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Dana Gavanski(ダナ・ガヴァンスキー)は『Late Slap』の二作目のシングル「Let Them Row」を発表した。ダナ・ガヴァンスキーは、ロンドンのセルビア系の移民で、バロックポップをAldous Hardingのようなスタイリッシュなモダンポップスへと変化させるシンガーである。

 

この曲は、「ロマンチックで創造的であることの揺らぎ、ひどく高価で競争の激しい街で、皮肉と陶酔の間を常に揺れ動くこと」を歌っている。

 

 ダナ・ガヴァンスキーは、前作『When It Comes』の作曲中に(文字どおり)声を失った。『LATE SLAP』ではマジメなモードで、作曲と歌の両方で新たな自信とエネルギーを見せている。「強くなるためには、不快であることに慣れる必要があると気づいたのです」とダナは言う。


『Late Slap』は、マイク・リンゼイ(Tunng、LUMP)とガヴァンスキーのバンド(共同プロデューサーのジェームス・ハワードを含む)と共に、マーゲイトにあるプロデューサーのスタジオ、MESSで5日間かけてレコーディングされた。

 

「マイクは、私が探していたサウンドの奥行きを見つける手助けをしてくれるとわかっていた。彼は音の細部に驚くほどこだわりがあり、私たちは、以前のレコードで一緒に仕事をしたことがある」

 

『Late Slap』の作曲において、ガヴァンスキーは、慣れ親しんだものから新しいものへと切り替えた。従来のギターとヴォイスのアプローチではなく、Appleが提供する作曲ソフトウェア、”Logic Pro"の使い方をトレーニングした。

 

21世紀の生活は、矛盾と頭でっかちに満ちていて、信念を持って何かをするのは難しいかもしれない。当初は無限の可能性に圧倒され、ダナは様々な影響を受けた小さな音世界のデモやコラージュを作り始めた。ある時はオーケストラ・ポップ、アート・ロック、ニュー・ウェーブなど、(セルビア系の移民として)差異と多様性を受け入れた。
 

「ある種の作業方法に行き詰まったときはいつも、新しいことに挑戦し、違う方法で自分自身に挑戦することが助けになる。新しい楽器を習うときのようにね。ワクワクするし、完璧を求めなくなる」

 

 

「Let Them Row」

 

 


ニューアルバム『Late Slap』はFull Time Hobbyから4月5日に発売される。先行シングルとして、 「How to Feel Uncomfortable」が公開されている。

 

 Future Islands    『People Who Aren't There Anymore』

 


 

Label: 4AD

Release: 2024/1/26

 

Listen/Stream

 

 

Review 

 



 ボルチモアのフューチャー、アイランズは、2008年のデビュー当時は、実験的なシンセポップ・サウンドが持ち味だった。

 

 以後、フューチャー・アイランズは、2015年の一年間に1000回に及ぶ過酷なツアーをこなし、弛まぬ成長を続けてきた。2011年頃から、バンドはポピュラー性を前面に出すようになり、ソングライティングのメロディーを洗練させ、アンサンブルに磨きをかけてきた。グラミー賞プロデューサー、ジョン・コングルトンとLAで録音された『People Who Aren't There Anymore』は、サミュエル・T・ヘリングの年を重ねたがゆえのボーカルの円熟味、ウィリアム・カシオンの骨太なベース、そして全体に華やかさをもたらすゲリット・ウェルマーズのシンセサイザー、ソングライティングに携わった三者三様の個性が良質な科学反応を起こしている。

 

 近年、ラフ・トレードが年間ベストに選出したNation Of Language(ネイション・オブ・ランゲージ)を筆頭に、ヒューマン・リーグやジャパンといったニューロマンティックやニューウェイブに属するバンドが、ニューヨークを中心に盛り上がっている。この動向はロンドンを中心に隆盛を極めるポストパンクとは別のウェイブを巻き起こしそうな予感もある。


 70年代のニューウェイブに対するノーウェイブの復刻とまではいかないが、ポストパンクバンドが飽和状態にあるシーンを鑑みると、シンセ・ポップはポスト・パンクに対する一石を投じる存在で、穏当に言えば、新鮮な気風をもたらす意味があるのではないだろうか。少なくとも、ニューロマンティック/ソフト・ロックに属するバンドの楽曲は、世の中に無数に氾濫する情報過多の音楽の中にあり、清涼味をもたらす。ノイジーな音楽に食傷気味のリスナーにとって地上の楽園ともなりえる。

 

 アルバムのタイトルに関しては、アガサ・クリスティーの推理小説の題名のようであり、実際、様々な推理や憶測を交えることができる。


 すでに自分の元を去っていった人々への惜別か、それとも、会うことが叶わぬ人々に対する哀愁の思いか、定かではないが、生きていれば、人間関係は驚くほど早く移り変わり、いつも当たり前と思っていることは全く当たり前ではなく、いつも普通に接している人々は、もしかすると、その後、普通に会えなくなることもある。そんなことをやんわりと教え愉してくれる。


 タイトルにこめられた「最早そこにいなくなった人々」という伏線的なテーマは、「King Of Sweden」におけるベースとシンセを中心とするアプローチに乗り移り、サミュエル・ヘリングの渋いボーカルが加わり、フューチャー・アイランズの代名詞となる緻密なサウンドにより構築されていく。デペッシュ・モードに比するロック的な響きも求められなくもないが、ボーカルの合間に導入される癖になるレトロなシンセが、曲の持つエネルギーを増幅させる。これらの見事なアンサンブルに関して、なんの注文をつけることができよう。明らかに三分半頃からのヘリングのボーカルには、ロックに引けを取らないエナジーを感じ取ることができる。2010年頃に飽和したかに思えたシンセ・ポップが今も健在であることを、彼は身をもって示している。

 

 もうひとつのハイライトは「The Tower」に訪れる。内省的なシンセのフレーズを遠心力として、ヘリングの円熟味を感じさせるボーカルが同じように和らいだ感覚をもたらす。バンドは以前よりもアンセミックで親しみやすいサウンドを追求しているが、「High」というフレーズの繰り返しのところで、この曲は最高の瞬間を迎える。ヘリングはオープナーと同様、ロック的なエナジーをもたらそうとしているが、反面、対旋律的な動きを重視したベースライン、ムーグシンセのような音色を駆使することもあるシンセラインは驚くほど落ち着いている。これがサウンドの絶妙な均衡を保ち、静謐さと激しさを兼ね備えた音楽を生み出す要因になっている。

