」からのもの。以下よりチェックしてほしい。


「Fibbs」はEPの中で一番好きな曲で、とても感情的になっている時に書いたもので、この状態で書くという新しい習慣を作ろうと決めたんだ」とスランゲンは声明で語っている。「この曲は元々、僕がギターでとてもシンプルなコードを弾いて歌うだけで書いたもので、それをモーガンに送ったんだ。この曲は10月に書かれたもので、EPの他の部分とうまく結びついている。この曲のためにギターのメロディと歌詞を書くことで、そのループを断ち切ることができたんだ。


Point Nemo EPはFat Possumから5月3日にリリースされる。来週、No WindowsはLime Gardenと共にツアーに出る。





Label: Partisan

Release: 2024/02/16


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Review

 


 ロンドンのポスト・パンクバンド、アイドルズが前作のアルバム『Crawler』を発表したのは2021年のこと。

 

彼らのアルバム『Crawler』はグラミー賞にもノミネートされ、マーキュリー賞にもノミネートされた。その後、彼らが過酷なツアースケジュールをこなしたのは、この年に他のブレイクを果たしたバンドと同様である。特に、ライブステージでのアジテーションを交えたジョー・タルボットのマイクパフォーマンスは多くの聴衆を惹きつけるものだった。記憶に新しいのは、2022年の英国の最大級の音楽祭”グラストンベリー”のステージで、ちょうどその数時間前に起こった人工中絶の権利を自動的に保証するものではないとの判決、米国最高裁判所が「Roe v. Wade (ロー対ウェイド裁判)」の判例を覆したことについて言及し、こんなことを言っていた。

 

「彼らは米国の法律を中世に戻したんだ。つまり、中絶が違法行為であるかどうかが決定された。これはすべての母親、すべての女性、それから、母親になるかどうかを選択する権利のためにある法律なんだ」とタルボットはこの最高裁の決定について異議を唱えた後、こう述べた。「オープンマインド、万歳。私の母に万歳。そして、あなたがたひとりひとりにも万歳だ」

 

実は、ジョー・タルボットの母親というテーマはデビュー・アルバム『Brutalism』にも登場し、重要なインスピレーションの源となっている。 3作目のアルバム『Crawler』は、パンデミックの封鎖で落胆している人々を勇気づけるために書かれた。続いて、4作目のアルバム『Tangk』はシンプルに言えば、普遍的な愛について書かれた作品である。驚くほどアグレッシヴな轟音ポスト・パンクが主要なイメージを占めていた『Crawler』に比べると、ダンサンブルなニューウェイブ風のナンバーを交え、アイドルズは、より深みのある音楽を追い求め始めているという気がする。


このアルバムには例えば、米国のジミー・ファロン主演の深夜番組に出演し、「The Wheel」をパフォーマンスした時のように、まるで数万人の観客を前に演奏するような驚くべき迫力やエナジーとは少し異なる音楽性が展開される。それはまた、バンドとしての熟成や円熟味というべきで、マーキュリー賞にノミネートされた時の重戦車のような勢いとは別様の音楽的な核心へと至るプロセスが示されたとも言える。いわば、前作までは外側に放射されていたエナジーが、今作では、地球の近くのコアに向けて放たれるかのように、次世代のパンクサウンドのエナジーが内側へ、さらに内側へと向かっていき、地球の地殻の最深部へと迫っていくのである。

 

一見すると、これは、アイドルズに対して、ポストハードコアパンクのイメージを抱いていたリスナーにとっては、彼らが意気消沈したか、ちょっと後退したように感じられるかもしれない。しかし、実際はそうではない。レディオ・ヘッドのプロデューサーとして知られるナイジェル・ゴッドリッチを招いた『Tangk』は、ディスコやニューウェイブ、マンチェスターの80年代のFactoryを中心とする象徴的なダンスムーブメントの音楽をベースにし、彼らなりの2020年代のポスト・パンクの理想像をリアルに描いている。そしてそれはタルボットが語っている通りで、「踊りによって人々を喜ばせ、人生に必要な愛を伝える」という2021年からの一貫したテーマが奔流している。

 

アルバムのオープニングは予兆のような感じで始まり、彼らとしては珍しくピアノを導入し、現代音楽や映画のオープニングのような効果を導入している。そして、彼らの代表曲「The Wheel」の続編「Gift House」でフックの効いたポストパンクを期待するリスナーの期待に応える。


