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Sleaford Mods(アンドリュー・ファーンとジェイソン・ウィリアムソン)がリリースするEP『More UK Grim』は、今年初めにリリースされ高い評価を得たアルバム『UK GRIM』と同時にレコーディングされた。EPは Rough  Tradeから10月20日に発売される。


リード・シングルの『Big Pharma』は、"truuther"(真実主義者)のワームホールに疑いの眼差しを投げかけながら、最近のアルバムと同じように "take no prisoners"(囚われの身とならない)という叙情的なアプローチをとっている。


『More UK GRIM EP』の基調をなすこの曲には、ショーン・シアーズ監督による鋭い風刺の効いたアニメーション・ビデオが付属している。彼は、入念に研究された医学的治療法よりも尿を飲むことを尊ぶ健康療法の「哲学」の結果を検証するため、独特の様式化された2Dビジョンを適用した。


「"ビッグ・ファーマ "は、コビッドが再び動き出した2022年秋の序章で書かれた。この作品には通常のスリーフォード・モッズの不条理主義がたくさん盛り込まれているが、非常に疑わしい人々が全面的に押し出している情報の中に真実を見出そうとする現在進行形の魅力にも注目している」とジェイソン・ウィリアムソンは説明する。


「''ビッグ・ファーマ "という言葉は、その本来の位置から根こそぎ取り払われた。それは本来、製薬業界が大量に生命を台無しにするような製品をどんどん生産していくことに対して、正しく批判を投げかけるものだった。その代わりに今、『ビッグ・ファーマ』は、自分たちの主張の財政的な狙いを、ある種の批判的思考的な大げさな正当性で覆い隠そうとする右翼団体や業界団体によって使われる言葉として、より親しまれている。でも、それは間違っている。それは、絶望、広範な恐怖、そして、私たち大衆が背負わされている限られた批判的認識と結びついた、何世代にもわたる自由放任の誤った情報を糧としているのだ」


ウィリアムソンは、Sleaford Modsの曲は、「この用語をある種の顔のない政治的/産業的複合体の一部として売り込んでいる人々を弁解するものではなく、投稿する前に本当に自分の脳を働かせるべきキーボード戦士たちを揶揄するものでもある」と付け加えている。


「個人的な責任もたくさん問われなければならない。最近、"ビッグ・ファーマ "が反トランス運動に採用された。しかし最新のスマートフォンの次のバージョンと同じで、機能はほとんど同じなんだ」


「Big Farma」



 Sleaford Mods 『More UK Grim』EP



Tracklist:


Under The Rules

Old Nottz

Big Pharma

PO Crazeh

My 18hr Girdle

Old Nottz (Alt mix)

 


ノースカロライナのポストパンクバンド、Truth Club(トゥルース・クラブ)がニューシングル「Uh Oh」を発表した。この曲は、2ndアルバム『Running From the Chase』からの3曲目。この曲は、インディゴ・デ・ソーザ(Indigo De Souza)がゲスト・ヴォーカルを務めた前作「Blue Eternal」と「Exit Cycle」に続く作品である。この曲のリリック・ビデオは以下よりご視聴ください。


『Running From the Chase』は10月6日にDouble Double Whammyよりリリースされる。



 Deeper  『Careful!』

 

 

Label: Sub Pop 

Release :2023/9/12

 


Review



「立ち止まっていては、Deeperにはなることができないと思った」シカゴの四人組、Deeperのニック・ゴールは述べた。「この曲を聴いているとき、気持ちいいだろうか? この曲を聴いているとき、体はそれに合わせて動きたくなるだろうか?」これは、Deeper(ニック・ゴール、シラーズ・バッティ、ドリュー・マクブライド、ケヴィン・フェアバーン)が、『Careful!』の制作に取り組んでいる際に、彼らが自問したことだったという。「面白い曲にしたかったんだけど、2歳の子供が聴いてもいいような曲にしたかった。基本的にはポップ・ミュージックなんだ」


2020年3月、『Auto-Pain』をリリースして以降、Deeperは、1年半近く新作をライブで演奏することができなかったという。「自分の音楽が、他の人々にとって何を意味するのかを数値化するためにSpotifyの数字のみに頼る、という真空状態の中で生きるのはかなり大変だった」とマクブライドは言う。「しかし、自然は真空を嫌うものであり、バンドは空っぽの時間だけに止まらず、自分たちのアイデンティティとは一体何なのか? という突然空虚になった考えを埋めるべく急いだ。自分たちだけ孤立して、"Deeperって何?"って感じだった」とバッティ。さらに、「バンドとしてひとつのジャンルに留まりたくないといつも話していた」とゴールは言った。

 

Deeperの音楽は、2020年以降イギリスで活発な動きをみせるポストパンク・リバイバルに属している。Thit Heat、DEVO,Talking Heads,北米のプロトパンクを形成したTelevisionの『Marquee Moon』に近い感覚の音楽性を擁している。また、彼等のサウンドは現行のイギリスのポスト・パンク勢にも近いひねりが効いていることも特筆すべきだろう。Squid、Foals、Sport Team,KEGをはじめとするニューウェイブ・リバイバルに近い雰囲気を持っている。これらのサウンドは、そしてロンドンを中心とするポストパンクバンド勢のように、ダンサンブルな要素を絡めたインディーロックサウンドとして昇華される。バンドらしいパンチの効いたサウンドを「Build A Bridge」、「Glare」、先行シングルとして公開された「Sub」に見出すことが出来る。

 

さらに、他にも、Deeperは、このアルバムを介して、実験的な要素にも取り組んでいることに着目したい。「Heat Lumb」は、NEU!のサウンドに近いアヴァン性をジャーマン・テクノと結びつけ、Pussy Galoreのようなジャンク・ロックを掛け合わせ、アヴァンギャルドな要素をもたらしている。「Pilen 4th」では、モジュラー・シンセを駆使し、アンビエント風のトラックに挑戦している。さらに「Devi-loc」では、ニューヨークのアラン・ヴェガ擁するSuicideのシンセ・ロックのアヴァン性を復刻しようと試みる。そういった実験的な収録曲の合間を突くようにして、「Fame」のニューウェイブ風のユニークさや、「Everynight」でのTelevisionのようなプロト・パンクの要素が混在し、プロトともポストとも付かない個性味溢れるサウンドが確立された。


全般的に見るかぎり、ニュー・ウェイブとプロト・パンクの中間にある作風で、イギリスの現行のポストパンク・バンドに慣れ親しんでいるリスナーにとっては新奇性を感じさせないかもしれない。他方、Deeperは、「Airplane Air」、「Pressure」といったトラックで外向きのベクトルを持つパンク性と合わせて、独特な内省的な脆弱性(繊細性)をサウンドに生じさせている。言い換えれば、ギターのアルペジオやボーカルに、メロディアスな要素が掛け合わさることで生じる突然変異的なエモーション。それらの内省的なサウンドは、アルバムを取り巻く外的なエナジーを擁するポスト・パンクサウンドの渦中にあって、鮮やかなコントラストを形成している。

 

こういった長所もあることを認めた上で、本作の1番の難点を挙げるとすれば、前作のアルバム『Auto-Pain』では良かった面が薄れてしまい、クールな雰囲気が曇りがちになっていることかもしれない。


「Airplane Air」では、Deeperの本来の魅力とバンドが何を示そうとしているのか伝わってくる。ただ、他の部分では、イギリスのポストパンク・バンドのようなユニークさ、表面的なサウンドに見えづらい形で潜んでいる強い芯のような核、それからライブ・セッションで偶発的に生じる緊張感や精彩味を示すには至らなかった。セッションにおいてバチバチと互いに火花をちらすような独特な緊迫感、それは例えば、Squidの最新作『O Monolith』の「Swing」で捉えやすい形で示されている。しかし、この欠乏感は、Deeperが実際のライブで新しい曲の感触を確かめられなかったところに原因があり、彼らにとって不運だったと思う。この点は、ライブを重ねるにつれて解消されるはず。今後、よりアグレッシヴな音楽が生み出されることを期待したい。

