ペンシルバニアのハードコアバンド、ワン・ステップ・クローザー(One Step Closer)は、ニュー・シングル「Giant's Despair」とビデオを公開しました。このシングルは、先日リリースされた「Leap Years」に続く。ウィルクス・バレ出身のハードコア・バンド、ワン・ステップ・クローザーの次作「All You Embrace」の先行シングルです。以下よりチェックしてみてください。


昨年の『Songs for the Willow EP』に続く『All You Embrace』は、5月17日にRun for Coverからリリースされる。


「Giant's Despair」

Weekly Music Feature   
 
 Adrianne Lenker  


 

エイドリアン・レンカー(アドリアーヌ)はビックシーフの活動と併行するようにして、2014年頃からソロ活動を行ってきた。当時は、4ADではなくSaddle Creekに所属し、バークリー音楽院の同窓で音楽的な盟友とも言えるバンドのバック・ミークとの共同リリースを行ってきた経緯がある。当時はマニアックなリリースが多く、ソングライティングの特徴としては、ドリーム・ポップに近い夢想的な感覚があった。近年、ビックシーフの活動が軌道に乗るにつれ、ニューヨークのモダンなフォークバンドのギタリスト/ボーカリストとしてのイメージが定着したのだった。近年では、日本のコアな音楽ファンで、ビックシーフの名を知らぬ人はほとんどいない。

 

昨年、盟友であるバック・ミークがアメリカーナ/フォークの快作をリリースしているが、少し遅れてエイドリアンも新作アルバムのリリースにこぎ着けることになった。しかし、アーティストが指摘している通り、これは本質的にビックシーフの延長線上、ないしはサイドラインにある活動に位置するわけで、バンドの停滞を意味するものではない、ということは事実なのである。またビックシーフに戻れば、前作とは一味異なる音楽が制作されることが期待出来るはず。

 

NYTの特集記事でも説明していた通り、アーティストは基本的に制作時に、携帯電話やデジタルデバイスから明確に距離を置いている。また、レンカーが振り返る通り、「このアルバムの制作に参加したミュージシャンにもほとんど携帯電話をいじっている人は見当たらなかった」という。つまり、音楽制作から気を散じさせるものが良いアルバムを作るための弊害や障壁となり得ることは、本作を聴くと瞭然である。当然のことながら、SNSでエゴサーチをしていても良い結果が出ることは少ない。これはケンドリック・ラマーが最新作でも話していたことでもある。

 

「Bright Future」は落ち着きがあり、喧噪からかなり遠いところで音楽が鳴り響いている、そしてアーティストや参加ミュージシャンの感覚は研ぎ澄まされており、精妙な感覚に縁取られている。戦後間もない頃のフォーク・ミュージックからコンテンポラリー、そして70年代のポップス、さらにはモダンクラシカルの範疇にあるピアノ曲まで広汎な音楽性をレンカーは踏襲している。例外的にエレクトロニカの方向性を選んだ曲もあるが、古典的なものから現代的なものまでを網羅しているだけでなく、それらをどこまでシンプルに磨き上げられるかという意図が込められている。なおかつそれは自伝的なモンタージュの技法でソングライティングが行われる。

 

レンカーは自宅を博物館のように変え、友人をそこに招いた。ダンボールで恐竜を作り、彼女の妹とメールでのメッセージをやりとりするためのメールボックスを作った。レンカーは、本当の家をつくろうとしたのだろうか。少なくとも、そういったファンタジックな世界観はこのアルバムのどこかで通奏低音のように響いている。「Real House」というものがなんなのか具体的にレンカーは知らないという。それでも彼女はそれがなんなのかをなんとなく分かっているのだ。

 

ニック・ハキムが演奏するアンティーク風のピアノの演奏に合わせ、ゴスペルの系譜にあるバラードをレンカーは歌う。そしてレンカーは、「わたしは、星が涼しい風で、夜の顔に涙のように輝く黒い空間の快活さにハミングをする子ども」と実際にうたいながらトム・ウェイツのファースト・アルバムのバラードのような孤独(独立した精神を孤独といい、かけ離れたことを孤独とは呼ばない)と連帯(独立した複数の精神が合一することを言う)の合間にある淡い感情を歌う。

 

アルバムの冒頭はどことなく夢想的な雰囲気に充ちている。しかし、それは確かに2014年頃の夢想的な雰囲気に基軸を置きつつも、その質感やアウトプットされるものはまったく違うものであることがわかる。地に足がついていて、そしてその地盤をしっかり踏みしめ、そしてその中に夢想的な感覚を織り交ぜる。”下を見ながら上を見る”、そんな表現が当てはまるほど、敬虔な音楽に対する思い、そして、みずからの生活に対する親しみや充実が感じられるのである。その後、アルバムはカントリーの古典へと繋がり、ハンク・ウィリアムズの時代へと立ち返る。2曲目「Sadness A Gift」はカントリー/フォーク歌手の望郷の思いを歌うという原点のスタイルを忠実になぞらえ、それを現代的な感性によって紡いでいる。ジョセフィン・ランスティーンのバイオリンの音色はケルティック民謡で使用されるフィドルのような開放的な響きを生み出し、この音楽の持つ原初的な爽快感や開けたイメージをはっきりと呼び起こす力がある。

 

 

「Fool」



 


先行シングル「Fool」はアルバムのプロデューサーが話していた通り、「音が喜びにあふれている」素晴らしいナンバーである。北欧のmumのエレクトロニカフォークトロニカの幻想性とミニマリズムのフォーク、そして電子音楽のマテリアルを組み合わせ、レンカーのバンドプロジェクト、ビックシーフに近い音楽性を追求している。レンカーは叙事詩とはいいがたいものの、アルバムの中に、「自伝的なモンタージュが表現されている」と言う。それはもしかすると、現在の自分から見た子供の頃の庭での遊びなのかもしれない。また、もしかすると、自然の中に、ユニークな小屋のようなものを作ったり、木の枝を持って自然の中を探索したり、その向こうに広がる無限の空や、その下にある雲を追いかけていた時代のことなのかもしれない。子供時代への回想、もしくは幻想は、本作の音楽の重要な起点となり、それらが現在のアーティストが持つフォークのコンセプトにより、面白いように遊びのある音楽的な空間を作り出す。