しかし、ポストハードコアサウンドの印象が強かった「The Wheel」のラウドな感じを残しつつも、ダンス・ロックを基調にしたグルーヴィーなトラックが展開される。これは、イギリスでディスコ・サウンドやダンス・ロック(2000年-2010年代を象徴するアークティック・モンキーズ、キラーズ等が示した)の影響を絡めた次世代のイギリスのロック・ミュージックを展開させる。それは「ポスト・ダンスロック」とも称すべき、最もモダンなスタイルが刻印されている。ナイジェル・ゴッドリッチのプロデューサーの手腕は傑出しており、徹底して重低音を生かしたラウドロック・バンドとしての性質をこの上なく魅力的な形でパッケージしている。

 

特に、バンドとしての著しい進化を象徴付けるトラックとして「POP POP POP」が挙げられる。彼らは新たにロンドンのベースメントのクラブミュージックを吸収し、UKグライム、ガラージ、ブレイクビーツ、UKラップまでを取り入れ、新しいダンスロックの形を提示している。ロンドン近郊のダンスフロアで鳴り響いているようなリアルなクラブ・ミュージックを反映させ、それらを近年にないほど洗練させている。


ここに重要なテーマである「人々を踊らせる」という彼らの意図がわかりやすい形で反映されている。その中にはノッティンガムのスリーフォード・モッズが好むようなアンダーグラウンドなクラブ音楽の性質が含まれている。


そしてシンセの効果を背景に、タルボットは従来になく、ふてぶてしさを見せ、スポークンワードにかぎりなく近い歌唱法を披露する。横ノリのクルーヴは、真夜中の歓楽への称賛と言える。それは分離した社会、あるいは制限された世の中に対する痛烈な批評性ーーパンクの姿勢ーーなのである。 

 

バンドサウンドとしての円熟味、そして、ボーカリストとしての成長は、続く「Roy」にも見いだせる。このトラックにおいて、タルボットはソウルに近い渋さのあるボーカルに取り組んでいる。民族音楽のパーカッションを下地にしたイントロから、意外にもプログレッシヴ・ロックに近いダイナミックな展開力を見せる。モダンなサイケロックを反映させたギター、そしてシンセの兼ね合いはピンク・フロイドの初期のサウンドを思わせる。しかし、単なるフォロワー的なサウンドと堕することがないのは、タルボットのボーカルの歌い方にその理由が求められるのかもしれない。彼は、ノーザン・ソウルの古典的なソウルシンガー、オーティス・レディングになりきったかのように、味わい深い叙情的なボーカルで、実験的なサウンドをリードしていく。多様な音楽ジャンルがフロントマンの声を取り巻くかのように奇妙な形で渦巻いている。

 

プログレッシヴ・ロックやポスト・ロックに近い形はインストゥルメンタルという形で次の曲に昇華される。ピアノとサイケデリックなギター、アンビエントに近い抽象的なサウンドによって、中間部に起伏をもたらし、聞き手を飽きさせない工夫を凝らしている。

 

アンティークな感じのピアノの音色は、現代という時間軸を離れて、中世の時代に迷い込んだかのようなシュールレアスティックな音像空間を作り出す。この曲にもゴッドリッチのプロデューサーとしての卓越した手腕が示され、アルバムの中にストーリー性をもたらそうと試みる。 そしてアイドルズの音楽の表向きの印象を形作る射幸性とは対極にある「聞かせる音」を提供している。もちろん、これは彼らの音楽の美学が目に浮かぶような形で表現されたと言える。

 

ダンスというテーマは他のトラックにも見出せる。アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「Boggie Wonderland」のようなソウルフルなエンターテイメント性を重視したイントロのストリングスから始まる「Dancer」は、彼らが次の段階へと歩みを進めた証拠だ。この曲ではダンスロックの代表格、LCD Soundsystemをコラボレーターに選び、ヒップホップのダンスロックバージョンと洒落込む。しかし、その後に展開されるのは、やはりアイドルズの代名詞的な無骨なポスト・パンク。


これらのゴツゴツとした玄武岩のような感覚は、タルボットのスペイン語やポルトガル語を意識したシラブルにより、フレッシュな印象をもたらす。かつてジョン・ライドンがドイツ語の音節を英語の中に取り入れたように、彼は南欧の言語性を英語の発音の中に取り入れている。それはラテン語の源流に迫るかのようであり、旧来になかったサウンドが生み出された証拠である。ここにアイドルズの表向きには見えづらいインテリジェンス性をうかがい知ることが出来る。