 


68/100



 Be Your Own Pet  『MOMMY』

 

Label: Third Man

Release: 2023/8/25


Review

 

 

少なくとも、Be Your Own Petのような音楽はイギリスのポスト・パンクシーンに同系統のバンドを見出せる。一例ではブライトンのYONAKAが挙げられる。パンキッシュな音楽性、ライオット・ガールに近い苛烈な女性ボーカル、カートゥーン・パンクのようなシニカルさである。


バンドの音楽性は、ホワイト・ストライプスのガレージ・ロック性に加え、旧来のUKのポスト・パンクのオリジナル世代の音楽性が加味され、大規模のアリーナでのシンガロングを意識したアンセミックな展開を擁する。ただ、このバンドの一番の持ち味は、アメコミからそのまま飛び出てきたようなシュールさ、シニカルさ、そしてヒーローもののパロディーにも似た面白み、諧謔味に求められるのではないか。それら、この四人組にしか持ち得ないユニークさが混在し、BYOPの音楽性やバンド・サウンドを構成している。世界に2つと存在しない独自の世界観、ライオット・ガールのニューウェイブの旋風を彼らは今作を通じて巻き起こそうとしている。

 

少なくとも、シニカルなジョークを交え、斜に構えたようなスタンスで臨む彼らではあるが、ここで指摘しておきたいのは、その音楽性には他のどのバンドよりも真摯なものが込められているということ。#1「Worship The Whip」 は、パンチ力抜群のナンバーで、身構えようとするリスナーに、どでかい衝撃を与える。ガレージ・ロックのシンプルな魅力を織り交ぜて、それらをニューウェイブふうにアレンジしたコンパクトなサウンド。彼らの挨拶代わりのジャブだ。

 

#2「Goodtime」では、ニューウェイブとガレージ・パンクを織り交ぜた痛快なパンクサウンドが展開される。 基本的に、ジェミナ・パールのボーカルは音程を変えずに歌うという点では、スージー・スーの系譜にある。また、その声質には、突き抜けるような爽快感があり、そのボーカルを、ジョナス・スタインのプロト・パンクに触発されたシンプルなギター・リフが強化する。またジェミナ・パールのボーカルには、ロサンゼルスのXのようなファジーさもあり、また、X Ray Specsの『Adolescents』の時代のスチーム・パンクに対する親和性もある。一本調子で突き通して行くようなパンク・サウンドは、岩をも突き通すような強さがあるが、ただ、曲の中で、それらのシンプルなロックサウンドに、パールのスポークンワードの遊びの部分や、変拍子的な展開性を交えたシンガロングを誘うフレーズが加わることによって、絶妙なバリエーションがもたらされている。ガレージ・ロックファンはもとより、年季の入ったニューウェイブ・ファンをも唸らさせるような玄人好みのパンクサウンドが作り出されている。

 

#3「Erotomania」は、ギターリフの巧みさが光る。ボーカルの変則的な入り方に着目すべき点があるが、その後に展開されるジョナス・スタインの弾くリフは、最初期のAC/DCのアンガス・ヤング、UFOのギタリスト、マイケル・シェンカーにも比する渋みとフックが込められている。支柱となる中心のグルーヴを取り巻くように、周囲のパートを巻き込みながら突き進むギターラインの力強さには、ある種の頼もしさすら感じうることができる。ギターリフを全面に押し出したアクの効いたサウンドは、ボーカルのファジーな魔力によって、強烈なエナジーを帯びて来る。その後、バンドサウンドとして、ダンサンブルな要素を織り交ぜ、他では得がたい個性味溢れるサウンドが確立されている。狂気的なエフェクトを込めたギター・ソロに続き、曲の終盤では、ロックというよりも、ロックンロールに近いアグレッシヴなビートへと変化する。


Sonic Youthのフル・アルバムと同名である#4「Bad Moon Rising」は、曲調については似通った部分はほとんどない。しかし、一方、この曲は、キム・ゴードンが打ち立てた「ライオット・ガール」という概念に対する、バンドからのこの上ない賛美や称賛であるとも解釈できる。この曲の前向きで、飛び跳ねるようなエネルギッシュなパンク・サウンドは、サビで最高潮に達し、ほとんど及びもつかない激烈なエナジーを発生させる。特に、シアトル・サウンドの象徴的な存在、Mudhoney、TADを下地に置いた激烈なファズ・サウンドは必聴に値する。表向きには、マンチェスターのPale Waveに近いキャッチーなポスト・パンク、もしくは、最初期のセルフタイトル時代のYeah Yeah Yeah'sに近いプリミティブなガレージ・パンクとして気軽に楽しむことができる。そして、ポップネスを強く意識したボーカル、それと対比的なガレージを意識したファズのギター・サウンドの対象性に、アメリカのバンドとしての威信が込められている。

 

バンドはナッシュビルを拠点としているが、#5「Never Again」は、Adolescents、X、Germsといった西海岸のオリジナル世代のパンクを彷彿とさせる。ロックンロールを下地に置いたパンクサウンドは、またこのバンドの特徴であるひねりのある展開や、ガレージ・ロックと結びついて痛快なサウンドとして昇華されている。時にボーカルの中に見られるメロディック・パンクの要素はそれらのガレージ・パンクのエナジーに若干の変化と奥行きを与えている。

 

#6「Pleasure Seeker」では、尖った鋭利なファズ・ギターが再び炸裂する。イントロではレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのような展開を予想させるが、その後、意外にもNo Doubtのグレン・ステファニーが書くようなロックサウンドが展開される。そしてギターラインとドラム、リズムに関しては軽視されがちなLAの産業ロックを彷彿とさせ、LA Guns、Skid Row、Dokkenのハードロックの要素を現代に呼び覚ませてみせているともいえるだろう。ここにはパンクというルーツの他にヘアーメタルや、ハードロックからの影響がわずかに留められている。曲の中盤から終盤にかけては、特に、展開力という面で、何か期待させるものがある。その期待を裏切らないような形で、80年代のメタルに触発された換気力溢れるサビが繰り返される。こういった音楽を現代でやろうとするのは、実は結構勇気がいることと思われるが、それを誰よりもクールにやってみせている。バンドのこれらのHR/HMへの愛着の大きさゆえだろう。

 

当初、一本調子に思えた音楽は、以後、意外にも、多角的な側面を織り交ぜて展開される。#7「Rubberist」は、ボールルームのディスコをパンクという面から解釈している。そういった点では、Panic! At The Disco、The Killersのディスコパンクの再生を試みたとも考えられる。 実際、その試みは効を奏し、UKのディスコ・リバイバルのグループやソロアーティストにも比するスタイリッシュなダンス・ミュージックとして楽しめる。ノイジーなトラックの中の箸休め。バンドの引き出しの多さが伺えるが、これで手の内がすべて明らかとなったようには思えない。


#8「Big Trouble」ではパトカーのサイレンをイントロに配し、Xのオリジナル世代のポスト・パンクサウンドに舞い戻る。 しかし、これは単なる懐古的なパンクサウンドの側面のみが提示されたというわけでない。そのことは中盤以降のテクニカルな展開に現れ、アトランタのAlgiersのようなドライブ感のあるアクの強いパンクサウンドが強烈な印象を残す。しかし、その後はアンセミックなボーカルラインをもとにした、このバンドらしい曲の畳み方が味わえる。

 

