アイスランドのミュージックシーンの象徴的なエレクトロデュオ、Kiasmos(キアスモス)が7年ぶりに復活する。


アーティストのオラファー・アルナルズとヤヌス・ラスムッセンからなるエレクトロニック・デュオ、キアスモスが新作EPをリリースした。『Flown』は、バンドが2017年に最後のプロジェクト『Blurred』、それ以来世界中でDJ活動に専念していた後の正真正銘のサプライズリリースである。


「私たちは、この新しいバージョンの私たちを共有することに興奮しています。それは、私たちが以前にやったこととは少し異なりますが、今は私たちに合っていると感じています」ラスムッセンは、3曲入りEPについて説明している。


「彼の3曲は世界の異なる地域で書かれたもので、それぞれの曲の個性を際立たせるのに役立った。''Flown''は比較的新しい曲で、できるだけ早く生まれたかったような曲のひとつだ。そういう曲は、あまり時間をかけて考えることがないので、私たちのお気に入りの曲になる傾向がある」


「"Flown''は私たちの共同作業による帰還であり、好奇心と発見の旅なんだ。アイスランドで書かれたこの曲は、UKのエレクトロニック・ミュージックとモダン・クラシック・ミュージックにインスパイアされた。タイトル・トラックに続く'Told'と'Dazed'は、当初は世界中を旅することについて書かれている。熱帯雨林の音やバリの楽器ガムランなど、その土地の環境音からの影響を加えているんだ」


 Sam Evian 『Plunge』

 

Label: Flying Cloud Recordings

Release: 2024/03/22



Review

 

サム・エヴィアン(Sam Evian)はニューヨークのシンガーソングライター。前作『Time To Melt』で好調なストリーミング回数を記録し、徐々に知名度を高めつつあるアーティスト。エヴィアンの音楽的な指針としては、サイケ、フォーク、ローファイ、R&Bなどをクロスオーバーし、コアなインディーロックへと昇華しようというもの。彼の制作現場には、アナログのテープレコーダーがあり、現在の主流のデジタル・サウンドとは異なる音の質感を追求している。このあたりはニューヨークというよりもロサンゼルスのシーンのサイケサウンドが絡んでいる。


サム・エヴィアンは『Plunge』でもビンテージなテイストのロックを追求している。オープニングを飾る「Wild Days」は、70年代のアメリカン・ロックや、エルヴィス・コステロの名作『My Aim Is True』のようなジャングルポップ、そしてアナログのテープレコーダーを用いたサイケ/ローファイのサウンドを吸収し、個性的なサウンドが組みあげられている。ノスタルジックなロックサウンドという点では、Real Estateに近いニュアンスも求められるが、エヴィアンの場合はスタンダードなロックというより、レコードコレクターらしい音楽が主な特徴となっている。

 

70年代のUSロックに依拠したサウンドは、ジャンルを問わず、現代の米国の多くのミュージシャンやバンドがその音楽が持つ普遍的な価値をあらためて再訪しようとしている。ご多分に漏れず、サム・エヴィアンの新作のオープナーも、いかにもヴィンテージなものを知り尽くしている、というアーティストの自負が込められている。これは決してひけらかすような感じで生み出されるのではなく、純粋に好きな音楽を追求しているという感じに好感をおぼえる。イントロのドラムのロールが立ち上がると、ソロアーティストとは思えない緻密なバンドサウンドが展開され、そこにウェストコーストサウンドの首領であるDoobie BrothersのようなR&Bを反映させたロックサウンド、そしてエヴィアンのボーカルが入る。トラックメイクの試行錯誤を何度も重ねながら、どこにシンコペーションを置くのか、グルーヴの重点を据えるのか。いくつもの試作が重ねられ、かなり緻密なサウンドが生み出されている。このオープナーには確かに、いかなるレコードコレクターをも唸らせる、コアなロックサウンドが敷き詰められている。

 

 

「Jacket」以降もエヴィアンの志す音楽は普遍的である。同じく、Doobie Brothers、Byrds、CSN&Yを彷彿とさせる音楽で今や古びかけたと思われたものを、きわめて現代的な表現として2024年の時間軸に鮮明に浮かび上がらせる手腕については脱帽である。このサウンドは70年代のアナログレコードの旨味を知るリスナーにとどまらず、それらのサウンドを初体験する若いリスナーにも新しいサウンドとして親しまれるだろう。 その中にチェンバーポップやバロックポップ、つまりビートルズの中期の音楽性、あるいは、それ以降の米国の西海岸のフォロワーのバンドの系譜にあるサウンドを組み上げてゆく。ロックソングの中に遊びのような箇所を設け、マッカートニーのようなおどけたコーラスやハネ感のあるリズムで曲そのものをリードしていく。

 

サム・エヴィアンの制作現場にあるアナログレコーダーは、ロックソングのノイズという箇所に反映される。「Rolling In」も、70年代のUSロックに依拠しているが、その中にレコードの視聴で発生するヒスノイズをレコーダーで発生させ、擬似的な70年代のレコードの音を再現している。ここには良質なロックソングメイカーにとどまらず、プロデューサー的なエヴィアンの才覚がキラリと光る。そして彼はまるで70年代にタイムスリップしたような感じで、それらの古い時代の雰囲気に浸りきり、ムードたっぷりにニール・ヤングの系譜にあるフォーク・ロックを歌う。これには『Back To The Future』のエメット・ブラウン博士も驚かずにはいられない。


もし、先週末のエイドリアン・レンカーの『Bright Future』が女性的な性質やロマンチシズムを持つフォーク・ミュージックであると仮定するなら、エヴィアンの場合は、ジャック・アントノフ率いるブリーチャーズと同じように、きわめて男性的なロマンチズムが示されている。それはおそらくアーティストの興味の一貫として示されるスポーツカーやスーパーカー、ヴィンテージのアメリカン・カジュアルのようなファッション、あるいはジョージ・ルーカス監督の『アメリカン・グラフィティ』に登場するような郊外にあるドライブスルー、そういったアメリカの代名詞的なハイカルチャーが2020年代の視点から回顧され、それらの良き時代への親しみが示唆される。それは例えば、バイカーやカーマニアのカスタムメイド、それに類するファッションというような嗜好性と密に結び付けられる。女性から見ると不可解なものであるかもしれないが、それは男性にとってはこの上なく魅了的なものに映り、そしてそれはある意味では人生において欠かさざるものとなる。エヴィアンは、そういった均一化され中性化した文化観ではなく、男性的な趣向性ーー個別の価値観ーーを華麗なまでに探求してみせるのである。

 

本作の序盤では一貫してUSのテイストが漂うが、彼のビンテージにまつわる興味は続く「Why Does It Takes So Long」において、UKのモッズテイストに代わる。モッズとはThe Whoやポール・ウェラーに象徴づけられるモノトーンのファッションのことをいい、例えば、セミカジュアルのスーツや丈の短いスラックス等に代表される。特に、The Whoの最初期のサウンドはビートルズとは異なる音楽的な意義をUKロックシーンにもたらしたのだったが、まるでエヴィアンはピート・タウンゼントが奏でるような快活なイントロのリフを鳴らし、それを起点としてウェスト・コーストロックを展開させる。ここには、UKとUSの音楽性の融合という、今までありそうでなかったスタイルが存在する。それらはやはりアナログレコードマニアとしての気風が反映され、シンコペーション、アナログな質感を持つドラム、クランチなギターと考えられるかぎりにおいて最もビンテージなロックサウンドが構築される。そして不思議なことに、引用的なサウンドではありながら、エヴィアンのロックサウンドには間違いなく新しい何かが内在する。