 

特に、意外だったのは続く「Grace」。この曲では、The Whoの「Baba O' Riley」のソングライティングを継承し、それらをビート感の強固なポストパンクという形で展開させる。しかし、一見すると、外向きのように思えるサウンドはやはり、奇妙な内省的な感覚に彩られている。そして、The Smith、Stone Roses、Oasis、Blur、Coldplayといった80年代から90年代のブリット・ポップバンドの核心にある音の感覚を鋭い感性によって掴み、マシンビートを背景に、驚くほどセンチメンタルなボーカルを披露する。基礎となる大まかなコード進行は「Baba O' Riley」と同じであるが、ボーカルのスタイルを見ると分かる通り、ジョー・タルボットは神妙な感覚を表現しようとしている。これは無数のライブ・ツアーをこなしてきた中で、彼とバンドが自分たちの奥底にある最も重要なスピリットを誰にも明け渡さなかったことをはっきりと証明づけている。


そしてもちろんアルバムの終盤を聴くと、ハードコア・パンクとしてのバンドの性質が薄められたわけではないことがわかる。ダリル・ホール&ジョン・オーツにちなんだ「Hall & Oates」は、意外にもゴツゴツした岩石のような無骨なポストハードコアで、爆発的なエナジーが枯渇したわけではないことを示す。実際、このアルバムでは「Gift House」とならんで、パンチとスパイスの効いた音楽をお好みのリスナーに、この上ないエンターテイメント性を提供する。パンクバンドとしての性質は「Jungle」にも表れている。この曲では、むしろパンクの源流にあるプロトパンクのサウンドをアイドルズは追い求めている。やはり硬質なカミソリのようなギターとガレージ・ロックのごときプリミティヴな質感が合わさったような痛快なパンクサウンド。

 

 複数のハイライトやライブレパートリーを用意した上で、アルバムの終盤では実験的なサウンドが展開される。「Gratitude」では、Sonic Youthの『Goo』のような骨太のベースラインを受け継ぎ、疾走感のあるポストパンクを提示している。ここにも野暮でプリミティブなものに対するアイドルズのメンバーの愛があり、それは新旧の音楽ファンの表情を綻ばせるものと思われる。


これまで、アイドルズの5人は、ギターロックの代表格とも言えるMy Bloody Valentine(マイブラ)、Yo La Tengoとは一風異なるギターロックの轟音性の可能性を追求し、未来の可能性に賭けてきた。最後のクローズ曲「Monolith」では、プログレッシヴ/ポストロックバンドの未来系を示している。今作のクライマックスで明示されるもの、それはやはり、現代のロックバンドと同じく、電子音楽を反映させた現代的なロックミュージックなのである。

 

 

 

86/100 
 



 

Best Track 「Grace」

  

 

 

 IDLESの待望の新作アルバム『TANG』はPartisanから2月16日に発売。アルバムの先行シングルとして、「Dancer」「Gift Horse」「Grace」が公開されています。

 

 IDLES 『Tangk』:





 『TANGK』は、クレイジーな真実を追求するバンド、IDLESの正しく活気に満ちた5枚目のアルバムである。バンドが想像していたギターの激しい音の響きを擬音で表現したもので、以来、愛に生きることを意味するシンボルに成長した。


かつてIDLESは、強靭な姿勢で永遠の権利者に立ち向かい、個人的なトラウマをリアルタイムで行使することを目標としていたが、新しい活動は、そのような忍耐の果実を提供するために到着した。


ナイジェル・ゴドリッチ、ケニー・ビーツ、そしてIDLESのギタリスト、マーク・ボーウェンが共同プロデュースした『TANGK』からは、反抗的なエンパワーメントのラディカルな感覚が放たれている。フロントマンのジョー・タルボットは、煽情的なポスト・パンクの火付け役という評判とは裏腹に、この10曲の中のほとんどすべての感情を鍛え抜かれたソウルで歌っている。


『TANGK』はラブ・アルバムであり、侵食してくる虚無感を退けるために大声で叫ぶ何かを必要とする人なら、今もこれからも、誰にでも開かれたアルバム。『TANGK』は2024年2月16日にパルチザン・レコードからリリースされた。

