©Jónatan Grétarsson

Dustin O’Halloran(ダスティン・オホロラン)とAdam Wiltzie(アダム・ウィッツィー)によるアンビエント・デュオ、A Winged Victory for the Sullenが、ニューシングル「All Our Friends Our Vampires」を発表しました。以前、Adam Wiltzieは、Christina VanzouとThe Dead Texanというアンビエント・デュオとして活動を行い、Kranky Recordsから作品を発売しています。

 

 "この作品において、私たちの原点であるシンプルさに回帰する渇望を感じました "と、Dustin O’Halloranはプレスリリースで新曲について述べています。

 

「宇宙の無関心の中で無重力に浮かぶ、私たち自身の宇宙の中の極小の性質の音を見つけるため、ピアノとヴィンテージ・シンセの要素の中で書き、それが弦楽四重奏とギターのドローンになり、それらをすべて録音し、音響空間で時間を捕らえようとしたんだ」

 

A Winged Victory for the Sullenの最新スタジオ・アルバム『The Undivided Five』は、Ninja Tuneから2019年にリリース済み。

 

「All Our Friends Our Vampires」

 

MÅNESKIN via Creativeman Official Site

 

イタリアのロックバンド、MÅNESKIN(マネスキン)の2年連続の来日公演が新たに決定しました。バンドは、12月2日、3日に東京、12月7日には神戸で3日間に及ぶ単独公演を行います。

 

昨年、マネスキンはSummer Sonicで来日し、さらに豊洲Pitで単独公演を行った。年末の単独公演の会場等の詳細については後日発表される予定。

 

昨年、MÅNESKINは世界デビューとなるニュー・アルバム『RUSH!』をEpic/Sony Music Entertainmentから発売しています。このアルバムは、ヨーロッパで高いセールスを記録している。本国のイタリア、ベルギー、オーストリア、オランダ、チェコ、ギリシャ、ハンガリー、リトアニア、ポルトガルの各国で最高一位を記録したほか、US Hot Albumチャートでも一位を獲得している。ビルボード・ジャパンのホット・アルバム・チャートでは最高十位を記録している。

 

 

 マネスキン「Rush!WORLD TOUR」

 


 


・12月2日(土)東京
・12月3日(日)東京
・12月7日(木)神戸


※詳細近日発表

 

公演の詳細については以下のクリエイティブマン公式サイトをご確認下さい。

 

詳細:

https://www.creativeman.co.jp/artist/2023/12maneskin/

 


Yves Tumorは、3月17日(金)のリリースに先立ち、ニューアルバムの最後のプレビューを提供しました。「Parody」は、先行シングル「God Is a Circle」、「Echolalia」、「Heaven Surrounds Us Like a Hood」に続くものです。以下、チェックしてみてください。


『Praise a Lord Who Chews but Which Does Not Consume (Or Simply, Hot Between Worlds) 』は、Tumorの2020年のLP Heaven to a Tortured Mindに続く作品である。


今週末、3月19日(日)FCバルセロナは本拠地カンプノウでレアル・マドリードとクラシコを迎えます。


エル・クラシコの試合に先立ち、スポティファイと提携するFCバルセロナは、ロザリアと2022年の「MOTOMAMI」のリリース1周年を記念する新ユニフォームの販売、及びアプリ内でのバーチャル体験のキャンペーンを開始。ロザリアは2022年にSpotifyで世界で最多のストリーミング回数を記録したスペイン人アーティストでもあります。


また、Spotifyでは「My Top 5」と呼ばれるインタラクティブな体験ができる。また、FCバルセロナの試合では、MOTOMAMIのロゴを前面に配した新しい特製ユニフォームを着用します。3月25日(土)に行われる女子エル・クラシコでは、FCバルセロナ・フェメニもこのシャツを着用する予定です。



ロザリア×FCバルセロナ×スポティファイのユニフォームは、一般のファンにも販売されます。背中に「Rosalía 1」の文字が入った通常のユニフォームは1,899枚用意され、両チームのFCバルセロナ選手のサインが入った、暗闇で光るMOTOMAMIロゴの超限定ジャージも販売予定。こちらは男性11枚、女性11枚の限定品となっています。FCバルセロナの公式ショップはこちら