 

そして、アルバムの序盤では、アメリカ的な観念として提示されたものが、中盤を境に国境を越えて、明らかにブギーを主体としたローリング・ストーンズのイギリスの60年代の古典的なロックサウンドへと肉薄する。「Freakz」はキース・リチャーズの弾くブルースを主体としたブギーのリフにより、耳の肥えたリスナーやギターフリークを唸らせる。エヴィアンのギターは、リチャーズになりきったかのような渋さと細かいニュアンスを併せ持つ。しかし、それらの根底にあるUKロックサウンドは、現代のロサンゼルス等のローファイシーン等に根ざしたサイケデリアにより彩られたとたん、現代的な音の質感を持つようになる。結局、現代的とか回顧的といった指針は、どこまでそれを突き詰めるのかが重要で、その深さにより、実際の印象も変化してくる。エヴィアンのコアなサイケロックサウンドは、ファンクとロックを融合させた70年代のファンカデリックのようなR&B寄りの華やかなサウンドとして組み上げられる。ギタリストとしてのこだわりは、Pファンク風のグルーヴィーなカッティングギターに見いだせる。

 

同じように70’sのテイストを持つロックサウンドを挟んだ後、「Runaway」ではエヴィアンのロックとは別のフォーク音楽に対する親しみがイントロに反映されている。それはビートルズのアート・ロックに根ざした60年代後半のサウンドへと変化していく。エヴィアンのボーカルは稀にマッカートニーのファニーなボーカルを思わせる。それを、ビクトロンのような音色を持つアナログシンセサイザーの音色、そして、リッケンバッカーに近い重厚さと繊細さを持つギターサウンド、同音反復を特徴とするビートルズのバロック・ポップの音階進行やビートの形をしたたかに踏襲し、それらをしなやかなロックソングへと昇華させる。コーラスワークに関しても、やはりビートルズの初期から中期にかけてのニュアンスを踏まえ、ソロプロジェクトでありながら、録音のフィールドにポールの他にレノンのスピリットを召喚させるのである。これらはたしかに模倣的なサウンドとも言えなくもないが、少なくとも嫌味な感じはない。それは先にも述べたように、エヴィアンがこれらの音楽を心から愛しているからなのだろうか。

 

ウェストコーストロック、サンフランシスコのサイケ、さらにストーンズやビートルズの時代の古典的なUKロックという流れでアーティストの音楽が示されてきたが、アルバムの終盤の2曲はどちらかと言えば、エルヴィス・コステロのようなジャングル・ポップやパワー・ポップの原点に近づいていく、そのコーラスの中には、Cheap Trickのニールセンとサンダーのボーカルのやり取り、または、武道館公演の時代のチープ・トリックの音楽性が反映されているように見受けられる。厳密に言えば、アイドル的なロックではなくて、どちらかといえば、パンキッシュな嗜好性を持つコステロの骨太なサウンドの形を介して昇華される。果たして、これらの音楽にマニア性以上のものが存在するのか? それは実際のリスニングで確認していただきたいが、少なくともロックファンを唸らせる何かが一つや二つくらいは潜んでいるような気がする。

 

アルバムのオープナー「Wild Days」とクローズの「Stay」はジャングルポップや良質なインディーフォークなので聴き逃がせない。

 


76/100

 

 

 

Best Track- 「Stay」

 


ロサンゼルスのシンガーソングライター、マリーナ・アレン(Marina Allen)が3rdアルバム『Eight Pointed Star』をFireより6月7日にリリースすることを発表した。

 

プロデューサーにクリス・コーエン(Chris Cohen)を迎えて制作されたこのアルバムには、ハンド・ハビッツ(Hand Habits)のメグ・ダフィー、ケーシー・ヨハンシングらが参加している。

 

「ネブラスカにまつわるイメージは、私にとっていつも鮮明だった。私の祖母がデイジーという名のポニーに乗って学校に通っていたことを、母が話してくれたんだわ。世界はこんなにも短い間に変わってしまったんだということを実感させられたと思う」

 

「私たちは『オズの魔法使い』を見ていて、ドロシーが私の遺産のように感じたの。家族の物語の多くは、自分が何者であるかを定義するもので、その多くは真実でなかったり、間違って聞いたり、ある一部分だけを受け継いだ誰かによって受け継がれた、ある一部分だけを受け継いだりする。私はそれを使って遊んでみたかった。私を中心に、これらのイメージが渦巻いていた」


アルバムからのファーストシングルは「Red Cloud」。これを聴く限り、『Eight Pointed Star』はマリーナらしい牧歌的なフォーク・サウンドを保ちつつも、従来の作品よりもモダンなサウンドのアルバムに仕上がっているようだ。ウェス・アンダーソンとのコラボレーターであるエリエル・フォードが監督した "Red Cloud "のミュージックビデオは以下から見ることができる。

 

「Red Cloud」



Marina Allen(マリーナ・アレン)の前作アルバムは『Centrifics』。このアルバムは週間のおすすめとしてご紹介しています。


Marina Allen 『Eight Pointed Star』


Label: Fire

Release: 2024/06/07 


Tracklist:

1. I’m the Same

2. Deep Fake

3. Red Cloud

4. Swinging Doors

5. Bad Eye Opal

6. Easy

7. Love Comes Back

8. Landlocked

9. Between Seasons


Pre-order:


https://marinaallen.lnk.to/EightPointedStarID


 


フィラデルフィアを拠点に活動するKaho Matsui(松井夏帆)がニューシングル「i don't have to tell the rest」をストリーミングでリリースした。著名なジャズ演奏家を親に持つ松井は「エモ・アンビエント」と呼ばれる新しい作風でインディーズシーンに新風を呼び込む。


アーティストは今年始めにフルレングス「i want it more than i want to be well」を発表したばかり。


松井夏帆は昨年までポートランドで活動をしていたが、夏に引っ越そうと話していた。また音楽的な影響としては、オースティンを拠点とするアーティスト、More Eazeこと、Mari Maurice Rubioがいる。松井の作品にも名を連ねているが、マリに関してアーティストは次のように述べている。


「私は何年も[マリ]を尊敬してきたので、彼女が『ああ、あなたの音楽を聴いた、本当に素晴らしい』という感じだったのは少し意外だった」と松井。「私にとっては、まさかという感じだった。そして、彼女は「私たちは協力すべきだ」という感じだった」


More Eazeの音楽は、感情的な表現を強調するロック音楽のスタイルに因んで、「エモ・アンビエント」として規定されている。あまり聞きなれない用語だが、どうやら松井もこの用語に親近感を覚えているらしい。松井は、音楽的なアプローチに関して、エモを直接参照するのではなく、アイデアの提示方法に革新性をもたらそうとしている。


音楽的なプロセスには明らかにClairoのようなベッドルームポップの影響が感じられるが、一方、スノビズムやナードであることをまったく恐れていない。ギター演奏は、アメリカン・フットボールのような中西部のエモバンドによって開拓されたスピンドリースタイルの影響を受けているという。また、シカゴのジェフ・パーカーに近い音の独特な繊細なニュアンスを生み出す。


