ニューシングルでは90年代から00年代のUSオルタナティヴを踏襲している。Guided By VoicesやPavementを思わせる乾いた感じのギターラインに、それほど巧みではないがシンプルな質感を持つ英語のリリックが載せられる。曲全体に漂うエバーグリーンな感覚は、AVYSSのインタビューでも語っていたように、バンドメンバーがエモからの影響を大切にしているからと思われる。ワールドワイドなオルタナティヴロックバンドであり、今後の活躍にも期待していきたい。
本日、彼女は次のヨーロッパ・ツアーの日程と、Big Ears Festival 2024でのパフォーマンスを含む、春のアメリカでのデビュー公演を発表した。今年初め、彼女の作品「Inori」は、ニューヨークの前衛作曲家、William Basinsky(ウィリアム・バシンスキー)によってリワークされ、イギリスの伝説的DJ兼プロデューサー、マシュー・ハーバートによるシャーマン・テクノのリミックスが施された。
「Kicking Up Daisies」はシンセ・ピアノを基調にしたインディーロックサンドに挑戦した一曲。Yumi Zoumaの代名詞の軽やかなインディーポップサウンドではあるものの、その中には奇妙な熱狂性とファイティングスピリットが感じられる。これらはバンドの内省的なオルトポップ・サウンドに、ロック的なウェイブを付加している。もうひとつ、アップビートな曲調と、それとは正反対のサイレンスを生かした曲調がたえず入れ替わりながら、メリハリの効いた流動的なバンドサウンドが繰り広げられる。前の2曲に比べると、シンプソンのボーカルにはかすかなペーソスが漂い、時に、それがバンドサウンドから奇妙な質感を持って立ち上がる瞬間がある。しかし、曲そのものがヘヴィネスに傾いたかと思われた瞬間、バンドはすぐさまそこから踵を返し、やはりバンドらしい軽妙で親しみやすい甘口のインディーポップサウンドへ立ち返る。どのような音楽性の種類を選ぼうとも、Yumi Zoumaの中核となるサウンドに変更はないのだ。
上記のアーティストは共に、『Again』、『Long Is A Tunnel』という象徴的なカタログをこのレーベルにもたらし、ウィンスピアの存在感を示すことに一役買った。さらに続いて、インディアナポリスのインディーロックバンド、Wishyがシーンに名乗りをあげようとしている。
バンドは、Jesus and Mary Chain、My Bloody Valentine、昨今のYo La Tengoを想起させる轟音のギターロックに加えて、Tanukicyanのドリーム・ポップ性を兼ね備えている。もちろん、Wishyの生み出す艶やかなプロダクションに、インディーバンドとして注目を集める、Wednesday,Slow Pulp、Daughter、Ratboysのような未知の可能性を捉えたとしても、それは思い違いなどではあるまい。
The Cure、The Jesus And Mary Chainといったジャンルの先駆者の音楽性をしたたかに踏襲し、それをダンサンブルなビートの枠組みに収めようとしている。反復的なビートは、Underworld、New Orderのテクノの範疇にあるが、幻想的なメロディーを付加されると、MTV、Top Of The Popsの時代のシンセ・ポップに近い曲へと変化していき、最終的にカルチャー・クラブやデュラン・デュランを思わせる軽やかなポピュラー・ミュージックへ変遷を辿っていく。軽薄なのではなく、親しみやすい。上記の音楽をリアルタイムで体験したかどうかに関わらず、この曲の中にあるミラーボール・ディスコへの敬愛と愛着は、リスナーに一定のノスタルジアを与える。
Dinosaur Jr.のJ Mascisが5thアルバム『What Do We Do Now』の2ndシングル『Set Me Down』を発表した。マスシスは昨年、フジロックで来日し、ほとんど米国に直帰だったが、帰国間際にSnail Mailとの対談を行っている。リンジー・ジョーダンはマスシスを信奉してやまない。
Erased Tapesがコンピレーションアルバムシリーズの新作「Music For Siam」をリリースしました。Music for Brainwaves、Music for kōに続く作品。新作にはドイツの実験音楽家、ミドリ・ヒラノ、ハチスノイト、さらにはライバル・コンソールズの楽曲が収録される。
To summarize this year, my impression is that the total number of releases in 2023 was not as large as last year at the opening of the pandemic. This may perhaps be attributed to the fact that the distribution of records production was stalled in 2021 due to lockdowns, etc., and the releases were stretched out to the following year.
On the surface, my impression is that there were definitely more high-profile and big artist releases last year. This year, there were more than a few weeks where you could find an album of the week and there were only one or two buzzworthy releases.
With Taylor Swift's global influence, it was a year that also saw a number of unique artists emerge overseas. In the mainstream, a supergroup of solo artists, boygenius, Geffen Records' new signature artist, Olivia Rodrigo, the new signatory of Geffen Records, may give the impression that the future fate of the music scene depends on their appearance. On the other hand, in the underground music scene, Anti, Matador, 4AD, City Slang, and Merge, among others. Regardless of genre, many "hidden gems" appeared this year. If anything, it is more than just recognizable after one listen,Rather, it seems that there were many works whose true value could not be appreciated unless one listened to them carefully.