 

 

 アルバムの中盤では、ライブサウンドを意識した楽曲が収録され、オーディエンスをどのように熱狂の中に取り込むかという狙いも読み解くことができる。「Say Goodbye」、「Give Me The Ghost Back」はフューチャー・アイランズのアグレッシヴな側面が立ち現れ、前者はソフト・ロックを基調としたベースラインの力強さに、そして後者は、ニューロマンティックの懐古的なボーカル/シンセの中に宿る。これらのサウンドは、アルバムの冒頭の収録曲と同じように、2つの側面ーーサイレンスとラウドーーという対極にあるはずの音楽が合致することで生み出される。


 その後、微細な感情の揺れ動きを巧みに表現するかのように、2つの対比的なトラックが続く。「Corner Of My Eye」は暗喩的に含まれる悲哀をどのようにダイナミックな音楽表現として昇華するのかという思いが読み取れる。昨年のGolden Dregsほど明確なアプローチではないものの、人生の中における目の端の涙を拭うかのように、その後の希望に向けて歩き出す過程を親しみやすいシンセ・ポップとして刻印している。実際、サビの部分では、彼らのレコーディングの経験の側面が立ち現れる瞬間があり、ロサンゼルスの海岸のようなロマンティックで開けた雰囲気、あるいはそのイメージが脳裏に呼び覚まされる。背後に過ぎ去った悲しみに別離を告げ、未知の新しい人生に向かい、少しずつ歩み出すかのような清々しさを味わえる。続く「The Thief」は対象的に、YMOのようなサウンドを基調とするスタイリッシュでレトロなポップスが展開される。シンセのフレーズにアジア音楽のスケールが取り入れられることもあり、ボーカルのヘリングの声には、ちょっとユニークでおどけたような感覚がうっすら滲み出ている。


 

 アルバムの終盤には、「Iris」を筆頭にし、80年代のドン・ヘンリーやフィル・コリンズの系譜にあるノスタルジア満載のサウンドが繰り広げられる。ただフューチャー・アイランズのアプローチは、コリンズのようにR&Bの影響はなく、純粋なソフト・ロックをダンサンブルに解釈していて、なかにはニューウェイブに近い音楽性も含まれている。「Peach」に関してはスティングが志向したような清涼感のある80年代のポピュラー音楽に対する親和性も感じられる。

 

 後半では、コンポジションに大掛かりな仕掛けが施され、ライブを意識した大きなスケールを持つ曲が収録されていることに注目したい。


 特に「The Sickness」に関しては、ライブの終盤のセットリストに組まれてもおかしくない曲で、聴き逃す事はできない。ドラマティックな感覚をバンドサウンドとしてどのように呼び覚ますのかに焦点が絞られる。実際、ここには完璧な形でこそないにせよ、エモーショナルという側面で、フューチャー・アイランズの真骨頂が垣間見える。トロピカルなイメージを持つシンセ、対旋律的なベース、渋いボーカルが化学反応のスパークを起こす時、彼らの従来とは異なる魅力が現れ、一大スペクトルを作り上げる。そこには、かすかでおぼろげでありながら、バンドの最も理想とするサウンド、グループの青写真が断片的に示唆されていると言えるだろう。

 

 

 

82/100 

 


「The Tower」

 

©︎Kaio Cesar

Empress Of(エンプレス・オブ)がMUNAとコラボレーションし、ニューシングル「What's Love」を発表した。この曲は、3月22日にリリースされる『For Your Consideration』に収録される予定。

 

リナ・サワヤマをフィーチャーした先行シングル「Femenine」と「Kiss Me」も収録されている。


『For Your Consideration』は、2020年の『I'm Your Empress Of』、2022年の『Save Me EP』に続く作品。ローレリーは、ニック・レオン、ビルボード、ヴァレー・ガールズ、セシル・ビリーヴ、ウムルーを含むソングライターやプロデューサーと仕事をしながら、ロサンゼルス、マイアミ、モントリオールでアルバムを書いた。


ある映画監督に恋をしていたとき、彼がアカデミー賞のためのキャンペーン "For Your Consideration "を発表していたの。

 

彼は私を丘の上に連れて行き、感情的になれないと言った。私はその日スタジオに入り、グラムとハリウッドを反映した『For Your Consideration』という曲を書いたの。それがアルバムの入り口となり、より広いテーマを探求する機会を与えてくれた。

 

「What's Love」

 

 

 

 

 

 



Empress Of 『For Your Consideration


 

Label: Major Arcana / Giant Music

Release: 2024/03/22


Tracklist:


1. For Your Consideration

2. Lorelei

3. Preciosa

4. Kiss Me [feat. Rina Sawayama]

5. Femenine

6. What Type of Girl Am I

7. Cura

8. Fácil

9. Sucia

10. Baby Boy

11. What’s Love [feat. MUNA]

 

©︎Martyna Bannister 

 

アイルランド/ダブリンのオルトポップバンド、Pillow Queens(ピロー・クイーンズ)が3作目のアルバムの制作を発表した。『Name Your Sorrow』は4月19日にRoyal Mountainよりリリースされる。


2022年の『Leave the Light On』に続くこのアルバムには、初期のシングル「Suffer」と新曲「Gone」が収録される。アルバムのジャケットとトラックリストは以下の通り。


バンドによると、ニューシングル「Gone」は、束の間のロマンチックな出会いの下らない性質と、単調になりすぎて色あせるような大げさな表現に目を向けた曲だという。


リード・ヴォーカル、ギタリスト、ベーシストのパメラ・コノリーは、「"私はあなたのやりたいことベスト5に入っていた "というようなセリフは、アルバムを通して取り組まれている自己価値の欠如を伝えている。この曲は、その瞬間に誰かが感じている現実を歌ったものなのだから」