松井の音楽にはジャズ、アンビエントやエモに加え、ローファイ的な音のニュアンスが付加される。もう一つアーティストは、EDMからの影響も挙げている。クレア・ラウジーのポスト世代として注目しておきたい。


 

©︎Caylin Ofsanko

ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライター兼プロデューサーのスチュワート・ブロノーのプロジェクト、Lionlimbが新作アルバム『Limbo』を発表した。2021年の『Spiral Groove』に続くこの作品は、5月24日にBayonet Recordsからリリースされる。本日の発表では、リード・シングル「Hurricane」がリリースされた。アルバムのジャケットとトラックリストは以下からご覧ください。


「Hurricane』は、人間であることの不安や居心地の悪さから逃避し、フロー状態に入れるような感覚を探すことをテーマにしている。「創造性は助けになるし、もっと有害な方法もある。この曲は、そういったものに別れを告げることを歌っているんだけど、私はいつも次のものを探しているような気がするんだ。


BronaughはLimboの作曲、プロデュース、ミキシングを手がけ、Robin Eatonがレコーディング、Joshua Jaegerが生ドラム、Angel Olsenがヴォーカルを担当した。「音楽に取り組んでいる時は、自分の世界を作ろうとしているような感じなんだ。「どこかに存在したいという感覚なんだ。何かを表現して、自分の頭や体から抜け出そうとしているんだ」






Lionlimb 『Limbo』


Label: Bayonet

Release: 2024/05/24


Tracklist:


1. Sun

2. Hurricane

3. Underwater

4. Hiss

5. Dream Of You (feat. Angel Olsen)

6. Runaway

7. Two Kinds of Tears

8. Nowhere to Hide

9. Til It’s Gone

10. You Belong To Me

USロックのボス、ブルース・スプリングスティーンは先週、フェニックスでパフォーマンスへの凱旋を果たした。


彼は消化性潰瘍疾患との闘病による6ヶ月の休養の後、Eストリート・バンドと共にステージに立ち、ワールド・ツアーを再開した。しかし、スプリングスティーンは健康上の懸念をかかえながらツアーを続行していたようだ。


E Street Radioの司会者ジム・ロトロとのインタビュー(via Deadline)で、74歳のロック・アイコンは、最近、もう二度とライブをやらないかもしれないと恐れていた時期があったと語った。


「歌い始めたら、歌のリハーサルをすることはできるけど、リハーサルでは声が違うんだ。胃の病気になったとき、大きな問題のひとつは歌えなくなったことだった」と語ったスプリングスティーンは、胃の病気の深刻な影響のため、9月に予定されていたEストリートの2023年から2024年にかけてのワールド・ツアーを一時中断した。


「横隔膜で歌うんだ。横隔膜がとても痛くて、歌おうと努力すると死ぬほど痛かったんだ。「だから、文字通り、まったく歌えなかったんだ。ある時点で、スプリングスティーンは、彼の特徴であるハイ・エナジーなパフォーマンス・スタイルに戻れるかどうか全く分からなかったと語った。


『僕は、みんなに言われる前は、もうダメかもと思う。でも、これは僕が一番好きなことのひとつなんだ。 医者から大丈夫だとか。最初は、誰もそんなことは言わなかった。誰もそう言ってくれなかったから、不安になった。それでも結局、素晴らしい医者たちに出会えて、彼らが僕を正してくれたのさ」


医療チームのおかげで、スプリングスティーンは復帰し、3月19日のフェニックス公演(当初は11月30日に予定されていた)では、セットの最後の曲まで、医療問題に触れることなく29曲を歌い切った。スプリングスティーンの直近のツアーは3月25日(月)にサンディエゴのパチェンガ・アリーナで開催される。ライブには復帰したものの、実際はかなり治療のためにやつれているご様子。顔はやつれた感じで肉体はシュワルツネッガーというアンバランスな感じが心配になってくる……。

 Waxahatchee 『Tigers Blood』

 

Label: Anti-

Release: 2024/03/22

 

Review


今週のもうひとつの注目作がAnti-からリリースされたワクサハッチーによる最新作『Tigers Blood』。このアルバムもエイドリアン・レンカーと同じく、アメリカーナやカントリー、フォークを主体としている。ワクサハッチーはジェス・ウィリアムソンとのデュオ、Plainsとして活動しており、このプロジェクトもアメリカーナとロックやポップスを結びつけようとしている。

 

今回のアルバムはアートワークを見ると分かる通り、カンサス出身のワクサハッチーが米国南部的なルーツを掘り下げようとしたもの。しかし、ワクサハッチー自身はこれまで人生を行きてきた中で、南部的なルーツを隠そうとはしなかったものの、それを明るみには出さなかったという。そしてこのアルバムは、Anti-のスタッフの方が言及する通り、「それが存在する前からそこにあったような気がする」という、普遍的なアメリカン・ロックとなっている。どこまでも純粋なアメリカンロックで、それがかなり親しみやすい形で昇華されている。非常に聞きやすい。

 

全般的にはそれほどアメリカーナというジャンルを前面に押し出していないように思えるが、それは飽くまで表向きの話。オープニングを飾る「3 Sister」からインディーロックを基調としたソングライティングの中にスティールギターを模したエレクトロニックギターを織り交ぜたり、そして歌唱の中にもボーカルピッチをずらしてう歌うアメリカーナのサングのスタイルが取り入れられている。しかし、ワクサハッチーはそれをあまりひけらかさないように、オブラートに包み込む。おおらかなソングライティングの中で彼女が理想とするポップを体現させようとする。

 

続く「Evil Spawn」はコラボレーターのジェス・ウィリアムソンのソングライティングに近く、アメリカン・ロックを温和なムードで包み込んでいる。ウィリアムソンの最新作ではいかにもアリゾナにありそうな砂漠や幹線道路を砂埃を上げて走る車のようなイメージが立ち上ってくることがあったが、ワクサハッチーの曲のイメージは、より牧歌的な温和さに縁取られている。その歌声の中には温かさがあり、また雄大な自然のムードが反映されているように思える。


アルバムはその後、70年代のウエストコーストロックや、サザンロックのビンテージなロックへと続いている。「Ice Cold」は、ソロアーティストというよりもバンドスタイルで書かれた曲で、ByrdsやCCRを始めとするUSロックの源流へと迫っている。セッション自体も楽しげであり、聴いているだけで気持ちが沸き立ってくるような気がする。その中で、ワクサハッチーは南部的な風景やムードを上手く反映させている。時折、それはボーカルの節回し、あるいはメロディーの進行と理論的に展開させるというよりも、体感したものを音楽という形で表現していく。

 

アメリカーナの固有の楽器も取り入れられている。続く「Right Back To It」ではスーパーチャンクの名曲「1000 Pounds」にようなインディーロックとアメリカーナの融合のソングライティングに取り組んでいる。しかし、ワクサハッチーの場合は、ロックソングというよりも普遍的なポップスに焦点が絞られ、映画のワンシーンで流れるような寛いだサウンドトラックを思わせる。それほど聞きこませるというよりも、聞き流せるという音楽として楽しめる。ワクサハッチーの音楽は主要なメインテーマといよりかは、BGMや効果音のような聞きやすいポップスなのである。

