東京のLuby Sparksは、このところコンスタントに良作を発表している。今回、彼らは、Yeah Yeah Yeah’sのカバーソング「Maps」に続いて、シングル「Somebody Else」をリリース。春や初夏にふさわしい清涼感のあるインディーポップナンバーとなっています。配信リンクは下記より。

 

英語による歌詞ではあるが、エリカ・マーフィーの甘酸っぱいフレーズは往年のスピッツのヒットソングを彷彿とさせる。マフィーは英語を通じて日本語のようなニュアンスと響きを重視しているらしいことがわかる。「Somebody Else」は全体的には、ギターラインとシンセと心地よい、ベース、ドラムがのシンプルな構成を通してこの曲の支柱を形成するが、アウトロにかけてベース/シンセのカトウ・ナツキのコーラスが入ると、イントロや中盤とは異なる色彩的な印象をもたらす。この曲には、ルービー・スパークスの着実な成長とステップアップが感じられる。

 


ルービー・スパークスは2月下旬にオリジナル・シングル「Stayaway」をリリースしている。


 

 「Somebody Else」

 

 


Luby Sparks 「Somebody Else」‐ New Single


Luby Sparks「Somebody Else」
LSEP-3 | 2024.04.26 Release
Released by AWDR/LR2


配信リンク:  https://lubysparks.lnk.to/SomebodyElse

 

 
Lyrics : Natsuki Kato
Music :  Natsuki Kato

Vocal : Erika Murphy
Backing Vocal, Bass & Synthesizers : Natsuki Kato
Electric Guitar & Acoustic Guitar : Tamio Sakuma
Electric Guitar & Wind Chimes : Sunao Hiwatari
Drums : Shin Hasegawa
Triangle & Tambourine : Genya Ishizaki
Shaker : Ryu Kawashima

Arranged by Erika Murphy, Natsuki Kato, Taimo Sakuma, Sunao Hiwatari & Shin Hasegawa

Recorded by Ryu Kawashima at Red Bull Studios Tokyo
Mixed by Zin Yoshida at Garden Wall
Mastered by Kentaro Kimura at Kimken Studio

Produced by Luby Sparks & Zin Yoshida

Cover Photography : Annika White

 

 

 

Luby Sparks Bio:

 

 
Natsuki (ba/vo)  Erika (vo)  Sunao (gt)  Tamio (gt)  Shin (dr)。


2016年3月結成。2018年1月、Max Bloom (Yuck) と全編ロンドンで制作したデビューアルバム「Luby Sparks」を発売。2019年9月に発表したシングル「Somewhere」では、Cocteau TwinsのRobin Guthrieによるリミックスもリリースされた。

 

2022年5月11日にMy Bloody Valentine、Rina Sawayamaなどのプロデュース/エンジニアを手掛けるAndy Savoursを共同プロデューサーに迎え、セカンド・アルバム「Search + Destroy」をリリース。

 

同年6月には、ワンマンライブ「Search + Destroy Live」(WWW X) も行い、ソールドアウト。10月にはタイ・バンコクでの海外公演を行い、2023年3月17日より、NY、ボストン、フィラデルフィア、サンフランシスコ、シアトル、サンディエゴ、LAの全7都市にて「US Tour 2023」、9月には中国「Strawberry Music Festival 2023」を含む全7都市「China Tour 2023」、10月には韓国のストリートカルチャーコンベンション「FLOPPY 1.0 - Let’s FLOPPY」、11月にはインドネシア「Joyland Festival」に出演するなど海外展開も積極的に行う。

 


ロンドンを拠点に活動するダニエル・カニンガムによるプロジェクト、Actress(アクトレス)が昨年の『LXXXVIII』に続く作品を発表した。タイトルは『Statik』で、Smalltown Supersoundから6月7日に発売される。

 

本日、シングル「Dolphin Spray」、「Static」が先行公開された。前者はモジュラーシンセを駆使したミニマル・テクノ/アシッド・ハウスで、後者は、抽象的なアンビエント/ドローンである。

 

アルバムについての声明で、カニンガムは次のように書いている。これはアーティストによる現代詩としても読めなくもない。

 


暗い森の中、血に染まった松の向こうに、静かなプール(ポータル)が煌めく。

見つめて。目を凝らして。心の目をグリッチする。

煙に包まれた空に静止した新月を見る。

不気味だ。あなたはここに映っていない。

(あなたはここにはいない)。

水が渦を巻いても目をそらさないで。

より深く見つめ、より近づき、その流れに身を委ねるんだ。

落ちる。

(落ちる)

落ちる...

地獄でも楽園でもない

銀のモノクロームの壮大な幻影が明滅する。

オリハルカムの鉢の中で炎が踊り、大理石の広間には反射池が並ぶ。

この廃墟のような寺院には、いまだに驚かされる。静まれ。

静まれ。聞け。ここには恐怖はない。

聞け。生きてきた瞬間のスペクトラルな響きに耳を澄ますんだ:

メロディー、モチーフ、リフレインが滴り、飛び散り、流れ落ちる。

ポセイドンの壁にアズド・レインが降り注ぎ、輝く玉座の前に薪がそびえ立つ。

儀式(レクイエム)が始まる。

絹のような音と水色の靄に包まれ、青黒い炎の上に浮かび上がる。

上へ下へ、下へ上へ。上へ下へ、無限の海へ。

波の下の鳩グレーの空では、突き刺すような月の光の中でイルカがおしゃべりし、水しぶきを上げる。

木々や森や土や血の下で、この鳩のようにまろやかな場所こそ、あなたがいる(映し出される)場所だ。

今も、これからも

 