22~23シーズンのラ・リーガは現在25節を終えて、バルセロナが首位、レアル・マドリードが2位。バルセロナは前節で苦戦を強いられたものの、堅固な守備でアトレティック・クルブの攻撃陣をシャットアウトし、1-0で勝利を飾った。一方のマドリードはエスパニョール相手に3-1と快勝しています。


FC Barceronaの公式のコラボレーション・キャンペーン動画は以下よりご覧下さい。



 


西アフリカの砂漠地帯のトゥアレグ族のロックバンド、Tinariwen(ティナリウェン)は、5月19日にWedgeからニューアルバム『Amatssou』をリリースする予定です。このトゥアレグ族からは最近、Mdou Moctorがマタドールから作品を発売しています。西アフリカでは以前からモバイル・アプリで、音楽の流通が盛んに。今では、最新のデバイスが普及し、より活発な音楽シーンが形成されつつあるようです。


『Amastssou』(Tamashek(タマシェク語という西アフリカの砂漠地帯で使用される固有の言語)で「恐怖を越えて」の意)はトゥアレグ集団の9枚目のスタジオアルバム。この作品は、アルジェリア南部の砂漠にあるオアシス、Djanetの仮設スタジオテント内でレコーディングされました。


アルバムからのファーストシングル「Tenere Den」は、マリのケル・アダグ地方でのトゥアレグ革命をテーマにしています。この曲でバンドは西アフリカの伝統音楽と瞑想的なロックミュージックを劇的に融合させています。アレクシス・ジャメが監督したビデオは以下からご覧下さい。


ティナリウェンは当初、米国のロックミュージシャン、ジャック・ホワイトのプライベート・スタジオで、プロデューサーのダニエル・ラノワ(ブライアン・イーノ、U2、ボブ・ディラン)、ウェス・コーベットやファッツ・カプリンといった地元のカントリー・ミュージシャンと共にナッシュビルで録音する予定でした。しかし、パンデミックのため、この計画が立ち消えとなり、最終的にアルバムはアルジェリア、LA、ナッシュビル、パリの各地からリモートで制作されました。

 

 「Tenere Den」



Tinariwen  『Amatssou』


 

Label: Wedge

Release Date: 2023年5月19日

 

Tracklist:
 
1. Kek Algham
2. Tenere Den
3. Arajghiyine
4. Imzad (Interlude)
5. Tidjit
6. Jayche Atarak
7. Imidiwan Mahitinam
8. Ezlan
9. Anemouhagh
10. Iket Adjen
11. Nak Idnizdjam
12. Tinde (Outro)

 


2023年度のマンチェスター国際フェスティバル(Manchester International Festivalのプログラムの詳細が発表されました。このフェスティバルは2年に一度開催されるのが通例となっています。

 

今年の6月下旬から7月中旬にかけて開かれるこのフェスティバルでは、坂本龍一による複合現実(バーチャルリアリティ)コンサート『KAGAMI』、Janelle Monáeの3日間のレジデンス、John Grantの新しいショーの初演、Angélique Kidjo、Alison Goldfrapp、Sanam Marviのパフォーマンス、Richard Hawley及びバンドによるPatsy Cline Tributeなど盛りだくさんの内容が予定されています。

 

ファクトリーインターナショナルとマンチェスター・インターナショナル・フェスティバルのアーティスティックディレクター兼チーフエグゼクティブ、ジョン・マクグラスは次のように述べています。


「過激で議題を設定するものから純粋な祝祭まで、MIF23のプログラムは非常に幅広い芸術形態とスタイルを網羅しています。新たに発見された川のほとりの儀式から、日本有数の作曲家(坂本龍一)の複合現実、街中の作品探しからアメリカ音楽界の最も活気あるスーパースターのレジデンスに至るまで。アーティストが互いに、そして一般の人々とアイデアを共有する真の創造性のるつぼであるこのフェスティバルは、再び現代の温度を測り、未来への可能性を想像することでしょう」


