ノースカロライナのポストパンクバンド、Truth Club(トゥルース・クラブ)がニューシングル「Uh Oh」を発表した。この曲は、2ndアルバム『Running From the Chase』からの3曲目。この曲は、インディゴ・デ・ソーザ(Indigo De Souza)がゲスト・ヴォーカルを務めた前作「Blue Eternal」と「Exit Cycle」に続く作品である。この曲のリリック・ビデオは以下よりご視聴ください。
『Running From the Chase』は10月6日にDouble Double Whammyよりリリースされる。
少なくとも、シニカルなジョークを交え、斜に構えたようなスタンスで臨む彼らではあるが、ここで指摘しておきたいのは、その音楽性には他のどのバンドよりも真摯なものが込められているということ。#1「Worship The Whip」 は、パンチ力抜群のナンバーで、身構えようとするリスナーに、どでかい衝撃を与える。ガレージ・ロックのシンプルな魅力を織り交ぜて、それらをニューウェイブふうにアレンジしたコンパクトなサウンド。彼らの挨拶代わりのジャブだ。
#2「Goodtime」では、ニューウェイブとガレージ・パンクを織り交ぜた痛快なパンクサウンドが展開される。 基本的に、ジェミナ・パールのボーカルは音程を変えずに歌うという点では、スージー・スーの系譜にある。また、その声質には、突き抜けるような爽快感があり、そのボーカルを、ジョナス・スタインのプロト・パンクに触発されたシンプルなギター・リフが強化する。またジェミナ・パールのボーカルには、ロサンゼルスのXのようなファジーさもあり、また、X Ray Specsの『Adolescents』の時代のスチーム・パンクに対する親和性もある。一本調子で突き通して行くようなパンク・サウンドは、岩をも突き通すような強さがあるが、ただ、曲の中で、それらのシンプルなロックサウンドに、パールのスポークンワードの遊びの部分や、変拍子的な展開性を交えたシンガロングを誘うフレーズが加わることによって、絶妙なバリエーションがもたらされている。ガレージ・ロックファンはもとより、年季の入ったニューウェイブ・ファンをも唸らさせるような玄人好みのパンクサウンドが作り出されている。
当初、一本調子に思えた音楽は、以後、意外にも、多角的な側面を織り交ぜて展開される。#7「Rubberist」は、ボールルームのディスコをパンクという面から解釈している。そういった点では、Panic! At The Disco、The Killersのディスコパンクの再生を試みたとも考えられる。 実際、その試みは効を奏し、UKのディスコ・リバイバルのグループやソロアーティストにも比するスタイリッシュなダンス・ミュージックとして楽しめる。ノイジーなトラックの中の箸休め。バンドの引き出しの多さが伺えるが、これで手の内がすべて明らかとなったようには思えない。
#9「Hand Grenade」は序盤の収録曲とほとんど同じようなスチームパンク、カートゥーン・パンクの要素を絡めたアグレッシヴなトラックだが、序盤の曲と比べ、粗が目立つ。ただアルバムの終盤には工夫が凝らされている。#9「Drive」は、アルバムでは珍しくQueen Of The Stone Ageのヒット曲「No One Knows」を彷彿とさせる安定感のあるロック・ナンバーに取り組んでいる。ただ、ストーナー・ロックの影響はほとんど感じられず、Be Your Own Petは、よりその影響を繊細に変化させ、そして内省的な面を織り交ぜている。これらの表向きのライオット・ガールとは別の側面が、今後どのように現れてくるのかに期待すべき点がある。
ただ、これらの反商業主義的な音楽は、ロンドンというより、かつてのサンフランシスコのサイケデリックバンドや、 The Residentsのようなあほらしさがある。アホらしさというのは語弊があるかもしれないが、少なくとも現実に真っ向から挑んだら、ひとたまりもない。時に愚かである(愚かなふりをする)ことは、現実と折り合いをつけるために必要でもある。もし、シリアスな世の中を生きていく上で、愚かさという側面をなくせば、どこかで破綻をきたす。そういった考え方をすると、全く上を目指さず、下も目指さず、ましてや、どこも目指すことがなく、一般的な価値観とは全く別次元の考えを示してくれているのが、Oseesの素晴らしさなのだろう。
Oseesがスチーム・パンクから何かしらのヒントを得てたとしても驚きはない。1970年代のニューウェイブのパンクバンドはX Ray Specsを筆頭に、カートゥーン・パンクだとか、スチーム・パンクといったサブカルチャーの側面に脚光を当てていたのだったが、Oseesのサウンドも同様ではないか。それは、例えば、ニューヨークのNo WaveやProto Punkを形成するコアなパンクサウンドと密接に結びついている。それでも、例えば、D.N.Aほどにはアヴァンギャルドではないだろう。どちらかというなら、聴きやすさのあるチープなシンセ・パンク・サウンドが最新作の核心を形成している。