「No Machine」を聴いていると、NYTの記事のアーティストが木にぶら下がる姿が目の裏に浮かんでくる。フィンガーピックを用いた、しなやかで流れるようにスムーズなアルペジオのアコースティックギターの演奏を元にした古典的なフォーク音楽のアプローチを選んでいる。ギターはレンカーとマット・デイヴィッドソンの二人が演奏している。この曲の音楽には、サウンドスケープを呼び覚ますイメージの換気力がある。昨年、ジェス・ウィリアムソン(Jess Willamson)が指摘していた通り、フォーク/カントリーの原初的な音楽がトニカ、Ⅳ、Ⅴしか使用されないという基礎的なスケールを踏襲し、それらを草原の上を流れる風のような快活な音楽へと昇華させる。同じように、アルバム発売前に配信された「Free Treasure」では、古典的なフォーク音楽が続くが、ここでは、感覚的なルーツを辿ろうとしている。それはレンカーが幼い時代に母と遊んでいた時代の郷愁であり、普遍的な愛情という温かみのある感覚に支えられている。それは何も特別なものではなかったかもしれない。ちょっとした仕草、太陽の逆光を受けての母親の微笑み、そういった記憶のどこかにある慈しみがこの音楽に描写されている。

 

アルバムの中盤では、実験的な音楽の試みが取り入れられている。「Vampire Empire」はビックシーフの曲としてもリリースされているが、タップダンスのユニークなリズムと取り入れ、よりプリミティブな質感を持つアコースティックギターと掛け合わせ、ダンスのためのフォーク/カントリーを演出する。それは寂れたスペースに、にぎやかなマーチング・バンドがやってきて演奏するようなエンターテインメント性がある。この曲でレンカーはジョニー・キャッシュのようなワイルドなボーカルのスタイルを継承し、それらを軽快なムードとステップを持つフォーク音楽へと昇華させている。アナログ風の録音の音響効果を用い、ときにアンセミックなフレーズを織り交ぜる。アコースティックギターとボーカルの合間に取り入れられるジョセフィン・ランスティーンのバイオリンは、「Sadness As A Gift」と同じようにフィドルの織りなすセルティック民謡のような効果を及ぼす。これは原初的なアパラチアンフォーク等が英国やスコットランド/アイルランド圏からの移民によってもたらされたものであることを思い起こさせる。

 

これまでのエイドリアン・レンカーの楽曲は、基本的にはアメリカーナの範疇にあるものがほとんどだったが、今回のアルバムではモダンクラシカルの楽曲「Evol」が重要なポイントを形成している。ニック・ハキムのピアノの演奏はアルバムの中盤に、陰影や黄昏の瞬間を生み出し、それと呼応するように、レンカーはセンチメンタルなボーカルを披露する。 この曲はアルバムにバリエーションを及ぼし、カントリー/フォークとは別のクラシックの要素をもたらす。この曲が中盤の終わりに収録されていることが、終盤に向けての重要な導入部ともなっている。

 

その後、奥深いカントリー/フォークの世界を提示される。「Candleframe」はアーティストの繊細な感覚とロマンチシズムが小屋の中でゆらめく灯心の影のようにちらつき、親しみやすく落ち着いたディランやミッチェルのようなコンテンポラリーフォークの系譜にあるナンバーとして昇華されている。アコースティックギターの艷やかな響きとピアノの断片的なフレーズに合わせて、フォークバラードの理想的なスタイルを作り出している。その後、「Already Lost」では、バンジョーの演奏を取り入れ、ソロ作ではありながら、輪唱の部分を設けて、バンドアンサンブルのような響きを生み出している。やはりここでも素朴な感覚や自然味が重視されている。

 

アルバムの終盤の2曲は、 序盤から中盤にかけての音楽性を補強するような役割を担っている。「Cellphone Says」においても、心なしかアーティスト自身の回想的なモンタージュが断片的にフォーク・ミュージックの古典的なスタイルを通して描かれ、 「Donut Seam」でもゴスペルとフォークの中間にある音楽性を選び、それらを現代的なニーズに応えるような形で提示している。この2曲でも主張性はそれほど多くないものの、米国の文化の原点を探求するような意図も込められているように感じられる。それは実際的に現代的な価値観とは別の見方や考えがあることをエイドリアン・レンカーは教えてくれる。それはもちろん、癒やしの感覚に繋がる。

 

エイドリアン・レンカーは、アメリカーナの一貫であるカントリー/フォークの古典から、現代的なものに至るまで、米国の文化性や概念をあらためて俯瞰し、シンプルで親しみやすいソングライティングに昇華させる。プロフェッショナルな仕事であり、アルバム全体に斑がなく、12曲をスムーズに聴き通せる。しかし、音楽におけるリーダビリティの高さは、聴き応えという意外な局面をもたらす。『Bright Future』の中には、一度聴いただけでは分からない何かが含まれている。多分それこそがこのアルバムを何度か聞き直したいと思わせる理由なのかもしれない。

 

エイドリアン・レンカーは、ギタリスト/歌手/作詞家として、アルバムの序盤から中盤にかけて本当に素晴らしい実力を示しているが、アルバムのクローズでは、特に歌手として次なるステップに進もうとしていることがわかる。「Ruined」は、アンビエント風のイントロからNilssonの「Without You」を彷彿とさせる美しいバラードへと変遷をたどる。何より、クラシカルなタイプのバラードソングをためらいなく書けるということが、エイドリアン・レンカーの音楽家としての傑出した才能を証左している。ただ、本作だけで、そのすべてが示されたと見るのは少し早計となる。このアルバムでは次なる未知の段階への足がかりが暗示的に示されたに過ぎない。

 

 

 

94/100

 

 


「Ruined」


 

 

 