 

「Dolphin Spray」

 

 

カニンガムの最新アルバムは、自由と静寂の感覚に満ちている。構想から制作、リリースに至るまで、「スタティック」は不自然なほどのシンプルさがある。アルバムの大半をフロー状態で書き上げたアクトレスにとって、この天空のように広大なプロジェクトは芸術的解放の証なのだ。



昨年の『LXXXVIII』(ニンジャ・チューンからリリース)に続く、繊細かつ荘厳な『Statik』は、アクトレスにとってSmalltown Supersoundからリリースする初のフルアルバムとなる。

 
カニンガムとオスロを拠点とする高音質サウンドを提供する尊敬すべきアーティストとのコラボレーションに注目。アクトレスがカルメン・ヴィラン(北欧のダブ・ステップの急峰。きわめて前衛的な作風で知られる)のカットを”Only Love From Now On LP”の12インチ用にリミックスした。


「Statik」



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ACTRESS 『Statik』


Label: Smalltown Supersound

Release: 2024/06/07

 

Tracklist:


1. Hell

2. Static

3. My Ways

4. Rainlines

5. Ray

6. Six

7. Cafe Del Mars

8. Dolphin Spray

9. System Verse

10. Doves Over Atlantis

11. Mello Checx

 

©Kaylene Widdoes


カナダのシューゲイズ・デュオ、Softcultは、5月24日にリリースされるEP『Heaven』からのニューシングル「One of the Pack」を発表した。このシングルは、前作「Shortest Fuse」「Haunt You Still」「Spiralling Out」、そしてタイトル曲に続く。以下からチェックしてほしい。


「この曲を書いたとき、私たちは女性をサポートする女性を大いに称えたかった。もちろん、そこには、POCやトランスジェンダーの女性も含まれている。しかし、フェミニズムや "女性 "という言葉から特定のコミュニティを排除しようとする”TERF”がいるのも事実。私たちは、私たちのやり方で、シューゲイザー・コミュニティにライオット・グラール・フェミニズムとアクティヴィズムを紹介したこともあり、交差するフェミニストであることに誇りを持っています。私たちの音楽を聴いている人々には、POC、トランス女性、ノンバイナリー・ピープルは、常に私たちのグラール・ギャングの歓迎すべき重要な一部であることを知っていてほしいです」



「One of the Pack」

 


Los Bitchosがニューシングル「La Bomba」をCity Slangからリリースした。ラテンの陽気なムードとディスコのリズムを織り交ぜたユニークなナンバー。今年の夏に流すのに最適な一曲だ。トム・ミッチェルが監督したビデオは、クイーンの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」へのオマージュだ。

 

ロス・ビッチョスはロンドンの多国籍のバンドで、セラ・ペターレ、アグスティナ・ルイス、ホセフィーヌ・ヨンソン、ニック・クロショーの四人で構成される。ルイス、ホセという名前からみても分かる通り、南米系の移民が多いのかもしれない。彼らは、70、80年代のラテン音楽の一つである”クンビア”のスタイルを継承していると言われている。クンビアとはおそらくコロンビアが転訛したもの。カリブ海に位置する地域を指し示し、コロンビア、コスタリカ、チリの固有の民族音楽のことを意味する。ビッチョスの音楽はインストゥルメンタルのスリリングさに重点を置く曲構成だが、その中にはロックスタイルのニュアンスが含まれている。


この曲はオーリー・バートン・ウッドがプロデュースした。バンドは次のように語っている。


「”La Bomba”はエネルギーとパワーの爆発だ! 去年の夏、フェスティバルで演奏し始めたんだけど、そのエネルギーがとても気持ちよかった」


「冒頭のスタブは、キッチンで料理をしているとき、私(セラ)が最初に思いついたものなんだ。冒頭のギターのトーンとその下のスタブには、とても勇壮で力強いものがある。ツンとしたギターの音色が、クラップ、ポンピングするディスコ・ベースライン、夢見心地で渦巻くシンセ・サウンドの混沌とした風景を切り裂く」

 

「この曲にはディスコ時代の影響が色濃く出ており、ベースラインがこの曲のトーンを完璧なものにしていると思う。曲の構造的には、そのままコーラスに入る(ナイル・ロジャースが言ったように、なぜ待つのか?)。私たちは、この曲をできるだけクラシックなポップスの構成に近づけたいと思った」


この曲を盛り上げているのは、小さなピンポン・ドラムの音(Ring My Bell、Anita Wardを思い浮かべてほしい)だ。


彼らはミュージックビデオについてこう補足している。「この曲はハイ・エナジーで勢いのある曲なので、それにマッチさせるべく、曲に命を吹き込むようなダイナミックなビジュアルがぜひとも必要だった。このビデオには、キラキラした瞬間がたくさんあり、パフォーマンスとシュールな部分を行き来します。メイク・アップはとても楽しかったよ」

 

「La Bomba」


Floristが、ホラー映画『I Saw the TV Glow』のサウンドトラックとして「Riding Around in the Dark」を提供した。試聴は以下から。Floristの声明は以下の通り。


「”I Saw the TV Glow”の脚本を読んだとき、私はすぐに自分の10代の頃に戻った。小さな町で育ち、自分の居場所がないと感じ、虚構と現実の狭間に取り憑かれた。不吉な闇を感じると同時に、玄関の向こうに広がる世界を夢見た。その感覚を映画のための曲で表現してみたかったんだ。いろいろな意味で、この曲は私にとって若いということの意味を定義している。世界が終わると信じながらも、どうにかその中で生きている」