「MIFは、グレーター・マンチェスターの空間や場所に根ざしたフェスティバルです。草間彌生氏の素晴らしいインフレータブル・スカルプチャーを中心とした展示と同時に、フェスティバルは街中にその範囲を広げ、思いがけない場所を探して作品を展示し、地元のアーティストや住民と協力してパフォーマンスや参加を行います。MIF23は、この街とその文化的提供の真の祭典となるはずです」

 

 

©Referece Studios


Lana Del Rey(ラナ・デル・レイ)は、3/31に発売予定のアルバム「Did You Know That There's a Tunnel Under Ocean Blvd」のオープニング曲「The Grant」を公開しました。


この曲は、Del Reyの本当の家族名をタイトルにしており、Melodye Perry、Pattie Howard、Shikena Jonesがバックボーカルを務めています。この曲の試聴は以下からどうぞ。


ラナ・デル・レイのニューアルバムは、2021年10月の『ブルー・バニスターズ』に続く作品となり、3月24日に到着する。これまでにシェアされたシングル「Did You Know That There's a Tunnel Under Ocean Blvd」と「A&W」が収録されています。


ラナ・デル・レイの新作アルバムの発売日は3/24となります。最初のリリース情報では発売日を10日としていましたが誤りでした。海外盤は24日に、国内盤は翌週の31日に発売されます。訂正とお詫び申し上げます。


「The Grant」

©Tim Saccenti


メタリカが自分たちのレコードプレス工場を購入したとBillboardが報じている。ヘヴィ・メタル・レジェンドは2022年に90万枚以上のレコードをプレスしたが、高まる需要に対応するため、カタログの印刷を維持し、より包括的なボックスセット素材もプレスできるようにするという目的で、バージニア州アレクサンドリアのFurnace Record Pressingの株式の過半数を取得したことを発表しました。これは実質的な買収となる。

 

Furnace Record Pressingはバージニア州アレクサンドリアに拠点を置き、70,000平方フィートという米国でも最大級の規模を擁するプレス工場である。今回の買収は、メタリカとそのレーベルであるBlackened Recordingsの需要に応えるだけでなく、他のアーティストやレーベルにも引き続きサービスを提供するために行われた。

 

 

 Furnace Record Pressing/Logo

 

 メタリカはすでに10年以上にわたってFurnace社でバンドのアルバムをプレスして来た経緯がある。

 

メタリカのドラマーで共同設立者のLars Ulrich(ラーズ・ウルリッヒ)は、次のように述べています。「Furnace、特に、Eric、Ali、Markとのパートナーシップを次のレベルに引き上げることができ、この上ない僥倖です。彼らのインディーズ精神、技術に対する情熱...、文化的に我々は同じ魂を持つ者同士なんだ」


共同設立者であるJames Hetfield(ジェイムス・ヘットフィールド)は、「Furnace社はMetallicaにとって、そして、さらに重要なことに、我々のファンにとっても素晴らしい存在であると考えています。メタリカとFurnaceの関係が深まることによって、あらゆるレコードのファン、特に我々の五番目のメンバーが、今後も高品質のレコードを入手できるようになるはずです」


Furnace Record pressingの創設者であるEric Astor(エリック・アスター)は、声明で次のように述べています。「Furnaceを今日のような献身的で経験豊かな専門家集団に作り上げることは、大きな努力であったが、非常に喜ばしいことである。私たちの長期的な未来が保証され、同時に成長の機会をよりよく活用できることは、Furnaceのスタッフ全員にとって本当にエキサイティングなことなんだ」と述べています。


FurnaceのCOOであるAli Miller(アリ・ミラー)は、「私たちはMetallicaという理想的なパートナーに出会いました。彼らは、私たちが顧客第一主義を貫くことを望んでいます。そのために、私たちは今後、各顧客にさらに大きな容量とサービスを提供することを楽しみにしています」


メタリカは、レコードでのリリースで最も売れているアーティストである。1986年の『マスター・オブ・パペッツ』の91,000枚を含む、387,000枚のアルバムを2022年に販売している。さらに1991年の『ブラックアルバム』や1984年の『ライド・ザ・ライトニング』もトップセールスを記録している。

 


