テイラー・スウィフトは、アルバム収録曲の「Karma」と「Snow on the Beach」の2曲をアップデートした『Midnights』のデラックス・エディションをリリースした。

 

「Karma」のリミックスには、スウィフトがアルバム発表時に「地球上で最もクールな人」と語ったアイス・スパイスが参加し、「Snow on the Beach」の拡張版にはラナ・デル・レイのボーカルがさらに追加されています。Midnights (Til Dawn Edition)』には、Target限定ボーナストラックとしてリリースされていた「Hits Different」も収録されています。以下より聴いてみてください。


テイラースウィフトは「Midnights」の別バージョン「3AM」もリリースしている。


 

 

©Cheryl Georgette

Julian Casablancas and the Voidzが、2020年の「Alien Crime Lord」以来となる新曲「Prophecy of the Dragon」を発表した。このシングルは、バルセロナとマドリードのプリマヴェーラ・サウンドを含む、6月の一連のヨーロッパのフェスティバルへの出演に先立ち到着した。試聴は以下から。


「Prophecy of the Dragon」についての声明で、The Voidzは次のように述べている。


「この曲はとてもシンプルな質問から始まりました...神があなたの耳元で、あなたは私の最も素晴らしい生き物だ、と囁いたら、どんな感じがするでしょうか? その感覚はどのように聞こえるだろうか? そのベースラインはどのようなものだろうか? そうして、The Voidzの法螺貝が吹かれ、私たちはこれまでのクエストで召喚された地球の様々な場所から集まりました。サハラの砂漠から中西部のトラックストップまで、私たちはこの問いに答えるためにカリフォルニアで再会した」

 

その答えとは?

永遠の炎の骨から、

数千年の時を経て目覚めたドラゴンの声は、ニューピレイトの形をした不躾な音拳を吐き出した。

新海賊団の歌の形をしている、

何事も見かけによらず、またそれ以外でもない。

 

-ドラゴンの予言


 


フロリダのエモバンド、Home Is Whereが新作アルバム「the whaler」の新たなシングル「floral organs」を公開しました。 「floral organs」は、アルバム『The Whaler』のエンディング・トラックです。

 

この曲は、そり鐘とハーモニカが鳴り響く、さわやかなインディーロックです。フロントウーマンのブランドン・マクドナルドは、この曲について「人生を過ごすことで和解すること、そして終わりはいつも始まりにフィットすること」を歌っていると説明しています。floral organs」の試聴は以下から。

 

Squid

イギリスのポストパンクバンド、Squid(スクイッド)が『O Monolith』の3rdシングル「The Blades」を公開されました。6月9日にWarpからニューアルバムは発売されます。バンドは、以前「Swing」、「Undergroth」を公開しています。


同時に公開されたミュージックビデオは、フランツ・カフカ的な悪夢にはまった役柄を演ずるイギリスの女優、Charlotte Ritchie(TV「Ghosts」英国版オリジナルに出演)が出演を務める。


Squidのドラマー/ヴォーカリストであるOllie Judgeは、プレスリリースでこのニューシングルについて次のように語っています。

 

 「この曲は、これまで僕らが作ってきた曲よりも脆弱で、とても困難なことなんだ。ダン(・キャリー)と僕は、ボーカルの表現について話していて、完全に自分を解放するのではなく、即効性のあるシャウトに頼らないようにするのがいいんじゃないか、と。曲の終わりは本当にソフトで優しい雰囲気で、こんなことは今までなかったと思います」

 

「表面的には警察の残虐行為についての歌です。最後の部分はエドガー・アレン・ポーの「テルテル・ハート」にインスパイアされている。物語的には、警察ヘリコプターのパイロットの一日を追い、彼がベッドで、彼を嘲笑うかのように空を旋回する別のパイロットの声を聞くところで終わる。曲には、エゴに対する恐怖という深い意味が込められているんだけど、それが曲のどの部分からきているのかはまだわからないんだ」

 

Squidは、Louis Borlase、Ollie Judge、Arthur Leadbetter、Laurie Nankivell、Anton Pearsonを擁しています。Dan CareyがO Monolithをプロデュースし、TortoiseのJohn McEntireがミックスを担当した。

 