新譜は、北アイルランドのアナログ・カタログでコリン・パストーア(ルーシー・デイカス、ボーイ・ジーニアス)がプロデュースした。

 

ヴォーカルのキャシー・マクギネスは説明する。「このアルバムは、愛、喪失、悲嘆の段階と、それらがどのように絡み合い、厄介で、美しく、愛と喪失の両方が共存できるかを描いている」

 

 

「Gone」

 

 

Pillow Queens(ピロー・クイーンズ)は、アイルランド・ダブリンで2016年に結成された。バンドは、二人のリード・ボーカルのSarah Corcoran(サラ・コーコラン),Pamela Connolly(パメーラ・コノリー)、ギタリストのCathy McGuiness,(キャッシー・マクギネス)、ドラマーのRachel Lyons(レイチェル・リヨンズ)の四人組で構成されるインディーポップバンド。

 

ピロー・クイーンズは、コーコランとコノリーの楽器演奏の役割は、どちらがボーカルを務めるかによって流動的に変化する。リードボーカルをコーコランが担当する場合、コーコランはリズムギターを演奏し、コノリーはベースを演奏する。一方、コノリーがリード・ボーカルを務める場合、その逆となり、コノリーがリズムギターを演奏し、コーコランがベースを務める。


ピロー・クイーンズの叙情的な楽曲は、英国、アイルランドで、軒並み高い評価を受けている。このバンドの音楽性については、アイルランドのカソリック信仰、及び、バンドメンバーがLGBTを公言していることに少なからず影響があるという指摘もなされている。

 

イギリスの大手音楽メディア”NME”はこのバンドについて、「クイアネスの交差点を探求する」と述べている。また、”The Gurdian”は、「性別が反対の条件で一生を過ごすとしても、前向きな社会変化に適用しようとするバンドの心理的な挑戦を大いに讃えたい」と最大の賛辞を送っている。
 

2020年、ピロー・クイーンズは、ファースト・アルバム『In Waiting』をリリースし、デビューを飾った。アイルランドの新聞”Irish Times"は、この作品について「感動的な傑作」と手放しに絶賛した。最新作となる通算二枚目のアルバム『Leave The Light On』は、2022年4月1日にリリースされた。このアルバムはWeekly Recommendaitonとしてご紹介しています。

 



Pillow Queens 『Name Your Sorrow』

 

 

Label: Royal Mountain

Release: 2024/4/19

 

Tracklist:


1. 8th February

2. Suffer

3. Like A Lesson

4. Blew Up The World

5. Friend Of Mine

6. The Bar’s Closed

7. Gone

8. So Kind

9. Heavy Pour

10. One Night

11. Love II

12. Notes On Worth

 

 

Pre-order:

 

https://royalmountain.lnk.to/nameyoursorrow

 


 

シカゴ出身のJessica Viscious(ジェシカ・ヴィシウス)率いるインディーロックバンド”Bnny”の新作アルバム『One Million Love Songs』がFire Talkから4月5日にリリースされる。

 

彼女はアレックス・ファーラー(Wednesday, Indigo De Souza)とアッシュヴィルのドロップ・オブ・サン・スタジオで本作を共同プロデュースした。


最初のシングルは「Good Stuff」と題されている。ヴィシウスの息のあったボーカルとギターとシンセのきれいな層が組み合わされ、陶酔的なドリーム・ポップの雰囲気が生み出されている。「この曲は別れの曲なんだ」とジェシカ・ヴィシウスは語る。「別れの曲なんだけど、どこかしら希望に満ちていて、むしろ楽観的ですらある。あるいは、"次は違うことが起こるかもしれない"、"愛が救ってくれるかもしれない "と期待するような。ただの否定かもしれないけれど」

 

ジェスの双子の妹、アレクサと制作したミュージックビデオも同時公開された。下記よりチェックしてみよう。 

 

 

「Good Stuff」

 

 

発売後に掲載されたWNFはこちらからお読み下さい。 

 

 

Bnny 『One Million Love Songs』

 

Label: Fire Talk

Release: 2024/04/05

 

Tracklist:

1. Missing

2. Good Stuff

3. Crazy, Baby

4. Something Blue

5. Screaming, Dreaming

6. Sweet

7. Nothing Lasts

8. Rainbow

9. Changes

10. Get It Right

11. No One

 

 

Pre-order:

 

https://firetalkrecs.com/shop/bnny-onemillionlovesongs 

 

©Kirk Lisaj


モントリオールのインディー・ポップ・バンド、TOPSのヴォーカリスト、キーボーディスト、共同創設者でもあるJane Benny(ジェーン・ペニー)が、ソロ・デビューEPを発表した。

 
『Surfacing EP』は4月5日にLuminelle Recordingsからリリースされる。そのファースト・シングル「Messages」が本日リリースされた。Otiumが監督したビデオは以下からご視聴下さい。
 

「この曲は、あなたが連絡を取りたい一人の人以外からの通知を受けることについて歌ったポップ・ソングで、当時私に起こっていたことでした」とジェーン・ペニーは声明で説明している。
 
 
「オープニング・サンプルの "There is a message for you "は、モントリオールのタクシーにあるクレジットカードの機械が発する不思議なメッセージでもあるんだ」
 

付属のミュージックビデオは、マヤ・デレンの1943年の映画『Meshes of the Afternoon』にインスパイアされた。「このコンセプトは、私がソロ・プロジェクトを持つに至った旅の瞑想から生まれた。自分自身を探し求め、ある真のエッセンスを求めて努力し、それが自然に起こるものであり、強制する必要のないものであることに気づいた旅だった」と彼女は付け加える。

 

プロジェクトについて、ペニーはこう語る。 「TOPSの文脈では不可能な、サウンド的にもクリエイティブ的にも探求したいことがあった。全部のパートを書き、ドラムをプログラムし、すべてのサンプルを選び、ベースラインを書く。自分が創り出す音楽の世界全体をコントロールすることで、孤独から生まれる感情的な空間、官能性、直感が大きく開かれると感じた。このようなことが、私の音楽制作の原点であると感じるようになるまでには、しばらく時間がかかった」
 
 
 「Messages」
 
 
 
 
 