5月10日にリリースされるホラー映画『The I Saw the TV Glow』のサウンドトラックには、豪華なミュージシャンが参加している。


Sloppy Jane(featuring Phoebe Bridgers)、Caroline Polachek、Snail Mail、King Woman、yeule、Florist、Bartees Strange、Jay Som、L'Rain、Maria BC、Weather Stationによる新しいオリジナルトラックが収録されている。

 

発表と同時に、A24はBlocken Social Sceneの「Anthems for a Seventeen Year-Old Girl」のyeuleのカバーをシェアした。

 

ジェン・シェーンブランの長編デビュー作『We're All Going to the World's Fair』を手がけたAlex  Gが本作の音楽を担当。

 


「Riding Around in the Dark」


 


京都出身、シカゴ在住のマルチ奏者、Sen Morimotoが「Bonk!」EPをCity Slangからリリースした。本作は昨年のフルアルバム『Diagnosis』のアウトテイクを集めた作品。全5曲が収録されている。


前作ではソウルフルでアグレッシブなアートロックでリスナーを魅力したモリモト。このEPではジャズ、ソウル、サイケをベースにメロウなサウンドが際立っている。ボーカルは別人のような艶がある。トラック全体にホーンやシンセをコラージュ的に散りばめ、モリモトワールドが炸裂!!







Sen Morimoto Biography:



セン・モリモトはこれまでに2枚のアルバムをリリースし、Pitchfork、KEXP、FADER、Viceなどのメディアから高い評価を得ている。


シカゴの緊密で多作なDIYシーンの著名なメンバーであるセンスが、初めてプロのスタジオで制作したのが「If The Answer Isn't Love」だ。シカゴのFriends Of Friendsレコーディング・スタジオで作業し、彼のコミュニティのメンバーを起用して曲に肉付けしたこの曲は、ブロック・メンデがエンジニアを務め、ライアン・パーソンがドラム、マイケル・カンテラがベース、KAINAがバッキング・ヴォーカルを担当した。


センは高校卒業後、荷物をまとめ、ニューイングランドからシカゴに移り住み、その後数年間、シカゴの音楽シーン全体と深い関係を築きながら、ジャンルの垣根を越え、その間に橋を架けていった。


昼はレストランで皿洗いをし、夜はプロデュースの腕を磨いたセンは、どんな音楽のレシピにも加えられるエキサイティングな食材として、すぐにシカゴで知られるようになった。音楽的なつながりを求める彼はやがて、共同制作者であるNNAMDÏとグレン・カランが設立した地元のレーベル、スーパー・レコードに共同経営者として参加することになった。


小さな優良レーベル、City Slangは、ジャンルにとらわれないレコードをリリースし、シカゴのミュージシャン・コミュニティから国際的なステージに立つアーティストを輩出したことで、瞬く間にシカゴで有名になった。彼らは、デビュー・アルバム『キャノンボール!』と2枚目のセルフ・タイトル・アルバムをスーパー・レコードからリリースし、シカゴで一躍有名になった。

 Kaho Matsui 『scrutiny portrait』


 

Label: Kaho House

Release: 2024/04/19

 


Review


マツイ・カホは数年前までポートランドを拠点に活動していたが、現在はフィラデルフィアに移住し、ベッドルーム・レコーディングを行っている。 (記述に誤りがありました。訂正いたします)

 

ホームレコーディングのアーティストとしては他にも、Claire Rousey(クレア・ラウジー)がいる。ステレオガムのインタビューは時間がなくて読めなかったが、ライン・オブ・ベストフィットの取材で、クレア・ラウジーは「エモ・アンビエントというジャンルを最新作のテーマに置いた」と述べていた。

 

カホ・マツイは言ってみれば「次世代のクレア・ラウジー」とも称すべきアーティスト。もしくはイギリスのクイア・ポップのリーダー、Cavetownの音楽にも親和性がありそうだ。マツイはインディーフォーク/エモをエレクトロニックから解釈し、先鋭的なサウンドを構築する。また多作なアーティストであり、この3年間で、S/Tを含め、6作のフルアルバムを発表している。これらの作品は、Ethel Cainと同じように、デジタル・ストリーミングを中心にリリースされている。

 


 

アルバムは冒頭の「sore spot」に見いだせるように、インディーフォーク/エモの中間にあるサウンドが個性的な印象を放つ。その中で、マツイは抽象的なボーカルのフレーズを交え、叙情的なアンビエンスを作り出す。最初のトラックメイキングの動機こそ、その限りではないが、細かなマテリアルを組み上げる過程の中で、徐々にポップスからアンビエントのような抽象的な音像に接近を図るのである。マツイのボーカルにも個性的な特徴がある。彼女のボーカルは、内省的で、それは内側に揺らめく情念のように熱いエナジーを擁している。これらが内向きのエナジーであるはずなのに、リスナーにもカタルシスや共鳴をもたらすことがある理由なのだ。

 

マツイは基本的にはギターを中心にソングライティングを行うらしいが、彼女はエレクトロニックのクリエイターとしても秀逸だ。 続く「angel」ではCaribou(ダン・スナイス)を彷彿とさせるグリッチサウンドを展開させ、サウンドデザインのようなスタイリッシュな質感を持つポップソングを制作している。それらは最終的にマツイが持つ音楽的な素養であるインディーフォーク/オルタナティヴフォークという切り口を通じて、完成度の高いトラックに昇華される。曲そのものからもたらされる内省的な感覚は、エモとの共通点があり、切ない空気感を作り出す。

 