「Bright Future」



『ブライト・フューチャー』は、レンカーにとって2020年の『ソングス&インストゥルメンタルズ』以来となるアルバムで、フィリップ・ワインローブとの共同プロデュースに加え、ニック・ハキム、マット・デビッドソン、ジョセフィン・ルンステンらが参加している。


先にリリースされたシングル「Ruined」に続く「Sadness As A Gift」は、レンカーが最も親しみやすく温かみのある楽曲で、全く時代を超越しながらも、聴くたびに新鮮な驚きを与えてくれる。エイドリアンヌの生き生きとした声が、彼女の詩を高めている。ギター、ピアノ、ヴァイオリン、そしてすべての声によって完成された輪の中で彼女は歌う。"季節はあっという間に過ぎていく // この季節が続くと思っていたのに // その疑問は大きすぎたのかもしれない"


ブライト・フューチャーでは、フレーズの転回と韻の流れで知られるソングライター、エイドリアン・レンカーが、"You have my heart // I want it back. "とさらりと言う。アナログ的な正確さで記録されたこの作品は、コラボレーションの実験として始まったが、エイドリアン・レンカーのハートが未知の世界へ果敢に挑み、満タンになって戻ってきたことを証明するものとなった。


2022年の秋、ビッグ・シーフのバンド・メンバーは幸運に恵まれた。誰もが来ることができたのだ。私の大好きな人たち」である3人の音楽仲間は、多忙なツアースケジュールの合間を縫って、森に隠されたアナログ・スタジオ、ダブル・インフィニティで彼女に合流した。ハキム、デヴィッドソン、ランスティーンというミュージシャンたちは、エイドリアンヌには知られていたが、お互いに面識はなかった。

 

「結果がどうなるのか、まったく想像もつきませんでした」と彼女は振り返る。「結果は?」と彼女は言う。エイドリアンヌの音楽的リスクは、スタジオのファースト・アルバム『ブライト・フューチャー』となった。


ブライト・フューチャーの共同プロデューサー兼エンジニアのフィリップ・ワインローブがスタジオを準備した。彼はこれまでのソロアルバムでもエイドリアンのパートナーだったが、今回は新しい試みだった。エイドリアンヌはアルバムを作るつもりはなかった。その代わり、何の期待も持たずに曲を探求する。


オープンな結果であっても、フィルは最初から、最も純粋で技術的に正直なセッションを撮りたかった。結果、フィールド・レコーディングの自発的な泳ぎと思慮深いエンジニアリングの最良の資質が備わった。弦楽器の指先、ピアノのフェルトパッド、数歩下がったハーモニーなど、細部までこころゆくまで味わえる。エイドリアンヌの歌がありのままに、無防備に、そして軽やかに響く。

 

 

「Fool - Live (Music Hall of Williamsburg,Brooklyn)」




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BUCK MEEK  『HAUNTED MOUNTAIN』- NEW ALBUM REVIEW


先週のWEFは下記よりお読み下さい:




WEEKLY MUSIC FEATURE - BOECKNER 『BOECKNER!』- SUB POP


Broadcastは、イギリス人デュオの最後のアルバムとなる2枚のデモ集『Spell Blanket』と『Distant Call』を発表した。これらは今年後半にWarpからリリースされる予定。

 

5月3日にリリースされる『Spell Blanket』は、トリッシュ・キーナンとジェイムズ・カーギルが2006年から2009年にかけて、5枚目のアルバムになる予定だった幻のデモ音源を収録している。

 

9月28日発売予定の『Distant Call』には、アルバム『Haha Sound』、『Tender Buttons』、『The Future Crayon』の収録曲のデモが収録されている。


以下、『Spell Blanket』の「Follow the Light」と『Distant Call』の「Tears in the Typing Pool [Demo]」を下記よりご視聴下さい。


ブロードキャストの最後のアルバムは、フォーカス・グループとのコラボレーションで、キーナンが42歳で急逝する2年前の2009年にリリース。『Distant Call』には、キーナンの死後にカーギルが発見した初期のデモ2曲、「Come Back to Me」と「Please Call to Book」も収録されている。

 

 

「Follow The Light」



「Tears In The Typing Room」




Spell Blanket – Collected Demos 2006-2009

Tracklist:


1. The Song Before The Song Comes Out

2. March Of The Fleas

3. Greater Than Joy

4. Mother Plays Games

5. My Marble Eye

6. Roses Red

7. Hip Bone To Hip Bone

8. Running Back To Me

9. I Blink You Blink

10. Infant Girl

11. I Run In Dreams

12. Luminous Image

13. A Little Light

14. Hairpin Memories

15. My Body

16. Follow The Light

17. Tunnel View

18. Where Are You?

19. Singing Game

20. I Want To Be Fine

21. The Games You Play

22. Grey Grey Skies

23. Puzzle

24. The Clock Is On Fire

25. Petal Alphabet

26. Tell Table

27. Fatherly Veil

28. Dream Power

29. Heartbeat

30. Call Sign

31. Crone Motion

32. Sleeping Bed

33. Join In Together

34. Colour In The Numbers

35. I Am The Bridge

36. Spirit House



Distant Call – Collected Demos 2000-2006


Tracklist:

1. Tears In The Typing Pool [Demo]

2. Still Feels Like Tears [Demo]

3. Come Back To Me [Demo]

4. The Little Bell [Demo]

5. Distant Call [Demo]

6. Valerie [Demo]

7. Colour Me In [Demo]

8. Ominous Cloud [Demo]

9. Flame Left From The Sun [Demo]

10. Where Youth And Laughter Go [Demo]

11. Poem Of A Dead Song [Demo]

12. O How I Miss You [Demo]

13. Pendulum [Demo]

14. Please Call To Book [Demo]


 


ニューヨークのオルタナティヴロック/ローファイシーンで存在感を放つWild PinkがサプライズEP『Strawberry Eraser』をリリースした。

 

このEPには、バンドがファイア・トークと契約したことを記念し、最近のシングル「Air Drumming Fix You」のほか、「Unconscious Pilot」とインストゥルメンタル曲「Cielo Wheed」が収録されている。


