クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジが今週木曜日の夜、ジミー・キンメル・ライブ!に立ち寄り、"Emotion Sickness "のロックな演奏を披露した。ライブパフォーマンスの模様は以下から。


テレビ番組で披露された「Emotion Sickness」は、バンドの最新アルバム『In Times New Roman...』の9曲目に収録されている 今年5月にシングルとしてリリースされた、ストーナー・ロックの伝説の持ち味を堪能出来る。

 

今回のジミー・キンメルでのパフォーマンスは、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジがツアーに明け暮れる年の瀬に行われた。バンドにとって5年以上ぶりとなる北米公演は、この8月に始まり、今度の土曜日、ロサンゼルスのキア・フォーラムでの最終公演で幕を閉じる。またジョッシュ・オムの病状に関しては、手術が成功し、現時点では心配がないということである。


 


ヒップホップ・デュオ、ラン・ザ・ジュエルズの片割れとして知られるキラー・マイクが、ダミアン・マーリーとのコラボレーションをフィーチャーしたトラック "Run "の新バージョンを公開した。

 

「Run」のオリジナル・バージョンはアルバム『Michael』からのリード・シングルとして2022年7月にリリースされた。忍耐への頌歌であるこの曲は、制度的な逆境に直面する黒人の卓越性と、黒人がアメリカの文化と経済を形成してきた本質的な役割にインスパイアされている。


「Run」の新たな姿は、ボブ・マーリーの息子でレゲエ界の王族であるダミアン・マーリーをフィーチャーし、プロデュースしている。付属のミュージックビデオはマイアミで撮影された。


 

 

 


提供していただいたリリース情報を中心に、J-POPの注目のリリース情報をジャンルレスに紹介するという新しいコーナー。


ここでアジアのポップスのイマがまるわかり。それでは早速日本の音楽のサファリに行ってみよう!!

 

 


 Campanella 「Miyama」


 

愛知県のラッパー、カンパネルラ。今回のニューシングル「Miyama」では、Ramzaがプロデュースを手掛けた。

 

以前からアーティストの名前は知っていたが、改めてリアルな音源にふれると、ラップという枠組みのとらわれないクールな音楽性が魅力。エレクトロニックやIDMのバックトラックに関しては、ジョーダン・ラカイを彷彿とさせる。ラップやフロウに関しては、背後のビートを強調するかのように紡がれる。ブレイクビーツからの影響が感じられる。アーバンなラップ。OMSBのような質感を持つ繊細さと力強さを兼ね備えたカンパネルラの巧みなリリックの運びに注目。

 

 


 

 

 

配信リンク:

 

https://campanella.lnk.to/MiYama 


 

Claquepot 「mellow yellow」

 

このアーティストは実は、公式のプレスリリースでは言及を控えていたが、「D-ICE」のメンバーで、テレビ番組の楽曲を提供したり、Indigo la endの川谷さんと共同制作をしたこともある。

 

シングルを聴いてみると、基本的にはJ-POPのトレンドとなる音楽性を下地にして、現在のロンドンのしっとりとしたネオソウルを思わせるメロウなメロディーとリズムを付加している。少し甘い感じのボーカルが、このアーティストの魅力かもしれない。曲全体にはサマーチルの雰囲気が漂い、ボーカルのスタイルはラップに近い。週末のくつろぎのひとときのお供にどうぞ。

 


 

 

配信リンク:

 

https://ssm.lnk.to/my_c 

 

 

DYGL 「Shadow」

 


ここで紹介するのは東京のインディーロックバンド、DYGL(デイグロー)です。個人的に大好きなロックバンドが2ついて、一つは、ミツメ、それからこのDYGL。両者ともに数少ない日本の正真正銘のオルタナティヴロックバンドであると思っている。

 

ニューシングルでは90年代から00年代のUSオルタナティヴを踏襲している。Guided By VoicesやPavementを思わせる乾いた感じのギターラインに、それほど巧みではないがシンプルな質感を持つ英語のリリックが載せられる。曲全体に漂うエバーグリーンな感覚は、AVYSSのインタビューでも語っていたように、バンドメンバーがエモからの影響を大切にしているからと思われる。ワールドワイドなオルタナティヴロックバンドであり、今後の活躍にも期待していきたい。

 

 

 

 

配信リンク:

https://dayglo.lnk.to/Shadow 



shuwa shuwa 「nagame (reflection)」


 

Shuwa Shuwa。個人的にこれから日本でヒットしそうな予感を感じている。デュオ編成で、基本的にはエレクトロニックを主体としているが、J-Popのセンスの良いボーカルがふんわり載せられる。また、ニューシングルにはソウルミュージックの影響も感じられ、さらにポピュラー性の中にはアーバンな雰囲気も漂う。真夜中の南青山をドライブしながら聴いてみると最高かもね。



 

 

 

Syuta Hasunuma(蓮沼執太) 「One Window」

 


現在、注目すべき日本のエレクトロニック・プロデューサーを挙げるとするなら、福岡のDuennさん、東京の蓮沼さん、そしてもうひとりは、DE DE MOUSEの遠藤さんである。皆それぞれ別の音楽の形とスタイルを持っているが、制作者としての才覚に関しては傑出したものがある。

 

上記のミュージシャンに共通しているのは、日本の電子音楽/エレクトロニックという枠組みにとらわれず、世界的な目線で音楽そのものを俯瞰していることかもしれない。昨年、日本の伝説的なタブラ奏者で、レイ・ハラカミとのコラボレーションでお馴染みのU-Zhaanとのアルバム『Good News」を発表した。実は、U-Zhaanさんは本場仕込みのインドカレーの達人でもある。

 

先日のニューアルバム『unpeople』に続いて発表されたニューシングル「One Window」では、エレクトロニカとクラシカルを融合させ、癒やしの質感溢れるトラックを制作している。今回の新曲では、アーティストらしい叙情性と感覚的に描出したいイメージが絶妙に合致を果たしている。



 

 

 

配信リンク:

 

https://virginmusic.lnk.to/onewindow




印象派 「総力戦」




J-POP Trendsの最後を飾るのは、スペース・シャワーの注目株のオルタナティヴロックデュオ、印象派。エレクトロポップ・デュオという紹介がなされているものの、明らかにオルタナの範疇にある音楽である。

 

印象派に関しては、オルタナティヴなひねりのきいたギターライン、そして美しいボーカルの中にはちょっとした棘がある。それがどのようにささるかは、リスナーの感性次第である。ボーカルラインは、J-POPらしさがあるが、一方、ガチャポップほどにはトレンドを意識していない。ギターラインとドラム、ベースには複雑性があり、ロンドンのポスト・パンクバンドのようなフックもある。そしてジャポニズムのテイストもボーカルラインになんとなく漂っている。今後、なにかやってくれそうなオルタナティヴロックデュオとして最後にご紹介しておきます。

 

 

 

 

配信リンク;


https://ssm.lnk.to/WWIII

 




カナダ/オンタリオのメルセデスとフェニックスのデュオ、Softcult(ソフトカルト)は、スペーシーでドリーミーなインディー・ロックを制作することで知られ、プレスリリースのコメントも箴言に近い内容で注目を集めている。

 

デュオは最新シングル「Heaven」をリリースした。フェニックス・アーン=ホーンがこの曲をプロデュースし、メルセデスがミュージック・ビデオを監督した。プレスリリースでバンドは次のように語っている。

 

「この曲は、誰もがありのままの自分を受け入れられ、経歴やアイデンティティによって社会からの受け止め方が左右されることのない世界、特権や長所が認められ、より強固なコミュニティを築くために共有される世界、多様性、違い、他者性を長所として称賛する社会を描いている」

 

現在、トロントは、モントリオールの華やかなジャズ・シーンとは別に、特異なウェイブが形成されつつあり、Softcult、Living Hour、Bodywash、See Oleenaというように、ドリーム・ポップの一大拠点となりつつある。

 

カナダのアンダーグラウンド・シーンの一角を担うSoftcultは、シューゲイズ、グランジを融合させた個性的なサウンドを作り上げる。デュオはこのところ、立て続けにニューシングルを発表しているが、現時点ではEPやフルレングスの発表には至っていない。今後の動向に注目したい。


 

「Heaven」



 


日本人声楽家Hatis Noit(ハティス・ノイト、ノワとも)が、春に初の全米ヘッドライン・ツアー、さらに冬のヨーロッパ公演を発表した。アーティストの初のフル・アルバム『Aura』(WR)はErased Tapesからリリースされ、Loud and Quiet(9/10)、Music Tribune(96/100)を筆頭に高い評価を得ている。


ハチス・ノイトの音楽の中には、他の日本の表現者たちと同様に、得体の知れなさがある。海外の人から見ると、それはエキゾチズムでもあり、ワイアードでもあり、時には不気味に思う場合すらあるかもしれない。しかしそれはまた、私たちのDNAに刻まれた複雑な奥深い歴史でもあるのだ。