 

 

Label: Luckey Number / EMI

Release: 2024/02/16

 

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Review

 

 

『Faith Crisis Pt.1』はオーストラリアのオルタナティヴロックバンド、ミドル・キッズの3作目のアルバムで、先週末紹介したRoyel Otisと同じく、イギリスで録音された作品である。トリオが録音場所に選んだのはイーストボーン。プロデューサーにジョナサン・ギルモアを迎えて制作されました。

 

ミドル・キッズはすでにオーストラリア国内では著名なバンドとしての地位を獲得している。ARIAミュージックアルバムでベストロックアルバムを獲得したほか、ARIAチャートで5位を獲得している。このアルバムは2022年6月から録音が始まり、バンドとしてはシンセとオルガンを初めてフィーチャーすることになった。日常生活を題材に置いていた旧作とは異なり、日常生活を起点として別の空間を生み出すという点に主眼が置かれている。それは実際の音源にも反映され、エンターテイメント性を重視した非現実的な音楽空間、リミナルスペースが生み出されたのである。

 

もうひとつ、音楽的なテーマを紐解く上で、「信仰の危機」というタイトルが重要なファクターを形成している。パンデミックの時代の感覚が暗示され、希望を奪われた社会における信念の役割を探求している。ミドル・キッズのボーカリストのハンナ・ジョイは、このテーマが一部の人に否定される可能性があることを認めた上で、「続編の”Pt.2”が次に書かれるだろうという期待を抱かせる」と説明している。これらの含みをもたせたアルバムのテーマは、単体作品のみで完結するのではなく、続き物としての期待感をもたせる。そして続編への序章のような形で聴くことも出来る。

 

実際のサウンドはどうなのでしょうか? ロックバンドとはいえども、ポップミュージックを基調としたメロディアスなボーカル、そしてポスト・パンク的な脈絡の中にあるシンセサイザー、また90年代や00年代のポップスを意識した旋律と聴きどころ満載のアルバム。


もちろん、現在のロンドンで最も注目を集め、ブリット賞BBCの2024年の注目の新人に選出されたThe Last Dinner Partyのアンセミックなロックとの共通点も求められますが、ミドル・キッズはロンドンのバンドのようにロック・オペラやシアトリカルなサウンドを選ぶことはない。Dirty Hitに所属するマンチェスターのポップ・パンクバンド、Pale Wavesのサードアルバムのようなパンチの聴いたスタンダードなロックソングを書き、そしてライブでの観客との一体感を意識したソングライティングを行う。

 

このアルバムのハイライト「The Blessings」は、彼らの今後のライブのレパートリーとなっても違和感がない。ロックソングとして、エバーグリーンな雰囲気を漂わせている。次曲のインタリュードは、その余韻を最大限に引き上げる役割を果たす。''And I wish (then) I will waiting for you/ And I wish (then) I could been you''というフレーズの対比はアンセミックな響きを持つ。アウトロは琴線にふれるようなセンチメンタルでエモーショナルな感覚に満ちている。

 

また、ポスト・パンクシーンに触発された曲もあり、どちらかと言えば、シンセポップを基調とするニューウェイブ的なサウンドとして昇華される。オープニングを飾る「Petition」はアトランタのParamoreのような曲の掴みやすさとポストパンク的なうねるようなドラムとベースが混在し、このポピュラーソング全体にパンチとスパイスをもたらしている。


ただ、ミドル・キッズは、勢いのみでゴリゴリと突っ走るわけではなく、緩急とメリハリのある曲展開を駆使しながら絶妙なバランスを保ちつつ、アンセミックなフレーズを効果的に織り交ぜている。静と動を巧みに織り交ぜた曲の展開は、オリヴィア・ロドリゴの『GUTS』にも見いだせる要素だったが、彼らはそれらをよりスタイリッシュにアウトプットしている。ここにニュージーランド/クライストチャーチのインディーポップバンド、Yumi Zouma(ユミ・ゾウマ)の音楽やボーカルスタイルの影響も見出せる。ロドリゴが披露したスポークンワードとボーカルの中間にある歌唱法は、「Dramamine」においてわかりやすく反映されている。そこにドリーミーな要素を加え、ラジオ・オンエアにふさわしい記憶に残りやすい曲が生み出された。