ワイルド・ピンクの前作『ILYSM』は2022年にリリースされた。昨年、バンドのジョン・ロスは、ローラ・ウルフと組んで「Lilts」というコラボレーション・プロジェクトを立ち上げた。



ロンドンを拠点に活動するミュージシャン、様々な分野で活躍するアーティスト、ナターシャ・カーン(別名Bat For Lashes)が、5月の発売予定の6枚目のスタジオ・アルバム『The Dream Of Delphi』のセカンド・シングルとして「Letter To My Daughter」を発表した。

 

シングルは、クリエイティブ・ディレクター兼振付師のアレクサンドラ・グリーンと共同で制作され、フレディ・ライデンが監督を務めたアルバム・フィルムの第2章となるビデオも収録されている。


「このタイトルは自明の理なの。もし私が死の床にあるとしたら、デルフィに、この世界、銀河系、私たちが生きている宇宙でくつろいでいるという感覚を与えるために、こう言うだろう。デルフィが生まれる前、私はマヤ・アンジェロウの同名の本『Letter To My Daughter』に触発されて、彼女に手紙の本を書き始めた。特別な思い出と歴史的な世界の瞬間に満ちた、とても奇妙だけど魔法のような1年間を記録したものです」とカーンは説明する。


「人生という乗り物は常に続いていて、私たちは皆、ある形から別の形へと移動するエネルギーにすぎない。彼女はまた、エコー、先祖代々のライン、宇宙の螺旋の一部にすぎない。彼女は、私たち個人よりもはるかに偉大なものの一部であり、過去から来たものであり、未来から来たものなのだ」



「ナターシャが妊娠したのは、前作『ロスト・ガールズ』(2019年)がリリースされた数ヵ月後、新たな10年の始まりだった。私は、彼女がトマトの種の大きさだった頃から、デルフィに手紙を書いていた。ジョージ・フロイド殺害後の暴動やブラック・ライヴス・マター運動、パンデミックやCOVIDについてなど、世界で起きていることすべてについて、彼女が生まれてくる世界について」


カーンは、娘の名前をデルフィ・ジョセフィンと名付けたいとすぐに思った。子供の最初の名前はギリシャ神話の女性の神託にちなんでおり、2番目の名前はナターシャの母親にちなんでいる。「新しい命を宿しているのだから、私は守られているような不思議な感覚を覚えました。「何かいいことがあるんじゃないかって、希望が持てたの。また、この人に相談することもできました」


「Letter To My Daughter」

 


カナダのシューゲイザーデュオ、Softcultが新作EP『Heaven』の詳細を発表した。この発表に伴い、彼らは新曲「Spiralling Out」とビデオを公開した。

 

「この曲は、ある状況を何度も何度も反芻してしまう時のことを書いた。そのスパイラルから抜け出すには、いくらセルフトークをしても無駄だと感じることがある。すべてがコントロール不能で、世界がカーニバルの乗り物のようにぐるぐる回っているように感じる」


ビデオについて、ソフトカルトのメルセデスは「モーションはミュージック・ビデオの大きな要素でした。不安なスパイラルに引き込まれていく感覚を呼び起こしたかった。世界が自分の周りで制御不能に回転している感覚を再現したかった」と説明している。


"スパイラル・アウト "は、資本主義に対する批評である "Shortest Fuse"、デュオが過去の人間関係で受けた影響の余韻を解き明かした "Haunt You Still"、そしてEPのタイトル・トラックである "Heaven "に続く、4曲目のトラックである。


EP全体について、バンドは次のように語っている。「このEPには根底にあるテーマがある。私たちは、私たちの社会の中の矛盾や、理想的な世界がどのようなものなのか、そして私たちがその現実にどれだけ近づいているのか、あるいは遠ざかっているのかについて書きたかったのです。そもそも「天国」とは何なのか?それはおそらく、誰に尋ねるかによる...。天国はご褒美?この惑星で生きている間、カードを正しく使い、決められたルールのリストに従って生きていれば、いずれは行ける場所なのか?そのルールは誰が決めたのか?そのルールは私たちにどのような影響を与えるのか?」


「もしかしたら天国は、気まぐれに入る価値があると判断された人々のためのユートピア的な目的地ではないのかもしれない。もしかしたら、現在この地球上で生きている私たちの人生は、私たちがその存在を知ることのできない死後の世界を保証する、つまらないテスト以上のものなのかもしれない」


「私たちの人生の総和は、私たちが残した遺産であり、生きている間に起こした変化であり、私たちが触れた人々と私たちが起こした影響なのかもしれない。私たちは、自分が死んだ後により良い場所を望むのではなく、生きている間に、自分の住む世界を人類にとってより良い場所にすることにもっと集中すべきなのかもしれない。天国」とは、私たちがまだここにいて体験できる間に、私たちの生活や愛する人たちの生活の中に、地上に存在する場所になり得る。死後の世界で何が待っているかに執着するのではなくて、私たちはこの地上にあるものに注意を払うべきなのかもしれない」


「Spiralling Out」



新作EPからタイトル曲「Haunt You Still」が先行シングルとして公開されています。



Soft Cult 『Heaven』

 

Tracklist:


Haunt You Still

One Of The Pack

Spiralling Out

9 Circles

Shortest Fuse

Heaven

 

©Richard Ramirez Jr.