本日、彼女は次のヨーロッパ・ツアーの日程と、Big Ears Festival 2024でのパフォーマンスを含む、春のアメリカでのデビュー公演を発表した。今年初め、彼女の作品「Inori」は、ニューヨークの前衛作曲家、William Basinsky(ウィリアム・バシンスキー)によってリワークされ、イギリスの伝説的DJ兼プロデューサー、マシュー・ハーバートによるシャーマン・テクノのリミックスが施された。


最近では、ハチス・ノイトはミュテック・モントリオールに出演し、椅子から飛び跳ねる観客を魅了した。続くMutek Méxicoでは、マルチメディア・アーティストのOrly Ananの指揮のもと、12人のダンサーとアクロバット・グループとともに、アズテック博物館の外の火山岩の上に座った2000人の観客の前でパフォーマンスを披露。FILTER誌はこう評した。「MUTEK MX史上、最も特別で記憶に残る瞬間のひとつだ」


サンフランシスコとロサンゼルスの公演では、ノイトは同業者で最新のErased Tapesとの契約者であるシェヘラザードと共演する。 


 



European Winter Tour 2023-24:


02.12. London (UK) — The Barbican w/ David August

18.01. Hamburg (DE) — Elbphilharmonie

20.01. Berlin (DE) — Silent Green

02.02. Leuven (BE) — Elsewhere Series

24.02. Kortrijk (BE) — Night Air Festival


U.S. Spring Tour 2024:


03/18 Brooklyn (NY) — First Unitarian Congregational Society w/ Sheherazaad

03/19 Durham (NC) — Duke Coffeehouse

03/23 Knoxville (TN) — Big Ears Festival

03/27 Portland (OR) — The Old Church

03/28 San Francisco (CA) — The Lab w/ Sheherazaad

03/30 Los Angeles (CA) — 2220 Arts + Archives

04/03 Seattle (WA) — Fremont Abbey Arts Center

04/05 Iowa City (IA) — TBA

04/07 Minneapolis (MN) — The Cedar Cultural Center


Yumi Zouma 『EP Ⅳ』

 

Label: Yumi Zouma

Release: 2023/12/6



Review

 

オセアニア圏は、インディーポップバンドの宝庫であり、もし、未知の傑出したポップバンドを探したい場合は、オーストラリア、ニュージーランド、もしくはヨーロッパをくまなく探すしかない。

 

Yumi Zoumaもまたニュージーランド/クライストチャーチの四人組グループで、男女混合編成らしいバランスの取れたオルトポップサウンドを作り出すことで知られる。通算9枚目となるミニアルバム『EP IV』は驚くべきことに、日本の目黒区の祐天寺にあるスタジオで録音されたという。

 

本作はスタジオ・メックでクロエ・プーがエンジニアを務めた。ミックスはケニー・ギルモア(Weyes Blood、Julia Holter、Chris Cohen)、ジェイク・アロン (Grizzly Bear, Snail Mail, Solange)、Simon Gooding (Fazerdaze, Dua Lipa)。マスタリングはアントワーヌ・シャベイユ(Daft Punk、Charlotte Gainsbourg、Christine & The Queens)が担当したとのこと。

 

本作はオリジナル曲に加え、リミックスとインストバージョンが併録されている。2022年の最新アルバム『Present Tense』の延長線上にあるYumi Zoumaらしいサウンドが満載で、ドリーム・ポップ、ベッドルームポップ、シンセポップを基軸に、セッションに重点を置いたインディーポップサウンドが繰り広げられる。いわば遠心力により、ぶんぶん外側に振っていくようなユニークなサウンドが彼らの醍醐味である。さらにユミ・ゾウマのサウンドは、クリスティー・シンプソンのボーカル、クランチさとフェーザーの淡いギターサウンド、それらのメロディーラインを尊重したシンプルなビートを持つ軽妙なドラム、シックなベースラインを中心に構成される。

 

オープニングを飾る「KPR」は、Yumi Zoumaらしいサウンドで、旧来のファンを安堵させる。甘口のメロディーと軽快なインディーロックサウンドが展開される。シンプソンのボーカルはドリーム・ポップの夢想的なメロディー性を付加している。内省的なサウンドがあったかと思えば、それとは対象的なアンセミックなボーカルラインを交え、そしてスポークンワードにも挑戦している。

 

続く「be okay」は外交的なサウンドの雰囲気を持つオープニングとは対象的に、バンドやフロントパーソンの内省的な気質を反映した涼やかなポップ・バラードとなっている。ポピュラー性を重視したクリスティ・シンプソンのボーカルに、ドリーム・ポップの影響を絡めたギターラインが叙情性を付加している。特に、ギターラインとボーカルラインの兼ね合いが絶妙で、その合間にスネア/バスとタンバリンのような金物(パーカッション)の音響を生かしたシンプルかつタイトなドラムが心地よいビートを刻む。ライブセッションの心地よさを追求したともとれ、実際にそのコンセプトはコンフォタブルなインディーポップサウンドを生み出している。

 

「Kicking Up Daisies」はシンセ・ピアノを基調にしたインディーロックサンドに挑戦した一曲。Yumi Zoumaの代名詞の軽やかなインディーポップサウンドではあるものの、その中には奇妙な熱狂性とファイティングスピリットが感じられる。これらはバンドの内省的なオルトポップ・サウンドに、ロック的なウェイブを付加している。もうひとつ、アップビートな曲調と、それとは正反対のサイレンスを生かした曲調がたえず入れ替わりながら、メリハリの効いた流動的なバンドサウンドが繰り広げられる。前の2曲に比べると、シンプソンのボーカルにはかすかなペーソスが漂い、時に、それがバンドサウンドから奇妙な質感を持って立ち上がる瞬間がある。しかし、曲そのものがヘヴィネスに傾いたかと思われた瞬間、バンドはすぐさまそこから踵を返し、やはりバンドらしい軽妙で親しみやすい甘口のインディーポップサウンドへ立ち返る。どのような音楽性の種類を選ぼうとも、Yumi Zoumaの中核となるサウンドに変更はないのだ。


アルバムの冒頭は、お馴染みのインディーポップ・サウンドが提示される。続いて、「Desert Mine」は表向きの印象こそ変わらないものの、ジョニ・ミッチェルのようなコンテンポラリーなフォークサウンドを吸収し、現代的なポップサウンドの中にクラシカルな色合いを漂わせている。特に部分的に導入されるアコースティックギターはビート的な効果はもちろん、懐古的な気分を呼び起こす。それらがバンドの根幹となるサウンドとシンプソンの軽やかなボーカルと合致を果たし、独特な雰囲気を生み出す。後腐れのない爽やかなサウンドで、曲を聞いた後、驚くほど余韻が残らない。上質な日本料理のように「後味を残さない」ことが、本曲の醍醐味だ。そして曲にはライブセッションの楽しみや遊び心もある。バンドサウンドを緊張させず、緩やかなサウンドをバンド全体で組み立てようとしている。もちろん、バンドの代名詞であるエモーショナルな空気感も曲全体を通じて還流しており、くつろいだ感覚にひたされている。

 

他の収録曲に関しては、リミックス、インストであるため、残念ながら詳述を控えたい。しかし、ミックスやインストバージョンについては、数合わせや隙間を埋めるために録音されたものではないことは、耳の聡いリスナーの方であれば気づくはず。バンドは、原曲をもとにし、Yumi Zoumaの新しい音楽性を探求している最中なのかもしれず、彼らの未知の可能性はそれらのリミックスやインストに断片的に現れることがある。アートワークの予めのイメージを裏切られる作品である。ニュージーランドは、今まさに夏真っ盛りを迎えつつある。そして、彼らの音楽の気風は北半球に暮らすリスナーに、ほのかな太陽の明るさと爽快さをもたらすに違いない!?