イギリスのサイケデリック・ポップ4人組、Templesは、Sean Ono Lennon(ショーン・レノン)がプロデュースしたニューアルバム『Exotico』を4月14日にATOからリリースする。バンドは最新シングル「Afterlife」を、ビーチで撮影したミュージックビデオで公開しました。以下よりご視聴ください。


「Templesのベーシスト、Thomas Walmsleyはプレスリリースで「トラックリストを作成する際に、ジェット機や宇宙船が島に到着し、この想像上の場所を横断するような旅をイメージしていた。レコードの後半になると、私たちは黄昏に移る。”Afterlife”は間違いなく夜の曲の1つです」


「"Afterlife”は、遠距離恋愛や、愛と孤独がしばしば隣り合わせになることを反映しています」と、リードシンガー/ギタリスト、ジェームス・バグショーは付け加えた。「孤独を感じるかもしれないが、決して一人ではないのだ。遠くにある光を見ることで、また会えるという希望が持てるようになる」

 

Templesはこれ以前に、ショーン・レノンが所有するスタジオで録音された「Cicada」、アルバムの発表に合わせて「Gamma Ray」を公開している。

 

「Afterlife」

 


ニューオーリンズのカントリーシンガー、Esther Rose(エスター・ローズ)は、4月21日にNew West Recordsからリリースされるアルバム『Safe to Run』のタイトル曲を公開しました。Hurray for the Riff RaffのAlynda Segarraとのデュエットで、この曲はアルバムのリードシングル「Chet Baker」に続く。


2021年の『How Many Times』の次作『Safe to Run』は、ロス・ファーベがプロデュースした。

 

「ソニック的に、ロスと私はこの曲にあらゆるアイデアを投げかけ、まるでこのメガパワーのある容器のようにすべてを吸収した」と、ローズは声明で「Safe to Run」について述べている。

 

「私たちはアウトロにたくさんのレイヤーを作り上げました。ロスがメロトロンで奏でるカウンターメロディと、彼が『天使たち』と呼ぶ高音1音のシンセドローンが大好きです。ベイエリアのデスメタルバンドCormorantのNick Cohonは、上昇するギターのアウトロをアレンジして破滅をもたらしました。アリンダ・セガラとのコラボレーションはとても有意義で、曲が飛び始めるのを聞くことができた。アリンダの声は、この巧みに調整された筋肉のようなもので、彼らが歌うと、すべてを感じることができます」


「Safe to Run」

 Hanakiv 『Goodbyes』


 


Label: Gondwana Records

Release Date: 2022年3月10日



Review


エストニア出身、現在、ロンドンを拠点に活動するピアニスト/作編曲家、ハナキフの鮮烈なデビューアルバム。マンチェスターの本拠を置くGondwana Recordsは、同国のErased Tapesとならんで注目しておきたレーベルです。最近では、Olafur Arnolds、Hania Raniらの作品をリリースし、ヨーロッパのポスト・クラシカル/モダンクラシカルシーンにスポットライトを当てています。

 

ハナキフの記念すべきデビューアルバム『Goodbyes』は一見すると、ポスト・クラシカルを基調においた作風という点では、現代の著名なアーティストとそれほど大きな差異はないように思えます。多くのリスナーは、このアルバムの音楽を聴くと、アイスランドのオーラヴル・アーノルズ、ポーランドのハニア・ラニ、もしくは米国のキース・ケニフを始めとする音楽を思いかべるかもしれません。しかし、現在、停滞しがちな印象も見受けられるこの音楽シーンの中に、ハニキフは明らかに鮮烈な息吹をもたらそうとしているのです。

 

ハナキフの音楽は、アイスランドのヨハン・ヨハンソンのように映画音楽のサウンドトラックのような趣を持つ。ピアノのシンプルな演奏を中心に、クラシック、ニュージャズ、エレクトロニカ、これらの多様な音楽がその周囲を衛星のように取り巻き、常に音楽の主要な印象を曲ごとに変えつつ、非常に奥深い音楽の世界を緻密な構成力によって組み上げていきます。特筆すべきは、深いオーケストレーションの知識に裏打ちされた弦楽器のパッセージの重厚な連なりは、微細なトレモロやレガートの強弱のアクセントの変容によって強くなったり、弱められたりする。これらがこのアルバムを単なるポストクラシカルというジャンルにとどめておかない理由でもある。

