©︎Ed Cooke


ザ・リバティーンズがニューシングル「Shiver」をリリースした。先日、アナウンスされたばかりの新作アルバム『All Quiet On The Eastern Esplanade』のカット。3月8日にリリースされるこのアルバムは、シングル「Night Of The Hunter」「Run, Run, Run」で予告されている。メンバーが出演するモノクロトーンのクールなミュージックビデオは下記よりご覧下さい。


カール:   ピーターが曲を持っていて、僕が曲を持っていて、それをマッシュアップしてコラボレーションしたんだ。


ピーター:  というのも、僕たちふたりはこの曲ができるまでずっとその場にいたからね。本当は "The Last Dream Of Every Dying Soldier "と呼ぶべきなんだろうけど、みんな "Shiver "というタイトルが気に入ったのさ。


この曲は、ストリングスの入ったメロディックなインディー・ロックのサウンドスケープの上で、2人のギタリスト=ヴォーカリストが滑らかで熱のこもった語りかけるようなヴォーカルを披露している。アレキサンダー・ブラウンが監督したMVは、マーゲートで行われる真珠のような王の葬儀を中心に展開し、前2曲のビデオに登場した人物がニュー・アルバムのスリーブ・アートにも登場している。


2015年の「Anthems For Doomed Youth」に続く新作は、3月8日に発売される。彼らは、1月24日のストックトン・オン・ティーズから始まる親密な会場を回るUKツアーでこのアルバムをプレビューする。


「Shiver」

 

 

 

レビューは以下よりお読み下さい。
 
New Album Review-  The Libertines 『All Quiet On The Eastern Esplanade』

 

 

©Joelle Grace Taylor

 

ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)はプロデューサー兼マルチ・インストゥルメンタリストのレオン・ミシェルズとコラボレートした9枚目のスタジオアルバム『Visions』をブルーノートから3月8日にリリースする。リード・シングル「Running」も公開された。


本作は、2021年にリリースされたノラ初のクリスマス・アルバム『アイ・ドリーム・オブ・クリスマス』も手掛けたリオン・マイケルズがプロデュースを担当した。


オリジナル・アルバムとしては2020年の『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』以来約4年振りとなる本作では、ほぼ全てのパートをノラとリオンの2人でレコーディングしている。収録されている12曲は、自由を感じること、踊りたくなること、人生がもたらすものを受け入れることなど活気に溢れポジティヴな内容に満ちている。


ダウンホームでアーシーなサウンドも印象的であり、懐かしい雰囲気ながらもどこか新しさを感じさせる。これまでの作品には無かったノラの新たな一面を感じ取れる、必聴の仕上がりだ。


本作、そして第1弾シングルとなった「ランニング」について、ノラは「私がアルバムを『ヴィジョンズ』と名付けたのは、多くのアイデアが真夜中か寝る直前の瞬間に思いついたからで、「ランニング」は半分眠っているのに、ちょっと目が覚めたような気分になる曲のひとつだった。ほとんどの曲は、私がピアノかギターで、リオンがドラムを叩いて、ただジャムるというやり方で作っていった。 その生々しさが好きで、ガレージっぽいけどソウルフルな感じになったと思う。それがリオンのサウンドの原点だし、完璧すぎないというのも魅力のひとつだしね」と語っている。

 

 

「Running」

 

 

 

日本盤には、2023年6月にリリースされたシングル「キャン・ユー・ビリーヴ」をボーナス・トラックとして収録。さらに限定盤、シングルレイヤーSACD~SHM仕様といった形態も日本盤のみで同時発売される。

 

ノラ・ジョーンズは2021年にクリスマス・アルバム『I Dream Of Chrismas』をリリースした。以後、昨年末にはLaufeyとのコラボレーションを行い、クリスマスソングをライブで披露した。



Norah Jones 『Visions』


Label: Blue Note

Release: 2024/03/08

 

Tracklist:

 

All This Time

Staring at the Wall

Paradise

Queen of the Sea

Visions

Running

 

I Just Wanna Dance

I’m Awake

Swept Up in the Night

On My Way

Alone With My Thoughts

That’s Life


Pre-order/Pre-save:


https://norah-jones.lnk.to/Visions


 


サム・エヴィアンがニューアルバム『Plunge』を発表し、そのファーストシングル「Wild Days」を公開した。


『Plunge』は、Flying Cloud RecordingsとThirty Tigersから3月22日にリリース。CJ Harveyが "Wild Days "のビデオを監督。アルバムのトラックリスト、ジャケットアートワークは以下の通り。


エビアンは、ニューヨーク州北部のキャッツキルズにあるフライング・クラウド・スタジオで、リアム・カザー、ショーン・マリンズ、パレハウンドのエル・ケンプナー、ビッグ・シーフのエイドリアン・レンカーなど、様々な友人やコラボレーターと共にアルバムをレコーディングした。


「誰も曲も計画も知らなかった。ゆるく、楽しく。これがセッションの精神だ。ヘッドフォンなし、プレイバックなし、オーバーダブもブリードも最小限。速く、ルーズに」とエビアンはプレスリリースで語っている。


「ギターで弾いて歌えるように曲を書いたんだ。本当に集中した、クラシックな曲にしたかったんだ」と彼はさらに説明する。


「ワイルド・デイズ」はエビアンの母親の視点から書かれたもので、『プランジ』全体を通して、エビアンは「クリエイティブなミュージシャンである両親の目線から、彼らの複雑な愛の物語をたどり、彼自身の考察を加えて書いている。 

 

 

「Wild Days」


 

 

 ・『Plunge』  ニューヨークの若手シンガーによるフォークロックの新曲


 

サム・エヴィアン(Sam Evian)は、Flying Cloud Recordings/Thirty Tigersから新作アルバム『Plunge』を3月22日にリリースする。今回、エヴィアンはアルバムのセカンド・シングル「Rollin' In」のミュージックビデオを公開した。映像はCJハーヴェイが監督。以下よりご視聴ください。


サム・エヴィアンはプレスリリースでこのニューシングルについて次のように語っている。


「この曲は思い出の箱であり、ついで、瞑想でもある。私はノースカロライナのクリスタル・コーストで育ち、母から受け継いだ習慣で、自分自身と交感するためによく海に行ったものだ」


この本は、私の人生のその時期を反映したものであり、それからの数年間で私がどのような人間になったかを表している。シンプルな人間関係をテーマに書き始めて、すぐに自分自身と、自分がこうなると思っていた理想的な自分と現在の自分を比べて幻滅しているのを検証していることに気づいた。


当初はサックス・ソロを入れるつもりはなかったんだけれど、ミックスを終えた日にウェイン・ショーターが亡くなったので、最後の最後に入れようという気になった。彼の繊細さ、叙情性、抑制に敬意を払おうと最善を尽くした。大きな波が打ち寄せるような感じにしたかったんだ。

 

 

「Rollin In」

 

 

 「Stay」

CJ Harvey
 

ニューヨークのシンガーソングライター、サム・エビアン(Sam Evian)は、近日発売予定の新作アルバムの3作目のシングル「Stay」を発表した。


「"Stay”は一気にガーっと出てきた曲なんだ。ウッドストックのヤードセールで買った12弦アコースティックから取り出した。そのコードを弾くのを何年も待っていたような感じだ。当時、私はKinksのレコード『Lola Versus Powerman』のアコースティックギターとドラムの音に夢中になっていた」

 


「Stay」

 





Sam Evian 『Plunge』



Tracklist:


1. Wild Days

2. Jacket

3. Rollin’ In

4. Why Does It Take So Long*

5. Freakz

6. Wind Blows

7. Another Way

8. Runaway

9. Stay

PACKS


 

PACKSの名義で音楽を制作するトロントのマデリン・リンクは、常に周囲の環境にインスピレーションを見出してきた。最新作『Melt the Honey』(1年ぶり2作目のフルアルバム)の制作にあたり、彼女はこれまでの作品に影響を与えてきた平凡な空間を超えたところに目を向けたいと考えた。


昨年3月の11日間、リンクと彼女のバンドメンバー(デクスター・ナッシュ(ギター)、ノア・オニール(ベース)、シェーン・フーパー(ドラムス))は、メキシコ・シティに再び集まった。2020年にカーサ・リュでアーティスト・イン・レジデンスを行ったことのある彼らにとって思い入れのある場所でもある。PACKSは、スタジオを借りて新曲を練習し、メンバーそれぞれが美的感覚を持ち寄った。そこからバスでハラパに移動したのち、メキシコ・シティで著名な劇場兼音楽ホール、テアトロ・ルシドの構想者であるウェンディ・モイラが所有・運営する、都会の喧騒から切り離された建築物、「カサ・プルポ」と呼ばれる家で残りの海外滞在期間を過ごした。


『メルト・ザ・ハニー』の制作は、2021年のデビュー作『テイク・ザ・ケイク』から参加しているミュージシャンたちが再び集結し、共同作業を行った。レコーディングに感じられる活気の一部は、マデリン・リンクの人生の根底にある感情の変化、恋に落ちたことにも由来しているという。長い間ひとりでやってきたことで、リンクはようやく、自分が大切にされていることを知ることで得られる安らぎを受け入れている。


「これらの曲は、今まで書いたどの曲よりもハッピーというか、楽観的なんだ」とリンクは言う。このアルバムのタイトルは、チリのビーチ・タウンで書かれたシングル曲「Honey」に由来している。マデリン・リンクはこのような感情の中で過ごし、ロマンチックなパートナーと家を共有し、誰かがそばにいるという視点を通して、人生をよりスムーズに経験できるようにしていた。リンクがより幸せな心境にある一方、『メルト・ザ・ハニー』は彼女の感情を徹底して掘り下げ、新たな音の領域を開拓している。Pearly Whitesのスカジーなシューゲイザーから "AmyW "のサイケなテクスチャーの間奏曲に至るまで、『Melt the Honey』は最も磨き上げられたアルバムとなった。

 


PACKS  『Melt the Honey』‐ Fire Talk


 

ここ10年ほど、「米国のオルタナティヴ・ロック」という音楽の正体について考えてきたが、ひとつ気がついたことがある。「ALT」という言葉には「亜流」という意味があり、主流に対するアンチテーゼのような趣旨が込められている。ひねりのあるコードやスケール、旋律の進行に象徴される音楽というのが、このジャンルの定義付けになっている。しかし、ひねりのあるコードやスケールを多用したとしても、米国のオルタナティヴの核心に迫ることは難しい。

 

なぜなら、オルタナティブというジャンルには、多彩な文化の混交やカントリー/フォークのアメリカーナ、合衆国南部の国境周辺からメキシコにかけての固有の文化性や音楽が含まれているからなのだ。つまり、The Ampsのキム・ディールやPixiesのジョーイ・サンティアゴが示してきたことだが、米国南部の空気感やメキシコの文化性がオルタナティヴというジャンルの一部分を構成し、それがそのまま、このジャンルの亜流性の正体ともなっているのである。


PACKS(マデリン・リンク)は正確に言えば、カナダのアーティストであるが、バンド形態で米国のオルタナティヴという概念の核心に迫ろうと試みている。メキシコ・シティにバンドメンバーと集まり、ウェンディ・モイラが所有・運営する、都会の喧騒から切り離された建築物、「カサ・プルポ」を拠点として、レコーディングを行ったことは、東海岸のオルタナティヴロック・バンドとは異なる米国南部、あるいはメキシカーナの雰囲気を生み出す要因となった。それはまた、Nirvanaに強い影響を及ぼし、MTV Unpluggedにも登場したMeat Puppetsのセカンドアルバム『Ⅱ』に見受けられるアリゾナの独特な雰囲気ーーサボテン、砂漠、カウボーイハット、荒れ馬、度数の強いテキーラーーこういったいかにもアメリカ南部とメキシコの不思議な空気感が作品全体に漂っている。たとえそれがステレオタイプな印象であるとしても。


そして、マデリン・リンクのボーカルには、ほどよく肩の力が抜けた脱力感があり、Big Thiefの主要なメンバーであるバック・ミーク、エイドリアン・レンカーのように、喉の微妙な筋力の使い方によって、ピッチ(音程)をわざとずらす面白い感じの歌い方をしている。一見すると、アデルやテイラー・スフィフトの現代の象徴的な歌手の歌い方から見ると、ちょっとだけ音痴のようにも聞こえるかもしれない。しかし、これは「アメリカーナ」の源流を形作るフォーク/カントリー、ディキシーランドの伝統的な歌唱法の流れを汲み、このジャンルの主要な構成要素ともなっている。そしてこれらのジャンルを、スタンダードなアメリカンロックや、インディーズ色の強いパンク/メタルとして濾過したのが米国のオルタナティヴの正体だったのである。

 

オープニングを飾る「89  Days」は、上記のことを如実に示している。PACKSは、アーティストが描く白昼夢をインディーロックにシンプルに落とし込むように、脱力感のあるライブセッションを披露している。


それは、現代社会の忙しない動きや無数に氾濫する情報からの即時的な開放と、粗雑な事物からの完全な決別を意味している。ボーカルは、上手いわけでも洗練されているわけでもなく、ましてや、バックバンドの演奏が取り立てて巧みであるとも言いがたい。それでも、ラフでくつろいだ音楽が流れ始めた途端、雰囲気がいきなり変化してしまう。ビートルズのポール・マッカートニーの作曲性を意識したボーカルのメロディー進行、インディーフォーク、ローファイに根ざしたラフなアプローチは、夢想的な雰囲気に彩られている。そのぼんやりとした狭間で、ヨット・ロックへの憧れや、女性らしいロマンチズムが感情的に複雑に重なり合う。そして、現代的な気風と、それとは相反する古典的な気風が溶け合い、アンビバレントな空気感を生み出す。

 

本作のタイトル曲代わりである「Honey」においても、マデリン・リンクとバンドが作り出す白昼夢はまったく醒めやることがない。

 

アーティストのグランジロックに対する憧れを、ビック・シーフのようなインディーフォークに近い音楽性で包み込んだ一曲である。そしてその中には、アリゾナのミート・パペッツのようなサイケやアメリカーナ、メキシカーナとサイケデリックな雰囲気も漂う。内省的で、ほの暗い感覚のあるスケールやコード進行を用いているにもかかわらず、曲の印象は驚くほど爽やかなのだ。


一曲目と同様、PACKのバンドの演奏は、ラフでローファイな感覚を生み出すが、それ以上にマデリン・リンクの声は程よい脱力感がある。それがある種の安らいだ感覚をもたらす。これらの夢想的な雰囲気は、ラフなギターライン、ベース、ドラム、そして、ハモンドオルガンによって強化される。 

 

「Honey」

 