82/100

 


Best Track 「KPR」

 Wishy

Wishy ©Winspear

 

今週、ご紹介するのは、インディアナ出身の著名なソングライター、ケヴィン・クラウターとニーナ・ピッチカイツによる新バンド、Wishy(ウィッシー)。

 

ウィッシーは、ピッチカイツが2021年にフィラデルフィアから故郷に戻ったとき、インディアナポリスの2人のミュージシャンの音楽的なパートナーシップとして誕生した。ザ・サンデーズやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのような90年代のオルタナティヴ・バンドへの愛で意気投合した2人は、内省的でグランジなセンスを持つ、渦巻くようなポップ・ロックを独自に作り始めた。


実は、この二人は、ミュージシャンとはまったく別の表情を持つ。ケヴィン・クラウターは音楽教師として生徒にドラムとギターのレッスンをしており、ニーナ・ピッチカイツは裁縫が本業で、バンドの刺繍入りグッズを制作している。

 

2018年の『Toss Up』と2020年の『Full Hand』で中西部のドリーム・ポップの地位を固めるため、クラウターが過去10年を費やしている間、ピッチカイツは自身のインディー・エレクトロ・ポップ・プロジェクト、プッシュ・ポップに没頭し、後に『Wishy』のために作り直される「Spinning」を書いた。バンドを構成するため、ピッチカイツとクラウターはギタリストのディミトリ・モリス、ベーシストのミッチ・コリンズ、ドラマーのコナー・ホストを追加で起用した。


クラウターとピッチカイツは、2022年末から2023年初頭にかけて2度ロサンゼルスを訪れ、デュラン・ジョーンズのツアーの間を縫い、友人でありプロデューサーのベン・ラムスデインと連絡を取り、2人が新たに書き下ろした曲をレコーディングした。陽光降り注ぐカリフォルニアの穏和な気風が存分に発揮され、爽やかでメロディアスなEPに仕上がった。シューゲイザー、ドリームポップ、アルトロックが見事にブレンドされ、天国のような靄に包まれたWishyは、メロディックな耳触りと心揺さぶる情感が濃厚な5曲入りの強力なイントロダクションを提供している。


『Paradise』を通して、バンドはアメリカの孤独と理想主義を嘆き、同時に日常生活にも直結している。国という観念にとらわれず、それは多くの国家に住まう人々にも共通するものである。

 

EPの5曲を通して、ピッチカイツとクラウターは、広大でスクラップなギターコードの構図の中に、愛と自己実現についてのほろ苦い考察を交えている。全体を通して、初期オルタナティヴ・ロックと90年代ジャングル・ポップに同じくらい依拠しているように感じられる。Wishyの音楽は、カタルシスを感じさせつつも、微細な陰鬱なエネルギーによって強調されており、彼らがステージを共にする、Momma、Tanukichanのような同世代のバンドと並べても違和感がない。


Wishyは今年の秋、Tanukichanをサポートするツアーを予定している。バンドはテキサス州オースティンで開催される”LEVITATION”で初のフェスティバル出演を果たす。その後、2024年にWinspearからリリース予定のデビュー・アルバムの完成に目を向けている。今後の活躍が楽しみ。




Wishy 『Paradise』 EP / Winspear

 

 

今年、ニューヨークのレーベル”Winspear”は複数の注目すべきアーティストの新作を送り出した。インディーロックアーティスト、Lutalo(ルタロ)、そして、ニューヨークのポップス界の新星、Daneshevskaya(ダネシェフスカヤ)である。

 

上記のアーティストは共に、『Again』『Long Is A Tunnel』という象徴的なカタログをこのレーベルにもたらし、ウィンスピアの存在感を示すことに一役買った。さらに続いて、インディアナポリスのインディーロックバンド、Wishyがシーンに名乗りをあげようとしている。


バンドは、Jesus and Mary Chain、My Bloody Valentine、昨今のYo La Tengoを想起させる轟音のギターロックに加えて、Tanukicyanのドリーム・ポップ性を兼ね備えている。もちろん、Wishyの生み出す艶やかなプロダクションに、インディーバンドとして注目を集める、Wednesday,Slow Pulp、Daughter、Ratboysのような未知の可能性を捉えたとしても、それは思い違いなどではあるまい。

 

オープニング「Paradise」は、シューゲイザーではお馴染みのアコースティックとエレクトリックのミックスしたギターラインで始まり、その中には、スコットランドのネオアコ/ギター・ポップに象徴される叙情性が漂う。それらの甘いとも心酔的とも取れる音楽的な枠組みに説得力をもたらしているのが、 ケヴィン・クラスターのボーカルだ。


なんの因果か、ケヴィン・クラスターのボーカルはケヴィン・シールズのドイツ時代の80年代後半のドリームポップのアプローチに近い空気感があり、これがノスタルジアを付け加えている。もちろん、男女のツインボーカルで切ない感覚を呼び起こそうという手法についても徹底している。 

 

 

「Paradise」

 

 

 

ケヴィン・シールズからの影響は、ボーカルの歌い方、ギターの音作りだけにとどまらず、シンセのオマージュという点でも共通している。メロトロンを思わせるレトロなシンセのフレーズはMy Bloody Valentineの『Loveless』の作風を踏襲している。一説によると、MBVのケヴィン・シールズは、「Shoegaze」という呼び方に納得していないということであるが、これは、このジャンルがスコットランド/アイルランドのフォーク・ミュージックに端を発するからで、単なるサブジャンルであると考えてもらいたくないがゆえと思われる。しかし少なくとも、My Bloody Valentineのフォロアー数はビートルズに匹敵する。それはつまり、ケヴィン・シールズにみな憧れを抱いているということなのだ。Wishyは、MBVの作風からダンス・ビートを削ぎ落とし、それをコクトー・ツインズのような聞きやすさのあるドリームポップへと昇華している。

 

 

そもそも、リック・ルービンも言うように、音楽ファンとしては、何かに似ているとか、模倣的かというのは、大した難点にはならない。しかし、本作にはオマージュやイミテーションに近いサウンドの中にも、クリアで鮮烈な印象を持つ瞬間が見いだせるのも事実である。結局のところ、新しいバンドやアーティストの何に着目すべきなのかというと、佇まいやサウンドの中に強い輝きがかんじられるのかということである。それは他者に絶対に譲ることのない、同時に対価では売り渡すことの出来ないキャラクター性、その人にしかないスピリットとも言える。

 

二曲目の「Donut」はそのことが顕著に示されている。ドライブ感のあるギターラインに導かれるようにして、魅惑的なバンドアンサンブルが繰り広げられる。ビジネスやベネフィットのためにセッションをやるのか、それとも、子供の時のように純粋な楽しさのあるセッションをやるのか。Wishyは信頼すべきことに、後者のグループに属しており、それはギターラインのダイナミクス、リード・シンセの力強さ、表層的なサウンドを力強くバックで支えるドラムに表れている。


彼らはインディアナポリスのバンドというが、曲全体にはかすかにアーバンな雰囲気が漂い、ギターラインの絶妙なトーンの揺らぎは、幻惑と混沌の最中へとリスナーを誘い、しばしそれらの陶酔的なシューゲイズ・サウンドの渦中に留めておくことを約束する。稀に、ギターラインとVoxのシンセサイザーは、ツインリード・ギターに比する熱狂性を帯びる瞬間もある。バンドは、トーンの変容や揺らめきを駆使して、アンビバレントな領域の中にサイケデリックな印象性を生み出し、My Bloody Valentineのイミテーションやオマージュ以上の何かを示して見せる。

 

『Paradise』の冒頭は、80、90年代のオルタナティブ・ロックやシューゲイザーの古典的なスタイルを中心にし、グランジに象徴されるパンキッシュな音楽が展開される。続いて、三曲目「Spinning」ではシューゲイザーの元祖とも言えるドリーム・ポップとディスコ・サウンドの融合を図る。

 

The Cure、The Jesus And Mary Chainといったジャンルの先駆者の音楽性をしたたかに踏襲し、それをダンサンブルなビートの枠組みに収めようとしている。反復的なビートは、Underworld、New Orderのテクノの範疇にあるが、幻想的なメロディーを付加されると、MTV、Top Of The Popsの時代のシンセ・ポップに近い曲へと変化していき、最終的にカルチャー・クラブやデュラン・デュランを思わせる軽やかなポピュラー・ミュージックへ変遷を辿っていく。軽薄なのではなく、親しみやすい。上記の音楽をリアルタイムで体験したかどうかに関わらず、この曲の中にあるミラーボール・ディスコへの敬愛と愛着は、リスナーに一定のノスタルジアを与える。


 

Wishyは、シューゲイズ、ドリーム・ポップ、そしてディスコ・サウンドや90年代のテクノからの引用や影響を交えながら、さらに多角的な音楽性を敷衍していく。それは例えるなら、ただ一つの入口から無数の可能性へと向けて、足取りをゆっくりと進めていくようなものである。


「Blank Time」はリミックスのような性質を持つ軽妙なトラック。The Doobie Brothersのファンク、ロック、R&Bに根ざしたウェストコースト・サウンドを現代的なインディーロックのトラックに再構築し、そのトラックに対して、シンセ・ポップやドリーム・ポップのボーカルを付加している。特に、現代のオルタナティブロックでは、Alex G、Far Caspian、Wilcoの作風に見受けられるように、ミュージック・コンクレートをインディーロックという観点から解釈した曲が増えていて、今後の主流になってきそうな気配もある。つまり、ギター、ベース、ドラムなどを先に録音し、ミックス時に、原型とは別のタイプの音楽へと組み直し、その上に複数の楽器やボーカルをレコーディングし、別の音楽に再構築してゆく「コラージュの手法」である。


『Paradise』はシンプルなロックソング「Too Ture」で締めくくられる。Third Eye Blindを始めとする、2000年前後のエモ/インディーロックを基調とする新旧の感覚を織り交ぜた音楽は、今まさに多数のファンに熱望されるスタイルなのだ。今後、EPがフルレングスという形に変わった時、音楽的な広がりがどう示されるかに注目すべし。クローズ曲には、エモやスロウコアの雰囲気が漂う。 


 



80/100

 

 

「Spinning」

 