 

アーティストはそもそも、エストニアが生んだ史上最高の作曲家、アルヴォ・ペルト、他にもジョン・ケージのプリペイドピアノ、ビョークのアートポップ、エイフェックス・ツインの実験的なエレクトロニック、他にもカナダのティム・ヘッカーのノイズ・アンビエント等、かなり多くの音楽を聴き込んでいる。それらの音楽への深い理解、そして卓越した作曲/編曲の技術がこのデビュー作ではいかんなく発揮されている。このアルバムには、現代音楽、ニュージャズ、エレクトロニカ、アンビエントと一概にこのジャンルと決めつけがたいクロスオーバー性が内包されているのです。

 

オープニング「Godbyes」において、ハナキフはみずからの音楽がどのようなものであるのかを理想的な形で提示している。ミニマルなピアノを根底におき、ポリリズムを用いながら、リズムを複雑化させ、リズムの概念を徐々に希薄化させていく。最初のモチーフを受けて、ハナキフは見事なバリエーションを用いている。最初のプリペイドピアノのフレーズをとっかかりにして、エレクトロのリズムを用い、協和音と不協和音をダイナミックに織り交ぜながら、曲のクライマックスにかけて最初のイメージとはかけ離れた異質な展開へと導く。モダンクラシカルとニュージャズを融合させた特異な音楽性を最初の楽曲で生み出している。曲のクライマックスではピアノの不協和音のフレーズが最初のイメージとはまったく別のものであることに気がつく。

 

続く二曲目の「Mediation Ⅲ」は、ジョン・ケージのプリペイド・ピアノの技法を用いている。ポピュラーな例では、エイフェックス・ツイン(リチャード・D・ジェイムス)の実験的なピアノ曲を思い浮かべる場合もあるでしょう。そもそもプリペイド・ピアノというのは、ピアノの弦に、例えば、ゴム等を挟むことで実際の音響性を変化させるわけなんですが、演奏家の活用法としては、必ずしもすべての音階に適用されるわけでありません。その特性を上手く利用しつつ、ハナキフは高音部の部分だけトーンを変化させ、リズムの部分はそのままにしておいて、アンビバレンスな音楽として組み上げています。特に、ケージはピアノという楽器を別の楽器のように見立てたかったわけで、その点をハニキフは認識しており、高音部をあえて強く弾くことで、別の楽器のように見立てようとしているのです。その試みは成功し、伴奏に合わせて紡がれる高音部は、曲の途中でエレクトロニカのサウンド処理により、ガラスのぶつかるような音や、琴のような音というように絶えず変化をし、イントロとは異なる印象のある曲として導かれていくのです。

 

3曲目の「And It Felt So Nice」は芳醇なホーンの音色を生かした一曲です。前の2曲と同様、ピアノを基調にしたトラックであり、ECMのニュージャズのような趣を持った面白い楽曲です。ピアノの演奏はポスト・クラシカルに属するものの、複雑なディレイ処理を管楽器に加えることでサイケデリックな響きをもたらしている。ピアノの叙情的な伴奏やアレンジをもとに、John Husselのような前衛的な管楽器のアプローチを踏襲しています。ここでも前曲と同じように、電子音楽で頻繁に用いられるエフェクトを活用しながら管楽器の未知の可能性を探求している。


4曲目の「Lies」では、二曲目と同じプリペイドピアノ技法に舞い戻る。一見して同じような曲のようにも思えますが、エストニアのアルヴォ・ペルトの名曲「Alina」のように、低音部の音響を駆使することにより、ピアノそのものでオーケストラレーションのような大掛かりな音楽へと導いていきます。前曲とミニマリズムという点では同様ですが、印象派の音楽として全曲とは異なる趣を楽しめるはずです。特に、ミニマルの次のポストミニマルとも称すべき技法が取り入れられている。ここで、ハナキフはプリペイドピアノの短いフレーズをより細分化することによって、アコースティックの楽器を通じてエレクトロニカの音楽へと接近しているわけです。