Jene Benny 『Surfacing EP』
 



Label: Luminelle Recordings
Release: 2024/04/05
 
Tracklist:

1. Darkness Can Wait for a Night
2. Messages
3. Wear You Out
4. Stream
5. Artificial Genuine
6. Beautiful Ordinary
7. Accelerate Slowly

 


サム・エヴィアンがニューアルバム『Plunge』を発表し、そのファーストシングル「Wild Days」を公開した。


『Plunge』は、Flying Cloud RecordingsとThirty Tigersから3月22日にリリース。CJ Harveyが "Wild Days "のビデオを監督。アルバムのトラックリスト、ジャケットアートワークは以下の通り。


エビアンは、ニューヨーク州北部のキャッツキルズにあるフライング・クラウド・スタジオで、リアム・カザー、ショーン・マリンズ、パレハウンドのエル・ケンプナー、ビッグ・シーフのエイドリアン・レンカーなど、様々な友人やコラボレーターと共にアルバムをレコーディングした。


「誰も曲も計画も知らなかった。ゆるく、楽しく。これがセッションの精神だ。ヘッドフォンなし、プレイバックなし、オーバーダブもブリードも最小限。速く、ルーズに」とエビアンはプレスリリースで語っている。


「ギターで弾いて歌えるように曲を書いたんだ。本当に集中した、クラシックな曲にしたかったんだ」と彼はさらに説明する。


「ワイルド・デイズ」はエビアンの母親の視点から書かれたもので、『プランジ』全体を通して、エビアンは「クリエイティブなミュージシャンである両親の目線から、彼らの複雑な愛の物語をたどり、彼自身の考察を加えて書いている。 

 

 

「Wild Days」


 

 

 ・『Plunge』  ニューヨークの若手シンガーによるフォークロックの新曲


 

サム・エヴィアン(Sam Evian)は、Flying Cloud Recordings/Thirty Tigersから新作アルバム『Plunge』を3月22日にリリースする。今回、エヴィアンはアルバムのセカンド・シングル「Rollin' In」のミュージックビデオを公開した。映像はCJハーヴェイが監督。以下よりご視聴ください。


サム・エヴィアンはプレスリリースでこのニューシングルについて次のように語っている。


「この曲は思い出の箱であり、ついで、瞑想でもある。私はノースカロライナのクリスタル・コーストで育ち、母から受け継いだ習慣で、自分自身と交感するためによく海に行ったものだ」


この本は、私の人生のその時期を反映したものであり、それからの数年間で私がどのような人間になったかを表している。シンプルな人間関係をテーマに書き始めて、すぐに自分自身と、自分がこうなると思っていた理想的な自分と現在の自分を比べて幻滅しているのを検証していることに気づいた。


当初はサックス・ソロを入れるつもりはなかったんだけれど、ミックスを終えた日にウェイン・ショーターが亡くなったので、最後の最後に入れようという気になった。彼の繊細さ、叙情性、抑制に敬意を払おうと最善を尽くした。大きな波が打ち寄せるような感じにしたかったんだ。

 

 

「Rollin In」

 

 

 「Stay」

CJ Harvey
 

ニューヨークのシンガーソングライター、サム・エビアン(Sam Evian)は、近日発売予定の新作アルバムの3作目のシングル「Stay」を発表した。


「"Stay”は一気にガーっと出てきた曲なんだ。ウッドストックのヤードセールで買った12弦アコースティックから取り出した。そのコードを弾くのを何年も待っていたような感じだ。当時、私はKinksのレコード『Lola Versus Powerman』のアコースティックギターとドラムの音に夢中になっていた」

 


「Stay」

 





Sam Evian 『Plunge』



Tracklist:


1. Wild Days

2. Jacket

3. Rollin’ In

4. Why Does It Take So Long*

5. Freakz

6. Wind Blows

7. Another Way

8. Runaway

9. Stay

 

©Eleanor Petry


意外なコラボレーションが実現した。イギリス国内のポップスシーンの有望株として注目を集めるClaud、そして、バーモント出身のソロシンガー、Lutaloがタッグを組み、ニューシングル「Running」をリリースした。

 

プレスリリースでこの曲は次のように説明されている。複雑な親子関係について歌われ、もしかすると、コラボした両アーティストに共通するテーマであるのかもしれない。

 

「"Running”は、ストレスのある親子関係に焦点を当てています。子供が無視されていると感じ、親がそれを気にかけなければならないと感じるほど問題が大きいと判断された時だけ認められるという話です。このような相互作用の中には苦痛と憤りがあるわけですが、それでも子どもは親の関心を求めて手を伸ばす。ただ、失望させられて、突き放され続けるだけなのです」


「この曲で私が目指したのは、ノスタルジックなインディ・ポップ・トラックのようなものを作ることだった」とルタロは続けた。

 

「クラウドはそのアイディアにぴったりの声を持っていて、その役割をうまく果たしてくれた。彼らは私が目指していた方向性とフィーリングを理解し、本当に実現してくれた。プロデューサーとしての柔軟性を示すだけでなく、キャッチーでリスナーが楽しめるようなものが欲しかった」


Lutalo(ルタロ)は2022年にデビューEP『Once Now, Then Again』をリリースし、それに続くEP『AGAIN』をWinspearからリリースした。昨年、彼らはロメルダとトラック「Darkeve Duet」でコラボした。彼らは、アンディ・シャウフをサポートするツアーに出発する。


「Running」

 

©︎Ebru Yildiz

メインストリームのポピュラー・シンガーのスタンスとは相反する「ゴシック・ポップの女王」の新作アルバムがまもなく世界のリスナーのもとに届けられる。Chelsea Wolfe(チェルシー・ウルフ)は、ミステリアスかつダークなイメージ、魔術的な雰囲気、暗鬱なゴシック調のトーンに彩られたポップというように、アンダーグランドの音楽に必要なすべてを兼ね備えたシンガーである。つまり、彼女の音楽は、「チェルシー・ウルフのミステリアスなイメージ」を強化する役割を持つとともに、その魔術的なベールにより、彼女のサウンドを包み込むのだ。

 