#9「Hand Grenade」は序盤の収録曲とほとんど同じようなスチームパンク、カートゥーン・パンクの要素を絡めたアグレッシヴなトラックだが、序盤の曲と比べ、粗が目立つ。ただアルバムの終盤には工夫が凝らされている。#9「Drive」は、アルバムでは珍しくQueen Of The Stone Ageのヒット曲「No One Knows」を彷彿とさせる安定感のあるロック・ナンバーに取り組んでいる。ただ、ストーナー・ロックの影響はほとんど感じられず、Be Your Own Petは、よりその影響を繊細に変化させ、そして内省的な面を織り交ぜている。これらの表向きのライオット・ガールとは別の側面が、今後どのように現れてくるのかに期待すべき点がある。

 

また、クローズ曲も、ノイジーな曲調で押し通すのではなく、それとはまったく正反対の静かなイメージの癒やしに満ち溢れたトロピカルなナンバーで締めている。バンドは、このアルバムで、手の内をすべて見せたわけではない気がする。表向きには、ガレージ・パンク/ポスト・パンクとして楽しめる良作である。また、なぜ、ジャック・ホワイトがバンドと契約したかと考えながら聞くのも一興かもしれない。他にも、重要視すべきは、アルバムの中盤や終盤には、バンドの潜在的な音楽性の不敵さや、底しれない奥深さが暗示的に散りばめられていることだろう。この点に、バンドの表向きの印象から窺い知れない、侮りがたい資質が潜んでいる。

 


79/100

 

 

Osees  『Intercepted Message』

 

 

 

Label: In The Red Recording

Release: 2023/8/18


Review


ジャケットを見れば、人好きのしない音楽であることは一目瞭然だ。面白いと思うのは、イギリスからは、こういった突然変異体が登場するケースが稀にあること。現実に対するシュールな視点を交えたロック、もっと言えば、ポスト・パンクの原義である皮肉な視点を交えたサウンドがOseesの志すところなのではないか。最先端を行くのか、時代から背を向けているのか、それすら定かではないが、それはサンフランシスコのThe Residentsのようでもあり、またオハイオのDEVOのようでもある。前作『A Foul Form」ではノイズにまみれたパンクサウンドを提示し、一部の愛好家から称賛を受けた。一部というのが重要であり、決して万人受けを狙ったサウンドではない。


 

それは続く『Intercepted Message』でも同様で、やはりどこからどう見ても人好きのする音楽性ではない。しかし、このサウンドにある種の信頼感や安心感すら感じてしまうのは、なぜだろう。それは、ある見方をすれば、現実のシリアスすぎる一面にOSSESは風穴を開けてくれるのだ。一貫した現実主義者であることは、徹底した理想主義であるのと同じくらいにきわめて重要なことだが、少なくとも、一方のどちら側に傾きすぎても破綻を来す。そこで、Oseesのように、現実主義と非現実主義のバランスを取ることは非常に大切なことでもある。

 

実際のサウンドはどうか。前作はノイズとパンクを融合させたシュールなサウンドに挑んだが、今作では音楽性を変更し、BraniacのようなSFとパンクの融合に挑戦している。 そしてそこにブライトンのKEGのようなユニーク性を交えたという点では、イングリッシュ・ジョークが少なからず含まれている。


ただ、これらの反商業主義的な音楽は、ロンドンというより、かつてのサンフランシスコのサイケデリックバンドや、 The Residentsのようなあほらしさがある。アホらしさというのは語弊があるかもしれないが、少なくとも現実に真っ向から挑んだら、ひとたまりもない。時に愚かである(愚かなふりをする)ことは、現実と折り合いをつけるために必要でもある。もし、シリアスな世の中を生きていく上で、愚かさという側面をなくせば、どこかで破綻をきたす。そういった考え方をすると、全く上を目指さず、下も目指さず、ましてや、どこも目指すことがなく、一般的な価値観とは全く別次元の考えを示してくれているのが、Oseesの素晴らしさなのだろう。


  

Oseesがスチーム・パンクから何かしらのヒントを得てたとしても驚きはない。1970年代のニューウェイブのパンクバンドはX Ray Specsを筆頭に、カートゥーン・パンクだとか、スチーム・パンクといったサブカルチャーの側面に脚光を当てていたのだったが、Oseesのサウンドも同様ではないか。それは、例えば、ニューヨークのNo WaveやProto Punkを形成するコアなパンクサウンドと密接に結びついている。それでも、例えば、D.N.Aほどにはアヴァンギャルドではないだろう。どちらかというなら、聴きやすさのあるチープなシンセ・パンク・サウンドが最新作の核心を形成している。

 

個々のトラックについて言及するのは控えたい。#2「Black Chems」では、SF風の世界観を構築し、ユニークなニューウェイブ・サウンドに昇華している。アルバムのタイトル曲「Intercepted Massage」では、DEVOをよりサイケにし、カオスにしたようなナンセンスなパンク・サウンドが轟き渡る。センスの悪さという面では、メーターが振り切れている。ところが、これらのサウンドの中には奇妙な共感を誘う場合がある。本作の音のチープな側面には、良い悪いという音楽の二元論という、狭小な思考を開放させる力を持っているのは自明だろう。


 

ただし、ノイズという観点から見ると、Talking Headsを参考にした#4「Die Laughing」において、センス抜群のノイズ/ニューウェイブサウンドを確立させている。そこにブラントンのKEGのようなポスト・サウンドが掛け合わされると来たら、このバンドを応援せずにはいられなくなる。電波系を軽々と飛び越えて、宇宙と直接交信するかのようなワイアードなサウンドに魅了されるニッチな音楽ファンは、きっと私やあなただけではない(はずだ)。

 

他にも、反商業主義的なポスト・パンクの快楽の真骨頂は、「The Fish Needs a Bike」にも見られ、ここではダンサンブルなコーラスを通じてカオティックな展開力を見せる。The Piratesのようなパブ・ロックに比する渋さ、そして、実際のパブでの馬鹿騒ぎを余さずロックサウンドの中に織り交ぜて、フットボール・チームのアンセムのような一体感を部分的に生み出している。


 

終盤になると、サイコビリー/ロカビリーの影響を交えた#7「Goon」でヤワなリスナーをノックアウトさせる。#10「Sleazoid Psycho」では、80年代のLAのパンクバンドのようにロカビリーを下地にした大胆不敵なポスト・パンク・サウンドを確立している。本作の冷笑的で皮肉に満ちた音楽性は、一見、チープに聴こえるかもしれないが、実際はそうとばかりも言い難い。ポストパンク・サウンドとして見ると、手強い曲がいくつか収録されている。しかし、先にも述べた通り、アルバム全編に漂うキワモノ感を楽しむためのもので、万人に勧められる作品ではあるまい。とすれば、この作品に対して愉楽を覚えることは選ばれし者だけに許された特権でもある。



48/100



©︎Craig R Mackintosh

 

グラスゴーのポスト・パンクバンド、ユーモア(Humor)がニューシングル「Wrangel」をリリースした。


この曲はデビューEP「Pure Misery」の続編となる。9月のDo Nothingのサポート・ツアーに先駆けてリリースされる。フロントマンのアンドレアスは、この曲についてこう語っている。


"Wrangel "は極地探検の様々な物語にインスパイアされている。南極点に初めて到達した5人の探検隊を率いたロバート・スコット船長の伝記を読んでいたんだ。音楽はすでに出来上がっていて、詩のゆったりとした一定のリズムは、雪を踏みしめて進むことを想像させた。

 

最近見た『Our Planet』のエピソードでは、北極圏にあるランゲル島の映像が映し出されていた。そこは無人島で、海氷がないためにホッキョクグマが狩りのために何千頭もやってきている。そのような場所にいると、何か平和な気持ちになれるのではないかと思い、この曲の登場人物には、ランゲル島での生活を想像してもらいたいと思った。