Squidは、Bright Green Fieldのリリースから2週間後にO Monolithの制作を開始しました。当時、バンドはツアー中で、パンデミックの影響が大きかったため、社会的に距離を置いたライブを行った。ツアーで、彼らはいくつかの新曲を試した。

 

「あのツアーがなければ、これらの曲はなかった」と、ジャッジは以前のプレスリリースで語っています。

 

「人々はライブを見るのをとても楽しみにしていたので、未完成でも何でも演奏しようと思ったんだ。何らかの形でO Monolithの約80%を演奏したよ。実はほとんどが歌詞のない曲だったんだ」

 

さらに、アルバムのテーマについて、Louis Borlaseはこう語っています。「アルバムには人と環境との関係というテーマが、全体を通して貫かれている。私たちが没頭するようになった世界、環境の緊急事態、家庭の役割、長い間離れているときに感じるズレなどが暗示されています」


「The Blades」

 



NON(のん)は6月28日にセカンドアルバム『PURSUE』をリリースするが、そのアルバムに収録されている「Beautiful Stars」で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとコラボしたことが明らかとなった。

 

NONとJ-POPロックバンド、アジカンが演奏するこの新曲「Beautiful Stars」は、すべての女性に向けた力強いメッセージを込めた爽快なパワーポップナンバー、バンドのフロントマン後藤正文が作曲、井上陽水(Turntable Films)&AKFGがプロデュースしています。既に米ビルボードでも紹介されています。K-Pop系のグループのような世界的なブレイクに期待しましょう。


「Beautiful Stars」

Steve Albini&Nirvana

1993年2月、ニルヴァーナがレコーディング・エンジニアのスティーブ・アルビニとともに自作の『In Utero』のレコーディングに取り掛かるため、ミネアポリス郊外50マイルのパチダーム・スタジオでキャンプをした時、彼らはセカンド・アルバム『Nevermind』のおかげで大きな存在になっていました。そのため、アルビニはバンドを別名でスタジオを予約することにした。

 

「噂が広まらないようにする必要があったんだ」とアルビニはNMEに新しいインタビューで語っている。「そのスタジオはインディペンデントなレコーディングスタジオで、そこで働いている人は少人数だった。彼らに秘密を託したくなかったから、自分のアカウントで「サイモン・リッチー・バンド」という偽名でスタジオを予約したんだ。「もちろん、シド・ヴィシャスの本名だ」


もちろん、スタジオのオーナーでさえ、ニルヴァーナが来るとは知らなかったのです。しかし、バンドの知名度とは裏腹に、プロデューサーはセッションは比較的普通のものだったと主張する。


「セッションには何もなかった」と彼は付け加えます。「つまり、彼らが非常に有名であることを除けば、です。ファンで溢れかえらないように、できる限り隠蔽する必要があったんだ。それが唯一、奇妙なことだったんだ」


予想外の要因として、アルビニはカート・コバーンとギターのつながりがあることを知りました-ニルヴァーナのソングライターが思い出させてくれるまで知らなかったことです。

 

「In Uteroのセッションのかなり前に、私のバンド、Big Blackがお別れツアーを行ったとき、最終公演はシアトルのある工業地帯で行われたんだ」とスティーヴ・アルビニは回想している。「奇妙な建物で、その場しのぎのステージだった。クールなライブで、最後に機材を全部壊してしまったんだ。その後、ある青年がステージからギターの一部を取っていいかと聞いてきて、私が『どうぞ、もうゴミですから』と言ったのをはっきり覚えていますよ。この先、どうなるかは想像がつきますよね...」

 

 


「何年も経ってから、ミネソタのスタジオで『In Utero』に取り組んでいたとき、カートは保存していたこのときのライブで拾ったギターの小さな破片を私に見せてくれたんだ。彼は長い年月を経て、それを私のところに持ってきたのだ。そう、コバーンはそのときの青年だったんだ」

 

フーファイターズが6月2日にRoswell/RCAからリリースされるアルバム『But Here We Are』から新曲を発表しました。彼らが公開した最新曲は、デイヴ・グロールの娘、ヴァイオレット・グロールがゲストボーカルとして参加している「Show Me How」です。以下でお聴きください。

また、バンドは『But Here We Are』を引っ提げたツアー中です。これらの日程は下記でご確認ください。

 

「Show Me How」

 