As a result of reviewing many of the albums this year, I have the impression that the music itself was divided into two groups: those who sought individual popularity, and those who were more interested in the diversity and crossover nature of the music itself. I also realize that music is a rare medium of expression that can realize the unrealizable in reality.
We would like to express our sincere gratitude to the many readers both in Japan and overseas who have supported us this year. We would also like to express our deepest gratitude to all those who sent us information on releases and live performances. Above all, to all the artists who work hard every day on their productions, we wish you a happy Christmas and New Year.
Thank you very much for your continued support of Music Tribune in the coming year!
The site cannot withstand the buffer, so we will publish it in installments.
昨年末、デビュー・シングル「Docking The Pay」で、ドライブ感のあるハードロックサウンドを引っ提げて、ささやかなデビューを飾ったコレクティヴ、CVCは、今年、デビューアルバムで飛躍を遂げた。ビンテージ・ソウル、ファンク、ロックといったメンバーの音楽的な影響を持ち寄り、それらをコンパクトなサウンドにまとめている。
本作は、デビューシングル「Docking The Pay」に加え、「Hail
Mary」、「Winston」、「Good Morning
Vietnam」等、粒揃いの楽曲を収録したファーストアルバム。デビュー当時、彼らは、ラフ・トレードに提出したプレス資料の中で、「ウェールズを飛び出し、海外でライブをするようになりたい」と語っていましたが、その夢はすでに実現し始めている。小規模のスペースではありながら、NYCでのライブを実現させている。今後、どのようなバンドになるのか非常に楽しみ。
Best Track 「Hail Mary」
The Murder Capital 『Gigi's Recovery』
Label: Human Session Records
Release: 2023/1/20
Genre: Alternative Rock
The Murder Capitalはアイルランド/ダブリンの四人組。元々はポスト・パンクサウンドを引っ提げてデビュー・アルバムをリリースした。
加えて、アブラハムの咆哮に近いエクストリームなメインボーカルと、分厚い編成によるコーラスワークの合致は、驚くべき美麗な瞬間を呼び起こす。エンジンが掛かるのに時間がかかるが、アルバムの中盤から終盤にかけてアンセムが多い。「Lords
Of Kensington」、「Falling Right Under」、「One Day」をはじめ、Hot Water
Music、Samiam、JawbreakerのようなUSエモ・パンクの精髄を受け継いだ「Cicada」も聴き応え十分。無骨なハードコアサウンドの中にあるメロディ性や哀愁のあるエモーションは、バンドの最大の魅力に挙げられる。
以後、ポラチェクはロンドンに滞在し、ダニー・L・ハーレと『Desire, I Want to Turn Into You』の制作に取り組んだ。彼女はアルバムを"他のコラボレーターがほとんど参加していない
"ハーレとの主要なパートナーシップであると考えた。2021年半ばまで、ポラチェックはロンドンでアルバムの制作を続け、ハーレやコラボレーターのセガ・ボデガと共にバルセロナに一時的に移住した。
ポラチェックは勇敢に人生を受け入れ、制作に取り組んでいる。バルセロナの滞在は『Desire,I
Want To Turn Into
You』の音楽性にエキゾチズムを付加することになった。旧来の楽曲のポピュラー性とアーバン・フラメンコ等の南欧の音楽が合致し、オリジナリティー溢れる作風が確立。アルバムに充溢する開放感のある雰囲気は、アーティストの未知なる魅力の一端を司っている。
「Pretty
Is Possible」を筆頭に、ダンス・ミュージックを反映したモダンなポップが本作の骨格を形成する。一方、「Hopedrunk
Everasking」に見受けられるナイーブな曲も聴き逃せない。その他、「Somke」、「Butterflly
Net」を始めとするソングライターとしての着実な成長を伺わせる曲も収録。
オープニングを飾る「Fingers of Steel」
のドライブ感のあるポスト・パンクサウンドに加えて、エモの質感を持つ叙情的でメロディアスな曲調が彼らの強み。他にも、変拍子を交えた「Six
Pack」はオリジナルパンクとしても聴けるし、プログレッシヴ・ロックとしても楽しめる。
中盤にも、良い曲が多く、Pavement、Guided
By
Voicesに近いオルタナティヴとエモの風味を加えた「Adderall」は、素晴らしいロックソング。きわめつけは、ブラー、オアシスの最初期を彷彿とさせるブリット・ポップを緊密なスタジオ・セッションに近い形で収録したクローズ曲「All The People」は、彼らが昨年からライブで温めてきたもので、Shameの新たな代名詞が誕生した瞬間。アルバムを聞き終えた後、ロックの素晴らしさと温かみに浸れること間違いなし。