 

5曲目の「No Words Left」は、Alabaster De Plumeをゲストに迎えて制作されたミニマルミュージックとニュージャズの要素を絡ませた面白い楽曲です。ハナキフはジャズとクラシックの間で揺らめきつつ抽象的な構成を組み上げている。特に、「Goodbyes」と同様、モチーフのバリエーションの卓越性がきらりと光る一曲であり、時にその中に予期できないような不協和音を織り交ぜることにより、奇妙な音階を構成していきます。 時には、ホーンの演奏を休符のように取り入れて変化をつけ、そのフレーズを起点に曲の構成と拍子を変容させ、映像技術のように、印象の異なるフレーズを組み上げています。これが、比較的、ミニマル・ミュージックの要素が強い音楽ではありながら、常に聞き手の興味を損なわない理由でもあるのです。

 

6曲目の「Mediation Ⅱ」はおそらく二曲目と変奏曲のような関係に当たるものであると思いますが、ダイナミックなリズムを取り入れることにより、二曲目とはまったくその印象を変え、 作曲家/編曲家としての変奏力の卓越性を示している。時には、弦楽器のピチカートらしきフレーズを織り交ぜ、シンコペーションを駆使しながら、本来は強拍でない拍を強調している。そこにプリペイドピアノの低音を意図せぬ形で導入し、聞き手に意外な印象を与える。ある意味、バッハの鏡式対位法のように、図形的な作曲技法が取り入れられ、カンディンスキーの絵画のようにスタイリッシュでありながら、数学的な興味を駆り立てるようなトラックに昇華されている。

 

7曲目の「Home Ⅱ」は、このデビュー・アルバムでは最も映画のサウンドトラックのような雰囲気のある一曲で、アイスランドのヨハン・ヨハンソンやポーランドのハニア・ラニの音楽性に近いものを多くの聞き手は発見することでしょう。ピアノの演奏はすごくシンプルで簡潔なんですが、対比となるオーケストラレーションが叙情性を前面に押し出している。特に弦楽器の微細なパッセージの変化がまるでピアノ演奏と呼応するかのように変化する様子に注目です。

 

8曲目の「Home I」は、ポスト・クラシカルの曲としては王道にあるような一曲。日本の小瀬村晶の曲を彷彿とさせる。繊細でありながらダイナミックス性を失わず、ハナキフはこの曲をさらりと弾いていますが、その中にも他の曲にはないちょっとした遊び心が実際の鍵盤のタッチから感じ取ることが出来ます。フランスの近代の印象派の作曲家の作風に属するような曲ですが、それはやはり、近年のポスト・クラシカル派の楽曲のようにポピュラー・ミュージックのような形式として落とし込まれている。演奏の途中からハナキフはかなり乗ってきて、演奏そのものに迫力が増していく。特に、終盤にかけては演奏時における熱狂性すら感じ取ることが出来るでしょう。

 

近年、 ポストクラシカルシーンは似通ったものばかりで、少し停滞しているような印象を覚えていましたが、先日のポーランドのハニア・ラニとエストニアのハナキフを聴くかぎりでは、どうやら見当違いだったようです。特に、ハナキフはこのシーンの中に、ニュージャズと現代音楽という要素を取り入れることで、このデビュー作において前衛的な作風を確立している。MVを見ると、前衛的なバレエ音楽として制作されたデビューアルバムという印象もある。

 

エストニア出身のハナキフは、作曲家/編曲家として卓越した才覚を持ち合わせています。今後、映画のスコアの仕事も増えるかもしれません。活躍を楽しみにしたいアーティストです。

 

 

90/100

 


 

 

東京のオルタナティヴ・ロックバンド、mitsumeがホワイトデーに合わせてサプライズシングル「チョコレート」を発表した。このニューシングルはミツメにとって2023年の最初のシングルとなる。また本作はバレンタインデーに24時間限定のリリックビデオが公開され、話題を呼んでいた。

 