他にも、反商業主義的なポスト・パンクの快楽の真骨頂は、「The Fish Needs a Bike」にも見られ、ここではダンサンブルなコーラスを通じてカオティックな展開力を見せる。The Piratesのようなパブ・ロックに比する渋さ、そして、実際のパブでの馬鹿騒ぎを余さずロックサウンドの中に織り交ぜて、フットボール・チームのアンセムのような一体感を部分的に生み出している。
今、ロンドンとともに面白いバンドが次々と出てくるのがブライトンである。四人組インディーロックバンド、YONAKAも注目のグループの一つ。2014年にYONAKAは結成されたが、Bring Me Horizonのサポートアクトを務めるなど、着実にファンベースを広げている。もちろん、評論筋からも評判は良く、Kerrang!誌が2019年の新人賞にノミネートしている。
近年、Fueled By Ramenからリリースを行っていたバンドは新たにRepublic/UMGと契約を結び、よりワールドワイドな活躍の期待をその背に担うことになった。Yeah Yeah YeahsやRoyal Bloodに近い音楽性が挙げられる場合もあるようだが、サウンドの志向性はシカゴのFall Out Boyにも近い。
オープニングを飾る「By The Time You're Reading This」を見るとわかる通り、ロンドンのPale Wavesのパンキッシュな音楽性と同郷のポップスター、メイジー・ピータースのポップ性を絡めて、親しみやすいポップバンガーを作り出している。と同時に、フォール・アウト・ボーイズから受け継いだエモ・ポップの要素を絡め、パンチ力のあるバンガーを生み出すことになった。
アルバムの前半では、パンチ力のある曲で聞き手を惹きつけるが、YONAKAの魅力はそれだけにとどまらない。また「Give Me My Halo」バンドという活動形態ではありながら、テレサ・シャーヴィスのソロシンガーとしての実力が伺える。イントロはしっとりしたバラードで始まる曲は、表題に示されるように、光背が指すような神々しさのあるポップソングへと変遷を辿る。ここには一曲を大切に書こうとしているバンド/シンガーのシリアスな姿勢が伺える。それはサビの後半において清らかな結晶に変化する。そして、タイトルと曲が結びつけ、それらの抽象的な概念を聞き手の脳裏に呼び覚ますようなイメージの喚起力も持ち合わせている。
クローズ曲「Hands Off My Money」は、テレサ・シャーヴィスのシャウトにより始まり、ヴォルテージが最高潮に達する。ヤー・ヤー・ヤーズがTouch&GoからセルフタイトルのEPをリリースした頃のサウンドを彷彿とさせる、硬質なガレージロックサウンド/ポスト・パンクサウンドへとこの曲は変遷を辿ってゆく。
チェコ・プラハを拠点に活動する気鋭のポストパンクバンド、Alpha Strategy(アルファ・ストラテジー)が4曲収録の新作EP『Staple My Hand To Yours』を本日(6/8)リリースします。バンドの音楽は、Birthday Party(Nick Cave)、Gilla Band、The Jesus Lizard等が引き合いに出される。チェコでのライブ映像が公開されていますので、下記よりチェックしてみて下さい。
今回リリースされたEP『Staple My Hand To Yours』はオーディオ・スタジオにてスティーヴ・アルビニ(Steve Abini)とともにレコーディングされ、その後、シカゴのマスタリングサービスでボブ・ウェストンがマスタリングを手掛けています。
『Staple My Hand to Yours』には、前作『The Gurgler』(スティーヴ・アルビニがレコーディングを担当)がポーランドのレーベル、”Antena Krzyku”からリリースされた2018年以来となるアルファ・ストラテジーの新曲が収録されている。バンドのフロントマンである Rory Hinchey(ローリー・ヒンチー)は、このEPについて、次のようなメッセージを添えてくれました。
スティーヴ・アルビニとの『Staple My Hand to Yours』のレコーディングに加え、過去3年間でヨーロッパとカナダで50回以上のコンサートを行い、2024年にはさらに海外での公演を予定している。
彼らはまた、私の”Aww Man Radio & Concerts”に定期的に貢献しており、プラハで国内外のバンドのライブを企画し、毎月ライブ・ストリーム・ラジオ番組/ポッドキャストを配信している。
Alpha Strategy, an up-and-coming post-punk band based in Prague, Czech Republic, is releasing a new four-song EP, "Staple My Hand To Yours," today (June 8). The band's music is cited by Birthday Party (Nick Cave), Gilla Band, The Jesus Lizard, and others. A live video of the band's performance in the Czech Republic has been released, which you can check out below.