 

このアルバムは、「自宅で皿洗いをしたあと、外出中にスタジオを訪問し、ボーカルを録音した」とハンナは説明しているが、これらは日常生活とスタジオのサウンドチェックの異空間を一つにつなげるような働きをしている。アルバムのテーマとしては明確に日常生活から離れたとはいえども、「Highlands」、「Go To Sleep on Me」と、明らかに日常的な雰囲気に彩られた曲も収録されている。しかし、それは日常生活にどっぷりと浸かるというわけではなく、スタジオのサウンドチェックの時間、そこで短いスニペットを書く時間、そういった非現実的な時間が複雑に混在し、きわめてアンビバレントな音楽性を生み出す。これらはシュールともドリーミーとも付かない幻想的なインディーポップサウンドという形で繰り広げられる。それは現実の中にいるリスナーを幻想的な世界へと導くような力強さを持ち合わせていることがわかる。


ミドル・キッズは、これらの幻想と現実の合間にある抽象的な領域にあるソングライティングを行いながら、「Terrible News」で現実世界に舞い戻り、束の間の夢を打ち破るかのようなノイジーなロックミュージックが展開される。それはボーカルや歌詞を通じて、理想的な世界とは縁遠いことばかりが起こることを嘆いているように思える。しかし、ニューウェイブを彷彿とさせるキーボードの演奏がハンナ・ジョイのボーカルと鋭いコントラストを描き、現実社会にある悲しさに対するアンチテーゼーーかすかな希望ーーを作り出す。

 

これらのニューウェイブの範疇にあるスペーシーなシンセはアルバムの終盤において、パンク寄りのアプローチに変化する。「Philosophy」は苛烈なノイズの中に塗れるようにし、苛烈なシンセとディストーションギターの向こう側に浮かび上がるメロディアスでクリアな感覚のあるボーカルは、カナダのパンクバンド、Alvvaysの音楽性を彷彿とさせる。そして「Blue Rev」のようなフックとキャッチーさを兼ね備えたモダンなオルタナティヴロックの王道を勇猛果敢に突き進んでゆく。

 

アルバムのクライマックスでは演出的な音の仕掛けも施されている。連曲という形で収録される「Yourside, forever」、「Yourside, Interlude」の2曲では、バンドが奥深い音楽を希求するような気配がある。前者は、掴みやすいミドルテンポのインディーポップソング、次いで、後者は、アメリカーナと実験的なサウンドを織り交ぜたインストゥルメンタルの形で展開される。


上記の両曲を通じて、効果的に幻想的な雰囲気を生み出した後、セリーヌ・ディオン、マライア、ジョニ・ミッチェルのような往年の名シンガーによるクラシカルなムードを漂わせるポピュラー・バラードでリスナーの感情性に訴えかける。これこそ、ミドル・キッズが新しい音楽にチャレンジを挑んでいることを証し立てているのです。

 

 


84/100
 

 

 Best Track- 「The Blessings」

 


リーズを拠点に活動するファー・カスピアン(ジョエル・ジョンストン)にとって、昨年は飛躍の年となった。

 

新作アルバム『The Last Remaining Light』(リリース情報)を発表し、アメリカ・ツアーを成功させました。また、本サイトの2023年度のベストアルバムにも選ばれました。


今回、ジョエル・ジョンストンはシカゴのラジオ局Audio Treeに出演し、アルバムのタイトル曲を中心にセットリストを組み、パフォーマンスを行いました。基本的なバンド編成にヴァイオリン奏者を加えて、LPの音楽の再現性以上の魅力が表わされています。ライブの模様は以下よりご覧ください。 

 

イギリス/リーズを拠点に活動するアイルランド生まれのミュージシャンの細部へのこだわりに支えられたファー・カスピアンの音楽は、密度の濃いフックとギターを基調としたアトモスフェリックに満ちた、自己完結した独自の世界のように感じられる。

 

最新アルバム「The Last Remaining Light」は、ジョンストンのプロデュースとソングライティングの卓越した技巧を示し、温かみのあるギターの音色と柔らかなパーカッションを融合させ、魂を揺さぶるような複雑なサウンドスケープを創り上げました。Audiotreeのホスト、FINGYのインタビューを受けたバンドは、90年代と00年代初期のインディーロックが彼らのサウンドに与えた影響、ジョンストンの曲作りのプロセス、パフォーマンス中のストレス対処法についても語っています。