ロサンゼルスのアート・ロックグループ、ウォーペイント(Warpaint)は、バンド結成20周年を記念した新作7″のB面に収録される新曲「Underneath」をリリースした。先にリリースされた「Common Blue」に続く新曲だ。試聴は以下から。


「これらの新曲で、私たちは人生のこの時期、そして私たちが長年にわたって共有してきたすべての経験と曲を結びました」とバンドは声明で述べています。「信じられないような旅で、美しい人々と楽しい時間を分かち合い、世界中を旅してきた。私たちの心は満たされています!」



ベッドルームポップ・ギタリスト、Amy Oがニューアルバム『Mirror Reflect』の制作を発表した。この新作はWinspearから5月6日に発売される。リードシングル「Drible Drible」が先行配信された。試聴は下記より。


『Mirror,Reflect』では、エイミーOがパンデミック初期の母性への移行を記録すると同時に、4トラック・テープレコーダーを駆使して、彼女の優しさ、熱気、そしてワイルドでキャッチーなグランジ・ポップ・ソングを自宅で録音している。


『Mirror,Reflect』は、当初、不安な日々の中で友人たちと作った曲を記録するためのローファイな試みとして構想されたもので、収集した自宅録音やフィールド・レコーディングに、きらめくシンセサイザーとオールズナーの遊び心あふれるリリシズムを織り交ぜた、親密で探求的な作品となっている。


2012年以来、インディー・アンダーグラウンドにおける確固たる存在であるMirror, Reflectは、閉鎖的な状況の中で、オールズナーが自身の音楽活動とクリエイティブなコミュニティの両方を密接に保つ方法を模索する中で生まれた。彼女のレコード制作へのアプローチを、製品よりもプロセスを重視するようにシフトすることで、『Mirror, Reflect』の楽曲は、無数のホーム・セッション、ソング・ア・デイ・プロジェクト、ソングライティング・ワークショップ、オンライン・コラボレーションから生まれた。このようなパッチワークのような自家製のアプローチは、最新アルバム『Shell』を含む3枚のスタジオ・アルバムをリリースする前に、きらびやかな自家製ポップ・ソングでその名を知らしめたオールズナーにとっては馴染み深いものだった。


『Mirror、Reflect』は、これらのスタジオ・アルバムの輝きをそっとそぎ落とし、「Honey」のアンビエントに近いインストゥルメンタル・プレリュードでは、オールズナーの娘の心音を録音した初期の録音がオープニングを飾る。



Amy O 『Mirror, Reflect』



Label: Winspear

Release: 2024/05/06


Tracklist:


1. Honey

2. Dribble Dribble

3. Reveal

4. Arc

5. Sediment

6. Early Days

7. Canyon

8. Green

9. Superbloom

10. Almost Fall

11. Three Cups

12. Casio


フィールドレコーディングを行うミュージシャン、Chris Watson

 

フィールドレコーディングとはいうのは文字通り、屋外の自然の中にマイクを立て、それを録音する手法のことです。上掲した写真を見ると分かる通り、そんなに気軽にできるものではなく、プロフェッショナリティーと体力と忍耐が必要とされます。音楽でもよく使用される場合があり、アンビエントを始めとするエレクトロニック、最近ではポピュラーミュージックやインディーロックで使用される場合もあるようです。  


主要な効果としては音楽そのものにナラティヴな試みを取り入れられることや、楽曲に映像的な効果やメタ構造を生み出すことが出来ます。外側の風の音や、鳥の声、虫の鳴き声、それから水の流れの音等、録音する内容によって、その音響効果はまったく異なります。以前は、AppleのLogic Studioのサウンドループに標準的に付属しており、実際にSonic Youthは『Daydream Nation』で飛行機のパイロットの無線の声やエンジンの音を取り入れたりしています。

 

現在のポピュラー・ミュージックでは、録音そのものの他に効果音(SE)を導入する場合が多く、これらはプロのプロデューサーにより導入されるため、高品質のサウンドが提供されますが、フィールドレコーディングを行う際には、風や外気音のノイズを軽減する必要がありますし、さらに意図したものとは別の音声が録音されてしまうケースもある。つまり、簡単にマイクを立てて録音すれば良いというものではなく、あまりミックスやマスタリング、そして録音機材に詳しくない方が挑戦すると、思うように意図する録音が出来ないケースもあるようです。

 

機材のピックアップについては、録音の専門家や、あるいは専門のショップで質問してもらいたいと思いますが、今回フィールドレコーディングをどのような段階を踏んで行うのかについて大まかにご紹介します。

 

フィールドレコーディングの定義

 


フィールドレコーディングとはスタジオの外で現実的な環境のもと、自然に発生するサウンドをマイクロフォンで拾うことを意味します。

 

それらの音のスペクトルの中には、様々なものがあり、森林や都市環境といった対極にある雰囲気から、他の珍しい音響に至るまで、非常に広汎です。意図的に制作されたスタジオの録音とは異なり、何が録音されるのかは、実際に行ってみるまでは分からないというおもしろさもあるようです。つまり、フィールドレコーディングは多種多様な場所のユニークな音響を録音することを意味しているわけです。

 

そもそもこの録音技術は、音楽にとどまらず、様々なシーンで活用されています。芸術、科学研究、メディア制作等、広汎なシーンで使用されています、もちろん音楽的なプロジェクトとしても使用することが可能で、録音されたサウンドスケープから音楽的な基礎を作り上げられる。フィールドレコーディングは録音した後に、様々な音響効果を及ぼすことも出来ます。科学的な観点からもフィールドレコーディングは様々な環境をテクストにする手助けをしています。


 

 ・録音に必要な機材

 

 

フィールドレコーダー

 



フィールドレコーディングを行うときに不可欠となるのが、フィールドレコーダーと呼ばれるオーディオレコーダーの一種です。これらは屋外の環境で高品質のオーディオをキャプチャするように設計されたデバイスです。これらのデバイスには、ステレオマイクが内蔵され、屋外のあらゆる種類のサウンドを録音するのに適しています。特に、この機材で有名なのはTescamがあります。手頃な価格で使いやすいと評判で、Tascam DR-05Xを始めとするデバイスは、初心者にとっても最適となりそうです。

 

これらの専用機材に加えて、スマートフォンのようなデバイスでも録音を行うことが可能です。アプリストアでは無償で録音のAppが提供されている場合がありますので、ぜひ探してみて下さい。高品質のオーディオデバイスや指向性マイクに比べ、ノイズを拾いやすく、外気のザーッという音を拾ってしまう欠点こそありますが、本録音の前の仮録音として、どのような感じになるのかを掴むのに最適です。もちろんその後のポストプロダクションでこれらのサウンドに磨きをかけることも可能でしょう。