©Pooneh Ghana


Angelo De Augustine(アンジェロ・デ・アウグスティン)は、近日発売予定のアルバム『Toil and Trouble』収録のニューシングル「The Ballad of Betty and Barney Hill」を公開しました。

 

リード曲「Another Universe」に続くこの曲は、宇宙人に誘拐されたと主張するニューハンプシャー出身のバーニーとベティ・ヒルのカップルの物語をベースにしています。この曲には、Clara Murrayが監督したビデオが付属しており、以下でご覧いただけます。


「このアルバムを制作している間、私は言葉が出ないほど恐ろしい、拷問的な、そして説明のしようがないような体験をしました。

 

「この期間に、私はベティとバーニー・ヒル、そして彼らの物語に密接なつながりを感じた。私は、彼らが54年前に経験したと言っているように、もしかしたら私は銀河系の存在に誘拐されたのかもしれないとさえ思うようになったのです。私たちは、論理的に理解できないことを経験すると、それがどんなに突飛なことであっても、どんな説明でも思いつこうとします。私たちは理解を求めているように見える。おそらく、それが私たちを安心させるのでしょう。未知なるものが迫ってくるのは、大変なことであり、時には恐ろしいことでもあります。しかし、私たちがまだ理解していないことはたくさんあり、中には決して理解できないこともあるのです」 



「The Ballad of Betty and Barney Hill」

 


Blue Noteは新たにブルックリンを拠点にするマルチ奏者・SSWのCautious Clay(コーシャス・クレイ)と契約したことを発表し、今年後半にリリース予定のレーベル・デビューのリード・シングル「Ohio」も同時に公開しています。

 

2017年以来、Cautious Clayは心のこもったソングライティングと、ポップ、オルタナティブR&B、インディーロックの間を流動的に行き来する独自のサウンドで、着実に熱心なファンベースを築いてきました。次の動きとして、クリーブランド出身でニューヨークを拠点とするシンガー、ソングライター、マルチ・インストゥルメンタリスト、プロデューサーとして知られる。

 

「Ohio」は、Cautiousがクリーブランドで育ったころの体験に触れています。この曲は、1970年代のアイズレー・ブラザーズを彷彿とさせるファットなベースラインに合わせて闊歩し、カウシャスのエモーショナルなテナーボイスが、広大なハートランドで自分の選択肢を探る若きジョシュアの姿を描いた歌詞とともに夢のようなサウンドスケープを浮遊しています。

 

 

「Ohio」

 


幼い頃、ジョシュアの両親は、家の中でクラシックなR&Bやジャズを演奏していた。7歳のとき、彼はフルートを習うことを決意した。師匠のグレッグ・パティロは、後にYouTubeの「Beatbox Flute」シリーズで一躍有名になった人物で、クリエイティブで現代的な楽器へのアプローチ方法を彼に伝授した。コーシャスは高校ではサックスを始め、学校のジャズバンドや、街のジャズグループ、ロックバンドで演奏。大学進学のため、ワシントンDCに移り、ジョージ・ワシントン大学で国際問題を専攻し、ジャズを副専攻した。また自分でトラックを書き、プロデュースし、SoundcloudでCautious Clayとして自分の音楽的アイデンティティを磨いた。

 Cero 「eo」

 

 
Label: カクバリズム
 
Release: 2023/5/24 

 



Review  
 

 
「eo」についてのceroのフロントマン、高城昌平のコメントは以下の通りです。

 


これまでのceroのアルバム制作といえば、常にコンセプトや指標のようなものが付きものだった。それが自分たちのスタイルでもあったし、バラバラな個性を持った三人の音楽家が一つにまとまるには、その方法が最も適していたのだと思う。
ところが、今回に関しては、そういうものが一切持ち込まれぬまま制作がスタートした。コロナ禍によって世の中の見通しが立たなかったこととも関係があるだろうし、年齢的なことにもきっと原因はあるのだろう。一番は、三人それぞれが自分のソロ作品に向き合ったことで、そういった制作スタイルに区切りがついてしまった、ということなのかもしれない。
 