少し前に、ミツメのメンバーは、ファンクを聴き込んだり、改めて作曲を勉強しなおしたという話ですが、このエピソードを強く印象づける一曲。もちろん、ミツメらしい切なくも甘みを感じさせるメロディも聴き逃がせないナンバーとなっています。カバー・アートワークは、写真家のトヤマタロウ氏が手がけている。昨年リリースのシングル「メビウス」とも関係性があるという。 

 

 

 


mitsume  「チョコレート」 New Single 

 

 

 Label: mitsume

 Release Date: 2023/3/14


楽曲のご視聴/ストリーミング:


https://ssm.lnk.to/Chocolate 

 



Art School Girlfriend(ポリー・マッキー)は、2ndアルバム『Soft Landing』を発表しました。8月4日にFiction Recordsからリリースされるこの新作アルバムには、以前シェアされたトラック「A Place to Lie」と、ニューシングル「Close to the Clouds」が収録される予定です。


「"Close To The Clouds”は、自分の20代をある種の切ない後知恵で振り返るという内容だ。10代から20代前半にかけて聴きまくった音楽のエネルギーを体現したかった」とマッキーは声明で説明している。「満足感を得るための曲がりくねった道を振り返り、それを見つける方法をやっと見つけたという内容」「"ソフトランディング "というアルバムタイトルは、この歌詞から取られ、このトラックは、内省、喜び、青春という、このアルバムのテーマの多くを表しています」


『Soft Landing』は、ポリー・マッキーの2021年のデビュー作『Is It Light Where You Are』に続く作品となります。「それが世に出るまでに、私はそれに無縁だと感じていたんです」と彼女は述べている。「でも、この新譜こそ、私の真のデビュー作のように感じています」

 

「Close to the Clouds」

 

Art School Girlfriend 『Soft Landin』


Label: Fiction Records
 
Release Date: 2023年8月4日



Tracklist:

1. A Place To Lie
2. Close To The Clouds
3. Real Life
4. Waves
5. Blue Sky feat. Tony Njoku
6. The Weeks
7. Laugh My Head Off
8. Out There
9. Heaven Hanging Low
10. How Do You Do It
11. Too Bright


 

©Juan Ortiz Arenas


ルーバン・ニールソンを中心とするポートランドのサイケロックバンド、Unknown Mortal Orchestraは、今週金曜日に発売予定のアルバム「V」の最終プレビュー「Meshuggah」をリリースしました。Vira Lataが監督したビデオを公開した「Layla」「Nadja」に続き、以下よりお聴きください。


アンノウン・モータル・オーケストラの新作アルバム『V』は3月17日にJagjaguwarからリリースされる予定です。

 

Rihanna(リアーナ)は第95回アカデミー賞のステージで、ディズニーが配給する映画『ブラックパンサー』に提供した「Lift Me Up」を披露しました。ライブパフォーマンスの様子は以下よりご覧ください。この他にも、アカデミー賞ではレディー・ガガ、デイヴィット・バーンらがパフォーマンスを行っている。


「Lift Me Up」はオリジナル楽曲賞にノミネートされましたが、結局RRRの「Naatu Naatu」に敗れました。レディー・ガガの「Hold My Hand」(『トップガン:マーベリック』)、Son Lux、Mitski、David Byrneの「This Is a Life」(『Everything Everywhere All at Once』)、Rahul Sipligunj, Kaala Bhairava, M.M. Keeravaniの「Naatu Naatu」(RRR)、ソフィア・カーソンの「Applause」(Tell It Like a Woman)も同部門にノミネートされていました。


リアーナは先月、スーパーボウルのハーフタイムショーで5年ぶりにライブステージに返り咲いている。

 

 


JPEFGAMIAとDanny Brownは、長らく待ち望んでいたコラボレーションLP『Scaring the Hoes』を発表した。このアルバムの発売日は3月24日。JPEGMAFIAがプロデュースしたリード・シングル「Lean Beef Patty」で、このアルバムのプレビューを発表しました。以下、チェックしてみてください。


JPEGMAFIAは、2021年に最新のソロ作品『LP!』をリリースしています。Danny Brownの最新アルバム『uknowhatimsayin¿』は、2019年に発売されました。