チェルシー・ウルフは、アルバム『She Reaches Out to She Reaches Out to She』の最新シングル「Everything Turns Blue」をリリースした。ウルフによれば、「有害なものの一部であった長い時代を経て、再び自分自身を見つけること」をテーマにしている。10年後、20年後、30年後、誰かと別れることになる。


ニューシングル「Everything Turns Blue」もやはり、ミステリアスなベールで本質的な何かを強化しようとする。地底を這うかのような原始的なシンセのベースラインに、お馴染みのウルフの艷やかなボーカルが加わると、ダイナミックなエクスペリメンタル・ポップへと変遷を辿っていく。時に、プロト・パンクのようなプリミティヴな響きがあるかと思えば、シンセ・ポップのスタイリッシュな響きを思わせる場合もある。だが、ウルフのボーカルとシンセのリズミカルな融合から醸し出される「マグマの底でグツグツ煮えたぎるような熱量」を抑えることは誰にも出来ない。アルバムの先行曲としては最高の一曲で、ダーク・ウェイブに属するポピュラー音楽を好むファンにとって、来月の9日が「この上なく楽しみな日」になることを予兆している。

 


「Everything Turns Blue」

 

Chelsea Wolfeの新作アルバム『She Reaches Out to She Reaches Out to She』は、2月9日に、Lom Vistaから発売される。 「Dusk」、「Whispers in the Echo Chamber」「Tunnel Lights」が先行シングルとして公開されている。テースターは下記より。

 

©︎Jesse Glazzard

 

マンチェスターのエレクトロ・ポップバンド、Porij(ポリジ)はニューシングル「My Only Love」を発表し、デビューアルバム『Teething』の詳細を発表した。イギリス本国のメディアから少なからず注目を受けるバンドであり、メンバーの佇まいからは紳士性とスター性を感じることができる。


ヴォーカリスト兼キーボーディストのスカウト・ムーア(エッグ)、ベーシストのジェイムズ・ミドルトン、ギタリストのジェイコブ・マグワイア、ドラマーのネイサン・キャロルからなる4人組のPorijは、新作アルバムを4月26日に[PIAS]からリリースすることを明らかにした。

 

リードシングルとして公開された「My Only Love」は「良くも悪くも、落ち着いた関係の安全性と心地よさ」について歌ったものだという。ニューシングルについて、バンドはこう語っている。


「ロンドンの国立劇場で "Dancing at Lughnasa"を観に行ったとき、エンディングのモノローグで、

 

 "Dancing with half-closed eyes because to open them would break the spell / 目を開けると、魔法が解けてしまうので、目を半分閉じて踊る "

 

というセリフに衝撃を受けた。これは、私が経験した葛藤にどう対処するかにぴったりだと感じた」

 

Dancing at Lughnasa( 邦題: ルグナサで踊る: ブライアン・フリエルによる1990年の演劇作品。1936年のアイルランドが舞台。主人公のマイケル・エヴァンスが子供時代を回想するという概要。七歳の頃のおばの家での出来事を大人の視点から振り返る。


「"否定に屈する力 "が特に魅力的に感じられた。時が経つにつれて、歌詞は落ち着きを取り戻し、この曲は、ブリッジにおける『これが永遠の愛になるかどうかはわからないけど、今のところ唯一の愛でもある』という想いを軸にしている。長い付き合いにプレッシャーをかけるのは簡単だけど、この曲を通して、物事を深刻に考えすぎず、一瞬一瞬を楽しむことを思い出したんだ」


同時公開されたミュージックビデオについて、監督のマキシ・マクラクランはこう説明している。


「エッグが実際のカップルや友人、恋人たちの愛のスナップ・ショットの間を旅する様子を、写真に飛び込んだり飛び出したりしながら見せたいと思いついた。私たちの写真撮影への執着(特にスマートフォンの時代)を探求する作品はたくさんありますが、このビデオは、カメラを手に入れることができる現代性が、私たちにもたらす喜びを祝福する内容にしたかったのです」


「この映画を観た人が、暖かく、ノスタルジックで、ファジーな気持ちになり、特別な人たちを思い出してくれることを願います。この映画の制作には、たくさんの人々が関わっていることを主は知っている!!」


プレスリリースによれば『Teething』は「弱さの告白」について書かれている。本作についてスカウト・ムーア(エッグ)は語っている。「アルバムを書いている間、私は本当に孤立していたように感じた」


「毎日たくさんの詩を書いてたし、新しいアパートに引っ越したばかりだった。締め切りが迫っているのがわかっていたから、少し夜型になり、早朝の変な時間に歩き回って歌詞を書いていた」

 


 「My Only Love」



Porij 『Teething』


Tracklist:


Marmite

Unpredictable

Don’t Talk To Me

Endlessly Waiting

My Only Love

Ghost

Stranger

Sweet Risk

Gutter Punch

You Should Know Me

Slow Down



Pre-order:


https://porij-band.ffm.to/teething

 


アトランタ出身のシンガーソングライター、Faye Webster(フェイ・ウェブスター)がニューアルバム『Underdressed at the Symphony』の制作を発表した。本作は3月1日に発売される。

この発表に合わせて、Lil Yachty(リル・ヨッティ)をフィーチャーした「Lego Ring」が公開された。付属のミュージックビデオでは、ウェブスターとリル・ヤッティが曲に合わせてビデオゲームをプレイしている。
 
 
驚くべきことに、フェイ・ウェブスターとリル・ヤッティは中学時代からの友人だという。ウェブスターはプレスリリースの中で、このシングルについてこう語っている。「このアルバムは、わたしにとっては口が裂けても言えないような感じだけど、いつも深いことを言う必要はないよね。ただ座って、私が本当に欲しいクリスタルのレゴでできた指輪のことを歌えばよかった」
 
 
『Underdressed at the Symphony』は、ウェブスターの2021年の最新アルバム『I Know I'm Funny haha』と2021年のEP『Car Therapy Sessions EP』に続く作品。アルバムには、ウェブスターが2023年に発表した2曲、「But Not Kiss」と「Lifetime」が収録されている。
 