Wishyの新作EP『Paradise』 はWinspearより本日発売。デジタルストリーミング/ご購入はこちら




ドリームポップ名盤ガイドはこちらより。さらにシューゲイザーリバイバルについてはこちらをお読み下さい。My Bloody Valentineのドイツ時代からの系譜を追ったディスカバリー記事はこちら


 


Dinosaur Jr.のJ Mascisが5thアルバム『What Do We Do Now』の2ndシングル『Set Me Down』を発表した。マスシスは昨年、フジロックで来日し、ほとんど米国に直帰だったが、帰国間際にSnail Mailとの対談を行っている。リンジー・ジョーダンはマスシスを信奉してやまない。

 

J マスシスの最新アルバムには、B-52sのケン・マウリやマシュー 'ドク' ダンを含むスペシャル・ゲスト・ミュージシャンをフィーチャーし、オルタナの伝説的ミュージシャンが勢ぞろいしている。さらにソロでは初めて「フル・ドラムとエレクトリック・リード」に挑戦している。というわけで、J マスシスの作品としては、ギターのミックスが控えめになっている事がわかる。

 

J マスシスは次のように述べている。「バンドのために曲を書いているときは、いつもルーとマーフが合いそうなことをやろうと考えている。僕自身はいつも、リードでもアコースティックでも1本のギターで何ができるかを考えているんだ。もちろん、今回、フル・ドラムとエレクトリック・リードを加えたが、リズム・パートはまだすべてアコースティックで録音されたんだ」

 

「いつもは、ソロはシンプルに自分で弾けるようにするんだけど、今回だけはどうしてもドラムを入れたかった。結局、バンドのアルバムに近いサウンドになった。なぜそうしたのかはわからないけどね」


J Mascisの5枚目のソロ・アルバム『What Do We Do Now』はSUB POPから2024年2月2日にリリースされる。

 

 

「Set Me Down」


 

ロンドン、ワトフォードのシンガーソングライター、Griffがライブショートパフォーマンスフィルムを公開した。映像は、彼女の最新プロジェクト『Vol.1』に合わせて、グリニッジ王立博物館のクイーンズ・ハウスで撮影された。「vert1go vol.1」はワーナー・ミュージックより発売中。


「Vol.1」のライブ・パフォーマンス・フィルムは、リード・シングル「Vertigo」で始まる。グリフはグリニッジ王立博物館クイーンズ・ハウスの敷地内を探索しながら、「Into The Walls」、そしてグリフが庭園でゼロからライブで作り上げた「19th Hour」を披露。4曲入りのvert1go vol.1に新たに追加された "Astronaut "のライブビジュアルは、先週映画の公開を予告。

 

この曲では、ソングライティングのヒーローであり、ツアーパートナーでもあるクリス・マーティンがピアノを弾いている。



 

Midori  Hirano

Erased Tapesがコンピレーションアルバムシリーズの新作「Music For  Siam」をリリースしました。Music for Brainwaves、Music for kōに続く作品。新作にはドイツの実験音楽家、ミドリ・ヒラノ、ハチスノイト、さらにはライバル・コンソールズの楽曲が収録される。


2019年12月、Erased Tapesのアーティストであるミドリ・ヒラノダグラス・デア、ハティス・ノワ、ダニエル・ブラント、Rival Consolesがタイを訪れ、バンコクの最も象徴的な空間の音を新たなオリジナル楽曲として再解釈し、Wonderfruit Festivalのステージでライブ演奏するよう依頼された。


このプロジェクトは、MSCTYのニック・ラスカムとジェームス・グリアとの共同作業で始められ、出来上がった作品は、このうだるような都会的なオルガンがいかに豊かなサウンドを探求できるかを浮き彫りにしている。過去4年間、これらの作品は、ヘッドフォンとプロジェクトの公式アプリを持ってこれらの場所を訪れた人だけが聴くことができた。


ようやくこれらの作品を世界と共有できるようになり、とてもエキサイティングです。サイトスペシフィックな作品を生み出すというレーベルの旅に出てからかなりの時間が経ち、世界は様々な意味で変化した。リスナーを決して忘れることのない場所への実にユニークな音の旅に連れて行ってくれるのだから。- ロバート・ラス、Erased Tapes


この『Bangkok Memory Phase』は、Erased Tapesの友人たちと探検した5つの場所で録音されたフィールド・レコーディングをフィーチャーしており、有機的なサウンドを通してバンコクの街を横から横断的に眺めている。バンコクでは、チャオプラヤ川がゆっくりと蛇行しながら流れているが、その周辺では、ワット・アルンでのお経、ター・ティアンの市場ジェネレーターのうなり声、交通、橋、モニュメント、公園、北へ向かう鈍行列車を提供する豪華な駅の喧騒、線路脇の散髪屋など、活気に満ちた声も決して遠くない。- ジェームズ・グリア、MSCTY





「Music For  Siam」Compilation



Tracklist:


Midori Hirano Hua Lamphong05:32 

Douglas Dare Song of Siam03:52 

Hatis Noit Wat Arun04:57 

Nick Luscombe & James Greer Bangkok Memory Phase04:13 

Daniel Brandt Tha Tian09:39 

Rival Consoles The Giant Swing08:17


Music Tribune Presents ”Album Of The Year 2023” (Part 1)

 


今年を総括しておきますと、2023年度のリリースの総数は、パンデミック開けの昨年に比べると、さほど多くはなかったという印象です。これはおそらく、2021年にレコードの生産がロックダウン等で停滞していた流通が、翌年に発売が引き伸ばされたことに起因するかもしれません。

 

表面的な印象としましては、昨年の方が話題作やビックアーティストのリリースが断然多かったようです。今年は、週間のアルバムを探していても、1、2作しか話題作がないという週も少なからずでした。


テイラー・スウィフトが世界的な影響力を持つ中で、海外では個性的なアーティストも数多く出てきた年でした。

メインストリームでは、ソロアーティストによるスーパーグループ、boygenius、Geffen Recordsの新しい看板アーティスト、Olivia Rodrigoの登場が音楽シーンの今後の命運を左右する印象があるかもしれません。他方、アンダーグランドのミュージック・シーンでも、Anti、Matador、4AD、City Slang、Mergeを中心に注目すべきアーティストが数多く登場しました。今年はジャンルを問わず、「隠れた名盤」が数多く登場しました。どちらかと言えば、一回聴いてわかるというよりも、 よく聴かないと、その真価が分からないという作品が多かったように思えます。

 

今年、多数のレビューをさせていただいた実感として、音楽そのものに関しては、個別的なポピュラー性を求めるグループ、反対に音楽そのものの多様性やクロスオーバー性を徹底的に突き詰めるグループに二分されていたという印象を受けます。また、音楽という形態は、現実では実現不可能なものを実現させることが出来るような、稀有な表現媒体でもあることを実感しています。

 

今年も国内外のたくさんの読者様に支えられたことに篤く感謝いたします。さらに、リリース、ライブ情報をお送りいただいたすべての方々に深く感謝申し上げます。何より、日々制作に励むアーティストのみなさん、良いクリスマスとお正月をお過ごし下さいませ。来年も引き続き、Music Tribuneをよろしくお願いいたします!! 
      
   

・サイトがバッファに耐えられないので、記事を3つか4つに分割して公開する予定です。


To summarize this year, my impression is that the total number of releases in 2023 was not as large as last year at the opening of the pandemic. This may perhaps be attributed to the fact that the distribution of records production was stalled in 2021 due to lockdowns, etc., and the releases were stretched out to the following year.
 
On the surface, my impression is that there were definitely more high-profile and big artist releases last year. This year, there were more than a few weeks where you could find an album of the week and there were only one or two buzzworthy releases.

With Taylor Swift's global influence, it was a year that also saw a number of unique artists emerge overseas. In the mainstream, a supergroup of solo artists, boygenius, Geffen Records' new signature artist, Olivia Rodrigo, the new signatory of Geffen Records, may give the impression that the future fate of the music scene depends on their appearance. On the other hand, in the underground music scene, Anti, Matador, 4AD, City Slang, and Merge, among others. Regardless of genre, many "hidden gems" appeared this year. If anything, it is more than just recognizable after one listen,Rather, it seems that there were many works whose true value could not be appreciated unless one listened to them carefully.
 
As a result of reviewing many of the albums this year, I have the impression that the music itself was divided into two groups: those who sought individual popularity, and those who were more interested in the diversity and crossover nature of the music itself. I also realize that music is a rare medium of expression that can realize the unrealizable in reality.
 
We would like to express our sincere gratitude to the many readers both in Japan and overseas who have supported us this year. We would also like to express our deepest gratitude to all those who sent us information on releases and live performances. Above all, to all the artists who work hard every day on their productions, we wish you a happy Christmas and New Year.

 

Thank you very much for your continued support of Music Tribune in the coming year! 
      
   

The site cannot withstand the buffer, so we will publish it in installments.