なにはともあれ、唯一の決め事らしきものとして「とにかく一から三人で集まって作る」という方法だけがかろうじて定められた。そのため、まず環境が整備された。はじめは吉祥寺のアパートで。後半はカクバリズムの事務所の一室で。
このやり方は、とにかく時間がかかった(五年…)。「三人で作る」とはいえ、常に全員が忙しく手を動かすわけではないので、誰かしらはヒマしていたりして、効率は悪かった。でも、その客観的な一人が与えるインスピレーションに助けられることも、やはり多かった。
 
また、この制作はこれまででダントツに議論が多かった。シングルのヴィジュアルから楽曲のパーツ一つ一つにいたるまで、一体いくつメールのスレッドを費やしたかわからない。でも、そうやって改めてメンバー+スタッフで議論しながらものづくりができたことは、かけがえのない財産になった。楽曲を成り立たせているパーツの一つ一つが、セオリーを超えた使用方法を持っており、当たり前ながら、それら全てに吟味する余地が残されている。そんな音、言葉一つ一つに対する懐疑と諧謔のバランスこそがceroらしさなのだと、しみじみ気付かされる日々だった。


 

日本国内の音楽を聴いていてなんとなく感じるのは、基本的にパンデミック以前の音楽と、それ以後の音楽は何か別のものに成り代わった可能性が高いということである。成り代わったというのが本当かどうかはわからない。ただ、それはふつふつと煮えたぎっていた内面の違和感のようなものが、2023年を境にどっと溢れ出て、本格的な音楽表現に変貌を遂げたとも解釈出来る。その変革はオーバーグラウンドで起きたというより、DIYのスタイルで音楽活動を行うバンドやアーティストを中心にもたらされた。もしかすると、今後、これらの新しい”ポスト・パンデミック”とも称するべき音楽の流れを賢しく察知しなければ、日本の音楽シーンから遅れを取るようになるかもしれない。現在、何かが変わりつつあるということは、実際のシーンの最前線にいるミュージシャンたち本人が一番そのことを肌で感じ取っているのではないだろうか?

 

ceroーー高城昌平、荒内佑、橋本翼によるトリオは、これまでの複数の作品を通じて、日本語の響きの面白さに加え、中央線沿線(高円寺から吉祥寺周辺)のミュージックシーンを牽引してきた。 元々、2010年代のデビュー当時からトリオの音楽的なセンスは傑出していた。それは街のバーに流れる流行音楽とも無関係の話ではあるまい。メンバーの音楽的な背景には、広範な音楽(ポップス、ラップ、R&B)があり、それを改めて日本のポップスとして咀嚼し、どのように組み上げていくのか模索するような気配もあった。今では「Mountain、Mountain」などで関西風のイントネーションの面白さを追求していたのはかなり昔のことのようにも感じられる。

 

既に多くのファンが指摘しているように、メンバーのソロ活動を経て発表された「eo」については、聞き手の数だけ解釈の仕方があると思う。「大停電の夜に」の時代からのコアなファンであれば、懐かしいシティ・ポップや、akutagawaのような2010年代の下北沢や吉祥寺周辺のオルタナティヴロックのアプローチを見出すことができるし、それ以後の年代のネオソウルやラップ調の影響を見出すファンも少なからずいるかもしれない。実際、このアルバムは旧来と同様、日本語の響きの面白さが徹底的に追求された上で、以前の音楽性に加えてクラシカルやテクノ、ネオソウルの興味がアルバム全体に共鳴しているのである。これを気取っていると読むのか、それとも真摯な音楽であると捉えるのか、それも聞き手の感性や理解度のよるものだと思う。


しかし、オープニング曲「Epigraph」を聴くと理解出来るように、これまでのceroのアルバムの中で最もドラマティックで、彼らのナラティヴな要素が元来の音楽の才覚と見事な合致を果たしている。そのことはバンドの音楽に詳しくないリスナーであっても理解していただけるはずである。

 

また、それは「三人」というそれ以上でも以下でもない最小限の人数によるバンドという形式のぎりぎりのところで、銘々の才覚がバチバチと静かに火花を散らし、せめぎ合っているようにも思える。それは何か大それた形でスパークをみることはないのだが、しかし、確実にセッションの適切な緊張感から旧来のceroとは異なる音楽のスタイルが生み出されたことも事実であろう。上記の高城さんのコメントを見るかぎりでは、アルバム制作には五年という歳月が割かれたというが、結局、長い制作期間を設けたがゆえの大きな収穫を彼らは受け取ったのではないだろうか。これまでのceroの作品の中で最も緊張感がある反面、適度にくつろげる音楽としても楽しめるし、何かしら奇異な感覚に充ちたアルバムである。またソーシャル・メディアで指摘している方もいるが、明らかにこれはJ-Popの流れを変えうる一作と言えるのではないだろうか。