先行シングルとして配信された「i don't have to tell the rest」を聞き逃さないようにしてほしい。オルタナティヴフォークからジャズ、ローファイ、アンビエントまでをシームレスにクロスオーバーし、内省的でありながらダイナミックな質感を持つ素晴らしいベッドルームポップソングを作り上げている。

 

特にブリッジからサビに移行する際のタイトルの歌の部分には内的な痛みがあり、それらが胸を打つ。このヴィネットにおける辛辣なフレーズはヒップホップのようなひねりが込められている。「you don't have to tell me the rest」は、前曲と呼応する連曲のトラックとなっている。この曲は全般的に、イギリスのCavetownに近いニュアンスを捉えることが出来るだろう。編集的なサウンドとオルタナティヴフォークをジム・オルークのようにエクスペリメンタルという視点を通して作り上げていく。この曲にもアーティストのただならぬセンスを垣間見ることが出来る。



 

アルバムの中盤からはエクスペリメンタルミュージック、つまり実験的な音楽性が強調される。「once in a while」はテープ音楽やローファイから見たハイパーポップであり、メインストリームに位置するアーティストとは異なるマニアックなサウンドで、一方ならぬ驚きをリスナーに与える。続く「train home」はノイズミュージックに近づき、Merzbowのような苛烈なアナログノイズがこれらのポピュラーな音楽性の中心を激しく貫く。アーティストの内的な痛みや苦悩、憂慮をノイズという形で刻印し、それをなんらのフィルターに通すこともなく、リアルに提示している。

 

アーティストの持つ音楽的な蓄積はかなり豊富で、驚くべきバリエーションがある。エクスペリメンタルと合わせて内省的なドリーム・ポップの性質が立ち表れる「security」は、韓国系のミュージシャン、Lucy Liyouが参加している。Gastr Del Solの音楽をファンシーな雰囲気で包み込む。そこに、ルーシー・リヨウが持つアンビエントやエレクトロニックの要素が合致している。これらは両者の持つアーティスティックな側面がより色濃く立ち現れた瞬間と言えるだろう。

  

本作の終盤でも、マツイは、必ずしも音楽的な制作を設けず、自由闊達な創造性を発揮しているが、少し、これらのバリエーションが収集がつかなくなっているのが難点と言えそうだ。ただ、その中にもアーティストが考える音楽そのものの"ユニークさ"が込められていることも事実である。


「mean girl」では、イスラエルのApifera、トルコのIsik Kural、ドイツのAparratのサウンドデザインに近い多彩なエレクトロニカ/ミニマル・テクノをめくるめくように展開させ、「dog whistle」では、エレクトロニカの要素をオルタナティヴフォークと連結させ、アヴァン・ポップ/エクスペリメンタルポップに近い、先鋭的な音楽へと昇華させる。


アルバムのクローズ「draw me」では、ニューヨークでインディーズ・デビューした最初期のトクマル・シューゴのような、エレクトロニカとポップネスの融合の醍醐味を見出すことが出来るはずだ。

 

 

74/100

 

 


 

 

オーストラリアのロックバンドーーGirl And Girlが、デビューアルバム『Call A Doctor』から最新シングル「Oh Boy!」を配信した。「Hello」、「Mother」に続くシングルで、サーフミュージックを絡めたオルタナティブロックが展開。彼らの生み出すハーモニーにはロックのノスタルジックな魅力がある。テイラ・ローレン監督によるミュージックビデオは以下よりご覧下さい。


「"Oh Boy!"は、レコーディングに取り掛かる前に、数年前から半分くらい書いていた。前半は気に入っていて、完成させるのが嫌になってた。昨年初めにデモが完成した時、この混沌とした、広がるような大きな言葉の吐露が溢れ出てきて、それが全体をうまくまとめているように思えた」

 


大胆でアグレッシブな『Call A Doctor』は、Girl and Girlのデビュー作。起源は、ジェイムスとギタリストのジェイデン・ウィリアムスが放課後の午後に母親のガレージでジャムっていた時だった。

 

ある日の午後、ジェイムズの叔母さんが犬の散歩を終えて練習場に向かい、ドラムを叩いていいか尋ねた。「他のドラマーが見つかるまでここにいるわ』。結局、彼女はパーマネント・メンバーになった」


レコードは、頭の中に閉じこもりすぎたため、外に出ようとしている個人について描いている」とジェームズは『Call A Doctor』の全体像、クリエイターのスナップショットについて語る。

 

しかし、このアルバムが私たちの内面にある不安なトピックを扱っているのだとしても、Girl and Girlの音楽がいかに生命力に溢れているかを強調しすぎることはない。この作品には図太く大胆なユーモアのセンス、暗闇の中に紛れもない明るさがあり、リスナーとして惹き込まれないわけにはいかないだろう。落ち込んだ気分、実はそれはさして悪くないものだったのかも知れない。


 

「Oh Boy!」


ニューヨークを拠点に活動するギタリスト/ロックシンガー、Margaret Glaspy(マーガレット・グラスピー)は、明日(4月26日)にEP『The Sun Doesn't Think』をリリースする。昨年の『エコー・ザ・ダイアモンド』に続くこの作品集は、トラック「24/7′」がリードしている。


「”エコー・ザ・ダイアモンド”のツアー中に、このEPを書いていた。オーディエンスに囲まれ、彼らのカリスマ性やストーリーを体験することでインスピレーションを受けた。そのおかげで、彼らにもっと音楽を届けたい、彼らの創成期に近いレコードをリリースしたいと思うようになりました」


