彼はこれまでに、パシフィコ(2019年のアルバム『Bastasse il Cielo』から引用された曲「Canzone Fragile」)において、アラン・クラーク(Dire Straits)、シモーネ・パチェ(Blonde Redhead)といった名だたるアーティストとコラボレーションしている。
デミアン・ドレリはまた、ポンデローザ・ミュージック&アートから『Nick Drake's PINK MOON, a Journey on Piano』を発表している。このアルバムは、ピーター・ガブリエルのリアルワールド・スタジオでティム・オリバーと共にレコーディングされ、ドレリがピアノを弾きながら故ニック・ドレイクに敬意を表し、過去と現在の間で彼との対話を行う11曲で構成されている。
本日(4月19日)、ピアノ(デミアン・ドレリ)、チェロ(キャロライン・デール)、フレンチ・ホルン(エリサ・ジョヴァングランディ)のための長編作品を収録した、これまでの作風とは異なる3枚目のレコードが発売される。「A Romance of Many Dimensions(多次元のロマンス)」は、エドウィン・A・アボットによる1884年の小説「Flatland(平地)」の要素を刺激として取り入れつつ、タペストリー空間を自在に旅する7部のパートのエモーショナルな作品に仕上がっている。
『A Romance of So Many Dimensions』‐ Ponderosa Music Recordings Sri
デミアン・ドレリの音楽には、ドビュッシー以降の色彩的な和音の影響があり、朝の太陽の光のような清々しさがある。音楽に深みを与えているのが、キャロラインのチェロ、そして、エリサのフレンチ・ホルンの情感を生かした巧みな演奏である。特に、二曲目の「Theory Of Three」はマックス・リヒターの楽曲性を思わせ、曲の終わりに、ソロ・ピアノの演奏を止め、チェロとフレンチ・ホルンの演奏をフィーチャーすることで、一瞬の音の閃きを逃すことはない。
「Universal Color BB」はマックス・リヒターの系譜に位置する曲で、 ドビュッシーの「La cathédrale engloutie - 沈める寺」の縦構造の和音にジャズの和声法を付加している。これらの重厚かつ色彩的な和音を微妙に変化させながら、安らいだ音楽空間を作りだす。しかし、イントロではミニマリズムに属すると思われた曲風は中盤において、チェロとフレンチホルンの演奏、アラビア音楽のスケールを織り交ぜたジャズピアノのパッセージによって、ストーリー性のある音楽へと変遷を辿ってゆく。
続く「Stranger from Spaceland」を聴いて、フランツ・リストの『Anees de pelerinage: Premiere anee: Suisse‐ 巡礼の年 スイス』に収録されている「Au Lac de Wallenstadt‐ ワレンシュタットの湖で」を思い浮かべたとしても不思議ではない。ただ、デミアン・ドレリの場合は、それを簡素化し、マックス・リヒターの系譜にあるミニマリズム構造に置き換える。ただ、単なる和音構造のミニマリズムで終わらない点にデミアンの音楽の魅力がある。ジャズピアノの即興的な遊びの要素を取り入れ、構成に水のような流れをもたらし、映画音楽のサントラに象徴される視覚性に富む音楽的な効果を促す。途中、やや激したパッセージに向かう瞬間もあるが、クライマックスでは、ジャズの和声法を交え、基本的なカデンツァを用い、落ち着いた終止形を作り上げる。
Demian Dorelli(デミアン・ドレリ)の『Romance of The So Many Dimensions(ロマンス・オブ・ザ・ソーメニー・デメンションズ)』はPonderosa Music Recordingsから本日発売。楽曲のストリーミング/ご視聴、海外のヴァイナル盤の購入はこちらより。
Best Track-「Thoughtland」
ロンドンの押しも押されぬポスト・パンクの重鎮、IDLESは今年初めに5枚目のアルバム「TANGK」をリリースして以来、世界ツアーしたりと、多忙な日々を送っている。今回、バンドはアルバム・カット「POP POP POP」のヴィジュアライザーを公開した。