「Pearly Whites」でも、ミート・パペッツを基調とした程よく気の抜けたバンドサウンドとグランジの泥臭いロックサウンドが融合を果たす。マデリン・リンクのボーカルは、Green River、Mother Love Bone、Pavementといったグループのザラザラとした質感を持つハードロック、つまりグランジの源流に位置するバンドが持つ反骨的なパンク・スピリットを内包させている。そして、これらのヘヴィ・ロックのテンポは、ストーナー・ロックのようにスロウで重厚感があり、フロントパーソンの聞きやすいポピュラーなボーカルと鋭いコントラストを描いている。ボーカルそのものは軽やかな印象があるのに、曲全体には奇妙な重力が存在する。ここに、バンド、フロントマンの80年代後半や90年代のロックに対する愛着を読み取ることができるはずだ。しかし、この曲がそれほど古臭く感じないのは、Far Caspianのような現代的なローファイの要素を織り交ぜているからだろう。

 

ローファイの荒削りなロックのアプローチは、その後も続いている。先行シングルとして公開された「HFCM」は、「ポスト・グランジ」とも称すべき曲であり、『Melt The Honey』のハイライトとも言える。Mommaの音楽性を思わせるが、それにアンニュイな暗さを付加している。相変わらずマデリン・リンクのボーカルには奇妙な抜け感があり、ファジーなディストーションギターとドラム、ベースに支えられるようにして、曲がにわかにドライブ感を帯びはじめる。楽節の節目にブレイクを交えた緩急のあるロックソングは、リンクのシャウトを交えたボーカルとコーラスにより、アンセミックな響きを生み出すこともある。曲のアウトロでは、ファジーなギターが徐々にフェイドアウトしていくが、これが奇妙なワイルドさと余韻を作り出している。

 

「Amy W」は、インストゥルメンタルで、Softcult,Winter、Tanukicyanのような実験的なシューゲイズバンドのサウンドに近いものが見いだせる。その一方で、ニューヨークのプロトパンクの象徴であるTelevision、Stoogesのようなローファイサウンドの影響下にあるコアな演奏が繰り広げられる。ギターラインは、夢想的な雰囲気に彩られ、ときにスコットランドのMogwaiのような壮大なサウンドに変化することもある。たしかに多彩性がこの曲の表面的な魅力ともなっているが、その奥底には、鋭い棘のようなパンク性を読み解く事もできる。そして、この曲でも前曲と同じように、アウトロにフェードアウトを配することで、微かな余韻を生み出し、80年代後半と90年代のロックのノスタルジックな空気感を作り出す。この曲のプロダクションは、アナログの録音機材によるマスタリングが施されているわけではないと思われるが、バンドサウンドの妙、つまりリズムの抜き差しによってモノラルサウンドのようなスペシャルな空気感を生み出している。これぞまさしく、ボーカリストとPACKSのメンバーが親密なセッションを重ねた成果が顕著な形で現れたと言えるだろう。

 

 

このアルバムには、80年代、90年代のオルト・ロックからの影響も含まれているが、他方、それよりも古い、The Byrds、Crosby Still& Nash(&Young)のようなビンテージ・ロックの影響を織り交ぜられることもある。


「Take Care」は、70年代のハードロックの誕生前夜に見られるフォーク/カントリーにしか見出せない渋さ、さらに泥臭さすら思わせるマディーなロックサウンドが、エイドリアン・レンカーの影響をうかがわせるマデリン・リンクの力の抜けたボーカルと合致し、心地よい空気感を生み出す。


そして、リンクのボーカルは、ファニーというべきか、ファンシーというべきか、夢想的で楽しげな雰囲気に彩られる。これがアンサンブルに色彩的な変化を与え、カラフルなサウンドを生み出す。クラフトワークのエミール・シュルトのように「共感覚」という言葉を持ち出すまでもなく、一辺倒になりがちな作風に、リンクのボーカルが、それと異なる個性味を付け加えている。それがこの曲を聴いていると、晴れやかな気分になる理由でもあるのかもしれない。

 

グランジとフォークの組み合わせは、「Grunge-Folk」とも呼ぶべきアルバムの重要なポイントを「Her Garden」において形作る。破れた穴あきのデニムや中古のカーディガンを思わせる泥臭いロックは、Wednesdayの最新アルバムに見いだせるような若い人生を心ゆくまで謳歌する青臭さという形で昇華される。それらが、上記の70年代のビンテージ・ロック、ローファイ、サイケという3つの切り口により、音楽性そのものが敷衍されていき、最終的にPACKにしか作り出せない唯一無二のオルタナティヴ・ロックへと変化していく。この曲も取り立てて派手な曲の構成があるわけではないが、ビンテージなものに対する憧憬がノスタルジックな雰囲気を作り出す。


 「Her Garden」

 


マデリン・リンクは驚くべきことに、ミート・パペッツやニルヴァーナのボーカリストの旋律の進行や事細かなアトモスフィアに至るまで、みずからのボーカルの中にセンス良く取り入れている。なおかつ、その底流にある「オルタナティヴ」という概念はときに、成果主義や完璧主義というメインストリームの考えとは対極にある「未知の可能性」を示唆しているように感じられる。


「Paige Machine」は、サイケ・ロックを和やかなボーカルでやわらかく包み込む。そしてこの曲には、ミートパペッツのようなメキシカンな雰囲気に加え、ピクシーズのような米国のオルタナティヴの核心をなすギターライン、ピンク・フロイドの初代ボーカリストであるシド・バレットが示したサイケデリック・フォークという源流に対する親和性すら見出す事もできなくもない。


続く「Missy」は 、ファニーな感覚を擁するインディーロックソングにより、PACKSが如何なるバンドであるのかを示している。ここでも、バンドとボーカリストのマデリン・リンクは、夢想的とも称すべき、ワイアードなロマンチシズムをさりげなく示す。きわめつけは、「Trippin」では、バレットの「The Madcaps Laughs」の収録曲「Golden Hair」に象徴される瞑想的なサイケ・フォークの核心に迫り、それをアメリカーナという概念に置き換えている。

 

「Time Loop」でアルバムはクライマックスを迎える。クローズ曲は、ビンテージな音楽から、モダンなインディーフォークのアプローチに回帰する。派手なエンディングではないものの、本作のエンディングを聞き終えた時、映画「バグダッド・カフェ」を見終えた後のような淡いロマンを感じる。


PACKSのバンドのラフなライブ・セッション、マデリン・リンクのファニーなボーカルは、アルバムの冒頭から最後まで一貫して、「白昼夢」とも呼ぶべき、心地良い空気感に縁取られている。そして、Fire Talkのプレスリリースに書かれている「平凡な空間を越える」という表現については、あながち脚色であるとも決めつけがたい。アルバムのクライマックスに至ると、フォーク/カントリーの象徴的な楽器であるスティール・ギターのロマンチックでまったりとした感覚を透かして、アリゾナの砂漠、サボテン、カウボーイハット、それらの幻想の向こうにあるメキシコの太陽の眩いばかりの輝きが、まざまざと目に浮かび上がってくるような気がする。

 

 

「Paige Machine」

 

 

 

85/100

 

 

PACKSのニューアルバム『Melt The Honey』は”Fire Talk”より本日発売。アルバムのご購入はこちら、Bandcampから。

 





先週のWeekly Music Featureは以下よりお読みください:

 


CHAIが次回ツアー後に約12年の活動に終止符を打つ。「CHAIは、今後の日本ツアーをもって、NEO KAWAII(=バンドとしての決別)を永遠のものとすることをお知らせするのがとても残念です 」とバンドはソーシャルメディアに綴った。「CHAIがいつも言ってきたように、セルフラブ(自己愛)の旅を続けるために、そして自分たち自身の個人的なヴィジョンを叶え続けるために、私たちは別々の道を歩むことに決めました。この知らせで皆さんを驚かせてしまい、とても残念に思っています」