・Best 35 Albums

 

Ryuichi Sakamoto(坂本龍一) 『12』


 

 


 

Label: Commons/Avex Entertainment

Release: 2023/1/17

Genre:Post Classical/Amibient

 


『12』は、今年4月2日に亡くなられた坂本龍一の遺作。YMOの活動や以後のソロ活動において、映画音楽やオーケストラ音楽、盟友であるAlva Notoとの実験的な電子音楽という多岐にわたる音楽を追求してきた。昨年からは「V.I.R.U.S」と称するリイシューを発表していた。

 

『12』は、日記のように書かれた作品で、癌の闘病中であった坂本龍一の渾身のアルバムとも言え、曲名は制作された日付を元に銘打たれ、人生の記録のような意味も読み取ることが出来る。

 

音楽性としては、従来、音楽家が得意としてきたアンビエント、クラシカル、そして新たにジャズの要素が付加されている。さらに驚くべきことに、厳しい状況の中で、制作者は、電子音楽という観点を通して、従来の作風のなかで最もアヴァンギャルドな音楽性に挑戦している。ピアノの演奏に関する気品に満ち溢れた演奏力は最盛期に劣らず、敬愛するバッハに対するオマージュともとれる「sarabande」も制作していることにも注目したい。クラシック音楽を親しみやすい音楽として、一般的なファンに広めるべく専心してきた坂本さんの集大成を意味するような作品。NHKの伝説の509スタジオで行われたピアノライブ、及び、インタビューも大きな話題を呼んだ。さらに生前最後のコンサート映画「OPUS」はヴェネチア国際映画祭で上映された。

 

 

「12」 Album Teaser

 

 

 

CVC 『Get Real』

 



Label: CVC Recordings

Release: 2023/1/23

Genre: Rock/R&B


ウェールズから登場した六人組のコレクティヴ、CVC(チャーチ・ヴィレッジ・コレクティヴ)はユニークなデビューアルバム『Get Real』を今年の初旬に発表した。チャーチ・ヴィレッジは、ラグビー場とパブに象徴される小さな町。CVCは、ウェールズ国内のライブを軒並みソールドアウトさせている。

 

CVCはビートルズやローリング・ストーンズ、ビーチ・ボーイズを始めとするヴィンテージ・ロックに強い触発を受けているという。

 

昨年末、デビュー・シングル「Docking The Pay」で、ドライブ感のあるハードロックサウンドを引っ提げて、ささやかなデビューを飾ったコレクティヴ、CVCは、今年、デビューアルバムで飛躍を遂げた。ビンテージ・ソウル、ファンク、ロックといったメンバーの音楽的な影響を持ち寄り、それらをコンパクトなサウンドにまとめている。

 

本作は、デビューシングル「Docking The Pay」に加え、「Hail Mary」、「Winston」、「Good Morning Vietnam」等、粒揃いの楽曲を収録したファーストアルバム。デビュー当時、彼らは、ラフ・トレードに提出したプレス資料の中で、「ウェールズを飛び出し、海外でライブをするようになりたい」と語っていましたが、その夢はすでに実現し始めている。小規模のスペースではありながら、NYCでのライブを実現させている。今後、どのようなバンドになるのか非常に楽しみ。

 

 

Best Track 「Hail Mary」





The Murder Capital 『Gigi's Recovery』



Label: Human Session Records

Release: 2023/1/20

Genre: Alternative Rock

 

The Murder Capitalはアイルランド/ダブリンの四人組。元々はポスト・パンクサウンドを引っ提げてデビュー・アルバムをリリースした。


デビュー作では、確かに若いポスト・パンクバンドとしての荒削りな感じが彼らの魅力だったが、セカンドアルバムでは、若干音楽性を変更している。本作にはオルタナティヴロックを中心に聴き応えのある曲が多数収録。ザ・マーダー・キャピタルは、エモーショナルなポップ性とオルタナティヴロック直系の捻りを追加し、オリジナリティー満点のサウンドを確立させた。


フロントマンのジェイムス・マクガバンは、アルバムの制作時のパンデミックの期間を、ダブリン、ドニゴール、ウェックスフォードで過ごし、自らを見つめ直す機会を得た。内省的とも解釈出来るサウンドは、セカンド・アルバムの重要な骨格を形作り、前衛的とも言えるシンセサイザーのテクスチャーと複雑に絡み合わせ、独自のオルタナティブロックサウンドを生み出した。


『Gigi's Recovery』にはThe Murder Capitalの新しい代名詞とも言えるサウンドが収録。バラードをオルト・ロックとして昇華した「Only Good Thing」、Radioheadの次世代のサウンド「A Thousand Lives」もまた、バンドらしくクールとしか言いようがない。今年、バンドはコーチェラ・フェスティバルでもライブパフォーマンスを行い、海外にもその名を轟かせることになった。  

 

 

Best Track 「A Thousand Lives」

 


 

 

Fucked Up 『One Day』 


 

Label: Merge

Release: 2023/1/27

Genre: Punk/Hardcore



2001年に結成されたカナダ/トロントのFucked Up。Matador Records、Jade Tree等、アメリカの主要なインディーロック/パンクのレーベルを渡り歩いてきた。6人組編成らしい分厚いポスト・ハードコアサウンドに、英国にルーツを持つダミアン・アブラハムの迫力のあるボーカル、実験的なエレクトロサウンドを組み合わせ、次世代のポスト・ハードコアサウンドを生み出す。

 

『One Day』はカナダ/トロントの伝説的なグループが一日という期間を設け、ソングライティング、レコーディングを行った。一発録音ではなく、トラックごとに分けて、八時間ごとの三つのセクションに分割し、レコーディングが行われ、2019年と2020年の二回にわたって制作された作品。しかし、それらの個別のトラックは正真正銘、「一日」で録音されたものだという。

 

本作は、硬派なポスト・ハードコアサウンドが主要なイメージを形作っているが、中にはメロディック・パンクからの影響も反映されている。

 

加えて、アブラハムの咆哮に近いエクストリームなメインボーカルと、分厚い編成によるコーラスワークの合致は、驚くべき美麗な瞬間を呼び起こす。エンジンが掛かるのに時間がかかるが、アルバムの中盤から終盤にかけてアンセムが多い。「Lords Of Kensington」、「Falling Right Under」、「One Day」をはじめ、Hot Water Music、Samiam、JawbreakerのようなUSエモ・パンクの精髄を受け継いだ「Cicada」も聴き応え十分。無骨なハードコアサウンドの中にあるメロディ性や哀愁のあるエモーションは、バンドの最大の魅力に挙げられる。



「Lords Of Kensington」

 

 

 

Young Fathers 『Heavy Heavy』



 

Label: Ninja Tune

Release: 2023/2/3

Genre: R&B/Hip-Hop

 

スコットランドのトリオ、Young Fathers(ヤング・ファーザーズ)は、リベリア移民、ナイジェリア移民、そしてエジンバラ出身のメンバーにより構成される。彼らの音楽の根底にあるのは、ビンデージのソウル/レゲエ。それにブレイクビーツやヒップホップのトラップの手法を加え、流動的な音楽性を生み出す。『Heavy Heavy』の背景にはレイシズムに対する反駁も込められており、ゆえに表向きの音楽性は必ずしもその限りではないものの、重力を感じるダンスミュージックとなっている。

 

バンコール、ヘイスティングス、マッサコイのトリオは、自分たちの面白そうだと思うものがあれば何であれヤング・ファーザーズの音楽に取り入れてしまう。ボーカルやコーラスワークに関しては、ソウルミュージックの性質が強いが、じっくり聴いてみると、アフリカンな民族音楽のリズムが取り入れられている。アフロビート、ビンテージ・ファンク、ソウル、ヒップホップの融合は移民としての多様性を反映した内容となっている。特にアルバムに収録されている「Drum」は、ヤング・ファーザーズが未曾有の領域にたどり着いた瞬間である。

 


Best Track「Drum」



Yo La Tengo 『This Stupid World』

 



Label: Matador

Release: 2023/2/10

Genre: Indie Rock/Alternative

 

 

1990年代から米国のオルタナティヴ・ロックシーンを牽引してきたニュージャージ州/ホーボーケンのトリオ、Yo La Tengo。元々、音楽ライターを務めていたアイラ・カプランを中心に結成。彼らは信じがたいことに、30年目にして、オルタナティヴ・ロックの高みに上り詰めた。本作のリリース後、トリオは『This Stupid World』の収録曲をライブで披露した「The Bunker Sessions」を発売し、バルセロナの音楽フェスティバル、プリマヴェーラ・サウンド 2024にも出演が決定している。

 

『This Stupid World』 は、Stereogumによると、Tortoise(トータス)のドラマーとして知られるミュージシャン、John McEntire(ジョン・マッケンタイア)が部分的にミックスを手掛けたという話である。

 

「And Then Nothing Turned Itself Inside-Out」、「Summer Sun」 といった良盤をリリースしながらもフルレングス単位では今ひとつ物足りなさがあったが、今作では従来のイメージを完全に払拭してみせた。特に、Yo La Tengoは、The Velvet Undergroundに象徴づけられるニューヨークのアヴァンギャルド・ミュージックの源泉に迫る。オープニング曲「Sinatra Drive Breakdown」、及び「Fall Out」では、オルタナティヴロック/ギターロックの最高の魅力を示している。