The EP "Staple My Hand To Yours" was recorded with Steve Abini at Audio Studios and mastered by Bob Weston at Mastering Services in Chicago.
Staple My Hand to Yours" includes the first new music since 2018, when the previous album "The Gurgler" (recorded by Steve Albini) was released on the Polish label "Antena Krzyku". It features new music from Alpha Strategy. Rory Hinchey, the band's frontman, added the following message about the EP.
Since the release of The Gurgler, things have changed quite a bit for the band: in 2019, the entire lineup of myself (Rory Hinchey), James McAdams, Evan Sidawy, and Dan Edwards temporarily relocated from Toronto, Canada to Berlin and toured 12 European After touring in 12 countries, they eventually all left the band and returned to Canada.
I started Alpha Strategy in 2011 as part of a solo project and wanted to keep it going, so I opted to find a new crew to continue with.
At the end of 2019, shortly after I started living in Prague, Martin Doležal (guitar - Très, Bazdesh, ex-Stinka), Filip Miškařík (drums - Hothouse, Très) and Ondřej Červený (bass - ex-. Stinka) joined us and they now form the current group with me.
In addition to recording "Staple My Hand to Yours" with Steve Albini, they have played over 50 concerts in Europe and Canada in the past three years, with more international dates planned for 2024.
They are also regular contributors to my "Aww Man Radio & Concerts," which organizes live performances of national and international bands in Prague and provides a monthly live stream radio show/podcast.
Alpha Strategy - Save Us Neris @ Wysoka Strzyżowska
スウィーピング・プロミス(Sweeping Promises)は、今週金曜日(6月30日)にリリースされるアルバムからのタイトル曲「Good Living Is Coming for You」のビデオを公開した。この曲は前作「Eraser」と「You Shatter」に続く。ジェシカ・バーズリー監督による映像は以下より。
"このビデオのために、私たちは私たちの最も親しい友人の一人である実験的な映画監督のジェシカ・バーズリー(『Life Without Dreams』、『Goodbye Thelma』)とコラボレーションしました。
さて、二作目のアルバムは、彼らの人生の曲がりくねった道を行く過程を丹念に切り取った作品である。現代のポストパンクサウンドの象徴的な部分であるシャウトは前作よりもなりをひそめることになった。しかし、その反面、繊細なギターのアルペジオ、ホーンセクションを交えたアレンジ、またメロディーラインに重点を置いて歌うことを意識したジャッジのボーカル、これらはある意味では、米国のポストロックの原点に迫るような作風となっていることが理解出来る。Squidの今作の音楽性は、オープニング曲「Swing (In A Dream)」のミニマルミュージックのアプローチを見る限り、アヴァンギャルド・ロックとも称すべきものである。
