Floristが、ホラー映画『I Saw the TV Glow』のサウンドトラックとして「Riding Around in the Dark」を提供した。試聴は以下から。Floristの声明は以下の通り。


「”I Saw the TV Glow”の脚本を読んだとき、私はすぐに自分の10代の頃に戻った。小さな町で育ち、自分の居場所がないと感じ、虚構と現実の狭間に取り憑かれた。不吉な闇を感じると同時に、玄関の向こうに広がる世界を夢見た。その感覚を映画のための曲で表現してみたかったんだ。いろいろな意味で、この曲は私にとって若いということの意味を定義している。世界が終わると信じながらも、どうにかその中で生きている」


5月10日にリリースされるホラー映画『The I Saw the TV Glow』のサウンドトラックには、豪華なミュージシャンが参加している。


Sloppy Jane(featuring Phoebe Bridgers)、Caroline Polachek、Snail Mail、King Woman、yeule、Florist、Bartees Strange、Jay Som、L'Rain、Maria BC、Weather Stationによる新しいオリジナルトラックが収録されている。

 

発表と同時に、A24はBlocken Social Sceneの「Anthems for a Seventeen Year-Old Girl」のyeuleのカバーをシェアした。

 

ジェン・シェーンブランの長編デビュー作『We're All Going to the World's Fair』を手がけたAlex  Gが本作の音楽を担当。

 


「Riding Around in the Dark」


 


京都出身、シカゴ在住のマルチ奏者、Sen Morimotoが「Bonk!」EPをCity Slangからリリースした。本作は昨年のフルアルバム『Diagnosis』のアウトテイクを集めた作品。全5曲が収録されている。


前作ではソウルフルでアグレッシブなアートロックでリスナーを魅力したモリモト。このEPではジャズ、ソウル、サイケをベースにメロウなサウンドが際立っている。ボーカルは別人のような艶がある。トラック全体にホーンやシンセをコラージュ的に散りばめ、モリモトワールドが炸裂!!







Sen Morimoto Biography:



セン・モリモトはこれまでに2枚のアルバムをリリースし、Pitchfork、KEXP、FADER、Viceなどのメディアから高い評価を得ている。


シカゴの緊密で多作なDIYシーンの著名なメンバーであるセンスが、初めてプロのスタジオで制作したのが「If The Answer Isn't Love」だ。シカゴのFriends Of Friendsレコーディング・スタジオで作業し、彼のコミュニティのメンバーを起用して曲に肉付けしたこの曲は、ブロック・メンデがエンジニアを務め、ライアン・パーソンがドラム、マイケル・カンテラがベース、KAINAがバッキング・ヴォーカルを担当した。


センは高校卒業後、荷物をまとめ、ニューイングランドからシカゴに移り住み、その後数年間、シカゴの音楽シーン全体と深い関係を築きながら、ジャンルの垣根を越え、その間に橋を架けていった。


昼はレストランで皿洗いをし、夜はプロデュースの腕を磨いたセンは、どんな音楽のレシピにも加えられるエキサイティングな食材として、すぐにシカゴで知られるようになった。音楽的なつながりを求める彼はやがて、共同制作者であるNNAMDÏとグレン・カランが設立した地元のレーベル、スーパー・レコードに共同経営者として参加することになった。


小さな優良レーベル、City Slangは、ジャンルにとらわれないレコードをリリースし、シカゴのミュージシャン・コミュニティから国際的なステージに立つアーティストを輩出したことで、瞬く間にシカゴで有名になった。彼らは、デビュー・アルバム『キャノンボール!』と2枚目のセルフ・タイトル・アルバムをスーパー・レコードからリリースし、シカゴで一躍有名になった。

 Kaho Matsui 『scrutiny portrait』


 

Label: Kaho House

Release: 2024/04/19

 


Review


マツイ・カホは数年前までポートランドを拠点に活動していたが、現在はフィラデルフィアに移住し、ベッドルーム・レコーディングを行っている。 (記述に誤りがありました。訂正いたします)

 

ホームレコーディングのアーティストとしては他にも、Claire Rousey(クレア・ラウジー)がいる。ステレオガムのインタビューは時間がなくて読めなかったが、ライン・オブ・ベストフィットの取材で、クレア・ラウジーは「エモ・アンビエントというジャンルを最新作のテーマに置いた」と述べていた。

 

カホ・マツイは言ってみれば「次世代のクレア・ラウジー」とも称すべきアーティスト。もしくはイギリスのクイア・ポップのリーダー、Cavetownの音楽にも親和性がありそうだ。マツイはインディーフォーク/エモをエレクトロニックから解釈し、先鋭的なサウンドを構築する。また多作なアーティストであり、この3年間で、S/Tを含め、6作のフルアルバムを発表している。これらの作品は、Ethel Cainと同じように、デジタル・ストリーミングを中心にリリースされている。

 


 

アルバムは冒頭の「sore spot」に見いだせるように、インディーフォーク/エモの中間にあるサウンドが個性的な印象を放つ。その中で、マツイは抽象的なボーカルのフレーズを交え、叙情的なアンビエンスを作り出す。最初のトラックメイキングの動機こそ、その限りではないが、細かなマテリアルを組み上げる過程の中で、徐々にポップスからアンビエントのような抽象的な音像に接近を図るのである。マツイのボーカルにも個性的な特徴がある。彼女のボーカルは、内省的で、それは内側に揺らめく情念のように熱いエナジーを擁している。これらが内向きのエナジーであるはずなのに、リスナーにもカタルシスや共鳴をもたらすことがある理由なのだ。

 