 

「Tonight Episode」におけるホラー映画を彷彿とさせる音楽性も、新しい魅力の一端を担っている。その後、息をつかせるジョージア・ハブレイによる穏和なバラード「Aselestine」は、「Let’s Save Tony Orland's House」に象徴される温かな曲風を想起させる。


アルバムの終盤のハイライト「This Stupid World」では、近年見過ごされがちだったギターロックの音響性の未知の可能性を示唆している。アイラ・カプランとジョージア・ハブレイは、7分に及ぶこの曲の最後で歌う。「This stupid world/ It's killing me/This stupid world/ Is all we have」。My Bloody Valentineのケヴィンの全盛期に匹敵するディストーションの怒涛の嵐の後、エレクトロニックとポップの融合に挑んだ壮大な世界観を持つ「Miles Away」では、神秘的な境地に至る。  


 


Best Track 「Fall Out」



Caroline Polachek 『Desire,I Want To Turn Into You』




Label: Perpetual Novice

Release: 2023/2/14

Genre: Pop/Experimental Pop

 


2019年末、『Pang』をリリース後、ブルックリン出身のキャロライン・ポラチェックはレコードのツアーを行う予定だったが、2020年3月のCOVID-19のパンデミックによって中断された。

 

以後、ポラチェクはロンドンに滞在し、ダニー・L・ハーレと『Desire, I Want to Turn Into You』の制作に取り組んだ。彼女はアルバムを"他のコラボレーターがほとんど参加していない "ハーレとの主要なパートナーシップであると考えた。2021年半ばまで、ポラチェックはロンドンでアルバムの制作を続け、ハーレやコラボレーターのセガ・ボデガと共にバルセロナに一時的に移住した。

 

ポラチェックは勇敢に人生を受け入れ、制作に取り組んでいる。バルセロナの滞在は『Desire,I Want To Turn Into You』の音楽性にエキゾチズムを付加することになった。旧来の楽曲のポピュラー性とアーバン・フラメンコ等の南欧の音楽が合致し、オリジナリティー溢れる作風が確立。アルバムに充溢する開放感のある雰囲気は、アーティストの未知なる魅力の一端を司っている。


「Pretty Is Possible」を筆頭に、ダンス・ミュージックを反映したモダンなポップが本作の骨格を形成する。一方、「Hopedrunk Everasking」に見受けられるナイーブな曲も聴き逃せない。その他、「Somke」、「Butterflly Net」を始めとするソングライターとしての着実な成長を伺わせる曲も収録。

 

 

Best Track  「Smoke」

 

 

 

 

Shame 『Food for Worms』

 


 

Label: Dead Oceans

Release: 2023/2/24

Genre: Post Punk/Indie Rock



ロンドンのポストパンクバンド、Shameは最新作『Food For Worms』の制作を通じて、一回り成長して帰ってきた。 


元々は、プリミティヴなポスト・パンクを強みとしていたSHAME。彼らの最新作は、オルタネイトなひねりもあるが、インディーロックやブリット・ポップ、プログレッシヴ・ロックの要素を交え、多角的なロックサウンドを追求している。

 

IDLES、Squidを筆頭に、今やロンドンは「ポスト・パンクの聖地」となりつつある。そしてSHAMEは彼らに劣らないバンドとしてのクオリティー、卓越したバンドアンサンブルを誇る。

 

オープニングを飾る「Fingers of Steel」 のドライブ感のあるポスト・パンクサウンドに加えて、エモの質感を持つ叙情的でメロディアスな曲調が彼らの強み。他にも、変拍子を交えた「Six Pack」はオリジナルパンクとしても聴けるし、プログレッシヴ・ロックとしても楽しめる。

 

中盤にも、良い曲が多く、Pavement、Guided By Voicesに近いオルタナティヴとエモの風味を加えた「Adderall」は、素晴らしいロックソング。きわめつけは、ブラー、オアシスの最初期を彷彿とさせるブリット・ポップを緊密なスタジオ・セッションに近い形で収録したクローズ曲「All The People」は、彼らが昨年からライブで温めてきたもので、Shameの新たな代名詞が誕生した瞬間。アルバムを聞き終えた後、ロックの素晴らしさと温かみに浸れること間違いなし。 



Best Track 「All The People」

 


Live Vesion

    





 

 

Yazmin Lacey 『Voice Notes』

 



Label: Own Your Own

Release: 2023/3/3

Genre: R&B/ Reggae

 

Yazmin Laceyの「Voice Notes』は、UKのR&B/レゲエの注目のアルバム。デビューアルバム『Voice Notes』は、ヤズミン・レイシーの人生の瞬間をとらえた重要な記録。Black Moon(2017年)、When The Sun Dips 90 Degrees(2018年)、Morning Matters(2020年)という3枚のEPに続く本作は、3部作の一つに位置づけられている。

 

ヤズミン・レイシーは、洗練されたサウンドを出来るだけ避け、生々しさ、つまり、アルバムタイトルにもなっているように「誰かの間に立ち止まり、声のひび割れを聞く」チャンスを与えることを選んだという。

 

ヒップホップの話法を交え、サンプリングを元にしたR&B,レゲエ、ダブをシームレスに展開させる。夜のメロウな雰囲気がアルバム全体には漂い、ときに贅沢な感覚が表現されている。特に「Bad Company」はアルバムのハイライトの一つであり、アーティストの出世作に挙げられる。

 


Best Track 「Bad Company」

 

 

 

 

Sleaford Mods 『UK Grim』

 



Label: Rough Trade

Release: 2023/3/10

Genre: Post Punk/Electronic

 

アンドリュー・ファーン、ジェイソン・ウィリアムソンによるSleaford Modsは、『Spare Ribs』に続くアルバム『UK Grim』を通じて、国外に宣伝されるイギリス像とは異なる国家観をポスト・パンクやクラブ・ミュージックで表現する。アルバムの発売の直前、The Guardianの日曜版で特集が組まれた。アルバムのタイトルは「グリム童話」と「UKグライム」を掛けていて、洒落の意味があるのだろう。

 

オープニングを飾るタイトル曲「UK Grim」は、ミュージックビデオを見ても分かる通り、政治的に過激な風刺が込められている。それをリアルから一定の距離を置いて、シニカルかつコミカルに表現するのがSleaford Modsの魅力。


今作には、複数の豪華コラボレーターが参加している。Dry Cleaningのフローレンス・ショー、そして、意外にも、Jane's Addictionのペリーファレルがゲストボーカルで参加。マドリード公演での中断が今年11月に話題を呼んだ。今後も彼らの動向から目を離すことは出来ない。もちろん同レーベルのアイルランド・フォークの重要な継承者、Lankumの『False Lankum』も聴いてみてね。


 

「So Trendy」

 

 



Unknown Mortal Orchestra 『V』(US)

 



Label: jagujaguwar

Release: 2023/3/17

Genre: Indie Rock/Alternative

 

 

ニュージーランド出身のルヴァン・ニールソン率いるアンノウン・モータル・オーケストラは、近年、ポートランドに拠点を移して活動中。従来の作品では、フリーク好みのローファイ/サイケロック/ファンクで多数のファンを魅了してきた。『V』に関しては、 ルヴァン・ニールソンがポリネシアのルーツを辿っている。サウンドプロダクションについては、ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェルといった70、80年代のポピュラー音楽が重要なファクターとなっている。それに加えて、ニールソンのルーツであるハワイの南国的な雰囲気も漂う。


本作の魅力は、ダンス・ミュージックを意識したミニマルなループ・サウンドの中に、旧来のサイケ、ファンク、ソフト・ロック、AOR,ローファイと、無数の要素が散りばめられていることにある。アルバム発表の約2年前に発表された先行シングル「That Life」を始め、アーティストの故郷への愛着が歌われた「The Beach」、哀愁に充ちた雰囲気を擁するループサウンドをローファイとして処理した「The Garden」等、聴き応えたっぷりの良曲が多数収録されている。

 


Best Track 「The Beach」

 

 

 

 

 Lucinda Chua 『YIAN』



Label: 4AD

Release: 2023/3/24

Genre: Pop/Modern Classical/R&B

 

 

ロンドンを拠点に活動する中国系イギリス人シンガー、Lucinda Chua(ルシンダ・チュア)は、当初、フォトグラファーとして活動し、後にチェリストに転向している。以後、Oneohtrix Pointnever(ダニエル・ロパティン)でのツアーサポートを期に、エレクトロニック/アンビエント界隈で、名を知られるようになった。2021年、4ADと契約を交わし、ソングライターに転向した。 


モダンクラシカル/ポピュラー/アンビエントをクロスオーバーし、美麗な音楽世界を構築するようになった。「Antidotes Ⅰ、Ⅱ」では、幼い頃から親しんできたピアノ、そしてチェロ、エレクトロニック、彼女自身のボーカルを交え、このシンガーソングライターにしか表現しえないオリジナリティー溢れる音楽を作り出した。