 

今作でのceroのアプローチは最近の洋楽と没交渉というわけではないものの、基本的にはJ-Popの音楽の範疇にあるものと思われる。そして、シティ・ポップの懐かしさとモダンなJ−Popの要素を織り交ぜ、それをどのような形で新機軸の音楽へと導いていくのか、その試行錯誤の跡が留められている。「Nemesis」を始めとする楽曲では、高城昌平が日本語の言葉の重みを実感しながらも嘆くかのような雰囲気に満ちている。以前は、さらりとラップ風にもしくはソウル風に軽快なリリックを展開させていたはずなのに、このアルバムに関してはその限りではないのだ。

 

何かしらパンデミック期の日本のパンデミック時代の閉塞した雰囲気に飲み込まれまいとするかのように、以前とは全く異なるじんわりとした深みのある言葉が一つ一つ丹念に放たれていく。それは日本語の表面上の意味にとどまらず、より深い感情的な意味がシラブルから聞き取ることもできる。さらに、このレコードから感じるのは、「言葉を放つ」というシンプルで実存にも関わる事柄の重要性を、ボーカリストである高城昌平さんはあらためてじっくり噛み締めているのだ。だからこそ言葉に深みがあり、軽やかな音楽と合わさると、奇妙なアンビバレントな効果を生み出すのである。例えば、最も言語的な実験性を込めたのが、「Fuha」となるだろうか。ここではノルウェーのJaga Jazzistの影響の反映させて、高城昌平のリリックは途中でブレイクビーツのように切れ切れとなるが、再びドリルのラップのサビに至ると、その言葉の響きがより鮮明となる。J-Popとしてはこれまでで最もアヴァンギャルドな作風のひとつである。

 

このアルバムには、他にもラテン系のポップや民族音楽の影響を反映した前衛的な作風が確立されつつある。「Tableux」でのイントロからのキャッチーなサビへの展開はアヴァンポップへとJ-Popが最接近した瞬間である。続く「Hitode No Umi」でのブラジル音楽を始めとするラテンとトロピカルの展開を通し、パーカッシブな要素を加味することで、各々の楽曲の印象を迫力ある内容にしている。それに続いて、旧来のceroの音楽性と同様に、少しマニアックな要素を踏襲しつつ、一般的なポップスとして万人に親しめるような形で「eo」は展開されていく。これらのパーカッシヴな要素は、実験音楽とも少なからず関係があり、グリッチに近いエレクトロニカの要素も織り込められている。その他にも、このバンドらしいソウルへの愛着が「Fdf」で示されている。ここにはアース・ウインド・アンド・ファイア直系のディスコソウルの真骨頂を見いだせると共に、ロンドンのJungleに近いレトロなネオソウルとして楽しむことができるはずだ。

 

『eo』はバンドメンバーの非常に広範な音楽的な興味に支えられたクロスオーバーの最新鋭のアルバムと称せるが、この作品を解題する上でもう一つ欠かさざる作曲技法が、アカペラのアプローチである。「Sleepra」では、息の取れた歌声のハーモニーの魅力が最大限に引き出されている。そしてそれは最終的に、ブレイクビーツを活用することによって、ハイパーポップに近い先鋭的なポピュラー音楽へと昇華されていく。これはトリオの現在の音楽に対するアンテナの鋭さを象徴付ける一曲になっている。アルバムの最後になっても、バンドの未知の音楽に対する探究心は薄れることはない。「Solon」では、最初期に立ち返ったかのような甘いメロディーを活かしたキャッチーなポップス、それに続く、クローズ曲では、ピアノを織り交ぜた上品なポップスに挑戦している。これらの曲には、どことなくシティ・ポップにも似たノスタルジアがわずかに反映されているが、しかしもちろん、これは単なる懐古主義を衒ったというわけではあるまい。ceroは2023年の日本のミュージック・シーンの最前線を行くバンドなのだから。

 

 

84/100

 

 

 