 

ワクサハッチーの音楽は、単なる古い時代の音楽を尋ねるというよりも、どこかの時代にラジオで流れていた70年代や80年代のロックやポップス、それらの記憶を元に、現代的に親しみやすいポップソングに再構築しようというような意図が感じられる。


「Burns Out at Midnight」はスプリングスティーンのようなUSロックの王道を行くが、その中には単なるイミテーションという形ではなく、子供の頃に聴いていたラジオからノイズとともに聞こえ来る音楽を再現しようという狙いが伺える。それは、ノスタルジアなのか、それとも回顧的というべきなのかは分からないが、懐かしさに拠る共感覚のようなものを曲を通じてもたらすのである。続く「Bored」に関してもこれと同様に、映画のサウンドトラックで流れていた曲、そしてその音楽がもたらすムードや雰囲気を曲の中で再現させようとしているように感じられる。


クラシカルな音楽に対する親しみはその後より深い領域に差し掛かる。「Lone Star Lake」、「Crimes Of The Heart」は、ムードたっぷりのバンジョーやスティールギターがやはり南部的な空気感を生み出している。穏やかさと牧歌的な気風が反映されているが、正直なところ、このあたりはなにか二番煎じの感が否めない。穏やかな感覚はどこかで阻害されているという気がし、残念だと思うのは、ルーツまでたどり着いていないこと。それがなんによるものかは定かではないが、本当の音楽がなにかによってせき止められてしまっているような気がする。

 

難しいけれど、遠慮ともいうべきもので、米国南部的な感性が都会的な感性にからめとられてしまっているからなのかもしれない。純粋なカントリーやフォーク音楽に対して、なにか遠慮が感じられる。奥ゆかしさともいうべきもので、長所たりえるのだけれど、音楽の核心に至る途中で終わっている。ただ、「Crowbar」は閃きがあり、また比較的明るいエネルギーが感じられて素晴らしい。アルバムの中では、ポップに内在するソウルやR&Bに近いアーティストのもう一つのルーツに迫ることが出来る。

 

「365」はよりポピュラー寄りの音楽に進むが、シンプルなポップスとして楽しんでもらいたい。「The Wolves」は全般的な印象と連動して、少し寂しい感じをおぼえるわ、もう少し、編集的なプロダクションや楽器を増やしても面白かったかもしれない。

 

ワクサハッチーは個人的にも好きなアーティストではあり、表現すべき世界観や音楽観を持っている良いミュージシャンであるが、ピアノやバイオリンがないのが、結局、レンカーのような遊び心のある作品にならなかった理由なのかもしれない。本作の中盤から終盤にかけて、安らいだ感じを越えて、少し音楽が緩みすぎているところがあるのが難点。ただ、アメリカンロックやポップスにこれから親しんでみようというリスナーには最適なアルバムになるはず。

 



72/100



挑発的なリリックが最近息を吹き返してきている。ケンドリック・ラマーは、ドレイクとJ.コールの最近のサブリミナル的なディスをし、駆け引きに終止符を打った。フューチャーとメトロ・ブーミンの新曲 "Like That "へのゲスト・ヴァースで、ラッパーは敵対する友人たちを追従する。


このトラックのバースの冒頭で "n****s talkin' out of their neckks "と呼びかけた後、ケンドリックはドレイクとコールのアルバム『For All the Dogs』からのヒット曲 "First Person Shooter "を引き合いに出し、"Fuck sneak dissin', 'First Person Shooter', I hope they come with three switches "と語っている。


このセリフは、コールが "First Person Shooter "の中で、いわゆる同世代のビッグ3ラッパーの中で「最もハードなMC」と自慢したことに対する直接的な返答。「Kドットか?オーブリーなのか?それとも俺か?"俺たちビッグ3はリーグを始めたようなもんだが、今はモハメド・アリみたいな感じだわな」


コールはまた、ケンドリックの最新アルバム『Mr. Morale & the Big Steppers』にも言及し、"Everybody steppers, well, fuck it, then everybody breakfast and I'm 'bout to clear up my plate "と歌っている。


同じトラックで、ドレイクはケンドリック・ラマーをビッグ3の議論から完全に外している。「誰がG.O.A.T.だって?誰がG.O.A.T.?誰がG.O.A.T.なんだ?/お前らビッチが本当に応援しているのは誰なんだ?/1月から11月まで悪さをする子供みてえに、お前とコールだけだぜ」


ケンドリックはコールの2曲を引用して続ける。"Stick "と "PTSD "だ。「もし彼がその棒を持って歩き回ったら、それはアンドレ3000みたいじゃないな/俺がその場所を落とさないと思う?」と彼は言う。「ビッグ3なんてクソ食らえ、ビッグな俺だけで十分だわ」


ケンドリックは、マイケル・ジャクソンを自らと比較するドレイクを徹底的にやりこめる。同時に、LA/コンプトンのラッパーは、自身の長寿と音楽への貢献をプリンスのそれと比較している。


「よお、N****a、プリンスはマイク・ジャックより長生きしたんだぜ」とケンドリックは嘲笑する。「N****a、"お前の犬が埋葬される前に、全部埋葬されるだろう/この9人全員がKだ、じきに『ペット・セマタリー』を見るだろうな」


ケンドリックとドレイクが10年近くもサブリミナル的なディスり合いを続けている。一方で、ケンドリックとJコールは時折コラボレートしており、ジョイント・アルバムの噂が何年も噂されていることは注目に値する。結局のところ、ヒップホップは闘争であり、トップの座を争うMCは同世代のMCに言葉をかけるものだという。仲が悪ければデイスもないということなのか。




イギリスのサックス奏者、シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)が、初のソロアルバム『Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace』の最新シングル「I'll Do Whatever You Want」を公開した。

 

ハッチングスはサンズ・オブ・ケメット/コメット・オブ・イズ・カミングのメンバーとしても知られ、近年ではソロ活動に転じている。ロンドンのジャズシーンをリードする存在である。

 

「"I'll Do Whatever You Want "は、降伏と、所有欲の掌中にある親密な空間について歌っている」とシャバカは声明で述べている。

 

シャバカの新作アルバム『Perceive Its Beauty, Acknowledge Its Grace』は4月12日にImpulse!から発売される。

 


「I'll Do Whatever You Want」

 


1980年、旧西ドイツ/クロイツベルク地区から発生した当然変異体、伝説的なインダストリアルバンド、Einstürzende Neubauten(アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテン)がニューアルバム『Ramps』(apm:alien pop music)を2024年4月5日にリリースする。インダストリアル界のレジェンドは、リードシングル「Ist Ist」を公開した。原始的なインダストリアルミュージックである。

  

1980年代はじめのクロイツベルク地区は、かつてトルコ系移民が移住し、政治的にも環境的にも混沌とした地区として知られていた。アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンはまさにこの旧西ドイツ時代のジャンク、インダストリアル、そしてノイズ性を象徴するようなグループ。

 

しかし、1980年代の象徴的なノイズサウンドを始めとする、かつてのアインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンの前衛性や既存の概念への長い挑戦は、ノイズやオルタネイトな要素こそあれ、長い時を経て、比較的聞きやすいポップ、親しみやすい音楽に変わったことがわかる。