 

最新作『YIAN』でもピアノ/エレクトリックピアノの弾き語りを中心に落ち着いたモダンクラシカルを基調としたポピュラー・ミュージックのアプローチが図られている。しかし、ボーカルから滲み出るネオ・ソウルの質感は、シンガーの人間的な成長、あるいは考えの深化を表し、そしてそれを支える華麗なストリングスは、ルシンダ・チュアがよりワールドワイドなシンガーソングライターの道を歩み始めたことの証ともなりえる。繊細な感覚を持つピアノとボーカルのハーモニーが合わさった時、息を飲むような美麗さが訪れる。本作の音楽にはイメージの換気力があり、表向きの印象の奥底に、ピクチャレスクな印象が立ち上ることもある。

 

「Golden」、「I Promise」、「Echo」を始め、聞きやすさと深みを兼ね備えた美麗なモダンクラシカルを基調とするポップソングが鮮烈な印象を擁する。


オーケストレーションを用いた「Meditations on a Place」、ボーカリストとしての進化を意味する「Autumn Leaves Don't Come」も聞き逃せない。デビューEP「Antidotes」以降の音楽性は、アルバムのクローズ曲「Something Other Than You」において、ひとまず集大成を迎えたと見て良さそうだ。 

 


Best Track 「Something Other Than You」

 

 

 

 Lana Del Rey 『Did You Know That There's a Tunnel Ocean Blvd」





Label:  Polydor

Release: 2023/3/24

Genre: Pop

 

 

米国では最も影響力のあるシンガーソングライター、ラナ・デル・レイ。先日発表されたグラミー賞では、主要部門にノミネートされた。『Did you know? ~』のアートワークとタイトルーー地下トンネルの存在とジュディー・ガーランド扮するアーティストーーには暗示的なメッセージが含まれている。

 

アーティストの最も傑出したところは、ビックアーティストになろうとも、出発点を忘れず、サッドコアを始めとするインディーミュージックにも重点を置いている点にある。加えて、アーティストは、今年の夏頃、地元の小さなマーケットのスタッフとして短期的に勤務していた。スターではあるものの、一般的な人々に目を向けていることは本当に尊敬するよりほかない。

 

このアルバムがポピュラー音楽として秀作以上の何かがあることは、レコーディング・アカデミーの太鼓判を見ても明らかである。さらに、デビューから10年あまりを経て、このアルバムのサウンドに円熟味を感じたとしても、思い違いではない。特に「The Grant」のミュージカル等に触発されたシアトリカルなサウンドを提示し、アーティストとしての真心が込められたタイトル曲も切なく、琴線に触れるものがある。


「A&W」における映画音楽を彷彿とさせる音楽性に関しても、作品全体に堅固な存在感とポップスとしての聴き応えをもたらしている。以前、コラボ経験のあるFather John Misty,そして同じく、2023年度のグラミー賞にノミネートされたJon Batisteの参加も聴き逃せない。この上なく洗練されたポピュラーミュージックの至宝。年代を問わず幅広いリスナーに推薦したいアルバム。

 

 

Best Track 「A&W」

 

 

 

 

boygenius 『the record」-Album Of The Year

 


 

Label: Interscope

Release: 2023/3/31

Genre: Indie Rock


元々、ソロシンガーとして活動していたルーシー・デイカス、フィービー・ブリジャーズ、ジュリアン・ベイカーによるboygenius。


今年始め、いきなりロサンゼルスの街角でNirvanaの三人に変装して撮影された写真を公開して、ファンの話題を攫った。今、考えてみれば、ボーイ・ジーニアスの壮大なストーリーの始まりで、デビューアルバム『the record』の告知でもあった。


デビュー・アルバムは、Rolling Stone誌のカバーを飾り、グラミー賞の主要部門にもノミネートされた。実際、このアルバムは商業的な路線を図りながらも聴き応え十分の内容だ。3人のソングライティングの個性が劇的に融合を果たしている。特にコーラスのハーモニーが織りなす美しさに着目したい。

 

ゴスペル風の作風に挑戦したオープナー「Without You Without Them」、すでにライブ等で定番といえる「Cool About It」、「Not Strong Enough」等、インディーロック、フォーク、ポップスを軽やかにクロスオーバーしている。もちろん、フィービー・ブリジャーズのソングライティングにおける繊細でエモーショナルな感覚も内在している。アルバムの中で唯一、ポストロック的なアプローチを図った「$20」もクール。洋楽のロックの初心者にこのアルバムを推薦したい。

 


Best Track 「Not Strong Enough」

 

 

Part.2はこちらからお読み下さい。

Part.3はこちら




今年初め、Bethany Cosentino(ベサニー・コセンティーノ)は自身のバンド、ベスト・コーストが無期限の活動休止に入ること、そしてソロ・デビュー・アルバム『Natural Disaster』をリリースした。


ベスト・コーストの無期限活動休止の決定について、ベサニー・コセンティーノは「人間としての、そしてアーティストとしての私のアイデンティティは、10年以上にわたってベスト・コーストに包まれてきました。プロジェクトを無期限で休止し、自分自身の新たな一面を探求するという決断は、とても難しいものでしたが、私にとって必要なことだと感じました」と述べた。


しかし、昨日の夕方、コセンティーノはTikTokのビデオにアルバムの展開について投稿し、その出来に「とてもがっかりしている」ことを明かした。


興味深いことに、この動画にはTikTokユーザーから、「コセンティーノがソロアルバムをリリースしたことすら知らなかった」というコメントが複数寄せられており、ソーシャルメディアアプリやアルゴリズムに依存し、トップアーティストになろうとするのは不可能なゲームだという考えがうかがえる。

 

「私は、このアルバムに自分のすべてを注ぎ込んだ。レコードを作るために、初めてカリフォルニアを離れた。自分のアイデンティティから離れたんだ。ベスト・コーストから離れて、私はベサニーになるって言ったの、正直に言うとね」とコセンティーノはその胸中を明かした。

 


今年初め、ポップ・パンクの象徴的な存在、SUM 41は27年に及ぶ活動に終止符を打ち、最後のアルバムとツアーをもって解散することを正式に発表した。

 

今回、新作アルバムの詳細が発表された。本作は3月15日に”Rise”からリリースされる。このアルバムの "メタル満載 "の地獄サイドからのニュー・シングル「Rise Up」を以下でチェックしよう。


『Rise Up』を書いているとき、初めて契約したときと同じような気持ちになった」とフロントマンのデリク・ウィブリーは声明で語っている。

 

「プレッシャーを感じ、何か素晴らしいものを作らなければと思ったが、同時にとても興奮した。一度聴いたら、”これは僕が出たいレコードだ "と言えるほど自信があった。ポップ・パンクとメタルのダブル・アルバムを作ったが、理にかなっていると思う。ポップ・パンクとメタルのダブル・アルバムを作ってみたんだ」


「私はSum 41が大好きで、私たちが成し遂げたこと、忍耐したこと、それに団結したことを愛しています。解散してもおかしくない時期が何度もあった。しかし、どういうわけか、私たちは粘り続けた。そのことを心から誇りに思う。今がその時期にある。これからのことに全力を注ぐつもりだ。人生最大のツアーになるだろうし、これまでで最高のショーにしたい。それだけだよ」 

 

 

 

「Rise Up」



SUM 41 『Heaven × Hell』


Tracklist

Heaven:

1. Waiting on a Twist of Fate

2. Landmines

3. I Can’t Wait

4. Time Won’t Wait

5. Future Primative

6. Dopamine

7. I Could Use Some Help

8. Bad Mistake

9. Johnny Libertine

10. Radio Silence

Hell:

11. Preparasi a Salire

12. Rise Up

13. Stranger in These Times

14. Don’t Need Anyone

15. Over the Edge

16. House of Liars

17. You Wanted War

18. Paint It Black

19. It’s All Me

20. How the End Begins

 

Claquepot
 

Claquepotが12月20日にリリースされる新作アルバム『recuitment』から先行シングル「メロー・イエロー feat. Aile The Shota」を本日デジタルでリリースした。ニューシングルの配信リンクは下記よりご確認ください。

 

さらに、アルバム「recruitment」から「ターコイズドリップ」のMusic Videoも公開となった。アルバムのPre-add/Pre-saveもスタートしている。数量限定のZINE付の限定ヴァージョンや各レコードショップでの特典施策も実施中。

 

 

Aile The Shota





claquepot 『recruitment』

 


Digital/CD | DDCB-12369 | 2023.12.20 Release | 2CD [3,500 Yen+Tax]

Released by SPACE SHOWER MUSIC

 

Tracklist(収録曲):

1. リクルートメント
2. ターコイズドリップ
3. space feat. 竹内アンナ
4. ドゥームスクロール feat. 宮川大聖
5. detox
6. スローペースダンス
7. メロー・イエロー feat. Aile The Shota 


 