 

さらに高性能な製品を求める場合は、Zoomを使用することが出来ます。Zoom H4n Proを始めとするフィールドレコーダーには外部マイク用のXLRの出力があり、録音時に役立つ可能性があるでしょう。サウンドデバイスでは、プロのメディア業界でもよく使用されている、Sound Device Mix Ore-6 Ⅱなども有名です。最大8トラックが付属しており、映画製作でも使用されることがあるようです。

 

フィールドレコーダーは基本的にサンプルレート 44.1k Hzの24ビットWAVが使用されるのが一般的です。 ファイルの容量が大きくなるという欠点があるものに、高品質の音でファイルを書き出すことが可能です。

 

マイクロフォン 



フィールドレコーダーにマイクは標準的に装備されてはいるものの、別のマイクが必要になるケースもあるようです。追加のマイクは、特定の音をキャプチャするために必要となり、正確な録音を行うためにも不可欠です。

 

たとえば、ショットガンマイクには極性パターンの高い志向性があり、目の前の音を正確に拾うように設計されているので、フィールドレコーディングの際に親しまれています。さらにこのマイクは多く場合、内蔵されたマイクよりも優れた音質を提供します。二種のマイクを使用することは思惑通りの録音を行うために不可欠となるかもしれません。

 

たとえば、RODEは低価格帯ながら、ショットガンマイクの高品質のクオリティーを提供しています。完全な周波数の応答、及びノイズ軽減を備えたプレミアムコンデンサーマイク、NTG--1は初心者にとってはおすすめとなるでしょう。理想を言えばノイマンがおすすめですが、高価なので、初心者向きではありません。


 

ヘッドフォン

 


録音を行う時にもう一つ不可欠なのは、ヘッドフォン。どのように音が録音されたのかを確認するために使用します。フィールドレコーディングの録音に最適な種類を選択することが重要となるでしょう。

 

フィールドレコーディングで使用されるヘッドフォンは、外側の音との分離のためにクローズドバックする必要があり、フラットな周波数の出力を特徴とする製品がおすすめとなります。(iPhoneのライトニングやBluetooth接続のイヤホンなどはほとんどフラットでは出力されず、ゲインが出て、派手な音になります)これによって特定の周波数を増強させることなく、自然なサウンドを聞き取ることが出来るようになります。マスタリングの際には必ずフラットな音域が出力されるヘッドホン、あるいは専用のスピーカーで出音を確認してください。


つまり、具体例は挙げませんが、フィールドレコーディングでは脚色のある製品ではなく、リアルな音が聞き取れるヘッドフォンを選んで使用する必要がありそうです。ゲインが出るヘッドフォンは使わないのが最善です。Beyer(ベイヤー)のDTRシリーズが良いかも??



オーディオソフトウェア



フィールドの録音を終えた後、音源ファイルを編集し、ラップトップなどに書き出す必要があります。オーディオ編集ソフトウェアは、波形のトリミングや強化、全般的な編集作業が可能であるため、マスタリングソフトと合わせて必要になってくるでしょう。


編集作業の種類によっては無償のAudiocityや、Logic Studio、そしてプロ御用達のPro Tools等の有償のソフトウェアを使用するケースも考えられます。


音源そのものの他に映像も同期させたいという場合は、フィールドの録画の編集するために適した広汎なツールが用意されています。例えば、AbletonやReaperのようなソフトウェアは、幅広いオーディオ編集ツールとサウンドデザインを制作するために最適となるかもしれません。より低コストで編集したいと言う場合は、AppleのGaragebandを使用するのもありかもしれません。

 

フィールド録音を編集するには必要となるツールは、イコライザー(EQ)、ノイズリダクション、及び、音の圧縮を行うためのリミッターやコンプレッサーです。これらはLogic Studioなどにも標準装備されていますが、よりプロフェッショナルなものを求めるなら、WAVESやアナログの機材も必要になるでしょう。


これらのプラグインはサウンドそのものを洗練させる効果があり、不要な音を除去するために不可欠となります。また、音に艶を出すためにリバーブとディレイの導入も考えると最高の音質になるかもしれませんよ。

 

©Decca

北欧ポップスの新世代シンガーであるオーロラが、新曲「Some Type Of Skin(サム・タイプ・オブ・スキン)」をリリースした。海外ではDecca、国内ではUniversal Musicより発売された。


ヤングブラッドやグライムスらとの仕事で知られるクリス・グレアッティが共同プロデュース、オリヴィア・ロドリゴ、レディー・ガガ、コナン・グレイの作品を手掛けたミッチ・マッカーシーがミキシングを担当したエレクトロ・ポップな同曲でオーロラは、無防備さと、感情的な回復を必要とする気持ちとの葛藤を表現している。

 

オーロラは、最新曲について次のようにコメントしている。「私はずっと、ある種の皮膚を作り出すべきだって言われてきた。いつも私は世界に自分を溶け込ませすぎて、どこが世界の終わりで、どこが自分の始まりかがほとんど分かっていなかった。この曲ではその膨大さを叫びにしている。それから、人間であることは喜ばしいこと。たとえそれが私たちの誰の手にも負えないことだとしても」

 

さらに、オーロラとKaveh Nabatianが共同で監督を務めた、「Some Type Of Skin」のミュージック・ビデオも併せて公開された。

 

オーロラは2023年11月にリリースした楽曲「Your Blood(ユア・ブラッド)」のミュージック・ビデオでもタッグを組んだKavehとの仕事について、「Kavehは別の世界にいる奇妙なソウルメイトのような存在。私たちの心が衝突すると、いつだって素晴らしいものになるの。もう一度私たちの心の中に飛び込んで、孤独というものに視覚的に生命を吹き込むことができたのは素敵なことだった」と話している。

 

オーロラは2024年のサマーソニックで来日公演を予定しています。 最新のフルアルバムは2022年の『The God You Can Touch』です。



 「Some Type of Skin」

 