Sylvan Esso


Amelia MeathとNick Sanbornによるエレクトロニック・デュオ、Sylvan Esso(シルヴァン・エッソはニューヨークの伝説的なレコーディングスタジオでのライブを収録した『Live At The Lady』をリリースしました。このEPの収録曲では、アルバム『No Rules Sandy』の人気曲5曲を演奏したほか、故ミミ・パーカーが所属したスロウコアバンド、Lowの「Will The Night」もカバーしている。


 


シルヴァン・エッソは、グラミー賞を受賞したAttacca Quartet(アタッカ・カルテット)、Gabriel Kahane(ガブリエル・カハネ)による特別なストリングスアレンジ、そして、バンドコミュニティーのミュージシャンたちと一緒に、6曲のコレクションに参加しています。

 

Jenn Wasner(Bon Iver、Flock of Dimes、Wye Oak)、ドラマーのTJ Maiani(Neneh Cherry、Weyes Blood)、Joe Westerlund(Megafaun, Califone)、ギターリストのMason Stoopsは、昨年秋MeathのデュオThe A's でマーカス・マフォードのツアーを行った際に出会った。

 

「アメリアも私もLowの大ファンで、ミミ(パーカー)が亡くなったことを聞いてとても悲しくおもっていた」とSylvan EssoのNick Sanborn(ニック・サンボーン)は話している。


10代の頃、初めて「The Curtain Hits The Castfor」を聴いて、すぐに「Anon」に衝撃を受けたのを今でも覚えています。今まで聴いたことのないような、心に残る、内臓に響くような曲で、何年も経った今でもよく聴いています。今年の1月、エレクトリック・レディセッションのセットリストを作っていたとき、アッタカ・カルテットが参加することが分かっていたので、すぐにミミへのトリビュートとして「Will The Night」をカバーしようと思いつきました。彼らの曲の中でもずっと好きな曲のひとつで、美しくシンプルで時代を超えた、暗闇の中の光です。

 

 


ロンドンを拠点に活動するシンガーArlo Parks(アーロ・パークス)は、今週金曜日に発売されるニューアルバム『My Soft Machine』の5thシングル「Devotion」を公開しました。ソウルに加え、ソングライターのオルタナティヴへのこだわりが感じられる一曲です。

 

Arlo Parksはプレスリリースで、この曲について次のように語っています。「私にとっての "Devotion"は、引き裂かれそうなほどの愛を感じる曲で、激しさ、荒々しさ、優しさがあります。Deftones、Yo La Tengo、Smashing Pumpkins、My Bloody Valentineなど、私を音楽に夢中にさせたバンドから引用しているんだ」

 

ビデオについて、Arlo Parksはこう付け加えています。 「"Devotion”のミュージックビデオは、汗臭くてノスタルジックでルーズな感じが必要だった。シュールな青みがかった色合い、パフォーマンスにおける野生の喜びの感覚、ぼかしとバンド-90年代のロックミュージックと、自分を破壊しそうになるほど激しく愛するという概念に敬意を表したかった」

 

『My Soft Machine』は、2021年1月にTransgressiveからリリースされる。高い評価を得たパークスのデビューアルバム『Collapsed in Sunbeams』に続く。アルバムは、その年の最優秀英国アルバムに贈られるマーキュリー賞を受賞しています。

 

ニューアルバムとそのタイトルについて、パークスは以前のプレスリリースでこのように語っています。

 

「世界や私たちの視野は、私たちが経験する最大のもの、つまり私たちのトラウマや生い立ち、脆弱性によって、まるで視覚的な雪のように彩られる。


20代半ばの不安、周囲の友人の薬物乱用、初めて恋をしたときの内臓、PTSDや悲しみ、自己破壊や喜び、驚きと感受性で世界を移動すること、この特別な体に閉じ込められることがどんなことなのか、私のレンズを通して、私の体を通して人生を描いたのがこのレコードです。


ティルダ・スウィントンが出演したA24の半自伝的映画で、若い映画学生が年上のカリスマ的な男性と恋に落ち、彼の中毒に引き込まれていく様子を描いたものです。そう、これが私のソフトマシーンなのです」

 


「Devotion」

 

 