続く「The Blades」はワープらしさのある楽曲で、イントロでは、エレクトロニカの音楽性を導入し、Boards of Canada、Autechreといったテクノが最も一般的なリスナーに浸透するようになった時代のエレクトロニカを2023年に呼び覚まそうとしている。しかし、サビにかけては、ファンクの要素を絡めたポスト・ロックへと展開させる。以前のエレクトロニカの要素をどのような形でロックバンドとして昇華させるのか、レコーディングの過程の試行錯誤の痕跡が留められている。
続く「After The Flash」では、ビートルズやラーズの時代のバラードソングの系譜にあるブリットポップの影響を絡めているが、しかし、Squidが提示しようというものは、旧来のリバプールサウンドとも、その後のブリット・ポップとも違う。それは相容れないというべきか、それとも拒絶しているというべきなのかは分からないが、現代の音楽としてそれ以前の音楽を踏まえた上で、それを否定し、次の時代の音楽を示そうという意識もある。かつてキング・クリムゾンのロバート・フリップがそうであったように、前の時代の音楽を理解した上で、それを否定するという意図も見受けられる。なぜ否定するのかと言えば、否定し壊させねば新しいものが生み出されないからである。これはロックにとどまらず、純正音楽の世界でも同じことなのだ。
さらに、彼らはエレクトロニカを期待して、このアルバムを聞こうとするリスナーに対して、フォークもなかなか良いという感想を持ってもらえれば、と同じく上記のDIYの取材で話しているが、その言葉は最後になってようやく理解できる。セカンドアルバムを締めくくる「If You Had Seen The Bull~」では、Squidがアヴァンギャルドなフォーク・ミュージックへと挑戦した瞬間が刻印されている。一貫してノイジーな印象のある『O Monolith」は、この最後の静かで瞑想的な曲が収録されていることもあって、奇妙なバランスに支えられた良作に仕上がっている。
SFのようなコミカルな世界観、AKIRA風のアニメーションのアルバムジャケットとMV、エレクトロニックの周りを縦横無尽に駆け巡る次世代のシンセ・ポップ。今年、マタドールと契約を結んでニューアルバムを発表したネイト・エイモスとレイチェル・ブラウンによるWater From Your Eyesには様々な呼称が与えられて然るべきだろう。とにかく彼らが志すのは、次世代のシンセ・ポップで、近未来のエレクトロニックである。しかし、その中にはB級映画のようなニッチな二人の興味や好奇心が取り巻き、それらがなんとも良い味を出しまくっているのである。
その後、アルバムはよりポストパンク性の強い展開へと結びつき、「Out There」では同じようにレトロな音色のリードシンセとディスコポップを融合させ、聴きやすく親しみやすい音楽で初見のリスナーを魅惑する。金属的なパーカッションはシンセで構成されるが、ここにデュオの『No New York』に近い旧来のニューヨークのナンセンスなポスト・パンクへのコアな偏愛も読み解くことが出来る。さらにこの曲で手の内をさり気なくみせておいた上で、ノイズパンクの要素は「Open」でより顕著になる。ここではUKのニューウェイブに対するNYのノーウェイブの残映を旧来のリスナーは捉えることに成功することだろう。しかし、それは実験的ではあるが、その音楽は飽くまでポピュラーミュージックの範疇に留められていることが肝といえるのだ。
アルバムの終盤になると、中盤までのポスト・パンクデュオとしての性質はいくらか薄れ、「14」には現代音楽に近いアプローチが取り入れられている。ストリングスとシンセサイザーのオシレータートーンが織りなす奇妙なエモーションは、レイチェル・ブラウンの同じような繊細かつふてぶてしさのあるボーカルにより、ダイナミクスは最大限に高められていく。このトラックはアルバムの中でもデュオがアヴァン・ポップに最接近した瞬間となろう。しかし、そのドラマティックな展開も束の間、最後の「Buy My Product」ではふてぶてしいポスト・パンクへと立ち返るのが素晴らしい。センスのみならず実力も兼ね備えたブルックリンのデュオの最新作に注目すべし。
イギリスのポストパンクバンド、OSEESは、In the Redから8月18日にリリースされる予定の新作『Intercepted Message』を発表しました。バンドの『Live At Levitation』(2012年)のリリースに合わせた本日の発表には、アルバムのタイトル・トラックが収録されています。以下、そのビデオをチェックしてみてください。
「この感情を克服するために使うネガティブな手段を示すことで、毒性という自己実現的な予言から逃れるために人が取るかもしれない旅を探求することができます。このビジュアルは、Julia DucournauやGaspar Noeといった新フランスの過激派監督の作品に大きな影響を受けています。特にNoeの『Enter the Void』は、主人公が早すぎる死の後に自分の記憶を辿るサイケデリックな旅に突入していきます」
スウィーピング・プロミス(Sweeping Promises)の2ndフルアルバムが発表された。『Good Living Is Coming For You』 はサブ・ポップから6月30日にリリースされる。「Eraser」は、2020年の「Hunger for A Way Out」に続く作品で、アルバムのアートワークとトラックリストは以下からチェックできる。