 

「このアルバムで、私はいくつかの解決策を見つけ、従来にない方法で物事を定式化した。私は、音楽を通して知識を得ることができると信じている。ずっとそうだった。私は今もその信念に従っているんだ。今まで知らなかったことを音楽の中から見出す。そして知らなかったことを歌う。それが真実だとわかる何かを。あるいは、これを一段低くするため、少なくとも意味があるものをね」   

 

Einstürzende Neubauten

 

 

 「Ist Ist」





Einstürzende Neubauten 『Ramps (apm: alien pop music)』




Tracklist:


1. Wie lange noch?

2. Ist Ist

3. Pestalozzi

4.  Es könnte sein

5. Before I Go

6. Isso Isso

7. Besser Isses

8. Everything will be fine

9. The Pit of Language

10. Planet Umbra

11. Tar & Feathers

12. Aus den Zeiten

13. Ick wees nich (Noch nich)

14. Trilobites

15. Gesundbrunnen

 

 

Tour Annoucement:

 

Einstürzende Neubauten(アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテン)はアルバムの発売を記念するツアー”alien pop music 2024”の開催を発表した。5月9日のウイーンでの公演を筆頭に、ロンドンを始め、ヨーロッパ各国をめぐり、故郷のドイツ公演を経て、10月29日にベルギーのアントワープの公演でこのツアーを終える。ヨーロッパツアーの公式フライヤーは下記の通り。

 

 


Einstürzende Neubauten:



1980年代、西ベルリンの非常事態の中で生活していたクリエイティブな若者たちの多くは、その非常事態をある種の正常さとして受け止めていた。そう、それは何でも可能に思えた時代だった。



ブリクサ・バーゲルドは、1980年4月1日にムーン・クラブで演奏しないかと誘われたとき、EINSTÜRZENDE NEUBAUTENというバンドを思いつき、ギグを引き受け、数人の友人に電話をかけた。

 

バンドの初期メンバーは、その晩たまたま時間があったミュージシャンたちだった。アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンの正式な誕生は、一般的にこのコンサートと結びつけられている。確かに、このバンドがこれほどまでに高い生産性を維持し続け、40年近く経った今でも健在であるとは、当時は誰も予想できなかっただろう。



2017年1月、ハンブルクの壮大な会場「エルプフィルハーモニー」でのダブル・コンサートを皮切りに始まった「グレイテスト・ヒッツ」ツアーは、記録的な速さでソールドアウトとなり、アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンというバンドが、約37年という最も濃密な音楽的恍惚の時を経た今もなお健在であることを示している。この刺激的なバンドの波乱に満ちた歴史の概略を記すならば、この歩みを当然視すべきではないことがわかる。



1981年11月にリリースされたデビュー・アルバム『Kollaps』で、アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンは従来のリスニング習慣に宣戦布告した。このアルバムは実際には「聴こえない」レコードであり、メインストリームのサウンドによって鈍化してしまった期待や聴き方に対して真っ向から挑戦を挑んだ。


アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンは、ドイツでは希少なバンドであり、その独自のトレンド・ミックスを通じて、国際的に本物のインパルスを発信している。

 

ダンス・シアターからビジュアル・アートまで、他の多くのバンドや芸術ジャンルに影響を与え、シュリンゲンジーフからタランティーノまで、今日に至るまで映画にも影響を与えている。メディアは当初、このバンドを奇妙な「分断都市の珍品」と嘲笑したが、瞬く間に、現在とポップカルチャーの名だたる偉人の一人として世界中にその地位を確立した。全世代に影響を与え、今日でも実験的なサウンドアートやパフォーマンスの青写真をしばしばコピーしている。



アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンは、"音楽 "という言葉を独創的かつ先鋭的に再定義することを特徴としている。例えば、日本の映画監督・飯石聰亙のような、一風変わった先駆的なコラボレーションにもしばしば参加している。

 

また、ペーター・ザデック、ハイナー・ミュラー、レアンダー・ハウスマンら著名な演出家やドラマツルグとの演劇プロジェクトを通じて、バンドは広範囲な経験を共有しており、その様子はアート・プレスによって陶酔的に記録されている。また、ドクメンタ7、パリ・ビエンナーレ、バンクーバー万博など、国際的な文化イベントにも招待されている。

 



girl in redがサブリナ・カーペンターとのコラボシングルを発表した。4月12日にリリースされるセカンドアルバム『I'M DOING IT AGAIN BABY!』の最新曲「You Need Me Now?」を下記よりチェックしてみよう。


「元々、アリアナ・グランデにフィーチャリングしてほしいというセリフがあったんだけど、彼女が嫌がったから自分でやることになった。でも、それじゃクールさに欠けると思ったの」とマリーはDorkの取材に対して語っている。

 

そして、彼女はサブリナに連絡を取った。「私は『Feather』も『Nonsense』も大好きだし、『Emails I Can't Send』はとてもシックなアルバムだと思う。彼女なら私にできない何かをこの曲に与えてくれると思ったの」


サブリナはマリーに、マリーが望むことであれば、曲の中でゲップをしてもいいと言った。「私はそれがとても面白かったわ」とマリーは言う。「2人は一緒に歌詞を書き、サブリナは自分のパートをわずか4時間で書き上げた。素晴らしいエネルギーがあるのよ」


「デュエットやコラボレーションの多くは、とても計算された感じがする。フィニアスと『Serotonin』を作った時もそうだった。変な曲だけど、楽しく感じる。常に真剣でいるのではなく、変なアイデアを持つことを自分に許し、それを試してみる。真剣でありながら、それを楽しむことは可能なんだ」

 

『I'M DOING IT AGAIN BABY!』の先行シングルとして「Too Much」、タイトル曲「I'm Doing It Again」が配信されています。


ガール・イン・レッドは''フジロックフェスティバル2024''で来日公演を行います。こちらも注目です。


「You Need Me Now?」



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©︎ Rahi  Rezvani


音楽ビジネスで成功するためには、才能、タイミング、運の3つが必要だと言われる。それに加えて、注目されるためのプラスアルファが必要だ。ユップ・ベヴィン(Joep Beving)には、その4つがすべて備わっている。

ワイルドな髪に流れるようなあごひげ、身長180センチ近いオランダ人ピアニストは、まるで童話に出てくる親しみやすい巨人のようだ。しかし、彼の演奏は、控えめで、心に染み入るような、メランコリックなもので、巨人の中でも最も優しく、その繊細なメロディーは、この困難な時代に魂を癒してくれる。

「今、世界は慌ただしい。私は、基本的な人間的なレベルで人々と再びつながりたいという深い衝動を感じている。世界共通語である音楽には団結する力がある。文化の違いに関係なく、私たちは人間であることの意味を生得的に理解していると思う。私たちには、それを示す感覚がある」

ユップの音楽は、不安と恐怖に満ちた慌ただしい世界への解毒剤であり、より優しく希望に満ちた未来へのサウンドトラックである。

「かなりエモーショナルなものなんだ。私はこれを "複雑な感情のためのシンプルな音楽 "と呼んでいる。イメージを引き立てる音楽であり、観客が自分の想像力でギャップを埋められるような空間を作り出す音楽なんだ」