エイダ・ブラックジャックと呼ばれるアラスカ先住民の女性は、絶望的な遠征隊の一員としてウランゲルに送られ、彼女が唯一の生存者となった後、実際にこのような生活を送った。本当に驚くべき人物だ。世界の果てで生き残り、運命を受け入れるというこれらの物語が、この曲のインスピレーションとなった。



「Wrangel」


 YONAKA 『Welcome to My House』

 


 

Label: Republic/ UMG

Release: 2023/7/28

 


 

 

Review


今、ロンドンとともに面白いバンドが次々と出てくるのがブライトンである。四人組インディーロックバンド、YONAKAも注目のグループの一つ。2014年にYONAKAは結成されたが、Bring Me Horizonのサポートアクトを務めるなど、着実にファンベースを広げている。もちろん、評論筋からも評判は良く、Kerrang!誌が2019年の新人賞にノミネートしている。


近年、Fueled By Ramenからリリースを行っていたバンドは新たにRepublic/UMGと契約を結び、よりワールドワイドな活躍の期待をその背に担うことになった。Yeah Yeah YeahsやRoyal Bloodに近い音楽性が挙げられる場合もあるようだが、サウンドの志向性はシカゴのFall Out Boyにも近い。

 

つまり、スタジアム級のポップパンク性を掲げながら、アリーナの観客のボルテージをどれだけ掻き立てられるかが、YONAKAの現在のバンドとしての課題のようである。また、近作のアルバムにおいてライブサウンドと音源を結びつけるオルトロックサウンドを展開させていた。2021年の続編となる3rdアルバムは、よりソングラインティングの面で磨きがかかり、またバンドサウンドとしても洗練され、スピーカーの向こうにいるオーディエンスに熱狂性を与えるに値している。


オープニングを飾る「By The Time You're Reading This」を見るとわかる通り、ロンドンのPale Wavesのパンキッシュな音楽性と同郷のポップスター、メイジー・ピータースのポップ性を絡めて、親しみやすいポップバンガーを作り出している。と同時に、フォール・アウト・ボーイズから受け継いだエモ・ポップの要素を絡め、パンチ力のあるバンガーを生み出すことになった。


二曲目の「PANIC」では「YMCA」のような遊び心を入れ、それらをポップバンガーへと結びつけている。この曲の中で繰り広げられるテレサ・シャーヴィスのボーカル/シャウトは明らかに聴衆を扇動するために、また、観客との一体感を生み出すために存在している。ある意味ではシリアスになりがちなリスナーはこの曲を聴くと、憑き物が落ちたように適度なコンフォートな気持ちになれるはず。また、シャーヴィスのボーカルは、実際に現実性のシリアスさやつまらなさを打開するためにある。あえてシャーヴィスがボーカリストとしての愚者を演ずるのは、ファンの心をほぐすためで、またファンとの近さや親近感を持ってもらうためであることがわかる。こういった俳優のようなアクティヴィティに関しては共感性をリスナーにもたらす。

 

 三曲目のタイトル曲は、以前よりもバンドの音楽性に奥行きがもたらされた結果となっている。UKのオーバーグラウンド・ラップの王者であるStormzyの影響を絡め、それをアンセミックなポップスに昇華している。こういった音楽性は一歩間違うとチープになりがちだが、この曲はその限りではない。シャーヴィスのボーカルは商業性を意識しているものの、決して表向きの印象だけで敬遠すべきものではない。そのボーカルの中には真摯なものがあり、リスナーの耳を捉え、この曲を印象深くすることに成功している。さらにUKのラップの影響に加え、80年代のディスコ・ポップの影響はこの曲に乗りの良さとフックをもたらしている。 

 


不思議なのは、キャッチーさに重点が置かれているサウンドなのに、感覚の鋭さと聴き応えがあるということ。これは彼らが何らかのメッセージ性を歌詞や曲の中に込めている証拠かもしれない。YONAKAが称するホームとは、一般的には褒められないような空間かもしれない。けれどもそれは現実の中の欺瞞を打ち破る力があり、それらの現実性に溶け込みがたい人々のために存在している。その家に入るも入らないも聞き手の自由ではあるが、そこには現実とは異なる何かが存在していることもまた事実である。つまり、それらの概念的な空間が秀逸なポップネスという形で、曲の全般には還流している。それこそが彼らの成長であり、進化なのだろう。

 

アルバムの前半では、パンチ力のある曲で聞き手を惹きつけるが、YONAKAの魅力はそれだけにとどまらない。また「Give Me My Halo」バンドという活動形態ではありながら、テレサ・シャーヴィスのソロシンガーとしての実力が伺える。イントロはしっとりしたバラードで始まる曲は、表題に示されるように、光背が指すような神々しさのあるポップソングへと変遷を辿る。ここには一曲を大切に書こうとしているバンド/シンガーのシリアスな姿勢が伺える。それはサビの後半において清らかな結晶に変化する。そして、タイトルと曲が結びつけ、それらの抽象的な概念を聞き手の脳裏に呼び覚ますようなイメージの喚起力も持ち合わせている。

 

ただ、YONAKAが神妙な感じでは終わるはずもない。その後、ロンドンのSports Teamのようなポスト・パンクの影響を絡めた「I Want More」が続いている。前の曲とは正反対に現世的な欲望を剥き出しにしたポスト・パンクサウンドは、Sport Team/Hot Chipのようなエレクトロ・サウンドと合致を果たし、想像を絶するクライマックスへと移行する。ボーカルはもとより、バンドサウンドにも野性味があり、サビでは苛烈なメッセージ性に変化する。スタジアムのアリーナでのライブに相応しく、今夏を乗り切るための必聴曲ともなりそうだ。


「I Don't Care」は何かの出来事に対する反動とも読み解ける。それは反体制的なパンクサウンドとして現出し、拡声器を通したようなボーカルは扇動的なイメージを帯びる。曲の途中から、シャーヴィスのボーカルはアジテーションに近い雰囲気になっていくが、怒りの本質的な生命力が乗り移ったポップバンガーはより多くのリスナーを獲得するための原動力ともなるはずだ。

 

クローズ曲「Hands Off My Money」は、テレサ・シャーヴィスのシャウトにより始まり、ヴォルテージが最高潮に達する。ヤー・ヤー・ヤーズがTouch&GoからセルフタイトルのEPをリリースした頃のサウンドを彷彿とさせる、硬質なガレージロックサウンド/ポスト・パンクサウンドへとこの曲は変遷を辿ってゆく。

 

 

79/100

 



 

©︎Jamie Macmilan


2022年初頭、リーズのバンド、ヤードアクトはデビューアルバム『The Overload』をリリースし、ウェット・レッグやハリー・スタイルズと並んでマーキュリー賞にノミネートされるまでに多くの時間はかからなかった。


バンドのボーカリスト、ジェームス・スミスによれば、『ザ・トレンチコート・ミュージアム』は、「愛情や評価と同じように、詮索や軽蔑にもさらされる」知名度に達したことへの応答だという。


「批判はフェアなゲームだし、インターネットは無法地帯なのだから、その通りに受け止めるしかないよ。でも、誰かが僕のライトを殴り飛ばしたがっているという記事を読んだ日から、ツイッターで自分を探すのをやめたんだよ」と述べ、さらに続けた。


「『トレンチコート・ミュージアム』は、私たちのあらゆるものに対する認識が、集団的にも個人的にも、その瞬間には測り知れないスピードで、時間とともにどのように変化していくかをテーマにしている。

社会のどのような空間であれ、私たちはしばしば自分自身の信念が「文化的規範」であるべきものの絶対的な頂点にあると考える。自己肯定感という完全に人間的な特性は如何ともしようがないが、しかし、それは私たちの集団的なプロセスにとっては絶対的な妨げとなる。私たちはみなひとつなんだ」


「The Trenchcoat Museum」

 

©Martin Doležal

 