「この曲は、私の子供時代の糸が、私が着ている大人の衣装をいかに織り上げてきたかを理解しようとする私の試みを体現している」と彼女は「24/7′」について語る。「愛と人生に対する私の信念が、幼い頃から進化していないことを痛感しはじめた。それは、私自身の心配や不安の感覚と直接的な繋がりがあった」さらにグラスピーは続けた。「私は大人であることを愛している」

 


マーガレット・グラスピーは昨年、フルアルバム『Echo The Diamond』を8月にリリースした。レビューはこちらからお読み下さい。



Margaret Glaspy 『The Sun Doesn’t Think EP』


Label: ATO

Release: 2024/04/26


Tracklist:

 

1. 24/7

2. Bathtub

3. I Need Help

4. Would You Be My Man?

5. The Sun Doesn’t Think

 


ノルウェーのポップシーンの代表格、ガール・イン・レッドが、A24のコンピレーション・アルバム『Everyone's Getting Involved』に収録されるトーキング・ヘッズの「Girlfriend Is Better」のテイクを提供した。


今回のカバーはパラモアの「Burning Down the House」、ティーゾ・タッチダウンの「Making Flippy Flop」、ローデの「Take Me to the River」に続く作品となる。試聴は以下からどうぞ。


「トーキング・ヘッズは、私がティーンエイジャーだった頃、私のアイデンティティを定義するのに役立った象徴的なバンドだ。彼らは世界中の若者にインスピレーションを与え続けている」とマリー・リングハイムは声明で語った。「トリビュートに参加できたことは、素晴らしいことですし、この機会を与えていただいたことに感謝しています。トーキング・ヘッズよ、永遠に!!」


ガール・イン・レッドは今月初め、2ndアルバム『I’m doing it again baby!』をリリースした。続いて今年の夏、ノルウェーのアーティストはフジロックフェスティバルにも出演予定。

 


「Girlfriend Is Better」






Everyone’s Getting Involved: A Tribute to Talking Heads’ Stop Making Sense 



Tracklist:

01. Psycho Killer – Miley Cyrus
02. Heaven – The National
03. Thank You for Sending Me an Angel – Blondshell
04. Found a Job – The Linda Lindas
05. Slippery People – Él Mató a un Policía Motorizado
06. Burning Down the House – Paramore
07. Life During Wartime – DJ Tunez
08. Making Flippy Floppy – Teezo Touchdown
09. Swamp – Jean Dawson
10. What a Day That Was – The Cavemen.
11. This Must Be the Place (Naive Melody) – BADBADNOTGOOD (feat. Norah Jones)
12. Once In a Lifetime – Kevin Abstract
13. Genius of Love – Toro y Moi (feat. Brijean)
14. Girlfriend Is Better – girl in red
15. Take Me to the River – Lorde
16. Crosseyed and Painless – Chicano Batman (feat. Money Mark)


メトロノミーが新しいコラボレーションEP『Posse EP Volume 2』を発表。先日、バンドはニンジャ・チューンと契約したばかり。

 

その中から新曲「With Balance」(Feat.Naima Bock and Joshua Idehen)を公開した。以下にEPのトラックリストとジャケットアートワークを掲載する。


『Posse EP Volume 2』は、メトロノミーが3月に発表した新曲「Nice Town」が収録されている。この新しいEPは、2021年に発表されたコラボEP『Posse EP Volume 1』に続く作品だ。


メトロノミーのリーダー、唯一のパーマネントメンバーであるジョー・マウントは、プレスリリースの中で、新人アーティストをフィーチャーしたEPをリリースするのが好きなのかについて次のように説明している。

 

「音楽業界の中で、自分には価値があるのだと気づくためだ。新人アーティストにとって、あなたは何かできる。あなたは彼らにはないリーチを持っていて、彼らはそれに興奮する。自分が参加したような波とのつながりを感じることができる......。他の人たちと一緒に何かをやればやるほど、また自分の音楽をやりたいという気持ちが強くなる。それを誇りに思って、次に進みたいんだよ」


メトロノミーのアルバム『Small World』は、2022年にビコーズ・ミュージックからリリースされた。

 

 

「With Balance」(Feat.Naima Bock and Joshua Idehen)

 

 

 

Metronomy 『Posse EP Volume 2』

Label: Ninja Tune

Release: 2024/07/12


Tracklist:


1. Nice Town - Metronomy x Pan Amsterdam 

2. With Balance - Metronomy x Naima Bock x Joshua Idehen

3. Contact High - Metronomy x Miki x Faux Real

4. My Love - Metronomy x Nourished by Time

5. Typical - Metronomy x Lynks x SPIDER x Master Peace x TaliaBle


Pre-Save:


https://metronomy.lnk.to/posse2Yo

 

ロンドンのシンガーソングライターNilüfer Yanya(ニルファー・ヤーニャ)がイギリスのレーベル、Ninja Tuneとの契約を結んだ。このニュースとともにアーティストは新曲「Like I Say (I runaway)」を発表した。

 

この新曲は、2022年リリースのアルバム『PAINLESS』以来となる。「Like I Say (I runaway)」は、ヤーニャの妹モリー・ダニエルが監督したミュージック・ビデオと共に発表された。

 

ニリュファーが家出した花嫁に扮しているこの曲は歪んだディストーションギターが特徴的。 90年代のオルタナティヴ・ラジオを彷彿とさせるゆるやかなコーラスの下で歪んだギターのクランチが強調されている。

 