「CHAIが世界中を旅することができたのは、皆さまのご支援のおかげです。皆さまからいただいた愛と勇気には、感謝してもしきれません。「メンバーそれぞれが、それぞれのやり方でNEO KAWAIIを代表し、広めていきますので、これからも応援よろしくお願いします。TEN-KYUUU、本当にありがとう!」


一卵性双生児のマナ(Vo/Key)とカナ(Gt)は、2012年、ドラムのユナ、ベース・作詞のユウキとともに、4人全員がまだ高校生だったCHAIを結成。2015年のデビューEP『ほったらかしシリーズ』に続き、4枚のアルバムを発表した。PINK、PUNK、WINK、CHAIの4枚のアルバムを発表し、後者2枚はSub Popからリリースされた。


CHAIのフェアウェルツアーは1月28日の札幌公演に始まり、3月2日の郡山で締めくくられる。声明は下記より。


 


ベルギー/ゲントを拠点に活動するシンガーソングライター、ボリス・ププル(Bolis Pupul)が新曲「Spicy Crab」でデビュー・アルバム『Letter to Yu』を予告した。以下よりチェック。


シンガーソングライターとは、テーマを探すものではなく、テーマに出会わざるを得ない存在である。

 

それぞれ歌手は違う事柄を歌う。一方で、歌手はその時々の切実なテーマをみずからの作るメロディーに乗せて歌わなければならない。それは楽しいものから、それとは正反対に苦しみまで様々なものがある。それと同様に、ボリス・ププルによるアルバム『Letter to Yu』は、ヨーロッパ社会に生きるアジア系の「ディアスポラ」として生きることがテーマに絞られている。アルバムはソウルワックスと共に制作され、DEEWEE/Becauseから3月8日にリリースされる。

 

最初の先行シングルとして、ハーフとして生きることの苦悩を歌った「Completely Half」が公開された。 

 

 

「Spicy Crab」

©︎Germaine Dunes

Adrianne Lenkerがニューアルバム『Bright Future』を発表した。ビッグ・シーフのバンドリーダーであるエイドリアン・レンカーが、2020年に発表した楽曲とインストゥルメンタルに続く新作は、3月22日に4ADからリリースされる。


日本ではビックシーフのボーカリストとして知名度の高いレンカーではあるが、以前からソロアーティストとしても良質なインディーフォークを制作し、アルバムも発表している。


先に発表された「Ruined」とビッグ・シーフの「Vampire Empire」のオリジナル・レコーディングに加え、ニュー・シングル「Sadness as a Gift」が収録される。アルバムのジャケットとトラックリストは以下の通り。


フィリップ・ワインローブが共同プロデュースしたブライト・フューチャーには、ニック・ハキム、マット・デヴィッドソン、そしてアナログ・スタジオのダブル・インフィニティでレンカーに加わったジョセフィン・ルンスティが参加している。


「レコーディング・プロセスについて、レンカーは声明で述べている。「みんなの神経系が解放された感じだった。  「曲の中に入ったら、なぜかわかったんだ。誰もテイクを止めなかった。聞き返すこともなかった。他のみんなが帰ってから聴いただけさ」






「Fool」

Adrianne Lenkerはニューシングル「Fool」をリリースしました。3月22日に4ADからリリースされる『Bright Future』のサードシングルです。


レンカーの得意とするアメリカーナやフォークとは異なるエレクトロカ/フォークトロニカ風のアプローチはビックシーフの音楽性にも親和性が求められるかもしれません。先行リリースされた「Ruined」、「Sadness as a gift」に続くニューシングル。


『Fool』はアルバムのために最初にレコーディングされた曲のひとつ。「この曲を聴き返すと、彼女の笑いや微笑みが聞こえるような気がします」とプロデューサーのフィリップ・ワインローブは声明で述べています。


「喜びが伝わってきます。エイドリアンヌが、人間の経験における他のあらゆる感情と同じように、抑えきれない恍惚とした幸福感を巧みに表現できることを忘れてしまいがち。暖炉は熱く、オソは吠え、雰囲気もちょうどよかった。この一枚を撮った後、特別なレコードが作れると思ったんだ」


『Bright Future』はレンカーにとって2020年の『ソングス&インストゥルメンタルズ』以来となるアルバム。フィリップ・ワインローブとの共同プロデュースに加え、ニック・ハキム、マット・デビッドソン、ジョセフィン・ルンステンらが参加しています。


ブライト・フューチャーでは、フレーズの転回と韻の流れで知られるソングライター、エイドリアン・レンカーが、"You have my heart // I want it back. "とさらりと言う。アナログ的な正確さで記録されたこの作品は、コラボレーションの実験として始まったが、エイドリアン・レンカーのハートが未知の世界へ果敢に挑み、満タンになって戻ってきたことを証明するものとなりました。


2022年の秋、ビッグ・シーフのバンド・メンバーは幸運に恵まれた。みんなが来てくれた。3人の音楽仲間は、多忙なツアースケジュールの合間を縫い、森に隠されたアナログ・スタジオ、ダブル・インフィニティで彼女に合流しました。ハキム、デヴィッドソン、ランスティーンというミュージシャンたちは、エイドリアンヌには知られていたが、お互いに面識はなかったようです。 


「結果がどうなるのか、まったく想像もつきませんでした」とレンカーは振り返っています。そして、エイドリアンヌの音楽的な結果は、ファースト・アルバム『ブライト・フューチャー』に示されることになった。


「Fool」

 
 
・Adrianne Lenker(エイドリアン・レンカー)の新作アルバム『Bright Future』は3月22日にWeekly Music Featureとしてご紹介しています。
 
 
 


 

Adrianne Lenker 『Bright Future』



Label: 4AD
Release: 2024/03/22



Tracklist:

1. Real House
2. Sadness As A Gift
3. Fool
4. No Machine
5. Free Treasure
6. Vampire Empire
7. Evol
8. Candleflame
9. Already Lost
10. Cell Phone Says
11. Donut Seam
12. Ruined

 

©Eleanor Petry


意外なコラボレーションが実現した。イギリス国内のポップスシーンの有望株として注目を集めるClaud、そして、バーモント出身のソロシンガー、Lutaloがタッグを組み、ニューシングル「Running」をリリースした。

 

プレスリリースでこの曲は次のように説明されている。複雑な親子関係について歌われ、もしかすると、コラボした両アーティストに共通するテーマであるのかもしれない。

 

「"Running”は、ストレスのある親子関係に焦点を当てています。子供が無視されていると感じ、親がそれを気にかけなければならないと感じるほど問題が大きいと判断された時だけ認められるという話です。このような相互作用の中には苦痛と憤りがあるわけですが、それでも子どもは親の関心を求めて手を伸ばす。ただ、失望させられて、突き放され続けるだけなのです」


「この曲で私が目指したのは、ノスタルジックなインディ・ポップ・トラックのようなものを作ることだった」とルタロは続けた。

 

「クラウドはそのアイディアにぴったりの声を持っていて、その役割をうまく果たしてくれた。彼らは私が目指していた方向性とフィーリングを理解し、本当に実現してくれた。プロデューサーとしての柔軟性を示すだけでなく、キャッチーでリスナーが楽しめるようなものが欲しかった」