ジョー・タルボットがヘッドウェアを身につけ、ワイルドな風景を横断する「POP POP POP」のビデオは以下よりチェック。ニューアルバム「TANGK」のレビューはこちらからお読み下さい。
「POP POP POP」
ニューヨークのオルトロックの新星、Been Steller(ビーン・ステラ)は、デビューアルバム『Scream From New York, NY』からニューシングル「Sweet」をリリースした。このシングルは、先行カット「Passing Judgment」と「All in One」に続く。以下よりチェックしてみてください。
Metzは2012年のセルフタイトルで名物的なパンクバンドとしてカナダのシーンに登場した。サブ・ポップの古株といえ、ガレージロック、オルトロック、ポストパンク等をごった煮にしたサウンドで多くのリスナーを魅了してきた。『Up On The Gravity Hill』はデラックスアルバムを発表したからとはいえ、依然としてバンドが創造性を失ったわけではないことを表している。
シューゲイズ風の轟音ギターを絡めたオープニング「No Reservation/ Loves Comes Crashing」を聴けば分かる通り、本作は近未来のテイストを持つオルタナティブロックサウンドが展開される。
ただ、METZのメンバーが新しいカタチの''ポスト・オルト''とも称すべき実験的なサウンドをアルバムで追求していることは注目しておくべきだろう。例えば「Never Still Again」ではギターサウンドの核心にポイントを置き、変則的なチューニングを交えながら、オルタナティヴに新風を吹き込もうと試みる。アルバムのクローズ「Light Your Way Home」ではカナダのミュージックシーンを象徴づけるポストシューゲイズサウンドに挑む。これらはMetzによる、Softcult、Bodywashといったカナダのミュージックシーンの新星に捧げられたさり気ないリスペクトなのかもしれない。
75/100
「No Reservation/ Loves Comes Crashing」
オハイオの伝説的なインディーロックバンド、Guided By Voices(ガイド・バイ・ヴォイセズ)の、特にここ数年の活動については多作という言葉では表現しきれないものがある。バンドは今回、40枚目のアルバムを発表した。意外なことに、2024年にリリースする唯一のアルバムになるという。
GBVの新作アルバム『Strut of Kings』は6月28日にRockathon Records / GBV Inc.からリリースされる。2023年の『Nowhere to Go but Up』、『Welshpool Frillies』、『La La Land』に続く。
「”How Will I Live Without A Body?"は、ローリー・アンダーソンに触発され、彼女の作品のトレーニングを受けたAIと仕事をするチャンスを与えられた。マイバーグが2枚の写真を送ると、アンダーソンのAIが2つの詩を返信してきた。私たちはこれらの詩の断片を『How It Starts』と『Affinity』に使用しました」と彼は説明した。
Cassandra Jenkins(カサンドラ・ジェンキンス)はデッド・オーシャンズと契約を結んだと発表。同時に、7月12日にニューアルバム『My Light, My Destroyer』をリリースすると発表した。
2021年にリリースされた『An Overview on Phenomenal Nature』に続く本作は、リディア・ファインとトニー・ブラッドが監督を務めた新曲「Only One」が収録。以下よりチェックしてほしい。
「この曲は、グラウンドホッグ・デイ効果、何度も何度も同じ状況に置かれて、そのループから抜け出す方法がよくわからないこと。そしてある意味、状況に目を奪われてサイクルを断ち切ろることが出来ないことに関して歌っている」とジェンキンスは声明で語っている。冒頭の "seasick dawn "は、彼女の友人であるクリスティン・アンドレアセンにインスパイアされた曲で、"眠れない夜が続く中、乾いた目で、新しい日を迎えるときの気持ち悪さ"を表現しているという。
前作『An Overview on Phenomenal Nature』の2年間に及ぶツアーを終えたジェンキンスは、すぐさま次作の録音に取り掛かった。