Pre-add/Pre-save:


https://ssm.lnk.to/recruitment



2022年12月にアルバム「the test」をリリースし、大阪と横浜で行ったZeppツアーも大盛況となったclaquepotの新作「recruitment [2CD]」が12月20日にリリース決定した。


デジタル・リリースした「spacefeat. 竹内アンナ」「detox」「ターコイズドリップ」を含む、都会的なチルアウトR&Bを中心とした楽曲に加え、表題曲となる「リクルートメント」、宮川大聖をfeat.した「ドゥームスクロール」、Aile The Shotaをフィーチャーした「メロー・イエロー」を含む全7曲入りのEPと、今年1月に開催された「claquepot live tour2023 -the test-」神奈川公演のライブを収録した全17曲入りのライブCD付の2CD仕様。

 


recruitment


claquepot live tour 2023 -the test-


1. home sweet home
2. choreo
3. pointless
4. ahead
5. reflect
6. finder
7. flying
8. sweet spot
9. useless
10. hibi
11. resume
12. tone
13. silence
14. okashi
15. rwy
16. blue print
17. blank

 

 

リリースを記念して、タワーレコードでは、缶バッジ、HMVでは、クリアファイルの先着特典施策が決定。更に数量限定のclaquepotの写真や最新インタビューをまとめた本=ZINE付の限定ヴァージョン「2CD+ZINE」をSPACE SHOWER STOREで予約中。

 

 

過去の先行シングルの詳細:

 
claquepot「ターコイズドリップ」

 
Digital | 2023.10.04 Release | DDCB-12369_3 | Released by SPACE SHOWER MUSIC
[ https://ssm.lnk.to/TurquoiseDrip ]
[ https://www.youtube.com/watch?v=21aGRZ1nSI8 ]



claquepot「detox」

 
Digital | 2023.08.23 Release | DDCB-12369_2 | Released by SPACE SHOWER MUSIC
[ https://ssm.lnk.to/detox ]
[ https://youtu.be/ke2N30J6Xy8 ]



claquepot「space feat. 竹内アンナ」

 
Digital | 2023.05.17 Release | DDCB-12369_1 | Released by SPACE SHOWER MUSIC
[ https://ssm.lnk.to/space ]
[ https://youtu.be/Tu0eXuWeQjI ]



 SPACE SHOWER STORE|claquepot「recruitment [2CD+ZINE]」(数量限定)


 [ https://spaceshowerstore.com/detail.php?goods_id=3278 ]

 

2024年2月04日(日)にリリース・ライブ「claquepot -recruitment- release live」(東京・Zepp Shinjuku)のチケットの販売中。



「claquepot -recruitment- release live」


2024.02.04 [Sun] Open 17:00 / 18:00 Start


場所:Zepp Shinjuku, Tokyo


1F Standing 6,600 Yen / 2F Standing 6,600 Yen

mu-mo TICKET [ http://r.y-tickets.jp/claquepot2401 ]
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※抽選制での受付となります。先着順ではございませんので受付期間中にお申込みください。
※受付詳細は、各受付サイトよりご確認ください。

 

 
claquepot:

 
1987年6月28日生。R&B/SOULをベースとしたダンサブルで都会的なPOPサウンドを奏でるシンガーソングライター/プロデューサー。2019年2月「むすんで」からリリースを開始。2021年4月には、Rung Hyang、向井太一と共にEP「PARK」をリリース。

 

表題曲の「PARK」は、☆TakuTakahashiのリミックスもリリースされている。2022年12月には、Novel Core、田邊駿一(BLUE ENCOUNT)のゲスト参加に加え、アレンジでShin Sakiura、Nenashiらも参加したファースト・アルバム「the test」をリリース。リリースライブとなるZeppツアーを大阪と横浜で行い、大盛況となった。

 

2023年5月「space feat. 竹内アンナ」、8月「detox」10月「ターコイズドリップ」をSPACE SHOWER MUSICリリース。

 

 

 Aile The Shota:

 

2022年1月、Shin Sakiuraプロデュース「AURORA TOKIO」でデビュー。


現在までに A.G.O、tofubeats、Soulflex、Ryosuke “Dr.R” Sakaiなどをプロデューサーに迎えて制作・リリースした楽曲は、各配信サイトでの1位やメディア各局でのヘビーローテーションを獲得している。

 

楽曲への客演参加はKalassy Nikoff、MATZ、GANMIなど、すでに10曲を超え、アーティストやプロデューサーと各方面からの期待から、その勢いはとどまるところを知らない。

 

2023年7月に開催した初のワンマンライブ全国ツアーのチケットは完売、ライブパフォーマンスへの注目も高まっている。

 

12月6日には自身の活動の序章を締め括る、4th EP『Epilogue』をリリースし、2024年2月からはツアー、オーガナイズイベントの開催も控えている。

 

ブラックミュージックに傾倒しつつ、J-POPとも高い親和性を持つ稀有な音楽性を保有し、既存の肩書きが当てはまらない、"存在がジャンル" "存在が音楽"なアーティスト。

 


ソールドアウトした12月27日新代田FEVERでの単独公演を目前に、DYGL(デイグロー)が新曲「Shadow」のリリースを発表した。


10月にシングル「Acervation」を突如リリースし、台南・Vagabond Festival、そして上海、北京、香港を含む7都市を巡るアジアツアーを行ったDYGL。2024年1月には、台中そして高雄の二都市でAirhead Records 12周年アニバーサリーイベントに出演するなど、日本国内外で勢力的に活動を進めている。


そんなDYGLが2023年を締めくくる新曲「Shadow」を12月13日にリリース。冷たい冬の匂いが肌を掠める、軽やかでありながら過ぎていった日々を思う追憶の影を思わせるような楽曲で、フォーキーなギターと語るようなボーカルは、バラード調でありながら、後半にかけ渦のように変わる景色からは微かなサイケデリアを感じさせる。


霞んでいく記憶への感傷と同時に、まだ確かにそこにある思い出への感謝が交錯する美しいメロディ。虚しさに溺れすぎないよう心身を掬い上げるような優しい楽曲となっている。



なお、本楽曲は映画「The Night Before(堀井綾香 監督)」の主題歌として起用された。アートワークはベーシストの加地洋太朗が担当している。



DYGL「Shadow」New Single


2023.12.13 Release
Released by Easy Enough
Written by Nobuki Akiyama, Yotaro Kachi
Words by Nobuki Akiyama

 

Tracklist:


1.Shadow



配信リンク:


https://dayglo.lnk.to/Shadow

 

 

・DYGL  Tour Date(ツアー情報) 


・Airhead Records 12th Anniversary

2024.01.13 高雄 | Live Warehouse with 無妄合作社, 午夜乒乓
2024.01.14 台中 | Legacy with 無妄合作社, 午夜乒乓



・Don’t Countdown


日時: 2023.12.28(木)


場所:下北沢BASEMENT


DYGL
Sugar House
Half Mile Beach Club
Voided By Geysers
Big Sweater

DJ:
加藤寛之
ちょっかん
ホシエイスケ
goboy
Yuki
Michi Nakano
Koki Nozue
BISCO(Episode Sounds)
Koh Hamada(Barbican Estate)



・LIVE 2023 WINTER *SOLD OUT

 
日時:2023.12.27(水)


場所:新代田Fever


OPEN: 18:30 START: 19:00



・Johnnivan - WE LOVE Vol.1

 
日時:2023.12.14(木)


場所:Shibuya WWW X


LIVE : Johnnivan, DYGL, Brother Sun Sister Moon


DJ : Shota Katayama, Harry Bossert


Open 18:00 / Start 18:45
ADV 3,800 [+1D] / DOOR 4,300 [+1D]

 

 
12月15日公開の映画「The Night Before(堀井綾香 監督)」の主題歌 / 劇中歌を担当するなど活動の幅を広げている。



「The Night Before」の詳細:


https://motion-gallery.net/projects/the_night_before

 

 
DYGL(デイグロー):



2012年に大学のサークルで結成。洗練されたサウンドと鮮烈なパフォーマンスは、国内外を問わず高い評価を受けている。1stアルバムはAlbert Hammond Jr. (The Strokes)がプロデュースし、期待のインディロックバンドとして多くのメディアの注目を集めた。


2ndアルバムは2019年にリリースされ、約6ヶ月に及ぶ53都市のアルバムツアーを遂行し、日本のみならず北京、上海、ニューヨークでチケット完売となる快挙を達成。

 

そして、3rd アルバム『A DAZE IN A HAZE』は「Sink」や「Half of Me」といった話題楽曲が収録された万人に愛される作品となった。昨年2022年には、自ら手がけた完全セルフプロデュースアルバム『Thirst』が世界中で大きな反響を呼び、タイ・Mahorasop Festivalに出演そしてUSツアーを行った。

 

3度のFUJI ROCK FESTIVALやフランスのThis is Not A Love Songへの出演、SXSWやTreefort Festivalを含むUSツアーを敢行するなど、英語詩を中心とした楽曲を中心に国内・海外問わず活動を広げている。