シングルのテーマについて、ニリュファーは次のように語っている。


「時間は通貨のようなもの。二度と取り戻せない。それに気づくのはとても大変なこと」


このニューシングルは、ヤンヤのクリエイティブ・パートナーであるウィルマ・アーチャー(スーダン・アーカイブス、MFドゥーム、セレステ)との共同作業で書かれた。彼女とは過去に『PAINLESS』やデビューアルバム『Miss Universe』でコラボレーションしている。

 

 

「Like I Say (I runaway)」

 カジヒデキ 『Being Pure At Heart』

 

Label: Blue Boys Club/AWDR/LR2

Relase: 2024/04/24

 

 

Review

 

渋谷系の代表的なシンガーソングライター、カジヒデキは「Being Pure At Heart」で明確に「ネオ・アコースティックに回帰してみようとした」と話している。ネオ・アコースティックとは1980年代のスコットランドで隆盛をきわめたウェイブだ。このウェイブからは、ベル・アンド・セバスチャンという後の同地の象徴的なロックバンドを生み出したにとどまらず、Jesus And Mary Chain、Primal Scream等、その後のUKロックの10年を占うバンドが多数登場したのだった。

 

渋谷系は2010年代頃に、海外でもストリーミングでカルト的な人気を獲得したことがある。この渋谷系とは、複数のジャンルのクロスオーバーで、ギターロックはもちろん、小野リサのボサノバ、ラウンジジャズ、チルアウト、そして平成時代のJ-POP等、多数のジャンルがごちゃまぜになり、スタイリッシュでアーバンな雰囲気を持つ独自のサウンドとして確立された。現在のクロスオーバーやハイブリットという時代を先取りするような音楽であったことは疑いを入れる余地がない。渋谷系はかなり広汎なグループに適応され、その象徴的な存在であるサニーデイ・サービス、小沢健二、カジヒデキがこのジャンルをリードした。当時の日本国内でのヒットチャートでも宇多田ヒカルや椎名林檎といったヒップな存在に紛れるようにしてカジヒデキの楽曲も必ず上位にランクインしていたのだった。

 

『Being Pure At Heart』はシンプルにいえば、渋谷系という固有のジャンルを総ざらいするようなアルバムである。そして少なくとも、忙しない日常にゆるさをもたらす作品となっている。北欧でレコーディングされたアルバムであるが、全般的に南国の雰囲気が漂い、トロピカルな空気感を持つ複数のトラックがダイヤモンドのような輝きを放つ。オアシスの「Be Here Now」に呼応したようなタイトル「Being Pure At Heart」は忙しない現代社会へのメッセージなのか。 


アルバムの冒頭を飾るタイトル曲はまさしくネオ・アコースティック/ギター・ポップの王道を行くナンバーといえる。エレアコのイントロに続いて、1990年代と変わらず、カジヒデキは快活なボーカルを披露する。そして、小山田圭吾やスカートの澤部渡のような軽快なカッティングギターを元にして、精細感のあるボーカルを披露する。ギターサウンドは、お世辞にもあたらしくはないけれど、逆に核心を付く音楽的なアプローチの中に迷いがないため、ことさら爽快なイメージを作り出す。そしてThe Pastelsを思わせるメロディーを込め、聞き手を平成時代のノスタルジアの中に誘う。カジヒデキは口ずさめるシンプルなメロディーの流れを意識し、それらを誰よりも軽快に歌う。それにカラフルな印象を付加しているのが、女性ボーカルによるコーラス。

 

続く、「We Are The Border」はコーネリアスのマタドール在籍時代の『Fantasma』のダンサンブルでアップテンポなナンバーを継承し、それにカジヒデキらしいユニークな色合いを加えている。この曲もまた渋谷系のスタンダードな作風となっているが、そこに恋愛の歌詞を散りばめ、曽我部恵一のような雰囲気を加えている。サニー・デイ・サービスと同様にカジヒデキも甘酸っぱいメロディーを書くことに関しては傑出したものがある。それはアルバムのタイトルにあるように、純粋な気持ちやエモーションから作り出される。歌詞の中では、クリスマスや賛美歌について言及されるが、それらが楽曲が持つ楽しげなイメージと見事な合致を果たしている。つまり、カジヒデキのソングライティングの秀逸さがサウンドプロデュースとぴたりと一致している。


「April Fool」ではオープナーと同様に牧歌的なスコットランドのギター・ポップへと回帰している。これらのおおらかな気風はこのアーティストにしか作り出せないもので、甘いメロディーと融合する。手拍子や変拍子のリズムの工夫や移調の工夫を随所に散りばめながら、カラフルなサウンドを作り出す。ギターのカッティングの決めの箇所をリズム的に解釈しながら、最終的にタイトルのサビへ移行する。この瞬間には奇妙な爽快感があり、開放的な雰囲気もある。


続いてカジヒデキは、そらとぼけるように、「エイプリル・フール」と歌った後、「君が好きだよ、それもうそのはずだった」と カジヒデキ節を込め、続くヴィネットへと移行していき、「人生は夏草のように」と松本隆を思わせる抒情を重視した淡麗な歌詞を軽やかに歌いこむ。メロディーやリズム、実際の歌が歌詞の流れとともに音に拠る情景を呼び覚ます。これこそJ-POPにしか求められない要素で、アーティストはそれを誰よりもシンプルにやってのける。

 

「Peppy Peach」はチルアウト/チルウェイヴに舵をとっている。 シンセを中心に作り出したリズムに同じくシンセのテクスチャーでトロピカルな雰囲気を生み出しているが、これは細野晴臣の1973年の「Hosono House」の日本の音楽が未だ歌謡曲とポップスの中間にあった時代の作風を思わせる。