マツイは基本的にはギターを中心にソングライティングを行うらしいが、彼女はエレクトロニックのクリエイターとしても秀逸だ。 続く「angel」ではCaribou(ダン・スナイス)を彷彿とさせるグリッチサウンドを展開させ、サウンドデザインのようなスタイリッシュな質感を持つポップソングを制作している。それらは最終的にマツイが持つ音楽的な素養であるインディーフォーク/オルタナティヴフォークという切り口を通じて、完成度の高いトラックに昇華される。曲そのものからもたらされる内省的な感覚は、エモとの共通点があり、切ない空気感を作り出す。

 

先行シングルとして配信された「i don't have to tell the rest」を聞き逃さないようにしてほしい。オルタナティヴフォークからジャズ、ローファイ、アンビエントまでをシームレスにクロスオーバーし、内省的でありながらダイナミックな質感を持つ素晴らしいベッドルームポップソングを作り上げている。

 

特にブリッジからサビに移行する際のタイトルの歌の部分には内的な痛みがあり、それらが胸を打つ。このヴィネットにおける辛辣なフレーズはヒップホップのようなひねりが込められている。「you don't have to tell me the rest」は、前曲と呼応する連曲のトラックとなっている。この曲は全般的に、イギリスのCavetownに近いニュアンスを捉えることが出来るだろう。編集的なサウンドとオルタナティヴフォークをジム・オルークのようにエクスペリメンタルという視点を通して作り上げていく。この曲にもアーティストのただならぬセンスを垣間見ることが出来る。



 

アルバムの中盤からはエクスペリメンタルミュージック、つまり実験的な音楽性が強調される。「once in a while」はテープ音楽やローファイから見たハイパーポップであり、メインストリームに位置するアーティストとは異なるマニアックなサウンドで、一方ならぬ驚きをリスナーに与える。続く「train home」はノイズミュージックに近づき、Merzbowのような苛烈なアナログノイズがこれらのポピュラーな音楽性の中心を激しく貫く。アーティストの内的な痛みや苦悩、憂慮をノイズという形で刻印し、それをなんらのフィルターに通すこともなく、リアルに提示している。

 

アーティストの持つ音楽的な蓄積はかなり豊富で、驚くべきバリエーションがある。エクスペリメンタルと合わせて内省的なドリーム・ポップの性質が立ち表れる「security」は、韓国系のミュージシャン、Lucy Liyouが参加している。Gastr Del Solの音楽をファンシーな雰囲気で包み込む。そこに、ルーシー・リヨウが持つアンビエントやエレクトロニックの要素が合致している。これらは両者の持つアーティスティックな側面がより色濃く立ち現れた瞬間と言えるだろう。

  

本作の終盤でも、マツイは、必ずしも音楽的な制作を設けず、自由闊達な創造性を発揮しているが、少し、これらのバリエーションが収集がつかなくなっているのが難点と言えそうだ。ただ、その中にもアーティストが考える音楽そのものの"ユニークさ"が込められていることも事実である。


「mean girl」では、イスラエルのApifera、トルコのIsik Kural、ドイツのAparratのサウンドデザインに近い多彩なエレクトロニカ/ミニマル・テクノをめくるめくように展開させ、「dog whistle」では、エレクトロニカの要素をオルタナティヴフォークと連結させ、アヴァン・ポップ/エクスペリメンタルポップに近い、先鋭的な音楽へと昇華させる。


アルバムのクローズ「draw me」では、ニューヨークでインディーズ・デビューした最初期のトクマル・シューゴのような、エレクトロニカとポップネスの融合の醍醐味を見出すことが出来るはずだ。

 

 

74/100

 

 


 

 

オーストラリアのロックバンドーーGirl And Girlが、デビューアルバム『Call A Doctor』から最新シングル「Oh Boy!」を配信した。「Hello」、「Mother」に続くシングルで、サーフミュージックを絡めたオルタナティブロックが展開。彼らの生み出すハーモニーにはロックのノスタルジックな魅力がある。テイラ・ローレン監督によるミュージックビデオは以下よりご覧下さい。


「"Oh Boy!"は、レコーディングに取り掛かる前に、数年前から半分くらい書いていた。前半は気に入っていて、完成させるのが嫌になってた。昨年初めにデモが完成した時、この混沌とした、広がるような大きな言葉の吐露が溢れ出てきて、それが全体をうまくまとめているように思えた」

 


大胆でアグレッシブな『Call A Doctor』は、Girl and Girlのデビュー作。起源は、ジェイムスとギタリストのジェイデン・ウィリアムスが放課後の午後に母親のガレージでジャムっていた時だった。

 

ある日の午後、ジェイムズの叔母さんが犬の散歩を終えて練習場に向かい、ドラムを叩いていいか尋ねた。「他のドラマーが見つかるまでここにいるわ』。結局、彼女はパーマネント・メンバーになった」


レコードは、頭の中に閉じこもりすぎたため、外に出ようとしている個人について描いている」とジェームズは『Call A Doctor』の全体像、クリエイターのスナップショットについて語る。

 

しかし、このアルバムが私たちの内面にある不安なトピックを扱っているのだとしても、Girl and Girlの音楽がいかに生命力に溢れているかを強調しすぎることはない。この作品には図太く大胆なユーモアのセンス、暗闇の中に紛れもない明るさがあり、リスナーとして惹き込まれないわけにはいかないだろう。落ち込んだ気分、実はそれはさして悪くないものだったのかも知れない。


 