Lutalo(ルタロ)は2022年にデビューEP『Once Now, Then Again』をリリースし、それに続くEP『AGAIN』をWinspearからリリースした。昨年、彼らはロメルダとトラック「Darkeve Duet」でコラボした。彼らは、アンディ・シャウフをサポートするツアーに出発する。


「Running」


コンデナスト社は、音楽雑誌『Pitchfork』を男性誌『GQ』に統合するため、スタッフを解雇すると発表した。


コンデナストのチーフ・コンテンツ・オフィサーであるアナ・ウィンターは、水曜日にスタッフに宛てたメモでこの決定を発表し、次のように書いている。


ーーこの決断は、Pitchforkの業績を慎重に評価した上で、私たちの音楽報道を社内で継続的に繁栄させるため、ブランドにとって最善の道であると私たちが考えた結果ですーー


ーーPitchforkとGQの両社は、音楽ジャーナリズムに対するユニークで価値あるアプローチ方法を持っており、私たちは共に新たな可能性に興奮していますーー


ーーこの組織変更に伴い、Pitchforkの仲間の何人かが今日、会社を去ることになります。その中には、2018年から同サイトの編集長を務めてきたプジャ・パテルも含まれているーー


ピッチフォークは1996年にライアン・シュライバーによって独立系音楽ブログとしてミネアポリスで設立された。当初、ターンテーブルというサイト名だったが、後にピッチフォークに改名した。以後、拠点をシカゴに移し、2010年代にはミュージック・フェスを開催し、米国の象徴的なミュージックマガジンに成長した。2015年、同社はコンデナストに買収された。昨年秋、コンデナストCEOのロジャー・リンチは、同社が約5%の人員削減を計画していると述べた。


ピッチフォークの創業者であるライアン・シュライバー氏はXに次のように書き込んだ。


ーーコンデナストがピッチフォークをリストラし、長年/数十年にわたり運営に不可欠だった何人かを含め、多くのスタッフを解雇するというニュースを聞いて、非常に悲しく思っていますーー


ニューヨーク・ニューズギルドに属するピッチフォーク・ユニオンは声明で次のように述べた。


ーーピッチフォーク・ユニオンとニューヨーク・ニュースギルドは、水曜日にコンデナスト社が発表した、ピッチフォークを『GQ』誌に "統合 "する社内組織再編の一環として、ギルドを代表するメンバー8人を解雇する計画であることを断固として非難する。コンデナスト社は、この一流音楽出版社の将来について、それ以上の情報を提供せずに、同社の成功に貢献してきた労働者に対する配慮の欠如を改めて示したーー


Boecknerとして活動するダニエル・ベックナー(ウルフ・パレード、オペレーターズ、ディヴァイン・フィッツ、ハンサム・ファーズ)が、セルフタイトルに感嘆符を加えたソロ・デビューアルバムを発表した。新作アルバム「Boeckener!」は3月15日にSub Popからリリースされる。


『Boeckner!』は、ニューヨークのCircular RuinでRandall Dunnがプロデュース、エンジニア、ミックスを担当し、ブルックリンのHeba Kadryがマスタリングを担当。ドラムにマット・チェンバレン、ギター/ヴォーカルアレンジを担当したメディシンのブラッド・レイナー、そして「Dead Tourists」を共作したレーベルメイト、Kiwi Jr.のジェレミー・ゴーデをフィーチャーしている。

 

「このレコードは自伝のようなもので、アトラスの戦略的な音楽、具体的なシンセの爆発、オペレーターズの瑞々しいシンセ、ハンサム・ファーズのノイズギター、シュトックハウゼンからトム・ウェイツまで、あらゆるものから影響を受けている」


「特に、彼がプロデュースした”Sunn0)))”のレコードはずっとファンだった。ランダルと仕事をすることで、抑圧されていた音楽的衝動が解き放たれた。プライベートでは楽しんでいるけれど、普段は自分がリリースする作品には織り込まない、オカルト的なシンセや疑似メタル、クラウトロック、ヘヴィ・サイケの影響などに影響を受けている」

 

アルバムのリードシングルとして「Lose」が公開された。パルス状のレトロなシンセとベックナーの熱狂的なボーカルが合致し、独特な雰囲気を醸し出す。そのワイアードなパッションは、アルバート・ハモンド・Jr.のソロ作に比するものがある。ロック本来のダサかっこよさの魅力が極限まで引き出された痛快なニューシングル。今週のベストニュートラックスとしてご紹介します。

 

 

「Lose」

 



Boeckner 『Boeckner!』


Label: SUB POP

Release: 2024/03/15

 

Tracklist:


1. Lose

2. Ghost in the Mirror

3. Wrong

4. Don’t Worry Baby

5. Dead Tourists

6. Return to Life

7. Euphoria

8. Holy Is the Night

 

 

Pre-order:

 

https://music.subpop.com/boeckner_boeckner 

 

©︎Ebru Yildiz

メインストリームのポピュラー・シンガーのスタンスとは相反する「ゴシック・ポップの女王」の新作アルバムがまもなく世界のリスナーのもとに届けられる。Chelsea Wolfe(チェルシー・ウルフ)は、ミステリアスかつダークなイメージ、魔術的な雰囲気、暗鬱なゴシック調のトーンに彩られたポップというように、アンダーグランドの音楽に必要なすべてを兼ね備えたシンガーである。つまり、彼女の音楽は、「チェルシー・ウルフのミステリアスなイメージ」を強化する役割を持つとともに、その魔術的なベールにより、彼女のサウンドを包み込むのだ。

 

チェルシー・ウルフは、アルバム『She Reaches Out to She Reaches Out to She』の最新シングル「Everything Turns Blue」をリリースした。ウルフによれば、「有害なものの一部であった長い時代を経て、再び自分自身を見つけること」をテーマにしている。10年後、20年後、30年後、誰かと別れることになる。


ニューシングル「Everything Turns Blue」もやはり、ミステリアスなベールで本質的な何かを強化しようとする。地底を這うかのような原始的なシンセのベースラインに、お馴染みのウルフの艷やかなボーカルが加わると、ダイナミックなエクスペリメンタル・ポップへと変遷を辿っていく。時に、プロト・パンクのようなプリミティヴな響きがあるかと思えば、シンセ・ポップのスタイリッシュな響きを思わせる場合もある。だが、ウルフのボーカルとシンセのリズミカルな融合から醸し出される「マグマの底でグツグツ煮えたぎるような熱量」を抑えることは誰にも出来ない。アルバムの先行曲としては最高の一曲で、ダーク・ウェイブに属するポピュラー音楽を好むファンにとって、来月の9日が「この上なく楽しみな日」になることを予兆している。

 


「Everything Turns Blue」

 

Chelsea Wolfeの新作アルバム『She Reaches Out to She Reaches Out to She』は、2月9日に、Lom Vistaから発売される。 「Dusk」、「Whispers in the Echo Chamber」「Tunnel Lights」が先行シングルとして公開されている。テースターは下記より。

 


サトミ・マツザキをベースに擁するDeerhoof(ディアフーフ)は、2002年のアルバム『Revielle』のリイシューを発表し、ノイズロックの先行シングル「Almuatin」をリリースした。リイシューアルバムはJoyful Noise Recordingsから3月8日にリリースされる。海外盤の予約はこちらより


ーーディアフーフは新ギタリスト、ジョン・ディートリッヒをデビューさせ、初めて幅広い批評家の称賛を得た。

 