チェコ・プラハを拠点に活動する気鋭のポストパンクバンド、Alpha Strategy(アルファ・ストラテジー)が4曲収録の新作EP『Staple My Hand To Yours』を本日(6/8)リリースします。バンドの音楽は、Birthday Party(Nick Cave)、Gilla Band、The Jesus Lizard等が引き合いに出される。チェコでのライブ映像が公開されていますので、下記よりチェックしてみて下さい。

 

今回リリースされたEP『Staple My Hand To Yours』はオーディオ・スタジオにてスティーヴ・アルビニ(Steve Abini)とともにレコーディングされ、その後、シカゴのマスタリングサービスでボブ・ウェストンがマスタリングを手掛けています。

 

『Staple My Hand to Yours』には、前作『The Gurgler』(スティーヴ・アルビニがレコーディングを担当)がポーランドのレーベル、”Antena Krzyku”からリリースされた2018年以来となるアルファ・ストラテジーの新曲が収録されている。バンドのフロントマンである
Rory Hinchey(ローリー・ヒンチー)は、このEPについて、次のようなメッセージを添えてくれました。

 

『The Gurgler』のリリース以降、バンドの状況はかなり変化した。2019年、私(ローリー・ヒンチー)、ジェイムズ・マクアダムス、エヴァン・シダウィ、ダン・エドワーズのオール・ラインナップが、カナダのトロントからベルリンに一時的に拠点を移し、ヨーロッパ12カ国をツアーした後、彼らは最終的に全員バンドを脱退し、カナダに戻った。

 

私は、2011年にソロ・プロジェクトの一貫としてアルファ・ストラテジーを始めたので、このまま活動を続けたいと思い、一緒に続けられる新しいクルーを探すことを選んだ。

 

2019年末、プラハに住むようになって間もなく、Martin Doležal(guitar - Très, Bazdesh, ex-Stinka)、Filip Miškařík(drums - Hothouse, Très)、Ondřej Červený(bass - ex-Stinka)が加わり、彼らは、現在、私と共に現在のグループを形成している。

 

スティーヴ・アルビニとの『Staple My Hand to Yours』のレコーディングに加え、過去3年間でヨーロッパとカナダで50回以上のコンサートを行い、2024年にはさらに海外での公演を予定している。

 

彼らはまた、私の”Aww Man Radio & Concerts”に定期的に貢献しており、プラハで国内外のバンドのライブを企画し、毎月ライブ・ストリーム・ラジオ番組/ポッドキャストを配信している。

 

Alpha Strategy, an up-and-coming post-punk band based in Prague, Czech Republic, is releasing a new four-song EP, "Staple My Hand To Yours," today (June 8). The band's music is cited by Birthday Party (Nick Cave), Gilla Band, The Jesus Lizard, and others. A live video of the band's performance in the Czech Republic has been released, which you can check out below.

 
The EP "Staple My Hand To Yours" was recorded with Steve Abini at Audio Studios and mastered by Bob Weston at Mastering Services in Chicago.


Staple My Hand to Yours" includes the first new music since 2018, when the previous album "The Gurgler" (recorded by Steve Albini) was released on the Polish label "Antena Krzyku". It features new music from Alpha Strategy. Rory Hinchey, the band's frontman, added the following message about the EP.


    Since the release of The Gurgler, things have changed quite a bit for the band: in 2019, the entire lineup of myself (Rory Hinchey), James McAdams, Evan Sidawy, and Dan Edwards temporarily relocated from Toronto, Canada to Berlin and toured 12 European After touring in 12 countries, they eventually all left the band and returned to Canada.

    I started Alpha Strategy in 2011 as part of a solo project and wanted to keep it going, so I opted to find a new crew to continue with.

    At the end of 2019, shortly after I started living in Prague, Martin Doležal (guitar - Très, Bazdesh, ex-Stinka), Filip Miškařík (drums - Hothouse, Très) and Ondřej Červený (bass - ex-. Stinka) joined us and they now form the current group with me.
 
    In addition to recording "Staple My Hand to Yours" with Steve Albini, they have played over 50 concerts in Europe and Canada in the past three years, with more international dates planned for 2024.

    They are also regular contributors to my "Aww Man Radio & Concerts," which organizes live performances of national and international bands in Prague and provides a monthly live stream radio show/podcast.



 

 



Alpha Strategy 『Staple My Hand To Yours』EP



Tracklist:

 

1.Mr. Wobbles

2.Steel Hair

3.The Caressing Cloth

4.Mosquito Generation Point

 


 

©Shawn Brackbill


スウィーピング・プロミス(Sweeping Promises)は、今週金曜日(6月30日)にリリースされるアルバムからのタイトル曲「Good Living Is Coming for You」のビデオを公開した。この曲は前作「Eraser」と「You Shatter」に続く。ジェシカ・バーズリー監督による映像は以下より。


"このビデオのために、私たちは私たちの最も親しい友人の一人である実験的な映画監督のジェシカ・バーズリー(『Life Without Dreams』、『Goodbye Thelma』)とコラボレーションしました。

 

70年代と80年代のホラー映画(『闇の娘たち』、『ハンガー』、『白ミミズの隠れ家』、『ドリームデーモン』)の華やかで血に飢えた美学からインスピレーションを得た『グッド・リヴィング・イズ・カミング・フォー・ユー』のビジュアル・コンパニオンは、この曲の揺るぎない不満と迫り来る家庭の破滅の感情を、深夜のケーブルテレビで名もなき眠れない魂が見たDIYホラー映画の枠の中で表現している。

 

 「Good Living Is Coming for You」

Squid   『O Monolith』



Label: Warp Records

Release: 2023/6/9



Review

 

ロンドンを拠点に活動するポストパンクバンド、Squidは2021年のデビュー作『Bright  Green Field』で大きな成功を収めた。

 

その結果は、全英アルバムチャートの4位という商業的な形で訪れた。バンドはその後、かつかつのスケジュールを組むわけではなく、二作目のフルレングスのレコーディングにじっくりと取り組んだという印象を受ける。このアルバムは、一作目よりも円熟味を増したロンドンのバンドの姿を克明におさめている。一作目よりも音の配置やボーカル、ギターサウンドに創意工夫が凝らされており、商業的な成功を収めた前作と一定の距離を置いた作品であるとも考えることが出来る。つまり商業的なロックに近づきすぎないことを念頭に置いたようなアルバムである。


だが、彼らがスターミュージシャンと無縁な生活を送っていたというわけではない。名門ワープ・レコードはSquidの面々にGenesisのピーター・ガブリエルが所有するリアル・ワールド・スタジオへの入門を許した。なぜ、入門などという大げさな誇張表現を使用するのかは、このスタジオで録音を行ったバンドやミュージシャンを列挙してみればよくわかることである。リアルワールドは、The 1975、ビヨンセ、ビョークなど、セレブ系のアーティストしか入ることが許されない、ウィルトシャーの田舎地方にある伝説的なスタジオであるというのだ。かつてのアビー・ロードは現在のミュージックシーンを見るかぎり、リアル・ワールドに変更されつつあるのか。スタジオの内装もかなり豪華らしく、光沢が目立つまさにきらびらかなスタジオらしい。


しかし、面白いことに、Squidがレコーディングを行ったのは、メインの建物のレコーディング施設ではなく、川の向こうにある寒々しい付属的なレコーディング施設であったという。DIYのインタビューでは、このスタジオは冷凍小屋と称され、「一年中氷が冷たい、第二次世界大戦の防空壕のような場所」と話している。そこで、彼らは川の向かうにあるリアルワールドスタジオにセレブ・アーティストが出入りするのを伺っていたというのだから興味深い。彼らは、その間、有名ミュージシャン、トム・ジョーンズとも仲良くなれた。また、レコーディングの合間には、スタジオの近くを散策しながら、日本のアニミズムのような深い瞑想にふけっていたという。