「Oh Boy!」


ニューヨークを拠点に活動するギタリスト/ロックシンガー、Margaret Glaspy(マーガレット・グラスピー)は、明日(4月26日)にEP『The Sun Doesn't Think』をリリースする。昨年の『エコー・ザ・ダイアモンド』に続くこの作品集は、トラック「24/7′」がリードしている。


「”エコー・ザ・ダイアモンド”のツアー中に、このEPを書いていた。オーディエンスに囲まれ、彼らのカリスマ性やストーリーを体験することでインスピレーションを受けた。そのおかげで、彼らにもっと音楽を届けたい、彼らの創成期に近いレコードをリリースしたいと思うようになりました」


「この曲は、私の子供時代の糸が、私が着ている大人の衣装をいかに織り上げてきたかを理解しようとする私の試みを体現している」と彼女は「24/7′」について語る。「愛と人生に対する私の信念が、幼い頃から進化していないことを痛感しはじめた。それは、私自身の心配や不安の感覚と直接的な繋がりがあった」さらにグラスピーは続けた。「私は大人であることを愛している」

 


マーガレット・グラスピーは昨年、フルアルバム『Echo The Diamond』を8月にリリースした。レビューはこちらからお読み下さい。



Margaret Glaspy 『The Sun Doesn’t Think EP』


Label: ATO

Release: 2024/04/26


Tracklist:

 

1. 24/7

2. Bathtub

3. I Need Help

4. Would You Be My Man?

5. The Sun Doesn’t Think

 


ノルウェーのポップシーンの代表格、ガール・イン・レッドが、A24のコンピレーション・アルバム『Everyone's Getting Involved』に収録されるトーキング・ヘッズの「Girlfriend Is Better」のテイクを提供した。


今回のカバーはパラモアの「Burning Down the House」、ティーゾ・タッチダウンの「Making Flippy Flop」、ローデの「Take Me to the River」に続く作品となる。試聴は以下からどうぞ。


「トーキング・ヘッズは、私がティーンエイジャーだった頃、私のアイデンティティを定義するのに役立った象徴的なバンドだ。彼らは世界中の若者にインスピレーションを与え続けている」とマリー・リングハイムは声明で語った。「トリビュートに参加できたことは、素晴らしいことですし、この機会を与えていただいたことに感謝しています。トーキング・ヘッズよ、永遠に!!」


ガール・イン・レッドは今月初め、2ndアルバム『I’m doing it again baby!』をリリースした。続いて今年の夏、ノルウェーのアーティストはフジロックフェスティバルにも出演予定。

 


「Girlfriend Is Better」






Everyone’s Getting Involved: A Tribute to Talking Heads’ Stop Making Sense 



Tracklist:

01. Psycho Killer – Miley Cyrus
02. Heaven – The National
03. Thank You for Sending Me an Angel – Blondshell
04. Found a Job – The Linda Lindas
05. Slippery People – Él Mató a un Policía Motorizado
06. Burning Down the House – Paramore
07. Life During Wartime – DJ Tunez
08. Making Flippy Floppy – Teezo Touchdown
09. Swamp – Jean Dawson
10. What a Day That Was – The Cavemen.
11. This Must Be the Place (Naive Melody) – BADBADNOTGOOD (feat. Norah Jones)
12. Once In a Lifetime – Kevin Abstract
13. Genius of Love – Toro y Moi (feat. Brijean)
14. Girlfriend Is Better – girl in red
15. Take Me to the River – Lorde
16. Crosseyed and Painless – Chicano Batman (feat. Money Mark)


メトロノミーが新しいコラボレーションEP『Posse EP Volume 2』を発表。先日、バンドはニンジャ・チューンと契約したばかり。

 

その中から新曲「With Balance」(Feat.Naima Bock and Joshua Idehen)を公開した。以下にEPのトラックリストとジャケットアートワークを掲載する。


『Posse EP Volume 2』は、メトロノミーが3月に発表した新曲「Nice Town」が収録されている。この新しいEPは、2021年に発表されたコラボEP『Posse EP Volume 1』に続く作品だ。


メトロノミーのリーダー、唯一のパーマネントメンバーであるジョー・マウントは、プレスリリースの中で、新人アーティストをフィーチャーしたEPをリリースするのが好きなのかについて次のように説明している。

 

「音楽業界の中で、自分には価値があるのだと気づくためだ。新人アーティストにとって、あなたは何かできる。あなたは彼らにはないリーチを持っていて、彼らはそれに興奮する。自分が参加したような波とのつながりを感じることができる......。他の人たちと一緒に何かをやればやるほど、また自分の音楽をやりたいという気持ちが強くなる。それを誇りに思って、次に進みたいんだよ」


メトロノミーのアルバム『Small World』は、2022年にビコーズ・ミュージックからリリースされた。

 

 

「With Balance」(Feat.Naima Bock and Joshua Idehen)

 

 

 

Metronomy 『Posse EP Volume 2』

Label: Ninja Tune

Release: 2024/07/12


Tracklist:


1. Nice Town - Metronomy x Pan Amsterdam 

2. With Balance - Metronomy x Naima Bock x Joshua Idehen

3. Contact High - Metronomy x Miki x Faux Real

4. My Love - Metronomy x Nourished by Time

5. Typical - Metronomy x Lynks x SPIDER x Master Peace x TaliaBle


Pre-Save:


https://metronomy.lnk.to/posse2Yo

 

ロンドンのシンガーソングライターNilüfer Yanya(ニルファー・ヤーニャ)がイギリスのレーベル、Ninja Tuneとの契約を結んだ。このニュースとともにアーティストは新曲「Like I Say (I runaway)」を発表した。

 