©︎Sydney Tate


ブルックリンのオルタナティヴロックバンド、THICKがニュー・シングル「Father」をEpitaphからリリースした。シンガー/ベーシストのケイト・ブラックの父親の死をきっかけに生まれたこの曲は、シドニー・テイト・ブラッドフォードが監督したビデオとともに到着した。ストリーミングはこちら


"THICKは常にフラストレーションや怒りのカタルシスの捌け口だったが、『Father』は私が初めて悲しみや喪失感に触れた曲だ。「この曲は、父を亡くして悲しみに暮れる私の旅のスナップショットであり、父に質問したくても、そこに父がいないことを思い出すたびに驚いていた時期のものだ。


「とても個人的で傷つきやすいものを共有するのは怖いことで、ニッキーにこの曲を送った最初のボイスノートを録音するのがやっとだった。「ライブで演奏するのは大変で、自分の感情に対して全身が締め付けられる。でも、みんなが自分の経験を共有してくれたり、この曲に共感してくれたりするのは、やりがいがある」


「悲しみの体験というのはとても個人的なものだから、"Father "のミュージックビデオでは、悲しみや喪失感が自分にとってどのようなものかを共有してもらい、動きや音楽、叫び声など、その人が最も心地よいと感じる方法で表現してもらった。私たちは参加者に圧倒され、彼らが自分自身を分かち合い、私たちと一緒に生を分かち合ってくれたことにとても感謝しています」

 


「Father」

 

©Zoe Prinds-Flash

 

ミネアポリスのインディーロックデュオ、Bad Bad Hatsがニューシングル「My Heart Your Heart」をリリースした。

 

この曲は、4月12日にドン・ジョヴァンニ・レコードからリリースされるセルフタイトルの収録曲。以下よりチェックしてみてください。


この曲のコーラスは、実はセカンド・アルバム『Lightning Round』に取り組んでいた2018年1月に書いたものなんだ」とケリー・アレクサンダーは声明で説明している。

 

「ずっと気に入っていたんだけど、曲は最終的な形を明らかにする準備ができるまでに、何年も新たなインスピレーションと試行錯誤を経る必要があることがあるんだ。でも、ありがたいことに、2021年の4月、私が取り組んでいたコード進行が、この曲に私を導いてくれました。私が死んだら、あなたに私のCDを持っていてほしい』と言ってもらえるなんて、最高の栄誉です」

 

 

「My Heart Your Heart」

 


ジョン・グラント(Joh Grant)がニューアルバム『The Art of the Lie』を発表し、ディスコポップ風の軽快なファーストシングル「It's a Bitch」をリリースし、同時にミュージック・ビデオを公開した。新作『The Art of the Lie』はベラ・ユニオンから6月14日にリリースされる。

 

ジョン・グラントは米国の歌手であり、かつてオルタナティヴロック・バンド、ザ・ザーズの創設メンバーでもあった。現在はリードシンガー、ピアニスト、ソングライターとして活動している。ソロシンガーとしては着実に実績を積み重ねている。ソロデビューアルバム『Queen of Denmark』(2010年)はMojo誌の年間ベストアルバムに選ばれた。続くセカンドアルバム『Pale Green Ghosts』(2013年)はRough Trade誌の年間のベストアルバムに選ばれた。

 

3rdアルバム『Grey Tickles, Black Pressure』(2015年)は広く批評家の称賛を受け、全英アルバム・チャートで5位を記録、4thアルバム『Love Is Magic』(2018年)は全英トップ20入りを果たした。

 

5枚目のアルバム『Boy from Michigan』(2021年)も絶賛された。また、ライヴ・アルバム『John Grant and the BBC Philharmonic Orchestra』をリリース: ライブ・イン・コンサート』(2014年)では、BBCフィルハーモニー管弦楽団の伴奏で、最初の2枚のアルバムからの曲を演奏した。


ジョン・グラントはこのアルバムでプロデューサーのアイヴァー・ゲストと仕事をした。2人の出会いのきっかけは、グレース・ジョーンズがキュレーションし、ゲストがプロデュースした「メルトダウン・フェスティバル」にグラントが出演したことだった。ゲストはジョーンズの『ハリケーン』とブリジット・フォンテーヌの『禁酒法』をプロデュースした。「グレースとブリギットは、私にとってとても大きなアーティストです。彼が彼らのために作ったアルバムが大好きだ。ハリケーンはグレースのカタログの中で欠かすことのできない作品なんだ」


このことがきっかけで、グラントはゲストに一緒に仕事をすることを提案した。「私は言ったんだ。彼は『君の言う通りだ』と言った」とグラントは言う。


プレスリリースでは、このアルバムをローリー・アンダーソン、『アート・オブ・ノイズ』、ヴァンゲリスの『ブレードランナー』のサウンドトラック、そして "ジョン・カーペンターもメンバーだったらカーペンターズ "に例えている。


アルバムのタイトルとそのテーマは、現在の政治情勢にインスパイアされている。ドナルド・トランプの自伝的な著書『The Art of the Deal』は、今やMAGAの弟子たちの間では単なる聖書の一冊に過ぎず、トランプ自身は天から遣わされた救世主のようにと見なされることもある。なぜなら、神はあなたが金持ちになることを望んでいるからです」とグラントは説明する。「このアルバムは、人々が信奉する嘘と、その嘘がもたらす心の傷について描いたものでもある」


「It's a Bitch」

 

 

John Grant 『The Art Of Lies』

Label: Bella Union

Release: 2024/06/14


Tracklist: 

1. All That School For Nothing


2. Marbles


3. Father


4. Mother and Son


5. Twistin Scriptures


6. Meek AF


7. It’s a Bitch


8. Daddy


9. The Child Catcher


10. Laura Lou


11. Zeitgeist

 

Pre-order::

https://johngrant.ffm.to/theartofthelie 

 

©︎Robert Colodny


ニューヨークのシンガーソングライター/女優としても活躍するマヤ・ホーク(Maya Hawke)がニューシングル「Dark」を発表した。先月の「Missing Out」に続くこの曲は、アレックス・ロス・ペリー監督によるビデオと対になっている。以下より。