さて、二作目のアルバムは、彼らの人生の曲がりくねった道を行く過程を丹念に切り取った作品である。現代のポストパンクサウンドの象徴的な部分であるシャウトは前作よりもなりをひそめることになった。しかし、その反面、繊細なギターのアルペジオ、ホーンセクションを交えたアレンジ、またメロディーラインに重点を置いて歌うことを意識したジャッジのボーカル、これらはある意味では、米国のポストロックの原点に迫るような作風となっていることが理解出来る。Squidの今作の音楽性は、オープニング曲「Swing (In A Dream)」のミニマルミュージックのアプローチを見る限り、アヴァンギャルド・ロックとも称すべきものである。


かつてのSlintやDon Cabarelloにも比するものがあるが、しかし、フロントマンのジャッジのボーカルはキャッチーで親しみやすく、現代のロンドンのポスト・パンクの文脈に根ざした内容である。その中には独特な繊細さと動的な感覚が渦巻いている。実験的な要素を交えつつも、実際のライブを意識したサウンド作りで、シャウトの部分はシンガロングを誘う。また、ギターサウンドも単調ではなく、ヘヴィロックバンドに比するパンチやフックの効いたリフを弾く場合もある。曲がりくねっていて、これと決めつけがたいような複雑怪奇なサウンドが特徴でもある。


かと思えば、二曲目「Devil's Den」では、内省的なエモコアに近いサウンドに舵を取る。ここには、ウィルトシャーの田舎を散策した効果が表れたのか、彼らの代名詞であるエネルギーに充ちたロックサウンドとは別の内向きな一面を垣間みることが出来る。この音楽性は、例えば、ブライトンのKEGにも近い雰囲気を感じ取る事ができる。そして、曲の後半では前半の静かな印象から一転して、Gilla Bandのようなノイジーなアヴァン・ロックへと歩みを進める。ある意味では、デビュー・アルバムの商業的な成功を否定する作風で、リスナーに驚きを与えるのである。ここにはSquidのひねくれた性質と、また生粋の音楽マニアの姿を捉える事もできる。


ハイカルチャーから距離を置くような感覚は、三曲目の「Siphon Song」でより一層強化される。Kraftwerkのロボット風のボコーダーのエフェクトを導入したボーカルは、彼らのSFの趣味が上手く引き出され、特異な印象を受ける。また、ここにはHot Chipの『Fearkout / Release』のタイトル曲に対するわずかな親和性を読み取ることが出来る。アルバムが売れても、リスナーに媚びを売らず、自主性の高い作風を提示しようというバンドの強い意識が感じられる。また、曲の途中からはLed Zeppelinを彷彿とさせるグルーブ感あふれるハードロックへの傾倒を見せ、これがSquidのライブセッションを間近で見ているようなリアルさを体感することが出来る。

 

その後、ある意味では、現在のワープ・レコードの音楽性の間口の広さを伺わせるような感じで、Squidはジャンルを規定せずに自由な音楽を、彼ららしい手法で体現させていく。4曲目の「Undergroth」はブレイクビーツ風のイントロから、ファンクとラップの要素を融合させる。ボーカルのスタイルは、ラップやスポークンワードに近いが、これは2021年のデビュー作のリリース後、現代のスポークンワードとパンクを融合させた複数のバンドに強い触発を受けた結果として生み出された曲と言える。現在の音楽シーンから遅れを取ることを彼らは良しとせず、常に最前線にいるバンドでありということを表明する。


しかし、ここでも一曲の中で大きな変遷があり、曲調はクルクルと様変わりしていく。ファンク、ラップからダブへ、そして、曲の最後になると、音響系のポスト・ロックへと劇的な展開力を見せる。その音楽の多彩さは、旧来のシカゴのジャズの影響を交えたポストロック・バンドにも比するものがある。

 

続く「The Blades」はワープらしさのある楽曲で、イントロでは、エレクトロニカの音楽性を導入し、Boards of Canada、Autechreといったテクノが最も一般的なリスナーに浸透するようになった時代のエレクトロニカを2023年に呼び覚まそうとしている。しかし、サビにかけては、ファンクの要素を絡めたポスト・ロックへと展開させる。以前のエレクトロニカの要素をどのような形でロックバンドとして昇華させるのか、レコーディングの過程の試行錯誤の痕跡が留められている。


そして、曲の後半では、ポストパンクバンドとして彼らが理想とするノイジーな展開へと導かれていく。この終盤の段階になると、ジャッジは初めて本格的なシャウトのスタイルを全面的に披露する。まるでその手法を意図して封じていたかのように。しかし、もったいぶった形で彼のシャウトが披露されると、奇妙なカタルシスをもたらされる。それまでわだかまっていたものが一瞬にして表側に吹き出すかのように、スカッとした爽快感が駆けめぐるのである。


続く「After The Flash」では、ビートルズやラーズの時代のバラードソングの系譜にあるブリットポップの影響を絡めているが、しかし、Squidが提示しようというものは、旧来のリバプールサウンドとも、その後のブリット・ポップとも違う。それは相容れないというべきか、それとも拒絶しているというべきなのかは分からないが、現代の音楽としてそれ以前の音楽を踏まえた上で、それを否定し、次の時代の音楽を示そうという意識もある。かつてキング・クリムゾンのロバート・フリップがそうであったように、前の時代の音楽を理解した上で、それを否定するという意図も見受けられる。なぜ否定するのかと言えば、否定し壊させねば新しいものが生み出されないからである。これはロックにとどまらず、純正音楽の世界でも同じことなのだ。

 

アルバムのクライマックスに至ると、耳障りの良さとは対極にあるアヴァンギャルドロックが展開される。アルバム全体には、環境問題への提言など、社会的なメッセージが込められているとも聞くが、彼らがバンドという形で繰り広げようとする不協和音は現代社会のどこかに響いているものであり、それを端的な形で体現しよう試みる。そして、クローズ曲でも彼らは既存の音楽を否定するどころか、自分たちの成功体験をも否定する。それは成功した経験に縋っていると、すぐに音楽が古びはじめ、退廃することを、何らかの形で知っているからに違いない。


さらに、彼らはエレクトロニカを期待して、このアルバムを聞こうとするリスナーに対して、フォークもなかなか良いという感想を持ってもらえれば、と同じく上記のDIYの取材で話しているが、その言葉は最後になってようやく理解できる。セカンドアルバムを締めくくる「If You Had Seen The Bull~」では、Squidがアヴァンギャルドなフォーク・ミュージックへと挑戦した瞬間が刻印されている。一貫してノイジーな印象のある『O Monolith」は、この最後の静かで瞑想的な曲が収録されていることもあって、奇妙なバランスに支えられた良作に仕上がっている。

 

『O Monolith』は、決してThe 1975のファンにオススメしてはいけないアルバムである。今作には、耳障りの良くない不協和音に充ちた音が通奏低音のように響きわたる。しかし、同時に、今作には、ニューヨークやシカゴと並び、世界音楽の中心地であるロンドンのロック・ミュージックの最前線で何が行われているのか、その一端を知るための手がかりが隠されているのである。



84/100



Featured Track 『Swing(In a Dream)

 



 

 



ノッティンガムのポスト・パンクデュオ、Sleaford Modsは、ラフ・トレードから発売された最新作『UK Grim』の熱狂が醒めやらぬうちに、米国のカルフォルニアのインディオで開催されるコーチェラ・フェスティバルに出演、多くのオーディエンスをわかせました。続いて、スリーフォード・モッズはシアトルのラジオ局/KEXPのスタジオに登場し、35分間のライブパフォーマンスを行っています。

 

デュオは最新作『UK Grim』のタイトル曲を筆頭に、ライブセットではお馴染みと言える「Jobseeker」に至るまで、魅力的なライブを披露しています。ライブパフォーマンスの模様は下記よりご視聴下さい。