 

今回のライブ・パフォーマンスを収録した『Far Caspian on Audio Tree Live』は音源化されています。ストリーミングはこちらより

 

 

Elija Knutsen
 

オレゴン州ポートランドのアンビエント・プロデューサー、Elijah Knutsen(エリヤ・クヌッセン)が既発のアルバムの収録曲のリマスターに加え、B面曲とロストトラックを収録した37曲のアンビエント・コレクションを先週(2月6日)にリリースした。アルバムのストリーミング/ご購入はこちらから。

 

エリヤ・クヌッセンはポートランドでドッグトレーナー等の仕事を経た後、2020年のパンデミック中に自主レーベル”Memory Colour”を立ち上げ、インディペンデントなリリースを行っている。現在、アンビエントの新作を制作中だという。エリヤはレディオヘッドやザ・キュアーからの音楽的な影響を挙げている。


彼のアンビエントは日本特有の景物をテーマにすることが多い。エリヤが最初に私に紹介してくれたのは、青森の青函トンネルを題材に選んだアンビエントミュージックだったことを思い出す。

 

ーー「環境音楽」というサブジャンルについては、1980年代初頭の日本で、吉村弘、小久保隆、上原一夫、広瀬裕など、当時はまだあまり知られていなかったアーティストたちによって始められた。「環境音楽」の作品は、陽気でミニマル、そして何よりも環境的だった。トラックには、自然のフィールド・レコーディングが頻繁に挿入された。鳥のさえずり、静かな森の空き地、打ち寄せる海辺の音。フィールド・レコーディングは、これらのリリースの音の本質を邪魔したり濁したりするのではなく、常に存在するメロディーや音楽そのものの一部となった。



柔らかなシンセサイザーが、シンプルで甘美なキャンディ・メルト・メロディーを奏でる(吉村弘 - Flora 1989)。静かなギターとキーボードのチャイムが、穏やかな水音と鳥のさえずりのカーテンの向こうに落ちていく(小久保隆 - Oasis Of The Wind II)。メランコリックなピアノの和音が、小川のせせらぎとともに滴り、うねりながら流れていく(広瀬裕 - Nova)...。環境音楽の魅力は際立っている。2020年、このマイクロジャンルはYouTubeのアルゴリズムによって大々的な復活を遂げ、かつては隠されていた未知のジャンルを何百万人もの人々に紹介した。


当時アマチュアのアンビエント・プロデューサーであったエリヤ・クヌッセンは、泥臭いポストロック・プロジェクト "Blårød "のプロモーションに数年を費やしたが、ほとんど成功しなかった。井上哲やFAXレーベルのサイケデリック・アンビエント作品に触発された彼は、よりスパースで実験的なアプローチにシフトチェンジし、「Blue Sun Daydream」をレコーディングした。ーー



 

 

 

・Interview: Elijah Knutsen  -The Voices of Portland's Ambient Producer-


 --レディオヘッドとの出会いから近作「Music For Vending Machines」について語る--




Portland ambient producer Elijah Knutsen released a 37-track ambient collection last week that includes remastered tracks from previously released albums, plus B-sides and lost tracks. Stream/purchase the album here.

 
Elijah Knutsen worked as a dog trainer in Portland before starting his own independent label, Memory Colour, during the 2020 pandemic. He is currently working on a new ambient album. Elijah cites Radiohead and The Cure as musical influences.

The subgenre of "environmental music" was initiated in Japan in the early 1980s by then little-known artists such as Hiroshi Yoshimura, Takashi Kokubo, Kazuo Uehara, and Yutaka Hirose. The "environmental music" pieces were cheerful, minimalist, and above all, environmental. Tracks were frequently interspersed with field recordings of nature. Birds chirping, quiet forest clearing, lapping seashore sounds. The field recordings did not disturb or muddy the sonic essence of these releases, but became part of the ever-present melodies and music itself.

Soft synthesizers play a simple, sweet candy-melt melody (Hiroshi Yoshimura - Flora 1989). Quiet guitar and keyboard chimes fall behind a curtain of gentle water sounds and birdsong (Takashi Kokubo - Oasis Of The Wind II). Melancholic piano chords drip and swell and flow with the murmuring of the stream (Hiroshi Hirose - Nova).... The appeal of ambient music stands out: in 2020, this microgenre underwent a massive resurgence thanks to YouTube's algorithms, introducing millions of people to a once hidden and unknown genre.