2002年の『Reveille』は、芸術的再生の反抗的な表現であり、狂気的な高揚感、黙示録的なイメージ、無予算のDIYレコーディング方法とは裏腹の新たな技術的自信、そして2曲とも同じに聴こえない衝撃的な様式美で溢れかえっている。キャッチーでチャーミングなマツザキ・サトミのメロディアスさと、ジョンとグレッグのノイジーでシネマティックな爆音のコントラストは、初リリースから20年以上経った今でも、スリルとくすぐり、動揺させる力を持っている。


バンドがいつも思い描いていたほのかな朝焼けのジャケット・アートを、クリアなサンカラーのレコードに収録。センター・ラベルにサトミが書き下ろした歌詞を初収録。


このレコードは、忘却の彼方からの復活だった。もちろん当時は気づいていなかった。笑いを取るために作っていただけだった。1999年、サトミと私はバンドとして確実に終わったと思っていた。創設者でギタリストのロブ・フィスクは辞めてしまった。私は負けじと学校に戻った。その後、サトミと私が学校で初めて出会ったギタリストに加入を頼み、その人がジョン・ディートリッヒだったというのは信じられない。彼はオークランドに引っ越してきたばかりで、私たちがいつもストーク・クラブで演奏していた20人のために演奏することを嫌がりませんでした。


ロブが在籍していた頃には決して演奏しなかったような様々なスタイルの曲を、2年以上にわたって無造作にレコーディングしてはボツにした。ジャッジメント・デイ(審判の日)をイメージの中心に据えたとき、物事が理解できるようになった。しかし、西洋の神がジョージ・ブッシュのような資本主義のキリスト教徒を門に通す代わりに、地獄の神が動物で天国を埋め尽くすことを支持して彼らを呪った。まさにロブ・フィスクそのもの。ディアフーフはそれで息を吹き返した。そして、『Reveille』は、私たちにとって新たな夜明けとなった。このアルバムは好評を博し、私たちはより多くのツアーを行うようになったんだ。


ーーグレッグ・ソーニエ、2024年



ーーディアフーフには、"ブレイク "したアルバムが1枚もない。ディアフーフのファンにとっては、誰もが最初に聴いたアルバムがお気に入りのようだ。私にとっては、『Reveille』がそのアルバム。初めて聴いたのは19歳くらいのときだったと記憶している。どうやったらこんな音楽ができるんだろう? 曲作りや演奏にどんなアプローチをすれば、こんなサウンドの曲ができるんだろう?

 

ノリノリのカオティックなドラム。隠された論理に従って、あるいは論理の根底にある虚無への献身によって、ヨーヨー状に上下する拍子記号。クランチング・フィードバックを多用したギターと爆発的に複雑なパーカッションを並置するサトミのヴォーカル。これほど粗雑でかわいらしいサウンドを聴いたのは生まれて初めてのことだった。混沌としていながら正確。しつこく遊び心があり、それでいて攻撃的である。漫画のような、しかし、本物の別世界が、この音の縁や謎の裾のすぐ向こうに横たわっているようだった。


私の頭の中では、秩序も偶然も、私が聞いている音の説明としては、同じように不可能に思えていた。自分たちが何をしているのか、まったくわかっていなかったということなのだろうか? しかし、知的なデザインの要素もまた、明らかに、そして紛れもなく存在しているように思えた。バンドの練習中やレコーディング中に、どのような方法や超能力的なトリックが、このアルバムの長さにわたって、この生きた、変幻自在のサウンドを生み出したのだろうか? 絶対的な当惑とともに、私は見当もつかないという事実を受け入れなければならなかったんだ。


このアルバムがどのように作られたかについて、私が耳にした都市伝説は、彼らのサウンドを際立たせる主要な要素として、厳格なDIY過激主義をカルト的に信奉するグループのイメージを喚起したということなんだ。(『テープ・オプ』かどこかで読んだという友人の話をもとに)私が聞いたところでは、このアルバムは、セルフ・レコーディングされただけでなく、バンド・メンバーは、3台のMacBookをネットワークでつなぎ、それぞれがスペースバーを同時に押しながら、各楽器をProToolsの無料版にキャプチャーしてトラックしなければならなかったという。アルバムの全体を通して、ベース音をクローンしてピッチシフトしたものは1つだけだった。


いずれにせよ、これらは、『Revielle』がどのように作られたかについての神話的な”Tape Op”の記事(結局のところ、これは存在するが、特にミルクマン・セッションについて言及している)についてのこの友人の説明に含まれていた詳細であると私は記憶している。時間が経ってから確認できたが、この説明はその特殊な部分の適用において正確とは言いづらいが、言及されている特殊な部分それ自体はすべて真実なんだ。『Reveille』に関しては、その秘密は私自身にも、おそらくバンド自身にも、今日に至るまで曖昧なままだ。そして、今でもそのように聞こえる。


そのようなわけで、Deerhoofの『Reveille』をリイシューできることを大変光栄に思っている。このような音楽がどのように作られるのか、私たちが知ることがありませんように・・・。


ーーカール・ホフステッター、2024年



「Almuatin」



昨年、Deerhoofは全編日本語詩からなるアルバム『Miracle-Level』をリリースした。(レビューを読む) 2022年には『Apple-O』のリイシューをリリースした。待望の日本公演を行った。


この時のサポート・アクトは、ヨーロッパや北米で絶大な人気を誇る''おとぼけビーバー''が務めた。今年、おとぼけビーバーは、レッドホットチリペッパーズと共演を果たす。最新作のリリース時に、あっこりんりんに絡まれまくったのは今では良い思い出だ。「バンドは水物だから」とフロントパーソンはラインナップを何度か変更してきたことについて感慨深く話していた。それに加え、おとぼけビーバーが絶望的な状況から立ち上がったバンドであることを教えてくれた。



Deerhoof 『Revelle』‐  Reissue


Label: Joyful Noise Recordings

Release: 2024/03/08


Tracklist:

 

Sound the Alarm

This Magnificent Bird Will Rise

The Eyebright Bugler

Punch Buggy Valves

No One Fed Me So I Stayed

Frenzied Handsome, Hello!

Days & Nights in the Forest

Top Tim Rubies

Hark the Umpire

Our Angel's Ululu

The Last Trumpeter Swan

Tuning a Stray

Holy Night Fever

All Rise

Cooper

Hallelujah Chorus



BONUS 7"

1. Friday Night Fever

2. Tub Tim McGrob

3. Uh-Un

4. Almuatin


また、Deerhoofは、2024年度のUSツアーの詳細を明らかにしている。このツアーは3月28日のミネアポリスでの公演に始まり、5月5日のブルックリンのロング・プレイ・フェスティバルで一連のツアーの日程を終える。その中にはシカゴのリンカーン・ホールでの公演も含まれている。




 


イギリス/ブライトン出身のLime Garden(ライム・ガーデン)は、未知数のオルトロックバンドといえるが、その最終形がまだ予測出来ないがゆえ、大きな期待感を抱かざるを得ない。

 

ライム・ガーデンは、日本の音楽ファン向けにイギリスのロックバンドを紹介するリイシューを刊行したSo Young Magazineが主宰するレーベルからアルバム『One More Thing』をリリースする。So Youngは、大学を卒業してまもない若者が集まり、デザイン的な観点からインディペンデントのミュージック・マガジンを出版するという計画を掲げ、現在に至るまでコアな音楽ファンの注目を集めている。

 