 

 

Setlist:

 

1.UK GRIM
2.On The Ground
3.Pit 2 Pit
4.Force 10 From Navarone
5.Tilldipper
6.Mork n Mindy
7.DIwhy
8.Tory Kong
9.Jobseeker
10.Tweet Tweet Tweet

 

 

©Craig R Mcintosh


グラスゴーのHumourは、昨年リリースしたデビューEP『Pure Misery』以来となるニューシングル「The Halfwit」を公開しました。Robin Herbertによるこの曲のビデオは以下よりご覧ください。


フロントマンのAndreas Christodoulidisは、「この曲は、かなり簡単にできた曲だ」と声明の中で説明しています。

 

「私は、どこか遠くの場所に自分を連れて行き、徐々に人間ではないもの、人と動物の中間のようなものに変身し、自分が誰なのかほとんど分からなくなっていく男の歌を書くことにした。彼の新しい生活は、とても悲しく孤独でありながら、どこか平和で屈託のないものだと表現したかったのです」

 

「The Halfwit」

 Water From Your Eyes 『Everyone’s Crushed』

 

Label: Matador

Release: Matador

 




Review 

 

SFのようなコミカルな世界観、AKIRA風のアニメーションのアルバムジャケットとMV、エレクトロニックの周りを縦横無尽に駆け巡る次世代のシンセ・ポップ。今年、マタドールと契約を結んでニューアルバムを発表したネイト・エイモスとレイチェル・ブラウンによるWater From Your Eyesには様々な呼称が与えられて然るべきだろう。とにかく彼らが志すのは、次世代のシンセ・ポップで、近未来のエレクトロニックである。しかし、その中にはB級映画のようなニッチな二人の興味や好奇心が取り巻き、それらがなんとも良い味を出しまくっているのである。

 

デュオの音楽性には、YYY'sのローファイっぽさやカレッジロックの影響も少しだけ見受けられるが、シュットゥックハウゼンのセリアリズムのような実験的な電子音楽とも無縁ではないことはオープニングを飾る「Structure」を見ると分かることだろう。かつてのオルタナティヴのようにちょっとしたひねりを加えたシンセサイザーのシークエンスに浮遊感のあるネイト・エイモスとレイチェル・ブラウンのボーカルがたゆたう。それはいくらかチープではあるのだけれど、その一方で聞き手をその音の擁する世界に惹き込む力を持ち合わせているのだ。

 

X-Ray Specsを彷彿とさせる一昔前のレトロな感じのシンセにR.E.Mのカレッジ・ロックの渋さを加味した「Barley」は、新たな時代のSFポップの台頭を予感させる。フラッシュ映像のように切り替わるフレーズは、クラフト・ワークやデペッシュ・モードに対する親和性もあり、テクノの次世代にあるポスト・テクノを体現している。レイチェル・ブラウンの声はバックトラックにパンチを加え、ポスト・パンクのような風味をもたらす。それがスチームパンクのようなコミカルな雰囲気を生み出すことに成功している。

 

その後、アルバムはよりポストパンク性の強い展開へと結びつき、「Out There」では同じようにレトロな音色のリードシンセとディスコポップを融合させ、聴きやすく親しみやすい音楽で初見のリスナーを魅惑する。金属的なパーカッションはシンセで構成されるが、ここにデュオの『No New York』に近い旧来のニューヨークのナンセンスなポスト・パンクへのコアな偏愛も読み解くことが出来る。さらにこの曲で手の内をさり気なくみせておいた上で、ノイズパンクの要素は「Open」でより顕著になる。ここではUKのニューウェイブに対するNYのノーウェイブの残映を旧来のリスナーは捉えることに成功することだろう。しかし、それは実験的ではあるが、その音楽は飽くまでポピュラーミュージックの範疇に留められていることが肝といえるのだ。

 

同じく、ジャーマンテクノをギターロックという観点から捉えた「Everyone's Crushed」でこのアルバムの楽しさは最高潮に達する。ディオは自分たちのコアな趣味を交えながら、それらにコミカルな要素をまぶすことでSFポップの新境地を開拓している。グルーブ感のあるベースラインに続いて、レイチェル・ブラウンの程よく力の抜けたスポークンワードに近いボーカル、シンセ・ストリングスのピチカート、パンチの聴いたギターのリフは曲の中盤にかけて跡形もなく解体されていき、やがてギターとブレイクビーツが混沌としたノイズの中に曲そのものを飲み込んでいき、その最後はそれ以前の要素を一緒くたにしたドイツ・インダストリアルのごとく尖ったカオティックな実験音楽風の終盤の展開に直結してゆく。音楽性のニュアンスはかつてのNYのノーウェイヴのようにナンセンスではあるのだが、奇妙なほどその音楽には親しみやすさがある。それはデュオは現実性というよりも、現実の中にあるコミカルさを鋭く抉ってみせているからなのだろう。


再び、その後、最もノイジーなポストパンクの最深部へと達する「True Life」もまたデュオがNYのノーウェイヴの最後の生き残りであることを示すとともに、現代のポスト・パンクの刺激的な瞬間を刻印している。ノイズ・アヴァンギャルドとして最もパンチの聴いたトラックとして楽しめるはずだ。


アルバムの終盤になると、中盤までのポスト・パンクデュオとしての性質はいくらか薄れ、「14」には現代音楽に近いアプローチが取り入れられている。ストリングスとシンセサイザーのオシレータートーンが織りなす奇妙なエモーションは、レイチェル・ブラウンの同じような繊細かつふてぶてしさのあるボーカルにより、ダイナミクスは最大限に高められていく。このトラックはアルバムの中でもデュオがアヴァン・ポップに最接近した瞬間となろう。しかし、そのドラマティックな展開も束の間、最後の「Buy My Product」ではふてぶてしいポスト・パンクへと立ち返るのが素晴らしい。センスのみならず実力も兼ね備えたブルックリンのデュオの最新作に注目すべし。

 

 

80/100

 

 

Featured Track「True Life」

 

Squid

イギリスのポストパンクバンド、Squid(スクイッド)が『O Monolith』の3rdシングル「The Blades」を公開されました。6月9日にWarpからニューアルバムは発売されます。バンドは、以前「Swing」、「Undergroth」を公開しています。


同時に公開されたミュージックビデオは、フランツ・カフカ的な悪夢にはまった役柄を演ずるイギリスの女優、Charlotte Ritchie(TV「Ghosts」英国版オリジナルに出演)が出演を務める。


Squidのドラマー/ヴォーカリストであるOllie Judgeは、プレスリリースでこのニューシングルについて次のように語っています。

 

 「この曲は、これまで僕らが作ってきた曲よりも脆弱で、とても困難なことなんだ。ダン(・キャリー)と僕は、ボーカルの表現について話していて、完全に自分を解放するのではなく、即効性のあるシャウトに頼らないようにするのがいいんじゃないか、と。曲の終わりは本当にソフトで優しい雰囲気で、こんなことは今までなかったと思います」

 

「表面的には警察の残虐行為についての歌です。最後の部分はエドガー・アレン・ポーの「テルテル・ハート」にインスパイアされている。物語的には、警察ヘリコプターのパイロットの一日を追い、彼がベッドで、彼を嘲笑うかのように空を旋回する別のパイロットの声を聞くところで終わる。曲には、エゴに対する恐怖という深い意味が込められているんだけど、それが曲のどの部分からきているのかはまだわからないんだ」

 

Squidは、Louis Borlase、Ollie Judge、Arthur Leadbetter、Laurie Nankivell、Anton Pearsonを擁しています。Dan CareyがO Monolithをプロデュースし、TortoiseのJohn McEntireがミックスを担当した。

 