アルバムのタイトルは、ウェブスターが時々アトランタ交響楽団のコンサートを聞きに行ったこと、よくギリギリでチケットを買っていたことにヒントを得ている。「交響楽団に行くことは、私にとってほとんどセラピーのようなものでした」と彼女はプレスリリースで語っている。 
 

 
 「Lego Ring」
 
 
 
 
 

Faye Webster 『Underdressed at the Symphony』

 
Label: Secretly Canadian
Release: 2024/03/01



Tracklist:

1. Thinking About You
2. But Not Kiss
3. Wanna Quit All the Time
4. Lego Ring (ft. Lil Yachty)
5. Feeling Good Today
6. Lifetime
7. He Loves Me Yeah!
8. ebay Purchase History
9. Underdressed at the Symphony
10. Tttttime
 
 
Pre-order:
 

 

©︎Frank  Hamilton

ボルチモアのシンセ・ポップバンド、Future Islands(フューチャー・アイランズ)は、アルバム『People Who Aren't There Anymore』の六作目となるシングル「Say Goodbye」をリリースした。

 

このシングルは、ジョナサン・ヴァン・トゥルケン(Top Boy、Shogun)が監督したミュージックビデオとともに到着した。これまでと同様、レトロな雰囲気を擁するシンセポップ/ロックのアプローチに変更はないが、ウイリアム・キャッションのボーカルの渋み、ドライブ感のあるシンセ、ギター、ベースはアンサンブルとして一体感を生み出し、独特な哀愁を醸し出す。

 

ゲリット・ウェルマーズのメロディーに照らされ、ウィリアム・カシオンとマイケル・ローリーのリズムにチャージされたヘリングの人生経験豊かな歌声と叫び声は、当初からフューチャー・アイランズは唯一無二の存在であり、一目でそれとわかるものだ。

 

その前提は『People Who Aren't There Anymore』でも変わっていないが、バンドがこれほど共感的なサウンドを奏で、ヘリングがこれほど統合され、彼が歌っているものとそのサウンドが、ジオラマ・モザイクのように融合したことはかつてなかった。-4AD

 

「The Fight」「Deep in the Night」「The Tower」、「Kingdom of Sweden」、「Peach」に続くプレビューシングル。以下からご視聴下さい。

 

 

「Say Goodbye」

 


2020年の『As Long As You Are』以来となるフューチャー・アイランズの新作は、1月26日に4ADから発売される。これまでにFuture Islandsがリリースした六作の先行シングルの視聴は下記より。



ノルウェー/オスロの3人組のMall Girl(モール・ガール)が、セカンドアルバム『Pure Love』の最後のプレビューシングル「Emo Shred」を発表した。発売日の前にチェックしてみよう。


ニューシングルについて、ヴォーカルのベサニー・フォーセス=ライヒバーグはこう語っている。

 

これは私たちの新しい音楽的バブルへの第一歩で、以前はデモとしてリリースされた。デモとしてリリースされたこの曲は、今では本物の曲へと変貌を遂げたが、ビーチ沿いをシボレーでドライブすることを歌った曲であることに変わりはない。ロサンゼルスの夜、つま先の間に砂があり、何も考えず、ただ人生がとてもいい感じだということを思い浮かべてほしい。


『Pure Love』は、2022年の『Superstar』に続くオスロのアート・ポップ・エクスペリメンタリストのセカンドアルバム。1月26日にJansen Recordsより発売される。アルバムのプリオーダーはこちら



「Emo Shred」


テキサスのインディーポップデュオ、Hovvdyがニューシングル「Portrait」をリリースした。(ストリーミングはこちらから)

 

最近リリースされた「Jean」と「Bubba」に続き、チャーリー・マーティンとウィル・テイラーのデュオは、アンドリュー・サルロとベン・リトルジョンと共にニューシングルをプロデュース。


Hovvdyは今年9月に来日公演を行っている。来年には、アメリカ各地の公演に続いて、ブリストル、ノッティンガムでもライブを開催する予定だ。リリック・ビデオは以下より御覧下さい。

 

 

「Portrait」


 

 

Hovvdy:

 

デュオは2014年にEPをリリースしてキャリアをスタート。翌年、彼らはLoaferとのスプリットをリリースした。2016年、Hovvdyはデビューアルバム『Taster』をリリースした。

 

2018年、Hovvdyは『Cranberry』というタイトルのセカンド・アルバムをリリースした。2019年、デュオはロメルダとして知られるミュージシャンのハンナ・リードとのスプリットをリリース。このスプリットでは、HovvdyとLomeldaが互いの曲をカバーしている。2人はまた、スプリットのプロモーションのために夏のツアーを行った。デュオのサード・アルバム『Heavy Lifter』は2019年にリリース。4枚目のアルバム『True Love』は2021年10月1日にリリースされた。

Yumi Zouma 『EP Ⅳ』

 

Label: Yumi Zouma

Release: 2023/12/6



Review

 

オセアニア圏は、インディーポップバンドの宝庫であり、もし、未知の傑出したポップバンドを探したい場合は、オーストラリア、ニュージーランド、もしくはヨーロッパをくまなく探すしかない。

 

Yumi Zoumaもまたニュージーランド/クライストチャーチの四人組グループで、男女混合編成らしいバランスの取れたオルトポップサウンドを作り出すことで知られる。通算9枚目となるミニアルバム『EP IV』は驚くべきことに、日本の目黒区の祐天寺にあるスタジオで録音されたという。

 

本作はスタジオ・メックでクロエ・プーがエンジニアを務めた。ミックスはケニー・ギルモア(Weyes Blood、Julia Holter、Chris Cohen)、ジェイク・アロン (Grizzly Bear, Snail Mail, Solange)、Simon Gooding (Fazerdaze, Dua Lipa)。マスタリングはアントワーヌ・シャベイユ(Daft Punk、Charlotte Gainsbourg、Christine & The Queens)が担当したとのこと。

 