歌詞も面白く、ちょっとおどけたようなアーティストの文学性が堪能出来る。他の曲と同じように、''アイスクリーム''等のワードを織り交ぜながら、甘酸っぱい感覚のメロディーを作り出す。その中に、ボサノヴァのリズムを配しながら、コーラスの導入を通じて、多彩なハーモニーを作り出す。「いつもそばで、I Love You、触れた〜」と歌う時、おそらくJ-POPの言葉運びの面白さの真髄とも言うべき瞬間が立ち表れる。”英語を通過した上での日本語の魅力”がこの曲に通底している。ある意味でそれは日本のヒストリアのいち部分を見事に体現させていると言える。

 

「NAKED COFFE AFFOGATO」はYMOのレトロなシンセポップを思わせ、カッティングギターを加え、ダンサンブルなビートを強調させ、モダンな風味のエレクトロに代わる。前曲に続きアーティストしか生み出せないバブリーな感覚は、今の時代ではひときわ貴重なものとなっている。そこにお馴染みの小山田圭吾を思わせるキャッチーなボーカルが加わり、楽しげな雰囲気を生み出す。続く「Looking For A Girl Like You」はギター・ポップとネオ・アコースティックというスタイルを通じて、高らかで祝福的な感覚を持つポップソングを書き上げている。アレンジに加わるホーンセクションは北欧でのレコーディングという特殊性を何よりも巧みに体現している。


 

プレスリリースにおいて、カジヒデキはネオ・アコースティックを重要なファクターとして挙げていた。でも、今作の魅力はそれだけにとどまらない。例えば、「Don' Wanna Wake Up!」では平成時代に埋もれかけたニューソウルやR&Bの魅力を再訪し、マリンバのような音色を配し、トロピカルな雰囲気を作り出す。R&Bとチルウェイブの中間にあるようなモダンな空気感を擁するサウンドは、アメリカのPoolside、Toro Y Moi、Khruangbinと比べても何ら遜色がない。そこにいかにもカジヒデキらしいバブリーな歌詞とボーカルはほんのりと温かな気風を生み出すのである。


以後の収録曲「Summer Sunday Smile」と「クレールの膝」は渋谷系のお手本のような曲である。少なくともダンスビートを重視した上で、メロディ性を生かした曲は現在のミュージックシーンの最中にあり新鮮な印象を覚える。それはまたプリクラやビートマニアのような平成時代のゲームセンター文化を端的に反映させたようなエンターテイメント性を重んじたサウンドなのである。 


もうひとつ注目しておきたいのは、このアルバムにおいてアーティストはチェンバーポップやバロックポップの魅力をJ-POPという観点から見直していることだろうか。例えば「Walking After Dinner」がその好例となり、段階的に一音(半音)ずつ下がるスケールや反復的なリズム等を配し、みずからの思い出をその中に織り交ぜる。そして、カジヒデキの場合、過去を振り返る時に何らかの温かい受容がある。それが親しみやすいメロディーと歌手のボーカルと合致したとき、この歌手しか持ちえないスペシャリティーが出現する。それはサビに表れるときもあれば、あるいはブリッジで出現するときもある。これらの幸福感は曲ごとに変化し、ハイライトも同じ箇所に表れることはない。人生にせよ、世界にせよ、社会情勢にせよ、いつもたえず移り変わるものだという思い。おそらくここに歌手の人生観が反映されているような気がする。そしてまた、この点に歌手の詩情やアーティストとしての感覚が見事に体現されているのだ。


カジヒデキの音楽を最初に聴いたのは小学生の頃だった覚えがある。当時はオリコンチャートやカウントダウンTVのような日本のヒットチャートの一角を担うミュージシャンという印象しかなかったが、今になってアーティストの重要性に気がついた。カジヒデキは、誰よりも親しみやすいメロディーを書いてきた。そして、子供でも口ずさめる音楽を制作してきたのだった。そして、このアルバムでも、それは不変の事実である。これらのソングライターとしての硬派な性質は、むしろ実際の柔らかいイメージのある音楽と鋭いコントラストをなしている。

 

アルバムの終盤でもシンガーソングライターが伝えたいことに変わりはない。それは世界がどのように移り変わっていこうとも、人としての純粋さを心のどこかに留めておきたいということなのだ。「君のいない部屋」では、切ないメロディーを書き、AIやデジタルが主流となった世界でも人間性を大切にすることの重要性を伝える。本作のクローズを飾る「Dream Never End」は日常的な出来事を詩に織り交ぜながら、シンプルで琴線に触れるメロディーを書いている。



85/100
 
 
 
Best Trackー「Dream Never End」 
 

副都心ポップを標榜するニューシングル「One More Chance」を本日4/24にリリースします。

海外でカルト的な人気を誇るCRYSTALが、副都心ポップを標榜する新曲「One More Chance」を本日(4/24)にデジタルリリースします。同時公開されたCM動画を下記よりチェックしてみて下さい。

 

三宅亮太と丸山素直によるシンセ・デュオ”CRYSTAL”は、日本ではそこまでではないが、世界的に知る人ぞ知るデュオだ。フランスの高名なエレクトロデュオ”JUSTICE”にその才能を見初められ、Thundercatの全米ツアーの帯同の他、ブレイン・フィーダーのFlying Lotusの主催するオンラインライブ企画”Brainfeeder THE HIT”に長谷川白紙とともに出演を果たした。

 

ニューシングル「One More Chance」は副都心ポップを掲げるシンセデュオらしく、80sシティーポップをベースに、TRFとNew Orderのシンセポップサウンドを変幻自在にクロスオーバーする。