Squidは、Bright Green Fieldのリリースから2週間後にO Monolithの制作を開始しました。当時、バンドはツアー中で、パンデミックの影響が大きかったため、社会的に距離を置いたライブを行った。ツアーで、彼らはいくつかの新曲を試した。

 

「あのツアーがなければ、これらの曲はなかった」と、ジャッジは以前のプレスリリースで語っています。

 

「人々はライブを見るのをとても楽しみにしていたので、未完成でも何でも演奏しようと思ったんだ。何らかの形でO Monolithの約80%を演奏したよ。実はほとんどが歌詞のない曲だったんだ」

 

さらに、アルバムのテーマについて、Louis Borlaseはこう語っています。「アルバムには人と環境との関係というテーマが、全体を通して貫かれている。私たちが没頭するようになった世界、環境の緊急事態、家庭の役割、長い間離れているときに感じるズレなどが暗示されています」


「The Blades」

 

Algiers



アトランタのポストパンクバンド、Algiersがシアトルのラジオ放送局、KEXPに出演し、最新作を中心に4曲のライブパフォーマンスを行いました。スタジオ録音よりもはるかにアグレッシブな音楽性を捉えることが出来るはずです。今回のスタジオライブではアルバムの収録曲「Irreversible Damage」「Out Of Style Tragedy」「Cold World」「Bite Back」が披露されています。


  
 
 
 
アルジェは様々な視点から『Shook 』という概念を再構築し、神託や語り手としての役割を変化させながら、全体を通して貢献する。ドラマーのマット・トンは「アルジェの世界をより深く、より広くしてくれる」と語る。
 
 
制作の端緒となったアトランタという土地が、最終的にこのアルバムの核心を形作っている。アトランタに住む多くの人にとって象徴的な、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ空港からのロボットのように機械的な列車のアナウンスで始まり、それはボーカルのフランクリン・ジェームス・フィッシャーが子供の頃によく怖がっていたものだった。バンドが作成したフィールド・レコーディングとオリジナル・サンプルは、場所、集団性、想像上のコミュニティや家の感覚を強調し、さらに南部の都市で育つ、という捉えどころのない感覚を呼び起こす世界を緻密に構築している。  

 

©︎Titouan Massé

 

イギリスのポストパンクバンド、OSEESは、In the Redから8月18日にリリースされる予定の新作『Intercepted Message』を発表しました。バンドの『Live At Levitation』(2012年)のリリースに合わせた本日の発表には、アルバムのタイトル・トラックが収録されています。以下、そのビデオをチェックしてみてください。


John Dwyerはニューアルバムについてウィリアム・バロウズ風の声明を発表している。



疲れた時代のためのポップ・レコード……

君のストラップにもっとヒビを入れんがため、飛散防止ガラスの欠片で砂糖漬けにしてある。ついに、ヴァース/コーラス……

風化したシソーラスの数々……

これはOseesのブックエンド・サウンド……

初期グレードのガレージ・ポップとプロト・シンセ・パンクの自殺を防ぐような出会い……

 


芝生を叩くか?  それとも尻餅をつきながら聴くか?

安物のブロードバンドをガムシャラにする、電子的な渦巻き状の加速剤の数々……

ソーシャル・メディアの便所掃除をする人たちよ、団結しよう……

この笑顔の屠殺場のドアマンを見、24時間のニュースサイクルの目を細めることを許可しよう……

ついに自分の居場所を見つけることができるはずさ…… 



すべての人を歓迎しよう……

冒頭からフィナーレにいたるまで......

 80年代シンセサイザーのラストダンスが君の失われた恋のため、遠くでパチパチと音を立てて伝わるだろう……

政治的な記憶喪失に苦しんでいるって? AIが生成したポップな曲には飽きたって?

なら、この曲はあなたのためにある、我々の友人たち……



不毛地帯の放浪者、ここにいてくれ……

愛している……

帝王学的シンセパンクとThee Oh Sees(彼らは誰だ?)



「Intercepted Message」





Osses 『Intercepted Message』


Label: In The Red
Release: 2023/8/18


Tracklist:

1. Stunner
2. Blank Chems
3. Intercepted Message
4. Die Laughing
5. Unusual & Cruel
6. The Fish Needs a Bike
7. Goon
8. Chaos Heart
9. Submerged Building
10. Sleazoid Psycho
11. Always at Night
12. Ladwp Hold

 

©︎Nicholas O' Donnell


アイルランドのノイズパンクカルテットNaked Lungsが、デビューアルバム『Doomscroll』を発表し、ニューシングル「Pressure」をリリースしました。Gilla BandのDaniel FoxがダブリンのSonic Studiosでレコーディングとミキシングを行った新作は、8月18日に発売されます。

 

リード・シングル「Pressure」は、バンドのベーシスト、Ryan Mortellが監督したミュージックビデオとともに本日公開されました。また、アルバムのジャケットとトラックリストは以下の通りです。


「歌詞と同じように、ビデオは不安と毒性が沸騰して、私たちが克服すべき文字通りのモンスターとして現れるというコンセプトを探求しています」とモーテルは声明で説明しています。]

 

「この感情を克服するために使うネガティブな手段を示すことで、毒性という自己実現的な予言から逃れるために人が取るかもしれない旅を探求することができます。このビジュアルは、Julia DucournauやGaspar Noeといった新フランスの過激派監督の作品に大きな影響を受けています。特にNoeの『Enter the Void』は、主人公が早すぎる死の後に自分の記憶を辿るサイケデリックな旅に突入していきます」


「Pressure」

 



  Naked Lungs 『Doomscroll』




Tracklist:

1. Gack
2. Second Song
3. River (Down)
4. Relentless
5. Shell
6. Outcome
7. Pressure
8. Database
9. The Garden
10. Boo Boo

 

©︎Fallon Frierson


ルイビルのトリオ、Womboが、新作EP『Slab』を発表し、タイトル曲のPVを公開しました。 2022年のアルバム『Fairy Rust』に続くEPは、6月9日にFire Talkからリリースされます。バンドのSydney Chadwick、Cameron Lowe、Joel Taylorが撮影したビジュアル「Slab」は、以下よりご確認ください。


「歌詞は、曲を書いてすぐに、Joelの地下室のコンクリートの壁を見つめながら描きました」とLoweは声明で説明しています。「ビデオは、文字通り地下室の壁を取り除き、代わりに薬局、シドニーの家と玄関ポーチのレプリカ、架空のベッドルーム、シドニーが見た夢についての日記など、ランダムなシーンやアイデアが流れるように開けたらどうなるかを想像しています」 


「Slab」

 

©Shawn Brackbill


スウィーピング・プロミス(Sweeping Promises)の2ndフルアルバムが発表された。『Good Living Is Coming For You』 はサブ・ポップから6月30日にリリースされる。「Eraser」は、2020年の「Hunger for A Way Out」に続く作品で、アルバムのアートワークとトラックリストは以下からチェックできる。


バンドのリラ・モンダルとカウフィールド・シュヌグによると、「Eraser」は「悪意に満ちた不気味な存在。彼女はあなたの一挙手一投足を監視し、あなたの動きを映し出し、最終的には、あなたが自分のしたことに気づかないうちに、あなたの声を利用する。彼女は抑制のきかない野心家であり、偏執狂的な少女フライデーであり、投影するよりも反映させようとする過剰な衝動なのだ。彼女は何としても阻止しなければならない」とのこと。


2021年、Sweeping PromisesはSub Popから初のシングル'Pain Without a Touch'をリリースした。

 

「Eraser」





Sweeping Promises  『Good Living Is Coming For You』 
 

Label: SUB POP

Release: 2023/6/30

Tracklist:


1. Eraser


2. Shadow Me


3. Good Living Is Coming for You


4. Connoisseur of Salt


5. Walk in Place


6. You Shatter


7. Petit Four


8. Can’t Hide It


9. Throw of the Dice


10. Ideal No