スウェーデンのエレクトロ・ポップ・バンド、Little Dragonが7月7日に発売されるニューアルバム『Slugs of Love』の最新シングル 「Gold」を公開しました。以前、バンドは二作のシングル「Stay」「Kenneth」を公開しています。


リトル・ドラゴンはプレスリリースで、「Gold 」は "お金では買えない豊かさについての考察 "だとまとめています。


Little Dragonは、エリック・ボディン(ドラムス、パーカッション)、フレドリック・ワリン(ベース)、ホーカン・ウィレンスターンド(キーボード)、そして、ナガノ・ユキミ(ボーカル)です。「Slugs of Love」は、ヨーテボリの彼らのスタジオでレコーディングされました。このアルバムには、1曲でデイモン・アルバーン、別の曲でアトランタのラッパー、JIDが参加している。


バンドは、以前のプレスリリースで、このアルバムについてまとめて次のように語っています。

 

私たちは、コラボレーションとコミュニケーションのさまざまな方法を模索してきました。パターンを分解し、新しいものを作る。

 

好奇心を持って鍵盤を押したり、時には激しく、時には優しく様々なものを叩いたり、弦を叩いたり、音を録音したり、音にどれだけ手を加えることができるか、その限界を調べたり...前へ、後ろへ、横へ、あらゆる方向に進化するこの音楽に合わせて、一緒に開発、再生、ダンス、泣いたり、笑ったりしてきたが、ついに完全な傑作になった...これは今まで一番良い出来だと思う。私たちはとても誇りに思っています。

 

 

 「Gold」

Butthole Surfers
 

Matador Recordsは、Butthole Surfersの一連のクラシック・アルバムをリイシューすることを発表しました。

 

1984年の『Psychic...Powerless...Another Man's Sac』、1986年の『Rembrandt Pussyhorse』、1987年の『Locust Abortion Technician』、1988年の『Hairway to Steven』、1991年の『Pioughd』というバンドのファーストアルバム5枚のデジタルおよびフィジカル・リイシューを統括しています。デジタルストリーミングはこちらからご視聴いただけます。

 


 

さらにマタドールは、テキサスのノイズロック・グループの最初の10年間に録音されたEPやその他の音源をリリースする予定だとも述べている。


リイシューのフィジカル盤のリリース日は現時点では発表されていませんが、これらのアルバムはすべてストリーミング・プロバイダーで視聴可能で、さらにMatadorはバンド初期のハイライトを集めたプレイリスト "The Butthole Surfers:1984-91 A Primer "を公開しました。


 


USオルタナティヴロックバンド、Guided by Voicesが、1月の『La La Land』に続く2023年第2弾アルバム『Welshpool Frillies』を発表しました。GBV Inc.を通して7月21日に発売される。


Rolling Stone誌によると、バンドはブルックリンの地下室でプロデューサーのTravis Harrisonと一緒にライブ・テープでこのアルバムをトラックした。このニュースと共に彼らは新曲「Seedling」を公開しています。

 

「Seeding」

 

©︎ Bobbi Rich

米国ラスベガス出身のシンガーソングライター、Jenny Lewis(ジェニー・ルイス)は、近日発売予定のアルバム『Joy'All』からの最新シングル「Cherry Baby」を公開しました。「Giddy Up」「Psychos」、に続く作品です。この曲のリリック・ビデオは以下からご覧ください。

 

5枚目のソロアルバム『Joy'all』はアーティストがルーティンの形式で少しずつ曲を書き足しながら、じっくりと完成に導かれた作品となる。

 

ジョニー・ルイスは次のように語っている。「パンデミック前の旅先でこれらの曲のいくつかを書き始め...、世界が停止するにつれてそれを脇に置き、2021年の初めにナッシュビルの自宅から、ベックが主催する一握りの素晴らしいアーティストたちとの1週間の仮想ソングライティング・ワークショップに参加しました」

 

課題は、ベックからのガイドラインをもとに、7日間毎日1曲ずつ書くことでした。ガイドラインは、「1-4-5のコード進行の曲を書く」、「決まり文句だけの曲を書く」、「フリーフォームのスタイルで書く」といったプロンプトになる。私が最初に提出した曲は『Puppy and a Truck』でした。


2019年の『On the Line』に続く『Joy'All』は、Blue Note/EMI Recordsを通じて6月9日にリリースされる予定となっている。

 

「Cherry Baby」