本作はオリジナル曲に加え、リミックスとインストバージョンが併録されている。2022年の最新アルバム『Present Tense』の延長線上にあるYumi Zoumaらしいサウンドが満載で、ドリーム・ポップ、ベッドルームポップ、シンセポップを基軸に、セッションに重点を置いたインディーポップサウンドが繰り広げられる。いわば遠心力により、ぶんぶん外側に振っていくようなユニークなサウンドが彼らの醍醐味である。さらにユミ・ゾウマのサウンドは、クリスティー・シンプソンのボーカル、クランチさとフェーザーの淡いギターサウンド、それらのメロディーラインを尊重したシンプルなビートを持つ軽妙なドラム、シックなベースラインを中心に構成される。

 

オープニングを飾る「KPR」は、Yumi Zoumaらしいサウンドで、旧来のファンを安堵させる。甘口のメロディーと軽快なインディーロックサウンドが展開される。シンプソンのボーカルはドリーム・ポップの夢想的なメロディー性を付加している。内省的なサウンドがあったかと思えば、それとは対象的なアンセミックなボーカルラインを交え、そしてスポークンワードにも挑戦している。

 

続く「be okay」は外交的なサウンドの雰囲気を持つオープニングとは対象的に、バンドやフロントパーソンの内省的な気質を反映した涼やかなポップ・バラードとなっている。ポピュラー性を重視したクリスティ・シンプソンのボーカルに、ドリーム・ポップの影響を絡めたギターラインが叙情性を付加している。特に、ギターラインとボーカルラインの兼ね合いが絶妙で、その合間にスネア/バスとタンバリンのような金物(パーカッション)の音響を生かしたシンプルかつタイトなドラムが心地よいビートを刻む。ライブセッションの心地よさを追求したともとれ、実際にそのコンセプトはコンフォタブルなインディーポップサウンドを生み出している。

 

「Kicking Up Daisies」はシンセ・ピアノを基調にしたインディーロックサンドに挑戦した一曲。Yumi Zoumaの代名詞の軽やかなインディーポップサウンドではあるものの、その中には奇妙な熱狂性とファイティングスピリットが感じられる。これらはバンドの内省的なオルトポップ・サウンドに、ロック的なウェイブを付加している。もうひとつ、アップビートな曲調と、それとは正反対のサイレンスを生かした曲調がたえず入れ替わりながら、メリハリの効いた流動的なバンドサウンドが繰り広げられる。前の2曲に比べると、シンプソンのボーカルにはかすかなペーソスが漂い、時に、それがバンドサウンドから奇妙な質感を持って立ち上がる瞬間がある。しかし、曲そのものがヘヴィネスに傾いたかと思われた瞬間、バンドはすぐさまそこから踵を返し、やはりバンドらしい軽妙で親しみやすい甘口のインディーポップサウンドへ立ち返る。どのような音楽性の種類を選ぼうとも、Yumi Zoumaの中核となるサウンドに変更はないのだ。


アルバムの冒頭は、お馴染みのインディーポップ・サウンドが提示される。続いて、「Desert Mine」は表向きの印象こそ変わらないものの、ジョニ・ミッチェルのようなコンテンポラリーなフォークサウンドを吸収し、現代的なポップサウンドの中にクラシカルな色合いを漂わせている。特に部分的に導入されるアコースティックギターはビート的な効果はもちろん、懐古的な気分を呼び起こす。それらがバンドの根幹となるサウンドとシンプソンの軽やかなボーカルと合致を果たし、独特な雰囲気を生み出す。後腐れのない爽やかなサウンドで、曲を聞いた後、驚くほど余韻が残らない。上質な日本料理のように「後味を残さない」ことが、本曲の醍醐味だ。そして曲にはライブセッションの楽しみや遊び心もある。バンドサウンドを緊張させず、緩やかなサウンドをバンド全体で組み立てようとしている。もちろん、バンドの代名詞であるエモーショナルな空気感も曲全体を通じて還流しており、くつろいだ感覚にひたされている。

 

他の収録曲に関しては、リミックス、インストであるため、残念ながら詳述を控えたい。しかし、ミックスやインストバージョンについては、数合わせや隙間を埋めるために録音されたものではないことは、耳の聡いリスナーの方であれば気づくはず。バンドは、原曲をもとにし、Yumi Zoumaの新しい音楽性を探求している最中なのかもしれず、彼らの未知の可能性はそれらのリミックスやインストに断片的に現れることがある。アートワークの予めのイメージを裏切られる作品である。ニュージーランドは、今まさに夏真っ盛りを迎えつつある。そして、彼らの音楽の気風は北半球に暮らすリスナーに、ほのかな太陽の明るさと爽快さをもたらすに違いない!?



82/100

 


Best Track 「KPR」

 

©Tonje Thilesen

ナッシュビルのシンガーソングライター、Katy Kirby(ケイティ・カービー)が、2ndアルバム『ブルー・ラズベリー』からの最新シングル「Party of the Century」をリリースした。この曲は、前作「Cubic Zirconia」と「Table」に続くシングルとなる。以下よりチェックしてみよう。


カービーは声明で「"Party of the Century "は友人のクリスチャン・リー・ハトソンとFaceTimeで書いた」と説明している。「この曲は、スローダンスができるような、ちょっと甘いラブソングになった。この曲は、物理学や反出生主義、気候変動、そして友人をどれだけ愛しているかについても歌っているんだ。この曲をレコーディングした時、バンドに対して、エド・シーランの曲のようなサウンドにするように頼んだんだけど、彼らはそれを拒否したんだ」


Katy Kirbyの新作アルバム『Blue Raspberry』はANTI-から1月26日にリリースされる。後日掲載したアルバムのレビューはこちらよりお読み下さい。



「Party of the Century」

 


ボルチモアのシンセ・ポップバンド、Future Islands(フューチャー・アイランズ)は、アルバム『People Who Aren't There Anymore』のニューシングル「The Fight」を発表した。

 

この曲は、これまでのシングル「The Tower」、「Peach」、「King of Sweden」、「Deep in the Night」に続く作品です。以下よりチェックしてみよう。


ニューアルバム『People Who Aren't There Anymore』は4ADより1月26日にリリースされる。

 

「The Fight」


Future Islandsは、サミュエル・T・ヘリング、ウィリアム・キャッションにより2006年に結成された。ゲリット・ウェルマーズ2008年にイギリスのレーベル、Upset The Rhythmからデビューアルバム『Wave Like Home』をリリースした。