この新曲は、2022年リリースのアルバム『PAINLESS』以来となる。「Like I Say (I runaway)」は、ヤーニャの妹モリー・ダニエルが監督したミュージック・ビデオと共に発表された。

 

ニリュファーが家出した花嫁に扮しているこの曲は歪んだディストーションギターが特徴的。 90年代のオルタナティヴ・ラジオを彷彿とさせるゆるやかなコーラスの下で歪んだギターのクランチが強調されている。

 

シングルのテーマについて、ニリュファーは次のように語っている。


「時間は通貨のようなもの。二度と取り戻せない。それに気づくのはとても大変なこと」


このニューシングルは、ヤンヤのクリエイティブ・パートナーであるウィルマ・アーチャー(スーダン・アーカイブス、MFドゥーム、セレステ)との共同作業で書かれた。彼女とは過去に『PAINLESS』やデビューアルバム『Miss Universe』でコラボレーションしている。

 

 

「Like I Say (I runaway)」

 カジヒデキ 『Being Pure At Heart』

 

Label: Blue Boys Club/AWDR/LR2

Relase: 2024/04/24

 

 

Review

 

渋谷系の代表的なシンガーソングライター、カジヒデキは「Being Pure At Heart」で明確に「ネオ・アコースティックに回帰してみようとした」と話している。ネオ・アコースティックとは1980年代のスコットランドで隆盛をきわめたウェイブだ。このウェイブからは、ベル・アンド・セバスチャンという後の同地の象徴的なロックバンドを生み出したにとどまらず、Jesus And Mary Chain、Primal Scream等、その後のUKロックの10年を占うバンドが多数登場したのだった。

 

渋谷系は2010年代頃に、海外でもストリーミングでカルト的な人気を獲得したことがある。この渋谷系とは、複数のジャンルのクロスオーバーで、ギターロックはもちろん、小野リサのボサノバ、ラウンジジャズ、チルアウト、そして平成時代のJ-POP等、多数のジャンルがごちゃまぜになり、スタイリッシュでアーバンな雰囲気を持つ独自のサウンドとして確立された。現在のクロスオーバーやハイブリットという時代を先取りするような音楽であったことは疑いを入れる余地がない。渋谷系はかなり広汎なグループに適応され、その象徴的な存在であるサニーデイ・サービス、小沢健二、カジヒデキがこのジャンルをリードした。当時の日本国内でのヒットチャートでも宇多田ヒカルや椎名林檎といったヒップな存在に紛れるようにしてカジヒデキの楽曲も必ず上位にランクインしていたのだった。

 

『Being Pure At Heart』はシンプルにいえば、渋谷系という固有のジャンルを総ざらいするようなアルバムである。そして少なくとも、忙しない日常にゆるさをもたらす作品となっている。北欧でレコーディングされたアルバムであるが、全般的に南国の雰囲気が漂い、トロピカルな空気感を持つ複数のトラックがダイヤモンドのような輝きを放つ。オアシスの「Be Here Now」に呼応したようなタイトル「Being Pure At Heart」は忙しない現代社会へのメッセージなのか。 


アルバムの冒頭を飾るタイトル曲はまさしくネオ・アコースティック/ギター・ポップの王道を行くナンバーといえる。エレアコのイントロに続いて、1990年代と変わらず、カジヒデキは快活なボーカルを披露する。そして、小山田圭吾やスカートの澤部渡のような軽快なカッティングギターを元にして、精細感のあるボーカルを披露する。ギターサウンドは、お世辞にもあたらしくはないけれど、逆に核心を付く音楽的なアプローチの中に迷いがないため、ことさら爽快なイメージを作り出す。そしてThe Pastelsを思わせるメロディーを込め、聞き手を平成時代のノスタルジアの中に誘う。カジヒデキは口ずさめるシンプルなメロディーの流れを意識し、それらを誰よりも軽快に歌う。それにカラフルな印象を付加しているのが、女性ボーカルによるコーラス。

 

続く、「We Are The Border」はコーネリアスのマタドール在籍時代の『Fantasma』のダンサンブルでアップテンポなナンバーを継承し、それにカジヒデキらしいユニークな色合いを加えている。この曲もまた渋谷系のスタンダードな作風となっているが、そこに恋愛の歌詞を散りばめ、曽我部恵一のような雰囲気を加えている。サニー・デイ・サービスと同様にカジヒデキも甘酸っぱいメロディーを書くことに関しては傑出したものがある。それはアルバムのタイトルにあるように、純粋な気持ちやエモーションから作り出される。歌詞の中では、クリスマスや賛美歌について言及されるが、それらが楽曲が持つ楽しげなイメージと見事な合致を果たしている。つまり、カジヒデキのソングライティングの秀逸さがサウンドプロデュースとぴたりと一致している。


「April Fool」ではオープナーと同様に牧歌的なスコットランドのギター・ポップへと回帰している。これらのおおらかな気風はこのアーティストにしか作り出せないもので、甘いメロディーと融合する。手拍子や変拍子のリズムの工夫や移調の工夫を随所に散りばめながら、カラフルなサウンドを作り出す。ギターのカッティングの決めの箇所をリズム的に解釈しながら、最終的にタイトルのサビへ移行する。この瞬間には奇妙な爽快感があり、開放的な雰囲気もある。


続いてカジヒデキは、そらとぼけるように、「エイプリル・フール」と歌った後、「君が好きだよ、それもうそのはずだった」と カジヒデキ節を込め、続くヴィネットへと移行していき、「人生は夏草のように」と松本隆を思わせる抒情を重視した淡麗な歌詞を軽やかに歌いこむ。メロディーやリズム、実際の歌が歌詞の流れとともに音に拠る情景を呼び覚ます。これこそJ-POPにしか求められない要素で、アーティストはそれを誰よりもシンプルにやってのける。