ユップ・ベヴィンの物語は、幸運とタイミングに恵まれたものだ。ヨープ(「ユップ」と発音)は14歳で初めてバンドを結成し、地元のジャズフェスティバルでライブデビューを果たした。彼は音楽の道か行政の道かで悩みながら学校を去った。手首の負傷によりコンセルヴァトワールでのピアノの勉強を断念し、経済学の学位取得に専念することを余儀なくされたとき、音楽の損失は公務員の利益になるものと思われた。

しかし、彼にとって音楽の魅力はあまりにも強かった。「音楽は常に私の心の中にありました」と彼は言う。相反する2つの道の妥協点にたどり着いた彼は、10年間、成功した企業でマッチングやブランド音楽の制作に携わった。「しかし、私は常に広告と愛憎関係にあった。必要のないものを売りつけるために音楽を使うのは、決して心地よいものではなかった」

余暇には、成功したオランダのニュージャズ集団、ザ・スカリーマティック・オーケストラや自称 "エレクトロソウルホップジャズ集団 "のムーディー・アレンでキーボードを演奏し、ワンマン・プロジェクトのアイ・アー・ジャイアントでエレクトロニカに手を出していた。しかし、彼自身はこんなふうに認めている。「それは自分ではなかった。自分の声を見つけられなかったんだ」




それが変わり始めたのは、広告界のアカデミー賞と呼ばれるライオンズ・フェスティバルのためにカンヌを訪れたときのことだった。「自分の音楽が聴衆に感情的な影響を与えることを目の当たりにしたのは、そのときが初めてだった」

その反響に勇気づけられたユップは、アムステルダムの自宅で親しい友人たちを招いてディナー・パーティーを開き、2009年に亡き祖母が遺したピアノで自分の曲を演奏した。「友人たちが、リビングルームの外で聴くべきだと思う音楽を私が演奏するのを聴いたのは、そのときが初めてだった。自分の楽器だけでソロ・アルバムを出すという夢を追い求める後押しになったんだ」


その1ヵ月後、親友が不慮の死を遂げたため、ユップは彼の葬儀のために追悼曲を作曲した。「彼の火葬で初めてその曲を演奏したんだ。その後、彼の永久的な記念になるようにと、みんなにレコーディングするよう勧められたんだ。彼は並外れた人でした」




その反応に触発されたユップは、さらに曲を書き、それから3ヶ月間、自分のキッチンで、ガールフレンドと2人の娘が寝ている間に演奏し、1テイクずつ録音した。こうして完成したのが、彼のデビュー・アルバム『Solipsism』である。

彼がアプローチした唯一のレコード・レーベルには断られたが、彼は1,500枚のレコードをプレスするために金を払い、アートワークはラヒ・レズヴァーニ(彼は「The Light She Brings」の素晴らしいビデオも制作した)が担当した。ジョエップは2015年3月、アムステルダムの注目のファッションデザイナー、ハンス・ウッビンクのスタジオでアルバム発売を演出し、そこで初披露した。

最初のプレス盤はすぐに完売し、主に友人に売られた。曲はスポティファイで即座にヒットし、ニューヨークのチームが人気の『Peaceful Piano』プレイリストに1曲「The Light She Brings」を追加した。「人々はその曲を保存し始めたので、別の曲を追加した。そして、私のアルバム全体を気に入ってくれるようになった。やがて『Solipsism』はバイラル現象となり、もう1曲の "Sleeping Lotus "のストリーミング再生回数は3,000万回を超えた。そして、両アルバムを合わせた全曲のストリーミング再生回数は1億8000万回を超えた。

ネット上での大成功の結果、ユップはオランダのゴールデンタイムのテレビ番組に出演することになった。その翌日、彼のアルバムはワン・ダイレクションをチャートのトップから叩き落とした。「そして数日後、アデルがカムバックしたんだ」と彼は笑う。

アムステルダムの有名なコンセルトヘボウでの名誉あるソロ・リサイタルを含め、コンサート・プロモーターからショーのオファーが殺到し、別の友人が地元のバーで "夜中の2時にみんながタバコを吸いながらモスコミュールを飲んでいる中で "彼のアルバムを演奏したことから、彼のアルバムはベルリンに渡ることになった。

偶然にも、その夜ふかしのひとりがドイツ・グラモフォンの重役であるクリスチャン・バドゥラだった。ネットで連絡を取り合った後、ユップがベルリンのクリストフォリ・ピアノサロンで演奏したときに2人は出会い、世界有数のクラシック・レーベルと契約を結ぶことになった。

この新しいパートナーシップの最初の成果が『Prehension』である。『Solipsism』の自然な後継作である本作は、ヨープが彼の音楽に見出した音楽的・哲学的テーマを継承している。「私は、身の回りで起こっていることの絶対的なグロテスクさに反応しているのだ。そのような状況では、取るに足らない無力感に苛まれ、現実や周囲の人々から自分を遠ざけてしまう。私はただ、美しいと思うものを書き、多くの音符を省き、楽器を通して物語を語り、シンプルで正直で美しいもので私たちをひとつにしようとしている」


ドイツ・グラモフォンからリリースされた新曲「Pax」は前作『Hermetism』の音楽性の延長戦上にある。サティを髣髴とさせる美しいピアノ曲を書き上げた作曲家は今回もミニマリズムを基底とする摩訶不思議な世界をアコースティックピアノにより表現している。

「Pax」は色彩的な和音はサティの系譜にあるが、楽曲構成や作風はベートーヴェンの「Moonlight」を思わせる。今回のピアノのサウンドデザインも現在のポストクラシカルを踏襲し、ハンマーや鍵盤の音響を生かしながらも、その音階の連なりはダイヤモンドのごとき高貴な輝きを放ってやまない。


「Pax」


 


ヘヴィなカムバック・シングル 「Dark Matter」で複数のビルボード・ロック・チャートのトップを飾ったオルタナのボス、パール・ジャムが、ラウドでファストでパンキーな 「Running」をリリースした。


このナンバーには、独特のチャント調のギャング・ヴォーカル・コーラスがあり、そのリフはベーシストのジェフ・アメントが作った。


「ギタリストのストーン・ゴッサードは、SPIN誌にこう語っている。「ブリッジが大好きなんだ。マクレディが弾いているコードが一体何なのかわからないけど、オリジナルなものに聞こえるんだ」


「Running」は、ロサンゼルスのリック・ルービンのシャングリ・ラ・スタジオで、プロデューサーのアンドリュー・ワットと録音した最後の曲。「もう1曲アップテンポの曲を作るのは楽しかった」とゴッサードは語り、フロントマンのエディ・ヴェダーの 「ここぞという箇所のヴォーカルの器用さ、そしてアルバムの他のいくつかの箇所でのヴォーカルは本当に見事だ」と付け加えた。


ヴェダーは今週ロンドンを訪れ、長年続いているティーンエイジ・キャンサー・トラストのベネフィット・コンサート・シリーズの一環としてザ・フーと歌った。木曜日(3/21)、彼はロンドンで招待客を前に『Dark Matter』を初披露した。2月にロサンゼルスのトルバドールで開かれたリスニング・パーティーと同じように、彼は、午後の観客にテキーラのショットを注いだ。