「"Dark"は、足場を見つけようともがく関係を歌ったカット・アンド・ドライなラブソングです」とホークは声明で説明している。

 

「この曲は、2人の人間が新しい恋に持ち込む歴史と痛みの混ざった袋を整理して、進むべき道を見つけようとする。コーラスは、数年前、私が特に衰弱した就寝時の不安の発作に見舞われていたときに書いた」

 

「このまま眠りについてしまったら、脳が呼吸の仕方を忘れ、眠っている間に死んでしまうのではないかという恐怖でベッドに横になっていた。ある医者に診てもらったところ、死ぬことを受け入れなければならないとまで言われた。私がそれを受け入れれば、眠れるようになり、おそらく......死なずにすむ、と。その通り、私は死ななかった。それを祝うためにこの曲を書いた」


2022年の『Moss』に続くChaos Angelは5月31日にMom+Popからリリースされる。

 

 

「Dark」



Maya Hawke 『Chaos Angel』



Tracklist:


01 Black Ice 

02 Dark

03 Missing Out

04 Wrong Again

05 Okay

06 Better

07 Big Idea

08 Hang in There

09 Promise

10 Chaos Angel


Pre-order:


https://mayahawke.lnk.to/chaosangel



ニューヨーク生まれの25歳、マヤ・ホークは女優、歌手、作詞家である。ホークはNetflixの『ストレンジャー・シングス』での発言役で有名で、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、アマンダ・クレイマー監督の『レディワールド』、Netflixの映画『ドゥ・リベンジ』に出演している。


2019年に自主制作でリリースしたA面シングルとB面シングルの評判を受け、彼女は深くパーソナルなフルアルバム『Blush』をリリースした。作詞作曲を担当したホークは、グラミー賞受賞ソングライターのジェシー・ハリスとのコラボレーションを継続した。


ストレンジャー・シングス』の新たなシーズンを迎え、これまで以上にインスピレーションを感じているホークは、2ndアルバム『MOSS』をリリース。ホークは、ジミー・ファロンと向かい合ってソファに座り、アルバムを世界に紹介した。ホークは、ドリーミーで挑発的なアナウンス・シングルに続き、甘くのびやかな「Sweet Tooth」、そして哀愁漂う「Luna Moth」を発表した。


 


米国のR&Bシンガー、バーティーズ・ストレンジ(Bartees Strange)が、Apple TV+の新シリーズ「The New Look」のジャック・アントノフ監修の公式サウンドトラックから「You Always Hurt The One You Love」のカバーをリリースした。原曲はThe Mills Brothersが1961年に歌っている。アラン・ロバーツが作詞、ドリス・フィッシャーが作曲を手掛けた。

 

このサウンドトラックには多数の著名なミュージシャンが楽曲を提供している。ニューヨークの気鋭のポップシンガー、パフューム・ジーニアス、イギリスの人気ロックバンド、The 1975フローレンス+ザ・マシーン、ビーバドビー、ラナ・デル・レイと今をときめく人気アーティストが勢ぞろいしている。


サウンドトラックは、高評価を得ているロンドンのインディペンデント・レーベル、ダーティ・ヒットのアントノフの新しいインプリント、Shadow Of The Cityからの最初のリリースとなる。

 

「The New Look」はファッション界の大物にスポットライトを当てている。ココ・シャネル等、20世紀のファッションシーンを牽引した業界人が戦後、どのようにして名ブランドを立ち上げていったのかが描かれている。この映画のサウンドトラックは著名なアーティストが20世紀中盤の定番曲のカバーを行っている。映画の内容、そして挿入歌とともに大きな話題を呼びそうだ。


「You Always Hurt The One You Love」



Bartees Strangeの最新アルバムは『Farm To Table』。このアルバムは2022年6月に4ADから発売されました。
©︎Shervin Lainz

本日、LAのエクスペリメンタル・ポップ・アーティストが新作アルバム『Gemelo』『双子』)を発表した。Angelica Grcia(アンジェリカ・ガルシア)は先週末、SXSWのショーケースに出演したばかり。


リード・シングルの「Color De Dolo」は、"The Color Of Pain "と訳され、セルジ・カステッラが監督を務め、カリフォルニアのシミ・バレーで撮影されたミュージック・ビデオが公開されている。

 

「悲しみにはニュアンスがあり、時に痛みは美しさと絡み合うことがある」とガルシアは声明で述べた。『Gemelo』は、悲嘆のプロセスを探求する作品群であり、その中にある光と影を認めている。

 

「『Color De Dolor』は『Gemelo』のために書かれた最初の曲だ。この曲は、私が悲しみと向き合った最初の曲でもある。Color De Dolor」は、まるでジャングルの中を歩いているような、質感のある青々とした曲にしたかった。私にとって、その万華鏡のような質感は、悲しみと美しさを示している」


Gemeloはアンジェリカにとって非常に重要な作品であり、ほとんどスペイン語で歌われた初めてのアルバムであるだけでなく、先祖代々の祭壇を深く探求する初めての作品でもある。「氷水に落とされたような感じだった」と彼女は言う。


エルモンテでメキシコ人とエルサルバドル人の両親のもとで育ったガルシアは、ずっと音楽に囲まれて生きてきた。母親はホット100のトップ40に入るヒットを飛ばしたアーティストで、継父は神父になる前はA&Rの仕事をしていた。今、彼女の背後には風のような成長と探求があり、ガルシアは自己の最も明確で完全なビジョンに到達した。


『Gemelo』はカルロス・アレヴァロがプロデュースし、ヴァージニアで1ヶ月半かけて録音された。ほぼ全編スペイン語で歌われたガルシア初のアルバムだ。『Color De Dolo」のビデオは以下から。



Angelica Garcia 『Gemelo』

Label: Partisan Records

Release: 2024/ 06/07


Tracklist:


1. Reflexiones

2. Color De Dolor

3. Juanita

4. Ángel [eterna]

5. Mirame

6. Y Grito

7. El Que

8. Intuición

9. Gemini

10. Paloma

 

「Color De Dolo」