 

「Peppy Peach」はチルアウト/チルウェイヴに舵をとっている。 シンセを中心に作り出したリズムに同じくシンセのテクスチャーでトロピカルな雰囲気を生み出しているが、これは細野晴臣の1973年の「Hosono House」の日本の音楽が未だ歌謡曲とポップスの中間にあった時代の作風を思わせる。


歌詞も面白く、ちょっとおどけたようなアーティストの文学性が堪能出来る。他の曲と同じように、''アイスクリーム''等のワードを織り交ぜながら、甘酸っぱい感覚のメロディーを作り出す。その中に、ボサノヴァのリズムを配しながら、コーラスの導入を通じて、多彩なハーモニーを作り出す。「いつもそばで、I Love You、触れた〜」と歌う時、おそらくJ-POPの言葉運びの面白さの真髄とも言うべき瞬間が立ち表れる。”英語を通過した上での日本語の魅力”がこの曲に通底している。ある意味でそれは日本のヒストリアのいち部分を見事に体現させていると言える。

 

「NAKED COFFE AFFOGATO」はYMOのレトロなシンセポップを思わせ、カッティングギターを加え、ダンサンブルなビートを強調させ、モダンな風味のエレクトロに代わる。前曲に続きアーティストしか生み出せないバブリーな感覚は、今の時代ではひときわ貴重なものとなっている。そこにお馴染みの小山田圭吾を思わせるキャッチーなボーカルが加わり、楽しげな雰囲気を生み出す。続く「Looking For A Girl Like You」はギター・ポップとネオ・アコースティックというスタイルを通じて、高らかで祝福的な感覚を持つポップソングを書き上げている。アレンジに加わるホーンセクションは北欧でのレコーディングという特殊性を何よりも巧みに体現している。


 

プレスリリースにおいて、カジヒデキはネオ・アコースティックを重要なファクターとして挙げていた。でも、今作の魅力はそれだけにとどまらない。例えば、「Don' Wanna Wake Up!」では平成時代に埋もれかけたニューソウルやR&Bの魅力を再訪し、マリンバのような音色を配し、トロピカルな雰囲気を作り出す。R&Bとチルウェイブの中間にあるようなモダンな空気感を擁するサウンドは、アメリカのPoolside、Toro Y Moi、Khruangbinと比べても何ら遜色がない。そこにいかにもカジヒデキらしいバブリーな歌詞とボーカルはほんのりと温かな気風を生み出すのである。


以後の収録曲「Summer Sunday Smile」と「クレールの膝」は渋谷系のお手本のような曲である。少なくともダンスビートを重視した上で、メロディ性を生かした曲は現在のミュージックシーンの最中にあり新鮮な印象を覚える。それはまたプリクラやビートマニアのような平成時代のゲームセンター文化を端的に反映させたようなエンターテイメント性を重んじたサウンドなのである。 


もうひとつ注目しておきたいのは、このアルバムにおいてアーティストはチェンバーポップやバロックポップの魅力をJ-POPという観点から見直していることだろうか。例えば「Walking After Dinner」がその好例となり、段階的に一音(半音)ずつ下がるスケールや反復的なリズム等を配し、みずからの思い出をその中に織り交ぜる。そして、カジヒデキの場合、過去を振り返る時に何らかの温かい受容がある。それが親しみやすいメロディーと歌手のボーカルと合致したとき、この歌手しか持ちえないスペシャリティーが出現する。それはサビに表れるときもあれば、あるいはブリッジで出現するときもある。これらの幸福感は曲ごとに変化し、ハイライトも同じ箇所に表れることはない。人生にせよ、世界にせよ、社会情勢にせよ、いつもたえず移り変わるものだという思い。おそらくここに歌手の人生観が反映されているような気がする。そしてまた、この点に歌手の詩情やアーティストとしての感覚が見事に体現されているのだ。


カジヒデキの音楽を最初に聴いたのは小学生の頃だった覚えがある。当時はオリコンチャートやカウントダウンTVのような日本のヒットチャートの一角を担うミュージシャンという印象しかなかったが、今になってアーティストの重要性に気がついた。カジヒデキは、誰よりも親しみやすいメロディーを書いてきた。そして、子供でも口ずさめる音楽を制作してきたのだった。そして、このアルバムでも、それは不変の事実である。これらのソングライターとしての硬派な性質は、むしろ実際の柔らかいイメージのある音楽と鋭いコントラストをなしている。

 

アルバムの終盤でもシンガーソングライターが伝えたいことに変わりはない。それは世界がどのように移り変わっていこうとも、人としての純粋さを心のどこかに留めておきたいということなのだ。「君のいない部屋」では、切ないメロディーを書き、AIやデジタルが主流となった世界でも人間性を大切にすることの重要性を伝える。本作のクローズを飾る「Dream Never End」は日常的な出来事を詩に織り交ぜながら、シンプルで琴線に触れるメロディーを書いている。



85/100
 
 
 
Best Trackー「Dream Never End」 
 

副都心ポップを標榜するニューシングル「One More Chance」を本日4/24にリリースします。

海外でカルト的な人気を誇るCRYSTALが、副都心ポップを標榜する新曲「One More Chance」を本日(4/24)にデジタルリリースします。同時公開されたCM動画を下記よりチェックしてみて下さい。

 