2ndアルバムは2020年の『Gigaton』の続編。5月4日のバンクーバーを皮切りにマルチレッグのインターナショナル・ツアーが予定されている。






後日掲載されたアルバムのレビューは下記よりお読み下さい。





パール・ジャムのエディ・ヴェダーは、3月24日に行われるティーンエイジ・キャンサー・トラストの慈善コンサート・シリーズのフィナーレで、大物アーティストと共演する予定だったが、3月20日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われたザ・フーのセットで、数日早く登場した。


ヴェダーは、長年ティーンエイジ・キャンサー・トラストのキュレーターを務めてきたロジャー・ダルトリー、ピート・タウンゼントらとともに、『クアドロフェニア』から「パンクとゴッドファーザー」を演奏。マイクチェックで「アイ・ラブ・ユー・ロジャー、アイ・ラブ・ユー・ピート」。このアーティストは、ティーンエイジ・キャンサー・トラストの過去のチャリティにも何度か出演しており、今日はロンドンでパール・ジャムのニュー・アルバム『ダーク・マター』のリスニング・パーティも開催される。


ダルトリーは、ロバート・プラント、ケミカル・ブラザーズ、ノエル・ギャラガーのハイ・フライング・バーズ、スクイーズなどが出演した今年のシリーズを最後に、キュレーターのバトンを渡すことになる。ティーンエイジ・キャンサー・ターストによると、ダルトリーは過去20年間で4,000万ドルの資金調達に貢献し、その資金は "NHS内の28の専門ユニット、専門看護師やユースワーカーのための基盤 "となり、がんで世界がひっくり返った若者に寄り添う。


コンサートは、今夜はギャラガーとスペシャル・ゲストのブロッサムズ、明日はヤング・ファーザーズ、23日はケミカル・ブラザーズ、24日はダルトリー、ヴェダー、プラント、ポール・ウェラー、ステレオフォニックスのケリー・ジョーンズという豪華な顔ぶれで続く。



 



アパラチアとはニューヨーク州からミシシッピやアラバマ州まで、その稜線を伸ばす山岳地帯である。その地域は約二十万平方マイルを網羅している。古くは、イングランド、スコットランド/アイルランドの移民が多く住んでいて、ニューイングランドの文化性を最初期のアメリカの建国において築き上げて来た。この民族は、日本の北海道の奥地にいたアイヌ民族によく似た生活を送り、口伝の伝統性、自給自足の生活、そして民間伝承を特徴としていた。後には「アパラチアン・トレイル」という区域が設けられ、山岳登山者にも親しまれる場所となった。

 

アパラチア山脈の地域の産業は、農業の他、石炭の採掘が盛んだった。山岳地帯で冬はひときわ寒い。真冬は大雪が降る。家の中を温めるため、石炭と石油は必須であった。男性は石炭を採掘するため山の奥深くに踏み入った。彼らが日中を仕事に費やし、木造りの小屋の灯芯の油が途絶えようとする頃、山に仕事に行っていた男が石炭と埃にまみれて戻って来る。その間、女性たちは農業や紡績等の仕事を行い、家族が帰ってくるのを待っていたのは想像にかたくない。

 

アパラチアの文化を見るときにフォーク音楽という要素を欠かすことは出来ない。なぜならアパラチアは鉱業と音楽によって、その文化性を構築してきたからである。フォークとは平たく言えば、民謡のことで、その地域で親しまれる流行歌と言える。アパラチアはカントリーとブルーグラスの発祥の土地であり、もちろん、アメリカーナの出発の土地でもある。スコットランドやニューイングランドの移民は、はてない太洋の向こう、遠く離れた故郷のイギリスの望洋の念をアコースティックギターに乗せて歌ったのだろうか。アパラチアの家族の中には、必ずといっていいほど、楽器演奏者がいた。多くの鉱業や農業を営む家族は非常に貧しかった。高級なピアノを買うほどのお金はない。そこで、彼らは、スコットランドから持ってきたフィドルやバンジョー、あるいは、ダルシマーを演奏したのだった。山の枝を伐り、薪とし、それを小屋の向こうで燃やし、薪の周りに円居し、フォーク音楽を演奏した。この地域からはドリー・パートン、パッツィ・クライン、ロレッタ・リンを始めとする偉大な音楽家が輩出された。

 

こういった山岳地帯の生活の中でアパラチアン・フォークは育まれたわけだが、この音楽用語は20世紀初頭に少数の学者のグループによって名付けられた人工的なカテゴリーだった。アパラチアの民族性は音楽だけではなく、民間伝承や産業を切り離して語ることは難しい。それに加えて、民族的にもアフリカ系が住んでいた。単一主義の地域ではなく、出発からして多民族の地帯だ。しかし、この地域の音楽が、後世のフォーク/カントリーの一部を形成しているのは事実のようである。スコットランド民謡の伝承という要素がアパラチア音楽の素地の一側面を形成しているのも明確なのだ。

 

 

アパラチア音楽に求められる民俗性

 



19世紀から始まり、1920年代まで続いたアパラチア音楽に関する初期研究は、すべてアイルランド等で盛んだった「バラード」という形式、及び、他の類に属する新しい当世の流行歌や歌謡曲の再発見である「バラード・ハンティング」、「ソングキャッチ」という側面に焦点が絞られていた。ジェームス・チャイルドの「イギリスとスコットランドの人気バラード(1898)」という書籍を元に音楽研究が進んだ。実際、この本に書かれていた記述によって、アパラチアの音楽とイギリス諸島の民謡の中に歴史的なつながりを見出す契機をもたらしたのだった。

 

アパラチア音楽の最初期の評価は、モチーフの価値観や興味よりも、作家の個別の価値観や興味に基軸が置かれていた。例えば、1928年に米国議会図書館にフォーク・ソングアーカイブを設立したロバート・ウィンスロー・ゴードン氏は、イギリスの歌との直接的な関係によって定義付けられるアパラチアのフォーク音楽こそが「純正なもの」であり、「本物」であるとしている。ロバート・ゴードン氏は、「アパラチアを、アフリカ系アメリカ人やユダヤ系アメリカ人に代わるアメリカ人」として指摘した上で、次のように言及している。


「個人的には、私達の本当のアメリカ人のフォークを復活させ、知らせるためのプロジェクト全体が今日率先して行うべき価値のあることだと信じています。真のアメリカニズムの見方ーー、それはまさに私達の過去、開拓者、アメリカの作った人々の魂そのものです。現代のブロードウェイ、ジャズだけではないのです」ロバート氏の言葉には、現代性を見た上で、「過去の民族性が、現在にどのような形で反映されているのか」を最も重視すべきということが痛感出来る。

 

ただ、音楽専門家の意見とは異なる民俗学の研究者の視点が入ったとき、アパラチア音楽の研究は別の意義を与えられることになった。英国の伝統に関する視点は必ずしも絶対的なものではなかったのだ。ション・ローマックスとアラン・ ローマックスを筆頭にする民族学者、活動家の一派は、アパラチアの住民の民族性を調査するため、1930年代から40年代にかけて、時事的な曲や流行歌を蒐集した。このとき、必ずしもニューイングランド系の移民のみでこの音楽が演奏されるわけではなく、非白人のアパラチア人が演奏していたものもあったことが明るみに出るようになった。

 