So Youngのオフィシャルサイトには、マンチェスターのCLASHと同様に、トラックの紹介と短い短評が掲載されることが慣例となっている。冷静かつ的確な視点からレビューが行われ、その音楽がシーンやウェイブにどのような影響を与えるのかについて音楽的な批評の焦点が絞られていることがわかる。このパブリッシャーの主宰するインプリントからは、毎年のように魅力的な新人のグループが次々登場し、イギリスにとどまらず、海外のニッチなインディーズの音楽ファンの耳目を集めている。つまり、その筆頭格がライム・ガーデンというわけなのだ。


ライム・ガーデンは、デビューアルバム『One More Thing』の4作目のシングル「マザー」を発表した。以下より音源をチェックしてみよう。


バンドのクロエ・ハワードは声明の中で次のように述べている。「この曲は、大人になった私の個人的な成長と同時に進化する母との関係について歌っています。「私の母も私と同じで、人生を理解しようとベストを尽くしている人物であり、100%の答えを知っているわけではないということを理解するようになったことは、怖かったけれど、私たちを結びつける美しい気づきだった。人生の各段階に合わせて人間関係が変化していくのはクールなことだ。この曲は、思春期に感じていたことと、大人になって母に感謝することを実感したことの集大成なんだ」

 


 

Lime Gardenによるアルバム『One More Thing』はSo Youngから2/16にリリースされる。先行シングルとして「Nepotism (baby)」「Love Song」「I Want to Be You」が公開されている。

 

 

©David Black


ヒューストンのロックバンド、Khruangbin(クルアンビン)は、クロスオーバー・サウンドの代表格で、アフロ・フューチャリズムの数少ない継承者であり、「現代のファンカデリック」とも称すべき個性的なグループです。ソウル、アフロビート、サイケ、ダブ等、多角的なサウンドで多くのリスナーを魅了しつづけています。バンドが待望の来日公演を行ったことは記憶に新しい。

 

テキサスのクルアンビンは、新作アルバム『A La Sala』 の制作を発表しました。2020年の『Mordechai』以来のアルバムは、4月5日にDead Oceansからリリースされます。新作のリード・シングル「A Love International」は、スコット・ダンゲートが監督したMVとともに到着した。また、アルバムのジャケット・アートワークとトラックリストは以下を参照のこと。


2022年、クルアンビンは、マリのシンガー/ギタリストのヴィウ・ファルカ・トゥーレとコラボレーションし、ヴィウの亡き父アリ・ファルカ・トゥーレを称えるプロジェクト『Ali』を発表した。今年、クルアンビンはコーチェラ・フェスティバルにも出演し、多数のオーディエンスを湧かせる予定。 

 

 

「A LA SALA」の様々なレコード盤を飾る7つの異なるジャケットは、クルアンビンの現在のフレームへのスルーラインを提供する。ベルギーの芸術家ルネ・マグリットの超現実主義にインスパイアされ、マルコの多数の旅行記写真を使ってバンドがデザインした。バンドのリビングルームから白昼夢のセットへの窓があり、不可能な空のシーンがあり、外からの視線が内側で起こっていることを照らしている。

 

これらは、デヴィッド・ブラックが『A LA SALA』に添えたDJ、ローラ・リー、マルコのイメージと直接重なり、バンドと窓が、観察者であると同時に観察される存在であることを物語っている。『A LA SALA』は、先をよりよく見るために、外を眺め、振り返ることをテーマにしている。 ーDead Oceans


 

 

 「A Love International」

 

 

■2nd Single 「May Ninth」


 

テキサスのR&Bグループ、Khruangbinがネクストアルバムからセカンドシングルを発表しました。「May Ninth」は、ダウンテンポ・グルーヴを得意とするこの3人組にとって特にチルな曲で、これまでで最も効果的なヴォーカル曲のひとつ。ジェニー・ルシア・マシアとジェレミー・ヒギンズによる、とてもかわいらしいアニメーション・ビデオを以下からご視聴下さい。


『A LA SALA』は4月5日にDead Oceansからリリースされる。その後コーチェラでツアーが始まる。

 

最初の発表以来、コロラドのレッド・ロックス、バークレーのグリーク・シアター、フィリーのザ・メットでの第3弾公演、DCとサンルイス・オビスポでの追加公演など、いくつかのツアー日程を追加しています。

 

 

「May Ninth」



■3rd Single「Pon Pón」

©David Black

 

R&Bやサイケ、ダブ、レゲエ、ウェストコーストロックをごった煮にし、それらをスタイリッシュなエレクトロニック・サウンドに落とし込み、フロアをダンスの熱狂へと導くテキサス/オースティンのトリオ、クルアンビン(Khruangbin)がニューシングル「Pon Pón」をリリースした。

 

このシングルで、クルアンビンはヴィンテージソウルとトロピカルとの中間点を探る。いかにもアナログレコードのサウンドに依拠しているが、スノビズムよりもポピュラリティに照準が置かれ、親しみやすいナンバーとなっている。古典的なR&B/ファンクのギターラインとボーカルのサンプリングの合致がスモーキーな印象を醸し出す。しなるようなベースラインにも注目したい。

 


「Pon Pón」

 


 


アルバムのレビューは以下よりお読み下さい。


New Album Review-  Khruangbin 


 Khruangbin 『A la Sala』


Label: Dead Oceans

Release: 2024/04/05

 

Tracklist:


1. Fifteen Fifty-Three

2. May Ninth

3. Ada Jean

4. Farolim de Felgueiras

5. Pon Pón

6. Todavía Viva

7. Juegos y Nubes

8. Hold Me Up (Thank You)

9. Caja de la Sala

10. Three From Two

11. A Love International

12. Les Petits Gris




Khruangbin – 2024 Tour Dates


4/14/24 – Coachella – Indio, CA
4/18/24 – Alex Madonna Expo Center – San Luis Obispo, CA*
4/19/24 – Alex Madonna Expo Center – San Luis Obispo, CA*
4/21/24 – Coachella – Indio, CA
4/23/24 – Brooklyn Bowl – Las Vegas, NV *
4/24/24 – Brooklyn Bowl – Las Vegas, NV *
4/26/24 – Revel – Albuquerque, NM *
4/27/24 – Revel – Albuquerque, NM *
5/21/24 – The Met – Philadelphia, PA ^
5/22/24 – The Met – Philadelphia, PA ^
5/23/24 – The Met – Philadelphia, PA ^
5/25/24 – Boston Calling – Boston, MA
5/26/24 – Saratoga Performing Arts Center – Saratoga Springs, NY ^
5/28/24 – Rockin’ At The Knox – Buffalo, NY ^
5/29/24 – Jacob’s Pavillion – Cleveland, OH ^
5/31/24 – History – Toronto, ON ^
6/1/24 – History – Toronto, ON ^
6/2/24 – History – Toronto, ON ^
6/4/24 -The Masonic Temple Theatre – Detroit, MI ^
6/7/24 – The Salt Shed – Chicago, IL
6/8/24 – The Salt Shed – Chicago, IL ^
6/9/24 – The Salt Shed – Chicago, IL ^
6/11/24 – Red Hat Amphitheater – Raleigh, NC
6/14/24 – Bonnaroo – Manchester, TN
7/4/24 – Roskilde Festival – Roskilde, DK
7/6/24 – Werchter Festival – Werchter, BE
7/7/24 – Down The Rabbit Hole – Ewijk, NE
7/10/24 – Jardin Sonore – Vitrolles, FR
7/11/24 – Musilac Festival – Aix-les-Bains, FR
7/12/24 – Bilbao BBK – Bilbao, ES
7/13/24 – Nos Alive Festival – Lisbon, PT
7/16/24 – Zagreb SRC Salata – Zagreb, HR
7/17/24 – Metastadt Open Air – Vienna, AT
7/18/24 – Colours of Ostrava – Ostrava, CZ
7/20/24 – Electric Castle – Bontida, RO
7/24/24 -Luzern Live Festival – Lucerne, CH
7/26/24 – Latitude Festival – Suffolk, UK
8/14/24 – Greek Theatre – Berkeley, CA %
8/15/24 – Greek Theatre – Berkeley, CA %
8/16/24 – Greek Theatre – Berkeley, CA %
8/18/24 – Edgefield – Troutdale, OR %
8/19/24 – Edgefield – Troutdale, OR %
8/21/24 – Kettlehouse – Bonner, MT %
8/22/24 Kettlehouse – Bonner, MT %
8/24/24 – Granary Live – Salt Lake City, UT %
8/26/24 – Red Rocks – Morrison, CO &
8/27/24 – Red Rocks – Morrison, CO &
8/28/24 – Red Rocks – Morrison, CO %
9/20/24 – Forest Hills Tennis Stadium – New York, New York +
9/21/24 – Forest Hills Tennis Stadium – New York, New York +
9/23/24 – The Anthem – Washington, DC $
9/24/24 – The Anthem – Washington, DC $
10/2/24 – The Factory – St.Louis, MO $
10/3/24 – The Factory – St.Louis, MO $
10/9/24 – Saenger Theatre – New Orleans, LA $
10/10/24- Saenger Theatre – New Orleans, LA $