三宅亮太と丸山素直によるシンセ・デュオ”CRYSTAL”は、日本ではそこまでではないが、世界的に知る人ぞ知るデュオだ。フランスの高名なエレクトロデュオ”JUSTICE”にその才能を見初められ、Thundercatの全米ツアーの帯同の他、ブレイン・フィーダーのFlying Lotusの主催するオンラインライブ企画”Brainfeeder THE HIT”に長谷川白紙とともに出演を果たした。

 

ニューシングル「One More Chance」は副都心ポップを掲げるシンセデュオらしく、80sシティーポップをベースに、TRFとNew Orderのシンセポップサウンドを変幻自在にクロスオーバーする。



前作アルバム『Reflection Overdrive』で注目を浴びたCRYSTAL。「AUTUMN STORY 秋物語」のフォローアップとなる「One More Chance」は、過去の想い出にヒントを得て制作されたタイムリープもの。

 

楽曲は、Ikonikaとのコラボで披露されたピアノ・ハウスを進化させ、80年代のイタロハウスやエレポップ、ユーロビートのエッセンスを起点としつつ、アシッドなベース、そして大胆に使用された”Prophet-6”のシンセサウンドが世代を飛び越え90年代のバブリーな空気感を醸し出す。

 

運命や過去の想い出に焦点を当てた情感豊かな歌詞、ダンサブルで刺激的なメロディー、もはや副都心かさえもつかない大橋ジャンクション・・・。ストーリーテリング風の語りに、遂に全貌を現した丸山素直のクリアーなボーカル。新しい挑戦もほどほどに、未来へのサプライズとポジティブなエネルギーが余すところなく凝縮されたクリスタルらしい素敵なトラックに仕上がった。

 

 

 「One More Chance」

 

 

 

CRYSTAL - One More Chance- New Single



 



Label: FLAU
DIGITAL発売日:2024年4月24日



Tracklist:

1. One More Chance

 

 

配信リンク: https://flau.lnk.to/CRYSTAL-OneMoreChance 

 



CRYSTAL:



三宅亮太と丸山素直によるシンセサイザーデュオ。JUSTICEのGaspard Auge、Surkinにより見出され、Ed Bangerと共にフレンチ・エレクトロを牽引した伝説的レーベル”Institubes”からデビュー。

70年代後半から80年代のニューウェーブ、インダストリアル、テクノ、エレ・ポップ、ゲームミュージックに影響を受けたサウンドで注目される。

Teki Latex、Ikonikaとのコラボレーションを経て、2015年には日本の”FLAU”よりファーストアルバム「Crystal Station 64」を発表。

その名の通りクリスタル・カラーな抜群のポップセンス、ジャン・ミッシェル・ジャール、トーキング・ヘッズらへの捻じれたオマージュ満載のシンセサイザー・サウンドが好評を得ている。

過去3度のパリ公演では、Para One、Chateau Marmont、Boys Noizeらと共演、近年はThundercatの全米ツアー、Sonar Festival、Taico Club、Rainbow Disco Clubに出演。Flying Lotus presentsのtwitchプログラム「Brainfeeder The Hit」にスペシャルゲストとして登場。Jessy LanzaのDJ Kicksに楽曲がフィーチャーされ注目が上昇中。一方、三宅亮太はSparrowsとしても活躍し、Fazerdaze、Casey MQらをフィーチャーしたアルバム「Berries」を発表している。



Real Estate(リアル・エステイト)が米国の深夜番組”Jimmy Kimmel Live!”の最新回に出演し、シングル「Water Underground」のパフォーマンスを披露した。比較的落ち着いているが、どっしりとした安定感のある演奏はこのバンドならでは。ライブ・パフォーマンスの模様は以下よりご覧下さい。


テレビで初披露された「Water Underground」は、今年2月にDominoから発売された6枚目のアルバム『Daniel』に収録。シングル「Haunted World」「Flowers」も併録されている。

 

リアル・エステイトは2010年代のオルタナティヴロックの黄金時代を象徴するバンド。最初期のセルフ・タイトル、『Days』、『Atlas』に続いて、ファンにとって力強いカタログ『Daniel』が加わった。

 


「Water Underground」

 



St. Vincentがニューアルバム『All Born Screaming』の最終シングル「Big Time Nothing」を配信した。ムーグ・シンセを導入したダンサンブルなポップナンバーだ。

 

マイケル・ジャクスンの『Thriller』のサウンドに対するオマージュが示されている。勢いを失った商業音楽にもう一度、MTVの全盛期の繁栄を取り戻すべく、クラークは奔走する。一つの反復的なベースラインを元にして、渦巻くようなファンクソウルがエナジーを上昇させ、無から炎を作り出す。それはアーティスト自身の存在性を焦がすような強烈な熱量を包含しているのである。

 

セント・ヴィンセントはファーストシングル「Broken Man」、デイヴ・グロールをドラムに、ジャスティン・メルダル=ジョンセンをベースに迎えたセカンド・シングル「Flea」を公開した。


アニー・クラークはこのアルバムをセルフ・プロデュースし、ミックスはシアン・リオーダンが担当した。このアルバムには、ケイト・ル・ボン、レイチェル・エクロース、ジョシュ・フリース、マーク・ギリアナ、ステラ・モグザワ、デヴィッド・ラリッケも参加している。


クラークは以前のプレスリリースで、アルバムについてややミステリアスに語っている。「感情的には、自分の心が本当は何を言っているのかを知るために、一人で森の中を長く歩かなければ辿り着けない場所がある。このアルバムがリアルに聞こえるのは、それがリアルだからなの」

 