稀少な事例であるが、ジェームズ・ムーニーによる「チェロキーの神話」、アフリカ系アメリカ人の鉄道バラード「ジョン・ヘンリー」の物語を明らかにした1920年のルイ・チャペルの未発表曲等が発見されると、必ずしもアパラチア音楽が白人のために限定された音楽とは言い難くなった。つまり、この点は20世紀前後のブルースの原点にあるプランテーションソングや鉄道員の歌と連動して、これらのアパラチア音楽が形成されていったことを伺わせるのである。

 

 

Dulcimerという謎の多い楽器


さらにアパラチア地帯には、スコットランド/アイルランド系の移民だけが生活していたわけではないことが歴史的な研究で明らかになっている。

 

他にもドイツ系、フランス系ユグノー、東ヨーロッパ人等多様な民族がこの山岳地帯に定住している。他にも20世紀初頭、アフリカ系アメリカ人がアパラチアの人工の約12パーセントを占めていたとの調査もある。さらにこれらのグループは、密接な関係を持ち、孤立していたわけではなかったことが判明している。アパラチア音楽のアイコンとなっている楽器「マウンテン・ダルシマー」は、ドイツのシャイトルトの系譜に当たる楽器と言われている。この点から、スコットランド人に留まらず、ドイツ人もヨーロッパ固有の楽器をこのアパラチア地域にもたらしたことを意味している。

 

さらに、ダルシマーという楽器は、フォルテ・ピアノの音響の元になったもので、フィレンツェのメディチ家が楽器製作者の”バルトメオ・クリストフォリ”に制作させた。クリストフォリはダルシマーをヒントに、いくつかの段階を経て、ピアノという楽器を製作した。ダルシマーは、アメリカーナの楽器のスティールギターの元祖であるとともに、驚くべきことに、イスラム圏の「ウード」にも似ており、日本の和楽器の「琵琶」にも良く似ている。つまり、この楽器はヨーロッパにとどまらず、イスラム、アジアとも何らかの関連性があることも推測される。

 

ブルーグラスやカントリーでお馴染みの楽器、バンジョーやマンドリン、ストリングスバンドが取り入れられたのはかなり早い時期で、1840年代であった。この時代にはミンストレル・ショーと呼ばれる演芸が行われ、アパラチア音楽が一般的に普及していく契機を作った。ジョーン・ベッカーは、「バラードや伝統的なゴスペルのような賛美歌だけではなく、登山家はその時代、伝統的なアングロサクソンの歌をうたっていた」と述べている。「もちろん、バラードや伝統的な歌にとどまらず、現代的な話題を題材にした新しいバラードも楽しんでいたのです。彼らは郵送で購入したギター、バンジョー、マンドリンと並べて手作りのフィドルも演奏していた」

 

20世紀の初頭、アパラチア音楽とは何を意味していたのか。1927年の夏、ラルフ・ピアという人物がビクター・レコードのためにブリストル(テネシーとバージニアの間にある)で行ったこの音楽のアーカイブ録音が存在する。録音の演奏者と曲のレパートリーを決定する上で、ラルフ・ピアは実際の演奏者に現代的な曲を避けるように指示している。しかし、なかなか実際に演奏出来るミュージシャンが見つからず、アパラチア音楽の録音は暗礁に乗り上げかけた。

 

しかし、そこには明るい兆しもあった。テネブ・ランブラーズは当時、ジミー・ロジャースというミシシッピの若手歌手を加入させたばかりで、レコーディング前に「自分たちが持っている曲よりも古く、田舎風の曲を探さなければいけない」と言われていた。バンドは解散してしまったものの、ロジャースは初のレコーディングを行い、カントリー・ミュージックの最初のスターとなった。

 

その時代と並んで、ゴスペルスタイルの歌をうたうカーター・ファミリー・プロテスト、同じくゴスペルシンガー、ブラインド・アルフレッド・リード、さらに、ホーリネス教会の牧師であったアーネスト・フィリップス、BFシェルトン、フィドル奏者でセッションにアフリカ系アメリカ人として最初に参加したエル・ワトソンなどが、そのサークルに加わることになる。上記の演奏家や歌手は、フォーク音楽の出発が、紡績の糸から組み上げられていることを示した。

 

 

アパラチア音楽の本質とは何か




アパラチア民族が山岳での農業、紡績、あるいは鉱業を営む傍ら、これらの音楽にどのような意義を与えていたのか。あるいは意義を与えられたのか。それは少なくとも、生活に密着した音楽的な表現を生み出すことであり、また、日頃の生活に潤いを与えるために音楽を歌ったことは、19世紀の綿花を生産するプランテーション農場で黒人の女性たちが歌った「プランテーション・ソング」、鉄道員によるワイルドな気風を持つ労働歌である「レイルロード・ソング」と同様である。そして、アパラチア音楽の場合は、単一の民族ではなく多民族で構成され、複数の楽器、フィドル、ダルシマーといったヨーロッパ、イギリス諸島の固有の楽器が持ち込まれ、独自の進化ーーアパラチアン・フォークーーというスタイルが生み出されることになった。これらの基礎を作り上げた中には、アフリカ系アメリカ人もいたことは付記しておくべきか。

 

また、著名な研究家であるウィリアム・フォスターは、アパラチア音楽の本質について次のように述べている。「アパラチア音楽が”アメリカ文化の特徴的で信頼すべき変種である”という意見は、依然として少数派の意見であると考える人がいるかもしれません。しかし、それは音楽が重要でなくなったからではなく、時代が進むごとに音楽用語として廃れつつあったからなのです。少なくとも、アパラチア地方の音楽は単一のものではなく、20世紀の音楽の創造におけるもうひとつの多角的な側面を示しています」 

 

「少なくとも、ブルース、ジャズ、ブルーグラス、ホンキートンク、カントリー、ゴスペル、ポップスにアパラチア音楽の影響は顕著に反映されています。これらの音楽のスタイルは、それ以外の地域の固有の音楽と同じように、アパラチアの文化性を担っている。アパラチアの音楽はアメリカの物語とよく似ています」とフォスター氏は語る。「アメリカでは、ミュージシャンはカテゴリーや系統の純度をあまり気にすることはありません。彼らはそれ以前の音楽を新しい翻案の素材として見なし、自らに適したスタイルや形式を熱心に掘り下げて来たのです」



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Olivia Rodrigoが2ndアルバム『GUTS』のデラックス・エディション『GUTS(spilled)』をリリースした。リリースに伴い、トラック「Obsessed」の新しいミュージックビデオが公開された。


今週初めにシカゴのステージで初めて発表された『GUTS (spilled)』には、新曲 「So American 」に加え、『GUTS』のヴァイナル盤のシークレット・トラック、「Obsessed」、「Girl I've Always Been」、「Scared of My Guitar」、「Strange」が収録されている。 アルバムのストリーミングは以下から。


「Obsessed」の新しいミュージックビデオでは「Miss Right Now」と書かれたたすきをかけたロドリゴが、元恋人のためのアワード・ショーで、現在交際している元恋人たちと対面する。以下のビデオをご覧ください。


他のロドリゴのニュースでは、彼女はまだ8月まで続く "GUTS World Tour "の真っ最中であり、その道中、彼女のリプロダクティブ・ライツ・イニシアチブである''Fund 4 Good''を支援している。次いで直近のツアーでは、コンドームとプランBを含む無料の避妊キットを配布している。



「Obsessed」

 

 

 

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