* w/ Hermano Gutiérrez
^ w/ John Carroll Kirby
% w/ Peter Cat Recording Co.
+ w/ Men I Trust
$ w/ Arooj Aftab
©︎Jesse Glazzard

 

マンチェスターのエレクトロ・ポップバンド、Porij(ポリジ)はニューシングル「My Only Love」を発表し、デビューアルバム『Teething』の詳細を発表した。イギリス本国のメディアから少なからず注目を受けるバンドであり、メンバーの佇まいからは紳士性とスター性を感じることができる。


ヴォーカリスト兼キーボーディストのスカウト・ムーア(エッグ)、ベーシストのジェイムズ・ミドルトン、ギタリストのジェイコブ・マグワイア、ドラマーのネイサン・キャロルからなる4人組のPorijは、新作アルバムを4月26日に[PIAS]からリリースすることを明らかにした。

 

リードシングルとして公開された「My Only Love」は「良くも悪くも、落ち着いた関係の安全性と心地よさ」について歌ったものだという。ニューシングルについて、バンドはこう語っている。


「ロンドンの国立劇場で "Dancing at Lughnasa"を観に行ったとき、エンディングのモノローグで、

 

 "Dancing with half-closed eyes because to open them would break the spell / 目を開けると、魔法が解けてしまうので、目を半分閉じて踊る "

 

というセリフに衝撃を受けた。これは、私が経験した葛藤にどう対処するかにぴったりだと感じた」

 

Dancing at Lughnasa( 邦題: ルグナサで踊る: ブライアン・フリエルによる1990年の演劇作品。1936年のアイルランドが舞台。主人公のマイケル・エヴァンスが子供時代を回想するという概要。七歳の頃のおばの家での出来事を大人の視点から振り返る。


「"否定に屈する力 "が特に魅力的に感じられた。時が経つにつれて、歌詞は落ち着きを取り戻し、この曲は、ブリッジにおける『これが永遠の愛になるかどうかはわからないけど、今のところ唯一の愛でもある』という想いを軸にしている。長い付き合いにプレッシャーをかけるのは簡単だけど、この曲を通して、物事を深刻に考えすぎず、一瞬一瞬を楽しむことを思い出したんだ」


同時公開されたミュージックビデオについて、監督のマキシ・マクラクランはこう説明している。


「エッグが実際のカップルや友人、恋人たちの愛のスナップ・ショットの間を旅する様子を、写真に飛び込んだり飛び出したりしながら見せたいと思いついた。私たちの写真撮影への執着(特にスマートフォンの時代)を探求する作品はたくさんありますが、このビデオは、カメラを手に入れることができる現代性が、私たちにもたらす喜びを祝福する内容にしたかったのです」


「この映画を観た人が、暖かく、ノスタルジックで、ファジーな気持ちになり、特別な人たちを思い出してくれることを願います。この映画の制作には、たくさんの人々が関わっていることを主は知っている!!」


プレスリリースによれば『Teething』は「弱さの告白」について書かれている。本作についてスカウト・ムーア(エッグ)は語っている。「アルバムを書いている間、私は本当に孤立していたように感じた」


「毎日たくさんの詩を書いてたし、新しいアパートに引っ越したばかりだった。締め切りが迫っているのがわかっていたから、少し夜型になり、早朝の変な時間に歩き回って歌詞を書いていた」

 


 「My Only Love」



Porij 『Teething』


Tracklist:


Marmite

Unpredictable

Don’t Talk To Me

Endlessly Waiting

My Only Love

Ghost

Stranger

Sweet Risk

Gutter Punch

You Should Know Me

Slow Down



Pre-order:


https://porij-band.ffm.to/teething


No Windows(ノー・ウィンドウズ)は、18歳のマルチ・インストゥルメンタリスト、モーガン・モリスと19歳のヴォーカリスト、ヴェリティ・スランゲンから成るが、彼らはこの度ファット・ポッサムと契約した。サウンド・オブ・ヤング・スコットランド賞を受賞したエディンバラのデュオである。

 

この契約と同時に、近日リリース予定のEP『Point Nemo』とそのファースト・シングル『Song 01』も発表された。


ヴェリティ・スランゲンとモーガン・モリスは、エディンバラの学校で10代の頃に出会った。二人はすぐに友情と芸術的な絆を築きあげた。その後、モリスのベッドルーム・レコーディングにスランゲンが感情を込めた歌詞をつけるようになった。2022年12月、デビューEP『Fish Boy』をリリースした。

 

「”フィッシュ・ボーイ”は、じぶんたちが構想する音楽が一番最初にまとめ上げられた作品だったんだ」とモリスは説明する。「続く、”Point Nemo”で、私たちは多くの自信と知識を得ることができた。曲の構成やメロディーの強さなど、基本的な部分もかなり向上したと思うよ」


「私はいつも、孤立や社会的グループからはじき出されることについて焦点を当てた本に魅せられてきた」と言うヴェリティは、ジョアン・グリーンバーグの「I Never Promised You a Rose Garden」とヒューバート・セルビー・ジュニアの「Requiem for a Dream」を影響に挙げている。

 

「この曲は、そのような感覚について書かれている。この曲を書くことで、歌詞を書くという全く新しい方法に開眼したんだ」

 

「Point Nemo」では初めてデュオは、同じ部屋で一緒に曲を書いた。また、このEPでは、初めて外部のプロデューサーを迎えている。

 

「面白いバランスがあった。自分たちが何を望んでいるのかがはっきりしていたし、それを実現するために彼は素晴らしかった」


アリ・チャント(Dry Cleaning、Sorry、Yard Act、Aldous Harding、Soccer Mommy、Youth Lagoon)が、ブリストルのスタジオでモーガンとヴェリティと共にミックスを担当した。モリスは、彼とスランゲンが共にアリ・チャントの前作の "大ファン "であると認めている。

 

新作EP『Point Nemo』は5月3日にFat Possumからリリースされる。予約はこちらから。