St.Vincentの新作アルバム『All Born Screaming』は今週末、4月26日にVirgin Musicからオンセール。


 

「Big Time Nothing」-Best New Tracks



St.Vincent    『All Born Screaming』


Label: Virgin Music

Release:  2024/04/26


Tracklist:

1. Hell is Near
2. Reckless
3. Broken Man
4. Flea
5. Big Time Nothing
6. Violent Times
7. The Power’s Out
8. Sweetest Fruit
9. So Many Planets
10. All Born Screaming [feat. Cate Le Bon]


Pre-order(INT)

https://link.fans/st-vincent


 

ロサンゼルスのシンガーソングライター、Marina Allen(マリーナ・アレン)は三作目のアルバム『Eight Pointed Star』の2ndシングル「Swinging Doors」で戻ってきた。インディーフォークを主戦場とするシンガーだが、この曲はロックソング風のアプローチを図っている。

 

「スウィンギング・ドアーズ "は、シックス・フラッグスの行列や初デートの車の中で感じる蝶のような」人生の新たな章の興奮を楽しむものだと、アレンは声明で説明している。「リスクへの頌歌であると同時に、信頼への頌歌でもある。このアルバムでは、これまで以上に愛について書いた。必ずしもロマンチックな愛でなくてもいい。Swinging Doors'は信頼の落下でもある。でも、自己反省の代わりに、その意味を体験的に発見することをテーマにしているんだ」


マリーナ・アレンの新作アルバム『Eight Pointed Star』はFire Recordsから6月7日に発売予定。最初のリードシングルとして「Red Cloud」が先行配信されている。

 

 「Swinging Door」

©Louie Kovatch


今回、DIIVは、斬新なリリース方法に打って出た。ストリーミングで楽曲を配信せず、独自サイトでトラックを公開したのだ。謎のウェブサイトFIBW.orgを通じて、近日発売予定のアルバムのタイトル曲「Frog in Boiling Water」をリリース。

 

この曲は、先行配信された「Brown Paper Bag」「Everyone Out」のフォローアップとなる。試聴はこちらから。


DIIVのニューアルバム『Frog in Boiling Water』は、”茹でガエル”というメタファーがやや自虐的に機能する。しかし、彼らはそれを個人だけではなく、全体的なニュアンスと捉えているらしい。終末の世界をどのように生きるべきなのか。生きるというより、サヴァイヴァルに近い。答えは見つからないが、それぞれが自力で探していくべきなのか。

 

タイトルトラックは、自重作用により崩壊の最中にある世界のスナップショット。「残虐行為の連鎖が、あまりにも茫然自失で無力に見える人々の上に押し寄せてくる。富は引き出され、人々は苦しむ。唯一の明白な解決策は・・・」--と、メッセージの残りは黒く塗りつぶされている」


新作アルバム『Frog in Boiling Water』はファンタジー・レコードから5月24日にリリースされる。


ニューヨークのシンガーソングライター、ミツキがニューアルバム『The Land is Inhospitable and So Are We』 「Star」の新しいビデオを公開した。ビデオの監督はMaegan Houangが手掛けた。ミツキは同時に世界ツアーの日程を発表した。今後のアーティストのツアー日程は以下の通り。


HouangはプレスリリースでMVについて次のように語っている。「ミツキと私が過去に一緒に制作した、より物語的でコンセプト重視のビデオとは異なり、このビデオは、私たち全員が経験する印象的な循環を表現したかった。我々の人生は、光と闇の間で揺れ動き、永久のものは何もない無限のサイクルで繰り返される。最高の瞬間はつかの間だが、悪い瞬間もまたつかの間だ」


ミツキは『The Land is Inhospitable So Are We』の曲を何年もかけて一気に書き上げた。このLPは主にナッシュビルのボム・シェルターでレコーディングされ、パトリック・ハイランドが共同プロデュースした。このアルバムはMUSIC TRIBUNEのアルバムオブザイヤーに輝いたほか、レビューでも⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️を獲得。



「Star」





Mitski 2024 Tour Dates:


Sat. Apr. 27 - Edinburgh, UK @ Usher Hall ✺ 

Sun. Apr. 28 - Edinburgh, UK @ Usher Hall ✺ 

Wed. May 1 - Manchester, UK @ 02 Apollo ✺ 

Sat. May 4 - Dublin, IE @ 3Arena ✺ 

Mon. May 6 - Wolverhampton, UK @ The Civic at the Halls ⁂ 

Wed. May 8 - London, UK @ Eventim Apollo ⁂ 

Thu. May 9 - London, UK @ Eventim Apollo ⁂ 

Fri. May 10 - London, UK @ Eventim Apollo ⁂ 

Sat. May 11 - London, UK @ Eventim Apollo ⁂ 

Tue. May 14 - Brussels, BE @ Cirque Royal ✥ 

Wed. May 15 - Brussels, BE @ Cirque Royal ✥ 

Fri. May 17 - Paris, FR @ Le Grand Rex ✥ 

Sat. May 18 - Paris, FR @ Le Grand Rex ✥ 

Mon. May 20 - Amsterdam, NL @ Royal Theater Carré ✥ 

Tue. May 21 - Amsterdam, NL @ Royal Theater Carré ✥ 

Fri. May 24 - Berlin, DE @ Tempodrom ✥ 

Sat. May 25 - Berlin, DE @ Tempodrom ✥ 

Tue. May 28 - Frankfurt, DE @ Jahrhunderthalle ✥ 

Thu. May 30 - Zürich, CH @ Theatre 11 ✥ 

Sat. Jun. 1 - Barcelona, ES @ Primavera Sound

Tue. Jun. 4 - Madrid, ES @ Noches Del Botanico

Thu. Jun. 6 - Porto, PT @ Primavera Sound

Sun. Aug. 18 - London, UK @ All Points East Festival at Victoria Park [Headline Performance]