 

2010年には2作目のアルバム『In Evening Air』、2011年には3作目『On the Water』をThrill Jockeyからリリースする。2014年には4ADに移籍し、4作目のアルバム『Singles』をリリース。リードシングル「Seasons (Waiting on You)」はピッチフォークとNMEから2014年のベストソングに選ばれた。

 

2014年3月に放送されたデヴィッド・レターマンのレイトショーでのパフォーマンスは、同番組のYouTubeで最も視聴された動画となった。2017年に5作目のアルバム『The Far Field』をリリース。

 

©︎Ebru Yildiz

チェルシー・ウルフは、近日発売予定のアルバム『She Reaches Out to She Reaches Out to She』からもう1曲をリリースした。


この曲は「Tunnel Lights」と名付けられ、前シングル「Whispers in the Echo Chamber」のビジュアルを手がけたジョージ・ガラルド・カタ監督と再びタッグを組んだミュージック・ビデオも公開された。以下より。


「Tunnel Lightsは、ただ "やり過ごす "のではなく、"実際に生きる "ことについて歌っている。「暗闇の中でぐずぐずしているという事実に目覚め、トンネルの洞窟から抜け出すための道しるべとなる光に向かって一歩を踏み出す時なのだ」


2019年の『Birth of Violence』に続く『She Reaches Out to She』は、2月9日にLoma Vistaからリリースされる。


「Tunnel Lights」


先週、PinkPantheress(ピンクパンテレス)は待望のデビューアルバム『Heaven knows』をリリースした。

 

リリースまでの間、彼女はトロイ・シヴァン、アイス・スパイス、デストロイ・ロンリーらとコラボし、グレタ・ガーウィグ監督の映画『バービー』のサウンドトラックに「Angels」がフィーチャーされた。


今回、Apple Musicの主催するZane Lowe(ゼイン・ロウ)のトーク番組のインタビューに応じた彼女は、意外な音楽や文化的なルーツを明かし、若い頃はエモだったと明かした。音楽そのものが自分の全人格に影響を与える可能性があることに気づいたのは、その頃だったという。

 

「学校ではエモ繋がりの友達ばかりで、それこそが私の人生だったのよ」と彼女は説明した。「それから彼らが他の音楽を聴き始めたとき、私も彼らに加わって、彼らの他の音楽を聴き始めたの...。だから、エモからこのジャンルへ、このジャンルへ、みんな一緒に移行していったの」


聴いていた音楽が彼女に強い影響を与えたにもかかわらず、彼女は本物の力を意識してきた。


「自分のキャリアの中で、"ワオ、この人たちは本当に、私が美しいと思うなあ、楽な方法でやっているなあ "と思ったアーティストたち......。そういう人たちは、誰かを説得する必要がないのよ。彼らはただ、自分自身でいるようなものなんです。自分の顔を見せなかった殻から抜け出して、自分の顔を見せるようになったとき、人々が私のことを教えてくれるから、それが簡単に感じられることに気づいたのよ。私はこういう人間なんだ、と強く主張する必要がなかった。そして、彼らの推測は正しかった。そう、私はイギリスの小さな町から来た内気な女の子だった。私はかなりエモだった。私はこんな格好をしているし、こういうユーモアがあるんだって」


さらに、ピンク・パンテレスがゼイン・ロウに語ったところによると、彼女が音楽をやる勇気を見つけたのは、"成功したいという絶望感 "があったからだという。彼女は若い頃は本当に内気で、18歳の時には大学に行くか、夢だった仕事をするか、どちらかを決めなければならない時期があったと明かす。19歳になる頃には、時間がないと感じ、物事を見極めなければというプレッシャーがあった。


「本当は映画の編集者になりたかった。映画の中にいたかった。女優になりたいという気持ちもあった」と彼女は告白する。「ただ、成功者になりたかったという気持ちもあった。自分の成功を確信できないような仕事はしたくないと思ったの。私はこの仕事をやっていて、それが得意なんだ、と思えるようになりたかった」

 

最初のTikTokに楽曲をアップロードしたとき、彼女は初めてそれが成功したと感じた。「最初のスニペットを投稿して、それが流行らなかったとき--、こういうことなんだけど、私は "流行る "ということが大嫌いなの。私は、よし、これなら成功だ、と思った。この関係は本物だし、自分の耳は信用できるかもって--だって、これを作ったとき、これはいいと思ったし、十分だとも思ったから--。だから、『うん、よし。これは素晴らしいかも』と思ったのよ」






Arlo Parks(アーロ・パークス)が2ndアルバム『My Soft Machine』のデラックス・エディションを発表した。12月8日にTransgressiveからリリースされるこのアルバムには、ジャイ・ポールの「Jasmine」のスタジオ・カヴァーを含む6曲の新録が収録されている。下記よりチェックしてほしい。


「『Jasmine』はいつも私の心を深く揺さぶります。私にとって、この陰影に満ちた、時代を超越した、信じられないほど深遠なラブソングなのです」と、アーロ・パークスは声明で語っている。「歌詞の憧れを引き出し、私と文化に激震的な影響を与えたアーティストにオマージュを捧げたいと心から思った。デイヴ・オクムと一緒にこのカヴァーを制作するためにジャイ・ポールの祝福を受けたことは、これまでの私の創作の旅のハイライトのひとつだった」


レーベルメイトのデイヴ・オクムによってプロデュースされた'Jasmine'は、ジャイ・ポールの個人的な承認印を受けている。この曲には、ジョエル・バーニーが監督、アリ・レイモンド(ビートニク・クリエイティブ)がプロデュースした、ニューヨークで撮影されたビジュアライザーが添えられている。



デラックス・バージョンには、コンゴ系ベルギー人シンガー/ラッパーのルースとザ・ヤクザをフィーチャーした「I'm Sorry」の新バージョン、USヒップホップ界の新鋭レッドヴェールのバーをフィーチャーした「Blades」、ティルザのヒット曲「Holding On」のカヴァー、アルバムの人気曲「Devotion」と「Pegasus」のアコースティック・ヴァージョンも収録される。詳細はこちら



「Jasmine」