Best Track 「All The People」
Live Vesion
Yazmin Lacey 『Voice Notes』
Label: Own Your Own
Release: 2023/3/3
Genre: R&B/ Reggae
Yazmin Laceyの「Voice Notes』は、UKのR&B/レゲエの注目のアルバム。デビューアルバム『Voice Notes』は、ヤズミン・レイシーの人生の瞬間をとらえた重要な記録。Black
Moon(2017年)、When The Sun Dips 90 Degrees(2018年)、Morning
Matters(2020年)という3枚のEPに続く本作は、3部作の一つに位置づけられている。
オーケストレーションを用いた「Meditations
on a Place」、ボーカリストとしての進化を意味する「Autumn Leaves Don't
Come」も聞き逃せない。デビューEP「Antidotes」以降の音楽性は、アルバムのクローズ曲「Something Other Than
You」において、ひとまず集大成を迎えたと見て良さそうだ。
Best Track 「Something Other Than You」
Lana Del Rey 『Did You Know That There's a Tunnel Ocean Blvd」
Label: Polydor
Release: 2023/3/24
Genre: Pop
米国では最も影響力のあるシンガーソングライター、ラナ・デル・レイ。先日発表されたグラミー賞では、主要部門にノミネートされた。『Did you know? ~』のアートワークとタイトルーー地下トンネルの存在とジュディー・ガーランド扮するアーティストーーには暗示的なメッセージが含まれている。
「A&W」における映画音楽を彷彿とさせる音楽性に関しても、作品全体に堅固な存在感とポップスとしての聴き応えをもたらしている。以前、コラボ経験のあるFather
John Misty,そして同じく、2023年度のグラミー賞にノミネートされたJon Batisteの参加も聴き逃せない。この上なく洗練されたポピュラーミュージックの至宝。年代を問わず幅広いリスナーに推薦したいアルバム。
ゴスペル風の作風に挑戦したオープナー「Without You Without Them」、すでにライブ等で定番といえる「Cool About It」、「Not Strong
Enough」等、インディーロック、フォーク、ポップスを軽やかにクロスオーバーしている。もちろん、フィービー・ブリジャーズのソングライティングにおける繊細でエモーショナルな感覚も内在している。アルバムの中で唯一、ポストロック的なアプローチを図った「$20」もクール。洋楽のロックの初心者にこのアルバムを推薦したい。
デジタル・リリースした「spacefeat.
竹内アンナ」「detox」「ターコイズドリップ」を含む、都会的なチルアウトR&Bを中心とした楽曲に加え、表題曲となる「リクルートメント」、宮川大聖をfeat.した「ドゥームスクロール」、Aile
The Shotaをフィーチャーした「メロー・イエロー」を含む全7曲入りのEPと、今年1月に開催された「claquepot live
tour2023 -the test-」神奈川公演のライブを収録した全17曲入りのライブCD付の2CD仕様。
recruitment
claquepot live tour 2023 -the test-
1. home sweet home 2. choreo 3. pointless 4. ahead 5. reflect 6. finder 7. flying 8. sweet spot 9. useless 10. hibi 11. resume 12. tone 13. silence 14. okashi 15. rwy 16. blue print 17. blank
Digital | 2023.10.04 Release | DDCB-12369_3 | Released by SPACE SHOWER MUSIC [ https://ssm.lnk.to/TurquoiseDrip ] [ https://www.youtube.com/watch?v=21aGRZ1nSI8 ]
claquepot「detox」
Digital | 2023.08.23 Release | DDCB-12369_2 | Released by SPACE SHOWER MUSIC [ https://ssm.lnk.to/detox ] [ https://youtu.be/ke2N30J6Xy8 ]
claquepot「space feat. 竹内アンナ」
Digital | 2023.05.17 Release | DDCB-12369_1 | Released by SPACE SHOWER MUSIC [ https://ssm.lnk.to/space ] [ https://youtu.be/Tu0eXuWeQjI ]
SPACE SHOWER STORE|claquepot「recruitment [2CD+ZINE]」(数量限定)
10月にシングル「Acervation」を突如リリースし、台南・Vagabond Festival、そして上海、北京、香港を含む7都市を巡るアジアツアーを行ったDYGL。2024年1月には、台中そして高雄の二都市でAirhead Records 12周年アニバーサリーイベントに出演するなど、日本国内外で勢力的に活動を進めている。
そして、3rd アルバム『A DAZE IN A HAZE』は「Sink」や「Half of Me」といった話題楽曲が収録された万人に愛される作品となった。昨年2022年には、自ら手がけた完全セルフプロデュースアルバム『Thirst』が世界中で大きな反響を呼び、タイ・Mahorasop Festivalに出演そしてUSツアーを行った。
3度のFUJI ROCK FESTIVALやフランスのThis is Not A Love Songへの出演、SXSWやTreefort Festivalを含むUSツアーを敢行するなど、英語詩を中心とした楽曲を中心に国内・海外問わず活動を広げている。