Tue. Aug. 27 - Detroit, MI @ Masonic Temple Theatre ★ 

Wed. Aug. 28 - Detroit, MI @ Masonic Temple Theatre ★ 

Fri. Aug. 30 - Columbia, MD @ Merriweather Post Pavilion ★ [SOLD OUT] 

Sat. Aug. 31 - Columbia, MD @ Merriweather Post Pavilion ☾ [SOLD OUT] 

Sun. Sept. 1 - Columbia, MD @ Merriweather Post Pavilion §

Tue. Sept. 3 - Cleveland, OH @ Jacobs Pavilion ★ [SOLD OUT] 

Fri. Sept. 6 - Atlanta, GA @ The Fox Theatre ★ 

Sat. Sept. 7 - Atlanta, GA @ The Fox Theatre ★ 

Sun. Sept. 8 - Atlanta, GA @ The Fox Theatre ★ 

Tue. Sept. 10 - Sugar Land, TX @ Smart Financial Centre ▽ 

Thu. Sept. 12 - Austin, TX @ Moody Center ✦ 

Fri. Sept. 13 - Grand Prairie, TX @ Texas Trust CU Theatre ▽ 

Sat. Sept. 14 - Grand Prairie, TX @ Texas Trust CU Theatre ▽ 

Tue. Sept. 17 - Morrison, CO @ Red Rocks Amphitheatre ✽ 

Wed. Sept. 18 - Greenwood Village, CO @ Fiddler’s Green Amphitheatre ✽ 

Sat. Sept. 21 - Portland, OR @ Moda Center ✽ 

Mon. Sept. 23 - Berkeley, CA @ Greek Theatre ◇ [SOLD OUT] 

Tue. Sept. 24 - Berkeley, CA @ Greek Theatre ◇ [SOLD OUT] 

Wed. Sept. 25 - Stanford, CA @ Frost Amphitheater ◇ 

Sat. Sept. 28 - Los Angeles, CA @ Hollywood Bowl ∞


✺ w/ Richard Dawson 

⁂ w/ Miya Folick 

✥ w/ Iceage 

★ w/ Lamp 

▽ w/ Arlo Parks 

✦ w/ Ethel Cain 

✽ w/ Laufey 

◇ w/ Wyatt Flores 

☾ w/ Alvvays 

§ w/ Sierra Ferrell

∞ w/ Sharon Van Etten


先週、ドキュメンタリーが6月にプライム・ビデオでプレミア上映されることが発表され、2月にはグラミー賞でプレゼンターを務めたセリーヌ・ディオンが、フランス版『VOGUE』2024年5月号の表紙を飾り、再びスポットライトを浴び始めている。


クロヴィス・グーとの幅広いインタビューの中でディオンは、2022年に診断された稀な神経疾患であるスティッフ・パーソン症候群(SPS)への対処について語った。その症状によって数年分のツアー計画のキャンセルを余儀なくされたこと、そしてファンなら誰もが気になる点はいつステージに戻れるのかということだろう。


「それは答えられないわ......。4年間、私は自分自身に、もう戻らない、準備はできている、できていないと言い続けてきたのだから......。現状では、ここに立ってあなたに言うことはできない。現状では、私はここに立って、『はい、4ヵ月後に復帰する』とは言えない」とディオンは説明した。「わからないわ...。体が教えてくれるはずよ。一方で、ただ待っていたくはないの。毎日を生きるのは道徳的に難しい。ハードだし、一生懸命働いているし、明日はもっとハードになる。明日はまた別の日だ。でも、決して止まらないものがある。それは情熱。夢。決意よ」


彼女はまた、治療の一環として、週に5日、運動療法、理学療法、発声療法を受けていると説明した。「私が思うに、私には2つの選択肢がある。アスリートのようにトレーニングに励むか、家で自分の歌を聴き、鏡の前に立って自分に向かって歌うか。"私は医療チームと一緒に、頭からつま先まで、全身全霊で取り組むことを選んだ」


筋肉のコントロールを取り戻すために自分を奮い立たせ続ける回復力とインスピレーションをどこから得ているのかと尋ねると、ディオンは家族、ファン、チームの愛を挙げた。「SPSに苦しむ人たちは、良い医者や良い治療を受けられるほど幸運でもないし、そのような手段を持ち合わせていないかもしれない。私はそのような手段を持っており、これは贈り物なのです」と彼女は認めた。「さらに、私にはこの強さがある。誰にも止められないとわかっています」


オスカー受賞者のアイリーン・テイラーが監督を務める『I Am: Céline Dion』は、6月25日に全世界でストリーミング配信される。既報の通り、この作品は、音楽ドキュメンタリーにありがちな長期にわたるキャリアの概観を避け、筋力のコントロールを妨げ、ツアーのキャンセルを余儀なくされた稀な神経障害に対処するディオンの人生における予期せぬ、極めて重要な瞬間をスナップショットすることに主眼が置かれている。


「この2、3年は私にとって挑戦のようなもので、自分の症状を発見してから、それと共存し、管理する方法を学ぶまでの道のりだった。


「パフォーマーとしてのキャリアを再開するための道のりが続く中、ファンの皆さんにお会いできないことがどれほど寂しかったことか。この不在の間に、同じ診断を受けている人たちを助けるために、私の人生のこの部分を記録したいと思うようになりました」