Elijah Knutsen, then an amateur ambient producer, spent years promoting his muddy post-rock project "Blårød" with little success. Inspired by the psychedelic ambient work of Tetsu Inoue and the FAX label, he shifted to a sparser, more experimental approach and recorded "Blue Sun Daydream".

 

Saya Gray ©Dirty Hit

Saya Gray(サヤ・グレイ)は、昨年の『Qwerty EP』の続編となる『Qwerty II』を発表しました。Dirty Hitから3月28日にリリースされます。

 

発表と同時に、日系カナダ人アーティストは新曲「AA BOUQUET FOR YOUR 180 FACE」のジェニファー・チェン監督によるビデオを公開しました。ストリーミングはこちら。以下よりチェックしてみてください。


プレスリリースの中で、グレイは『Qwerty II』を 「前半の陰と陽のようなアイデアとコラージュのコレクション」と表現しています。彼女はさらに、「"180 face”は”qwerty ii EP”からの私のベース・モーメントで、180の顔を持つ不気味なムードのある少年について歌っている」と付け加えました。







HYPER POP TRENDS : ハイパーポップの注目のアーティストをピックアップ!!

 


RECORD STORE DAY (レコード・ストア・デイ) は、音楽とレコード店の文化を祝い、アナログレコードを手にする喜びや音楽の魅力を共有する年に一度の祭典。アメリカやイギリスはもちろん、日本でもレコード店舗で開催される。毎年4月に行われる世界最大のレコードイベントで、2008年に第1回目が開催されてから今日に至るまで現在20ヵ国以上の組織が参加しています。2023年は満島ひかりさんがアンバザダーを務め、三浦大知とのコラボシングルをリリースしました。


本イベントは4月20日(土)に開催のRECORD STORE DAY 2024(RSD2024)で17年目を迎えますが、今年はあのさんがアンバサダーに就任しました。アーティストとしてもタレントとしても大活躍中のあの/anoさんですが、昨年12月にリリースされた1stアルバム「猫猫吐吐」(ニャンニャンオェー)が今回RSD2024限定アイテムとしてアナログレコードでリリースされる。


また、今回はアルバムだけでなく、2023年3月に「THE FIRST TAKE」にて公開されてから現在まで合計2,600万回以上も再生されている「ちゅ、多様性。」「普変」の音源、「ちゅ、多様性。 - From THE FIRST TAKE」と「普変 - From THE FIRST TAKE」の複数の音源のレコード化が決定。


メインビジュアルは、あのさんご自身もゆかりのあるディスクユニオン下北沢店にてアナログレコード愛好家である写真家の平間至氏によって撮影された。公式サイトにて、あのさんのアンバサダー就任記念インタビューは近日公開予定。anoさんの作品も含めたRSD2024限定アイテムは以下の通りです。


今回は、サン・ラ、ビル・エヴァンス、テリー・ライリー、ファラオ・サンダース、デ・デ・マウス、akiko、工藤静香、ガクトの作品等、80近いアイテムが放出されるということで楽しみです。全カタログのリストはこちらからご確認下さい。詳細についてはイベント実施店舗にお問い合わせ下さい。



イベント概要:


■イベント名:RECORD STORE DAY JAPAN 2024

■公式サイト:https://recordstoreday.jp

■主催:東洋化成株式会社

■開催日:2024年4月20日(土)

■本件に関するお問い合わせ先:RECORD STORE DAY JAPAN事務局/東洋化成株式会社

■MAIL:info@recordstoreday.jp

※商品のお取扱に関しては上記問い合わせ先ではなく、RSD対象店舗までお問い合わせください。


ano:



2020年9月にano名義でソロアーティストとして音楽活動を開始。

2022年4月に「AIDA」でTOY'SFACTORYよりメジャーデビュー。同年10月にテレビアニメ「チェンソーマン」のエンディングテーマに「ちゅ、多様性。」が選ばれ、2023年末にはTBS系「第65回輝く!日本レコード大賞」特別賞を受賞し、「第74回NHK紅白歌合戦」にも出場。自身が中心となって結成したパンクバンドI’sでも活動している。

音楽活動だけに留まらずタレント、女優、声優、モデルと多岐にわたって活躍中。