前作アルバム『Reflection Overdrive』で注目を浴びたCRYSTAL。「AUTUMN STORY 秋物語」のフォローアップとなる「One More Chance」は、過去の想い出にヒントを得て制作されたタイムリープもの。

 

楽曲は、Ikonikaとのコラボで披露されたピアノ・ハウスを進化させ、80年代のイタロハウスやエレポップ、ユーロビートのエッセンスを起点としつつ、アシッドなベース、そして大胆に使用された”Prophet-6”のシンセサウンドが世代を飛び越え90年代のバブリーな空気感を醸し出す。

 

運命や過去の想い出に焦点を当てた情感豊かな歌詞、ダンサブルで刺激的なメロディー、もはや副都心かさえもつかない大橋ジャンクション・・・。ストーリーテリング風の語りに、遂に全貌を現した丸山素直のクリアーなボーカル。新しい挑戦もほどほどに、未来へのサプライズとポジティブなエネルギーが余すところなく凝縮されたクリスタルらしい素敵なトラックに仕上がった。

 

 

 「One More Chance」

 

 

 

CRYSTAL - One More Chance- New Single



 



Label: FLAU
DIGITAL発売日:2024年4月24日



Tracklist:

1. One More Chance

 

 

配信リンク: https://flau.lnk.to/CRYSTAL-OneMoreChance 

 



CRYSTAL:



三宅亮太と丸山素直によるシンセサイザーデュオ。JUSTICEのGaspard Auge、Surkinにより見出され、Ed Bangerと共にフレンチ・エレクトロを牽引した伝説的レーベル”Institubes”からデビュー。

70年代後半から80年代のニューウェーブ、インダストリアル、テクノ、エレ・ポップ、ゲームミュージックに影響を受けたサウンドで注目される。

Teki Latex、Ikonikaとのコラボレーションを経て、2015年には日本の”FLAU”よりファーストアルバム「Crystal Station 64」を発表。

その名の通りクリスタル・カラーな抜群のポップセンス、ジャン・ミッシェル・ジャール、トーキング・ヘッズらへの捻じれたオマージュ満載のシンセサイザー・サウンドが好評を得ている。

過去3度のパリ公演では、Para One、Chateau Marmont、Boys Noizeらと共演、近年はThundercatの全米ツアー、Sonar Festival、Taico Club、Rainbow Disco Clubに出演。Flying Lotus presentsのtwitchプログラム「Brainfeeder The Hit」にスペシャルゲストとして登場。Jessy LanzaのDJ Kicksに楽曲がフィーチャーされ注目が上昇中。一方、三宅亮太はSparrowsとしても活躍し、Fazerdaze、Casey MQらをフィーチャーしたアルバム「Berries」を発表している。



Real Estate(リアル・エステイト)が米国の深夜番組”Jimmy Kimmel Live!”の最新回に出演し、シングル「Water Underground」のパフォーマンスを披露した。比較的落ち着いているが、どっしりとした安定感のある演奏はこのバンドならでは。ライブ・パフォーマンスの模様は以下よりご覧下さい。


テレビで初披露された「Water Underground」は、今年2月にDominoから発売された6枚目のアルバム『Daniel』に収録。シングル「Haunted World」「Flowers」も併録されている。

 

リアル・エステイトは2010年代のオルタナティヴロックの黄金時代を象徴するバンド。最初期のセルフ・タイトル、『Days』、『Atlas』に続いて、ファンにとって力強いカタログ『Daniel』が加わった。

 


「Water Underground」

 



St. Vincentがニューアルバム『All Born Screaming』の最終シングル「Big Time Nothing」を配信した。ムーグ・シンセを導入したダンサンブルなポップナンバーだ。

 

マイケル・ジャクスンの『Thriller』のサウンドに対するオマージュが示されている。勢いを失った商業音楽にもう一度、MTVの全盛期の繁栄を取り戻すべく、クラークは奔走する。一つの反復的なベースラインを元にして、渦巻くようなファンクソウルがエナジーを上昇させ、無から炎を作り出す。それはアーティスト自身の存在性を焦がすような強烈な熱量を包含しているのである。

 

セント・ヴィンセントはファーストシングル「Broken Man」、デイヴ・グロールをドラムに、ジャスティン・メルダル=ジョンセンをベースに迎えたセカンド・シングル「Flea」を公開した。


アニー・クラークはこのアルバムをセルフ・プロデュースし、ミックスはシアン・リオーダンが担当した。このアルバムには、ケイト・ル・ボン、レイチェル・エクロース、ジョシュ・フリース、マーク・ギリアナ、ステラ・モグザワ、デヴィッド・ラリッケも参加している。


クラークは以前のプレスリリースで、アルバムについてややミステリアスに語っている。「感情的には、自分の心が本当は何を言っているのかを知るために、一人で森の中を長く歩かなければ辿り着けない場所がある。このアルバムがリアルに聞こえるのは、それがリアルだからなの」

 

St.Vincentの新作アルバム『All Born Screaming』は今週末、4月26日にVirgin Musicからオンセール。


 

「Big Time Nothing」-Best New Tracks



St.Vincent    『All Born Screaming』


Label: Virgin Music

Release:  2024/04/26


Tracklist:

1. Hell is Near
2. Reckless
3. Broken Man
4. Flea
5. Big Time Nothing
6. Violent Times
7. The Power’s Out
8. Sweetest Fruit
9. So Many Planets
10. All Born Screaming [feat. Cate Le Bon]


Pre-order(INT)

https://link.fans/st-vincent